JP2008087307A - 昇華型熱転写シート - Google Patents

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Abstract

【課題】耐光性等の諸堅牢性に優れ、イエローとマゼンタよりレッドを形成した場合のそれぞれの濃度残存率が良好な印画物が形成可能な昇華型熱転写シートを提供する。
【解決手段】基材シート上に、染料とバインダー樹脂からなる染料層としてイエロー染料層及びマゼンタ染料層が形成された熱転写シートであって、上記イエロー染料層は、キノフタロン系化合物を含み、上記マゼンタ染料層は、アゾ化合物を含むことを特徴とする昇華型熱転写シート。
【選択図】なし

Description

本発明は、昇華型熱転写シートに関する。
熱転写を利用した画像形成方法における熱転写シートとして、基材フィルムの一方の面上に、色材層として、昇華性染料とバインダーからなる昇華転写型インク層を設けた昇華型熱転写シートや、該昇華転写型インク層の代わりに顔料とワックスからなる熱溶融転写型インク層を設けた熱溶融型の熱転写シートが知られている。
昇華型熱転写方式は、一般的に三原色(イエロー、マゼンタ、シアンの3色。必要に応じてブラックを加えてもよい。)を順次重ねて階調印画することにより、フルカラー表現を行っている。
このような感熱昇華転写方式において得られる画像は、銀塩写真と同様に高画質なものが形成可能となっており、それにつれて、画像の光・熱・湿度等の因子による画質劣化防止への要求が極めて高くなってきている。
従来より、新規な染料の開発が行われているが、コスト、保存性、印画濃度、色相を充分に満足できるものはない。更には、単一染料を用いて画像を形成した際には、耐光性が充分であっても、印画物上で他の染料と組み合わされた際の耐光性が劣る現象が問題となっている。例えば、マゼンタ、イエロー、レッド(マゼンタとイエローの混合からなる)の耐光性能を比較すると、マゼンタやイエローの耐光性レベルよりも、レッド中のマゼンタ成分やイエロー成分の方が顕著に悪化する場合がある。
特許文献1では、基材シートの一方の面にイエロー、マゼンタ及びシアンの少なくとも3色の染料層を面順次に設けてなる熱転写シートにおいて、それぞれ特定の化学構造を有するイエロー染料、マゼンタ染料、シアン染料を使用することを特徴とする熱転写シートが開示されている。しかし、この熱転写シートは、印画濃度は充分であるものの耐光性との両立が充分に果たせなかった。
特許文献2では、基材の片面に、少なくともシアン、マゼンタ、イエローの3種のインク層、又はこれらの色相にブラックを加えた4種のインク層が順次に塗工された昇華型カラー熱転写用シートであって、上記シアンのインク層を構成する染料の分子基本骨格がアンスラキノン系であり、マゼンタのインク層を構成する昇華性塗料の分子基本骨格がアンスラキノン系であると共に、イエローのインク層を構成する昇華性塗料の分子基本骨格が、アンスラキノン系、キノフタロン系、アクリド系、ニトロ系、ピリドン系、ピラゾロン系である熱転写用シートが開示されている。しかし、この熱転写シートでは、耐光性は充分であるものの、印画濃度が不充分であった。
特許文献3では、イエロー染料層が特定の染料を含み、シアン染料層が特定の染料を含む熱転写シートが開示されている。この熱転写シートにおける組み合わせも耐光性、印画濃度のどちらか一方が不充分となっていた。
このように従来の熱転写シートにおいては優れた耐光性と好適な印画濃度を両立することは困難であった。
特開平5−262056号公報 特開平6−92039号公報 特開平7−232481号公報
本発明は、上記現状を鑑みて、耐光性等の諸堅牢性に優れ、イエローとマゼンタよりレッドを形成した場合のそれぞれの濃度残存率が良好な印画物が形成可能な昇華型熱転写シートを提供することを目的とする。
本発明は、 基材シート上に、染料とバインダー樹脂からなる染料層として少なくともイエロー染料層及びマゼンタ染料層が形成された熱転写シートであって、
上記イエロー染料層は、下記一般式(A)
Figure 2008087307
(式中、Rは2個以上の酸素原子をエーテル結合の形で含むアルキル基を表す。)
で表されるキノフタロン系化合物からなるイエロー染料を含み、
上記マゼンタ染料層は、下記一般式(B)
Figure 2008087307
(式中、Rはアルキル基を表し、R及びRはそれぞれ独立して炭素数2以上のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
で表されるアゾ系化合物からなるマゼンタ染料を含む
ことを特徴とする昇華型熱転写シート。
上記イエロー染料が下記式(Y−1)
Figure 2008087307
で表される化合物であることが好ましい。
上記マゼンタ染料が下記式(M−1)
Figure 2008087307
で表される化合物であることが好ましい。
上記マゼンタ染料層は、更に、下記一般式(C)
