JP2008088983A - エンジン制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】クランクパルスだけでは行程が分からないエンジン始動時に確実に初爆を得ると共に、エンジン回転を増速する。
【解決手段】クランキング開始から行程検出までの間は、クランクシャフト1回転に一回、吸気行程(又は膨張行程)の前の所定クランク位相で、行程1サイクルに必要な燃料量の半分の燃料を噴射すると共に、クランクシャフト1回転に一回、上死点近傍で点火を行うことにより、エンジンを逆回転させることなく、初爆を得る。行程が検出されたら、1サイクルに一回、燃料噴射と点火を行うが、行程検出直前の噴射が吸気行程の直前でないときには、クランクシャフト1回転後に、もう一度、半分の燃料を噴射する。
【選択図】図3
【解決手段】クランキング開始から行程検出までの間は、クランクシャフト1回転に一回、吸気行程(又は膨張行程)の前の所定クランク位相で、行程1サイクルに必要な燃料量の半分の燃料を噴射すると共に、クランクシャフト1回転に一回、上死点近傍で点火を行うことにより、エンジンを逆回転させることなく、初爆を得る。行程が検出されたら、1サイクルに一回、燃料噴射と点火を行うが、行程検出直前の噴射が吸気行程の直前でないときには、クランクシャフト1回転後に、もう一度、半分の燃料を噴射する。
【選択図】図3
Description
本発明は、エンジンを制御するエンジン制御装置に関するものであり、特に燃料を噴射する燃料噴射装置を備えたエンジンの制御に好適なものである。
近年、インジェクタと呼ばれる燃料噴射装置が普及するにつれて、燃料を噴射するタイミングや噴射燃料量、つまり空燃比などの制御が容易になり、高出力化、低燃費化、排ガスのクリーン化などを促進することができるようになった。このうち、特に燃料を噴射するタイミングについては、厳密には吸気バルブの状態、つまり一般的にはカムシャフトの位相状態を検出し、それに合わせて燃料を噴射するのが一般的である。しかしながら、カムシャフトの位相状態を検出するための所謂カムセンサは高価であり、特に二輪車両などではシリンダヘッドが大型化するなどの問題があって採用できないことが多い。そのため、例えば特開平10−227252号公報では、クランクシャフトの位相状態及び吸気圧力を検出し、それらから気筒の行程状態を検出するエンジン制御装置が提案されている。従って、この従来技術を用いることにより、カムシャフトの位相を検出することなく、行程状態を検出することができるので、その行程状態に合わせて燃料の噴射タイミングなどを制御することが可能となる。
ところで、前述したクランクシャフトの位相状態の検出には、クランクシャフト自体或いはクランクシャフトと同期回転する部材の外周に歯を形成し、その歯の接近を磁気センサ等によって検出してパルス信号を送出し、このパルス信号をクランクパルスとして検出する必要がある。このようにして検出されたクランクパルスにナンバリングするなどしてクランクシャフトの位相状態を検出するのであるが、このナンバリング等のために、前記歯を不等間隔に設けることが多い。つまり、検出されるクランクパルスに特徴を設けて目印にするのである。そして、この特徴付けされたクランクパルスからクランクシャフトの位相を検出し、クランクシャフトの二回転中の同じ位相の吸気圧力を比較して行程を検出し、この行程とクランクシャフトの位相とに応じて燃料の噴射タイミングや点火タイミングを制御する。
しかしながら、エンジンの始動時には、最低、クランクシャフトが二回転以上しないと行程を検出することができない。特に小排気量、単気筒の二輪車両などでは、エンジンの始動初期は、クランクシャフトの回転状態が安定せず、前記クランクパルスの状態も安定しないために行程の検出が困難なものとなり易い。そして、このような行程未検出時に、燃料噴射量の良好な制御の仕方は提案されておらず、未だ未解決の問題となっている。
本発明は前記諸問題を解決すべく開発されたものであり、エンジン始動時の燃料噴射量の良好な制御を可能とするエンジン制御装置を提供することを目的とするものである。
本発明は前記諸問題を解決すべく開発されたものであり、エンジン始動時の燃料噴射量の良好な制御を可能とするエンジン制御装置を提供することを目的とするものである。
上記諸問題を解決するため、本発明のエンジン制御装置は、クランクシャフト自体又はクランクシャフトと同期回転する部材の外周に不等間隔で設けられた歯を有するエンジンであって、それらの歯の接近にともなって送出されるパルス信号からクランクシャフトの位相を検出するクランクシャフト位相検出手段と、エンジンの吸気通路内の吸気圧力を検出する吸気圧力検出手段と、前記クランクシャフト位相検出手段で検出されたクランクシャフトの位相及び前記吸気圧力検出手段で検出された吸気圧力に基づいてエンジンの行程状態を検出するクランクタイミング検出手段と、前記クランクタイミング検出手段で検出されたエンジンの行程状態に基づいて燃料噴射量及び燃料噴射時期を設定する燃料噴射量算出手段とを備え、前記燃料噴射量算出手段は、前記クランクタイミング検出手段でエンジンの行程状態が検出されていないときに、エンジンの一つの気筒に対し、当該気筒における行程1サイクルに必要な燃料量を算出し、その半分の燃料を燃料噴射量として設定すると共に、当該一つの気筒に対し、クランクシャフトの一回転毎に所定のクランクシャフトの位相を燃料噴射時期に設定することを特徴とするものである。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、例えばモータサイクル用のエンジン及びその制御装置の一例を示す概略構成である。このエンジン1は、比較的小排気量の単気筒4サイクルエンジンであり、シリンダボディ2、クランクシャフト3、ピストン4、燃焼室5、吸気管(吸気通路)6、吸気バルブ7、排気管8、排気バルブ9、点火プラグ10、点火コイル11を備えている。また、吸気管6内には、アクセル開度に応じて開閉されるスロットルバルブ12が設けられ、このスロットルバルブ12の下流側の吸気管6に、燃料噴射装置としてのインジェクタ13が設けられている。このインジェクタ13は、燃料タンク19内に配設されているフィルタ18、燃料ポンプ17、圧力制御バルブ16に接続されている。
