JP2008090575A - 移動ロボット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】移動ロボットRは、無線親機1と無線通信を行う無線通信部160と、無線通信部160が受信する無線強度を含む無線環境の良好度を示す複数種類の無線環境データを検出する無線環境検出部163と、複数種類の無線環境データに所定の重み付けをして総合無線環境データを算出する総合無線環境データ算出部141と、自己位置認識手段たるジャイロセンサSR1及びGPS受信器SR2と、移動ロボットRが移動する移動領域の地図データを記憶する記憶部190と、総合無線環境データを、記憶部190に記憶された地図データに、無線環境データを検出したときに自己位置認識手段によって認識した自己位置に対応付けて書き込むことで、総合無線環境マップを作成する総合無線環境マップ作成部142と、を備えて構成される。
【選択図】図5
Description
このような問題に対して、特許文献1には、ロボットが電波の届かないところまで移動すると、移動中に取得した電波強度に基づいて作成した電波強度マップに従い、無線接続が可能な地点まで自律的に移動するようにした移動ロボットが提案されている。
また、特許文献2には、複数の移動ロボットが稼動している場合に、電波の弱い領域に移動した移動ロボットに対して、他の移動ロボットが基地局との通信を中継する移動ロボットが提案されている。
また、特許文献2に記載の移動ロボットは、稼動する移動ロボットが1台の場合は、基地局との通信を中継することができず、電波の届かない領域に移動した移動ロボットが、再び通信可能な領域への復帰ができない場合が起こり得るものであった。
これによって、移動ロボットは、無線強度に、無線強度以外の無線環境の良好度を表す指標を加味した総合無線環境データからなる総合無線環境マップを利用して、移動領域における無線環境の状態を判断することができるようになる。
これによって、移動ロボットは、移動領域における無線環境の状態をより適確に判断することができる。
これによって、移動ロボットは、無線環境データ検出位置を指定するだけで、自動的に総合無線環境マップを作成することができる。
これによって、総合無線環境マップを作成するために、移動ロボットを操作する人物(操作者)は、無線環境データを検出する地点を逐一入力する必要がなく、操作者が移動ロボットを移動領域内を適宜誘導して移動させるだけで総合無線環境マップを作成することができる。
これによって、移動ロボットは、通常のタスクを実行することで、総合無線環境マップのメンテナンスを行うことができる。
ここで、周囲の画像とは、水平方向に関して360°の全方位の画像であり、例えば、水平方向に90°の画角で撮影できるカメラを用いた場合は、カメラの撮影方向を90°ずつ回転しながら撮影することにより、4枚の画像データとして取得することができる。
これによって、移動ロボットは、最適無線基地局マップを利用して、移動領域内の各位置において最も良好な無線環境となる無線基地局を判断することができるようになる。
これによって、無線基地局の異常を迅速に管理用コンピュータに知らせることができる。
これによって、管理用コンピュータは、受信した総合無線環境マップを、例えば、記憶装置に保存することにより、移動ロボットは、例えば、再起動などによって、記憶手段に記憶した総合無線環境マップが消失した場合において、移動領域の総合無線環境マップを再度作成することなく、管理用コンピュータに保存されている総合無線環境マップを記憶手段にダウンロードして利用することができるようになる。
(システムの構成)
はじめに、本発明の実施形態に係る移動ロボット制御システムAについて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る移動ロボット制御システムを示すシステム構成図である。
図1に示すように、移動ロボット制御システムAは、タスクを実行する移動領域に配置された1台以上(本実施形態では1台)の移動ロボットR(以下、「ロボット」と適宜略称する)と、これらロボットRと無線通信によって接続された1台以上の無線親機(無線基地局)1(本実施形態では1A,1Bの2台)と、無線親機1にネットワーク4を介して接続された管理用コンピュータ3と、管理用コンピュータ3にネットワーク4を介して接続された記憶部5及び端末7と、を備えている。
移動領域内に複数の無線親機1が設置されている場合は、ロボットRは、適宜に無線環境が良好な状態の無線親機1に接続を切り替えて、管理用コンピュータ3と通信を行うようになっている。
また、管理用コンピュータ3は、記憶部5に対する入出力を管理し、記憶部5に記憶されている地図データや総合無線環境マップをロボットRに送信すると共に、ロボットRから送信された総合無線環境マップや画像データを地図データにリンクして記憶部5に保存する。
管理用コンピュータ3としては、例えば、汎用のPC(Personal Computer)を用いることができる。
記憶部5としては、例えば、ハードディスク装置、光ディスク装置、半導体メモリ装置などを用いることができる。
図2は、本実施形態に係るロボットの移動中の様子を示した斜視図であり、(a)は通常の移動領域を移動している状態を、(b)はマークの設置領域を移動している状態をそれぞれ示した図である。
すなわち、ロボットRは、自己が移動領域内のどこを移動しているかを把握し、通常の移動領域内にいる場合はレーザスリット光(以下、「スリット光」と適宜略称する。)を路面に照射して路面の段差、うねり、障害物の有無などを検出し、マーク設置領域内にいる場合は、赤外線を路面に照射してマークMを検出し、自己位置の確認・補正などを行うようになっている。
次に、本発明の実施形態に係るロボットRの外観について説明する。以下の説明において、ロボットRの前後方向にX軸、左右方向にY軸、上下方向にZ軸をとる(図3参照)。
本発明の実施形態に係るロボットRは、自律移動型の2足移動ロボットである。このロボットRは、管理用コンピュータ3から送信された実行命令信号に基づき、タスクを実行するものである。
続いて、ロボットRの駆動構造について説明する。図4は、図3のロボットの駆動構造を模式的に示す斜視図である。なお、図4における関節部は、当該関節部を駆動する電動モータにより示されている。
