JP2004302241A - 光導波路およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】結合損失が小さく、複雑かつ高度なプロセスを必要とせずに簡易な方法で製造することができる光導波路およびその製造方法を提供するものである。
【解決手段】本光導波路100のコア103は、幅および高さが先端部105に向かって徐々に小さくなるように形成されているとともに、断面幅が高さ方向に向けて徐々に小さくなるように形成されているスポットサイズ変換部103bを備えている。本光導波路100の製造方法は、コア膜をエッチングすることにより、高さが一定で先端部に向けて幅が徐々に小さくなる形状からなる、断面矩形のコアを形成する工程と、断面矩形のコアをエッチングすることにより、断面幅が高さ方向に向かって徐々に小さく、かつ、高さが先端部に向かって徐々に低くなる形状のコアを形成する工程とを含む。
【選択図】 図1
【解決手段】本光導波路100のコア103は、幅および高さが先端部105に向かって徐々に小さくなるように形成されているとともに、断面幅が高さ方向に向けて徐々に小さくなるように形成されているスポットサイズ変換部103bを備えている。本光導波路100の製造方法は、コア膜をエッチングすることにより、高さが一定で先端部に向けて幅が徐々に小さくなる形状からなる、断面矩形のコアを形成する工程と、断面矩形のコアをエッチングすることにより、断面幅が高さ方向に向かって徐々に小さく、かつ、高さが先端部に向かって徐々に低くなる形状のコアを形成する工程とを含む。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野において広く使用される光導波路およびその製造方法に関し、特に、結合損失を少なくするスポットサイズ変換部を備えた光導波路及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体レーザダイオードや半導体光スイッチ等の光デバイスとシングルモード光ファイバとの間を光結合させる場合に、光デバイスの端面と光ファイバとを直接突き合わせて結合させると、光デバイスのスポットサイズ(ビームが一番絞られている部分におけるビーム半径)はシングルモード光ファイバのスポットサイズよりも数倍程度小さいため、結合部での結合損失が大きくなるという問題がある。さらに、スポットサイズが小さいビームを結合するときは、ビームの位置合わせを高精度に行う必要があり、工程が複雑化するとともに、歩留まりが劣化するという問題がある。
【0003】
また、光導波路や光ファイバを横断する溝を形成して、その溝に光学素子を埋め込んだ埋込型光部品では、光導波路等の端面が溝を挟んで対向している。その場合、光が一方の光導波路等の端面から出て他方の端面に到達するとき回折によってビーム半径が大きくなるほどの理由により結合損失が大きくなる。しかし、結合部におけるスポットサイズを拡大させることにより、回折によるビームの広がり角を小さくすることができる。すなわち、端面からの距離が同じ場合には、スポットサイズを拡大させないものと比較してビーム半径を小さくすることができるため、回折による損失を小さくすることができる。つまり、光導波路と光ファイバとの結合のようなビームの結合部においては、結合するビーム同士のスポットサイズを拡大して、ほぼ同一にすることにより、結合損失を低減できる。また、埋込型光部品の溝部で光導波路等の端面が離れて対向しているような部分では、光導波路などのスポットサイズを拡大することにより、回折による損失を低減することができる。
【0004】
従来においては、スポットサイズを拡大させる方法として、コアの高さを一定とし、断面幅のみをコアの先端部に向けてテーパー状に縮小させた光導波路が使用されていた。この光導波路は簡易な方法で製造することが可能であるが、高さが一定であるため結合損失の偏向依存性が大きくなるという問題があった。
【0005】
そこで、結合損失の偏向依存性を小さくするために、スポットサイズ変換部のコアを断面幅及び高さ方向ともにステップ状に縮小していた(特許文献1)。
【0006】
また、コアの断面幅及び高さの双方を、コアの先端に向かってテーパー状に縮小させてスポットサイズを拡大するとともに、偏向依存性を小さくして結合損失を小さくしていた。(特許文献2)。このテーパー部は次に説明する手順により形成される。基板上にアンダークラッドを成膜し、続いてアンダークラッドの上面から所定の距離を離して幅方向がテーパー状のストッパー膜を埋め込みつつコア層を成膜する。そして、所定のエッチングマスクを使用して、ストッパー膜領域ではストッパー膜までコア層をエッチングする。次に、ストッパー膜以外の領域ではストッパー膜より下方の位置までコア層をエッチングして、コア層に段差を形成する。そして、コア層の上にコアの段差が埋まるように膜厚2〜3μm程度の膜を成膜し、その後熱処理を行なって段差が滑らかに埋まるように成形する。テーパー部以外の余分な膜はエッチングにより除去することにより、断面幅及び高さをテーパー状に滑らかに変化させることができる。
【0007】
また、炭酸(CO2)レーザのような高出力レーザを用いて、レーザ照射により光導波路や光ファイバのごく一部のみを加熱し、コアのドーパントをクラッド部に拡散させることによりスポットサイズを拡大させていた(特許文献3)。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−171020号公報(段落[0010]、[0011]、第1図)
【特許文献2】
特開2002−156539号公報(段落[0018]−[0027]、第1図)
【特許文献3】
特開平4−220609号公報(段落[0008]−[0010]、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されている光導波路では、数μm程度の厚さを数段のステップで大きく変化させることにより、急激なステップ部分において放射による過剰損失は大きくなる。また、コアの断面形状が矩形状であるため、コアとアンダークラッドとの密着性が悪かった。そのため、コア内の光がクラッドに漏出し、損失が大きくなってしまっていた。さらに、ステップ段階を増やすことにより過剰損失の低減は可能であるが、パターニング工程と成膜を繰り返す必要があり、複数の段差を作成すると工程数が増えるため量産向きではなかった。
【0010】
また、特許文献2に記載の光導路によれば、断面幅および高さ方向をテーパー状に滑らかに変化させることができるが、コア層を段差にするためにコア層の内部にストッパー膜を埋め込み、段差を作製した後にこの段差が滑らかに埋まるように膜を成膜して熱処理をする必要がある。従って、このような導波路を形成するには工程数が多くなるとともに複雑かつ高度なプロセス技術が必要であり、生産性が悪く量産向きではなかった。また、コアの断面形状が矩形状であるため、コアとアンダークラッドとの密着性が悪く、その部分での損失が大きかった。
【0011】
また、特許文献3に記載されている光導波路によれば、結合損失の偏向依存性を小さくすることができ、かつ、スポットサイズを拡大することが可能となるが、レーザにより一ヶ所ずつ加熱するため、導波路が数十本におよぶアレイ導波路を加熱処理するときには数時間も時間がかかり、生産性が悪く量産向きではなかった。
【0012】
本発明は、上記の問題を解決するものであり、結合損失の偏向依存性を小さくするとともに、コアとアンダークラッドとの密着性を高めることにより、結合損失を小さくすることが可能な光導波路を提供するものである。また、コアを自己整合的に制御して形成することにより、複雑かつ高度なプロセスを必要とせずに簡易な方法で本発明の光導波路を製造することができる製造方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、クラッドと、該クラッド内に形成されたコアとを含み、前記コアは、先端部に向かって幅および高さが徐々に変化するように形成され、かつ、断面幅が高さ方向に向かって徐々に小さくなるように形成されたスポットサイズ変換部を有することを特徴とするものである。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記コアの前記スポットサイズ変換部は、前記先端部に向かって、前記幅の変化に対応して、前記高さが変化するように形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の光導波路において、前記コアの前記スポットサイズ変換部は、前記先端部に向かって、前記幅および前記高さが徐々に縮小され、先細り状に形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3に記載の光導波路において、前記コアの前記スポットサイズ変換部は、その断面が略三角形状または略台形状に形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項5記載の発明は、高さが一定で、かつ幅が徐々に変化する形状からなる、断面がほぼ矩形のコアを形成する第1の工程と、前記断面がほぼ矩形のコアをエッチングすることにより、断面幅が高さ方向に向かって徐々に小さくなる形状、かつ、前記コアの幅の変化に対応して高さが徐々に変化する形状のコアを形成する第2の工程と、を含む光導波路の製造方法であることを特徴とするものである。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の光導波路の製造方法であって、前記第1の工程は、アンダークラッド上にコア膜を成膜する工程と、前記コアの幅の変化を設定するために、前記幅が徐々に変化する形状のマスクを前記コア膜上に形成するマスク工程と、フォトリソグラフィおよびエッチングにより前記コア膜からコアを形成するコア形成工程を含み、前記第2の工程により、前記コア形成工程により形成された前記コアの幅の変化に対応して、前記コアの高さが徐々に変化する形状のコアを形成する光導波路の製造方法であることを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例について、図1ないし図14を参照しながら詳しく説明する。図1乃至図6、図11および図12は本発明の第1の実施形態の光導波路100に関する図であり、図7乃至図9、図13および図14は、第2の実施形態の光導波路200に関する図である。また、図10は、本発明の光導波路の応用の一態様としての集積光モジュール500の上面図を示している。
【0020】
図1は、第1の実施形態の光導波路100の構成の概略を示す斜視図である。また、図2は、光導波路100を構成するコア103の形状を示しており、図2(a)はその上面図、図2(b)は図2(a)におけるA−A’断面図、図2(c)は図2(a)におけるB−B’断面図、図2(d)は図2(a)におけるC−C’断面図をそれぞれ示している。また、図3乃至図5は、光導波路100の製造方法の一例を説明するための図である。また、図6は、光導波路100の作用を示す説明図である。さらに、図11および図12は、光導波路100の別の製造方法を説明するための図である。
【0021】
更に、図7は、第2の実施形態の光導波路200の構成の概略を示す斜視図である。また、図8は、光導波路200を構成するコア203の形状を示しており、図8(a)はその上面図、図8(b)は図8(a)におけるA−A’断面図、図8(c)は図8(a)におけるB−B’断面図、図8(d)は図8(a)におけるC−C’断面図をそれぞれ示している。また、図9は、光導波路200の製造方法の一例を説明するための図である。さらに、図13および図14は、光導波路200の別の製造方法を説明するための図である。
【0022】
