JP2008094545A - エレベータの制御装置及びエレベータの制御方法 - Google Patents

エレベータの制御装置及びエレベータの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】地震時管制運転を実施した後、早期に且つ安全にエレベータの運転を再開させることができるエレベータの制御装置を得る。
【解決手段】エレベータの地震時管制運転後に診断運転を実施する区間を、エレベータの全昇降行程の一部に限定して設定する診断区間設定部19を備えることにより、地震時管制運転が実施された後、診断区間設定部19によって設定された診断区間のみ診断運転を実施し、診断区間において実施された診断運転で異常が発見されなかった場合に、全昇降行程の一部、例えば、診断運転によって異常が検出されなかった上記診断区間内の所定の範囲(診断区間全体を含む)に限定してエレベータの運転を再開する。
【選択図】図1

Description

この発明は、地震時管制運転を実施した後、エレベータの運転を再開させるために診断運転を実施するエレベータの制御装置及びエレベータの制御方法に関するものである。
地震時管制運転の機能を備えたエレベータでは、地震感知器によって地震の揺れが感知されると、その地震の規模(建築物の加速度等)に応じて、最寄り階停止等の救出運転が実施される。そして、従来では、地震によってエレベータに何らかの損傷が発生している恐れがある場合、即ち、所定の規模の地震が検出された場合には、エレベータは最寄り階停止後に運転休止状態となり、専門のエレベータ保守員による点検作業が実施されるまで、上記運転休止状態が継続されていた。
上記構成のエレベータでは、所定の規模の地震が発生すると通常の運転が再開されるまでにかなりの時間を要し、エレベータのサービスを大幅に低下させることとなっていた。そこで、最近では、上記のような問題を解決するため、また、地震時におけるエレベータ保守員の負担を軽減するため、地震時管制運転後に所定の条件下で診断運転を実施し、かかる診断運転においてエレベータの異常が検出されなかった場合に、エレベータを自動で復旧させる機能を備えたエレベータも実現されている。このようなエレベータでは、例えば、最寄り階停止後に余震対策のために更に数分程度その乗場で待機させた後、運転休止状態のエレベータの地震感知器がリセットされ、定格速度よりも遅い速度(以下、「低速」という)で診断運転が実施される。
なお、低速による診断運転の実施は、かごの昇降速度を下げることによって高精度及び高信頼度の診断(異常検出)を実現するため、及び、エレベータの異常検出時におけるかごの停止距離を短くすることによって被害を最小限に抑えるためになされるものである。
また、地震時管制運転後に所定の条件下で診断運転を実施するエレベータとして、例えば、所定の規模の地震が発生した場合に、レール間隔等を光センサ等によって計測して継続運転が可能か否かを判断するとともに、継続運転が可能であると判断した場合にかごを±1000mmの範囲で低速上下運転させ、かかる低速上下運転でも異常が検出されない場合に、通常の運転を再開させるものが提案されている(特許文献1参照)。
特開平11−171423号公報
従来のエレベータでは、診断運転を低速で実施するため、昇降行程が長い場合や、診断運転を複数回実施したりする場合に、診断運転にかなりの時間を要してしまうといった問題があった。なお、エレベータの早期復旧を図るために診断運転時におけるかごの速度を上昇させると、異常が発生している場合に被害が拡大する恐れがあった。
また、特許文献1記載のものでは、光センサによるレール間隔等の計測、及び、±1000mmの範囲で実施される低速上下運転によって異常が発見されなければ通常運転に復帰させるという根拠が不明であり、例えば、制御ケーブルが地震の揺れによって昇降路内突起物に引っ掛かっている場合等、±1000mmの範囲で実施される低速上下運転によって異常が発見されない場合でも、かごが他の範囲に移動した際に不具合が発生するといった問題があった。なお、かかる場合には、かごが定格速度で走行しているため、昇降路内機器類の破損や制御ケーブルの切断等が発生し、被害が拡大する恐れがあった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、地震時管制運転を実施した後、早期に且つ安全にエレベータの運転を再開させることができるエレベータの制御装置及びエレベータの制御方法を提供することである。
この発明に係るエレベータの制御装置は、エレベータの地震時管制運転後に診断運転を実施する区間を、エレベータの全昇降行程の一部に限定して設定する診断区間設定部と、地震時管制運転が実施された後、診断区間設定部によって設定された診断区間のみ診断運転を実施し、診断区間において実施された診断運転で異常が発見されなかった場合に、全昇降行程の一部に限定してエレベータの運転を再開させる運転制御部と、を備えたものである。
