JP2015232102A - 軟質塩化ビニル樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来と同程度の硬度を有しながら、高価な成分である可塑剤の配合量が少なくてすむ塩化ビニル樹脂を提供する。
【解決手段】 ポリ塩化ビニルと可塑剤と、好ましくはフライアッシュを主体とする石炭灰とを含んでなる軟質塩化ビニル樹脂組成物であって、滑剤を含まず、かつ炭酸カルシウムを含まないか或いはポリ塩化ビニル100質量部に対して炭酸カルシウムが5質量部以下である軟質塩化ビニル樹脂組成物。ポリ塩化ビニル100質量部に対して、石炭灰は10〜70質量部であることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】 ポリ塩化ビニルと可塑剤と、好ましくはフライアッシュを主体とする石炭灰とを含んでなる軟質塩化ビニル樹脂組成物であって、滑剤を含まず、かつ炭酸カルシウムを含まないか或いはポリ塩化ビニル100質量部に対して炭酸カルシウムが5質量部以下である軟質塩化ビニル樹脂組成物。ポリ塩化ビニル100質量部に対して、石炭灰は10〜70質量部であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、軟質塩化ビニル樹脂組成物に関するものである。より詳細には、ポリ塩化ビニルと可塑剤と石炭灰を含んでなり、滑剤を含まずかつ炭酸カルシウムを含まないか或いはポリ塩化ビニル100質量部に対して5質量部以下である軟質塩化ビニル樹脂組成物に関する。
石炭灰は、火力発電所より発生する廃棄物であり、年間約850万トン発生している。この石炭灰は、ボイラー内の球形微粒子を集塵機で捕集したフライアッシュとボイラー底部に堆積した多孔質な塊を粉砕したクリンカアッシュに分類され、フライアッシュが約90%発生し、一般的には、両者を混合して廃棄される。この石炭灰は、セメント分野を中心にリサイクルされているものの、最終処分場にて埋立処理されている石炭灰もあり、国内の最終処分場の逼迫、環境負荷の点から、新たな石炭灰のリサイクル用途およびリサイクル方法が求められている。
一方、塩化ビニル樹脂は汎用性の高い樹脂であり、かかる塩化ビニル樹脂には、その用途等に応じて、補強あるいは増量などを目的として適宜の量の無機充填剤が配合されている。このような無機充填剤としては、一般的には増量を目的としており、ポリ塩化ビニルよりも安価な炭酸カルシウムが使用される。
さらに、ポリ塩化ビニル樹脂に適度な柔軟性を付与するため、可塑剤を配合することが行われている。特に軟質塩ビと呼ばれるショアA硬さが40〜100程度の塩化ビニル樹脂が、電線の被覆材、ガーデンホース、チューブ、ガスケット等の用途に使用されており、これには可塑剤がポリ塩化ビニル100質量部に対して、20〜140質量部と多量に配合されている。例えば、特許文献1では、ポリ塩化ビニル100重量部に対して、可塑剤20〜80重量部、充填剤10〜60重量部、複合安定剤1〜10重量部、滑剤0.05〜5重量部を含有してなる塩化ビニル被覆絶縁電線が提供されている。
また塩化ビニル樹脂組成物を構成する各成分を混合、樹脂成形するに際して、樹脂の滑りをよくして成形性をよくするためにポリエチレンワックス等の滑剤が用いられている。
しかしながら、可塑剤もまた高価な成分であり、この配合量の低減が求められている。従って、本発明の目的は、従来と同程度の硬度を有しながらより可塑剤の配合量が少なくてすむ塩化ビニル樹脂を提供することにある。
本発明者等は上記課題に鑑み鋭意検討を行ってきた。そしてその結果、増量剤として配合されている炭酸カルシウムが可塑剤の一部を吸着し、その効果を減殺していることを見出した。そしてさらに検討を進め、炭酸カルシウムよりも優れた無機充填材として石炭灰が使用できることを見出した。さらに検討を進め塩化ビニル樹脂組成物に配合される各成分を検討し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明によれば、ポリ塩化ビニルと可塑剤と石炭灰を含んでなる軟質塩化ビニル樹脂組成物であって、滑剤を含まず、かつ炭酸カルシウムを含まないか或いはポリ塩化ビニル100質量部に対して5質量部以下である軟質塩化ビニル樹脂組成物が提供される。