本発明に係る光導波路100、200は、一例として、図10に示す集積光モジュール500に実装されるような光導波路を提供するためのものである。この集積光モジュール500は、例えば、光ファイバ510および520の間に配置されている。集積光モジュール500は、基板501と、その上に実装された光導波路502や埋め込み素子503とを含んで構成されている。埋め込み素子503としては、例えばバンドパスフィルタやアイソレータなどが使用されている。本発明に係る光導波路は、集積光モジュール500が光ファイバ510や520に結合される結合部分502aや、光導波路502が埋め込み素子503に結合される結合部分502bなどに特徴を有するものである。光ファイバ510や520は、結合部分502aでの接続損失を低減させるために、スポットサイズを拡大した光ファイバを用いることが好ましい。
【0023】
[第1の実施の形態]
(構成)
図1に示すように、第1の実施形態の光導波路100は、石英(SiO2)基板101上に形成されたSiO2からなるアンダークラッド102と、このアンダークラッド102上に形成されたコア103と、アンダークラッド102上に形成され、コア103の周囲を取り囲むように設けられたSiO2からなるオーバークラッド104とを含み構成されている。コア103は、GeがドープされたSiO2からなり、アンダークラッド102およびオーバークラッド104と比べて僅かに大きな屈折率を有している。なお、本実施形態では、基板として石英を使用したが、Si基板やセラミック基板を採用することもできる。
【0024】
次に、図2を参照しながら、コア103の形状について詳述する。まず、図2(a)に示すように、コア103は、その底面(アンダークラッド102との接触面)の幅w5が一定に形成された、光を案内するための導波部103aと、この導波部103aの端部に形成され、上記光のスポットサイズを変換するためのスポットサイズ変換部103bとを有している。なお、スポットサイズ変換部103bの先端部105の底面の幅はw6(<w5)で、スポットサイズ変換部103bの幅wは先端部に向けて徐々に小さくなるよう形成されている。
【0025】
更に、図2(b)に示すように、導波部103aは、その高さh4も一定となるように形成されている。また、スポットサイズ変換部103bの高さhは、高さh4から先端部105に向けて徐々に低くなり、先端部105においてh5(<h4)とされている。
【0026】
図2(c)および図2(d)に示すコア103の断面図を更に参照して、コア103の形状についてより詳細に説明をする。両図に示すように、コア103の短手方向、すなわち、光の伝播方向と直交する方向における断面は、アンダークラッド102と接している辺を底辺とする三角形状をなしている。
【0027】
なお、コア103の断面のこの三角形状は、図示をする上での便宜的なものである。実際には、その頂点は丸みを帯びた形状となる場合もあり、また、その斜辺は曲線状となる場合もある。より詳しくは、図2(c)に示すように、導波部103aの断面形状は、底辺の幅w5を断面幅uの最大値とし、高さ方向へと向かうに連れて徐々に断面幅uが小さくなっていくように形成されている。また、先端部105においては、図2(d)にあるように、底辺の幅w6を断面幅vの最大値とし、高さ方向へと向かうに連れて徐々に断面幅vが小さくなっていくように形成されている。ここで、両図に示すコア103の断面形状は、ほぼ相似関係を有するようになっている。また、図示はしないが、スポットサイズ変換部103bの任意の位置での断面形状も、両図に示す断面形状とほぼ相似関係となっている。以下、これを踏まえた上で、コア103の断面形状を三角形状と称することとする。
【0028】
(作用)
以上のようなコア形状を備えた本実施形態の光導波路100によれば、次のような好適な作用が奏されることとなる。
【0029】
第1に、コア103のスポットサイズ変換部103bが幅および高さの双方向において先細り状となるよう形成されているため、適切にスポットサイズを拡大し、回折による光の広がり角度を小さくすることが可能となる。図6はこの作用の概略を示している。同図には、スポットサイズ変換部103bを有する本実施形態の光導波路100とともに、このようなスポットサイズ変換部103bを有しない従来の光導波路400(図中の点線部400)が重ねて示されている。
【0030】
従来の光導波路400によれば、その先端部から出射された光は、同図中の破線402で示されているように回折し、広がる。一方、本実施形態の光導波路100を出射した光は、実線401で示すように回折し、広がる。即ち、光導波路100によれば、従来の光導波路400よりも光の広がり角が小さくなるため、光ファイバや埋め込み素子などとの結合部分における損失が低減されることとなる。また、結合部分における位置合わせ精度も緩和される。
【0031】
また、第2には、コア103の側面部(コア103とオーバークラッド104とが接触する面)とコア103底面部(コア103とアンダークラッド102とが接する面)とのなす角が直角よりも(十分に)小さな角度となるように形成されていることから、コア103をアンダークラッド102上に十分な密着性をもって設けることができる。よって、コア103内を伝送される光は、アンダークラッド102との境界面で効率的に反射され、アンダークラッド102に無駄に漏出することがないため、確実にコア103内に光を閉じ込めることが可能となる。したがって、更なる損失の低減を図ることが可能となる。
【0032】
(製法)
次に、このような光導波路100の製造方法について図2乃至図5を参照しながら説明する。図3は、本発明の実施形態において、光導波路の製造手順を示した図である。まず、図3(a)に示すように、石英基板301上にプラズマ化学気相堆積法(プラズマCVD法)やRFスパッタリング法などによりSiO2からなるアンダークラッド302を成膜する。本実施形態においてはプラズマCVD法を用いたが、常圧化学気相堆積法(APCVD法)、減圧化学気相堆積法(LPCVD法)または火炎直接堆積法(Flame Hydrolysis Deposition、FHD法)などを用いても成膜することができる。また、本実施形態においてはアンダークラッドとしてSiO2を石英基板301上に成膜したが、石英基板301をアンダークラッドとして使用し、直接石英基板301上にコアを形成してもよい。
【0033】
次に図3(b)に示すように、アンダークラッド302の上に、GeをドープしたSiO2からなるコア層303をプラズマCVD法やRFスパッタリング法等により成膜する。コア層についてもアンダークラッドと同様に、APCVD法、LPCVD法またはFHD法などを用いて成膜することも可能である。ここで、ドーパントは、コア層303の屈折率がクラッドより僅かに高くなり、適切に光を閉じ込められるように選ぶことが望ましい。また、クラッドにドープしてもよく、Ge以外にP、BまたはF等であってもよい。
【0034】
次に、図3(c)に示すように、コア層303上にマスクとなる金属層304をスパッタリング法で成膜する。この金属層304は例えば、WSiX(Xは1以上の整数であり、例えばWSi1やWSi2である。)が使用されるが、その他、チタンやクロム等を使用してもよい。そして、図3(d)に示すように、フォトリソグラフィ技術によってレジストパターン305を形成する。ここで、第1の実施形態におけるパターン形状は、図5(a)に示す平面図のように、底面の幅が一定の部分と、底面の幅が先端部に向けて徐々に小さくなるような部分とで形成されている。次に、図3(e)に示すように、レジストパターン305をマスクとして反応性イオンエッチングによって金属層304をエッチングし、金属マスク306を形成する。
【0035】
そして、図3(f)に示すように、金属マスク306をマスクとしてコア層303をエッチングし、断面が矩形状のコア307を形成する。その後、金属マスク306をドライエッチング法により除去することにより、図3(g)に示すように、アンダークラッド302上に形成された矩形状のコア307の上面を露出させる。
【0036】
このときの、コア307の形状を図5を参照しながら説明する。図5(a)に示すように、導波部103aの底面の幅はw1で一定に形成され、スポットサイズ変換部103bの底面の幅wは、先端部105に向けて幅w1から幅w2へと小さくなっている。
【0037】
また、図5(b)に示すように、導波部103aの高さh1は一定に形成され、スポットサイズ変換部103bの高さhは、導波部103aの高さh1と同じになるように形成されている。
【0038】
さらに、図5(c)に示すように、導波路103aの断面は幅が幅w1で高さが高さh1の矩形状の形状をなしている。また、先端部105においても、図5(d)に示すように、幅が幅w2で高さが高さh1の矩形状の形状をなしている。
【0039】
そして、Arのプラズマでコア307をスパッタエッチングすると、断面が矩形状であったコア307の上部の2点の角がコア307の上面や側面に比べてより多くエッチングされる。
【0040】
そして、図3(h)に示すように断面形状がほぼ六角形状となっていき、さらにエッチングを進めると、コア307の上部の2点の角がコア307の上面や側面に比べてより多く削られ、図3(i)に示すようにほぼ三角形状となっていく。
【0041】
このときのコア307の高さは、底面の幅に応じて自己整合的に変化する。この現象について、さらに図4を参照しつつ説明する。図4(a)は、Arのプラズマでコア307をスパッタエッチングする前の、導波路103aおよびスポットサイズ変換部103bの断面形状を示した図である(図3(g)に対応)。スパッタエッチング前においては、導波路103aおよびスポットサイズ変換部103bの高さhは、高さh1で一定である。また、導波路103aの底面の幅はw1であり、スポットサイズ変換部103bの底面の幅はw2である。
【0042】
そして、スパッタエッチングを行うと、コア307は削られていく。特に図4(b)に示すように、コア307の角は上面や側面と比べてより多く削られ、断面形状はほぼ六角形状になっていく(図3(h)に対応)。このとき、本実施形態においては、導波路103aの高さは高さh2(<h1)となる。スポットサイズ変換部103bの高さは高さh3(<h2)となる。このとき、コア307の底面の幅も同時に減少していき、導波路103aの底面の幅は、幅w1から幅w3(<w1)に変化し、スポットサイズ変換部103bの底面の幅は、幅w2から幅w4(<w2)に変化していく。
【0043】
さらにエッチングを行うと、コア307はさらに削られていく。このときも、コア307の角は上面や側面よりも多く削られていき、図4(c)に示すように、導波路103aおよびスポットサイズ変換部103bの断面形状はほぼ三角形状となる(図3(i)に対応)。このとき、エッチングによってコア307はさらに削られるため、導波路103aの高さは高さh4(<h2)となり、スポットサイズ変換部103bの高さは高さh5(<h3)となる。導波路103aの高さh4とスポットサイズ変換部103bの高さh5との関係は、前述したように、スポットサイズ変換部103bの幅w4は、導波路103aの幅w3より細いため、導波路103aと比べて高さ方向にもよくエッチングされ、スポットサイズ変換部103bの高さh5は導波路103aの高さh4よりも低くなる(h5<h4)。そして、同時に、コア307の底面の幅もさらに減少し、導波路103aの底面の幅は、幅w3から幅w5(<w3)に変化し、スポットサイズ変換部103bの底面の幅は、幅w4から幅w6(<w4)に変化していく。
【0044】
さらにエッチングを続けると、コア307の断面形状は先端部105の方向に向かい、ほぼ相似形を保ちながら断面幅および高さが小さくなる。また、このように自己整合的に制御できることを利用して、断面形状を略正三角形または略二等辺三角形にすることもできる。また、コアの断面形状は幾何学的な台形や三角形に限られず、角が丸みを帯びていてもよく、辺が直線でなくともよい。
【0045】
このようにArによるスパッタエッチングを行うと、図2に示す第1の実施形態のコアの形状が得られる。図2(a)に示すように、スポットサイズ変換部103bの底面の幅wは、導波部103aの端部からスポットサイズ変換部103の先端部105に向けて幅w5から幅w6へと徐々に小さくなるように形成されている。