図4に示すように、左右それぞれの脚部R1は、6個の関節部11R(L)〜16R(L)を備えている。左右12個の関節は、股部(脚部R1と胴部R2との連結部分)の脚部回旋用(Z軸まわり)の股関節部11R,11L(右側をR、左側をLとする。また、R,Lを付さない場合もある。以下同じ。)、股部のピッチ軸(Y軸)まわりの股関節部12R,12L、股部のロール軸(X軸)まわりの股関節部13R,13L、膝部のピッチ軸(Y軸)まわりの膝関節部14R,14L、足首のピッチ軸(Y軸)まわりの足首関節部15R,15L、および、足首のロール軸(X軸)まわりの足首関節部16R,16Lから構成されている。そして、脚部R1の下には足部17R,17Lが取り付けられている。
図4に示すように、胴部R2は、ロボットRの基体部分であり、脚部R1、腕部R3および頭部R4と連結されている。すなわち、胴部R2(上体リンク53)は、股関節部11R(L)〜13R(L)を介して脚部R1と連結されている。また、胴部R2は、後記する肩関節部31R(L)〜33R(L)を介して腕部R3と連結されている。また、胴部R2は、後記する首関節部41,42を介して頭部R4と連結されている。
また、胴部R2は、上体回旋用(Z軸まわり)の関節部21を備えている。
図4に示すように、左右それぞれの腕部R3は、7個の関節部31R(L)〜37R(L)を備えている。左右14個の関節部は、肩部(腕部R3と胴部R2との連結部分)のピッチ軸(Y軸)まわりの肩関節部31R,31L、肩部のロール軸(X軸)まわりの肩関節部32R,32L、腕部回旋用(Z軸まわり)の肩関節部33R,33L、肘部のピッチ軸(Y軸)まわりの肘関節部34R,34L、手首回旋用(Z軸まわり)の腕関節部35R,35L、手首のピッチ軸(Y軸)まわりの手首関節部36R,36L、および手首のロール軸(X軸)まわりの手首関節部37R,37Lから構成されている。そして、腕部R3の先端には把持部(ハンド)71R,71Lが取り付けられている。
図4に示すように、頭部R4は、首部(頭部R4と胴部R2との連結部分)のY軸まわりの首関節部41と、首部のZ軸まわりの首関節部42と、を備えている。首関節部41は頭部R4のチルト角を設定するためのものであり、首関節部42は頭部R4のパン角を設定するためのものである。
また、各関節部の電動モータは、その出力を減速・増力する減速機(図示せず)を介して前記した大腿リンク51R(L)、下腿リンク52R(L)などを相対変位させる。これら各関節部の角度は、関節角度検出手段(例えば、ロータリエンコーダ)によって検出される。
図5は、本実施形態に係るロボットの構成を示したブロック図である。
図5に示すように、ロボットRは、前記した脚部R1、胴部R2、腕部R3、頭部R4に加えて、カメラC,C、スピーカS、マイクMC、画像処理部110、音声処理部120、主制御部140、自律移動制御部150、無線通信部160、及び周辺状態検知部170を有する。
さらに、ロボットRは、自己位置を認識するため自己位置認識手段として、方向を認識するジャイロセンサSR1や、座標を認識するGPS(Global Positioning System)受信器SR2を有している。
カメラ(撮像手段)C,Cは、映像をデジタルデータとして取り込むことができるものであり、例えばカラーCCD(Charge Coupled Device)カメラが使用される。カメラC,Cは、左右に平行に並んで配置され、撮影した画像は画像処理部110に出力される。このカメラC,Cと、スピーカS及びマイクMCは、いずれも頭部R4の内部に配設される。
画像処理部110は、カメラC,Cが撮影した画像を処理して、撮影された画像からロボットRの周囲の状況を把握するため、周囲の障害物や人物の認識を行う部分である。この画像処理部110は、ステレオ処理部111a、移動体抽出部111b、及び顔認識部111cを含んで構成される。
ステレオ処理部111aは、左右のカメラC,Cが撮影した2枚の画像の一方を基準としてパターンマッチングを行い、左右の画像中の対応する各画素の視差を計算して視差画像を生成し、生成した視差画像及び元の画像を移動体抽出部111bに出力する。なお、この視差は、ロボットRから撮影された物体までの距離を表すものである。
移動体の抽出をするために、移動体抽出部111bは、過去の数フレーム(コマ)の画像を記憶しており、最も新しいフレーム(画像)と、過去のフレーム(画像)とを比較して、パターンマッチングを行い、各画素の移動量を計算し、移動量画像を生成する。そして、視差画像と、移動量画像とから、カメラC,Cから所定の距離範囲内で、移動量の多い画素がある場合に、人物があると推定し、その所定距離範囲のみの視差画像として、移動体を抽出し、顔認識部111cへ移動体の画像を出力する。
認識された顔の位置は、ロボットRが移動するときの情報として、また、その人とのコミュニケーションを取るため、主制御部140に出力されると共に、無線通信部160に出力されて、無線親機1を介して、管理用コンピュータ3に送信される。
音声処理部120は、音声合成部121aと、音声認識部121bとを有する。
音声合成部121aは、主制御部140が決定し、出力してきた発話行動の指令に基づき、文字情報から音声データを生成し、スピーカSに音声を出力する部分である。音声データの生成には、予め記憶している文字情報と音声データとの対応関係を利用する。
音声認識部121bは、マイクMCから音声データが入力され、予め記憶している音声データと文字情報との対応関係に基づき、音声データから文字情報を生成し、主制御部140に出力するものである。
自律移動制御部150は、頭部制御部151d、腕部制御部151c、胴部制御部151b、脚部制御部151aを有する。
頭部制御部151dは、主制御部140の指示に従い頭部R4を駆動し、腕部制御部151cは、主制御部140の指示に従い腕部R3を駆動し、胴部制御部151bは、主制御部140の指示に従い胴部R2を駆動し、脚部制御部151aは、主制御部140の指示に従い脚部R1を駆動する。
また、ジャイロセンサSR1、及びGPS受信器SR2が検出したデータは、主制御部140に出力され、ロボットRの行動を決定するのに利用されると共に、主制御部140から無線通信部160を介して管理用コンピュータ3に送信される。
