JP2008093511A - リンサー排水回収システム及びリンサー排水回収方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】UHT殺菌機3からのリンサー水は、途中で分岐してボトルリンサー2b及びキャップリンサー2eに供給される。ボトルリンサー2bからのリンサー排水及びキャップリンサー2eからのリンサー排水は、いったん仕上げ洗浄機2gで合流して仕上げ洗浄に用いられる。仕上げ洗浄機2gからの仕上げ排水は、回収装置4にまとめて回収され、所定の処理が施された後にUHT殺菌機3に戻される。
【選択図】図1
Description
特許文献1に開示されている方法は、倒立して移動中の容器に対して下方から容器内部に、上部及び側部から容器外部に殺菌剤溶液を供給して容器の全面を殺菌するものである。具体的には、殺菌剤溶液として先ず次亜塩素水溶液を供給し、次に水酸化ナトリウム水溶液を供給して殺菌処理した後、無菌水を供給して殺菌剤溶液を洗い流すものである。
特許文献2に開示されている方法は、容器の口部外周に形成されたネジ山部またはこれに螺合するキャップのネジ山部の少なくとも一方に縦方向複数箇所にベントスリットを有し、容器内に内容液を充填してキャップを被冠締着したのち容器のネックサポート部とキャップの下端との間の間隙に向け圧力洗浄水を噴射し、ベントスリットを通じて洗浄水を容器口部とキャップとの嵌合面全域に行きわたらせて間隙から流出させることにより容器口部外周部とキャップ内面との間に残存する内容液を洗い落すようにしている。
また、容器としてPETボトルを用いて充填する場合には、PETボトルを洗浄することにより、PETボトルの製造時に発生するカスを取り除くことができるが、そのまま洗浄水を再使用すると、カスを含んだ洗浄水で後続のPETボトルを洗浄することになり、好ましくない。
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る充填封入設備(充填設備)1Aを示す概略構成図である。
まず、図1の充填封入設備1Aにおける容器搬送系について説明する。ここにいう容器とは、ボトル(充填用容器)及びボトルのビン口部に取り付けられるキャップ(栓部材)をいう。なお、図1に示す充填封入設備1Aは、無菌充填(アセプティック充填)ラインに配置されるものである。
図1に示すように、充填封入設備1Aは、ボトルの搬送方向に沿って順に、ボトル滅菌機(空ビン殺菌機)2aと、ボトルリンサー(空ビン洗浄機、プレリンサー、第1のリンサー)2bと、フィラー(充填機、注入機)2cと、を備えている。このボトル滅菌機2aは、充填前のボトル(例えばPETボトル)を殺菌処理するために殺菌剤をかけてボトル自体を滅菌する機械である。ボトルリンサー2bは、ボトル滅菌機2aにより殺菌剤で殺菌処理されたボトルをリンサー水(ボトルリンサー水)で洗浄して殺菌剤を洗い流す機械である。これらボトル滅菌機2a及びボトルリンサー2bによって空ビン洗浄工程が行われる。
ここにいう殺菌剤とは、菌が発生しないようにするための薬品をいい、例えば、次亜塩素酸ソーダ、過酸化水素(過水)又は過酢酸等をいう。付言すると、本実施の形態のように無菌充填の場合には、過酢酸を過酸化水素と併用して用いたり、過酸化水素のみを用いたりする。
なお、本実施の形態の充填封入設備1Aは、上述したように、無菌充填であり、ボトル及びキャップの滅菌から、リンサー、充填及びキャップ締めまでは、無菌雰囲気が保たれた中で行われる。そのため、キャップ締めの後における殺菌工程はない。
図1に示すように、充填封入設備1Aは、UHT殺菌(Ultra High Temperature sterilization)機3と回収装置4とを備えている。このUHT殺菌機3は、供給される補給水について加熱殺菌して無菌水を作り出す加熱殺菌機である。すなわち、本実施の形態では、リンサー水として無菌水を用いている。したがって、UHT殺菌機3を無菌水製造機ということもできる。無菌水がUHT殺菌機3から流れ出るときには、摂氏20〜50度ぐらいになるように冷却される。ここにいう無菌水とは、加熱殺菌機を通して殺菌された水をいい、次亜塩素酸ソーダ等を添加しただけの水や上水を含まない。
回収装置4は、キャップリンサー2e及びボトルリンサー2bから排出されたリンサー排水を回収して再利用できるように処理する装置である。回収装置4の構成については後述する。
なお、仕上げ洗浄機2g及び回収装置4に補給水が供給されるように構成されている。
図2に示すように、回収装置4は、仕上げ洗浄機2gからの仕上げ排水中に含まれる殺菌剤を分解する活性炭塔41と、仕上げ排水中に混入する濁質や異物を除去するフィルター42と、仕上げ排水中のイオンを除去するイオン交換処理器43と、を有する。