また、この発明に係るエレベータの制御装置は、地震発生時のエレベータのかごの状態を記憶するかご状態記憶部と、かご状態記憶部によって記憶されたかごの状態に基づいて、地震時管制運転後に診断運転を実施する区間を、エレベータの全昇降行程の一部に限定して設定する診断区間設定部と、地震時管制運転が実施された後、診断区間設定部によって設定された診断区間のみ診断運転を実施し、診断区間において実施された診断運転で異常が発見されなかった場合に、全昇降行程の一部に限定してエレベータの運転を再開させる運転制御部と、を備えたものである。
この発明に係るエレベータの制御方法は、エレベータの地震時管制運転後に診断運転を実施する区間を、エレベータの全昇降行程の一部に限定して設定するステップと、地震時管制運転が実施された後、設定された診断区間のみ診断運転を実施するステップと、診断区間において実施された診断運転で異常が発見されなかった場合に、全昇降行程の一部に限定してエレベータの運転を再開するステップと、を備えたものである。
また、この発明に係るエレベータの制御方法は、地震発生時のエレベータのかごの状態を記憶するステップと、
記憶されたかごの状態に基づいて、地震時管制運転後に診断運転を実施する区間を、エレベータの全昇降行程の一部に限定して設定するステップと、地震時管制運転が実施された後、設定された診断区間のみ診断運転を実施するステップと、診断区間において実施された診断運転で異常が発見されなかった場合に、全昇降行程の一部に限定してエレベータの運転を再開するステップと、を備えたものである。
この発明によれば、地震時管制運転を実施した後、早期に且つ安全にエレベータの運転を再開させることができる。
この発明をより詳細に説明するため、添付の図面に従ってこれを説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるエレベータの制御装置の全体構成図、図2はこの発明の実施の形態1におけるエレベータの制御装置の動作を示すフローチャートである。先ず、図1に基づいて、この発明に係るエレベータの制御装置の構成について具体的に説明する。
図1において、1はエレベータ昇降路2内を昇降するかご、3はかご1とは逆方向に昇降路2内を昇降する釣合い重り、4はかご1及び釣合い重り3を釣瓶式に懸架する主ロープ、5は昇降路2の上方にある機械室6等に設けられた巻上機の駆動綱車、7は機械室6等に回動自在に設けられたそらせ車、8は機械室6等に設けられ、エレベータの運行制御全体を司る制御盤である。なお、制御盤8とかご1とは、制御ケーブル9によって接続されている。
10はかご1の過速度を検出する調速機であり、昇降路2のピット部に回動自在に設けられた張り車11と、調速機10の綱車及び張り車11に巻き掛けられた無端状の調速機ロープ12と、調速機ロープ12及びかご1間に連結されて、調速機ロープ12をかご1に連動させるかご連結部13とから構成される。そして、上記調速機10、巻上機、かご内マイク14、かご1に設けられたかご加速度計15等の各装置は、上記制御盤8に接続されて各制御が実施されている。
また、16はエレベータが備えられた建築物の揺れを感知する地震感知器であり、例えば、機械室6等に設置された2次元加速度計等から構成される。17は地震感知器16によって感知された建築物の揺れが所定値を超えた場合に、地震発生情報を出力する地震感知部である。即ち、地震感知器16及び地震感知部17により、所定の規模の地震が検出され、上記地震発生情報に基づいて地震時管制運転が開始される。なお、上記地震感知部17は、地震感知器16内の一機能として地震感知器16と一体的に構成されていても良いし、制御盤8内の一機能として制御盤8内に備えられていても良い。
また、上記制御盤8には、かご状態記憶部18、診断区間設定部19、運転制御部20、異常検出部21が備えられている。ここで、上記かご状態記憶部18は、地震発生時のかご1の状態を記憶する手段であり、例えば、地震感知部17から地震発生情報が出力された際のかご1の位置(高さ)を位置情報として記憶するかご位置記憶部22と、地震発生情報が地震感知部17から出力された際のかご1の運行状態(かご1の昇降方向、昇降速度、走行中か停止中か等)を運行情報として記憶する運行状態記憶部23とから構成される。
また、上記診断区間設定部19は、エレベータの地震時管制運転後に診断運転を実施する区間を、エレベータの全昇降行程の一部に限定して設定する手段である。ここで、診断区間設定部19によって地震時管制運転後に診断運転を実施すると設定される、全昇降行程の一部に限定された区間(以下、「診断区間」という)は、例えば、利用者の多い階床付近や地震による被害が発生し易い所定の階床付近のように、地震発生前に予め設定された区間であっても良いし、上記かご状態記憶部18によって記憶された地震発生時のかご1の状態に基づいて、地震発生後に設定される区間であっても良い。また、上記診断区間は、地震発生前に予め設定された区間と地震発生後に設定される区間との双方であっても良い。