無線通信部(無線通信手段)160は、管理用コンピュータ3とデータの送受信を行う通信装置であり、無線インタフェース部161と、プロトコル制御部162と、無線環境検出部163と、通信アンテナ160aとを備えている。
図6に示したように、無線通信部160は、無線インタフェース部161と、プロトコル制御部162と、無線環境検出部163と、通信アンテナ160aとを備え、さらに、無線環境検出部163は、無線強度検出部163aと、通信速度検出部163bと、エラー回数検出部163cと、再送回数検出部163dとを備えている。
また、送信時には、無線インタフェース部161は、プロトコル制御部162からデータを入力し、無線波に変換して通信アンテナ160aを介して、無線親機1(図5参照)に送信する。
送信時には、プロトコル制御部162は、主制御部140から入力されたデータを、前記した所定の通信プロトコル方式に基づき、TCP/IPパケット等のフレームを生成して無線インタフェース部161に出力する。
また、プロトコル制御部162における送受信時の通信速度、受信時のエラー回数及び送信時の再送回数が、それぞれ無線環境検出部163の通信速度検出部163b、エラー回数検出部163c及び再送回数検出部163dによって測定される。
主制御部140は、画像処理部110、音声処理部120、自律移動制御部150、無線通信部160、周辺状態検知部170、記憶部190、ジャイロセンサSR1、GPS受信器SR2などのロボットRを構成する各部を統括的に制御する制御手段であり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などからなるコンピュータ装置によって構成される。
本実施形態では、主制御部140は、総合無線環境データ算出部141と、総合無線環境マップ作成部142と、最適無線親機マップ作成部143と、総合無線環境マップ更新部144と、無線親機異常通知部145と、周囲画像取得部146と、を有する。
あるいは、総合無線環境マップなどを構成するデータに、例えば、フロアマップ、総合無線環境マップ、最適無線親機マップなどのマップの属性を示す識別子を加えておき、データベースから所望の属性のマップを必要に応じて抽出できるようにしてもよい。
また、総合無線環境マップ更新部144は、複数の無線親機1が設置された領域に関する総合無線環境マップのメンテナンスを行った際には、続けて関連する最適無線親機マップのメンテナンスを行う。
また、無線親機異常通知部145は、総合無線環境マップ更新部144によって、無線親機1の無線環境の状態が悪化していることを検知した場合は、無線通信部160を用いて、管理用コンピュータ3に、当該無線親機1の通信環境が悪化していることを通知すると共に、悪化を検知した地点で取得した無線環境データ、画像データなどを送信する。
図7に示したように、本実施形態では、総合的に無線環境の良好度を評価するために、無線強度と、ノイズフロアと、エラー回数(通信エラー回数)と、再送回数(データ再送回数)と、通信速度とを指標である無線環境データとして用い、それぞれの無線環境データに重み付けして、総合無線環境データを算出する。
まず、無線環境を最もよく示すデータとして、無線強度に80%の重み付けをする。本実施形態では、無線強度データをそのまま用いるのではなく、ノイズフロアとの比を用いることとした。すなわち、無線親機1(図5参照)から送信された無線波をロボットRが受信した無線強度と、ノイズフロアとを、それぞれの強度に応じて、1〜100%に数値化する。但し、100%が最も強い強度を示す。そして、(無線強度/ノイズフロア)>1のときは、(無線強度/ノイズフロア)×0.8 を総合無線環境データへの寄与とする。例えば、無線強度が100%で、ノイズフロアが1%の場合が、最も無線環境が良好なときであり、100/1×0.8=80(%)である。
また、(無線強度/ノイズフロア)<1のときは、ノイズレベルが無線強度(信号レベル)よりも大きく、無線環境が極めて悪い状況であるとして、総合無線環境データへの寄与は“0”(%)とする。
図7の項目が「通信速度」の欄には、数値範囲が{1,2,5.5,11}[Mbps]の場合と、数値範囲が{6,9,12,18,24,36,48,54}[Mbps]の換算表が定められている。前者は、IEEE802.11bに準拠する規格の無線LANアダプタを用いた場合の換算表であり、後者は、IEEE802.11g又はIEEE802.11aに準拠する規格の無線LANアダプタを用いた場合の換算表である。
速い通信速度で通信を確立することができるほど、良好な無線環境であり、高い換算値が割り当てられている。
なお、他の規格や方式の通信手段を用いる場合は、適宜に通信速度に対応した換算式を決めるようにすればよい。
このように、無線強度以外の無線環境に関連するデータを含めた無線環境データに、重み付けして算出した総合無線環境データを用いることにより、より適切に無線環境を評価することができる。
特に、エラー回数や再送回数は、通信が確立した状態で、そのときの無線環境の状態を評価することができるので、通信が確立できなくなる状態を適確に判断することができる。
図5に戻って説明を続ける。
周辺状態検知部(自己位置認識手段)170は、図5に示すように、スリット光照射手段であるレーザ装置171と、赤外線照射手段である赤外線LED(Light Emitting Diode)172と、探索域を撮像する2つの赤外線カメラ173、173と、これらを制御するセンサ制御部180と、を有する。
周辺状態検知部170は、レーザ装置171または赤外線LED172から探索域に向かってスリット光あるいは赤外線を照射するとともに当該探索域を赤外線カメラ173で撮像し、これらをセンサ制御部180で制御することにより、ロボットRの周辺状態を検知する部分である。すなわち、周辺状態検知部170は、従来の路面検知装置および位置確認装置に相当するものであり、赤外線カメラ173を共通にすることで省スペース化が図られている。
周辺状態検知部170は、主制御部140と接続されており、ジャイロセンサSR1やGPS受信器SR2によって認識した自己位置データを取得可能になっている。
