JP2008091207A - 固体高分子形燃料電池用接着層、バイポーラプレート用部材、バイポーラプレート積層体、セル構造体および固体高分子形燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷媒等をリークさせず、速やかに流動できる固体高分子形燃料電池の提供
【解決手段】 平均粒径25μm以下であり、かつ全粒子の50体積%以上が粒径5μm以上の粒子である導電性微粒子粉を、8〜35体積%含有することを特徴とする固体高分子形燃料電池用接着層を有し、アノード対向プレート1-1およびカソード対向プレート1-2で中間プレート1-3を挟持し、当接する。
【選択図】 図2
【解決手段】 平均粒径25μm以下であり、かつ全粒子の50体積%以上が粒径5μm以上の粒子である導電性微粒子粉を、8〜35体積%含有することを特徴とする固体高分子形燃料電池用接着層を有し、アノード対向プレート1-1およびカソード対向プレート1-2で中間プレート1-3を挟持し、当接する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、固体高分子形燃料電池に係わるもので、特に、固体高分子形燃料電池用接着層、バイポーラプレート(セパレータとも呼ばれる)用部材、バイポーラプレート積層体およびセル構造体および燃料電池に関する。
固体高分子形燃料電池は、高分子電解質膜の両面にアノード電極およびカソード側電極が積層された膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly)を、酸化剤ガスまたは燃料ガスを流動させるためのガス流路を備えたバイポーラプレートで挟むことで構成される。このような構成の一単位はセルと呼ばれる。単セルの燃料電池もあるが、実用的には、単セルを多数積層した燃料電池(燃料電池スタック)が用いられる。一方、各セル間には、発熱を抑制するために冷却水等の冷媒が、導入または排出(以下、これらを併せて「流通」という。)される。
したがって、燃料電池スタックを正常に動作させるためには、酸化剤ガス、燃料ガスおよび冷媒を漏らすことなく、速やかに流動させることが重要である。例えば、特許文献1〜3には、シール構造に関する様々な提案がなされている。また、特許文献4では、電極内での反応ガスの流量を均一化するための構成について提案されている。他方、特許文献6から9には、燃料電池用金属セパレータ表面に貴金属めっきすることが提案されている。特許文献10には、バイポーラプレート用部材の化学組成を特定した燃料電池の発明が提案されている。また、特許文献11および12には、燃料ガス等の流路を改善した燃料電池の発明が提案されている。
酸化剤ガス、燃料ガスおよび冷媒の流路などのシール構造には、例えば、ゴム製のOリング、ガスケット、一筆書き様の線状または帯状シールが用いられている。これは、シート状(面状)のシール材では、互いに当接する面積が広いために、締め付け荷重一定の条件では単位面積当たりの負荷加重が小さくなり、締め付けの機構が大掛かりになると考えられてきたことを理由とする。また、シート状(面状)のシール材では、均一に連続して当接することが難しいために、酸化剤ガスおよび燃料ガスを高圧で流動させたような場合に当接不十分な箇所から漏れが起きやすい、その結果、位置ズレを生じやすいなどとも考えられてきた。
しかし、シール材をシート状にすると、シール性能向上のために必要となるゴム製Oリング嵌め込み用の勘合溝が不要になるばかりでなく、シール材自体の厚みを利用した構成部材としての積極的な活用、素材強度を利用した強度部材としての活用、流路用の溝を設けるための構造部材としての活用が可能となる。位置ズレの問題については、シール材に接着機能を持たせることで解決できる。特に、シール材により流路用の溝を設けることは流路設計の自由度を大幅に高めることが可能となる。このことは、バイポーラプレート部材の基体厚みが薄い金属箔または射出成形された薄物のカーボン製バイポーラプレートのような場合には得がたいメリットである。
本発明は、シート状シール材を用いるバイポーラプレート用部材、バイポーラプレート積層体、ならびにセル構造体の部材に関するものであり、バイポーラプレート用部材の少なくとも片面に、導電性微粒子粉を含む接着層を有することで、良好な接触抵抗と導電性を有し、酸化剤ガス、燃料ガスおよび冷媒を漏らすことなく、速やかに流動させることのできる固体高分子形燃料電池を提供することを主たる目的としている。
本発明は、下記の(1)に示す固体高分子形燃料電池用接着層、下記の(2)に示すバイポーラプレート用部材、下記の(3)に示すバイポーラプレート積層体、下記の(4)に示すセル構造体および下記の(5)に示す燃料電池を要旨とする。
(1)平均粒径が25μm以下であり、かつ全粒子の50体積%以上が粒径5μm以上の粒子である導電性微粒子粉を、8〜35体積%含有する固体高分子形燃料電池用接着層。
上記導電性微粒子粉としては、導電性金属化合物粉、ステンレス鋼粉、合金鋼粉、Ni粉、Cu粉、貴金属粉、貴金属をめっきした金属粉、導電性金属をめっきした樹脂製粉およびカーボン粉から選択される1種以上が挙げられる。また、上記の接着層は、芳香族系炭化水素樹脂、ロジン系炭化水素樹脂およびテンペン系炭化水素樹脂から選択された少なくとも1種のタッキファイアーを含有することが望ましい。