Figure 2008087307
(式中、Rは、置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールオキシ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、複素環基又はハロゲン原子を表す。Rは、アミノ基又は水酸基を表す。nは2以下の整数を表す。)
で表される化合物を含有するものであることが好ましい。
上記一般式(C)で表される化合物が、下記式(M−2)
Figure 2008087307
及び/又は、下記式(M−3)
Figure 2008087307
で表される化合物であることが好ましい。
上記イエロー染料層は、更に、下記式(Y−2)
Figure 2008087307
で表される化合物、式(Y−3)
Figure 2008087307
で表される化合物、及び、式(Y−4)
Figure 2008087307
で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有するものであることが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の昇華型熱転写シートを構成する各層毎に詳述する。
(基材シート)
本発明における基材シートとしては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであれば何れのものでもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等の樹脂フィルム;コンデンサー紙、パラフィン紙、合成紙等の紙類;不織布;紙や不織布と樹脂との複合体;等が挙げられる。
上記基材シートは、厚さが一般に約0.5〜50μmであり、好ましくは約3〜10μmである。
上記基材シートは、必要に応じ、その一方の面又は両面に接着処理を施していてもよい。
上記基材シート上に染料層を形成するための染料インキを塗布して形成する場合、染料インキの濡れ性、接着性等が不足しやすいので、接着処理を施すことが好ましい。
上記接着処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等、公知の樹脂表面改質技術をそのまま適用することができる。また、それらの処理を二種以上併用することもできる。
更に、上記基材の接着処理として、基材シート上に接着層を塗工して形成することも可能である。
上記接着層は、例えば、以下の有機材料及び無機材料から形成することができる。上記有機材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン及びその変性体等のビニル系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。
上記無機材料としては、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナあるいはアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、疑ベークマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等のコロイド状無機顔料超微粒子等が挙げられる。
上記プライマー処理は、プラスチックフィルムを延伸処理して製造する場合、未延伸フィルムにプライマー液を塗布し、その後に延伸処理して行うこともできる。
(染料層)
本発明の昇華型熱転写シートは、染料層として、少なくともイエロー染料層とマゼンタ染料層とを形成したものである。
上記熱転写シートは、更に従来公知のシアン染料層を形成しイエロー、マゼンタ、シアン染料層を面順次に繰り返し設けたもの、更にブラックインキ層を形成しイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等複数の染料層を面順次に繰り返し設けたものであってよい。
又は、上記複数の染料層に加え転写性保護層を面順次に設けたもの等であってもよい。なお、ブラックは熱溶融性インキ層であっても染料層であってもよく、また染料層及び熱溶融性インキ層を面順次に設けたものであっても良い。
上記イエロー染料層は、下記一般式(A)
Figure 2008087307
(式中、Rは2個以上の酸素原子をエーテル結合の形で含むアルキル基を表す。)
で表されるキノフタロン化合物からなるイエロー染料を含む。
上記一般式(A)において、Rは、2個以上の酸素原子をエーテル結合の形で含むエーテル酸素含有アルキル基を表す。
上記Rに含まれるエーテル結合としての酸素の数は、好ましくは2〜5個、より好ましくは2〜4個である。
上記Rとしては、好ましくは総炭素数3〜16、より好ましくは総炭素数4〜14の直鎖、分岐又は環状アルキル基であり、とりわけ下記一般式(a−1)
Figure 2008087307