図1は、例えばモータサイクル用のエンジン及びその制御装置の一例を示す概略構成である。このエンジン1は、比較的小排気量の単気筒4サイクルエンジンであり、シリンダボディ2、クランクシャフト3、ピストン4、燃焼室5、吸気管(吸気通路)6、吸気バルブ7、排気管8、排気バルブ9、点火プラグ10、点火コイル11を備えている。また、吸気管6内には、アクセル開度に応じて開閉されるスロットルバルブ12が設けられ、このスロットルバルブ12の下流側の吸気管6に、燃料噴射装置としてのインジェクタ13が設けられている。このインジェクタ13は、燃料タンク19内に配設されているフィルタ18、燃料ポンプ17、圧力制御バルブ16に接続されている。
このエンジン1の運転状態は、エンジンコントロールユニット15によって制御される。そして、このエンジンコントロールユニット15の制御入力、つまりエンジン1の運転状態を検出する手段として、クランクシャフト3の回転角度、つまり位相を検出するためのクランク角度センサ20、シリンダボディ2の温度又は冷却水温度、即ちエンジン本体の温度を検出する冷却水温度センサ21、排気管8内の空燃比を検出する排気空燃比センサ22、吸気管6内の吸気圧力を検出するための吸気圧力センサ24、吸気管6内の温度、即ち吸気温度を検出する吸気温度センサ25が設けられている。そして、前記エンジンコントロールユニット15は、これらのセンサの検出信号を入力し、前記燃料ポンプ17、圧力制御バルブ16、インジェクタ13、点火コイル11に制御信号を出力する。
ここで、前記クランク角度センサ20から出力されるクランク角度信号の原理について説明する。本実施形態では、図2aに示すように、クランクシャフト3の外周に、略等間隔で複数の歯23を突設し、その接近を磁気センサ等のクランク角度センサ20で検出して、適宜電気的処理を施してパルス信号を送出する。各歯23間の周方向へのピッチは、クランクシャフト3の位相(回転角度)にして30°であり、各歯23の周方向への幅は、クランクシャフト3の位相(回転角度)にして10°としている。但し、一箇所だけ、このピッチに従っておらず、その他の歯23のピッチに対して二倍のピッチになっている箇所がある。それは、図2aに二点鎖線で示すように、本来、歯のある部分に歯がない、特殊な設定になっており、この部分が不等間隔に相当する。以下、この部分を歯抜け部とも記す。
従って、クランクシャフト3が等速回転しているときの各歯23のパルス信号列は図2bのように表れる。そして、図2aは圧縮上死点時の状態を示している(排気上死点も形態としては同じである)が、この圧縮上死点時の直前のパルス信号を図示“0”とし、その次のパルス信号に図示“1”、次のパルス信号に図示“2”、といった順で図示“4”までナンバリング(番号付け)する。この図示“4”のパルス信号に相当する歯23の次は歯抜け部なので、それを、あたかも歯が存在すると考えて1歯余分にカウントし、次の歯23のパルス信号には図示“6”とナンバリングする。これを繰り返してゆくと、今度は図示“16”のパルス信号の次に歯抜け部が接近するので、前述と同様に1歯余分にカウントし、次の歯23のパルス信号には図示“18”とナンバリングする。クランクシャフト3が二回転すると、4つの行程のサイクルが全て完了するので、図示“23”までナンバリングが済んだら、次の歯23のパルス信号には再び図示“0”とナンバリングする。原則的に、この図示“0”とナンバリングされた歯23のパルス信号の直後が圧縮上死点になっているはずである。このように、検出されたパルス信号列、又はその単体のパルス信号をクランクパルスと定義する。そして、このクランクパルスに基づいて、後述のようにして行程検出を行うと、クランクタイミングを検出することができる。なお、前記歯23は、クランクシャフト3と同期回転する部材の外周に設けても、全く同じである。
一方、前記エンジンコントロールユニット15は、図示されないマイクロコンピュータなどによって構成されている。図3は、このエンジンコントロールユニット15内のマイクロコンピュータで行われるエンジン制御演算処理の実施形態を示すブロック図である。この演算処理では、前記クランク角度信号からエンジン回転数を算出するエンジン回転数算出部26と、同じくクランク角度信号及び前記吸気圧力信号からクランクタイミング情報、即ち行程状態を検出するクランクタイミング検出部27と、前記エンジン回転数算出部26で算出されたエンジン回転数を読込み、前記クランクタイミング検出部27に対して行程検出許可情報を出力すると共に、当該クランクタイミング検出部27による行程検出情報を取込んで出力する行程検出許可部29と、前記クランクタイミング検出部27で検出されたクランクタイミング情報を読込み、前記吸気温度信号及び前記冷却水温度(エンジン温度)信号及び前記吸気管圧信号及び前記エンジン回転数算出部26で算出されたエンジン回転数からシリンダ内空気質量(吸入空気量)を算出するシリンダ内空気質量算出部28と、前記エンジン回転数算出部26で算出されたエンジン回転数及び前記吸気圧力信号から目標空燃比を算出する目標空燃比算出部33と、この目標空燃比算出部33で算出された目標空燃比及び前記吸気圧力信号及び前記シリンダ内空気質量算出部28で算出されたシリンダ内空気質量及び前記行程検出許可部29から出力された行程検出情報及び前記冷却水温度信号から燃料噴射量及び燃料噴射時期を算出する燃料噴射量算出部34と、前記クランクタイミング検出部27で検出されたクランクタイミング情報を読込み、前記燃料噴射量算出部34で算出された燃料噴射量及び燃料噴射時期に応じた噴射パルスを前記インジェクタ13に向けて出力する噴射パルス出力部30と、前記エンジン回転数算出部26で算出されたエンジン回転数及び前記目標空燃比算出部33で設定された目標空燃比及び前記行程検出許可部29から出力された行程検出情報から点火時期を算出する点火時期算出部31と、前記クランクタイミング検出部27で検出されたクランクタイミング情報を読込み、前記点火時期算出部31で設定された点火時期に応じた点火パルスを前記点火コイル11に向けて出力する点火パルス出力部32とを備えて構成される。