図8に示すように、本実施形態においては、2つの赤外線カメラ173は、胴部R2内の前面の腰の高さに左右に並んで配置されている。また、レーザ装置171は、2つの赤外線カメラ173、173の中間に配置されている。また、赤外線LED172は、一方の(図8においてはロボットRの左側の)赤外線カメラ173の周囲に配置されている。
なお、レーザ装置171、赤外線LED172および赤外線カメラ173を胴部R2の前面の腰の高さに設置すると、他の部位(例えば頭部R4や脚部R1など)に取り付けた場合に比してロボットRの揺れの影響が小さくなるとともに、腕部R3や脚部R1によって撮像範囲を遮られることが少ないというメリットがある。
レーザ装置171は例えば赤外線レーザ光をスリット状に照射する装置である。レーザ装置171は、赤外線レーザ光の照射方向を変化させるためのアクチュエータ(図示せず)に連結されており、探索域である路面に対してスリット光を放射状に照射できるようになっている。スリット光が対象物(例えば路面)にあたると路面にはレーザ輝線が描かれる。
レーザ装置171は後記するセンサ制御部180(切換判定部181)に接続されており、センサ制御部180の命令に基づいてスリット光を照射したり停止したりする。
赤外線LED172は探索域に向けて赤外線を照射する装置であり、本実施形態においては図8に示すようにロボットRの左側の赤外線カメラ173の周りを囲むように複数の赤外線LED172、172・・・が設置されている。赤外線LED172から照射された赤外線は路面に設置された再帰性材料で製造されたマークMによって再帰的に反射される。
赤外線LED172は後記するセンサ制御部180(切換判定部181)に接続されており、センサ制御部180の命令に基づいて赤外線を照射したり停止したりする。
撮像手段たる赤外線カメラ173は、撮像した画像をデジタルデータとして取り込むことができるものであり、例えばCCD赤外線カメラが使用される。赤外線カメラ173,173は、図8に示すように、胴部R2内の前面の腰の高さに左右に並んで配置されている。赤外線カメラ173で撮影した画像は後記するセンサ制御部180に出力される。
次に、センサ制御部180について図9を参照してさらに詳しく説明する。図9は、周辺状態検知部の構成を示すブロック図である。
センサ制御部180は、図9に示すように、切換判定部181と、路面検出部182と、マーク検出部183と、自己位置計算部184と、自己位置補正部185と、を有する。
取得した地図データは、切換判定部181および自己位置計算部184に入力される。
切換判定部181は、主制御部140を介して記憶部190から読み出した地図データに含まれるマークMのマーク設置領域データと、主制御部140を介してジャイロセンサSR1又はGPS受信器SR2から取得した自己位置データとを比較する部分である。また、切換判定部181はレーザ装置171および赤外線LED172と接続されており、それぞれに作動命令または停止命令を出力可能になっている。
路面検出部182は、赤外線カメラ173で撮像したスリット光画像を解析して路面状態を検出する部分である。具体的には、例えばいわゆる光切断法を利用して赤外線カメラ173とスリット光が照射された路面との距離を求めることができる。スリット光はロボットRの移動方向にある路面に対して放射状に照射されることから、結果的に、ロボットRは移動先の路面の3次元形状を認識することができる。
路面検出部182で検出された路面状態の情報は主制御部140に出力される。
マーク検出部183は、赤外線カメラ173で撮像した赤外線画像を解析してマークMを検出する部分である。
マーク検出部183は、例えばバンドパスフィルタなどを備えており、赤外線LED172の中心波長周辺の光線を選択的に観測できるようになっている。これにより不要な波長域の光線はカットされ、可視光などによる外乱に強い装置にすることができる。
また、マーク検出部183は、1つのマークMを構成する3点間(図1参照)の相互距離と2つのマークMの中心間の距離(3点の中心同士の間隔)とを計測し、この2種類の距離が設定値付近であればマークMと認識するようになっている。これにより、マークM以外の赤外線反射物による外乱に強い装置とすることができる。
自己位置計算部184は、赤外線画像に撮像されたマークMの位置(座標)からマークMとロボットRとの相対的な位置関係を計算する部分である。
赤外線カメラ173は、ロボットRの腰の辺りの高さに所定角度で固定されていることから、マークMが赤外線画像上のどの位置、換言すれば、どの画素に写っているかを解析することによって、ロボットRとマークMとの相対的な位置関係を計算することができる。また、マークMは2つを1組としていることから、ロボットRがマークM同士を結んだ直線に対してどれだけ傾いているかを計算することができる。すなわち、自己位置計算部184は、地図データから取得したマークMの座標とマークMとロボットRとの相対的な位置関係とに基づいてロボットRの正確な自己位置を計算することができる。
自己位置計算部184によって計算されたロボットRの自己位置は自己位置補正部185に出力される。
自己位置補正部185は、マーク検出部183で検出したマークMの位置データに基づいてロボットRの自己位置を補正する部分である。
本実施形態では、自己位置補正部185は、自己位置計算部184によって計算した自己位置とジャイロセンサSR1やGPS受信器SR2から取得した自己位置とを比較し、両者にずれがある場合には自己位置計算部184で計算した自己位置を正として補正するようになっている。
そして、補正されたロボットRの自己位置データは主制御部140に出力される。これにより、自律移動制御によって累積した移動誤差あるいは位置認識誤差が解消され、ロボットRを正確・確実に移動制御することができる。
図5に戻って説明を続ける。
記憶部(記憶手段)190は、例えばRAMまたはハードディスク装置などの記憶装置から構成されており、ロボットRが移動する移動領域の地図データ、総合無線環境マップ、最適無線親機マップ、無線環境データ、無線環境データの測定位置からカメラCによって撮影した画像データ等を記憶する部分である。
地図データは、移動領域内の特定の場所に設置されたマークM(図2参照)のマーク設置領域データを含んでおり、記憶部190は、主制御部140を介して、記憶している地図データをセンサ制御部180の切換判定部181および自己位置計算部184(図9参照)に出力可能になっている。