(式中、Rは、1個以上の酸素原子をエーテル結合の形で含んでいてもよい総炭素数1〜6のアルキレン基を表し、環Aは1個以上の酸素原子をエーテル結合の形で含む5〜7員環の環状エーテルを表し、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は総炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を表す。)で表されるアルキル基等、環状エーテル部分を有するものが好ましい。
上記一般式(a−1)において、Rは好ましくは酸素原子をエーテル結合の形で1〜2個含んでいてもよい総炭素数1〜4のアルキレン基であり、環Aは好ましくは1〜3個の酸素原子をエーテル結合の形で含む5〜6員環の環状エーテルである。
上記R及びRは、それぞれ独立して、好ましくは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は、総炭素数2〜6のアルコキシアルキル基である。
の具体例としては、メトキシメトキシメチル基、メトキシメトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、メトキシエトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエトキシエチル基、
Figure 2008087307
等が挙げられる。
なかでも、上記キノフタロン化合物としては、下記式(Y−1)
Figure 2008087307
で表される化合物であることが好ましい。
上記一般式(A)で表されるキノフタロン系化合物は、染料インキに含有される場合、その互変異性体を形成し得る。本発明は、そのような互変異性体を含むものも包含する。
(キノフタロン化合物の製造方法)
上記一般式(A)で表されるキノフタロン化合物の製造方法を以下に説明する。
該キノフタロン化合物の代表的な製造方法としては、下記一般式(a−2):
Figure 2008087307
の化合物1モル量に対して、有機溶媒中、アルカリ化合物の存在下、下記一般式(a−3):
HS−R (a−3)
(式中、Rは、上記一般式(1)におけるものと同じものを表す。)
の化合物を1〜8モル量、好ましくは1〜4モル量用いて、20〜120℃、好ましくは80〜100℃で1〜48時間、好ましくは4〜24時間反応する。
上記製造方法における有機溶媒としては、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン〔DMI〕、スルホラン、N,N−ジメチルホルムアミド〔DMF〕、N,N−ジメチルアセトアミド〔DMAC〕、トルエン、酢酸エチル及びこれらの混合物等が挙げられる。
該有機溶媒の使用量は、種類によって異なるが、例えばDMIの場合、上記一般式(a−2)の化合物1モルに対して重量比2〜50倍、好ましくは5〜20倍である。
上記製造方法におけるアルカリ化合物としては、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が使用される。該アルカリ化合物の使用量は、上記一般式(a−2)の化合物1モルに対して1〜16モル、好ましくは1〜4モルである。
上記反応後、反応液を水に排出し、トルエン、酢酸エチル等の有機溶媒で抽出、水洗し、濃縮後、メタノール、n−へプタン等を添加することにより生成物の結晶を析出させる。更に、必要に応じて生成物をカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、目的とする上記一般式(A)のキノフタロン化合物を得ることができる。
また、上記一般式(A)のキノフタロン化合物のRが環状エーテル部分を有する化合物である場合、例えば以下の方法によって製造することもできる。
上記一般式(a−2)の化合物と、下記一般式(a−4):
HS−R10 (a−4)
(式中、R10は2個の水酸基を有するアルキル基を表す。)
の化合物を上記と同様な反応条件の下で反応させて、下記一般式(a−5):
Figure 2008087307
(式中、R10は、上記一般式(a−4)と同じものを表す。)
で表される中間体としてのキノフタロン化合物を製造する。
次いで、上記一般式(a−5)の化合物と下記一般式(a−6):
Figure 2008087307
(式中、R及びRは上記一般式(a−1)におけるものと同じものを表す。)の化合物とを、有機溶媒中、酸触媒の存在下に、脱水しながら還流することにより、目的とする上記一般式(A)のキノフタロン化合物を得ることができる。
上記還流に使用する酸触媒としては、p−トルエンスルホン酸、硫酸、安息香酸等を用いることができる。
上記還流に使用する有機溶媒としては、上記一般式(a−2)の化合物と上記一般式(a−3)の化合物との反応に使用したものと同様のものを用いることができる。
上記還流を行う時間は、6〜72時間、好ましくは12〜48時間であり、反応温度は使用する有機溶媒の種類にもよるが、一般に100〜115℃が好ましい。