(2)酸化剤ガス、燃料ガスおよび冷媒の流路を有し、少なくとも一方の面に接着層を有する固体高分子型燃料電池のバイポーラプレート用部材であって、接着層として、上記(1)の接着層を有し、接着層の厚さが20〜70μmである固体高分子型燃料電池のバイポーラプレート用部材。
上記バイポーラプレート用部材の基体は、ステンレス鋼、高合金鋼、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミ合金またはこれらのクラッドからなることが望ましい。また、 ステンレス鋼は、表面に導電性のM23C6型、M4C型、M2C型およびMC型の炭化物系金属化合物ならびにM2B型の硼化物系金属化合物のうちの1種以上が露出しているステンレス鋼であることが望ましい。ただし、Mは、炭化物もしくは硼化物を形成する金属元素である。
バイポーラプレート用部材は、その最大肉厚部の厚みが0.20mm以下であり、かつ、流路は、抜き加工またはエッチング加工により形成されたものがよい。第1の面および第2の面の少なくとも一方の面には、平均厚さが100nm以下であり、面積被覆率が10〜90%である、金または金合金などの貴金属めっきを施されているのが望ましい。
(3)上記(2)のバイポーラプレート用部材をアノード対向プレート、カソード対向プレートおよび中間プレートとして用い、アノード対向プレートおよびカソード対向プレートで中間プレート挟持し、当接したことを特徴とするバイポーラプレート積層体。
上記(1)の接着層を有し、その接着層の厚さは20〜70μmとするのがよい。
(4)固体高分子形燃料電池のセル構造体であって、接着層を介して、上記(3)のバイポーラプレート積層体と、膜電極接合体とを積層したセル構造体。
上記のセル構造体は、接着層を介して、複数枚積層するのがよい。また、接着層としては、芳香族系炭化水素樹脂、ロジン系炭化水素樹脂およびテンペン系炭化水素樹脂から選択された少なくとも1種のタッキファイアーを含有し、厚さが20〜70μmである接着層がよい。
(5)上記(2)に記載のバイポーラプレート用部材、上記(3)に記載のバイポーラプレート積層体、上記(4)に記載のセル構造体のうちの1種以上で構成されることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
なお、膜電極接合体とは、MEA(Membrane Electrode Assembly)とも呼ばれる膜−電極一体構造体のことであり、通常は、フッ素系または芳香族系高分子膜の両面にカーボン微粉末に白金系触媒を担持させた触媒層を塗布した後に、カーボンペーパあるいはカーボンクロスを張り合わせたものである。ガスケットを一体化した膜電極接合体も製品化されており、本発明の主旨からすれば、ガスケット一体型膜電極接合体を適用することが好ましい。
本発明によれば、酸化剤ガス、燃料ガスおよび冷媒を漏らすことなく、速やかに流動させることができる膜電極接合体を用いた固体高分子形燃料電池を提供することができる。また、本発明によれば、量産性を確保しつつ、燃料電池の軽量化および小型化も実現可能である。
本発明は、固体高分子形燃料電池用接着層と、この接着層を介して構成されるバイポーラプレート部材、バイポーラプレート積層体、セル構造体、および、これらの部材を構成部材とする固体高分子形燃料電池に関するものである。
(1)固体高分子形燃料電池用接着層について
本発明の接着層には、8〜35体積%の導電性微粒子粉を含有する接着剤を用いる。導電性微粒子粉を含む接着剤であれば、バイポーラプレート部材の接触抵抗を下げ、十分な電気伝導性を与えるからである。
本発明の接着層には、8〜35体積%の導電性微粒子粉を含有する接着剤を用いる。導電性微粒子粉を含む接着剤であれば、バイポーラプレート部材の接触抵抗を下げ、十分な電気伝導性を与えるからである。
しかし、焼成後の接着層中に含まれる導電性微粒子粉が体積率で8%未満では、このような効果が得られない。一方で、その体積率が35%を超えると、接着力が不十分となり、シール性に悪影響を及ぼす。
なお、導電性微粒子を接着層内に均一に分散させるためには、導電性微粒子と接着層を形成するための塗料は、バイポーラプレート部材に塗装される前の段階で予め均一に混合されているのがよい。
導電性微粒子粉としては、平均粒径が25μm以下であり、かつ全粒子の50体積%以上が粒径5μm以上の粒子であるものを用いる。平均粒径が25μmを超える粒子粉では、バイポーラプレート用部材同士を貼り合わせるときに、バイポーラプレート用部材の形状を変形させる。一方、粒径が5μm未満の微小粒子が多数存在すると、バイポーラプレートの導電性を確保することができない。よって、平均粒径が25μm以下であり、かつ全粒子の50体積%以上が粒径5μm以上の粒子であるものを用いることとした。接着層に導電性を付与する理由については、後段で説明する。