また、記憶部190は、主制御部140の総合無線環境マップ作成部142によって、総合無線環境マップに総合無線環境データが記録され、最適無線親機マップ作成部143によって、最適無線親機マップの最適無線親機データが記録され、総合無線環境マップ更新部144によって、総合無線環境マップの総合無線環境データ及び最適無線親機マップの最適無線親機データが更新されると共に、周囲画像取得部146によって、無線環境データを測定した位置において、カメラCを用いて撮影された画像データが、地図データの当該位置に対応付けて記憶される。
続いて、ロボットRの制御方法について、適宜図面を参照して説明する。
(ロボットの自律移動制御)
まず、ロボットRがスリット光の照射と赤外線の照射とを切換えながら自律的に移動する際の制御について、図10を参照(適宜図2、図5及び図9参照)して説明する。図10は、ロボットの自律移動制御(スリット光照射と赤外線照射との切換制御)に関するフロー図である。
はじめに、ロボットRは、自己位置認識手段であるジャイロセンサSR1またはGPS受信器SR2によって自己位置データを取得することにより自己位置を認識する。取得した自己位置データは主制御部140を介して切換判定部181に出力される。
つぎに、切換判定部181は、主制御部140を介して記憶部190からマークMの位置データを含んだ地図データを取得する。
そして、切換判定部181は、ロボットRの自己位置とマークMのマーク設置領域とを比較して、当該自己位置がマークMのマーク設置領域内か否かを判定する。具体的には、図2に示すように、マークMから所定距離内にある範囲をマークMのマーク設置領域に設定して予め記憶部190(及び記憶部5)に記憶させておき、ロボットRの自己位置の座標が当該マーク設置領域内に含まれるか否かを判定する。
切換判定部181によって自己位置がマークMのマーク設置領域内ではない(ステップS3でNo)と判定された場合には、切換判定部181はレーザ装置171に作動命令を出力するとともに赤外線LED172に停止命令を出力する。作動命令を受けたレーザ装置171は探索域たる路面に対して放射状にスリット光を照射する(図2(a)参照)。また、停止命令を受けた赤外線LED172は赤外線の照射を停止する。
レーザ装置171によってスリット光が照射されると、赤外線カメラ173はスリット光が照射された探索域を撮像してスリット光画像を取得する。
撮像されたスリット光画像は路面検出部182に出力される。
路面検出部182は、例えば光切断法を用いてスリット光画像を解析することにより、路面の3次元形状を取得する。すなわち、路面検出部182によって路面状態が検出される。
検出された路面の3次元データは主制御部140に出力される。
主制御部140は、地図データとして記憶されている路面の形状と、路面検出部182から送られてくる路面の形状を比較する。比較した結果、両者が一致または許容差の範囲内であれば(ステップS7でNo)、主制御部140は障害物が存在しないと判断し、ステップS1に戻って再びロボットRの周辺状態をセンシングする。
比較した結果、両者が不一致または許容差の範囲を超えている場合(ステップS7でYes)は、主制御部140は、探索域に障害物があると判定する。そして、主制御部140は、自律移動制御部150に対して障害物の回避を命令する。具体的には、例えば迂回路を通るように指示したり、腕部R3を用いて障害物を排除したりすることが考えられる。
ステップS3に戻って説明をつづける。
ステップS3において、自己位置がマークMのマーク設置領域内にある(ステップS3でYes)と判定された場合には、切換判定部181は赤外線LED172に作動命令を出力するとともにレーザ装置171に停止命令を出力する。作動命令を受けた赤外線LED172は探索域たる路面に対して赤外線を照射する(図2(b)参照)。また、停止命令を受けたレーザ装置171はスリット光の照射を停止する。
赤外線LED172によって赤外線が照射されると、赤外線カメラ173は、赤外線が照射された探索域を撮像して赤外線画像を取得する。探索域には再帰性を備える反射材で作られたマークMが設置されているため、赤外線画像にはマークMが撮像される。
撮像された赤外線画像はマーク検出部183に出力される。
マーク検出部183は、例えばパターンマッチングなどの画像処理を用いて赤外線画像を解析し、マークMを検出する。これにより、赤外線画像上のどこに(どの画素に)マークMが位置しているかを把握することができる。
自己位置計算部184は、赤外線画像上のマークMの位置(以下、「画像上位置」という。)に基づいてロボットRの位置を計算する。
具体的には、自己位置計算部184は、赤外線画像から求めたマークMとロボットRとの相対距離および相対角度を用いて、記憶部190から読み出したマークMの位置データから加減算することによってロボットRの自己位置を計算する。なお、赤外線カメラ173の取付位置および取付角度は固定されていることから、マークMが赤外線画像上のどこに写るかによって、ロボットRとマークMとの相対的な位置関係を計算することができる。また、2つのマークMを一組として使用していることから、相対的な角度のずれを認識することができる。そのため、方向の認識のずれも補正することができる。
計算されたロボットRの自己位置データは自己位置補正部185に出力される。
つぎに、自己位置補正部185は、ジャイロセンサSR1またはGPS受信器SR2から取得したロボットRの自己位置と、自己位置計算部184で計算したロボットRの自己位置とを比較する。
比較した結果、両者が一致または許容差の範囲内にある場合(ステップS13でNo)には、自己位置の補正を行わずにステップS1に戻って周辺状態の検知を続ける。
比較した結果、両者が不一致または許容差の範囲外にある場合(ステップS13でYes)には、マークMに基づいて算出した自己位置を正として、ロボットRの自己位置を補正する。これにより、自律移動制御によって累積した移動誤差あるいは自己位置認識誤差が解消され、ロボットRを正確・確実に移動制御することができる。
次に、ロボットRによる総合無線環境マップの作成制御について説明する。