また、回収装置4は、仕上げ排水の一部がドレンから外に排出され、かつ、UHT殺菌機3に供給するのに必要な量が不足するときには、補給水が供給されるように構成されている。
このようにして、回収装置4は、仕上げ排水中の殺菌剤や濁質、異物を排除し、飲料適合水並みの水とするように処理する。
また、本実施の形態では、リンサー排水を仕上げ洗浄機2gに更に通した後に回収装置4で回収される構成であり、過酸化物分解処理の後にイオン交換処理を行っている。このように、回収装置4の内部の洗浄工程を強化することで、仕上げ排水に含まれ得る製品液による回収装置4内の閉塞や菌増殖を抑制し、ユーザによる回収装置4の内部洗浄の頻度を減らしてユーザの手間を軽減している。
すなわち、フィラー2cにおいては、外気に直接触れる雰囲気で充填されるように構成されている。そして、ボトルリンサー2b及びキャップリンサー2eでの洗浄用水として用いるのは無菌水ではなく、飲料適合水である。また、製品液を充填してキャップ締めした後に、外面から加熱して中身まで殺菌を行う。付言すると、炭酸飲料等の場合には、殺菌する温度までは加熱しない。また、図1におけるUHT殺菌機3を省略することが可能である。
図3は、第2の実施の形態に係る充填封入設備1Bを示す概略構成図である。なお、本実施の形態に係る充填封入設備1Bにおける容器搬送系及び流路系については、上述した第1の実施の形態に係る充填封入設備1Aと同じであれば、同じ符号を用い、その説明を省略する。
図3に示すように、充填封入設備1Bは、2つの回収系を備えている。第1の回収系は、仕上げ洗浄機2gからの仕上げ排水を回収装置4(第2リンサー処理部)に導く回収配管(第2リンサー回収路)55と、回収装置4からの処理水を仕上げ洗浄機2gに導く配管57と、で構成されている。第2の回収系は、ボトルリンサー2bからのリンサー排水を回収装置(第1リンサー処理部)7に導く回収配管(第1リンサー回収路)58と、回収装置7からの処理水をUHT殺菌機3に導く配管56と、UHT殺菌機3からのリンサー水をボトルリンサー2bに導く供給配管51と、で構成されている。
すなわち、充填封入設備1Bは、ボトルリンサー2bからのリンサー排水を回収する回収装置7を備えている。
ここで、回収装置4においては、殺菌剤の添加や加熱等により循環系内を殺菌雰囲気が保てるように構成する。更に説明すると、回収装置4の循環系補給水として、比較的高濃度の殺菌剤が含まれるキャップリンサー2eからのリンサー排水を使用することで、殺菌雰囲気を保つことが可能である。
図4に示すように、回収装置7は、ボトルリンサー2bからの仕上げ排水中に含まれる殺菌剤を分解する活性炭塔71と、仕上げ排水中に混入する濁質や異物を除去するフィルター72と、を有する。すなわち、回収装置7は、回収装置4が有するイオン交換処理器43(図2参照)に相当する構成を有さない。
処理水への生菌流出は、回収装置4に比べて回収装置7では少ない。また、熱水殺菌を行うべき頻度は、回収装置4に比べて回収装置7では少なくて済む。なお、活性炭塔71(図4参照)では塔内での細菌の繁殖を抑制するために、熱水殺菌(60〜90℃)が定期的に行われる。
また、回収装置の閉塞は、回収装置4では製品液の混入等によりしばしば発生するが、回収装置7では少ない。また、回収装置の充填剤の抜出洗浄は、回収装置4では必要であるが、回収装置7では不要である。すなわち、回収装置7では、製品液の持込がなくなるため、洗浄などの手間も減る。
また、排水量は、回収装置4に比べて回収装置7では少ない。
図5に示すように、回収装置7は、使用される殺菌剤の種類と循環系内に補給される補給水の種類により、回収装置4よりも簡素化することができ、コスト効果が非常に大きくなる。
すなわち、回収装置4では、殺菌剤が過酸化水素であっても過酢酸であっても、また、補給水が純水であっても上水であっても、閉塞対策仕様の、過酸化物分解処理(AC')、イオン交換処理(IE')(残留ガス放散処理を含む)及びフィルターろ過(カートリッジフィルター)(F')の構成が必要になる。この過酸化物分解処理(AC')では、閉塞対策として空気洗浄機能付きのものを用いるが、充填物の増量が必要となる。また、イオン交換処理(IE')では、閉塞対策として逆流洗浄とイオン交換樹脂の再生を強化したタイプのものを用いるが、再生用薬品量が多くなり、排水量も増加する。また、フィルターろ過では、閉塞対策として標準サイズよりも大型のカートリッジフィルターが必要となるが、カートリッジの交換頻度は多くなる。
なお、ここにいう再生について説明すると、イオン交換装置は水に含まれるイオン類を除去して処理水(脱塩水、純水)にするが、その能力は一定のイオン量までしか取れないことから、ある程度の量を通水させると薬品(塩酸、苛性ソーダ等)を使って再びイオン類を除去できるようにする操作を再生という。