導電性微粒子粉は、入手し易く、安価であり、しかも、燃料電池環境に曝されても溶出しないものが望ましい。また、導電性微粒子粉には、耐酸化性を有し、溶出しても、膜電極接合体性能に悪影響を及ぼさないものが望ましい。導電性微粒子粉は、上記の特性を満たすものであれば、特に制限はないが、例えば、導電性金属化合物粉、ステンレス鋼粉、合金鋼粉、Ni粉、Cu粉、貴金属粉、貴金属をめっきした金属粉、導電性金属をめっきした樹脂製粉およびカーボン粉から選択される1種以上を用いることができる。
また、導電性金属化合物粉としては、炭化物(例えば、クロム炭化物、シリコン炭化物、タングステン炭化物、チタン炭化物など)、硼化物(クロム硼化物、チタン硼化物、ジルコニウム硼化物など)、窒化物(チタン窒化物、ジルコニム窒化物など)を用いることができる。
導電性微粒子としては、延性があるものよりは、硬質で変形能のないものがよい。ステンレス鋼粉または合金鋼粉は、市販されているアトマイズ粉を用いることができる。
導電性微粒子粉は、接着剤と混合する前に、表面に存在している高温酸化物皮膜、不動態皮膜、汚れ等を取り除くことが有効である。その方法には特に制限はないが、非酸化性ガス、例えばアルゴンガス、窒素ガスなど充満するか、充満した後に減圧排気したアトライター容器内に原料粉を装入して粉砕、整粒するのがよい。これにより、表面の酸化皮膜生成を防ぎながら、本発明の接着層に用いるのに好適な導電性微粒子粉を得ることができる。アルコールを少量アトライター容器内に加えておくことも一般的に行われている酸化防止のひとつである。
粉の形状も、ガスアトマイズ粉のように球形であるよりも、水アトマイズ粉のように不定形であることが望ましい。不定形である破砕されたアトマイズ粉のような形状でもよい。粉の形状については、Ni粉またはCu粉の場合も同様である。
貴金属粉は、接着層の接触抵抗および導電性の改善に有効であるが、極めて高価である。必要に応じて用いる。貴金属をめっきした金属粉は、耐食性に優れ、表面酸化皮膜による性能劣化の恐れもないが、高価であるので、必要に応じて用いる。
導電性金属をめっきした樹脂粉も高価であるが、入手可能であるので、必要に応じて用いる。樹脂粉には、樹脂が変形することで接触面積を増やす効果がある。この樹脂粉もカーボン粉も、電気抵抗が低く、導電性に優れたものであればよい。
導電性化合物粉は、種類も豊富であり調達も容易であるが、不純物管理は厳格に行う必要がある。好適な導電性化合物粒子としては、遷移金属元素の炭化物、窒化物、硼化物などがある。電気抵抗値としては、100Ωcm以下であるのが望ましい。また、導電性化合物粉の硬度は、硬過ぎないことが望ましいが、マイクロビッカース硬度で凡そ1000から3500程度である。いずれにしても、燃料電池内での耐食安定性にも配慮しつつ選択することが必要である。
接着層は、芳香族系炭化水素樹脂、ロジン系炭化水素樹脂およびテンペン系炭化水素樹脂から選択された少なくとも1種のタッキファイアーを含有することが望ましい。これらは、燃料電池内で反応することなく、溶出成分の少ない接着性能を有する樹脂系として数少ない樹脂系である。必要に応じて、シリコン系樹脂などのその他樹脂を含んでも良いが、タッキファイアー以外の樹脂の含有率は低いのが望ましい。芳香族系炭化水素樹脂、ロジン系炭化水素樹脂またはテンペン系炭化水素樹脂から選択された少なくとも1種のタッキファイアーを含有することは、本発明において非常に重要な要件のひとつである。
(2)バイポーラプレート用部材について
図1は、本発明に係るバイポーラプレート部材の一例を示す模式図であり、(a)はアノード対向プレートを、(b)はカソード対向プレートを、(c)は中間プレートをそれぞれ示している。
図1は、本発明に係るバイポーラプレート部材の一例を示す模式図であり、(a)はアノード対向プレートを、(b)はカソード対向プレートを、(c)は中間プレートをそれぞれ示している。
図1(a)に示すように、例えば、アノード対向プレート1-1は、基体5-1の少なくとも冷媒を流動させる面に接着層6-1を塗布して構成され、燃料ガスを流通するための燃料供給連結孔2-1、燃料排出連結孔2-2、燃料供給孔2-3および燃料排出孔2-4と、酸化剤ガスを流通するための酸化剤供給連結孔3-1および酸化剤排出連結孔3-2と、ならびに、冷媒を流通するための冷媒供給孔4-1および冷媒排出孔4-2とを有する。
図1(b)に示すように、例えば、カソード対向プレート1-2は、基体5-2の少なくとも冷媒を流動させる面に接着層6-2を塗布して構成され、燃料ガスを流通するための燃料供給連結孔2-1および燃料排出連結孔2-2と、酸化剤ガスを流通するための酸化剤供給連結孔3-1、酸化剤排出連結孔3-2、燃料供給孔3-3および燃料排出孔3-4と、ならびに、冷媒を流通するための冷媒供給孔4-1および冷媒排出孔4-2とを有する。
なお、図1に示すカソード対向プレート1-2およびカソード対向プレート1-2は、いずれも、正方形のプレートに接着層を塗布した後、抜き加工またはエッチング加工により、各種流路を形成した同一形状のものである。図では、カソード対向プレート1-2を90°回転させて、アノード対向プレート1-1の燃料ガス用流路を酸化剤ガス用流路として、酸化剤ガス用流路を燃料ガス用流路として利用している。これらのプレートの形状には特に制限はないが、同一形状とすることで、製造コストの低減に寄与する。