図11は、地図データと総合無線環境マップの例を示し、(a)は地図データ(フロアマップ)であり、(b)は総合無線環境マップである。
図11(a)に示すように、地図データは、例えば、建物の階毎の出入口、会議室、受付などのレイアウトを示したフロアマップの形態をしており、出入口、会議室、受付の他に、無線親機1の設置位置、適宜な位置に配設されたマークMのマーク設置領域データなどが含まれている。
無線環境データの測定のためには、従来、操作者(人)が測定器を運搬し、総合無線環境マップを作成しようとする領域の各所を移動する必要があった。しかし、このように人が測定器を運搬して測定する作業は、多大な手間を要するだけでなく、測定器と、実際にロボットRに搭載された無線通信部160とは無線通信の条件が異なるため、ロボットRの無線通信部160で無線親機1からの無線波を受信したときの無線環境と正確には一致しない場合も考えられる。
より具体的には、図12に示すように、人HがロボットRの右手(腕部R3の先端に設けられた把持部(ハンド)71R)を引いて誘導し、測定位置まで案内する。
音声によって選択を指示する場合は、例えば、ロボットRはマイクMCによって音声を取得し、音声処理部120の音声認識部121bによって取得した音声から文字情報を生成し、主制御部140に出力する。そして、主制御部140によって、文字情報を解析して測定モードの指示内容を取得するようにすることができる。
詳細には、ロボットRは、無線通信部160によって、無線親機1を介して管理用コンピュータ3に地図データを要求する。管理用コンピュータ3は、該当する地図データを記憶部5から読み出し、無線親機1を介して、ロボットRに送信する。ロボットRは、無線通信部160によって地図データを受信し、受信した地図データを記憶部190に保存する。以上の手順によって、地図データのダウンロードが完了する。
なお、ロボットRは、現在位置を含む地図データを、既に記憶部190に記憶している場合には、地図データのダウンロードする手順を省略するようにしてもよい。
詳細には、ロボットRは、例えば、把持部71Rを引かれると、前記したように、腕部R3の6軸力センサ62R(図4参照)によって検出した反力の3方向成分Fx,Fy,Fzに基づいて、ロボットRが移動する方向と移動する速さとを決定し、脚部R1の関節各部を駆動制御し、人Hに手を引かれた状態で移動を開始する。
そして、周期時刻になると(ステップS31でYes)、無線環境検出部163によって、無線通信部160と無線親機1との通信における無線強度等の無線環境データを測定する(ステップS32)。
以降は、ステップS36において、手引き誘導が終了したと判断するまで、ステップS31からステップS36を繰り返して実行し、総合無線環境マップ作成処理を続ける。
人Hが歩行を停止しない場合は(ステップS37でNo)、そのまま人Hに手を引かれて移動を続けながら、歩行停止したかを判断するステップS37を繰り返し実行する。
ロボットRが、歩行停止したと判断した場合は(ステップS37でYes)、無線環境検出部163によって、無線通信部160と無線親機1との通信における無線強度等の無線環境データを測定する(ステップS38)。この測定モードでは、無線環境データの測定は、歩行を停止した状態で行う。また、突発的なノイズによる影響等を低減して、精度よく測定するために、同じ位置での測定を複数回繰り返し、各無線環境データの測定値の平均値を算出して用いる。そのために、例えば、無線強度は、無線強度検出部163a(図6参照)によって、500ミリ秒毎に5秒間、すなわち10回の測定を行い、測定データを主制御部140に出力する。その他の無線環境データも、同様にして、無線環境検出部163の各部で、それぞれ所定の回数ずつ測定して測定データを主制御部140に出力する。
なお、手引き誘導の終了の判断は、例えば、「総合無線環境マップ作成は終了する」のように、人Hによる音声による指示を、音声処理部120の音声認識部121bでテキストに変換し、主制御部140によって指示内容を解析して判断するようにしてもよい。
以降は、ステップS43において、手引き誘導が終了したと判断するまで、ステップS37からステップS43を繰り返して実行し、総合無線環境マップ作成処理を続ける。
次に、図15乃至図17を参照(適宜図5参照)して、ロボットRに、無線環境データの測定位置を予め簡便に指定し、ロボットRが単独で移動して総合無線環境マップを作成する方法について説明する。ここで、図15は、ロボットが単独で移動領域を移動して無線環境データを測定する測定位置の指定について説明する図であり、(a)はマークの設置位置を示す図、(b)はマーク設置位置で測定した無線環境データに基づいて作成した総合無線環境マップの例であり、図16は、指定されたマーク位置の無線環境データを測定して総合無線環境マップを作成するロボットの処理の流れを示すフロー図であり、図17は、図16における総合無線環境マップを作成するステップの詳細を示すフロー図である。
ロボットRに総合無線環境マップの作成をさせようとする操作者は、例えば、端末7(図5参照)を用いて管理用コンピュータ3にアクセスし、測定位置としてマークMの番号を指定することで、測定位置をロボットRに指示することができる。
一方、マークMが最終の番号でない場合は(ステップS54でNo)、ステップS52に戻り、次の順番のマークM(例えば、M2)の位置まで移動する。そして、次のマーク位置において無線環境データを測定して総合無線環境データを算出し、記憶部190に記憶された地図データに、そのマーク番号の位置に対応付けて、算出した総合無線環境データを書き込み、総合無線環境マップを作成する(ステップS53)。
そして、最終番号のマーク位置における総合無線環境マップを作成するまで、ステップS52からステップS54の処理を繰り返して実行する。
なお、管理用コンピュータ3は、送信された総合無線環境マップを記憶部5に保存する。
ロボットRは、指定されたマークMの位置まで移動すると(図16のステップS52)、移動(歩行)を停止する(ステップS60)。
そこで、グリッドを細か過ぎないように適度な間隔で指定すると共に、地図上のレイアウトを参照して、電波障害物などの影響を受けやすそうな位置を測定点として個別に追加指定するようにして、操作者が測定位置を指定する入力作業の増大を抑制しつつ、重要な測定位置を詳細かつ柔軟に指定することができる。