【0046】
更に、図2(b)に示すように、スポットサイズ変換部103bの高さhは、高さh4からスポットサイズ変換部103の先端部105に向けて徐々に低くなり、先端部105においてh5となる。
【0047】
スパッタエッチングによりコア307が削られるため、図2(c)および図2(d)に示すように、コア103の断面幅は高さ方向に向かって小さくなり、例えば両図に示すように断面形状は三角形となる。
【0048】
これにより、スポットサイズ変換部103bを断面幅および高さの双方において先細り状となるように形成することができる。
【0049】
Arガスによるスパッタエッチングを行った後、図3(j)に示すように、アンダークラッド302およびコア307上にプラズマCVD法またはRFスパッタリング法によりSiO2からなるオーバークラッド308を成膜し、光導波路を作成する。このオーバークラッド308についても、先述したアンダークラッドおよびコア層と同様にAPCVD法、LPCVD法またはFHD法などを使用して成膜することができる。
【0050】
また、第1の実施形態における光導波路100は次のような方法によっても製造することができる。ここで、図11および図12を参照しつつその方法について説明する。
【0051】
まず、前述した図3(a)および図3(b)に示すように、石英基板301上にアンダークラッド302を成膜し、その上にコア層303をプラズマCVD法などにより成膜する。次に、図3(c)に示すように、コア層303上にマスクとなる金属層304をスパッタリング法で成膜する。そして、図3(d)に示すように、フォトリソグラフィ技術によってレジストパターン305を形成する。
【0052】
このレジストパターン305を形成するときのパターン形状は、例えば、図11(a)の平面図に示されているパターンのように、パターンの両端の幅が一定の部分と、パターンの中央部付近に向けて幅が、両端の幅より徐々に細くなるような部分と、から形成されている。また、このパターン形状に限らず、図11(a)に示されているパターン形状を複数個つなげたパターンであっても構わない。次に、図3(e)に示すように、レジストパターン305をマスクとして反応性イオンエッチングによって金属層304をエッチングし、金属マスク306を形成する。
【0053】
そして、図3(f)に示すように、金属マスク306をマスクとしてコア層303をエッチングし、断面が矩形状のコア307を形成する。その後、金属マスク306をドライエッチング法により除去することにより、図3(g)に示すように、アンダークラッド302上に形成された矩形状のコア307の上面を露出させる。
【0054】
このときの、コア307の形状について図11を参照しながら説明する。図11(a)に示すように、コア307の両端に形成され、底面の幅wが一定の幅w1で形成されている導波部103aと、導波部103aの端面からコアの中心部106に向けて底面の幅wが幅w1から幅w2(<w1)へと徐々に細くなっている、スポットサイズ変換部103bとで形成され、コアの中心部106においては、幅w2(<w1)となっている。また、上述したように、図11(a)に示されているパターン形状を複数個つなげたパターンを使用してコアを形成した場合には、導波部103aとスポットサイズ変換部103bが複数個つながったコアが形成される。
【0055】
また、図11(b)に示すように、導波部103aの高さh1は一定に形成され、スポットサイズ変換部103bの高さhも、導波部103aの高さh1と同じになるように形成されている。
【0056】
さらに、図11(c)に示すように、導波部103aの断面の幅が幅w1で高さが高さh1の矩形状の形状をなしている。また、コアの中心部106においても、図11(d)に示すように、幅が幅w2で高さが高さh1の矩形状の形状をなしている。
【0057】
そして、Arのプラズマでコア307をスパッタエッチングすると、上述したように断面が矩形状であったコア307の上部の2点の角がコア307の上面や側面に比べてより多くエッチングされ、図3(h)に示すように断面形状がほぼ六角形状となっていき、さらにエッチングを進めると、コア307の上部の2点の角がコア307の上面や側面に比べてより多く削られ、図3(i)に示すようにほぼ三角形状となっていく。
【0058】
このときのコア307の高さは、上述したように底面の幅に応じて自己整合的に変化し、底面の幅が広ければ細い場合と比べて高さ方向にはあまりエッチングされず、その結果高さは高くなる。底面の幅が細ければ広い場合と比べて高さ方向もよくエッチングされ、底面の幅が広い部分と比較して高さは低くなる。
【0059】
このようにArによるスパッタエッチングを行うと、図12に示すコアの形状が得られる。図12(a)に示すように、導波部103aの底面の幅は、一定の幅w5となっており、スポットサイズ変換部103bの底面の幅は、導波部103aの端面からコアの中心部106に向けて幅w5から幅w6(<w5)へと徐々に細くなっており、コアの中心部106においては、幅w6(<w5)となっている。
【0060】
更に、図12(b)に示すように、導波部103aの高さは、一定の高さh4となっており、スポットサイズ変換部103bの高さは、導波部103aの端面からコアの中心部106に向けて高さh4から高さh5(<h4)へと徐々に低くなっており、コアの中心部106においては、高さh5(<h4)となっている。
【0061】
スパッタエッチングによりコア307が削られるため、図12(c)および図12(d)に示すように、断面幅は高さ方向に向かって小さくなり、例えば両図に示すように断面形状は三角形となる。
【0062】
以上の工程により、コアの中央部付近に向かって底面の幅が細くなるとともに、高さが低くなるコアを作製することが可能となる。そして、例えば、コアの中心部106を切断することにより、図1および図2に示す第1の実施形態のコアの形状が得られる。ここで、コアの中心部106がコア先端部105となる。これにより、スポットサイズ変換部103bを断面幅および高さの双方において先細り状となるように形成することができる。
【0063】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施形態の光導波路について説明する。当該光導波路は、光導波路100と同様の作用を有するものである。
【0064】
図7に示すように、第2の実施形態の光導波路200は第1の実施形態と同様に、石英基板201上に形成されたSiO2からなるアンダークラッド202と、このアンダークラッド202上に形成されたコア203と、アンダークラッド202上に形成され、コア203の周囲を取り囲むように設けられたSiO2からなるオーバークラッド204とを含み構成されている。コア203は、GeがドープされたSiO2からなり、アンダークラッド202およびオーバークラッド204と比べて僅かに大きな屈折率を有している。
【0065】
次に、図8を参照しながら、コア203の形状について詳述する。まず、図8(a)に示すように、コア203は、その底面の幅w9が一定に形成された導波部203aと、この導波部203aの端部に形成されたスポットサイズ変換部203bとを有している。なお、スポットサイズ変換部203bの先端部205の底面の幅はw10(>w9)で、スポットサイズ変換部203bの幅wは先端部に向けて徐々に大きくなるよう形成されている。
【0066】
更に、図8(b)に示すように、導波部203aは、その高さh8も一定となるように形成されている。また、スポットサイズ変換部103bの高さhは、高さh8から先端部105に向けて徐々に高くなり、先端部205においてh7(>h8)とされている。
【0067】
図8(c)および図8(d)に示すコア203の断面図を更に参照して、コア203の形状についてより詳細に説明をする。両図に示すように、コア203の短手方向、すなわち、光の伝播方向と直交する方向における断面は、アンダークラッド202と接している辺を底辺とする三角形状をなしている。
【0068】
なお、コア203の断面のこの三角形状は、図示をする上での便宜的なものである。実際には、前述した第1の実施形態と同様に、その頂点は丸みを帯びた形状となる場合もあり、また、その斜辺は曲線状となる場合もある。より詳しくは、図8(c)に示すように、導波部203aの断面形状は、底辺の幅w9を断面幅uの最大値とし、高さ方向へと向かうに連れて徐々に断面幅uが小さくなっていくように形成されている。また、先端部205においては、図8(d)にあるように、底辺の幅w10を断面幅vの最大値とし、高さ方向へと向かうに連れて徐々に断面幅vが小さくなっていくように形成されている。ここで、両図に示すコア203の断面形状は、ほぼ相似関係を有するようになっている。また、図示はしないが、スポットサイズ変換部203bの任意の位置での断面形状も、両図に示す断面形状と相似関係となっている。
【0069】
以上のようなコア形状を備えた第2の実施形態の光導波路200によれば、前述した第1の実施形態と同様に、適切にスポットサイズを拡大し、回折による光の広がり角度を小さくすることが可能となる。従って、光デバイスと光ファイバなどとの結合部における結合損失を少なくすることができる。さらに、コア203をアンダークラッド202上に十分な密着性をもって設けることができるため、確実に光をコア203内に閉じ込めることが可能となり、更に損失を軽減することができる。
【0070】
以下、このような光導波路200の製造方法について図3、図8および図9を参照しつつ説明する。前述した第1の実施形態と同様に、図3(a)および図3(b)に示すように、石英基板301上にアンダークラッド302を成膜し、その上にコア層303をプラズマCVD法などにより成膜する。
【0071】
そして、図3(c)乃至図3(e)に示すように、コア層303上に金属マスク306を形成する。ここで、第2の実施形態における金属マスクのパターン形状は、図9(a)に示す平面図のように、底面の幅が一定の部分と、底面の幅が先端部に向けて徐々に大きくなるような部分とで形成されている。
【0072】
その後、図3(e)乃至図3(f)に示すエッチング工程を経て、図3(g)に示すように断面形状が矩形状のコア307を形成する。
【0073】
このときのコア307の形状を、図9を参照しながら説明する。図9(a)に示すように、導波部203aの底面の幅はw7で一定に形成され、スポットサイズ変換部203bの底面の幅wは、先端部205に向けて幅w7から幅w8へと広くなっている。
【0074】
また、図9(b)に示すように、導波部203aの高さh6は一定に形成され、スポットサイズ変換部203bの高さhは、導波部203aの高さh6と同じになるように形成されている。
【0075】
さらに、図9(c)に示すように、導波路203aの断面は幅が幅w7で高さが高さh6の矩形状の形状をなしている。また、先端部205においても、図9(d)に示すように、幅が幅w8で高さが高さh6の矩形状の形状をなしている。
【0076】
そして、Arのプラズマでコア307をスパッタエッチングすると、前述した第1の実施形態と同様に、断面が矩形状であったコア307の上部の2点の角がコア307の上面および側面に比べて多く削られる。その結果、図3(h)に示すように断面形状がほぼ六角形状となり、さらにエッチングを進めると、図3(i)に示すようにほぼ三角形となっていく。このときのコア307の高さは、前述した第1の実施形態と同様に、底面の幅に応じて自己整合的に変化していく。
【0077】
このようにArによるスパッタエッチングを行うと、図7に示す第2の実施形態のコアの形状が得られる。図8(a)に示すように、スポットサイズ変換部203bの底面の幅wは、導波部203aの端部からスポットサイズ変換部203bの先端部205に向けて幅w9から幅w10へと徐々に大きくなるように形成されている。
【0078】