上記還流終了後、反応液を上記した後処理法と同様の操作を行って、目的とする一般式(A)のキノフタロン化合物を得ることができる。
本発明において、イエロー染料として上記一般式(A)のキノフタロン化合物を含有するイエロー染料層は、染料として上記一般式(A)のキノフタロン化合物を1種のみ含むものであってもよいし、2種以上含むものであってもよい。また、上記キノフタロン化合物に加え、上記一般式(A)以外の構造を有する染料化合物を含むものであってもよい。
上記一般式(A)以外の構造を有する化合物からなる染料は、従来公知の昇華転写型熱転写シートに使用可能な染料であって、熱により昇華移行するものであれば特に限定されず、色相、印画感度、耐光性、保存性、バインダーへの溶解性等を考慮して適宜選択することができる。
上記一般式(A)以外の構造を有する染料としては、例えば、ジアリールメタン系色素;トリアリールメタン系色素;チアゾール系色素;メロシアニン系色素;ピラゾロンメチン等のメチン系色素;インドアニリン系色素;アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系色素;キサンテン系色素;オキサジン系色素;ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノスチレン系色素;チアジン系色素;アジン系色素;アクリジン系色素;ベンゼンアゾ系色素;ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等の上記一般式(I)以外のアゾ系色素;スピロピラン系色素;インドリノスピロピラン系色素;フルオラン系色素;ローダミンラクタム系色素;ナフトキノン系色素;アントラキノン系色素;キノフタロン系色素;等が挙げられる。
上記イエロー染料層は、更に、下記式(Y−2)
Figure 2008087307
で表される化合物、下記式(Y−3)
Figure 2008087307
で表される化合物、及び、下記式(Y−4)
Figure 2008087307
で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有することが好ましい。上記イエロー染料として、上記一般式(A)で表される化合物のみならず、上記式(Y−2)、式(Y−3)及び式(Y−4)で表される化合物のうち少なくとも1種を含有することにより、耐光性を同等に保ったまま、濃度と色相を調節することができる。
上記イエロー染料が、上記一般式(A)で表されるキノフタロン系化合物に加え、上記式(Y−2)で表される化合物、上記式(Y−3)で表される化合物、及び上記式(Y−4)で表される化合物のうち少なくとも1種を含む場合、各化合物の割合は、上記式(Y−2)で表される化合物を含む場合は、上記キノフタロン系化合物/上記式(Y−2)で表される化合物で表される化合物=1/0〜1/3であることが好ましく、1/0〜1/2であることがより好ましい。
上記式(Y−3)で表される化合物を含む場合は、上記キノフタロン系化合物/上記式(Y−3)で表される化合物=1/0〜1/1であることが好ましく、1/0〜2/1であることがより好ましい。
上記式(Y−4)で表される化合物を含む場合は、上記キノフタロン系化合物/上記式(Y−4)で表される化合物で表される化合物の質量比は、1/0〜1/3であることが好ましく、1/0〜1/2であることがより好ましい。
上記キノフタロン系化合物/上記式(Y−2)で表される化合物/上記式(Y−3)/上記式(Y−4)で表される化合物の質量比は、1/0/0/0〜2/5/1/5であることが好ましく、1/0/0/0〜2/3/1/3であることがより好ましい。
上記イエロー染料は、発色性の点で、トルエン中の吸光係数が10000〜150000ml/g・cmであることが好ましい。
本明細書において、上記吸光係数は、0.0002wt%の染料を含有するトルエン溶液を調製し、(株)島津製作所 UV−3100PCにて最大吸収波長λmax時の吸光係数を測定した値である。
本発明の昇華型熱転写シートは、マゼンタ染料層が形成されてなるものである。
上記マゼンタ染料層は、下記一般式(B)
Figure 2008087307
(式中、Rはアルキル基を表し、R及びRはそれぞれ独立して炭素数2以上のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で表されるアゾ系化合物からなるマゼンタ染料を含むものである。
上記一般式(B)において、Rはアルキル基を表す。
上記Rのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖アルキル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、3,2−ジメチルブチル基、3,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,1−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2,1−トリメチルプロピル基、2,1,1−トリメチルプロピル基等の分岐アルキル基が挙げられる。
