JP2008090177A - 光導波路 - Google Patents

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守弘 関
Tetsuya Hattori
哲也 服部
Chie Fukuda
智恵 福田
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Abstract

【課題】曲げ損失を低減可能かつ製造が容易な光導波路を提供すること。
【解決手段】光導波路1では、断面矩形状のコア12が下部クラッド11及び上部クラッド13に側面を覆われている。コア12の互いに対向する2つの側面12Sそれぞれの側に屈折率を高めるGeOの偏析部分Sが形成されている。また、コア12には、中央部の第1範囲12a及び端部を含む第2範囲12bがあり、第1範囲12aのコア幅は第2範囲12bのコア幅より狭く、第1範囲12aにおける偏析部分Sの領域と第2範囲12bにおける偏析部分Sの領域とは同程度の大きさである。
【選択図】図2

Description

本発明は、光導波路に関する。
光導波路のコアを小さい曲げ半径で曲げることにより、光導波路を小型化することがなされている。このためには、光導波路の曲げ損失を低減することが求められる。それには、コア層とクラッド層との比屈折率差を大きくすればよいことが知られている。しかし、比屈折率差を大きくすると、伝搬光のモード条件を満たすためにコア断面を小さくする必要がある。コア断面を小さくすると、光導波路とそれに接続する光ファイバとのスポットサイズが異なるために結合損失を招く。
この問題を解決する光導波路として、下記特許文献1には、コア長手方向に沿って端部側ほどコアの厚さが徐々に薄くなり幅が広くなるテーパー導波路が記載されている。
特開2005−326876号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載されたテーパー導波路の製造には、コアの厚さを徐々に薄くするための複雑な工程を複数必要とし、製造プロセスが煩雑になる。
そこで本発明は、曲げ損失を低減可能かつ製造が容易な光導波路を提供することを目的とする。
本発明の光導波路は、基板に形成された断面矩形状のコアを有する光導波路であって、コアにおいて互いに対向する2つの側面それぞれに沿って屈折率を高めるドーパントの偏析部分が形成されていることを特徴とする。
本発明の光導波路では、互いに対向する2つの側面それぞれの側に屈折率を高めるドーパントの偏析部分が形成されているので、2つの偏析部分の間の領域に対して偏析部分は屈折率が高くなる。つまり、コアの2つの側面の屈折率が高くなり、この部分がガイド導波路として機能する。これにより、曲げ損失を低減することができる。
好ましくは、コアの軸方向に沿った第1範囲におけるコア幅が他の第2範囲におけるコア幅より狭く、第1範囲における偏析部分の領域と第2範囲における偏析部分の領域とは同程度の大きさである。
この場合、第1範囲のコア領域に対する偏析部分の領域が、第2範囲のコア領域に対する偏析部分の領域より大きくなるので、第2範囲と比較して第1範囲のコア領域の屈折率が高くなる。これにより、第1範囲では第2範囲より更に曲げ損失を低減することができる。
好ましくは、第2範囲はコアの端部を含む。この場合、第2範囲に含まれる端部は、コア幅が第1範囲より広いので、光導波路に接続する光ファイバのスポットサイズに適合し、結合損失を低減することができる。
本発明の光導波路によれば、曲げ損失を低減することができる。また、この光導波路は容易に製造することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
先ず、図1および図2を用いて、本発明に係る光導波路の構造について説明する。図1は、本実施形態に係る光導波路のコア及び下部クラッドの形状を示す平面図である。図2は、本実施形態に係る光導波路の断面図である。
光導波路1は、下部クラッド11、コア12、及び上部クラッド13を備える。コア12は、断面矩形状で、その三つの側面が下部クラッド11に覆われている。下部クラッド11及びコア12の上面と上部クラッド13の下面とが互いに接している。下部クラッド11、コア12、及び上部クラッド13それぞれは、例えば石英ガラスを主成分とする材料からなる。
コア12は、石英ガラスに屈折率を高めるドーパントとしてGeOが添加され、コア12を取り囲む下部クラッド11及び上部クラッド13の屈折率より高い屈折率を有する。また、コア12は、下部クラッド11に覆われた側面のうち、互いに対向する側面12Sそれぞれに沿ってGeO濃度が他の部分より高い偏析部分Sを含む。2つの偏析部分Sは、コア12におけるその他の部分より屈折率が高い。この偏析部分Sは、側面12Sに接する側面を有し、断面が三角形状の領域である。このような偏析部分Sが形成されていることにより、コア12における側面12Sの対向方向の屈折率分布は、側面12S側が高く、中央部が低くなる。
