JP2008087307A - 昇華型熱転写シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材シート上に、染料とバインダー樹脂からなる染料層としてイエロー染料層及びマゼンタ染料層が形成された熱転写シートであって、上記イエロー染料層は、キノフタロン系化合物を含み、上記マゼンタ染料層は、アゾ化合物を含むことを特徴とする昇華型熱転写シート。
【選択図】なし
Description
昇華型熱転写方式は、一般的に三原色(イエロー、マゼンタ、シアンの3色。必要に応じてブラックを加えてもよい。)を順次重ねて階調印画することにより、フルカラー表現を行っている。
従来より、新規な染料の開発が行われているが、コスト、保存性、印画濃度、色相を充分に満足できるものはない。更には、単一染料を用いて画像を形成した際には、耐光性が充分であっても、印画物上で他の染料と組み合わされた際の耐光性が劣る現象が問題となっている。例えば、マゼンタ、イエロー、レッド(マゼンタとイエローの混合からなる)の耐光性能を比較すると、マゼンタやイエローの耐光性レベルよりも、レッド中のマゼンタ成分やイエロー成分の方が顕著に悪化する場合がある。
上記イエロー染料層は、下記一般式(A)
で表されるキノフタロン系化合物からなるイエロー染料を含み、
上記マゼンタ染料層は、下記一般式(B)
で表されるアゾ系化合物からなるマゼンタ染料を含む
ことを特徴とする昇華型熱転写シート。
上記マゼンタ染料が下記式(M−1)
上記マゼンタ染料層は、更に、下記一般式(C)
で表される化合物を含有するものであることが好ましい。
上記一般式(C)で表される化合物が、下記式(M−2)
上記イエロー染料層は、更に、下記式(Y−2)
以下、本発明を詳細に説明する。
(基材シート)
本発明における基材シートとしては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであれば何れのものでもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等の樹脂フィルム;コンデンサー紙、パラフィン紙、合成紙等の紙類;不織布;紙や不織布と樹脂との複合体;等が挙げられる。
上記基材シートは、厚さが一般に約0.5〜50μmであり、好ましくは約3〜10μmである。
上記基材シートは、必要に応じ、その一方の面又は両面に接着処理を施していてもよい。
上記基材シート上に染料層を形成するための染料インキを塗布して形成する場合、染料インキの濡れ性、接着性等が不足しやすいので、接着処理を施すことが好ましい。
上記接着処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等、公知の樹脂表面改質技術をそのまま適用することができる。また、それらの処理を二種以上併用することもできる。
上記接着層は、例えば、以下の有機材料及び無機材料から形成することができる。上記有機材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン及びその変性体等のビニル系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。
上記無機材料としては、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナあるいはアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、疑ベークマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等のコロイド状無機顔料超微粒子等が挙げられる。
上記プライマー処理は、プラスチックフィルムを延伸処理して製造する場合、未延伸フィルムにプライマー液を塗布し、その後に延伸処理して行うこともできる。
本発明の昇華型熱転写シートは、染料層として、少なくともイエロー染料層とマゼンタ染料層とを形成したものである。
上記熱転写シートは、更に従来公知のシアン染料層を形成しイエロー、マゼンタ、シアン染料層を面順次に繰り返し設けたもの、更にブラックインキ層を形成しイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等複数の染料層を面順次に繰り返し設けたものであってよい。
又は、上記複数の染料層に加え転写性保護層を面順次に設けたもの等であってもよい。なお、ブラックは熱溶融性インキ層であっても染料層であってもよく、また染料層及び熱溶融性インキ層を面順次に設けたものであっても良い。
で表されるキノフタロン化合物からなるイエロー染料を含む。
上記R1に含まれるエーテル結合としての酸素の数は、好ましくは2〜5個、より好ましくは2〜4個である。
上記R1としては、好ましくは総炭素数3〜16、より好ましくは総炭素数4〜14の直鎖、分岐又は環状アルキル基であり、とりわけ下記一般式(a−1)
上記R8及びR9は、それぞれ独立して、好ましくは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は、総炭素数2〜6のアルコキシアルキル基である。