上記Rとしては、炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖又は分岐アルキル基が特に好ましい。
上記一般式(B)において、R及びRは、それぞれ独立して炭素数2以上のアルキル基を表す。
上記炭素数2以上のアルキル基の例としては、エチル基、n−プロビル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−へキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の直鎖アルキル基;iso−プロピル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、3−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1−メチルブチル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、4−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、3,2−ジメチルブチル基、3,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,1−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2,1−トリメチルプロピル基、2,1,1−トリメチルプロピル基等の分岐アルキル基;等が挙げられる。
上記R及びRとしては、それぞれ炭素数2〜8の直鎖又は分岐アルキル基が好ましく、炭素数3〜5の直鎖又は分岐アルキル基、とりわけ炭素数3〜5の分岐アルキル基が特に好ましい。
上記一般式(B)において、Xはハロゲン原子を表す。
上記Xのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
上記Xとしては、塩素原子又は臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
本発明の昇華型熱転写シートにおいて、上記一般式(B)で表されるアゾ系化合物は、Rが炭素数1〜5のアルキル基であり、R及びRが炭素数2〜8のアルキル基であり、Xが塩素原子又は臭素原子であることがより好ましい。
上記一般式(B)で表されるアゾ系化合物の製造方法の例を下記に説明する。
はじめに、下記一般式(b−1):
Figure 2008087307
(式中、Xは、上記定義に同じ。)
で示されるアニリン類を酸溶媒に溶解した後、ニトロシル硫酸を滴下し、ジアゾ化を行い、ジアゾ液を得る。
上記酸溶媒としては、硫酸、リン酸、塩酸、酢酸、プロピオン酸又はこれらの酸の混合物等を使用することができる。
上記酸溶媒の使用量は、上記アニリン類の重量に対し同量〜10倍重量、好ましくは同量〜5倍重量である。
上記ニトロシル硫酸の使用量は、上記一般式(b−1)で示されるアニリン類のモル量に対し0.8〜1.2倍モル、好ましくは0.95〜1.1倍モルである。
上記アニリン類のジアゾ化において、滴下温度及び反応温度は、一般に−10〜30℃、好ましくは−5〜10℃であり、反応時間は、一般に0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
次に、得られたジアゾ液を下記一般式(b−2)
Figure 2008087307
(式中、R、R及びRは上記定義に同じ。)
で示される化合物とカップリング反応させる。
上記カップリング反応は通常、酸性条件下、水性溶媒中で行われる。
上記カップリング反応は、例えば、硫酸、リン酸、塩酸、酢酸、プロピオン酸又はこれらの酸の混合物等を含有する水性溶媒中、上記一般式(b−2)で示される化合物を溶解又は分散し、上記ジアゾ液を混合することにより実施される。
上記一般式(b−2)で示される化合物の使用量は、上記一般式(b−1)で示されるアニリン類のモル量に対し一般に0.9〜1.3倍モル、好ましくは1.0〜1.2倍モルである。
上記カップリング反応において、上記ジアゾ液の滴下温度及び反応温度は、一般に−10〜30℃、好ましくは−5〜10℃であり、反応時間は0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
更に、得られたカップリング反応液にアルカリ水溶液、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液を加え、析出物を濾取、水洗、乾燥し、下記一般式(b−3)
Figure 2008087307
(式中、R、R、R及びXは上記定義に同じ。)
で示されるアゾ系化合物を得る。