前記エンジン回転数算出部26は、前記クランク角度信号の時間変化率から、エンジンの出力軸であるクランクシャフトの回転速度をエンジン回転数として算出する。具体的には、前記隣合う歯23間の位相を、対応するクランクパルス検出所要時間で除したエンジン回転数の瞬間値と、その移動平均値からなるエンジン回転数の平均値とを算出する。
前記クランクタイミング検出部27は、前述した特開平10−227252号公報に記載される行程判別装置と同様の構成を有し、これにより例えば図4に示すように各気筒毎の行程状態を検出し、それをクランクタイミング情報として出力する。即ち、4サイクルエンジンにおいて、クランクシャフトとカムシャフトとは所定の位相差で常時回転し続けているから、例えば図4に示すようにクランクパルスが読込まれているとき、前述した歯抜け部から四番目の図示“9”又は“21”のクランクパルスは排気行程か又は圧縮行程の何れかである。周知のように、排気行程では排気バルブが閉じ、吸気バルブが閉じているので吸気圧力が高く、圧縮行程の初期は、未だ吸気バルブが開いているために吸気圧力が低く、若しくは吸気バルブが閉じていても、先行する吸気行程で吸気圧力が低くなっている。従って、吸気圧力が低いときの図示“21”のクランクパルスは圧縮行程にあることを示しており、図示“0”のクランクパルスが得られた直後が圧縮上死点になる。このようにして、何れかの行程状態が検出できたら、この行程の間を、クランクシャフトの回転速度で補間すれば、現在の行程状態を更に細かく検出することができる。
前記クランクタイミング検出部27は、前述した特開平10−227252号公報に記載される行程判別装置と同様の構成を有し、これにより例えば図4に示すように各気筒毎の行程状態を検出し、それをクランクタイミング情報として出力する。即ち、4サイクルエンジンにおいて、クランクシャフトとカムシャフトとは所定の位相差で常時回転し続けているから、例えば図4に示すようにクランクパルスが読込まれているとき、前述した歯抜け部から四番目の図示“9”又は“21”のクランクパルスは排気行程か又は圧縮行程の何れかである。周知のように、排気行程では排気バルブが閉じ、吸気バルブが閉じているので吸気圧力が高く、圧縮行程の初期は、未だ吸気バルブが開いているために吸気圧力が低く、若しくは吸気バルブが閉じていても、先行する吸気行程で吸気圧力が低くなっている。従って、吸気圧力が低いときの図示“21”のクランクパルスは圧縮行程にあることを示しており、図示“0”のクランクパルスが得られた直後が圧縮上死点になる。このようにして、何れかの行程状態が検出できたら、この行程の間を、クランクシャフトの回転速度で補間すれば、現在の行程状態を更に細かく検出することができる。
前記行程検出許可部29は、図5に示す演算処理に従って、前記クランクタイミング検出部27に対する行程検出許可情報を出力する。前述のように、前記クランクパルスから行程を検出するには、最低、クランクシャフト二回転を要する。この間、前記歯抜け部を含むクランクパルスが安定していることが必要である。しかしながら、本実施形態のような比較的小排気量、単気筒のエンジンでは、始動時の、所謂クランキング時には、エンジンの回転状態が安定しない。そこで、図5の演算処理によってエンジンの回転状態の判定を行い、行程検出を許可する。
この図5の演算処理は、例えば前記クランクパルスの入力をトリガとして実行される。なお、このフローチャートでは、特に通信のためのステップを設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶され、また演算処理に必要な情報やプログラムは随時記憶装置から読出される。
この演算処理では、まずステップS11で、前記エンジン回転数算出部26で算出されたエンジン回転数の平均値を読込む。
次にステップS12に移行して、前記ステップS11で読込んだエンジン回転数の平均値が、初爆時相当の回転数以上の予め設定された行程検出許可所定回転数以上であるか否かを判定し、当該エンジン回転数の平均値が行程検出許可所定回転数以上である場合にはステップS13に移行し、そうでない場合にはステップS14に移行する。
この演算処理では、まずステップS11で、前記エンジン回転数算出部26で算出されたエンジン回転数の平均値を読込む。
次にステップS12に移行して、前記ステップS11で読込んだエンジン回転数の平均値が、初爆時相当の回転数以上の予め設定された行程検出許可所定回転数以上であるか否かを判定し、当該エンジン回転数の平均値が行程検出許可所定回転数以上である場合にはステップS13に移行し、そうでない場合にはステップS14に移行する。
前記ステップS13では、行程検出を許可する旨の情報を出力してからメインプログラムに復帰する。
また、前記ステップS14では、行程検出を許可しない旨の情報を出力してからメインプログラムに復帰する。
この演算処理によれば、エンジン回転数の平均値が、少なくとも初爆時相当の回転数以上の行程検出許可所定回転数以上となってから行程検出が許可されるので、クランクパルスが安定し、正確な行程検出が可能となる。
また、前記ステップS14では、行程検出を許可しない旨の情報を出力してからメインプログラムに復帰する。
この演算処理によれば、エンジン回転数の平均値が、少なくとも初爆時相当の回転数以上の行程検出許可所定回転数以上となってから行程検出が許可されるので、クランクパルスが安定し、正確な行程検出が可能となる。