上記一般式(A)で表されるキノフタロン系化合物は、染料インキに含有される場合、その互変異性体を形成し得る。本発明は、そのような互変異性体を含むものも包含する。
上記一般式(A)で表されるキノフタロン化合物の製造方法を以下に説明する。
該キノフタロン化合物の代表的な製造方法としては、下記一般式(a−2):
HS−R1 (a−3)
(式中、R1は、上記一般式(1)におけるものと同じものを表す。)
の化合物を1〜8モル量、好ましくは1〜4モル量用いて、20〜120℃、好ましくは80〜100℃で1〜48時間、好ましくは4〜24時間反応する。
該有機溶媒の使用量は、種類によって異なるが、例えばDMIの場合、上記一般式(a−2)の化合物1モルに対して重量比2〜50倍、好ましくは5〜20倍である。
上記一般式(a−2)の化合物と、下記一般式(a−4):
HS−R10 (a−4)
(式中、R10は2個の水酸基を有するアルキル基を表す。)
の化合物を上記と同様な反応条件の下で反応させて、下記一般式(a−5):
で表される中間体としてのキノフタロン化合物を製造する。
次いで、上記一般式(a−5)の化合物と下記一般式(a−6):
上記還流に使用する有機溶媒としては、上記一般式(a−2)の化合物と上記一般式(a−3)の化合物との反応に使用したものと同様のものを用いることができる。
上記還流を行う時間は、6〜72時間、好ましくは12〜48時間であり、反応温度は使用する有機溶媒の種類にもよるが、一般に100〜115℃が好ましい。
上記還流終了後、反応液を上記した後処理法と同様の操作を行って、目的とする一般式(A)のキノフタロン化合物を得ることができる。
上記一般式(A)以外の構造を有する染料としては、例えば、ジアリールメタン系色素;トリアリールメタン系色素;チアゾール系色素;メロシアニン系色素;ピラゾロンメチン等のメチン系色素;インドアニリン系色素;アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系色素;キサンテン系色素;オキサジン系色素;ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノスチレン系色素;チアジン系色素;アジン系色素;アクリジン系色素;ベンゼンアゾ系色素;ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等の上記一般式(I)以外のアゾ系色素;スピロピラン系色素;インドリノスピロピラン系色素;フルオラン系色素;ローダミンラクタム系色素;ナフトキノン系色素;アントラキノン系色素;キノフタロン系色素;等が挙げられる。
上記式(Y−3)で表される化合物を含む場合は、上記キノフタロン系化合物/上記式(Y−3)で表される化合物=1/0〜1/1であることが好ましく、1/0〜2/1であることがより好ましい。
上記式(Y−4)で表される化合物を含む場合は、上記キノフタロン系化合物/上記式(Y−4)で表される化合物で表される化合物の質量比は、1/0〜1/3であることが好ましく、1/0〜1/2であることがより好ましい。
上記キノフタロン系化合物/上記式(Y−2)で表される化合物/上記式(Y−3)/上記式(Y−4)で表される化合物の質量比は、1/0/0/0〜2/5/1/5であることが好ましく、1/0/0/0〜2/3/1/3であることがより好ましい。
本明細書において、上記吸光係数は、0.0002wt%の染料を含有するトルエン溶液を調製し、(株)島津製作所 UV−3100PCにて最大吸収波長λmax時の吸光係数を測定した値である。
上記マゼンタ染料層は、下記一般式(B)
上記一般式(B)において、R2はアルキル基を表す。
上記R2のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖アルキル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、3,2−ジメチルブチル基、3,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,1−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2,1−トリメチルプロピル基、2,1,1−トリメチルプロピル基等の分岐アルキル基が挙げられる。
上記R2としては、炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖又は分岐アルキル基が特に好ましい。
上記炭素数2以上のアルキル基の例としては、エチル基、n−プロビル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖アルキル基;iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、3,2−ジメチルブチル基、3,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,1−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2,1−トリメチルプロピル基、2,1,1−トリメチルプロピル基等の分岐アルキル基;等が挙げられる。
上記Xのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