最後に、上記一般式(b−3)のアゾ系化合物の臭素原子をシアノ化することにより、目的とする一般式(B)のアゾ系化合物を得ることができる。
上記シアノ化反応は、極性溶媒中、シアン化銅(I)を反応させて行う。
上記極性溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、スルホラン等が使用できる。
上記シアン化銅(I)の使用量は、一般に、上記一般式(b−3)で示されるアゾ系化合物のモル量に対し2.0〜2.5倍モルである。
上記シアノ化反応において、反応温度は一般に50〜150℃、好ましくは70〜90℃であり、反応時間は、一般に1〜5時間である。
更に、上記シアノ化反応液を水中に排出し、析出物を濾取、水洗した後、トルエン等の有機溶媒で抽出後、抽出液を濾過することにより金属分を除き、有機層を濃縮し、n−へプタン等の脂肪族炭化水素類で分散処理することにより、目的の上記一般式(B)で表されるアゾ系化合物を精製、回収することができる。
上記一般式(B)で表されるアゾ系化合物の具体例を表1及び表2に示す。これらの具体例は本願の範囲を限定するものではない。
Figure 2008087307
Figure 2008087307
なかでも、上記アゾ系化合物としては、下記式(M−1)
Figure 2008087307
で表される化合物であることが好ましい。
上記マゼンタ染料層は、上記一般式(B)で表されるアゾ系化合物を含有するが、上記アゾ系化合物を1種のみ含むものであってもよいし、2種以上含むものであってもよい。上記アゾ系化合物に加え、上記一般式(B)以外の構造を有する染料化合物を含むものであってもよい。
上記一般式(B)以外の構造を有する染料化合物は、従来公知の昇華型熱転写シートに使用可能な染料であって、熱により昇華移行するものであれば、特に限定されず、色相、印画感度、耐光性、保存性、バインダーへの溶解性等を考慮して適宜選択することができる。
上記一般式(B)以外の構造を有する染料としては、上記イエロー染料層で記載したものと同様のものを挙げることができる。
上記マゼンタ染料層は、更に、下記一般式(C)
Figure 2008087307
(Rは、置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールオキシ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、複素環基又はハロゲン原子を表す。Rは、アミノ基又は水酸基を表す。nは2以下の整数を表す。)で表されるアントラキノン系化合物を含有するものであることが好ましい。
上記マゼンタ染料層において、上記一般式(B)で表されるアゾ系化合物に加え、更に上記一般式(C)で表される化合物を含むことにより、耐光性を保ったまま色相を調節することができる。
上記一般式(C)において、Rとしてのアルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、アルコキシル基、アリールオキシ基、アルキル基及びシクロアルキル基は、炭素数1から6であることが好ましい。
上記一般式(C)で表されるアントラキノン系化合物は、下記式(M−2)で表されるアントラキノン系化合及び/又は下記式(M−3)で表されるアントラキノン系化合物であることが好ましい。
Figure 2008087307
Figure 2008087307
上記マゼンタ染料は、上記一般式(B)で表されるアゾ系化合物と、更に、上記式(M−2)で表されるアントラキノン系化合物及び/又は式(M−3)で表されるアントラキノン系化合物を含有するものであることが好ましく、上記一般式(B)で表されるアゾ系化合物と、更に、上記式(M−2)で表されるアントラキノン系化合物及び式(M−3)で表されるアントラキノン系化合物を含有するものであることがより好ましい。
上記式(M−2)及び上記式(M−3)で表される各アントラキノン系化合物を含有する場合、耐光性を向上させることができるが、上記特定マゼンタ染料は、一般式(B)で表されるアゾ系化合物のうち少なくとも1つと、式(M−2)又は式(M−3)で表されるアントラキノン系化合物の少なくとも1つとを含有する場合、耐光性を向上させることができると考えられる。
上記特定マゼンタ染料は、上記一般式(B)で表されるアゾ系化合物と上記一般式(C)で表されるアントラキノン系化合物との質量比が、上記一般式(B)のアゾ系化合物/上記一般式(C)のアントラキノン系化合物=1/4よりもアゾ系化合物の割合が高いことが好ましく、2/5よりもアゾ系化合物の割合が高いことが更に好ましい。これ以下であると印画時に充分な濃度を得ることができないおそれがある。
上記式(M−2)で表される化合物としては、Disperse Violet26等のアントラキノン系染料が挙げられ、上記式(M−3)で表される化合物としては、Disperse Red60等のアントラキノン系染料が挙げられる。