ロボットRは、図18(a)に示したグリッドの格子点に該当する位置と、図18(b)に示した個別に追加した位置とを測定位置として取得し、順次測定点に移動して無線環境データを測定し、測定した無線環境データから総合無線環境データを算出して、地図データに書き込むことにより、総合無線環境マップを作成することができる。
図19(a)に示した総合無線環境マップは、図18(a)に示したグリッドによって指定した測定位置における総合無線環境データが書き込まれた総合無線環境マップである。また、(b)は、(a)に示した総合無線環境マップに基づいて、操作者(ユーザ)が無線環境を理解しやすいように、GUI(Graphical User Interface)環境下において、総合無線環境のレベル(良好度)を3段階(Excellent, Good, Poor)に色分けして表示した例である。このユーザ用の表示形式のマップは、例えば、端末7(図5参照)によって、記憶部5に記憶された総合無線環境マップを読み出し、適宜な画像処理を施して端末7の画面に表示することができる。
このように、総合無線環境マップをユーザが理解しやすい形式に変換して表示することにより、例えば、無線親機1を設置する場所を決める際に、複数の設置候補の場所に設置した場合の総合無線環境マップを作成して対比することで、優劣を容易に判断することができる。また、総合無線環境のレベルが低い領域を容易に認識できるため、対策として、例えば、無線親機1を追加する適切な場所を容易に判断することができる。
次に、図20を参照(適宜図5参照)して、複数の無線親機1が設置された場合に、ロボットRが接続する無線親機1を選択する方法について説明する。ここで、図20は、複数の無線親機が配置された場合に、ロボットが接続する無線親機を選択する様子を説明する図であり、(a)は、複数の無線親機に対する総合無線環境マップから最適無線親機マップを作成する様子を説明する図であり、(b)は、複数の最適無線親機から、接続する無線親機を選択する様子を説明する図である。
次に、最適無線親機マップ作成部143によって、記憶部190に記憶された複数の無線親機に対する総合無線環境マップに基づいて、最適な無線親機を示す最適無線親機マップ(最適無線基地局マップ)を作成する。
なお、本実施形態では、2台の無線親機1A、1Bが配置された場合を例にして説明するが、無線親機は3台以上としてもよい。
本実施形態では、ロボットRが管理用コンピュータ3との通信が不能状態となることをできる限り回避するために、ハンドオーバをしないで済む無線親機1を選択する。
なお、無線親機は3台以上の場合においても、同じレベルの総合無線環境の無線親機が選択可能な状況においては、ハンドオーバをできる限り回避するように無線親機を選択するようにすればよい。
次に、図21を参照(適宜図5参照)して、ロボットRが、総合無線環境マップを利用するときの動作について説明する。ここで、図21は、ロボットが、総合無線環境マップを利用するときの処理の流れを示すフロー図である。
これによって、ロボットRは、タスクを実行する毎に、総合無線環境マップを新たに作成する手間を省くことができる。
なお、ダウンロードするマップの種類は、管理用コンピュータ3が、ロボットRに命令するタスクの内容に従って、管理用コンピュータ3が、適宜最適なマップを選択して送信するようにしてもよい。
次に、図22を参照(適宜図5参照)して、ロボットRがタスク実行中に無線環境データを測定し、総合無線環境マップの更新(メンテナンス)を行う動作について説明する。ここで、図22は、タスク実行中に総合無線環境マップの更新を行う処理の流れを示すフロー図である。
なお、無線環境データは、所定のタイミングで反復して測定される。例えば、1回の測定が終了すると、絶え間なく次の測定を開始するようにしてもよいし、10秒間隔のように、定期的に行うようにしてもよい。
なお、ロボットRは、タスク実行中に、ジャイロセンサSR1、GPS受信器SR2及び周辺状態検知部170によって、自己の位置を常時把握しながら移動し、最適無線親機マップを参照して、最適な無線親機1(1A又は1B)と接続するように適宜ハンドオーバを行う。
なお、確認履歴は、例えば、記憶部190に記憶される総合無線環境マップに、位置及び無線親機に対応付けて記憶し、必要に応じて読み出して参照するようにすればよい。
なお、この移動領域内に複数の無線親機1が設置されている場合は、続けて、総合無線環境マップ更新部144によって、更新された総合無線環境マップと、その他の無線親機に対する総合無線環境マップとを記憶部190から読み出し、最適無線親機マップの更新を行う。
詳細に説明すると、ロボットRは、周囲画像取得部146によって、自律移動制御部150の脚部制御部151aを介して脚部R1の各部を制御して、歩行を停止し(例えば、図24(b)の上段の図の位置P)、頭部R4に搭載されたカメラCを用いて、まず、移動方向である正面画像iを撮影する。撮影した画像は、記憶部190に保存する。次に、ロボットRは、周囲画像取得部146によって、脚部制御部151aを介して脚部R1を駆動制御して右方向に向きを変え、カメラCを用いて右画像iiを撮影し、撮影した画像データを記憶部190に保存する。ロボットRは、同様に、右回りに90°ずつ向きを変え、うしろ画像iiiおよび左画像ivを撮影し、撮影した画像データを記憶部190に保存する。そして、左画像ivの撮影が終了すると、ロボットRは、さらに右回りに90°向きを変え、最初の移動方向を向いて静止する。
ステップS98において、無線環境に大きな変化を検出した場合は、前記したように周囲の画像を撮影して画像データを取得する(ステップS99)と共に、無線通信部160によって、受信した無線波を解析してロボットRと同規格の無線ノードと、そのトラフィックを検出して、他の無線機器が移動領域内に存在しないかを検索し、他の無線機器の存在の有無及びトラフィックを検索結果として記憶部190に保存する(ステップS100)。ここで、例えば、すべての無線ノードのトラフィックの総和が、ロボットRが送受信するデータ量よりも大きい場合は、無線環境が悪いと判断することができる。