また本発明の組成物においては、
(1)ポリ塩化ビニル100質量部に対して、石炭灰が10〜70質量部であること、及び/又は
(2)石炭灰がフライアッシュを主体とする石炭灰であること、
を特徴とする樹脂組成物が提供される。
(1)ポリ塩化ビニル100質量部に対して、石炭灰が10〜70質量部であること、及び/又は
(2)石炭灰がフライアッシュを主体とする石炭灰であること、
を特徴とする樹脂組成物が提供される。
本発明によれば、軟質塩化ビニル樹脂組成物を製造するに際して、石炭灰を含んでなり、かつ炭酸カルシウムを含まないか或いはポリ塩化ビニル100質量部に対して5質量部以下配合することにより、従来のように多量の炭酸カルシウムを配合した場合よりも、可塑剤等の添加剤使用量を減量できるためコストダウンを図ることができる。また併せて大量の石炭灰を利用でき、この点からもコスト面で有利である。
即ち、本発明においては、従来よりポリ塩化ビニル樹脂に使用されている多孔質な炭酸カルシウムを減らし、炭酸カルシウムよりも空隙が少ない石炭灰を充填剤に使用することで、充填剤への可塑剤吸収量を減少させ、ポリ塩化ビニル樹脂への可塑剤吸収量を増加させることができる。従って、充填剤の量を同等に保つと同時に、必要な柔軟性に達するために必要な可塑剤使用量を従来よりも減量することができ、原材料のコストを低減させることができる。
さらに滑剤を配合しないことにより良好な成形性を発現する。また、詳細は後述するが、石炭灰は、前記滑剤および艶消し剤の効果を発現し、従来よりも両添加剤の使用量を減量でき、さらに原材料のコストを低減できる。
<ポリ塩化ビニル>
本発明において使用されるポリ塩化ビニルとしては、公知のものが特に限定されず使用される。例えば、塩化ビニルモノマーの単独重合体のみならず、塩化ビニル樹脂としての特性や本発明の目的が損なわれない限りにおいて、他のモノマーが共重合された共重合体であっても良い。このような共重合可能なモノマーとしては、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類、酢酸ビニル等のビニルエステル類等が一般に挙げられる。勿論、これらのポリ塩化ビニルは単独で用いても良く、2種類以上を併用することもできる。
本発明において使用されるポリ塩化ビニルとしては、公知のものが特に限定されず使用される。例えば、塩化ビニルモノマーの単独重合体のみならず、塩化ビニル樹脂としての特性や本発明の目的が損なわれない限りにおいて、他のモノマーが共重合された共重合体であっても良い。このような共重合可能なモノマーとしては、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類、酢酸ビニル等のビニルエステル類等が一般に挙げられる。勿論、これらのポリ塩化ビニルは単独で用いても良く、2種類以上を併用することもできる。
使用するポリ塩化ビニルの重合度は、成形性や物性を考慮して決定されるものであり、一概には限定できないが、一般的には、重合度が700〜3000のポリ塩化ビニルが使用される。
また、ポリ塩化ビニルは、粉末の形態、例えば、50〜200μmの粒子径を有する形態で使用されることが好ましい。このような塩化ビニル樹脂粉末は、公知の懸濁重合法によって得ることができる。
<可塑剤>
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、軟質塩化ビニル樹脂組成物である。従って、適度な柔軟性を得るために比較的多量の可塑剤が配合される。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、軟質塩化ビニル樹脂組成物である。従って、適度な柔軟性を得るために比較的多量の可塑剤が配合される。
当該可塑剤は塩化ビニル樹脂用の可塑剤として公知の可塑剤が特に限定されることなく使用できる。具体例としては、ジブチルフタレート(DBP)、ジヘプチルフタレート(DHP)、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジイソノニルフタレート(DINP)等が挙げられる。