上記マゼンタ染料層において、上記一般式(C)で表されるアントラキノン系化合物として、式(M−2)又は式(M−3)で表されるアントラキノン系化合物を双方含有する場合、両者の含有比は、目標色相に応じて任意に決めることが可能である。
上記マゼンタ染料は、発色性の点で、トルエン中の吸光係数が10000〜100000ml/g・cmであることが好ましい。
本明細書において、上記吸光係数は、0.0002質量%の染料を含有するトルエン溶液を調製し、島津製作所社製UV−3100PCにて最大吸収波長λmax時の吸光係数を測定した値である。
本発明における各種染料の含有量は、基材、プライマーとの組み合わせにもよるが、画像として充分な濃度(イエロー、マゼンタ反射濃度1.8以上:ISOステータスA濃度)が得られるような染料含有量が好ましい。上記含有量範囲については、後述する。
上記各染料層は、それぞれ上記特定の染料に加え、バインダー樹脂をも含有するものである。
上記バインダー樹脂としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂;ポリエステル系樹脂;フェノキシ樹脂;等が挙げられる。
上記バインダー樹脂としては、更に、離型性グラフトコポリマーも挙げられる。上記離型性グラフトコポリマーは、離型剤として配合することもできる。
上記離型性グラフトコポリマーは、ポリシロキサンセグメント、フッ化炭素セグメント、フッ化炭化水素セグメント及び長鎖アルキルセグメントから選択された少なくとも1種の離型性セグメントを、上述のバインダー樹脂を構成するポリマー主鎖にグラフト重合させてなるものである。
上記離型性グラフトコポリマーとしては、なかでも、ポリビニルアセタールからなる主鎖にポリシロキサンセグメントをグラフトさせて得られるグラフトコポリマーが好ましい。
上記染料層は、所望により、離型剤、無機微粒子、有機微粒子等の添加剤を使用してもよい。
上記離型剤としては、上述の離型性グラフトコポリマー、シリコーンオイル、リン酸エステル等が挙げられる。
上記無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられる。
上記有機微粒子としては、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
上述の各染料層は、それぞれ各特定の染料、バインダー樹脂及び所望により添加する添加剤と、溶剤とを含有する染料インキから形成されるものである。
上記溶剤としては、染料インキの材料として従来公知のものであれば特に限定されず、例えば、アセトン、メタノール、水、メチルエチルケトン、トルエン、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド〔DMF〕、酢酸エチル、これらの溶剤の混合溶剤等が使用でき、なかでも、メチルエチルケトンとトルエンとの混合溶剤が好ましい。
上記イエロー染料を含有する染料インキにおいて、上記イエロー染料は、バインダー樹脂100質量部に対して、50〜300質量部であることが好ましく、85〜250質量部であることがより好ましい。
上記イエロー染料インキは、イエロー染料の含有量が一般に1質量%以上であり、上記範囲内であれば20質量%程度以下であってもよい。
上記イエロー染料の含有量は、下限1質量%、上限15質量%であることが好ましい。
上記イエロー染料インキは、イエロー染料等の染料とバインダー樹脂との合計量、すなわち固形分が質量基準で2〜30質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
本明細書において、イエロー染料インキが2種以上の染料化合物を含有するものである場合、上記イエロー染料の含有量及び固形分量は、何れも各染料化合物の合計に関する範囲を表す。
上記マゼンタ染料を含有する染料インキにおいて、マゼンタ染料の含有量は、バインダー樹脂固形分100質量部に対して、50〜300質量部であることが好ましく、85〜250質量部であることがより好ましい。なお、上記マゼンタ染料が2種以上の染料化合物を含有するものである場合、上記マゼンタ染料の含有量及び固形分量は、何れも各染料化合物の合計に関する範囲を表す。
上記一般式(B)のアゾ系化合物は、トルエン、メチルエチルケトン、乳酸メチル等、染料インキに汎用される有機溶剤の種類を問わず溶解性が高いので、熱転写シートの染料として使用する場合、高い染料/樹脂比の染料担持層にすることができる。この点、本発明の昇華型熱転写シートは、上記一般式(B)のアゾ系化合物を染料として用いることにより、染料/樹脂比が高い染料担持層を有するので、転写時の感度が良く、発色濃度にも優れている。
上記各染料インキは、例えば、ペイントシェーカー、プロペラ型攪拌機、ディゾルバー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、2本ロールミル、3本ロールミル、超音波分散機、ニーダー、ラインミキサー、2軸押出機等の従来公知の製造方法を用いて調製することができる。