また、ボトルリンサー2bの場合に比べて酸化剤濃度の高いキャップリンサー2eからのリンサー排水を充填後の仕上げ洗浄機2gに供給することにより、清浄性を向上させることが可能になる。
なお、本実施の形態では、回収装置では熱水殺菌処理を行い、回収装置以外の装置であるUHT殺菌機3では、加熱殺菌処理を行っているが、これに限られるものではないことを付言しておく。
図6は、第3の実施の形態に係る充填封入設備1Cを示す概略構成図である。なお、本実施の形態に係る充填封入設備1Cの構成は、上述した第2の実施の形態に係る充填封入設備1Bとほぼ同じであるので、同じ符号を用いると共に、その説明を省略する。
図6に示すように、充填封入設備1Cは、バイパス路(迂回路)81を備えている。このバイパス路81は、配管54の中間部と回収配管58の中間部とを接続するように配設されている。そして、配管54には、自動弁82が配置され、また、バイパス路81には、自動弁83が配置されている。この自動弁82,83は、図示しない制御部により開閉が制御されている。すなわち、仕上げ洗浄機2gが作動しているときには、図示しない制御部により自動弁82が開かれる一方で、自動弁83が閉じられる。また、仕上げ洗浄機2gが作動していないときには、図示しない制御部により自動弁82が閉じられる一方で、自動弁83が開けられる。なお、自動弁82,83に代えて、両弁と同様の機能を有する自動3方弁を用いてもよい。
このように、本実施の形態では、バイパス路81を備えているので、仕上げ洗浄機2gが停止している状態であっても、キャップリンサー2eからのリンサー排水を再利用を効率よく行うことが可能になる。
図7は、第4の実施の形態に係る充填封入設備1Dを示す概略構成図である。なお、本実施の形態に係る充填封入設備1Dの構成は、上述した第3の実施の形態に係る充填封入設備1Cとほぼ同じであるので、同じ符号を用いると共に、その説明を省略する。
図7に示すように、充填封入設備1Dは、充填封入設備1Cが備える回収装置4を備えていない。すなわち、キャップリンサー2eからのリンサー排水が仕上げ洗浄機2gに供給され、再利用される。そして、仕上げ洗浄機2gからの仕上げ排水は、そのまま排出される。その一方で、ボトルリンサー2bからのリンサー排水は回収装置7で回収され、UHT殺菌機3に供給される。上述したように、キャップリンサー2eからのリンサー排水の量すなわち仕上げ洗浄機2gからの仕上げ排水の量は、ボトルリンサー2bからのリンサー排水の量よりもはるかに少ない。したがって、本実施の形態によれば、回収装置4を削除したとしても、水の循環量を十分に確保することができ、水の使用量の大幅な削減を実現することができる。更には、回収装置4を設置しないことによるコスト削減を実現することもできる。
Claims (6)
- 充填用容器に製品液を充填して栓部材で閉栓する充填設備に設けられるリンサー排水回収システムであって、
製品液が充填される前の充填用容器を洗浄する第1のリンサーに接続する経路と栓部材を洗浄する第2のリンサーに接続する経路とに分岐して当該第1のリンサー及び当該第2のリンサーにリンサー水を供給する供給路と、
第1のリンサーで充填用容器の洗浄に用いられるリンサー水をリンサー排水として回収する第1リンサー回収路と、
前記第1リンサー回収路により回収されるリンサー排水をリンサー水として再使用するための処理を行う第1リンサー処理部と、
を含むリンサー排水回収システム。 - 第2のリンサーで栓部材の洗浄に用いられたリンサー水をリンサー排水として回収する第2リンサー回収路と、
前記第2リンサー回収路により回収されるリンサー排水を処理する第2リンサー処理部と、
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のリンサー排水回収システム。 - 前記第2リンサー回収路の途中に配置され、製品液が充填された後の充填用容器を洗浄する洗浄部を更に含むことを特徴とする請求項2に記載のリンサー排水回収システム。
- 前記第2リンサー回収路における前記洗浄部の上流側の位置から前記洗浄部を迂回して前記第1リンサー処理部に導く迂回路を更に含むことを特徴とする請求項3に記載のリンサー排水回収システム。
- 洗浄に用いられるリンサー水の経路を分岐して、ボトルを洗浄するボトルリンサーと当該ボトルのキャップを洗浄するキャップリンサーの各々に供給し、当該ボトルリンサーのリンサー排水を回収して循環用に処理することを特徴とするリンサー排水回収方法。
- 洗浄に用いられるリンサー水の経路を分岐して、ボトルを洗浄するボトルリンサーと当該ボトルのキャップを洗浄するキャップリンサーの各々に供給し、当該ボトルリンサーのリンサー排水を回収して循環用に処理すると共に、当該キャップリンサーのリンサー排水を回収することを特徴とするリンサー排水回収方法。
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