更に、図8(b)に示すように、スポットサイズ変換部203bの高さhは、高さh8からスポットサイズ変換部203bの先端部205に向けて徐々に高くなり、先端部205においてh7とされる。
【0079】
スパッタエッチングによりコア307が削られるため、図8(c)および図8(d)に示すように、コア203の断面幅は高さ方向に向かって小さくなり、例えば両図に示すように断面形状は三角形となる。
【0080】
これにより、スポットサイズ変換部203bを断面幅および高さの双方において先端部205に向けて大きくなるように形成することができる。
【0081】
また、第2の実施形態における光導波路200は次のような方法によっても製造することができる。この方法について、図13および図14を参照しつつ説明する。
【0082】
上述したように、図3(a)および図3(b)に示すように、石英基板301上にアンダークラッド302を成膜し、その上にコア層303をプラズマCVD法などにより成膜する。
【0083】
そして、図3(c)乃至図3(e)に示すように、コア層303上に金属マスク306を形成する。ここで、第2の実施形態における金属マスクのパターン形状は、図13(a)の平面図に示されているパターンのように、パターンの両端の幅が一定の部分と、パターン中央部付近に向けて幅が、徐々に太くなるような部分と、から形成されている。また、このパターン形状に限られず、図13(a)に示されているパターン形状を複数個つなげたパターンであっても構わない。
【0084】
その後、図3(e)乃至図3(f)に示すエッチング工程を経て、図3(g)に示すように断面形状が矩形状のコア307を形成する。
【0085】
このときのコア307の形状を、図13を参照しながら説明する。図13(a)に示すように、底面の幅wが一定の幅w7で形成されている導波部203aと、導波部203aの端面からコアの中心部206に向けて底面の幅wが幅w7から幅w8(>w7)へと徐々に太くなっている、スポットサイズ変換部203bとで形成され、コアの中心部206においては、幅w8(w>7)となっている。また、上述したように、図13(a)に示されているパターン形状を複数個つなげたパターンを使用してコアを形成した場合には、導波部203aとスポットサイズ変換部203bが複数個つながったコアが形成される。
【0086】
また、図13(b)に示すように、導波部203aの高さh6は一定に形成され、スポットサイズ変換部203bの高さhも、コアの両端部の高さh6と同じになるように形成されている。
【0087】
さらに、図13(c)に示すように、導波部203aの断面の幅が幅w7で高さが高さh6の矩形状の形状をなしている。また、コアの中心部206においても、図13(d)に示すように、幅が幅w8で高さが高さh6の矩形状の形状をなしている。
【0088】
そして、Arのプラズマでコア307をスパッタエッチングすると、前述した第1の実施形態と同様に、断面が矩形状であったコア307の上部の2点の角がコア307の上面および側面に比べて多く削られる。その結果、図3(h)に示すように断面形状がほぼ六角形状となり、さらにエッチングを進めると、図3(i)に示すようにほぼ三角形となっていく。このときのコア307の高さは、前述した第1の実施形態と同様に、底面の幅に応じて自己整合的に変化していく。
【0089】
このようにArによるスパッタエッチングを行うと、図14に示すコアの形状が得られる。図14(a)に示すように、導波部203aの底面の幅は、一定の幅w9となっており、スポットサイズ変換部203bの底面の幅は、導波部203aの端面からコアの中心部206に向けて幅w9から幅w10(>w9)へと徐々に太くなっており、コアの中心部206においては、幅w10(>w9)となっている。
【0090】
更に、図14(b)に示すように、導波部203aの高さは、一定の高さh8となっており、スポットサイズ変換部203bの高さは、導波部203aの端面からコアの中心部206に向けて高さh8から高さh7(>h8)へと徐々に高くなっており、コアの中心部206においては、高さh7(>h8)となっている。
【0091】
スパッタエッチングによりコア307が削られるため、図14(c)および図14(d)に示すように、断面幅は高さ方向に向かって小さくなり、例えば両図に示すように断面形状は三角形となる。
【0092】
以上の工程により、中央部付近に向かって底面の幅が太くなるとともに、高さが高くなるコアを作製することが可能となる。そして、例えば、コアの中心206を切断することにより、図7および図8に示す第2の実施形態のコアの形状が得られる。ここで、コアの中心部206がコア先端部205となる。これにより、スポットサイズ変換部203bを断面幅および高さの双方において先端部205に向けて大きくなるように形成することができる。
【0093】
上述した各製造方法では、クラッドの上に所定の形状のマスクをしてスパッタリングを行うことにより本発明に特徴的なコア形状を形成している。ところで、従来から、クラッド上にマスクをしてクラッド自体を所定の形状に加工し、そこにコアを埋め込む製造方法もある。しかし、本発明のコア形状を実現するためにこの方法を採用すると様々な困難が生じてしまう。
【0094】
例えば、クラッドにコアを埋め込む過程で、コアの平坦化を図るためにCMP(Chemical Mechanical Polishing)法によりコアを研磨する必要がある。しかし、CMP法を使用すると工程数が多くなり、簡易な方法で光導波路を作製することができない。また、CMP法による研磨のばらつきを抑えるために、研磨圧力、回転数および研磨剤の流量を制御する必要がある。さらに、研磨後の平坦度はパターンの大きさにも依存するので、CMP法の制御のみならず光導波路のパターン作製時においても後工程のCMP法を考慮に入れて精密に制御する必要がある。さらに、CMP法を採用する場合は、基板表面に対する欠陥と不純物についても対処する必要がある。基板表面の欠陥は、研磨終了後の洗浄が不十分であった場合に、研磨剤に含まれる砥粒が基板表面に残留してしまうこと等により発生する。このような欠陥を発生させないためには、研磨終了後の洗浄方法や研磨剤を調整する必要がある。また、不純物については、ブラシで基板表面を擦るブラシスクラブ法により取り除く必要があるため、工程数が更に増加することとなる。従って、CMP法により研磨を行なうと、研磨後に基板を特別な条件の下で洗浄する必要があるため、工程数が多くなり生産性が悪く量産向けではなかった。結局、本発明の実施形態のように製造した方が、工程数も少なくて済むので生産性が良くなる。
【0095】
本発明は、以上の実施の形態に限られず、その要旨の範囲内において変更可能である。例えば、オーバークラッドを設けずにアンダークラッドとコアとによって、本発明の光導波路を形成することも可能である。さらに、コアを、金型を用いて作製することもできる。例えば、金型により、コア形状の溝を有するクラッドを作製し、その溝にコアとなる材料を流し込むことによりコアを作製することもできる。
【0096】
【発明の効果】
請求項1乃至請求項4に記載の光導波路によれば、結合損失の偏向依存性を小さくするとともに、コアとアンダークラッドとの密着性を高めることができるため、結合損失を小さくすることが可能となる。
【0097】
また、請求項5または請求項6に記載の光導波路の製造方法によれば、自己整合的に制御してコアの幅および高さをテーパー状にして先端部に向けて変化させることができるため、複雑かつ高精度なプロセスを必要とせずに簡易な方法でスポットサイズを拡大させることが可能となり、生産性が向上して光導波路を容易に量産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における光導波路の概略を示す斜視図である。
【図2】(a)は第1の実施形態のコアの上面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図、(c)は(a)におけるB−B’断面図、(d)は(a)におけるC−C’断面図である。
【図3】本発明の実施の形態において、光導波路の製造手順を示す図である。
【図4】(a)はスパッタエッチング前の導波路103aおよびスポットサイズ変換部103bの断面形状を示した図、(b)はスパッタエッチング中の導波路103aおよびスポットサイズ変換部103bの断面形状を示した図、(c)はスパッタエッチング後の導波路103aおよびスポットサイズ変換部103bの断面形状を示した図である。
【図5】第1の実施形態におけるArエッチング前のコアの形状を示した図であり、(a)はコアの上面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図、(c)は(a)におけるB−B’断面図、(d)は(a)におけるC−C’断面図である。
【図6】スポットサイズ変換部における光の回折状態を示した図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における光導波路の概略を示す斜視図である。
【図8】(a)は第2の実施形態のコアの上面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図、(c)は(a)におけるB−B’断面図、(d)は(a)におけるC−C’断面図である。
【図9】第2の実施形態におけるArエッチング前のコアの形状を示した図であり、(a)はコアの上面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図、(c)は(a)におけるB−B’断面図、(d)は(a)におけるC−C’断面図である。
【図10】図10は、スポットサイズ変換部付き光導波路を実装した集積光モジュールを示した上面図である。
【図11】第1の実施形態におけるArエッチング前のコアの形状を示した図であり、(a)はコアの上面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図、(c)は(a)におけるB−B’断面図、(d)は(a)におけるC−C’断面図である。
【図12】第1の実施形態におけるArエッチング後のコアの形状を示した図であり、(a)はコアの上面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図、(c)は(a)におけるB−B’断面図、(d)は(a)におけるC−C’断面図である。
【図13】第2の実施形態におけるArエッチング前のコアの形状を示した図であり、(a)はコアの上面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図、(c)は(a)におけるB−B’断面図、(d)は(a)におけるC−C’断面図である。
【図14】第2の実施形態におけるArエッチング後のコアの形状を示した図であり、(a)はコアの上面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図、(c)は(a)におけるB−B’断面図、(d)は(a)におけるC−C’断面図である。
【符号の説明】
100、200 光導波路
101、201、301 石英基板
102、202、302 アンダークラッド(SiO2)
103、203 コア
103a、203a 導波部
103b、203b スポットサイズ変換部
104、204、308 オーバークラッド(SiO2)
105、205 コア先端部
106、206 コア中心部
303、307 コア(Ge−SiO2)
304、306 金属膜(WSi2)
305 レジスト
400 従来の光導波路
401 本発明の光導波路によって出射された光
402 従来の光導波路によって出射された光
501 基板
502 光導波路
502a、502b 結合部分
503 埋め込み素子