図1(c)に示すように、例えば、中間プレート1-3は、基体5-3に、燃料ガスを流通するための燃料供給櫛形孔2-5および燃料排出櫛形孔2-6と、酸化剤ガスを流通するための酸化剤供給櫛形孔3-5および酸化剤排出櫛形孔3-6、ならびに、冷媒を流通するための冷媒供給孔4-1、冷媒排出孔4-2および冷媒流動路4-3とを形成してなるものである。
中間プレートの燃料供給櫛形孔2-5、燃料排出櫛形孔2-6、酸化剤供給櫛形孔3-5および酸化剤排出櫛形孔3-6における櫛形状部は、アノード対向プレート1-1およびカソード対向プレート1-2に挟持されたとき、これらの対向プレートに形成された燃料供給孔2-3、燃料排出孔2-4、酸化剤供給孔3-3および酸化剤排出孔3-5に対応する位置となり、燃料ガスおよび酸化剤ガスの供給に寄与する。
このとき、中間プレートの厚さ、接着層の厚さ、流路の幅が、各セルへの燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷媒の導入、排出の流通に対して大きな影響を及ぼす。
なお、アノード対向プレート、カソード対向プレートおよび中間プレートは、いずれもバイポーラプレート用部材である。図1の例では、アノード対向プレートおよびカソード対向プレートに接着層を設ける場合について述べたが、アノード対向プレートおよびカソード対向プレートには接着層を設けず、中間プレートの両面に接着層を設けることもできる。また、アノード対向プレートおよびカソード対向プレートの膜電極接合体と接する側の面にも接着層を設けても良い。この場合、バイポーラプレート用部材と膜電極接合体とが一体化され、燃料ガス漏れの危険性が顕著に低減すると共に、燃料電池組み付け時の取り扱いが著しく改善する。
上記の燃料供給連結孔2-1、燃料排出連結孔2-2、燃料供給孔2-3、燃料排出孔2-4、燃料供給櫛形孔2-5および燃料排出櫛形孔2-6を燃料用流路と、酸化剤供給連結孔3-1、酸化剤排出連結孔3-2、燃料供給孔3-3、燃料排出孔3-4、酸化剤供給櫛形孔3-5および酸化剤排出櫛形孔3-6を酸化剤用流路と、冷媒供給孔4-1、冷媒排出孔4-2および冷媒流動路4-3を冷媒用流路とそれぞれ呼び、これらを総称して流路と呼ぶこともできる。
ここで、接着層の厚さが20μm未満の場合には、シール性を十分に確保することができない。一方、接着層の厚さが70μmを超える場合には、塗工が困難となるとともに、導電性を確保するのが困難となる。従って、接着層の厚さは20〜70μmの範囲とした。
バイポーラプレート用部材(基体)は、ステンレス鋼、高合金鋼、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミ合金またはこれらのクラッドからなることが望ましい。これは、金属を用いることで、低コスト量産性が確保され、性能が安定して得られるためである。特に、ステンレス鋼箔およびステンレスクラッド箔が量産性に優れ、流通性も高いため、好適である。チタンおよびチタン合金は、軽量であるとともに、耐食性が特に優れるので好適である。ただし、ステンレス鋼箔、ステンレスクラッド箔に比べると高価である。また、アルミおよびアルミ合金は、軽量化が図れるので好適である。
これら素材をクラッド化すれば、それぞれ素材の長所を生かすことが可能となる。例えば、表面は、チタンとして優れた耐食性確保しつつ、芯材を安価なアルミとすることで、軽量化を図りつつ、所望の諸性能を確保することができる。
上記ステンレス鋼は、特許文献5に記載されるような表面に導電性のM23C6型、M4C型、M2C型およびMC型の炭化物系金属化合物ならびにM2B型の硼化物系金属化合物のうちの1種以上が露出しているステンレス鋼であることが望ましい。ここで「露出」とは、後に詳しく説明するように、セパレータを構成するステンレス鋼の不動態皮膜を突き破るように表面から少なくとも一部が突出している状態をいう。
Mは、炭化物もしくは硼化物を形成する金属元素であり、例えば、Cr、Fe、MoおよびWの1種以上である。
一般に、ステンレス鋼に存在する炭化物等の金属化合物は、耐食性を低下させる介在物であり、好ましくないものとされている。本発明では、従来は排除されるべき介在物とされてきた炭化物系または硼化物系の化合物を積極的に利用して、不動態皮膜により増大する接触電気抵抗を減じさせる「電気の通り道」として活用する。
炭化物系金属化合物または硼化物系金属化合物をセパレータ表面から突出した状態にする方法には特に制約はない。最も実用的な方法は、ステンレス鋼に上記の化合物を形成する成分(C、B、Cr、Mo、W等)を含有させ、ステンレス鋼の溶製、熱処理の工程で化合物として析出させる方法がある。ステンレス鋼の表面に炭化物や硼化物が露出していれば、固体高分子形燃料電池バイポーラプレートとして適用するのに十分と言える表面接触抵抗となる。
炭化物や硼化物がステンレス鋼の内部にあって、その表面が不動態皮膜で既に被われている場合には、酸洗等の適当な手段で不動態皮膜とともに表層部の母材を除去し、内部の炭化物や硼化物を表面に露出させればよい。
その他に、炭化物または硼化物の粒子をショットピーニングのような機械的手段で表面に叩き付けて、不動態皮膜を貫通してめり込ませる方法もある。また、セパレータの表層部に上記のような元素を浸透させ、適当な熱処理によって表層部だけに炭化物または硼化物の粒子を生成させることもできる。