可塑剤の配合量は、軟質塩化ビニルとなる範囲(ショアA硬さが40〜100)であれば特に制限されるものではないが、一般的には、ポリ塩化ビニル100質量部当り、20〜120質量部程度の量である。その配合量が過度に少ないと柔軟性が不十分となり、一方、過度に配合すると、必要とされる機械的強度に達しないため好ましくない。
<石炭灰>
本発明においては、塩化ビニル樹脂の増量剤として石炭灰を配合する。本発明において塩化ビニル樹脂に充填剤として配合される石炭灰の粒子径は、ポリ塩化ビニルと混合し得るような大きさであれば特に制限されないが、レーザー回折・散乱式粒度分布計で測定した累積体積が50%のときの平均粒径(D50)が、5〜30μm、特に好ましくは10〜20μmの粒子径を有する石炭灰が好適である。
本発明においては、塩化ビニル樹脂の増量剤として石炭灰を配合する。本発明において塩化ビニル樹脂に充填剤として配合される石炭灰の粒子径は、ポリ塩化ビニルと混合し得るような大きさであれば特に制限されないが、レーザー回折・散乱式粒度分布計で測定した累積体積が50%のときの平均粒径(D50)が、5〜30μm、特に好ましくは10〜20μmの粒子径を有する石炭灰が好適である。
本発明における石炭灰の配合量は、ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対して、10〜70質量部とすることが好ましく、20〜60質量部がより好ましい。石炭灰の配合量が10質量部未満では、増量効果が不十分であり高価なポリ塩化ビニルの使用量が多くなる、一方、70質量部を超えると、要求される製品の機械的強度の低下を招く場合がある。
また、使用する石炭灰は、フライアッシュおよびクリンカアッシュの両者が混合された石炭灰でも特に問題ないが、フライアッシュの方がより可塑剤の吸着量が少ない点で本発明において使用する石炭灰は、フライアッシュを主体とする、具体的にはフライアッシュの割合が70質量%以上、さらには80質量%以上、特に90質量%以上の石炭灰を使用する方が好適である。これらの石炭灰は、篩い分け等により、適宜、前述した粒子径に粒度調整されて使用に供することができる。
なお、一般的なポリ塩化ビニル製品の製造においては、安定的に製造することを目的として、原料に対して流動性を付与する滑剤を添加するが、フライアッシュは、真球状であることから、ポリ塩化ビニル樹脂製品の製造において、流動性を付与する滑剤としての効果を有している。よって、石炭灰を配合して、滑剤の配合量を減量、場合により配合しなくても、安定的に製造できるため、さらなるコストの低減を図ることができる。
さらに、塩化ビニル樹脂架橋体等の艶消し剤を配合し、製品表面に艶消し剤を移行させて、製品表面に微細な凹凸を形成させることで、艶消し効果を発現させることが、一般的に行われているが、石炭灰も同じく製品表面に移行して、微細な凹凸を形成し、艶消し剤と同様の艶消し効果を発現する。よって、石炭灰の配合により、高価な艶消し剤の使用量を減量でき、さらなるコストの低減を図ることができる。
<炭酸カルシウム>
本発明における特徴は、塩化ビニル樹脂組成物に炭酸カルシウムを極力配合しない点にあり、具体的には従来公知の軟質塩化ビニル樹脂組成物ではポリ塩化ビニル100質量部に対して、炭酸カルシウムが20〜80質量部と多量に配合されていたのに対し、本発明ではポリ塩化ビニル100質量部に対して5質量部以下とする。
本発明における特徴は、塩化ビニル樹脂組成物に炭酸カルシウムを極力配合しない点にあり、具体的には従来公知の軟質塩化ビニル樹脂組成物ではポリ塩化ビニル100質量部に対して、炭酸カルシウムが20〜80質量部と多量に配合されていたのに対し、本発明ではポリ塩化ビニル100質量部に対して5質量部以下とする。
即ち、本発明者等の検討によれば、炭酸カルシウムは他の公知の充填剤に比べれば小さいものの、可塑剤を吸着してしまい、塩化ビニル樹脂に配合した可塑剤の効果を低減してしまう。なお、充填剤への可塑剤の吸着・吸収は、当該充填剤の多孔性と関係があり、具体的には水銀ポロシメーターで測定した累積細孔容積や累積細孔面積が大きいほど可塑剤の吸着量も多くなる。
炭酸カルシウムの累積細孔容積や累積細孔面積は、石炭灰のそれに比べて大きく、そのため、本発明では、当該炭酸カルシウムの配合量を少なくし、石炭灰を配合するものであり、好ましくは、炭酸カルシウムを全く配合しないことである。