なお、診断区間が診断区間設定部19によって地震発生後に設定される場合、上記診断区間は、例えば、地震発生時にかご位置記憶部22に記憶された位置情報と運行状態記憶部23に記憶された運行情報とに基づいて設定される。具体的には、かご1が最下階に停止している時に地震が発生した場合には、かご1が停止している最下階付近の被害が予想されるため、上記診断区間は、最下階から所定の上昇位置までに限定して設定される。また、主ロープ4や制御ケーブル9、調速機ロープ12等のエレベータ長尺物が地震時の建築物の揺れに共振した場合には上記長尺物の最大振幅点付近の被害が予想される。このため、上記診断区間は、中間階付近や、かご位置記憶部22に記憶された位置情報等に基づいて算出された制御ケーブル9の折り返し高さ付近、主ロープ4のかご1から駆動綱車5に至る部分の中間点付近等に限定して設定される。
運転制御部20は、最寄り階停止及び戸開動作等の地震時管制運転が実施された後、上記診断区間設定部19によって設定された診断区間のみ、即ち、エレベータの全昇降行程の一部のみ診断運転を実施し、診断区間において実施された診断運転で何ら異常が検出されなかった場合に、全昇降行程の一部、例えば、診断運転によって異常が検出されなかった上記診断区間内の所定の範囲(診断区間全体を含む)に限定してエレベータの運転を再開させる手段である。
なお、上記診断運転では、例えば、診断区間内を低速走行させた際の各種計測値をモニターし、その計測値に基づいて機器類の異常を検出する。ここで、上記異常検出部21は、診断運転において各種機器類の異常を検出するための手段であり、例えば、かご内マイク14によって集音される走行音や、かご加速度計15によって検出されるかご1の加速度、調速機10によって検出されるかご1の速度、巻上機に作用するトルク等の各種計測値をモニターするとともに、各計測値と各計測値の基準値とを比較することによって異常の有無を判定する。そして、異常検出部21によって何らかの異常が検出された場合には、異常を発見した旨の異常情報が異常検出部21から運転制御部20に対して出力され、運転制御部20によりかご1の非常停止、即ち、診断運転の中止等の適切な措置が取られる。
次に、上記構成を有するエレベータの制御装置の動作について、図2に基づいて説明する。なお、図2に示す制御装置の動作は、上記診断区間が、診断区間設定部19によって地震発生前に予め設定されている場合のものである。
図2において、エレベータの通常運転時に(ステップS101)、地震が発生すると(ステップS102)、地震の揺れが地震感知器16によって感知される。地震感知部17は、地震感知器16によって感知された建築物の揺れが所定値を超えた場合に動作し(ステップS103)、制御盤8に対して地震発生情報を出力する。なお、地震感知部17が動作しない場合には、そのまま通常運転が継続される。
制御盤8では、地震感知部17からの地震発生情報に基づいて、地震時管制運転を開始し(ステップS104)、例えば、最寄り階停止後に戸開動作を実施して、かご1内の乗客を救出する。なお、上記地震時管制運転は、運転制御部20で制御しても良いし、制御盤8内の他の手段によって制御しても良い。そして、かご1内の乗客を最寄り階に降ろして戸閉動作及びかご1内消灯を実施した後、余震対策のためにかご1をその乗場に数分程度停止させ、運転休止の状態を継続する。
また、制御盤8では、運転休止状態としてから所定時間経過した後、エレベータの運転を再開させるために自動的に診断運転を開始する。即ち、運転制御部20により、診断区間設定部19によって予め設定された診断区間のみ、診断運転が実施される(ステップS105)。なお、上記診断区間は、上述の通り、診断区間設定部19によって地震発生前に予めエレベータの全昇降行程の一部に限定して設定されている。そして、上記診断運転において、異常検出部21によって何らかの異常が検出されると(ステップS106)、異常情報が異常検出部21から運転制御部20に対して出力され、診断運転を中止する等の適切な措置が取られる(ステップS107)。また、診断運転において何ら異常が発見されない場合には、上記診断区間の診断運転が完了した後、全昇降行程の一部、例えば、診断運転によって異常が検出されなかった上記診断区間内の所定の範囲(診断区間全体を含む)に限定してエレベータの運転が再開される(ステップS108)。
この発明の実施の形態1によれば、所定の規模の地震が発生した場合でも、地震時管制運転後に、エレベータの全昇降行程の一部に限定して設定された診断区間のみ診断運転が実施されるため、診断運転に必要な時間を大幅に短縮させることができ、通常運転への復帰を早期に実現することができる。また、診断運転で異常が発見されない場合には、全昇降行程の一部、例えば、診断運転によって安全が確認された診断区間内の所定の範囲に限定してエレベータの運転が再開されるため、運転再開後の不具合等を確実に防止することが可能となる。
なお、上記診断区間を、エレベータの全昇降行程のうち、地震によって被害を受け易い所定の一部の範囲に設定することにより、場合によっては、エレベータの全昇降行程に渡って運転を再開させることも可能である。
実施の形態2.