上記バイポーラプレート用部材(基体)は、その最大肉厚部の厚みが0.20mm以下であり、かつ流路が、抜き加工またはエッチング加工により形成されたものがよい。これにより、量産性を確保しつつ、燃料電池スタックをより軽量に、よりコンパクトにすることができる。バイポーラプレート部材の基体が厚いと、熱容量が大きくなり、燃料電池特性として求められる低温始動性、スタート&ストップの際の温度追随性が悪くなる傾向がある。バイポーラプレート用部材の基体は、燃料電池スタックとしての構成、構造、強度が維持できるのであれば、薄い方が望ましい。最大肉厚部の厚みの望ましい上限は、0.12mmである。
上記バイポーラプレート部材表面には、表面接触抵抗を低減し、バイポーラプレート用部材である基体の腐食を抑制するため、貴金属めっきを施してもよい。このとき、金または金合金などの貴金属めっきは、平均厚さが100nm以下であるのが良い。特に、50nm以下が望ましい。
バイポーラプレート用部材では、めっきを必要とする面積が広いためにめっきコストが過大となる。また、一般に行われているように、数μmというめっき欠陥がない厚めっき状態にまでめっきすることは量産性を著しく低下させ、コストも量産上は許容できない程度まで高くなる。回避策として、めっきの平均目付け厚さを薄くする方法が取られるがめっきが薄くなるに従ってめっき欠陥が多くなる。即ち、ガルバニック腐食によるめっき欠陥部からのバイポーラプレート用部材の基体腐食が増加し、貫通腐食に至る事態となりやすくなる。
以上のことから、本発明者らは、表面接触抵抗改善に大きな効果が得られる貴金属めっきを有効に活用する方策として、平均厚さが100nm以下のめっきを施すことが極めて有効であることを見出した。
平均厚さが100nm以下の貴金属めっきの満たすべき要件は、下記の3点である。
(1)走査電子顕微鏡による表面観察で、めっきされた貴金属が、数nmから数十nmの大きさの粒状で微細にマクロ的に均一分散していること
(2)走査電子顕微鏡による表面直上観察で表面占有率として定量されるめっきされた貴金属粒子による面積被覆率は10〜90%であること、かつ、電気化学的な手法であるサイクリックボルタンメトリ(CV法)により定量評価される面積被覆率が10〜90%であること
(3)セロテープ(登録商標)剥離試験による密着性評価で、めっきされた貴金属粒子が脱落しないこと
(2)走査電子顕微鏡による表面直上観察で表面占有率として定量されるめっきされた貴金属粒子による面積被覆率は10〜90%であること、かつ、電気化学的な手法であるサイクリックボルタンメトリ(CV法)により定量評価される面積被覆率が10〜90%であること
(3)セロテープ(登録商標)剥離試験による密着性評価で、めっきされた貴金属粒子が脱落しないこと
上記(2)で述べた貴金属粒子表面占有率については、表面占有率の低下に伴いガルバニック腐食の原因である貴金属表面電位とバイポーラプレート用部材の基体表面電位からなる混成電位が基体表面電位に近づくこととなり、貴金属めっきによるガルバニック腐食の程度が軽微になる。粒状で微細にマクロ的に均一分散することもガルバニック腐食の程度を軽減するのに有効である。
貴金属めっきの面積被覆率は、10〜90%であるのが良い。面積被覆率が10%未満の場合には、貴金属めっきを行う目的である表面接触抵抗の低減効果が不安定となり、改善効果が認められ難くなる。一方、面積被覆率が90%を超えると、露出するバイポーラプレート用部材の基体露出面積が低下し、厚めっきの際のミクロ欠陥のような様相となりガルバニック腐食傾向が高くなる。性能保障の観点より好ましくない。
耐食性の観点からは、貴金属めっきの材料としては、金が最も望ましい。これは、固体高分子形燃料電池内では、貴金属といえども金のみが唯一耐食的であるためである。ただし、周知のごとく純金は軟質であるとともに、極めて高価である。めっき金属の硬度を高めるため、あるいはめっき液の安定性を確保するため、あるいはめっき性を改善するために通常のめっき液に添加されているような極微量のFe、In、Ni、Co、Ag、CuおよびPdの1種以上がめっき金属に含まれても良い。
(3)バイポーラプレート部材の製造方法について
バイポーラプレート部材の製造方法には、特に制約はない。バイポーラプレート用部材は、例えば、シート状の基体を用意し、これに接着剤を塗布して接着層を形成した後、酸化剤ガス、燃料ガスおよび冷媒の流路を形成することにより、作製することができる。流路の形成方法としては、打ち抜き加工またはエッチング加工を用いるのがよい。基体は、軽量化および小型化の観点からは薄いものが望ましい。
バイポーラプレート部材の製造方法には、特に制約はない。バイポーラプレート用部材は、例えば、シート状の基体を用意し、これに接着剤を塗布して接着層を形成した後、酸化剤ガス、燃料ガスおよび冷媒の流路を形成することにより、作製することができる。流路の形成方法としては、打ち抜き加工またはエッチング加工を用いるのがよい。基体は、軽量化および小型化の観点からは薄いものが望ましい。