前記シリンダ内空気質量算出部28は、図6に示すように、前記吸気圧力信号及び前記エンジン回転数算出部26で算出されたエンジン回転数からシリンダ内空気質量を算出するための三次元マップを備えている。このシリンダ内空気質量の三次元マップは、例えば実際にエンジンを所定の回転数で回転させながら吸気圧力を変化させたときのシリンダ内空気質量を計測するだけでよく、比較的簡単な実験によって計測でき、従ってマップの作成は容易である。また、高度なエンジンシミュレーションがあれば、それを用いてマップを作成することも可能である。なお、シリンダ内空気質量は、エンジンの温度によって変化するので、前記冷却水温度(エンジン温度)信号を用いて補正してもよい。
前記目標空燃比算出部33は、図7に示すように、前記吸気圧力信号及び前記エンジン回転数算出部26で算出されたエンジン回転数から目標空燃比を算出するための三次元マップを備えている。この三次元マップは、或る程度まで机上でも設定することができる。空燃比は、一般にトルクと相関があり、空燃比が小さい、つまり燃料が多く且つ空気が少ないと、トルクが増す一方、効率は低下する。逆に、空燃比が大きい、つまり燃料が少なく且つ空気が多いと、トルクが減少するが、効率は向上する。空燃比が小さい状態をリッチ、空燃比が大きい状態をリーンと呼んでおり、最もリーンな状態は、所謂理想空燃比、或いはストイキオメトリックと呼ばれ、ガソリンが完全燃焼する空燃比、即ち14.7である。
エンジン回転数は、エンジンの運転状態であり、一般に高回転側で空燃比を大きくし、低回転側で小さくする。これは、低回転側でトルクの応答性を高め、高回転側で回転状態の応答性を高めるためである。また、吸気圧力は、スロットル開度などのエンジン負荷状態であり、一般にエンジン負荷の大きい状態、つまりスロットル開度が大きく、吸気圧力も大きいときに空燃比を小さくし、エンジン負荷の小さい状態、つまりスロットル開度が小さく、吸気圧力も小さいときに空燃比を大きくする。これは、エンジン負荷が大きいときにトルクを重視し、エンジン負荷が小さいときに効率を重視するためである。
このように目標空燃比とは、物理的意味を把握しやすい数値であり、従って要求されるエンジンの出力特性に合わせて、目標空燃比を或る程度設定することが可能なのである。勿論、実車のエンジン出力特性に合わせて、チューニングを行ってもよいことはいうまでもない。
このように目標空燃比とは、物理的意味を把握しやすい数値であり、従って要求されるエンジンの出力特性に合わせて、目標空燃比を或る程度設定することが可能なのである。勿論、実車のエンジン出力特性に合わせて、チューニングを行ってもよいことはいうまでもない。
また、この目標空燃比算出部33は、前記吸気圧力信号からエンジンの運転状態の過渡期、具体的には加速状態や減速状態を検出し、それに合わせて目標空燃比を補正する過渡期補正部29を備えている。例えば図8に示すように、吸気圧力は、スロットル操作の結果でもあるから、吸気圧力が大きくなるときは、スロットルが開けられて加速が要求されている、即ち加速状態であることが分かる。そのような加速状態が検出されたら、それに合わせて、例えば前記目標空燃比を一時的にリッチ側に設定し、その後、本来の目標空燃比に戻す。目標空燃比への戻し方は、例えば過渡期でリッチ側に設定された空燃比と、本来の目標空燃比との重み付け平均の重み付け係数を次第に変化させるなど、既存の方法が利用できる。逆に、減速状態を検出したら、本来の目標空燃比よりリーン側に設定し、効率を重視するようにしてもよい。
前記燃料噴射量算出部34では、図9に示す演算処理に従って、エンジン始動時並びに通常運転時の燃料噴射量及び燃料噴射時期を算出設定する。この図9の演算処理は、例えば前記クランクパルスの入力をトリガとして実行される。なお、このフローチャートでは、特に通信のためのステップを設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶され、また演算処理に必要な情報やプログラムは随時記憶装置から読出される。
この演算処理では、まずステップS21で、前記行程検出許可部29から出力されている行程検出情報を読込む。
次にステップS22に移行して、前記クランクタイミング検出部27による行程検出が未完了であるか否かを判定し、行程検出未完了である場合にはステップS23に移行し、そうでない場合にはステップS24に移行する。
前記ステップS23では、燃料噴射回数カウンタnが“0”であるか否かを判定し、当該燃料噴射回数カウンタnが“0”である場合にはステップS25に移行し、そうでない場合にはステップS26に移行する。
前記ステップS25では、これからの燃料噴射がエンジン始動開始から3回目以降の燃料噴射であるか否かを判定し、3回目以降の燃料噴射である場合にはステップS27に移行し、そうでない場合にはステップS28に移行する。
次にステップS22に移行して、前記クランクタイミング検出部27による行程検出が未完了であるか否かを判定し、行程検出未完了である場合にはステップS23に移行し、そうでない場合にはステップS24に移行する。
前記ステップS23では、燃料噴射回数カウンタnが“0”であるか否かを判定し、当該燃料噴射回数カウンタnが“0”である場合にはステップS25に移行し、そうでない場合にはステップS26に移行する。
前記ステップS25では、これからの燃料噴射がエンジン始動開始から3回目以降の燃料噴射であるか否かを判定し、3回目以降の燃料噴射である場合にはステップS27に移行し、そうでない場合にはステップS28に移行する。
前記ステップS27では、クランクシャフト2回転間において、予め設定された所定クランク角度、本実施例では前記図2、図4の図示“6”又は図示“18”のクランクパルスでの吸気圧力を、例えば図示されない吸気圧力記憶部から読込み、両者の吸気圧力差を算出してからステップS29に移行する。