但し、塩化ビニル樹脂に充填剤として配合される炭酸カルシウムは、一般的に石炭灰と比べて粒子径が小さく、樹脂との相溶性が良いため、軟質塩化ビニル樹脂製品の機械的強度を向上させるために、5質量部以下で使用してもよい。添加される炭酸カルシウムの粒子径は、軟質塩化ビニル樹脂製品の要求される機械的強度等を考慮して、適当な粒子径の炭酸カルシウムを選択するが、レーザー回折・散乱式粒度分布計で測定した累積体積が50%のときの平均粒径(D50)が0.1〜5μmの炭酸カルシウムを使用することが好ましい。
<滑剤>
本発明の塩化ビニル樹脂組成物には滑剤が含まれていてはならない。従来、塩化ビニル樹脂に良好な成形性を与えるためには、滑剤が不可欠であったが、本発明の軟質塩化ビニル樹脂組成物においては前記石炭灰の配合により良好な成形性を付与でき、むしろこのような石炭灰が配合された樹脂組成物にさらに滑剤を添加すると、成形性がわるくなるという結果をもたらしてしまう。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物には滑剤が含まれていてはならない。従来、塩化ビニル樹脂に良好な成形性を与えるためには、滑剤が不可欠であったが、本発明の軟質塩化ビニル樹脂組成物においては前記石炭灰の配合により良好な成形性を付与でき、むしろこのような石炭灰が配合された樹脂組成物にさらに滑剤を添加すると、成形性がわるくなるという結果をもたらしてしまう。
<他の無機充填剤>
塩化ビニル樹脂の充填剤としては、炭酸カルシウム以外にクレー、シリカ、珪藻土などが知られているが、これらの配合量も少ないことが好ましく、具体的には炭酸カルシウムと合わせて、ポリ塩化ビニル100質量部に対して5質量部以下とすることが好ましく、全く含まれない方が良い。
塩化ビニル樹脂の充填剤としては、炭酸カルシウム以外にクレー、シリカ、珪藻土などが知られているが、これらの配合量も少ないことが好ましく、具体的には炭酸カルシウムと合わせて、ポリ塩化ビニル100質量部に対して5質量部以下とすることが好ましく、全く含まれない方が良い。
<他の添加剤>
本発明においては、必要に応じて、それ自体公知の他の添加剤を混合することもできる。例えば、熱安定剤、強化剤、酸化防止剤、顔料等を配合することもできる。
本発明においては、必要に応じて、それ自体公知の他の添加剤を混合することもできる。例えば、熱安定剤、強化剤、酸化防止剤、顔料等を配合することもできる。
特に、熱安定剤は、成形時の加熱による塩化ビニル樹脂の劣化を防止するために、塩化ビニル樹脂の分野で広く使用されている配合剤である。このような熱安定剤としては、有機錫メルカプト、有機錫マレート等の有機錫系安定剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等の金属石鹸系安定剤;アミノウラシル乃至その誘導体、アミノクロトン酸エステルなどのアミノ系安定剤に代表される非金属系安定剤などが知られており、これらは、それぞれ単独、或いは2種類以上の組み合わせで使用される。
<製造方法>
本発明の軟質塩化ビニル樹脂組成物は、配合成分であるポリ塩化ビニル、石炭灰、可塑剤及び必要に応じて配合される任意成分を公知の方法で混合、成形することによって得ることができる。
本発明の軟質塩化ビニル樹脂組成物は、配合成分であるポリ塩化ビニル、石炭灰、可塑剤及び必要に応じて配合される任意成分を公知の方法で混合、成形することによって得ることができる。
<混合>
充填剤とポリ塩化ビニル及び可塑剤等の他の添加剤との混合は、それ自体の公知の混合機、例えば、ヘンシェルミキサー等の開放系の混合機を使用して混合される。この際、加温しながらポリ塩化ビニルへの可塑剤の吸収および各原料に付着した付着水の除去を行うことが好ましい。なお、適宜、配合される他の添加剤の配合量は、塩化ビニル樹脂の基本的特性が損なわれずに当該配合剤の基本的特性が損なわれない程度の量とすればよい。
充填剤とポリ塩化ビニル及び可塑剤等の他の添加剤との混合は、それ自体の公知の混合機、例えば、ヘンシェルミキサー等の開放系の混合機を使用して混合される。この際、加温しながらポリ塩化ビニルへの可塑剤の吸収および各原料に付着した付着水の除去を行うことが好ましい。なお、適宜、配合される他の添加剤の配合量は、塩化ビニル樹脂の基本的特性が損なわれずに当該配合剤の基本的特性が損なわれない程度の量とすればよい。