しかし、あまりに薄いと、アノード、カソード各対向プレートが中間プレートの抜き加工部(特に、冷媒流動路4-3。図1(c)参照。)において窪み(凹み)が生じやすくなる。このような窪みが生じると、燃料ガス、酸化剤ガスおよび冷媒の漏れを起こしやすくなり、燃料ガスと酸化剤ガスの混合が生じたり、冷媒および燃料ガス相互の浸潤が生じたりする。
なお、上記の混合、浸潤といった問題は、接着層によりある程度は防ぐことができるが、バイポーラプレート用部材の積層時には、窪みが生じないように特に注意を要する。また、基体の厚さは、0.100mm以上とするのが望ましい。凹みは、流路幅が広いほど生じやすいので、流路幅はできるだけ狭いことが望ましく、例えば、1mm以下とするのがよい。ただし、抜き形状、当接方法などの最適化により、より広幅で、より薄い基体を製造することができる。
(4)バイポーラプレート積層体について
バイポーラプレート用部材は、それ単体でも使用することができるが、多数のバイポーラプレートを積層した燃料電池を製造する場合には、できる限り部品点数を減らすことがセットメーカにとって有益である。
バイポーラプレート用部材は、それ単体でも使用することができるが、多数のバイポーラプレートを積層した燃料電池を製造する場合には、できる限り部品点数を減らすことがセットメーカにとって有益である。
図2は、本発明のバイポーラプレート積層体の例を示す模式図であり、(a)はバイポーラプレート積層体の展開図であり、(b)は積層後の状態を示す図である。
図2に示すように、本発明のバイポーラプレート積層体7は、例えば、アノード対向プレート1-1およびカソード対向プレート1-2で中間プレート1-3挟持し、当接したものである。このとき、アノード対向プレート1-1の下面およびカソード対向プレート1-2の上面に設けられた接着層により、中間プレート1-3が挟持される。
このような構成により、アノード対向プレート1-1の上面には燃料ガスが供給され、カソード対向プレート1-2の下面には酸化剤ガスが供給され、中間プレート1-3の層において冷媒が供給されることとなる。上記の接着層により、十分なシール性が確保されると共に、これらの3枚のプレートは、接着層中に含まれる導電性微粒子粉により電気的に接続されることになる。
なお、各プレートを構成する素材は、全て同一でも良いし、異なっていても良い。例えば、膜電極接合体と接することになるアノード対向プレート1-1およびカソード対向プレート1-2には、チタン合金などの耐食性に優れた素材を用い、冷媒用流路など細かい流路を形成しなければならない中間プレート1-3には、ステンレス鋼などの加工性に優れている素材を用いることとすればよい。接着層としては、上記(1)に示す接着層がよい。
(5)セル構造体について
上記(3)に示したのと同様の理由で、膜電極接合体を上記バイポーラプレート積層体に、接着層を介して積層したセル構造体を準備しておくのも良い。これにより、セットメーカにおける作業効率が飛躍的に向上する。
上記(3)に示したのと同様の理由で、膜電極接合体を上記バイポーラプレート積層体に、接着層を介して積層したセル構造体を準備しておくのも良い。これにより、セットメーカにおける作業効率が飛躍的に向上する。
図3は、本発明のセル構造体の例を示す模式図であり、(a)はセル接合体の展開図であり、(b)はセル構造体と膜電極接合体との一体化後の状態を示す図である。図3に示すように、本発明のセル構造体8は、例えば、膜電極接合体9を、バイポーラプレート積層体8のアノード対向プレート1-1側に接着層を介して貼り付けて構成される。図3に示す例では、膜電極接合体として、ガスケット一体型膜電極接合体を用いた例を示してあるが、このような形状に制限されない。
なお、燃料供給孔から吐出した燃料ガスは膜電極接合体中を流れ、燃料排出孔から排出される。
図4は、複数枚のセル構造体を積層したセルスタックの例を示す図である。図4に示すように、セルスタック10は、単層セル構造体8-1、8-2、8-3、8-4および8-5と、バイポーラプレート積層体7とを接着層を介して積層して構成したものである。このような構成とすれば、各セル構造体8-1、8-2、8-3、8-4および8-5の内部で、冷媒の流動と燃料ガスの流動が行われ、隣り合うセル構造体(例えば、8-1と8-2)の間においては、右側のセル構造体8-2から酸化剤ガスが左側のセル構造体8-1の膜電極接合体内に供給され、さらに、右側のセル構造体8-2に排出されることになる。
バイポーラプレートと膜電極接合体との間の接着層は、芳香族系炭化水素樹脂、ロジン系炭化水素樹脂またはテンペン系炭化水素樹脂から選択された少なくとも1種のタッキファイアーを含有することが望ましい。
(6)固体高分子形燃料電池について
本発明に係る固体高分子形燃料電池は、上記いずれかのバイポーラプレート用部材、バイポーラプレート積層体、セル構造体のうちの1種以上を適宜組み合わせて構成することにより、単セルまたは複数セルの固体高分子形燃料電池を製造することができる。
本発明に係る固体高分子形燃料電池は、上記いずれかのバイポーラプレート用部材、バイポーラプレート積層体、セル構造体のうちの1種以上を適宜組み合わせて構成することにより、単セルまたは複数セルの固体高分子形燃料電池を製造することができる。