図3及び図4はこの発明の実施の形態2におけるエレベータの制御装置の動作を示すフローチャートである。なお、実施の形態2においては、制御盤8は、診断区間において実施された診断運転で異常が発見された場合に、診断区間を再設定する機能を有している。即ち、診断区間設定部19は、診断区間において実施された診断運転で何らかの異常が発見された場合に、診断運転を再実施する区間を、エレベータの全昇降行程のうち、上記異常が発見された位置を除く他の一部に限定して再設定する。なお、制御装置のその他の構成は、実施の形態1と同様である。
次に、図3及び図4に基づいて、上記構成を有するエレベータの制御装置の動作について説明する。なお、図3及び図4に示す制御装置の動作は、診断区間が、かご状態記憶部18によって記憶された地震発生時のかご1の状態に基づいて、地震発生後に設定される場合のものである。
図3において、ステップS201乃至S203は、図2におけるステップS101乃至S103の動作と同様であり、その説明は省略する。ステップS203において地震感知部17が動作し、制御盤8に地震発生情報が入力されると、かご状態記憶部18によって地震発生時のかご1の状態が記憶されるとともに(ステップS204)、制御盤8により地震時管制運転が開始される(ステップS205)。そして、地震時管制運転完了後、運転制御部20により、診断区間設定部19によって設定された診断区間のみ診断運転が実施される(ステップS206)。なお、診断区間は、上述の通り、地震発生時のかご1の状態に基づいて、診断区間設定部19によって地震発生後にエレベータの全昇降行程の一部に限定して設定される。
そして、上記診断運転において何ら異常が発見されない場合には(ステップS207)、上記診断区間の診断運転が完了した後、全昇降行程の一部に限定してエレベータの運転が再開される(ステップS208)。また、診断運転において何らかの異常が検出されると(ステップS207)、診断区間の再設定が可能か否かが判断される(ステップS209)。ここで、診断区間の再設定が可能である場合には、診断区間設定部18によって、診断運転を再実施する区間が、エレベータの全昇降行程のうちの上記異常が発見された位置を除く他の一部に限定して再設定され、再設定された診断区間のみ診断運転が実施される(ステップS206)。一方、診断区間の再設定ができない場合には、診断運転の中止等といった適切な措置が取られる(ステップS210)
ここで、図4は図3におけるステップ206の動作を具体的に示したものである。なお、以下においては、建築物に1台のエレベータのみが設置されている場合について説明する。図4において、診断区間設定部19における診断区間設定機能では、先ず、診断区間の設定が再設定であるか否かが判定される(ステップS301)。ここで、診断区間の設定が初めてである場合、即ち、図2においてステップS205からステップS206に進んだ場合には、次に、建築物内にエレベータが複数台設置されているか否かが判定される(ステップS302)。そして、建築物に1台のエレベータしか設置されていない場合には、かご状態記憶部18によって地震発生時に記憶されたかご1の状態情報に基づいて診断区間が設定され(ステップS303)、設定された診断区間のみ診断運転が開始される(ステップS304)。
一方、診断区間の設定が再設定である場合、即ち、図2においてステップS209からステップS206に進んだ場合には(ステップS301)、エレベータが複数台設置されているか否かが判断された後(ステップS305)、かご状態記憶部18によって地震発生時に記憶されたかご1の状態情報、及び、診断運転によって異常が発見された位置情報に基づいて、診断区間が、エレベータの全昇降行程のうち、上記異常が発見された位置を除く他の一部に限定して再設定される(ステップS306)。
この発明の実施の形態2によれば、最初に設定された診断区間における診断運転で異常が発見された場合でも、診断区間が再設定されて再度の診断運転が実施されるため、可能な範囲でエレベータの復旧を早期に実現することができ、エレベータのサービス低下を防止することが可能となる。したがって、例えば、制御ケーブル9の一部が昇降路2内の突起物に引っ掛かった場合であっても、制御ケーブル9が正常にかご1の昇降に追従できる範囲内でエレベータを復帰させることが可能となる。
なお、エレベータが同一建築物内に複数台並設されて群管理制御されている場合や、群管理制御されていない複数台のエレベータが建築物内の少し離れた場所に設置されている場合等には、運転再開後に上記複数台のエレベータを乗り継ぐことによって全昇降行程を移動することができるように、診断区間及び復旧区間が設定されるように構成しても良い。即ち、複数台のエレベータが設置されている場合、各エレベータの診断区間設定部19は、運転再開時に上記複数台のエレベータによって全昇降行程を昇降することができるように、地震時管制運転後に診断運転する区間を、全昇降行程の一部に限定して設定する。