510、520 光ファイバ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信分野において広く使用される光導波路およびその製造方法に関し、特に、結合損失を少なくするスポットサイズ変換部を備えた光導波路及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体レーザダイオードや半導体光スイッチ等の光デバイスとシングルモード光ファイバとの間を光結合させる場合に、光デバイスの端面と光ファイバとを直接突き合わせて結合させると、光デバイスのスポットサイズ(ビームが一番絞られている部分におけるビーム半径)はシングルモード光ファイバのスポットサイズよりも数倍程度小さいため、結合部での結合損失が大きくなるという問題がある。さらに、スポットサイズが小さいビームを結合するときは、ビームの位置合わせを高精度に行う必要があり、工程が複雑化するとともに、歩留まりが劣化するという問題がある。
【0003】
また、光導波路や光ファイバを横断する溝を形成して、その溝に光学素子を埋め込んだ埋込型光部品では、光導波路等の端面が溝を挟んで対向している。その場合、光が一方の光導波路等の端面から出て他方の端面に到達するとき回折によってビーム半径が大きくなるほどの理由により結合損失が大きくなる。しかし、結合部におけるスポットサイズを拡大させることにより、回折によるビームの広がり角を小さくすることができる。すなわち、端面からの距離が同じ場合には、スポットサイズを拡大させないものと比較してビーム半径を小さくすることができるため、回折による損失を小さくすることができる。つまり、光導波路と光ファイバとの結合のようなビームの結合部においては、結合するビーム同士のスポットサイズを拡大して、ほぼ同一にすることにより、結合損失を低減できる。また、埋込型光部品の溝部で光導波路等の端面が離れて対向しているような部分では、光導波路などのスポットサイズを拡大することにより、回折による損失を低減することができる。
【0004】
従来においては、スポットサイズを拡大させる方法として、コアの高さを一定とし、断面幅のみをコアの先端部に向けてテーパー状に縮小させた光導波路が使用されていた。この光導波路は簡易な方法で製造することが可能であるが、高さが一定であるため結合損失の偏向依存性が大きくなるという問題があった。
【0005】
そこで、結合損失の偏向依存性を小さくするために、スポットサイズ変換部のコアを断面幅及び高さ方向ともにステップ状に縮小していた(特許文献1)。
【0006】
また、コアの断面幅及び高さの双方を、コアの先端に向かってテーパー状に縮小させてスポットサイズを拡大するとともに、偏向依存性を小さくして結合損失を小さくしていた。(特許文献2)。このテーパー部は次に説明する手順により形成される。基板上にアンダークラッドを成膜し、続いてアンダークラッドの上面から所定の距離を離して幅方向がテーパー状のストッパー膜を埋め込みつつコア層を成膜する。そして、所定のエッチングマスクを使用して、ストッパー膜領域ではストッパー膜までコア層をエッチングする。次に、ストッパー膜以外の領域ではストッパー膜より下方の位置までコア層をエッチングして、コア層に段差を形成する。そして、コア層の上にコアの段差が埋まるように膜厚2〜3μm程度の膜を成膜し、その後熱処理を行なって段差が滑らかに埋まるように成形する。テーパー部以外の余分な膜はエッチングにより除去することにより、断面幅及び高さをテーパー状に滑らかに変化させることができる。
【0007】
また、炭酸(CO2)レーザのような高出力レーザを用いて、レーザ照射により光導波路や光ファイバのごく一部のみを加熱し、コアのドーパントをクラッド部に拡散させることによりスポットサイズを拡大させていた(特許文献3)。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−171020号公報(段落[0010]、[0011]、第1図)
【特許文献2】
特開2002−156539号公報(段落[0018]−[0027]、第1図)
【特許文献3】
特開平4−220609号公報(段落[0008]−[0010]、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されている光導波路では、数μm程度の厚さを数段のステップで大きく変化させることにより、急激なステップ部分において放射による過剰損失は大きくなる。また、コアの断面形状が矩形状であるため、コアとアンダークラッドとの密着性が悪かった。そのため、コア内の光がクラッドに漏出し、損失が大きくなってしまっていた。さらに、ステップ段階を増やすことにより過剰損失の低減は可能であるが、パターニング工程と成膜を繰り返す必要があり、複数の段差を作成すると工程数が増えるため量産向きではなかった。
【0010】
また、特許文献2に記載の光導路によれば、断面幅および高さ方向をテーパー状に滑らかに変化させることができるが、コア層を段差にするためにコア層の内部にストッパー膜を埋め込み、段差を作製した後にこの段差が滑らかに埋まるように膜を成膜して熱処理をする必要がある。従って、このような導波路を形成するには工程数が多くなるとともに複雑かつ高度なプロセス技術が必要であり、生産性が悪く量産向きではなかった。また、コアの断面形状が矩形状であるため、コアとアンダークラッドとの密着性が悪く、その部分での損失が大きかった。
【0011】
また、特許文献3に記載されている光導波路によれば、結合損失の偏向依存性を小さくすることができ、かつ、スポットサイズを拡大することが可能となるが、レーザにより一ヶ所ずつ加熱するため、導波路が数十本におよぶアレイ導波路を加熱処理するときには数時間も時間がかかり、生産性が悪く量産向きではなかった。
【0012】
本発明は、上記の問題を解決するものであり、結合損失の偏向依存性を小さくするとともに、コアとアンダークラッドとの密着性を高めることにより、結合損失を小さくすることが可能な光導波路を提供するものである。また、コアを自己整合的に制御して形成することにより、複雑かつ高度なプロセスを必要とせずに簡易な方法で本発明の光導波路を製造することができる製造方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、クラッドと、該クラッド内に形成されたコアとを含み、前記コアは、先端部に向かって幅および高さが徐々に変化するように形成され、かつ、断面幅が高さ方向に向かって徐々に小さくなるように形成されたスポットサイズ変換部を有することを特徴とするものである。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記コアの前記スポットサイズ変換部は、前記先端部に向かって、前記幅の変化に対応して、前記高さが変化するように形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の光導波路において、前記コアの前記スポットサイズ変換部は、前記先端部に向かって、前記幅および前記高さが徐々に縮小され、先細り状に形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3に記載の光導波路において、前記コアの前記スポットサイズ変換部は、その断面が略三角形状または略台形状に形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項5記載の発明は、高さが一定で、かつ幅が徐々に変化する形状からなる、断面がほぼ矩形のコアを形成する第1の工程と、前記断面がほぼ矩形のコアをエッチングすることにより、断面幅が高さ方向に向かって徐々に小さくなる形状、かつ、前記コアの幅の変化に対応して高さが徐々に変化する形状のコアを形成する第2の工程と、を含む光導波路の製造方法であることを特徴とするものである。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の光導波路の製造方法であって、前記第1の工程は、アンダークラッド上にコア膜を成膜する工程と、前記コアの幅の変化を設定するために、前記幅が徐々に変化する形状のマスクを前記コア膜上に形成するマスク工程と、フォトリソグラフィおよびエッチングにより前記コア膜からコアを形成するコア形成工程を含み、前記第2の工程により、前記コア形成工程により形成された前記コアの幅の変化に対応して、前記コアの高さが徐々に変化する形状のコアを形成する光導波路の製造方法であることを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例について、図1ないし図14を参照しながら詳しく説明する。図1乃至図6、図11および図12は本発明の第1の実施形態の光導波路100に関する図であり、図7乃至図9、図13および図14は、第2の実施形態の光導波路200に関する図である。また、図10は、本発明の光導波路の応用の一態様としての集積光モジュール500の上面図を示している。
【0020】
図1は、第1の実施形態の光導波路100の構成の概略を示す斜視図である。また、図2は、光導波路100を構成するコア103の形状を示しており、図2(a)はその上面図、図2(b)は図2(a)におけるA−A’断面図、図2(c)は図2(a)におけるB−B’断面図、図2(d)は図2(a)におけるC−C’断面図をそれぞれ示している。また、図3乃至図5は、光導波路100の製造方法の一例を説明するための図である。また、図6は、光導波路100の作用を示す説明図である。さらに、図11および図12は、光導波路100の別の製造方法を説明するための図である。
【0021】
更に、図7は、第2の実施形態の光導波路200の構成の概略を示す斜視図である。また、図8は、光導波路200を構成するコア203の形状を示しており、図8(a)はその上面図、図8(b)は図8(a)におけるA−A’断面図、図8(c)は図8(a)におけるB−B’断面図、図8(d)は図8(a)におけるC−C’断面図をそれぞれ示している。また、図9は、光導波路200の製造方法の一例を説明するための図である。さらに、図13および図14は、光導波路200の別の製造方法を説明するための図である。
【0022】
本発明に係る光導波路100、200は、一例として、図10に示す集積光モジュール500に実装されるような光導波路を提供するためのものである。この集積光モジュール500は、例えば、光ファイバ510および520の間に配置されている。集積光モジュール500は、基板501と、その上に実装された光導波路502や埋め込み素子503とを含んで構成されている。埋め込み素子503としては、例えばバンドパスフィルタやアイソレータなどが使用されている。本発明に係る光導波路は、集積光モジュール500が光ファイバ510や520に結合される結合部分502aや、光導波路502が埋め込み素子503に結合される結合部分502bなどに特徴を有するものである。光ファイバ510や520は、結合部分502aでの接続損失を低減させるために、スポットサイズを拡大した光ファイバを用いることが好ましい。
【0023】
[第1の実施の形態]
(構成)
図1に示すように、第1の実施形態の光導波路100は、石英(SiO2)基板101上に形成されたSiO2からなるアンダークラッド102と、このアンダークラッド102上に形成されたコア103と、アンダークラッド102上に形成され、コア103の周囲を取り囲むように設けられたSiO2からなるオーバークラッド104とを含み構成されている。コア103は、GeがドープされたSiO2からなり、アンダークラッド102およびオーバークラッド104と比べて僅かに大きな屈折率を有している。なお、本実施形態では、基板として石英を使用したが、Si基板やセラミック基板を採用することもできる。
【0024】
次に、図2を参照しながら、コア103の形状について詳述する。まず、図2(a)に示すように、コア103は、その底面(アンダークラッド102との接触面)の幅w5が一定に形成された、光を案内するための導波部103aと、この導波部103aの端部に形成され、上記光のスポットサイズを変換するためのスポットサイズ変換部103bとを有している。なお、スポットサイズ変換部103bの先端部105の底面の幅はw6(<w5)で、スポットサイズ変換部103bの幅wは先端部に向けて徐々に小さくなるよう形成されている。