厚さ60〜200μm、板幅110mmの各素材コイルを用いて、バイポーラプレート部材を抜き加工で製作した。いずれの材質においても、表面にはコイル焼鈍時の高温酸化によって生じた酸化物皮膜、圧延工程で生じた酸化物皮膜もしくは常温で生成した不動態皮膜、又は更に、製造工程で生じた汚れや付着物が存在していた。
接着層を塗装、焼付けする直前に、塗装ラインで脱脂、洗浄し、必要に応じて、別ラインで事前に酸洗、洗浄を行った。基材表面の酸化物皮膜、不動態皮膜を除去しておくことは、接着層を有するバイポーラプレート部材の電導性を改善する上で効果がある。
市販のCrB2粉、WC粉、SiC粉、TiB2粉、Ni粉およびCu粉を用意し、それぞれの粉をアトライター回転容器内に装入後に容器内を一旦減圧排気し、窒素ガスで0.6気圧まで復圧した後に、メチルアルコールを5cc回転容器に加えた後に、再度減圧排気し、アトライター砕粉を行った。ステンレス鋼粉および高合金鋼粉はいずれも、硝ふっ酸酸洗品を用いた。これらの粉はいずれも住友金属工業株式会社で手に入れることができる。
金粉、金をめっきしたNi粉および金を蒸着した樹脂粉は、市販のものを用いた。カーボン粉については、試薬として販売されている市中品を用いた。これらの材質、平均粒径、および、粒度調整方法を表2に示す。
接着層の塗装は、常温においてロールピックアップ方式で連続コイル塗工を行い、180℃で焼成した。1コート、1ベークである。空冷途中の80℃の塗工ライン出側で、接着層面に厚さ60μmの保護フィルムを貼り付けし、コイル巻き取りした。さらに、電導性改善を目的に、導電性微粒子含有接着層を塗装、焼付け後に、保護フィルムを付けたまま、硬質ゴムロール通板した。硬質ゴムロール通板により、変形能のある接着層が、硬質ゴムで圧延されて変形することで、分散する硬質の導電性微粒子粉が電導性改善により効果的な状態に移動し、配列するとみられる。
製造した導電性微粒子粉が分散する接着層を有する金属箔素材の性能評価の結果を表3に示す。
表3の「表面抵抗」は、接着層塗装面内の電気的な導通性を示す。塗工後に幅10mm、長さ120mmで切り出し、幅10mm、長さ100mm相当部分の接着層塗工面の電気抵抗性能を評価した。接着層を塗工していない金属面側および端面は絶縁している。電気抵抗性能は低い方が好ましい。
「電導性能」は、接着層含めた塗装材板厚方向の電気抵抗性能を示す。金属素材そのものの抵抗も含めた値となるため、該当する金属素材そのものの抵抗値をもとに指数化して示した。塗工後に30mm角金属箔を切り出し、膜電極接合体に使用するカーボンペーパとの接触抵抗を四端子法で測定した。
「接着性能」は、接着層の常温での接着能力を示す。導電性微粒子の割合が増加するにつれて劣化が予想される。金属素材表面の粗さも影響すると予想される。
「漏ガス性能」は、接着面におけるガス漏れの状態を示す。塗工後の素材から5cm角で2枚を切り出し、中心に直径1cmの穴あき部分を作成した後、接着層面同士を当接して接着した接合面からのガス漏れ有無で評価を行った。荷重は15kgf/cm2(一定)とし、指標ガスとして水素ガスを用いた。内圧は、1.5気圧(一定)である。漏れチェックには石鹸水を用いた。
本発明によれば、酸化剤ガス、燃料ガスおよび冷媒をリークさせず、速やかに流動させることができる膜電極接合体を用いた固体高分子形燃料電池を提供することができる。また、本発明によれば、量産性を確保しつつ、燃料電池の軽量化および小型化も実現可能である。
1-1.アノード対向プレート
1-2.カソード対向プレート
1-3.中間プレート
2-1.燃料供給連結孔
2-2.燃料排出連結孔
2-3.燃料供給孔
2-4.燃料排出孔
2-5.燃料供給櫛形孔
2-6.燃料排出櫛形孔
3-1.酸化剤供給連結孔
3-2.酸化剤排出連結孔
3-3.燃料供給孔
3-4.燃料排出孔
3-5.燃料供給櫛形孔
3-6.燃料排出櫛形孔
4-1.冷媒供給孔
4-2.冷媒排出孔
4-3.冷媒流動路
5-1、5-2、5-3.基体
6-1、6-2.接着層
7.バイポーラプレート積層体
8.セル構造体
8-1、8-2、8-3、8-4および8-5.単層セル構造体
9.膜電極接合体
10.セルスタック
1-2.カソード対向プレート
1-3.中間プレート
2-1.燃料供給連結孔
2-2.燃料排出連結孔
2-3.燃料供給孔
2-4.燃料排出孔
2-5.燃料供給櫛形孔
2-6.燃料排出櫛形孔
3-1.酸化剤供給連結孔
3-2.酸化剤排出連結孔
3-3.燃料供給孔
3-4.燃料排出孔
3-5.燃料供給櫛形孔
3-6.燃料排出櫛形孔
4-1.冷媒供給孔
4-2.冷媒排出孔
4-3.冷媒流動路
5-1、5-2、5-3.基体
6-1、6-2.接着層
7.バイポーラプレート積層体
8.セル構造体
8-1、8-2、8-3、8-4および8-5.単層セル構造体
9.膜電極接合体
10.セルスタック
Claims (15)
- 平均粒径が25μm以下であり、かつ全粒子の50体積%以上が粒径5μm以上の粒子である導電性微粒子粉を、8〜35体積%含有することを特徴とする固体高分子形燃料電池用接着層。
- 導電性微粒子粉が、導電性金属化合物粉、ステンレス鋼粉、合金鋼粉、Ni粉、Cu粉、貴金属粉、貴金属をメッキした金属粉、導電性金属をメッキした樹脂製粉およびカーボン粉から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子形燃料電池用接着層。