尚、ヘンシェルミキサー等の混合機は開放系であり、加熱により除去された水分は外気中に速やかに放出される。また、混合機内での混合物の加熱は、混合機に内蔵するヒータなどを用いて行うこともできるし、混合に際しての粒子同士の摩擦熱などを利用して加熱を行うこともできる。
<成形>
上記のようにして調製された混合物は、ホッパーを介して成形機中に投入され、この成形機中のシリンダー部に設けられているヒータによる加熱によって溶融混練され、該成形機から押し出され或いは射出されての成形によって所定形状の成形体が得られる。
上記のようにして調製された混合物は、ホッパーを介して成形機中に投入され、この成形機中のシリンダー部に設けられているヒータによる加熱によって溶融混練され、該成形機から押し出され或いは射出されての成形によって所定形状の成形体が得られる。
上記の成形機としては、一軸押出機、二軸押出機、3本以上のスクリューを備えた多軸押出機、射出成形機等の公知の成形機が使用できる。例えば押出成形に際しては、押出機のシリンダー部の先端のアダプタに取り付けられたダイス形状にしたがった形状の非発泡成形体が得られ、射出成形では、押出機先端のノズルに連なる成形型にしたがった形状の非発泡成形体が得られる。また、押出機からストランド状に溶融押出し、このストランドをペレタイザーでカットして成形体をペレットとすることも可能である。このようなペレットは、二次成形に付され、最終形状の成形品となる。
本発明の軟質塩化ビニル樹脂の成形温度は、用いたポリ塩化ビニルのゲル化温度により決定されるものであるが、一般に120〜170℃である。
このように、本発明によれば、高価な可塑剤や滑剤等の添加剤の使用量を従来よりも減量することが可能であり、本発明は工業的に極めて有用である。さらに、火力発電所から発生する廃棄物である石炭灰を軟質ポリ塩化ビニル樹脂用の充填剤として使用するため、石炭灰のリサイクル性を高め、国内の最終処分場の逼迫、環境負荷等の問題解決にも寄与できる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
火力発電所より発生した石炭灰(内フライアッシュ約90質量%)を篩目53μmの金網を設置した振動篩で篩分けを行い、篩下の石炭灰を充填剤として使用した。この篩下の石炭灰の粒子径をレーザー回折・散乱式粒度分布計で測定したところ、平均粒径(D50)は12μmであった。また、累積細孔容積および累積細孔面積を水銀ポロシメーターで測定したところ、累積細孔容積は0.4mL/gであり、累積細孔面積は0.8m2/gであった。
火力発電所より発生した石炭灰(内フライアッシュ約90質量%)を篩目53μmの金網を設置した振動篩で篩分けを行い、篩下の石炭灰を充填剤として使用した。この篩下の石炭灰の粒子径をレーザー回折・散乱式粒度分布計で測定したところ、平均粒径(D50)は12μmであった。また、累積細孔容積および累積細孔面積を水銀ポロシメーターで測定したところ、累積細孔容積は0.4mL/gであり、累積細孔面積は0.8m2/gであった。
次に、重合度3000のポリ塩化ビニル粉末100質量部、前記篩下の石炭灰30質量部、可塑剤(DINP)70質量部、熱安定剤(Ca−Zn系熱安定剤)6質量部、加工助剤(アクリル系加工助剤)3質量部及び顔料2質量部を配合したものを、ヘンシェルミキサーに投入し、室温から110℃に到達するまで加熱混合した。混合後、混合物を冷却した。配合条件を表1に示す。
該混合物をホッパーに投入し、スクリュー式フィーダーを使用して、130〜170℃の30mm単軸押出機に該混合物を投入後、スクリュー回転速度35rpmでストランド状に押し出した。次いでストランドを水冷した後、ペレタイザーによりカットした。
その結果、無発泡の良好なペレットが得られた。該ペレットを使用して、試験片を作成し、諸物性を評価した。物性評価結果を表2に示す。尚、各種物性は、以下の方法で評価或いは測定した。
(各種物性評価の測定)
1.成形性;ストランドをペレタイザーに誘導してカットした際、ストランドが混錬不足の場合には、押出機出口とペレタイザーの間でストランドが度々切断してしまい、連続的な製造が不可能となることから、製造途中でのストランドの切断の有無を評価した。またホッパーからの原料の供給具合、目視による発泡の有無を評価した。