【0025】
更に、図2(b)に示すように、導波部103aは、その高さh4も一定となるように形成されている。また、スポットサイズ変換部103bの高さhは、高さh4から先端部105に向けて徐々に低くなり、先端部105においてh5(<h4)とされている。
【0026】
図2(c)および図2(d)に示すコア103の断面図を更に参照して、コア103の形状についてより詳細に説明をする。両図に示すように、コア103の短手方向、すなわち、光の伝播方向と直交する方向における断面は、アンダークラッド102と接している辺を底辺とする三角形状をなしている。
【0027】
なお、コア103の断面のこの三角形状は、図示をする上での便宜的なものである。実際には、その頂点は丸みを帯びた形状となる場合もあり、また、その斜辺は曲線状となる場合もある。より詳しくは、図2(c)に示すように、導波部103aの断面形状は、底辺の幅w5を断面幅uの最大値とし、高さ方向へと向かうに連れて徐々に断面幅uが小さくなっていくように形成されている。また、先端部105においては、図2(d)にあるように、底辺の幅w6を断面幅vの最大値とし、高さ方向へと向かうに連れて徐々に断面幅vが小さくなっていくように形成されている。ここで、両図に示すコア103の断面形状は、ほぼ相似関係を有するようになっている。また、図示はしないが、スポットサイズ変換部103bの任意の位置での断面形状も、両図に示す断面形状とほぼ相似関係となっている。以下、これを踏まえた上で、コア103の断面形状を三角形状と称することとする。
【0028】
(作用)
以上のようなコア形状を備えた本実施形態の光導波路100によれば、次のような好適な作用が奏されることとなる。
【0029】
第1に、コア103のスポットサイズ変換部103bが幅および高さの双方向において先細り状となるよう形成されているため、適切にスポットサイズを拡大し、回折による光の広がり角度を小さくすることが可能となる。図6はこの作用の概略を示している。同図には、スポットサイズ変換部103bを有する本実施形態の光導波路100とともに、このようなスポットサイズ変換部103bを有しない従来の光導波路400(図中の点線部400)が重ねて示されている。
【0030】
従来の光導波路400によれば、その先端部から出射された光は、同図中の破線402で示されているように回折し、広がる。一方、本実施形態の光導波路100を出射した光は、実線401で示すように回折し、広がる。即ち、光導波路100によれば、従来の光導波路400よりも光の広がり角が小さくなるため、光ファイバや埋め込み素子などとの結合部分における損失が低減されることとなる。また、結合部分における位置合わせ精度も緩和される。
【0031】
また、第2には、コア103の側面部(コア103とオーバークラッド104とが接触する面)とコア103底面部(コア103とアンダークラッド102とが接する面)とのなす角が直角よりも(十分に)小さな角度となるように形成されていることから、コア103をアンダークラッド102上に十分な密着性をもって設けることができる。よって、コア103内を伝送される光は、アンダークラッド102との境界面で効率的に反射され、アンダークラッド102に無駄に漏出することがないため、確実にコア103内に光を閉じ込めることが可能となる。したがって、更なる損失の低減を図ることが可能となる。
【0032】
(製法)
次に、このような光導波路100の製造方法について図2乃至図5を参照しながら説明する。図3は、本発明の実施形態において、光導波路の製造手順を示した図である。まず、図3(a)に示すように、石英基板301上にプラズマ化学気相堆積法(プラズマCVD法)やRFスパッタリング法などによりSiO2からなるアンダークラッド302を成膜する。本実施形態においてはプラズマCVD法を用いたが、常圧化学気相堆積法(APCVD法)、減圧化学気相堆積法(LPCVD法)または火炎直接堆積法(Flame Hydrolysis Deposition、FHD法)などを用いても成膜することができる。また、本実施形態においてはアンダークラッドとしてSiO2を石英基板301上に成膜したが、石英基板301をアンダークラッドとして使用し、直接石英基板301上にコアを形成してもよい。
【0033】
次に図3(b)に示すように、アンダークラッド302の上に、GeをドープしたSiO2からなるコア層303をプラズマCVD法やRFスパッタリング法等により成膜する。コア層についてもアンダークラッドと同様に、APCVD法、LPCVD法またはFHD法などを用いて成膜することも可能である。ここで、ドーパントは、コア層303の屈折率がクラッドより僅かに高くなり、適切に光を閉じ込められるように選ぶことが望ましい。また、クラッドにドープしてもよく、Ge以外にP、BまたはF等であってもよい。
【0034】
次に、図3(c)に示すように、コア層303上にマスクとなる金属層304をスパッタリング法で成膜する。この金属層304は例えば、WSiX(Xは1以上の整数であり、例えばWSi1やWSi2である。)が使用されるが、その他、チタンやクロム等を使用してもよい。そして、図3(d)に示すように、フォトリソグラフィ技術によってレジストパターン305を形成する。ここで、第1の実施形態におけるパターン形状は、図5(a)に示す平面図のように、底面の幅が一定の部分と、底面の幅が先端部に向けて徐々に小さくなるような部分とで形成されている。次に、図3(e)に示すように、レジストパターン305をマスクとして反応性イオンエッチングによって金属層304をエッチングし、金属マスク306を形成する。
【0035】
そして、図3(f)に示すように、金属マスク306をマスクとしてコア層303をエッチングし、断面が矩形状のコア307を形成する。その後、金属マスク306をドライエッチング法により除去することにより、図3(g)に示すように、アンダークラッド302上に形成された矩形状のコア307の上面を露出させる。
【0036】
このときの、コア307の形状を図5を参照しながら説明する。図5(a)に示すように、導波部103aの底面の幅はw1で一定に形成され、スポットサイズ変換部103bの底面の幅wは、先端部105に向けて幅w1から幅w2へと小さくなっている。
【0037】
また、図5(b)に示すように、導波部103aの高さh1は一定に形成され、スポットサイズ変換部103bの高さhは、導波部103aの高さh1と同じになるように形成されている。
【0038】
さらに、図5(c)に示すように、導波路103aの断面は幅が幅w1で高さが高さh1の矩形状の形状をなしている。また、先端部105においても、図5(d)に示すように、幅が幅w2で高さが高さh1の矩形状の形状をなしている。
【0039】
そして、Arのプラズマでコア307をスパッタエッチングすると、断面が矩形状であったコア307の上部の2点の角がコア307の上面や側面に比べてより多くエッチングされる。
【0040】
そして、図3(h)に示すように断面形状がほぼ六角形状となっていき、さらにエッチングを進めると、コア307の上部の2点の角がコア307の上面や側面に比べてより多く削られ、図3(i)に示すようにほぼ三角形状となっていく。
【0041】
このときのコア307の高さは、底面の幅に応じて自己整合的に変化する。この現象について、さらに図4を参照しつつ説明する。図4(a)は、Arのプラズマでコア307をスパッタエッチングする前の、導波路103aおよびスポットサイズ変換部103bの断面形状を示した図である(図3(g)に対応)。スパッタエッチング前においては、導波路103aおよびスポットサイズ変換部103bの高さhは、高さh1で一定である。また、導波路103aの底面の幅はw1であり、スポットサイズ変換部103bの底面の幅はw2である。
【0042】
そして、スパッタエッチングを行うと、コア307は削られていく。特に図4(b)に示すように、コア307の角は上面や側面と比べてより多く削られ、断面形状はほぼ六角形状になっていく(図3(h)に対応)。このとき、本実施形態においては、導波路103aの高さは高さh2(<h1)となる。スポットサイズ変換部103bの高さは高さh3(<h2)となる。このとき、コア307の底面の幅も同時に減少していき、導波路103aの底面の幅は、幅w1から幅w3(<w1)に変化し、スポットサイズ変換部103bの底面の幅は、幅w2から幅w4(<w2)に変化していく。
【0043】
さらにエッチングを行うと、コア307はさらに削られていく。このときも、コア307の角は上面や側面よりも多く削られていき、図4(c)に示すように、導波路103aおよびスポットサイズ変換部103bの断面形状はほぼ三角形状となる(図3(i)に対応)。このとき、エッチングによってコア307はさらに削られるため、導波路103aの高さは高さh4(<h2)となり、スポットサイズ変換部103bの高さは高さh5(<h3)となる。導波路103aの高さh4とスポットサイズ変換部103bの高さh5との関係は、前述したように、スポットサイズ変換部103bの幅w4は、導波路103aの幅w3より細いため、導波路103aと比べて高さ方向にもよくエッチングされ、スポットサイズ変換部103bの高さh5は導波路103aの高さh4よりも低くなる(h5<h4)。そして、同時に、コア307の底面の幅もさらに減少し、導波路103aの底面の幅は、幅w3から幅w5(<w3)に変化し、スポットサイズ変換部103bの底面の幅は、幅w4から幅w6(<w4)に変化していく。
【0044】
さらにエッチングを続けると、コア307の断面形状は先端部105の方向に向かい、ほぼ相似形を保ちながら断面幅および高さが小さくなる。また、このように自己整合的に制御できることを利用して、断面形状を略正三角形または略二等辺三角形にすることもできる。また、コアの断面形状は幾何学的な台形や三角形に限られず、角が丸みを帯びていてもよく、辺が直線でなくともよい。
【0045】
このようにArによるスパッタエッチングを行うと、図2に示す第1の実施形態のコアの形状が得られる。図2(a)に示すように、スポットサイズ変換部103bの底面の幅wは、導波部103aの端部からスポットサイズ変換部103の先端部105に向けて幅w5から幅w6へと徐々に小さくなるように形成されている。
【0046】
更に、図2(b)に示すように、スポットサイズ変換部103bの高さhは、高さh4からスポットサイズ変換部103の先端部105に向けて徐々に低くなり、先端部105においてh5となる。
【0047】
スパッタエッチングによりコア307が削られるため、図2(c)および図2(d)に示すように、コア103の断面幅は高さ方向に向かって小さくなり、例えば両図に示すように断面形状は三角形となる。
【0048】
これにより、スポットサイズ変換部103bを断面幅および高さの双方において先細り状となるように形成することができる。
【0049】
Arガスによるスパッタエッチングを行った後、図3(j)に示すように、アンダークラッド302およびコア307上にプラズマCVD法またはRFスパッタリング法によりSiO2からなるオーバークラッド308を成膜し、光導波路を作成する。このオーバークラッド308についても、先述したアンダークラッドおよびコア層と同様にAPCVD法、LPCVD法またはFHD法などを使用して成膜することができる。
【0050】
また、第1の実施形態における光導波路100は次のような方法によっても製造することができる。ここで、図11および図12を参照しつつその方法について説明する。
【0051】
まず、前述した図3(a)および図3(b)に示すように、石英基板301上にアンダークラッド302を成膜し、その上にコア層303をプラズマCVD法などにより成膜する。次に、図3(c)に示すように、コア層303上にマスクとなる金属層304をスパッタリング法で成膜する。そして、図3(d)に示すように、フォトリソグラフィ技術によってレジストパターン305を形成する。
【0052】