また、コア12は、中央部がSinS字曲線状に形成され(第1範囲12a)、両端部が直線状に形成され(第2範囲12b)ている。両端部の2つの第2範囲12bは、互いに平行で、長手方向に対して垂直な方向にずれて配置されている。この2つの第2範囲12bをつなぐように第1範囲12aが配置されている。第1範囲12aの長手方向に対して垂直なI−I断面(第1範囲12a)を図2(a)に示す。第2範囲12bの長手方向に対して垂直なII−II断面(第2範囲12b)を図2(b)に示す。
第1範囲12aの高さ寸法h1と第2範囲12bの高さ寸法h2とは、同程度である。第1範囲12aの幅寸法(コア幅)w1は、第2範囲12bの幅寸法(コア幅)w2より狭い。
第1範囲12aおよび第2範囲12bにおいて、2つの偏析部分Sの断面形状は同形状で同程度の大きさである。よって、第2範囲12bにおいて偏析部分Sが占める割合より第1範囲12aにおいて偏析部分Sが占める割合の方が大きくなり、第1範囲12aの屈折率が第2範囲12bの屈折率より高くなる。
本実施形態の光導波路1では、側面12Sそれぞれの側に屈折率を高めるGeOの濃度が他の部分より高い偏析部分Sが形成されているので、2つの偏析部分Sの間の領域に対して偏析部分Sは、屈折率が高くなる。つまり、コア12の側面12S側の屈折率が高くなり、この部分がガイド導波路として機能し、曲げ損失を低減することができる。
また、第1範囲12aのコア領域に対する偏析部分Sの領域が、第2範囲12bのコア領域に対する偏析部分Sの領域より大きくなるので、第2範囲12bと比較して第1範囲12aのコア領域の屈折率が高くなる。これにより、第1範囲12aでは第2範囲12bより曲げ損失を低減することができる。
更に、軸方向両端に位置する第2範囲12bでは、コア幅が第1範囲12aより大きいので、両端に接続する光ファイバのスポットサイズに適合し、結合損失を低減することができる。
引き続き、図3〜図5を用いて、光導波路1の製造方法について説明する。図3は、本実施形態に係る光導波路の製造方法を示すフロー図である。図4は、本実施形態に係る光導波路の製造方法を示すI−I断面部分の工程図である。図5は、本実施形態に係る光導波路の製造方法を示すII−II断面部分の工程図である。
図3に示されるように、光導波路1の製造方法は、溝形成工程S1、ガラス層形成工程S2、レジスト層形成工程S3、除去工程S4、及び上部クラッド形成工程S5を有する。
溝形成工程S1では、図4(a)及び図5(a)に示す石英ガラス基板11Aの上面に、図4(b)及び図5(b)に示すように、フォトリソグラフィーとリアクティブイオンエッチングにより導波路パターンの溝を形成し、下部クラッド11を形成する。溝は、光導波路1のコア12の形状と同形状となるように形成される。すなわち、第1範囲12aに対応する部分の溝深さと第2範囲12bに対応する部分の溝深さとは同程度、第1範囲12aに対応する部分の溝幅は、第2範囲12bに対応する溝幅より狭い。溝幅の調整は、フォトマスクのパターン幅を変更するだけで簡易に調整することができる。
ガラス層形成工程S2では、図4(c)及び図5(c)に示すように、溝が形成された下部クラッド11の上面に、プラズマCVD法によりSiOのガラス膜12Aを成膜する。ガラス膜12Aの溝に堆積された部分がコア12となる。原料ガスとして、酸素、テトラメトキシシラン(TMOS)及びテトラメチルゲルマニウム(TMGe)を用いる。成膜条件は、通常(バイアスパワー600W程度)よりバイアスパワーを低下させる。
このように通常とは異なる条件でガラス膜12Aを形成することにより、GeOが添加された石英ガラスからなる層が形成されると共に、その溝内にはGeO濃度が他の部分より高い偏析部分Sを形成することができる。偏析部分Sは、溝の側面12Sから成長していき、最終的に長手方向に対して垂直な断面が三角形状となる。
GeO濃度が他の部分より高く偏析した部分は、溝の側面12Sに沿ってほぼ一様に成長していくので、溝幅が大きい部分と小さい部分とにおいて、形成される偏析部分Sの大きさは同程度となる。
なお、ガラス膜12Aは、下部クラッド11の溝だけでなく、平坦部にも形成される。下部クラッド11の平坦部におけるガラス膜12Aの上面は平坦であるが、下部クラッド11の溝におけるガラス膜12Aの上面は窪んでいる。