上記Xとしては、塩素原子又は臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
はじめに、下記一般式(b−1):
で示されるアニリン類を酸溶媒に溶解した後、ニトロシル硫酸を滴下し、ジアゾ化を行い、ジアゾ液を得る。
上記酸溶媒としては、硫酸、リン酸、塩酸、酢酸、プロピオン酸又はこれらの酸の混合物等を使用することができる。
上記酸溶媒の使用量は、上記アニリン類の重量に対し同量〜10倍重量、好ましくは同量〜5倍重量である。
上記アニリン類のジアゾ化において、滴下温度及び反応温度は、一般に−10〜30℃、好ましくは−5〜10℃であり、反応時間は、一般に0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
で示される化合物とカップリング反応させる。
上記カップリング反応は、例えば、硫酸、リン酸、塩酸、酢酸、プロピオン酸又はこれらの酸の混合物等を含有する水性溶媒中、上記一般式(b−2)で示される化合物を溶解又は分散し、上記ジアゾ液を混合することにより実施される。
上記一般式(b−2)で示される化合物の使用量は、上記一般式(b−1)で示されるアニリン類のモル量に対し一般に0.9〜1.3倍モル、好ましくは1.0〜1.2倍モルである。
で示されるアゾ系化合物を得る。
上記シアノ化反応は、極性溶媒中、シアン化銅(I)を反応させて行う。
上記極性溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、スルホラン等が使用できる。
上記シアン化銅(I)の使用量は、一般に、上記一般式(b−3)で示されるアゾ系化合物のモル量に対し2.0〜2.5倍モルである。
上記シアノ化反応において、反応温度は一般に50〜150℃、好ましくは70〜90℃であり、反応時間は、一般に1〜5時間である。
上記一般式(B)以外の構造を有する染料としては、上記イエロー染料層で記載したものと同様のものを挙げることができる。
上記マゼンタ染料層において、上記一般式(B)で表されるアゾ系化合物に加え、更に上記一般式(C)で表される化合物を含むことにより、耐光性を保ったまま色相を調節することができる。
上記一般式(C)で表されるアントラキノン系化合物は、下記式(M−2)で表されるアントラキノン系化合及び/又は下記式(M−3)で表されるアントラキノン系化合物であることが好ましい。
上記式(M−2)及び上記式(M−3)で表される各アントラキノン系化合物を含有する場合、耐光性を向上させることができるが、上記特定マゼンタ染料は、一般式(B)で表されるアゾ系化合物のうち少なくとも1つと、式(M−2)又は式(M−3)で表されるアントラキノン系化合物の少なくとも1つとを含有する場合、耐光性を向上させることができると考えられる。
本明細書において、上記吸光係数は、0.0002質量%の染料を含有するトルエン溶液を調製し、島津製作所社製UV−3100PCにて最大吸収波長λmax時の吸光係数を測定した値である。
上記バインダー樹脂としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂;ポリエステル系樹脂;フェノキシ樹脂;等が挙げられる。
上記離型性グラフトコポリマーは、ポリシロキサンセグメント、フッ化炭素セグメント、フッ化炭化水素セグメント及び長鎖アルキルセグメントから選択された少なくとも1種の離型性セグメントを、上述のバインダー樹脂を構成するポリマー主鎖にグラフト重合させてなるものである。
上記離型性グラフトコポリマーとしては、なかでも、ポリビニルアセタールからなる主鎖にポリシロキサンセグメントをグラフトさせて得られるグラフトコポリマーが好ましい。
上記離型剤としては、上述の離型性グラフトコポリマー、シリコーンオイル、リン酸エステル等が挙げられる。
上記無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられる。
上記有機微粒子としては、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
上記溶剤としては、染料インキの材料として従来公知のものであれば特に限定されず、例えば、アセトン、メタノール、水、メチルエチルケトン、トルエン、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド〔DMF〕、酢酸エチル、これらの溶剤の混合溶剤等が使用でき、なかでも、メチルエチルケトンとトルエンとの混合溶剤が好ましい。
上記イエロー染料の含有量は、下限1質量%、上限15質量%であることが好ましい。
上記イエロー染料インキは、イエロー染料等の染料とバインダー樹脂との合計量、すなわち固形分が質量基準で2〜30質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
本明細書において、イエロー染料インキが2種以上の染料化合物を含有するものである場合、上記イエロー染料の含有量及び固形分量は、何れも各染料化合物の合計に関する範囲を表す。
上記塗工方法としては、グラビアコーティングが好ましい。
上記塗工において、特に限定されないが、60〜120℃の温度にて1秒〜5分程度乾燥することが好ましい。