前記ステップS29では、前記ステップS28で算出された吸気圧力差が、例えば行程を或る程度識別できる程度の所定値以上であるか否かを判定し、当該吸気圧力差が所定値以上である場合にはステップS30に移行し、そうでない場合には前記ステップS28に移行する。
前記ステップS29では、前記ステップS28で算出された吸気圧力差が、例えば行程を或る程度識別できる程度の所定値以上であるか否かを判定し、当該吸気圧力差が所定値以上である場合にはステップS30に移行し、そうでない場合には前記ステップS28に移行する。
前記ステップS30では、前記ステップS27で読込まれたクランクシャフト2回転間における所定クランク角度での吸気圧力のうち、何れか小さい方の吸気圧力に基づいて総燃料噴射量を算出してからステップS31に移行する。
一方、前記ステップS28では、前記冷却水温度、つまりエンジン温度を読込み、例えば冷却水温度が低いほど燃料噴射量を多くするなど、冷却水温度に応じた総燃料噴射量を算出してから前記ステップS31に移行する。このステップS28或いは前記ステップS30で算出する総燃料噴射量とは、本来、1サイクル、つまりクランクシャフト2回転に一回、吸気行程の前に噴射すればよい燃料噴射量を意味している。従って、行程が既に検出され、吸気行程前に冷却水温度対応燃料噴射量を1回だけ噴射すれば、エンジンは冷却水温度、即ちエンジン温度に応じて適切に回転する。
一方、前記ステップS28では、前記冷却水温度、つまりエンジン温度を読込み、例えば冷却水温度が低いほど燃料噴射量を多くするなど、冷却水温度に応じた総燃料噴射量を算出してから前記ステップS31に移行する。このステップS28或いは前記ステップS30で算出する総燃料噴射量とは、本来、1サイクル、つまりクランクシャフト2回転に一回、吸気行程の前に噴射すればよい燃料噴射量を意味している。従って、行程が既に検出され、吸気行程前に冷却水温度対応燃料噴射量を1回だけ噴射すれば、エンジンは冷却水温度、即ちエンジン温度に応じて適切に回転する。
前記ステップS31では、前記ステップS30で設定された総燃料噴射量の半分を今回の燃料噴射量に設定すると共に、各回転毎、つまりクランクシャフト一回転毎に、所定のクランク角度、本実施形態では前記図2、図4の図示“10”又は図示“22”のクランクパルス立下がり時を燃料噴射時期に設定してからステップS32に移行する。
前記ステップS32では、前記燃料噴射回数カウンタ“1”としてからメインプログラムに復帰する。
前記ステップS32では、前記燃料噴射回数カウンタ“1”としてからメインプログラムに復帰する。
一方、前記ステップS24では、前回の燃料噴射が吸気行程の直前か否かを判定し、前回の燃料噴射が吸気行程の直前である場合にはステップS33に移行し、そうでない場合にはステップS26に移行する。
前記ステップS26では、前回の燃料噴射量を今回の燃料噴射量に設定すると共に、前記ステップS31と同様に、各回転毎、つまりクランクシャフト一回転毎に、所定のクランク角度を燃料噴射時期に設定してからステップS34に移行する。
前記ステップS26では、前回の燃料噴射量を今回の燃料噴射量に設定すると共に、前記ステップS31と同様に、各回転毎、つまりクランクシャフト一回転毎に、所定のクランク角度を燃料噴射時期に設定してからステップS34に移行する。
前記ステップS34では、前記燃料噴射回数カウンタ“0”としてからメインプログラムに復帰する。
また、前記ステップS33では、目標空燃比、シリンダ内空気質量、吸気圧力に応じた通常運転時の燃料噴射量及び燃料噴射時期を設定してからステップS35に移行する。具体的には、例えば前記シリンダ内空気質量算出部28で算出されたシリンダ内空気質量を前記目標空燃比算出部33で算出された目標空燃比で除すことで、シリンダ内必要燃料質量を得ることができるので、これに例えばインジェクタ13の流量特性を乗じて燃料噴射時間を求めることができ、これから燃料噴射量及び燃料噴射時期を算出することができる。
前記ステップS34では、前記燃料噴射回数カウンタ“0”としてからメインプログラムに復帰する。
また、前記ステップS33では、目標空燃比、シリンダ内空気質量、吸気圧力に応じた通常運転時の燃料噴射量及び燃料噴射時期を設定してからステップS35に移行する。具体的には、例えば前記シリンダ内空気質量算出部28で算出されたシリンダ内空気質量を前記目標空燃比算出部33で算出された目標空燃比で除すことで、シリンダ内必要燃料質量を得ることができるので、これに例えばインジェクタ13の流量特性を乗じて燃料噴射時間を求めることができ、これから燃料噴射量及び燃料噴射時期を算出することができる。
前記ステップS34では、前記燃料噴射回数カウンタ“0”としてからメインプログラムに復帰する。
この演算処理では、前記クランクタイミング検出部27による行程検出が未完了であるときには、本来、1サイクルに一回、吸気行程の前に噴射すればエンジンを適切に回転させることができる総燃料噴射量の半分を、クランクシャフト一回転毎の一度、所定のクランク角度で噴射することにより、後述するように、エンジンの始動時、クランキング開始から最初の吸気行程では、必要な燃料の半分しか吸気されない可能性があるが、圧縮上死点又はその近傍で点火すれば、弱いながらも、確実に爆発を得てエンジンを始動することが可能となる。勿論、クランキング開始から最初の吸気行程で必要な燃料が吸気される場合、つまりクランクシャフト一回転毎に一度噴射された燃料を二回分吸気することができた場合には、十分な爆発力を得て確実にエンジンを始動することが可能である。
また、行程が検出された場合であっても、前回の燃料噴射が吸気行程の直前でない場合、例えば排気行程以前である場合には、未だ、前記必要な燃料噴射量の半分しか、噴射されていないので、もう一度、前回と同じ燃料噴射量を噴射するようにすることで、次の吸気行程には必要な燃料が吸気され、十分な爆発力を得てエンジンを運転することができる。