2.シート外観確認;130〜170℃の20mm単軸押出機に該ペレットを投入し、成形したシートの艶消し具合を目視で確認した。
3.比重;JISK7112に従い測定した。
4.引張強度、引張伸び、100%モジュラス;JISK6723に従い測定した。
5.硬度;JISK7215に従い測定した。
1.成形性;ストランドをペレタイザーに誘導してカットした際、ストランドが混錬不足の場合には、押出機出口とペレタイザーの間でストランドが度々切断してしまい、連続的な製造が不可能となることから、製造途中でのストランドの切断の有無を評価した。またホッパーからの原料の供給具合、目視による発泡の有無を評価した。
2.シート外観確認;130〜170℃の20mm単軸押出機に該ペレットを投入し、成形したシートの艶消し具合を目視で確認した。
3.比重;JISK7112に従い測定した。
4.引張強度、引張伸び、100%モジュラス;JISK6723に従い測定した。
5.硬度;JISK7215に従い測定した。
その結果、製造途中でのストランドの切断は、ほとんど見られず、連続的に無発泡のペレットを製造できた。該ペレットを130〜170℃の20mmノーベント式単軸押出機に投入し、シートを成形したところ、無発泡の良好なシートが得られた。またシート表面に、微細な凹凸が形成され、艶の無いシートが得られた。物性評価結果を表2に示す。
実施例2
重合度1000のポリ塩化ビニル粉末100質量部、実施例1と同じ篩下の石炭灰50質量部、可塑剤40質量部、熱安定剤6質量部及び加工助剤1質量部を配合したものをヘンシェルミキサーに投入し、室温から110℃に到達するまで加熱混合した。混合後、混合物を冷却した。
重合度1000のポリ塩化ビニル粉末100質量部、実施例1と同じ篩下の石炭灰50質量部、可塑剤40質量部、熱安定剤6質量部及び加工助剤1質量部を配合したものをヘンシェルミキサーに投入し、室温から110℃に到達するまで加熱混合した。混合後、混合物を冷却した。
該混合物をホッパーに投入し、スクリュー式フィーダーを使用して、130〜170℃の30mm単軸押出機に該混合物を投入後、スクリュー回転速度35rpmでストランド状に押し出した。次いでストランドを水冷した後、ペレタイザーによりカットした。配合条件を表1に示す。
その結果、製造途中でのストランドの切断は、ほとんど見られず、連続的に無発泡のペレットを製造できた。該ペレットを使用して、試験片を作成し、諸物性を評価した。物性評価結果を表2に示す。
該ペレットを130〜170℃の20mmノーベント式単軸押出機に投入し、シートを成形したところ、無発泡の良好なシートが得られた。
実施例3
実施例2において、石炭灰配合量を50質量部から45質量部に変更し、さらに炭酸カルシウムを5質量部添加した組成とした以外は、実施例2と同様の操作を行った。配合条件を表1に示す。なお、使用した炭酸カルシウムの粒子径をレーザー回折・散乱式粒度分布計で測定したところ、平均粒径(D50)は3μmであった。また、累積細孔容積および累積細孔面積を水銀ポロシメーターで測定したところ、累積細孔容積は、0.7mL/gであり、累積細孔面積は2.6m2/gであった。
実施例2において、石炭灰配合量を50質量部から45質量部に変更し、さらに炭酸カルシウムを5質量部添加した組成とした以外は、実施例2と同様の操作を行った。配合条件を表1に示す。なお、使用した炭酸カルシウムの粒子径をレーザー回折・散乱式粒度分布計で測定したところ、平均粒径(D50)は3μmであった。また、累積細孔容積および累積細孔面積を水銀ポロシメーターで測定したところ、累積細孔容積は、0.7mL/gであり、累積細孔面積は2.6m2/gであった。
その結果、製造途中でのストランドの切断は、ほとんど見られず、連続的に無発泡のペレットを製造できた。該ペレットを使用して、試験片を作成し、諸物性を評価した。物性評価結果を表2に示す。引張物性および硬度が上昇する結果が得られた。
比較例1
樹脂組成物をポリ塩化ビニル樹脂80質量部、実施例3と同じ炭酸カルシウム30質量部、可塑剤(DINP)70質量部、艶消し剤(塩化ビニル樹脂架橋体)20質量部、熱安定剤(Ca−Zn系熱安定剤)6質量部、滑剤(ポリエチレンワックス)0.3質量部、加工助剤(アクリル系加工助剤)3質量部および顔料2質量部の組成とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。配合条件を表3に示す。