このレジストパターン305を形成するときのパターン形状は、例えば、図11(a)の平面図に示されているパターンのように、パターンの両端の幅が一定の部分と、パターンの中央部付近に向けて幅が、両端の幅より徐々に細くなるような部分と、から形成されている。また、このパターン形状に限らず、図11(a)に示されているパターン形状を複数個つなげたパターンであっても構わない。次に、図3(e)に示すように、レジストパターン305をマスクとして反応性イオンエッチングによって金属層304をエッチングし、金属マスク306を形成する。
【0053】
そして、図3(f)に示すように、金属マスク306をマスクとしてコア層303をエッチングし、断面が矩形状のコア307を形成する。その後、金属マスク306をドライエッチング法により除去することにより、図3(g)に示すように、アンダークラッド302上に形成された矩形状のコア307の上面を露出させる。
【0054】
このときの、コア307の形状について図11を参照しながら説明する。図11(a)に示すように、コア307の両端に形成され、底面の幅wが一定の幅w1で形成されている導波部103aと、導波部103aの端面からコアの中心部106に向けて底面の幅wが幅w1から幅w2(<w1)へと徐々に細くなっている、スポットサイズ変換部103bとで形成され、コアの中心部106においては、幅w2(<w1)となっている。また、上述したように、図11(a)に示されているパターン形状を複数個つなげたパターンを使用してコアを形成した場合には、導波部103aとスポットサイズ変換部103bが複数個つながったコアが形成される。
【0055】
また、図11(b)に示すように、導波部103aの高さh1は一定に形成され、スポットサイズ変換部103bの高さhも、導波部103aの高さh1と同じになるように形成されている。
【0056】
さらに、図11(c)に示すように、導波部103aの断面の幅が幅w1で高さが高さh1の矩形状の形状をなしている。また、コアの中心部106においても、図11(d)に示すように、幅が幅w2で高さが高さh1の矩形状の形状をなしている。
【0057】
そして、Arのプラズマでコア307をスパッタエッチングすると、上述したように断面が矩形状であったコア307の上部の2点の角がコア307の上面や側面に比べてより多くエッチングされ、図3(h)に示すように断面形状がほぼ六角形状となっていき、さらにエッチングを進めると、コア307の上部の2点の角がコア307の上面や側面に比べてより多く削られ、図3(i)に示すようにほぼ三角形状となっていく。
【0058】
このときのコア307の高さは、上述したように底面の幅に応じて自己整合的に変化し、底面の幅が広ければ細い場合と比べて高さ方向にはあまりエッチングされず、その結果高さは高くなる。底面の幅が細ければ広い場合と比べて高さ方向もよくエッチングされ、底面の幅が広い部分と比較して高さは低くなる。
【0059】
このようにArによるスパッタエッチングを行うと、図12に示すコアの形状が得られる。図12(a)に示すように、導波部103aの底面の幅は、一定の幅w5となっており、スポットサイズ変換部103bの底面の幅は、導波部103aの端面からコアの中心部106に向けて幅w5から幅w6(<w5)へと徐々に細くなっており、コアの中心部106においては、幅w6(<w5)となっている。
【0060】
更に、図12(b)に示すように、導波部103aの高さは、一定の高さh4となっており、スポットサイズ変換部103bの高さは、導波部103aの端面からコアの中心部106に向けて高さh4から高さh5(<h4)へと徐々に低くなっており、コアの中心部106においては、高さh5(<h4)となっている。
【0061】
スパッタエッチングによりコア307が削られるため、図12(c)および図12(d)に示すように、断面幅は高さ方向に向かって小さくなり、例えば両図に示すように断面形状は三角形となる。
【0062】
以上の工程により、コアの中央部付近に向かって底面の幅が細くなるとともに、高さが低くなるコアを作製することが可能となる。そして、例えば、コアの中心部106を切断することにより、図1および図2に示す第1の実施形態のコアの形状が得られる。ここで、コアの中心部106がコア先端部105となる。これにより、スポットサイズ変換部103bを断面幅および高さの双方において先細り状となるように形成することができる。
【0063】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施形態の光導波路について説明する。当該光導波路は、光導波路100と同様の作用を有するものである。
【0064】
図7に示すように、第2の実施形態の光導波路200は第1の実施形態と同様に、石英基板201上に形成されたSiO2からなるアンダークラッド202と、このアンダークラッド202上に形成されたコア203と、アンダークラッド202上に形成され、コア203の周囲を取り囲むように設けられたSiO2からなるオーバークラッド204とを含み構成されている。コア203は、GeがドープされたSiO2からなり、アンダークラッド202およびオーバークラッド204と比べて僅かに大きな屈折率を有している。
【0065】
次に、図8を参照しながら、コア203の形状について詳述する。まず、図8(a)に示すように、コア203は、その底面の幅w9が一定に形成された導波部203aと、この導波部203aの端部に形成されたスポットサイズ変換部203bとを有している。なお、スポットサイズ変換部203bの先端部205の底面の幅はw10(>w9)で、スポットサイズ変換部203bの幅wは先端部に向けて徐々に大きくなるよう形成されている。
【0066】
更に、図8(b)に示すように、導波部203aは、その高さh8も一定となるように形成されている。また、スポットサイズ変換部103bの高さhは、高さh8から先端部105に向けて徐々に高くなり、先端部205においてh7(>h8)とされている。
【0067】
図8(c)および図8(d)に示すコア203の断面図を更に参照して、コア203の形状についてより詳細に説明をする。両図に示すように、コア203の短手方向、すなわち、光の伝播方向と直交する方向における断面は、アンダークラッド202と接している辺を底辺とする三角形状をなしている。
【0068】
なお、コア203の断面のこの三角形状は、図示をする上での便宜的なものである。実際には、前述した第1の実施形態と同様に、その頂点は丸みを帯びた形状となる場合もあり、また、その斜辺は曲線状となる場合もある。より詳しくは、図8(c)に示すように、導波部203aの断面形状は、底辺の幅w9を断面幅uの最大値とし、高さ方向へと向かうに連れて徐々に断面幅uが小さくなっていくように形成されている。また、先端部205においては、図8(d)にあるように、底辺の幅w10を断面幅vの最大値とし、高さ方向へと向かうに連れて徐々に断面幅vが小さくなっていくように形成されている。ここで、両図に示すコア203の断面形状は、ほぼ相似関係を有するようになっている。また、図示はしないが、スポットサイズ変換部203bの任意の位置での断面形状も、両図に示す断面形状と相似関係となっている。
【0069】
以上のようなコア形状を備えた第2の実施形態の光導波路200によれば、前述した第1の実施形態と同様に、適切にスポットサイズを拡大し、回折による光の広がり角度を小さくすることが可能となる。従って、光デバイスと光ファイバなどとの結合部における結合損失を少なくすることができる。さらに、コア203をアンダークラッド202上に十分な密着性をもって設けることができるため、確実に光をコア203内に閉じ込めることが可能となり、更に損失を軽減することができる。
【0070】
以下、このような光導波路200の製造方法について図3、図8および図9を参照しつつ説明する。前述した第1の実施形態と同様に、図3(a)および図3(b)に示すように、石英基板301上にアンダークラッド302を成膜し、その上にコア層303をプラズマCVD法などにより成膜する。
【0071】
そして、図3(c)乃至図3(e)に示すように、コア層303上に金属マスク306を形成する。ここで、第2の実施形態における金属マスクのパターン形状は、図9(a)に示す平面図のように、底面の幅が一定の部分と、底面の幅が先端部に向けて徐々に大きくなるような部分とで形成されている。
【0072】
その後、図3(e)乃至図3(f)に示すエッチング工程を経て、図3(g)に示すように断面形状が矩形状のコア307を形成する。
【0073】
このときのコア307の形状を、図9を参照しながら説明する。図9(a)に示すように、導波部203aの底面の幅はw7で一定に形成され、スポットサイズ変換部203bの底面の幅wは、先端部205に向けて幅w7から幅w8へと広くなっている。
【0074】
また、図9(b)に示すように、導波部203aの高さh6は一定に形成され、スポットサイズ変換部203bの高さhは、導波部203aの高さh6と同じになるように形成されている。
【0075】
さらに、図9(c)に示すように、導波路203aの断面は幅が幅w7で高さが高さh6の矩形状の形状をなしている。また、先端部205においても、図9(d)に示すように、幅が幅w8で高さが高さh6の矩形状の形状をなしている。
【0076】
そして、Arのプラズマでコア307をスパッタエッチングすると、前述した第1の実施形態と同様に、断面が矩形状であったコア307の上部の2点の角がコア307の上面および側面に比べて多く削られる。その結果、図3(h)に示すように断面形状がほぼ六角形状となり、さらにエッチングを進めると、図3(i)に示すようにほぼ三角形となっていく。このときのコア307の高さは、前述した第1の実施形態と同様に、底面の幅に応じて自己整合的に変化していく。
【0077】
このようにArによるスパッタエッチングを行うと、図7に示す第2の実施形態のコアの形状が得られる。図8(a)に示すように、スポットサイズ変換部203bの底面の幅wは、導波部203aの端部からスポットサイズ変換部203bの先端部205に向けて幅w9から幅w10へと徐々に大きくなるように形成されている。
【0078】
更に、図8(b)に示すように、スポットサイズ変換部203bの高さhは、高さh8からスポットサイズ変換部203bの先端部205に向けて徐々に高くなり、先端部205においてh7とされる。
【0079】
スパッタエッチングによりコア307が削られるため、図8(c)および図8(d)に示すように、コア203の断面幅は高さ方向に向かって小さくなり、例えば両図に示すように断面形状は三角形となる。
【0080】
これにより、スポットサイズ変換部203bを断面幅および高さの双方において先端部205に向けて大きくなるように形成することができる。
【0081】
また、第2の実施形態における光導波路200は次のような方法によっても製造することができる。この方法について、図13および図14を参照しつつ説明する。
【0082】
上述したように、図3(a)および図3(b)に示すように、石英基板301上にアンダークラッド302を成膜し、その上にコア層303をプラズマCVD法などにより成膜する。
【0083】
そして、図3(c)乃至図3(e)に示すように、コア層303上に金属マスク306を形成する。ここで、第2の実施形態における金属マスクのパターン形状は、図13(a)の平面図に示されているパターンのように、パターンの両端の幅が一定の部分と、パターン中央部付近に向けて幅が、徐々に太くなるような部分と、から形成されている。また、このパターン形状に限られず、図13(a)に示されているパターン形状を複数個つなげたパターンであっても構わない。
【0084】
その後、図3(e)乃至図3(f)に示すエッチング工程を経て、図3(g)に示すように断面形状が矩形状のコア307を形成する。
【0085】