更に、前記行程検出が未完了であるとき、クランクシャフト2回転間における予め設定された所定クランク角度、具体的には前記図2、図4の図示“6”又は図示“18”のクランクパルスでの吸気圧力、つまり吸気行程か若しくは膨張行程の吸気圧力を読込み、両者の吸気圧力差を算出する。前述のように、スロットルバルブがいきなり大きく開かれていなければ、吸気行程の吸気圧力と膨張行程の吸気圧力とでは相応の圧力差があるので、前記算出された吸気圧力差が、前記行程検出可能な程度の所定値以上であるときには、そのうちの何れか小さい方の吸気圧力が吸気行程の吸気圧力であるとし、その吸気圧力、即ち或る程度スロットル開度に応じた吸気圧力に応じて総燃料噴射量を設定することにより、スロットル開度に応じたエンジン回転上昇を得ることが可能となる。
一方、前記クランクシャフト2回転間における所定クランク角度での吸気圧力差が所定値未満か、若しくは始動開始直後の燃料噴射時には、冷却水温度、即ちエンジン温度に応じた総燃料噴射量を設定することにより、少なくともフリクションに抗して確実にエンジンを回転始動させることが可能となる。
前記点火時期算出部31では、図10に示す演算処理に従って、エンジン始動時並びに通常運転時の点火時期を算出設定する。この図10の演算処理は、前記クランクパルスの入力をトリガとして実行される。なお、このフローチャートでは、特に通信のためのステップを設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶され、また演算処理に必要な情報やプログラムは随時記憶装置から読出される。
前記点火時期算出部31では、図10に示す演算処理に従って、エンジン始動時並びに通常運転時の点火時期を算出設定する。この図10の演算処理は、前記クランクパルスの入力をトリガとして実行される。なお、このフローチャートでは、特に通信のためのステップを設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶され、また演算処理に必要な情報やプログラムは随時記憶装置から読出される。
この演算処理では、まずステップS41で、前記行程検出許可部29から出力されている行程検出情報を読込む。
次にステップS42に移行して、前記クランクタイミング検出部27による行程検出が未完了であるか否かを判定し、行程検出未完了である場合にはステップS47に移行し、そうでない場合にはステップS44に移行する。
次にステップS42に移行して、前記クランクタイミング検出部27による行程検出が未完了であるか否かを判定し、行程検出未完了である場合にはステップS47に移行し、そうでない場合にはステップS44に移行する。
前記ステップS47では、例えばエンジン始動時、クランキング開始から初爆による爆発力を得る以前であって、エンジン回転数が低く、不安定であるとして始動初期点火時期をクランクシャフト1回転毎に、上死点(圧縮、排気を問わない)、即ち前記図2又は図4の図示“0”又は図示“12”のクランクパルス立下がり時±クランクシャフト回転角度10°に設定してからメインプログラムに復帰する。なお、±クランクシャフト回転角度10°とは、電気的、或いは機械的な応答性を加味したもので、実質的には前記図2又は図4の図示“0”又は図示“12”のクランクパルス立下がりと同時に点火を行う。
前記ステップS44では、前記エンジン回転数の平均値が所定値以上か否か、当該エンジン回転数の平均値が所定値以上である場合にはステップS48に移行し、そうでない場合には前記ステップS46に移行する。
前記ステップS46では、例えばエンジン始動時、初爆による爆発力を得た以後であって、エンジン回転数が或る程度高い(しかしエンジン回転数は安定していない)として始動後期点火時期を1サイクルに一回、圧縮上死点前、進角側10°、即ち前記図3又は図11の図示“0”のクランクパルス立上がり時±クランクシャフト回転角度10°に設定してからメインプログラムに復帰する。なお、±クランクシャフト回転角度10°とは、電気的、或いは機械的な応答性を加味したもので、実質的には前記図2又は図4の図示“0”又は図示“12”のクランクパルス立上がりと同時に点火を行う。
前記ステップS46では、例えばエンジン始動時、初爆による爆発力を得た以後であって、エンジン回転数が或る程度高い(しかしエンジン回転数は安定していない)として始動後期点火時期を1サイクルに一回、圧縮上死点前、進角側10°、即ち前記図3又は図11の図示“0”のクランクパルス立上がり時±クランクシャフト回転角度10°に設定してからメインプログラムに復帰する。なお、±クランクシャフト回転角度10°とは、電気的、或いは機械的な応答性を加味したもので、実質的には前記図2又は図4の図示“0”又は図示“12”のクランクパルス立上がりと同時に点火を行う。
前記ステップS48では、行程1サイクルに一回の通常点火時期設定を行ってからメインプログラムに復帰する。例えば、一般に、通常の点火では、上死点よりも少し進角側で最もトルクフルになるから、その点火時期を中心として、吸気圧力に反映される運転者の加速意思に応じて点火時期を調整するようにする。
この演算処理では、行程検出未完了の初爆以前のクランキング開始時、即ち始動初期には、前記クランクシャフト1回転毎の燃料噴射と合わせて、確実にエンジンを回転始動させるためにクランクシャフト1回転毎に上死点近傍を点火時期としてエンジンの逆回転を防止する。また、行程が検出されてからも、エンジン回転数が所定値以上となるまでは、比較的トルクフルな圧縮上死点前、進角側10°近傍を始動後期点火時期に設定することにより、エンジン回転数を高めに安定させる。
この演算処理では、行程検出未完了の初爆以前のクランキング開始時、即ち始動初期には、前記クランクシャフト1回転毎の燃料噴射と合わせて、確実にエンジンを回転始動させるためにクランクシャフト1回転毎に上死点近傍を点火時期としてエンジンの逆回転を防止する。また、行程が検出されてからも、エンジン回転数が所定値以上となるまでは、比較的トルクフルな圧縮上死点前、進角側10°近傍を始動後期点火時期に設定することにより、エンジン回転数を高めに安定させる。