また、群管理制御されている場合等、上記複数台のエレベータが通信可能な状態にある場合には、診断区間の再設定の際にも上記機能を有するように構成しても良い。即ち、各エレベータの診断区間設定部19は、地震時管制運転後に実施された診断運転において複数台のエレベータの少なくとも1台のエレベータに異常が発見された場合に、運転再開時に、異常が発見されたエレベータを除く他の複数のエレベータによって全昇降行程を昇降することができるように、診断運転を実施する診断区間を再設定する。
次に、建築物に複数台のエレベータが設置されている場合の動作について説明する。図4において、建築物に設置された複数台のエレベータにおいて最初の診断区間の設定が行われる場合には、先ず、各エレベータのかご状態記憶部18に記憶されたかご1の状態情報が、群管理制御盤等に集約される(ステップS305)。そして、群管理制御盤等では、運転再開後に上記複数台のエレベータを乗り継いで全昇降行程を移動することができるように、各エレベータに診断区間を分担させるか否かを判定する(ステップS306)。
なお、ステップS306において各エレベータに診断区間を分担させない場合には、各エレベータの診断区間設定部19により、各かご状態記憶部18内のかご1の状態情報に基づいて診断区間がそれぞれ設定され(ステップS307)、各エレベータにおいて、別個独立に、設定された診断区間のみ診断運転が開始される(ステップS304)。一方、ステップS306において各エレベータに診断区間を分担させる場合には、各エレベータでは、自己のエレベータのかご1の状態情報及び他のエレベータのかご1の状態情報に基づいて、運転再開後に上記複数台のエレベータによって全昇降行程を移動することができるように、診断区間が上記全昇降行程の一部に限定して設定される(ステップS308)。なお、ステップS308における診断区間の設定は、各エレベータにおける診断区間設定部19で実施しても良いし、群管理制御盤等に備えられた診断区間設定部19と同様の機能によって実施しても良い。
また、上記複数台のエレベータで実施された診断運転において、少なくとも1台のエレベータに異常が発見された場合には、異常が発見されなかった正常なエレベータのかご1の状態情報が、群管理制御盤等に再度集約される(ステップS309)。そして、運転再開時に、異常が発見されたエレベータを除く他のエレベータを乗り継ぐことによって全昇降行程を昇降することができるように、上記正常な各エレベータの診断区間が、全昇降行程の一部に限定して再設定される(ステップS310)。
上記構成を有することにより、所定の規模の地震が発生した場合でも、エレベータの全昇降行程に渡って、早期に且つ安全にエレベータの運転を再開させることが可能となる。また、診断区間の再設定機能により、一部のエレベータに異常が発見された場合でも、全昇降行程に渡る早期の運転再開が可能となる。
この発明の実施の形態1におけるエレベータの制御装置の全体構成図である。 この発明の実施の形態1におけるエレベータの制御装置の動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2におけるエレベータの制御装置の動作を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2におけるエレベータの制御装置の動作を示すフローチャートである。
符号の説明
1 かご、 2 昇降路、 3 釣合い重り、 4 主ロープ、 5 駆動綱車、
6 機械室、 7 そらせ車、 8 制御盤、 9 制御ケーブル、 10 調速機、
11 張り車、 12 調速機ロープ、 13 かご連結部、 14 かご内マイク、
15 かご加速度計、 16 地震感知器、 17 地震感知部、
18 かご状態記憶部、 19 診断区間設定部、 20 運転制御部、
21 異常検出部、 22 かご位置記憶部、 23 運行状態記憶部

Claims (12)

  1. エレベータの地震時管制運転後に診断運転を実施する区間を、エレベータの全昇降行程の一部に限定して設定する診断区間設定部と、
    地震時管制運転が実施された後、前記診断区間設定部によって設定された診断区間のみ診断運転を実施し、前記診断区間において実施された診断運転で異常が発見されなかった場合に、全昇降行程の一部に限定してエレベータの運転を再開させる運転制御部と、
    を備えたことを特徴とするエレベータの制御装置。