- 芳香族系炭化水素樹脂、ロジン系炭化水素樹脂およびテンペン系炭化水素樹脂から選択された少なくとも1種のタッキファイアーを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の固体高分子形燃料電池用接着層。
- 酸化剤ガス、燃料ガスおよび冷媒の流路を有し、少なくとも一方の面に接着層を有する固体高分子型燃料電池のバイポーラプレート用部材であって、接着層として、請求項1から3までのいずれかに記載の接着層を有し、接着層の厚さが20〜70μmであることを特徴とする固体高分子型燃料電池のバイポーラプレート用部材。
- バイポーラプレート用部材が、ステンレス鋼、高合金鋼、チタン、チタン合金、アルミニウム、アルミ合金またはこれらのクラッドからなることを特徴とする請求項4に記載のバイポーラプレート用部材。
- ステンレス鋼が、表面に導電性のM23C6型、M4C型、M2C型およびMC型の炭化物系金属化合物ならびにM2B型の硼化物系金属化合物のうちの1種以上が露出しているステンレス鋼であることを特徴とする請求項5に記載のバイポーラプレート用部材。ただし、Mは、炭化物もしくは硼化物を形成する金属元素である。
- バイポーラプレート用部材の基体は、その最大肉厚部の厚みが0.20mm以下であり、かつ、流路は、抜き加工またはエッチング加工により形成されたものであることを特徴とする請求項4から6までのいずれかに記載のバイポーラプレート用部材。
- 少なくとも一方の面に、平均厚さが100nm以下であり、面積被覆率が10〜90%である貴金属メッキが施されていることを特徴とする請求項4から7までのいずれかに記載のバイポーラプレート用部材。
- 貴金属が、金または金合金である請求項8に記載のバイポーラプレート用部材。
- 請求項4から9までのいずれかに記載のバイポーラプレート用部材をアノード対向プレート、カソード対向プレートおよび中間プレートとして用い、アノード対向プレートおよびカソード対向プレートで中間プレート挟持し、当接したことを特徴とする固体高分子型燃料電池のバイポーラプレート積層体。
- 接着層として、請求項1から3までのいずれかに記載の接着層を有し、接着層の厚さが20〜70μmであることを特徴とする固体高分子型燃料電池のバイポーラプレート積層体。
- 固体高分子形燃料電池のセル構造体であって、接着層を介して、請求項10または11に記載のバイポーラプレート積層体と、膜電極接合体とを積層したことを特徴とする固体高分子型燃料電池のセル構造体。
- 接着層を介して、請求項12に記載のセル構造体を複数枚積層したことを特徴とする請求項12に記載のセル構造体。
- 接着層として、芳香族系炭化水素樹脂、ロジン系炭化水素樹脂およびテンペン系炭化水素樹脂から選択された少なくとも1種のタッキファイアーを含有する接着剤を用い、接着層の厚さが20〜70μmであることを特徴とする固体高分子型燃料電池のセル構造体。
- 請求項4から9までのいずれかに記載のバイポーラプレート用部材、請求項10または11に記載のバイポーラプレート積層体、ならびに、請求項12から14までのいずれかに記載のセル構造体のうちの1種以上で構成されることを特徴とする固体高分子形燃料電池。
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US9088026B2 (en) | 2010-04-01 | 2015-07-21 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Adhesive material for fuel cell and fuel cell |
JP2015530727A (ja) * | 2012-10-09 | 2015-10-15 | ヌヴェラ・フュエル・セルズ・インコーポレーテッド | 伝導冷却した電気化学セルで使用するためのバイポーラプレートの設計 |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004047125A (ja) * | 2002-05-14 | 2004-02-12 | Mitsubishi Materials Corp | すぐれた接面通電性を長期に亘って発揮する固体高分子形燃料電池の多孔質金属ガス拡散シート |
JP2006097088A (ja) * | 2004-09-29 | 2006-04-13 | Japan Pure Chemical Co Ltd | 金めっき構造体およびこの金めっき構造体からなる燃料電池用セパレーター |
JP2006236671A (ja) * | 2005-02-23 | 2006-09-07 | Nitto Shinko Kk | 固体高分子形燃料電池用シール材 |
-
2006
- 2006-10-02 JP JP2006270684A patent/JP2008091207A/ja active Pending
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