樹脂組成物をポリ塩化ビニル樹脂80質量部、実施例3と同じ炭酸カルシウム30質量部、可塑剤(DINP)70質量部、艶消し剤(塩化ビニル樹脂架橋体)20質量部、熱安定剤(Ca−Zn系熱安定剤)6質量部、滑剤(ポリエチレンワックス)0.3質量部、加工助剤(アクリル系加工助剤)3質量部および顔料2質量部の組成とした以外は、実施例1と同様の操作を行った。配合条件を表3に示す。
その結果、製造途中でのストランドの切断は、ほとんど見られず、連続的に無発泡のペレットを製造できた。
該ペレットを使用して、試験片を作成し、諸物性を評価した。物性評価結果を表4に示す。その結果、炭酸カルシウム自身による可塑剤の吸収の影響により、実施例1の石炭灰を添加した時の硬度よりも高い硬度となってしまった。
比較例2
比較例1において、艶消し剤を配合しない以外は、比較例1と同様の操作を行った。配合条件を表3に、物性評価結果を表4に示す。その結果、艶のあるものとなった。
比較例1において、艶消し剤を配合しない以外は、比較例1と同様の操作を行った。配合条件を表3に、物性評価結果を表4に示す。その結果、艶のあるものとなった。
比較例3
樹脂組成物をポリ塩化ビニル樹脂100質量部、実施例3と同じ炭酸カルシウム50質量部、可塑剤40質量部、熱安定剤6質量部、加工助剤1質量部および滑剤0.5質量部の組成とした
以外は、実施例2と同様の操作を行った。配合条件を表3に示す。
樹脂組成物をポリ塩化ビニル樹脂100質量部、実施例3と同じ炭酸カルシウム50質量部、可塑剤40質量部、熱安定剤6質量部、加工助剤1質量部および滑剤0.5質量部の組成とした
以外は、実施例2と同様の操作を行った。配合条件を表3に示す。
その結果、製造途中でのストランドの切断は、ほとんど見られず、連続的に無発泡のペレットを製造できた。該ペレットを使用して、試験片を作成し、諸物性を評価した。物性評価結果を表4に示す。その結果、炭酸カルシウム自身による可塑剤の吸収の影響により、実施例2の石炭灰を添加した時の硬度よりも高い硬度となってしまった。
比較例4
実施例2において、ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対して、滑剤0.5質量部をさらに添加した組成とした以外は、実施例2と同様の操作を行った。配合条件を表3に示す。その結果、製造途中でストランドが混錬不足により度々切断し、連続的にペレットの製造ができなかった。
実施例2において、ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対して、滑剤0.5質量部をさらに添加した組成とした以外は、実施例2と同様の操作を行った。配合条件を表3に示す。その結果、製造途中でストランドが混錬不足により度々切断し、連続的にペレットの製造ができなかった。
比較例5
比較例3において、滑剤を添加しない組成とした以外は、比較例3と同様の操作を行った。配合条件を表3に示す。その結果、ストランドが吐出されにくくなり、成形が非常に困難となってしまった。
比較例3において、滑剤を添加しない組成とした以外は、比較例3と同様の操作を行った。配合条件を表3に示す。その結果、ストランドが吐出されにくくなり、成形が非常に困難となってしまった。
Claims (3)
- ポリ塩化ビニルと可塑剤と石炭灰を含んでなる軟質塩化ビニル樹脂組成物であって、滑剤を含まず、かつ炭酸カルシウムを含まないか或いはポリ塩化ビニル100質量部に対して5質量部以下である軟質塩化ビニル樹脂組成物。
- ポリ塩化ビニル100質量部に対して、石炭灰が10〜70質量部である請求項1記載の軟質塩化ビニル樹脂組成物。
- 石炭灰がフライアッシュを主体とする石炭灰である請求項1又は2記載の軟質塩化ビニル樹脂組成物。
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- 2014-06-11 JP JP2014120129A patent/JP2015232102A/ja active Pending
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