そして、管理用コンピュータ3への通知が終了すると、ステップS102に進む。
また、タスクが終了していない場合は(ステップS102でNo)、ステップS90に戻り、タスクの実行を継続すると共に、総合無線環境マップの更新処理を繰り返す。
操作者は、端末7を用いて、例えば、無線環境に大きな変化のあった地点で撮影した画像データや無線環境データ等を参照して問題解析を行い、対策を検討することができる。
3 管理用コンピュータ
5 記憶部
62R、62L 6軸力センサ(移動検出手段)
110 画像処理部(移動検出手段)
140 主制御部
141 総合無線環境データ算出部(総合無線環境データ算出手段)
142 総合無線環境マップ作成部(総合無線環境マップ作成手段)
143 最適無線親機マップ作成部(最適無線基地局マップ作成手段)
144 総合無線環境マップ更新部(総合無線環境マップ更新手段)
145 無線親機異常通知部(無線基地局異常通知手段)
146 周囲画像取得部(周囲画像取得手段)
150 自律移動制御部(自律移動制御手段)
160 無線通信部(無線通信手段)
163 無線環境検出部(無線環境検出手段)
170 周辺状態検知部(自己位置認識手段)
190 記憶部(記憶手段)
A 移動ロボット制御システム
C カメラ(撮像手段)
R ロボット(移動ロボット)
R1 脚部(移動手段)
SR1 ジャイロセンサ(自己位置認識手段)
SR2 GPS受信器(自己位置認識手段)
Claims (9)
- 管理用コンピュータに接続された1以上の無線基地局を介して、前記管理用コンピュータとの間で無線通信すると共に、所定の移動領域において当該移動領域の地図データを利用して自律的に移動する移動ロボットであって、
前記無線基地局と無線通信を行う無線通信手段と、
前記無線通信手段と前記無線基地局との無線通信において、前記無線通信手段が受信する受信信号の無線強度を含む無線環境の良好度を示す複数種類の無線環境データを検出する無線環境検出手段と、
前記複数の無線環境データに所定の重み付けをした結果を示す総合無線環境データを算 出する総合無線環境データ算出手段と、
前記移動領域における自己の位置を認識する自己位置認識手段と、
前記移動領域の地図データを記憶する記憶手段と、
前記算出された総合無線環境データを、前記無線環境データを検出したときに前記自己 位置認識手段によって認識された位置に対応付けて、前記記憶手段に記憶された地図デ ータに書き込むことにより、総合無線環境マップを前記無線基地局毎に作成する総合無 線環境マップ作成手段と、を備えたことを特徴とする移動ロボット。 - 前記複数種類の無線環境データは、前記無線強度に関するデータを含み、さらに通信速度及び通信エラー回数及びデータ再送回数の内の少なくとも一つに関するデータを含むことを特徴とする請求項1に記載の移動ロボット。
- 前記記憶手段に記憶された地図データと、前記自己位置認識手段によって認識された位置とに基づいて、予め定められた位置へ自律的に移動し、その移動地点において、前記無線環境検出手段によって無線環境データを検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動ロボット。
- さらに、人物の移動方向と移動の速さとを検出する移動検出手段を有し、
前記移動検出手段によって検出した移動方向と移動の速さとで、前記人物と共に移動すると共に、前記人物と共に移動する経路上において、前記無線環境検出手段によって無線環境データを検出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動ロボット。 - 前記無線環境検出手段は、所定のタイミングで反復して前記無線環境データを検出すると共に、この反復して検出される無線環境データに基づいて、前記総合無線環境データ算出手段によって、前記総合無線環境データを算出し、
前記算出された総合無線環境データと、当該無線環境データを検出したときの位置に対応付けられて前記地図データに記録された前記総合無線環境データとを比較し、両者に所定値以上の差がある状態が所定回数以上連続した場合に、前記地図データに記録された前記総合無線環境データを、直近に算出された総合無線環境データに書き換えることによって、前記総合無線環境マップを更新する総合無線環境マップ更新手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の移動ロボット。 - 前記無線環境検出手段によって無線環境データを検出した自己の位置において、撮像手段で撮影された自己の周囲の画像を、前記無線環境データを検出した位置に対応付けて、前記記憶手段に保存する周囲画像取得手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の移動ロボット。
- 前記管理用コンピュータは複数の無線基地局と接続され、前記複数の無線基地局の何れか一つを介して前記管理用コンピュータとの間で無線通信する請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載の移動ロボットであって、
前記総合無線環境マップ作成手段によって前記複数の無線基地局毎に作成された複数の総合無線環境マップに基づいて、最良の総合無線環境データを有する無線基地局を、前記記憶手段に記憶された地図データに、位置に対応付けて書き込むことにより最適無線基地局マップを作成する最適無線基地局マップ作成手段を備えたことを特徴とする移動ロボット。 - 前記無線環境検出手段によって一の無線基地局に関する前記無線環境データを検出できなかった場合に、前記無線通信手段によって、前記一の無線基地局とは異なる他の無線基地局を介して、前記一の無線基地局に異常があることを前記管理用コンピュータに通知する無線基地局異常通知手段を、さらに備えたことを特徴とする請求項7に記載の移動ロボット。
- 前記総合無線環境マップ作成手段によって作成された総合無線環境マップを、前記無線通信手段によって、前記管理用コンピュータに送信することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか一項に記載の移動ロボット。
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