このときのコア307の形状を、図13を参照しながら説明する。図13(a)に示すように、底面の幅wが一定の幅w7で形成されている導波部203aと、導波部203aの端面からコアの中心部206に向けて底面の幅wが幅w7から幅w8(>w7)へと徐々に太くなっている、スポットサイズ変換部203bとで形成され、コアの中心部206においては、幅w8(w>7)となっている。また、上述したように、図13(a)に示されているパターン形状を複数個つなげたパターンを使用してコアを形成した場合には、導波部203aとスポットサイズ変換部203bが複数個つながったコアが形成される。
【0086】
また、図13(b)に示すように、導波部203aの高さh6は一定に形成され、スポットサイズ変換部203bの高さhも、コアの両端部の高さh6と同じになるように形成されている。
【0087】
さらに、図13(c)に示すように、導波部203aの断面の幅が幅w7で高さが高さh6の矩形状の形状をなしている。また、コアの中心部206においても、図13(d)に示すように、幅が幅w8で高さが高さh6の矩形状の形状をなしている。
【0088】
そして、Arのプラズマでコア307をスパッタエッチングすると、前述した第1の実施形態と同様に、断面が矩形状であったコア307の上部の2点の角がコア307の上面および側面に比べて多く削られる。その結果、図3(h)に示すように断面形状がほぼ六角形状となり、さらにエッチングを進めると、図3(i)に示すようにほぼ三角形となっていく。このときのコア307の高さは、前述した第1の実施形態と同様に、底面の幅に応じて自己整合的に変化していく。
【0089】
このようにArによるスパッタエッチングを行うと、図14に示すコアの形状が得られる。図14(a)に示すように、導波部203aの底面の幅は、一定の幅w9となっており、スポットサイズ変換部203bの底面の幅は、導波部203aの端面からコアの中心部206に向けて幅w9から幅w10(>w9)へと徐々に太くなっており、コアの中心部206においては、幅w10(>w9)となっている。
【0090】
更に、図14(b)に示すように、導波部203aの高さは、一定の高さh8となっており、スポットサイズ変換部203bの高さは、導波部203aの端面からコアの中心部206に向けて高さh8から高さh7(>h8)へと徐々に高くなっており、コアの中心部206においては、高さh7(>h8)となっている。
【0091】
スパッタエッチングによりコア307が削られるため、図14(c)および図14(d)に示すように、断面幅は高さ方向に向かって小さくなり、例えば両図に示すように断面形状は三角形となる。
【0092】
以上の工程により、中央部付近に向かって底面の幅が太くなるとともに、高さが高くなるコアを作製することが可能となる。そして、例えば、コアの中心206を切断することにより、図7および図8に示す第2の実施形態のコアの形状が得られる。ここで、コアの中心部206がコア先端部205となる。これにより、スポットサイズ変換部203bを断面幅および高さの双方において先端部205に向けて大きくなるように形成することができる。
【0093】
上述した各製造方法では、クラッドの上に所定の形状のマスクをしてスパッタリングを行うことにより本発明に特徴的なコア形状を形成している。ところで、従来から、クラッド上にマスクをしてクラッド自体を所定の形状に加工し、そこにコアを埋め込む製造方法もある。しかし、本発明のコア形状を実現するためにこの方法を採用すると様々な困難が生じてしまう。
【0094】
例えば、クラッドにコアを埋め込む過程で、コアの平坦化を図るためにCMP(Chemical Mechanical Polishing)法によりコアを研磨する必要がある。しかし、CMP法を使用すると工程数が多くなり、簡易な方法で光導波路を作製することができない。また、CMP法による研磨のばらつきを抑えるために、研磨圧力、回転数および研磨剤の流量を制御する必要がある。さらに、研磨後の平坦度はパターンの大きさにも依存するので、CMP法の制御のみならず光導波路のパターン作製時においても後工程のCMP法を考慮に入れて精密に制御する必要がある。さらに、CMP法を採用する場合は、基板表面に対する欠陥と不純物についても対処する必要がある。基板表面の欠陥は、研磨終了後の洗浄が不十分であった場合に、研磨剤に含まれる砥粒が基板表面に残留してしまうこと等により発生する。このような欠陥を発生させないためには、研磨終了後の洗浄方法や研磨剤を調整する必要がある。また、不純物については、ブラシで基板表面を擦るブラシスクラブ法により取り除く必要があるため、工程数が更に増加することとなる。従って、CMP法により研磨を行なうと、研磨後に基板を特別な条件の下で洗浄する必要があるため、工程数が多くなり生産性が悪く量産向けではなかった。結局、本発明の実施形態のように製造した方が、工程数も少なくて済むので生産性が良くなる。
【0095】
本発明は、以上の実施の形態に限られず、その要旨の範囲内において変更可能である。例えば、オーバークラッドを設けずにアンダークラッドとコアとによって、本発明の光導波路を形成することも可能である。さらに、コアを、金型を用いて作製することもできる。例えば、金型により、コア形状の溝を有するクラッドを作製し、その溝にコアとなる材料を流し込むことによりコアを作製することもできる。
【0096】
【発明の効果】
請求項1乃至請求項4に記載の光導波路によれば、結合損失の偏向依存性を小さくするとともに、コアとアンダークラッドとの密着性を高めることができるため、結合損失を小さくすることが可能となる。
【0097】
また、請求項5または請求項6に記載の光導波路の製造方法によれば、自己整合的に制御してコアの幅および高さをテーパー状にして先端部に向けて変化させることができるため、複雑かつ高精度なプロセスを必要とせずに簡易な方法でスポットサイズを拡大させることが可能となり、生産性が向上して光導波路を容易に量産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態における光導波路の概略を示す斜視図である。
【図2】(a)は第1の実施形態のコアの上面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図、(c)は(a)におけるB−B’断面図、(d)は(a)におけるC−C’断面図である。
【図3】本発明の実施の形態において、光導波路の製造手順を示す図である。
【図4】(a)はスパッタエッチング前の導波路103aおよびスポットサイズ変換部103bの断面形状を示した図、(b)はスパッタエッチング中の導波路103aおよびスポットサイズ変換部103bの断面形状を示した図、(c)はスパッタエッチング後の導波路103aおよびスポットサイズ変換部103bの断面形状を示した図である。
【図5】第1の実施形態におけるArエッチング前のコアの形状を示した図であり、(a)はコアの上面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図、(c)は(a)におけるB−B’断面図、(d)は(a)におけるC−C’断面図である。
【図6】スポットサイズ変換部における光の回折状態を示した図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における光導波路の概略を示す斜視図である。
【図8】(a)は第2の実施形態のコアの上面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図、(c)は(a)におけるB−B’断面図、(d)は(a)におけるC−C’断面図である。
【図9】第2の実施形態におけるArエッチング前のコアの形状を示した図であり、(a)はコアの上面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図、(c)は(a)におけるB−B’断面図、(d)は(a)におけるC−C’断面図である。
【図10】図10は、スポットサイズ変換部付き光導波路を実装した集積光モジュールを示した上面図である。
【図11】第1の実施形態におけるArエッチング前のコアの形状を示した図であり、(a)はコアの上面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図、(c)は(a)におけるB−B’断面図、(d)は(a)におけるC−C’断面図である。
【図12】第1の実施形態におけるArエッチング後のコアの形状を示した図であり、(a)はコアの上面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図、(c)は(a)におけるB−B’断面図、(d)は(a)におけるC−C’断面図である。
【図13】第2の実施形態におけるArエッチング前のコアの形状を示した図であり、(a)はコアの上面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図、(c)は(a)におけるB−B’断面図、(d)は(a)におけるC−C’断面図である。
【図14】第2の実施形態におけるArエッチング後のコアの形状を示した図であり、(a)はコアの上面図、(b)は(a)におけるA−A’断面図、(c)は(a)におけるB−B’断面図、(d)は(a)におけるC−C’断面図である。
【符号の説明】
100、200 光導波路
101、201、301 石英基板
102、202、302 アンダークラッド(SiO2)
103、203 コア
103a、203a 導波部
103b、203b スポットサイズ変換部
104、204、308 オーバークラッド(SiO2)
105、205 コア先端部
106、206 コア中心部
303、307 コア(Ge−SiO2)
304、306 金属膜(WSi2)
305 レジスト
400 従来の光導波路
401 本発明の光導波路によって出射された光
402 従来の光導波路によって出射された光
501 基板
502 光導波路
502a、502b 結合部分
503 埋め込み素子
510、520 光ファイバ
Claims (6)
- クラッドと、該クラッド内に形成されたコアとを含み、
前記コアは、先端部に向かって幅および高さが徐々に変化するように形成され、かつ、断面幅が高さ方向に向かって徐々に小さくなるように形成されたスポットサイズ変換部を有することを特徴とする光導波路。 - 前記コアの前記スポットサイズ変換部は、前記先端部に向かって、前記幅の変化に対応して、前記高さが変化するように形成されていることを特徴とする請求項1記載の光導波路。
- 前記コアの前記スポットサイズ変換部は、前記先端部に向かって、前記幅および前記高さが徐々に縮小され、先細り状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光導波路。
- 前記コアの前記スポットサイズ変換部は、その断面が略三角形状または略台形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の光導波路。
- 高さが一定で、かつ幅が徐々に変化する形状からなる、断面がほぼ矩形のコアを形成する第1の工程と、
前記断面がほぼ矩形のコアをエッチングすることにより、断面幅が高さ方向に向かって徐々に小さくなる形状、かつ、前記コアの幅の変化に対応して高さが徐々に変化する形状のコアを形成する第2の工程と、を含むことを特徴とする光導波路の製造方法。 - 前記第1の工程は、アンダークラッド上にコア膜を成膜する工程と、
前記コアの幅の変化を設定するために、前記幅が徐々に変化する形状のマスクを前記コア膜上に形成するマスク工程と、
フォトリソグラフィおよびエッチングにより前記コア膜からコアを形成するコア形成工程を含み、
前記第2の工程により、前記コア形成工程により形成された前記コアの幅の変化に対応して、前記コアの高さが徐々に変化する形状のコアを形成することを特徴とする請求項5に記載の光導波路の製造方法。
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-
2003
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