  2. 地震発生時のエレベータのかごの状態を記憶するかご状態記憶部と、
    前記かご状態記憶部によって記憶された前記かごの状態に基づいて、地震時管制運転後に診断運転を実施する区間を、エレベータの全昇降行程の一部に限定して設定する診断区間設定部と、
    地震時管制運転が実施された後、前記診断区間設定部によって設定された診断区間のみ診断運転を実施し、前記診断区間において実施された診断運転で異常が発見されなかった場合に、全昇降行程の一部に限定してエレベータの運転を再開させる運転制御部と、
    を備えたことを特徴とするエレベータの制御装置。
  3. 運転制御部は、診断区間において実施された診断運転で異常が発見されなかった場合に、前記診断区間内の所定の範囲に限定してエレベータの運転を再開させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエレベータの制御装置。
  4. 診断区間設定部は、診断区間において実施された診断運転で異常が発見された場合に、診断運転を再実施する区間を、エレベータの全昇降行程のうち、前記異常が発見された位置を除く他の一部に限定して再設定することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載のエレベータの制御装置。
  5. 診断区間設定部は、エレベータが複数台設置されている場合に、運転再開時に前記複数台のエレベータによって全昇降行程を昇降することができるように、地震時管制運転後に診断運転を実施する区間を、前記全昇降行程の一部に限定して設定することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載のエレベータの制御装置。
  6. 診断区間設定部は、地震時管制運転後に実施された診断運転において複数台のエレベータの少なくとも1台のエレベータに異常が発見された場合に、運転再開時に、異常が発見されたエレベータを除く他のエレベータによって全昇降行程を昇降することができるように、診断運転を実施する診断区間を再設定することを特徴とする請求項5に記載のエレベータの制御装置。
  7. エレベータの地震時管制運転後に診断運転を実施する区間を、エレベータの全昇降行程の一部に限定して設定するステップと、
    地震時管制運転が実施された後、設定された診断区間のみ診断運転を実施するステップと、
    前記診断区間において実施された診断運転で異常が発見されなかった場合に、全昇降行程の一部に限定してエレベータの運転を再開するステップと、
    を備えたことを特徴とするエレベータの制御方法。
  8. 地震発生時のエレベータのかごの状態を記憶するステップと、
    記憶された前記かごの状態に基づいて、地震時管制運転後に診断運転を実施する区間を、エレベータの全昇降行程の一部に限定して設定するステップと、
    地震時管制運転が実施された後、設定された診断区間のみ診断運転を実施するステップと、
    前記診断区間において実施された診断運転で異常が発見されなかった場合に、全昇降行程の一部に限定してエレベータの運転を再開するステップと、
    を備えたことを特徴とするエレベータの制御方法。
  9. 診断区間において実施された診断運転で異常が発見されなかった場合に、前記診断区間内の所定の範囲に限定してエレベータの運転を再開するステップを備えたことを特徴とする請求項7及び請求項8に記載のエレベータの制御方法。
  10. 診断区間において実施された診断運転で異常が発見された場合に、診断運転を再実施する区間を、エレベータの全昇降行程のうち、前記異常が発見された位置を除く他の一部に限定して再設定するステップを備えたことを特徴とする請求項7から請求項9の何れかに記載のエレベータの制御方法。
  11. エレベータが複数台設置されている場合に、運転再開時に前記複数台のエレベータによって全昇降行程を昇降することができるように、地震時管制運転後に診断運転を実施する区間を、前記全昇降行程の一部に限定して設定するステップを備えたことを特徴とする請求項7から請求項10の何れかに記載のエレベータの制御方法。
  12. 地震時管制運転後に実施された診断運転において複数台のエレベータの少なくとも1台のエレベータに異常が発見された場合に、運転再開時に、異常が発見されたエレベータを除く他のエレベータによって全昇降行程を昇降することができるように、診断運転を実施する診断区間を再設定するステップを備えたことを特徴とする請求項11に記載のエレベータの制御方法。
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