JP2008088326A - 押出成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】押出成形体を、0.2〜30g/10分のメルトマスフローレートを有する熱可塑性樹脂(A)に強化充填材(B)を組成物全量に対し35〜80体積%の割合で配合してなる熱可塑性樹脂組成物を押出成形して成るものとする。この押出成形体を押出機により押出成形して製造するには、押出機の賦形金型下において、樹脂組成物の見掛け粘度(ηa)と押出機のせん断速度(γ)との関係が下記の数式を満たすように該金型の温度条件を制御する。
ηa=α×γn
ηa:見掛け粘度(Pa・s)
α:係数
γ:せん断速度(s−1)
n:係数
(式中、係数αは30000〜350000、係数nは−0.90〜−0.55)
【選択図】なし
Description
そこで、押出機に直結した冷却金型により、ささくれ等の欠陥が生じる前に樹脂を圧縮し硬化させる方法(固化押出法)が行われることもある。しかしながら、金型内で充分に冷却を行う必要性があるために、低速で成形する必要がある。
押出機の賦形金型下において、樹脂組成物の見掛け粘度(ηa)(Pa・s)と押出機のせん断速度(γ)(s−1)との関係が下記の数式を満たすように該金型の温度条件を制御することを特徴とする第1ないし5のいずれかの発明に記載の押出成形体の製造方法が提供される。
ηa=α×γn
ηa:見掛け粘度(Pa・s)
α:係数
γ:せん断速度(s−1)
n:係数
(式中、係数αは30000〜350000、係数nは−0.90〜−0.55である。)
また、本発明の製造方法は、熱可塑性樹脂(A)に強化充填材(B)を多量配合してなる熱可塑性樹脂組成物を用いて、高剛性であり、賦形金型による表面転写性に優れ、外観性に優れた押出成形体を生産性よく製造しうるという利点がある。
以下、本発明の押出成形体について、その構成や、その製造法等について詳細に説明する。
熱可塑性樹脂組成物において(A)成分として用いられる熱可塑性樹脂は0.2〜30g/10分のメルトマスフローレートを有することが肝要であり、それを満たせば特に限定されず、例えばポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン等のポリアミド、ABS、EVA、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、アクリル系樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフイド、ポリアセタール等が挙げられる。ポリオレフィンとしては具体的には、LLDPE(線状低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)等のポリエチレン、ポリプロピレン、プロピレン・エチレンブロック共重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体等が挙げられる。
これらは、1種用いてもよいし、また、2種以上組み合わせて用いてもよい。
ポリスチレン樹脂は高い弾性率をもっていることから、それを混合させた熱可塑性樹脂により剛性を向上させることができる。
熱可塑性樹脂としては、特にポリオレフィンは後述の酸変成等の手段により強化充填材との界面密着性を得やすいし、強化充填材とスクリューによるせん断発熱で分解することもないので、好ましく、中でもポリプロピレンや、ポリエチレンや、ポリオレフィンにポリスチレンの混合されたものが好ましい。
熱可塑性樹脂は特にバージン品でなくてもよく、容器・包装リサイクル材であってもよい。
容器・包装リサイクル材は家庭等から排出され、回収された容器・包装材等であって、主としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンを含み、好ましくはメルトマスフローレートが4〜10(g/10分)の材料である。この容器・包装リサイクル材は、ポリプロピレンを少なくとも20重量%、ポリエチレンを30〜70重量%、ポリスチレンを3〜30重量%含むものである。ポリスチレンは剛性が高く、ポリオレフィン中に分散されることによって剛性が得られやすい。
熱可塑性樹脂の酸変性度はコスト対効果の観点から、0.02〜0.5%、中でも0.15〜0.3%とするのが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物において(B)成分として上記樹脂成分と共に用いられる強化充填材は特に限定されないが、好ましくは繊維状や粒状又は粉状の有機・無機物であり、繊維状のものとしては、ガラス繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、セッコウ繊維、ステンレススチール繊維、ボロン繊維、炭素繊維、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(例えばデュポン社製、ケブラー)などが、また、粒状又は粉状のものとしては、フライアッシュに代表される石炭灰;ウォラストナイト、バライト、マイカ、セリサイト、カオリン、クレー、ベントナイト、タルク、珪酸カルシウム、珪砂、アルミナシリケート等のケイ酸塩;アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩;硫酸カルシウム、石膏、硫酸バリウム等の硫酸塩;その他ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラス粉粒体、窒化ホウ素、炭化ケイ素、セメントコンクリート粉砕物、岩石粉粒体、バーミキュライト、パーライト、膨張頁岩などが挙げられ、好ましくは無機物、中でも石炭灰、特にフライアッシュが火力発電所からの副産物として多量排出され、安価で入手しやすく、また、環境保全や廃棄物リサイクルの点からも推奨される。また、フライアッシュは球状をしていることから押出成形機内で樹脂の流速が安定し、スクリュー等での混練によるせん断で形状が変化しにくい点でも好ましい。