このように本実施形態では、吸気圧力及びエンジンの運転状態から、予め記憶されたシリンダ内空気質量三次元マップに従って、シリンダ内空気質量を算出すると共に、当該吸気圧力及びエンジンの運転状態から、予め記憶された目標空燃比マップに従って、目標空燃比を算出し、シリンダ内空気質量を目標空燃比で除すことにより、燃料噴射量を算出することができるので、制御を容易且つ正確なものとすると共に、シリンダ内空気質量マップは計測し易く、目標空燃比マップは設定し易いため、マップ作成が容易になる。また、エンジン負荷を検出するためのスロットル開度センサやスロットルポジションセンサなどのスロットルセンサが不要である。
また、吸気圧力から加速状態や減速状態などの過渡期であることを検出し、目標空燃比を補正することにより、加速時や減速時でのエンジンの出力特性を、単に目標空燃比マップに従って設定されるものから、運転者が要求するもの或いは運転者の感覚に近いものに変更することができる。
また、クランクシャフトの位相からエンジンの回転数を検出することにより、エンジン回転数を容易に検出することができると共に、例えばカムセンサに代えてクランクシャフトの位相から行程状態を検出するようにすれば、高価で大がかりなカムセンサをなくすことができる。
また、クランクシャフトの位相からエンジンの回転数を検出することにより、エンジン回転数を容易に検出することができると共に、例えばカムセンサに代えてクランクシャフトの位相から行程状態を検出するようにすれば、高価で大がかりなカムセンサをなくすことができる。
このようにカムセンサを用いない本実施形態では、クランクシャフトの位相や行程検出が重要である。しかしながら、クランクパルスと吸気圧力とだけから行程検出を行う本実施形態では、最低でも、クランクシャフトが二回転しないと行程を検出することができない。ところが、エンジンが停止されるのは、どの行程か、分からない。つまり、どの行程からクランキングが開始されるかは、分からないのである。そこで、本実施形態では、クランキング開始から行程が検出されるまでの間、前記クランクパルスを用いて、クランクシャフト1回転毎に所定クランク角度で燃料噴射すると共に同じくクランクシャフト1回転毎に圧縮上死点近傍で点火を行う。また、行程が検出されてからは、スロットル開度に応じた目標空燃比を達成可能な燃料噴射を、1サイクルに一回行うが、エンジン回転数が所定値以上となるまでは、前記クランクパルスを用いて、トルクの出易い圧縮上死点前、進角側10°近傍で点火を行う。
図12は、前述のような燃料噴射及び点火時期制御によって初爆が得られたが、その初爆の爆発力が比較的小さいときのエンジン(クランクシャフト)回転数、燃料噴射パルス、点火パルスの経時変化を示したものである。前述のように、初爆が得られてエンジン回転数の平均値が行程検出許可所定回転数以上となるまで、点火パルスはクランクシャフト1回転毎に前記図3の図示“0”又は図示“12”(この時点でのナンバリングは正確ではない)のクランクパルス立下がり時に合わせて出力され、燃料噴射パルスはクランクシャフト1回転毎に前記図4の図示“10”又は図示“22”(この時点でのナンバリングは正確ではない)のクランクパルス立下がり時に合わせて出力されている。ちなみに、点火パルスの終了時、つまり立下がり時に点火が行われ、燃料噴射パルスの終了時、つまり立下がり時に燃料噴射が終了するように設定されている。
また、図示1回目及び2回目の燃料噴射は、前述のように冷却水温度、即ちエンジン温度に基づいて設定された総燃料噴射量に従っているが、この間、吸気行程に相当するクランクパルス“18”の吸気圧力P0 と膨張行程に相当するクランクパルス“6”の吸気圧力P1 が得られ、しかも両者の吸気圧力差は、前記行程検出可能な所定値以上であったため、3回目及び4回目の燃料噴射は、そのうちの低い方の吸気圧力、即ち吸気行程に相当するクランクパルス“18”の吸気圧力P0 に基づいて設定された総燃料噴射量に従っている。
この燃料噴射及び点火制御により、弱い初爆が得られたので、エンジン回転数の平均値はなだらかに増加し、やがて行程検出許可所定回転数以上となった時点で行程検出が許可されるので、前述のように前回の同じクランク角度での吸気圧力を比較して行程検出を行う。このときは、行程検出の結果、前回の燃料噴射が吸気行程の直前であったため、それ以後は、理想的なタイミングで、1サイクルに一回だけ、目標空燃比を達成する燃料を噴射した。一方、行程検出後は、点火時期も1サイクルに一回だけ行うが、未だ、冷却水温度が所定温度に達しておらず、アイドル回転数が安定していなかったために、点火時期は圧縮上死点前、進角側10°、即ち前記図3の図示“0”のクランクパルス立上がり時に合わせて点火パルスを出力している。これにより、以後は、エンジン回転数が速やかに増加している。
図13は、同様のクランキング時燃料噴射及び点火制御を行った結果、初爆で大きい爆発力が得られた場合のエンジン(クランクシャフト)回転数、燃料噴射パルス、点火パルスの経時変化を示したものである。このように初爆が強いと、エンジン回転数の平均値は速やかに増加し、短期間で行程検出許可所定回転数以上となって行程検出が許可される。このときは、行程検出の結果、前回の燃料噴射が吸気行程の直前ではない、具体的には膨張行程であったため、もう一度、同じ燃料噴射量を、前回と同じクランク角度で噴射し、続く吸気行程で理想的な燃料量が吸気されるようにし、これによりエンジン始動を安定することが可能となった。