上記各染料インキの乾燥が不充分であると、地汚れや巻取りにした際に染料インキが裏移りし、更にその裏移りした染料インキが巻き返した際に異なる色相である染料層に再移転する、いわゆるキックバックが生じることがある。
上記各染料インキは、乾燥塗布量が好ましくは0.2〜3.0g/m2程度、より好ましくは0.4〜1.0g/m2程度となるよう塗布すればよい。
1.耐熱滑性層
本発明の昇華型熱転写シートは、更に、上述の染料層を形成する面と反対側の基材シート面上に、耐熱滑性層を設けてなるものであってもよい。
上記耐熱滑性層は、ステッキングや印画しわ等、熱転写時にサーマルヘッドの熱が原因で生じる問題を防止するために設けるものである。
上記耐熱性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテート−ヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
上記耐熱滑性層塗工液における溶剤としては、上述の染料インキにおける溶剤と同様のものを使用することができる。
上記耐熱滑性層塗工液の塗工法としては、例えば、ワイヤーバーコーティング、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等が挙げられるが、なかでもグラビアコーティングが好ましい。
上記耐熱滑性層塗工液は、乾燥塗布量が好ましくは0.1〜3g/m2、より好ましくは1.5g/m2以下となるよう塗布すればよい。
本発明の昇華型熱転写シートは、基材シート上に上述の染料層を有するものであれば、上記基材シートと染料層との間に下引き層等を設けてなるものであってもよい。
本発明において、下引き層は、特に限定されず、基材と染料層との接着性を向上させる組成を適宜選択して設けることができる。
上記転写保護層の構成及び調製は、特に限定されず、使用する基材シート、染料層等の特徴に応じて、従来公知の技術より選択することができる。
上記転写保護層は、基材フィルムが離型性でない場合、基材フィルムと転写保護層との間に剥離層を設けて、転写保護層の転写性を向上させることが好ましい。
上記被転写材として熱転写受像シート等を使用することができる。
上記熱転写受像シートとしては、記録面が染料受容性を有するものであれば特に限定されず、例えば、紙、金属、ガラス、合成樹脂等の基材の少なくとも一方の面に染料受容層を形成したものを挙げることができる。
上記熱転写を行う際に使用するプリンターとしては、特に限定されず、公知の熱転写プリンターを使用することができる。
厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔PET〕に下記耐熱滑性層塗工液1.0g/m2(乾燥塗布量)を塗布し乾燥させて耐熱滑性層を形成し、該PETの耐熱滑性層と反対側の面に、下記組成の染料インキをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.6g/m2になるように塗布し、80℃で2分間乾燥して染料層を形成した。
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)13.6部
ポリイソシアネート硬化剤(タケネートD218、武田薬品工業(株)製) 0.6部
リン酸エステル(プライサーフA208S、第一工業製薬(株)製) 0.8部
メチルエチルケトン〔MEK〕 42.5部
トルエン 42.5部
染料M−3の化学式は下記の通りである。
染料インキにおける染料を後述の表4のものに代える以外は、実施例と同様にして熱転写シートを作製した。
各実施例及び各比較例に使用した染料並びに各実施例及び各比較例から得られた熱転写シートについて、以下の試験を行った。結果を表5に示す。
熱転写記録テスト(発色濃度)
被転写体としてオリンパス(株)製、デジタルカラープリンタ P−400専用A4サイズスタンダードペーパーを用い、転写性保護層としてオリンパス(株)製、デジタルカラープリンタ P−400専用インクリボンパックの転写製保護層を用いて、各熱転写シートの染料層と染料受容面とを対向させて重ね合せ熱転写シートの裏面からヘッド引加エネルギー0〜0.15mJ/dotの条件にてサーマルヘッドで熱転写を行い、各種濃度の印画物を作成し、発色濃度(ISOステータスA濃度)を測定した。
(評価基準)
0.15mJ/dotの条件(印加エネルギー)にて
○:イエロー及びマゼンタの発色濃度が共に1.8以上
×:イエロー又はマゼンタ発色濃度が1.8以下
上記熱転写記録テストで得られた画像をキセノンウェザオメター(アトラス社製、Ci4000:ブラックパネル温度45℃、フィルターCIRA,ソーダライム)にて90時間照射を行い、照射前の濃度が1である印画物の照射後の濃度残存率を算出し、下記の基準にて照射前後の濃度変化を評価した。
(評価基準)
○:イエロー及びマゼンタの濃度残存率が共に70%以上
×:イエロー又はマゼンタの濃度残存率が70%以下
グレタグマクベス社製分光測定器SpectroLinoを用いて、濃度を測定した(測定条件、濃度:ISOステータスA濃度(ANSI Status A))。
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