レジスト層形成工程S3では、図4(d)及び図5(d)に示すように、ガラス膜12Aの上面に厚膜レジスト14が形成される。具体的には、スピンコート法でポリイミド系樹脂、紫外線硬化樹脂、ノボラック系樹脂等からなる膜を形成し、下部クラッド11を円盤に載せて回転させることにより、厚膜レジスト14の上面を平坦化する。
除去工程S4では、まず、図4(e)及び図5(e)に示すように、ガラス膜12Aが露出するまで、酸素ガスで厚膜レジスト14をドライエッチングする。その後、図4(f)及び図5(f)に示すように、下部クラッド11が露出するまで、厚膜レジスト14の一部及びガラス膜12Aをドライエッチングする。このとき、溝の上部に残った厚膜レジスト14の一部とガラス膜12Aとのエッチング速度が同程度になるように、エッチングガスをCと酸素の混合ガスに切り替えて、上面が平坦化するようにエッチングを行う。こうして、コア12(第1範囲12a,第2範囲12b)が形成される。
上部クラッド形成工程S5では、図4(g)及び図5(g)に示すように、下部クラッド11およびコア12(第1範囲12a,第2範囲12b)の上面にプラズマCVD法により石英ガラス膜を堆積して上部クラッド13を形成する。
以上のように、ガラス膜12Aの成膜条件をコントロールすることにより、コア12の両側面12S側にGeOの偏析部分Sを簡易に形成することができる。よって、両側面12S側の屈折率が高く、曲げ損失の低い光導波路1を簡易に製造することができる。
また、第1範囲12aと第2範囲12bとの溝幅の変化は、フォトマスク上のコアパターン幅を変更して、下部クラッド11に形成する導波路パターンの幅を変化させることにより、容易に可能である。また、一様にガラス膜12Aを形成することにより、偏析部分Sの断面領域の大きさはほぼ一様となる。よって、第1範囲12aでは、コア領域に対する偏析部分Sの領域が第2範囲12bより大きくなるので、第2範囲12bと比較してコア領域の屈折率が高くなる。これにより、第1範囲12aでは第2範囲12bより曲げ損失が小さくなる。このように、曲げ損失が小さい部分を、所望の箇所に簡易に形成することができる。
本実施形態に係る光導波路1及びその製造方法の具体的な実施例について説明する。実施例の光導波路1の最小曲率半径は15mm程度、2つの第2範囲12bの変位(長手方向と垂直方向の距離)は127μm程度であった。第1範囲12aの深さ寸法h1は7.5μm、幅寸法w1は5.0μmであった。第2範囲12bの深さ寸法h2は7.5μm、幅寸法w2は7.5μm程度であった。偏析部分Sは、その三角形状の断面において、側面12Sに接する底辺から頂点までの距離が、2.5μm程度であった。
実施例の光導波路1は、コア12となるガラス膜12Aを形成するガラス層形成工程S2において、成膜条件をバイアスパワー500W、基板温度300℃、酸素流量120sccmとした。石英ガラスを基準とした比屈折率差が偏析部分Sで0.50%、コア12の偏析部分S以外の領域で0.35%であった。
コア形状が光導波路1と同形状で偏析部分のない光導波路では、曲げ損失が発生したが、上記実施例の光導波路1では曲げ損失の発生が認められず、曲げ損失について良好な特性が得られた。上記実施例の光導波路1の導波損失は0.05dB/cm、シングルモードファイバとの結合損失が0.1dB/Facet以下であり、上記偏析部分のない光導波路と同程度であった。
本実施形態に係る光導波路のコア及び下部クラッドの形状を示す平面図である。 本実施形態に係る光導波路の断面図である。 本実施形態に係る光導波路の製造方法を示すフロー図である。 本実施形態に係る光導波路の製造方法を示すI−I断面部分の工程図である。 本実施形態に係る光導波路の製造方法を示すII−II断面部分の工程図である。
符号の説明
1…光導波路、11…下部クラッド、12…コア、12S…側面、12a…第1範囲、12b…第2範囲、13…上部クラッド、S…偏析部分。

Claims (3)

  1. 基板に形成された断面矩形状のコアを有する光導波路であって、
    前記コアにおいて互いに対向する2つの側面それぞれに沿って屈折率を高めるドーパントの偏析部分が形成されていることを特徴とする光導波路。
  2. 前記コアの軸方向に沿った第1範囲におけるコア幅が他の第2範囲におけるコア幅より狭く、
    前記第1範囲における前記偏析部分の領域と前記第2範囲における前記偏析部分の領域とは同程度の大きさであることを特徴とする請求項1記載の光導波路。
  3. 前記第2範囲は、前記コアの端部を含むことを特徴とする請求項2記載の光導波路。
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