このように、本実施形態では、行程が検出されるまでは、クランクシャフト1回転毎に所定クランク角度で燃料噴射すると共に同じくクランクシャフト1回転毎に圧縮上死点近傍で点火を行うことにより、弱くても、確実な初爆を得ることができると共に、エンジンの逆回転を防止することができる。つまり、初爆が得られる以前に、圧縮上死点よりも進角側で点火を行うと、エンジンが逆回転する恐れがあるのである。また、行程が検出されてからは、1サイクルの一回、燃料噴射と点火を行う。この点火に際しては、圧縮上死点前、進角側10°近傍で行うことにより、エンジン回転数を速やかに立ち上げることができる。
もし、行程検出前に、1サイクルに一回、つまりクランクシャフト2回転に一回、燃料噴射と点火を行うと、燃料噴射が吸気後であったり、点火が圧縮上死点でなかったりしたときに、確実な初爆が得られない。つまり、エンジンが滑らかに始動する場合と始動しない場合とが発生する。また、行程検出後に、クランクシャフトの1回転に一回、燃料噴射を行うと、エンジン回転数の使用領域が高い二輪車両では、燃料を噴射し続けなければならなくなって、インジェクタのダイナミックレンジが規制されてしまう。また、行程検出後も、クランクシャフトの1回転に一回、点火し続けるのは、エネルギの無駄である。
なお、前記実施形態では、吸気管内噴射型エンジンについて詳述したが、本発明のエンジン制御装置は、直噴型エンジンにも同様に展開できる。
また、前記実施形態では、単気筒エンジンについて詳述したが、本発明のエンジン制御装置は、気筒数が2気筒以上の、所謂マルチシリンダ型エンジンについても同様に展開できる。
また、エンジンコントロールユニットは、マイクロコンピュータに代えて各種の演算回路で代用することも可能である。
また、前記実施形態では、単気筒エンジンについて詳述したが、本発明のエンジン制御装置は、気筒数が2気筒以上の、所謂マルチシリンダ型エンジンについても同様に展開できる。
また、エンジンコントロールユニットは、マイクロコンピュータに代えて各種の演算回路で代用することも可能である。
Claims (5)
- クランクシャフト自体又はクランクシャフトと同期回転する部材の外周に不等間隔で設けられた歯を有するエンジンであって、それらの歯の接近にともなって送出されるパルス信号からクランクシャフトの位相を検出するクランクシャフト位相検出手段と、エンジンの吸気通路内の吸気圧力を検出する吸気圧力検出手段と、前記クランクシャフト位相検出手段で検出されたクランクシャフトの位相及び前記吸気圧力検出手段で検出された吸気圧力に基づいてエンジンの行程状態を検出するクランクタイミング検出手段と、前記クランクタイミング検出手段で検出されたエンジンの行程状態に基づいて燃料噴射量及び燃料噴射時期を設定する燃料噴射量算出手段とを備え、前記燃料噴射量算出手段は、前記クランクタイミング検出手段でエンジンの行程状態が検出されていないときに、エンジンの一つの気筒に対し、クランクシャフトの一回転毎に所定のクランクシャフトの位相を燃料噴射時期に設定することを特徴とするエンジン制御装置。
- 前記燃料噴射量算出手段は、前記クランクタイミング検出手段でエンジンの行程状態が検出されていないときに、エンジンの一つの気筒に対し、当該気筒における行程1サイクルに必要な燃料量を算出し、その半分の燃料を燃料噴射量として設定することを特徴とする請求項1に記載のエンジン制御装置。
- 前記燃料噴射量算出手段は、前記クランクタイミング検出手段でエンジンの行程状態が検出された直前の噴射が吸気行程の直前でない場合は、前記行程1サイクルに必要な燃料量の半分の燃料を燃料噴射量に設定すると共に、エンジンの一つの気筒に対し、クランクシャフトの一回転毎に所定のクランクシャフトの位相を燃料噴射実機に設定することを特徴とする請求項2に記載のエンジン制御装置。
- エンジン温度を検出するエンジン温度検出手段を備え、前記燃料噴射量算出手段は、前記クランクタイミング検出手段によりエンジンの行程状態が検出されていないときで且つ前記吸気圧力検出手段で検出された吸気圧力のうち、前記クランクシャフト位相検出手段で検出されたクランクシャフト2回転間の所定クランクシャフト位相での吸気圧力差が所定値以上であるときには、そのうちの何れか小さい方の吸気圧力に基づいて算出された燃料量を前記行程1サイクルに必要な燃料量に設定し、前記エンジンの行程状態が検出されていないときで且つ前記吸気圧力差が所定値未満であるときには、前記エンジン温度検出手段で検出されたエンジンの温度に基づいて算出された燃料量を前記行程1サイクルに必要な燃料量に設定することを特徴とする請求項2又は3に記載のエンジン制御装置。
- 前記吸気圧力差を検出するための所定クランクシャフト位相は、吸気行程又は膨張行程であることを特徴とする請求項4に記載のエンジン制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2007299423A Pending JP2008088983A (ja) | 2001-10-24 | 2007-11-19 | エンジン制御装置 |
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JP2019090358A (ja) * | 2017-11-14 | 2019-06-13 | 株式会社クボタ | 作業車 |
-
2007
- 2007-11-19 JP JP2007299423A patent/JP2008088983A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019090358A (ja) * | 2017-11-14 | 2019-06-13 | 株式会社クボタ | 作業車 |
JP7023086B2 (ja) | 2017-11-14 | 2022-02-21 | 株式会社クボタ | 作業車 |
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A02 | Decision of refusal |
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