これらは、1種用いてもよいし、また、2種以上組み合わせて用いてもよい。
強化充填材は粒状のものが、粒径の分布が大きく細密充填しやすいので、好ましく、かかる粒状物の平均粒径は、好ましくは1〜1000μm、より好ましくは10〜300μmとするのがよい。この粒径が小さすぎると熱可塑性樹脂中に均一に分散させることが困難となるし、また、大きすぎても薄肉の成形品を得ることが困難であるし、成形品に外力が加わった際に強化充填材と熱可塑性樹脂との界面に応力集中が発生しやすい。
上記押出成形体の製造方法として好ましくは、上記熱可塑性樹脂組成物を押出成形するに当たり、押出機の賦形金型下において、樹脂組成物の見掛け粘度(ηa)(Pa・s)と押出機のせん断速度(γ)(s−1)との関係が下記の数式を満たすように該金型の温度条件を制御する方法が挙げられる。
ηa=α×γn
ηa:見掛け粘度(Pa・s)
α:係数
γ:せん断速度(s−1)
n:係数
(式中、係数αは30000〜350000、係数nは−0.90〜−0.55である。)
上記の式は、或る温度におけるせん断速度を変えた際の見掛け粘度の変動について、せん断速度と見掛け粘度をそれぞれ対数表示でXY軸にとりグラフ化し、最小二乗法で近似させ、そのグラフにおいて、傾きをnとし、せん断速度(γ)が1のときの見掛け粘度(ηa)の値をαとしたものである。
上記の式において、係数αは好ましくは50000〜150000、より好ましくは90000〜110000である。
また、係数nは、上記のように負の数値を示し、せん断速度が上昇すると見掛け粘度は低下し、好ましくは−0.75〜−0.55、より好ましくは−0.70〜−0.55であり、この範囲内で係数が0に近い程、見掛け粘度はせん断速度の影響を受けにくく、押出量によって変動を受けにくいためにより好ましい。
また、せん断速度と押出量には正の相関があり、押出量を上げる(高速成形する)と、見掛け粘度が低くなる。
見掛け粘度を調整する為には使用する熱可塑性樹脂のメルトマスフローレートと強化充填材の充填量を調整すればよい。強化充填材の量を多くすることにより見掛け粘度は上昇し、少なくすることにより見掛け粘度は低下する。また、メルトマスフローレートが大きくなると見掛け粘度は低下し、小さくなると上昇する。
図1に示す成形装置を用い、フライアッシュ(北陸電力敦賀火力発電所産、平均粒径14.5μm)と表1に示す熱可塑性樹脂とを表1に示す割合で押出機内に投入して成形し、断面が60mm×6mmの平板状成形体を試験片として作製した。
成形時に表面荒れが発生するまでの最大線速を測定した。その際、賦形金型の温度を180℃とし、賦形金型に通される直前の樹脂組成物温度と、該金型通過直後の樹脂組成物表層温度を熱電対で測定した。
また、各サンプルより試験片を切り出し、引張弾性率を測定した。
加えて、キャピログラフにより180℃におけるせん断速度と見掛け粘度の関係を測定した。両者の関係を累積近似した。
なお、熱可塑性樹脂のメルトマスフローレートはJIS K 7210に準拠し、容器・包装リサイクル材はポリエチレンの基準に則り測定した。
また、無水マレイン酸変性ポリプロピレンはユーメックス1010(三洋化成社製、商品名)を用いた。
結果を表1および表2に示す。
11 シリンダー
12 モーター
13 スクリュー
14 ホッパー
15 アダプター
2 賦形金型
3 冷却金型
4 冷却水槽
5 引取り機
Claims (8)
- 0.2〜30g/10分のメルトマスフローレートを有する熱可塑性樹脂(A)に強化充填材(B)を組成物全量に対し35〜80体積%の割合で配合してなる熱可塑性樹脂組成物を押出成形して成る押出成形体。
- 熱可塑性樹脂(A)の少なくとも一部がポリオレフィンであることを特徴とする請求項1記載の押出成形体。
- 熱可塑性樹脂(A)の少なくとも一部が不飽和カルボン酸により酸変性されていることを特徴とする請求項1または2に記載の押出成形体。
- 熱可塑性樹脂(A)が容器・包装リサイクル材からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の押出成形体。
- 強化充填材(B)がフライアッシュであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の押出成形体。
- 0.2〜30g/10分のメルトマスフローレートを有する熱可塑性樹脂(A)に強化充填材(B)を組成物全量に対し35〜80体積%の割合で配合してなる熱可塑性樹脂組成物を押出成形するに当たり、
押出機の賦形金型下において、樹脂組成物の見掛け粘度(ηa)(Pa・s)と押出機のせん断速度(γ)(s−1)との関係が下記の数式を満たすように該金型の温度条件を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の押出成形体の製造方法。
ηa=α×γn
ηa:見掛け粘度(Pa・s)
α:係数
γ:せん断速度(s−1)
n:係数
(式中、係数αは30000〜350000、係数nは−0.90〜−0.55である。) - 上記熱可塑性樹脂組成物を溶融させ、押出機に直結した賦形金型に通した後、サイジング冷却金型に通す際に、賦形金型に通される直前の樹脂組成物温度に対して賦形金型を通過した直後の樹脂組成物表層部分の温度が高くなるように設定することを特徴とする請求項6に記載の押出成形体の製造方法。
- 押出成形体の押出線速が1m/分以上であることを特徴とする請求項6または7に記載の押出成形体の製造方法。
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