上記各染料層は、例えば、ワイヤーバーコーティング、グラビア印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の従来公知の方法で上述の各染料インキを上記基材シートに塗工することにより形成することができる。
上記塗工方法としては、グラビアコーティングが好ましい。
上記塗工において、特に限定されないが、60〜120℃の温度にて1秒〜5分程度乾燥することが好ましい。
上記各染料インキの乾燥が不充分であると、地汚れや巻取りにした際に染料インキが裏移りし、更にその裏移りした染料インキが巻き返した際に異なる色相である染料層に再移転する、いわゆるキックバックが生じることがある。
上記各染料インキは、乾燥塗布量が好ましくは0.2〜3.0g/m程度、より好ましくは0.4〜1.0g/m程度となるよう塗布すればよい。
本発明の昇華型熱転写シートは、染料として、上述の特定のイエロー染料を含有するイエロー染料層と、上述の特定のマゼンタ染料を含有するマゼンタ染料層とを有するものであるため、両者を併せて印画を行っても、イエローとマゼンタよりレッドを形成した場合のそれぞれの濃度残存率が良好な印画物を得ることができる。
(その他の層)
1.耐熱滑性層
本発明の昇華型熱転写シートは、更に、上述の染料層を形成する面と反対側の基材シート面上に、耐熱滑性層を設けてなるものであってもよい。
上記耐熱滑性層は、ステッキングや印画しわ等、熱転写時にサーマルヘッドの熱が原因で生じる問題を防止するために設けるものである。
上記耐熱滑性層は、主に耐熱性樹脂からなるものである。
上記耐熱性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテート−ヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
上記耐熱滑性層は、耐熱性樹脂に加え、滑り性付与剤、架橋剤、離型剤、有機粉末、無機粉末等の添加剤を配合してなるものであってもよい。
上記耐熱滑性層は、一般に、上述の耐熱性樹脂、並びに、所望により添加する上記滑り性付与剤及び添加剤を溶剤中に加えて、各成分を溶解又は分散させて耐熱滑性層塗工液を調製した後、該耐熱滑性層塗工液を基材の上に塗工し、乾燥させて形成することができる。
上記耐熱滑性層塗工液における溶剤としては、上述の染料インキにおける溶剤と同様のものを使用することができる。
上記耐熱滑性層塗工液の塗工法としては、例えば、ワイヤーバーコーティング、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等が挙げられるが、なかでもグラビアコーティングが好ましい。
上記耐熱滑性層塗工液は、乾燥塗布量が好ましくは0.1〜3g/m、より好ましくは1.5g/m以下となるよう塗布すればよい。
2.下引き層等
本発明の昇華型熱転写シートは、基材シート上に上述の染料層を有するものであれば、上記基材シートと染料層との間に下引き層等を設けてなるものであってもよい。
本発明において、下引き層は、特に限定されず、基材と染料層との接着性を向上させる組成を適宜選択して設けることができる。
本発明の昇華型熱転写シートは、画像形成後に画像面を保護する保護層を転写できるよう、更に、上述の染料層と面順次に転写保護層を形成したものであってもよい。
上記転写保護層の構成及び調製は、特に限定されず、使用する基材シート、染料層等の特徴に応じて、従来公知の技術より選択することができる。
上記転写保護層は、基材フィルムが離型性でない場合、基材フィルムと転写保護層との間に剥離層を設けて、転写保護層の転写性を向上させることが好ましい。
本発明の昇華型熱転写シートは、上述の基材フィルムの染料層と反対側にサーマルヘッド等により所定箇所を加熱・加圧し、染料層のうち印字部に相当する箇所の染料を被転写材に転写させて印画することができる。
上記被転写材として熱転写受像シート等を使用することができる。
上記熱転写受像シートとしては、記録面が染料受容性を有するものであれば特に限定されず、例えば、紙、金属、ガラス、合成樹脂等の基材の少なくとも一方の面に染料受容層を形成したものを挙げることができる。
上記熱転写を行う際に使用するプリンターとしては、特に限定されず、公知の熱転写プリンターを使用することができる。
本発明の昇華型熱転写シートは、上述した構成よりなるので、耐光性と、イエローとマゼンタよりレッドを形成した場合のそれぞれの濃度残存率が良好な印画物を得ることができる。
以下に本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また実施例中、「部」、「%」は特に断りのない限り「質量部」、「質量%」を意味する。
(実施例)
厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔PET〕に下記耐熱滑性層塗工液1.0g/m(乾燥塗布量)を塗布し乾燥させて耐熱滑性層を形成し、該PETの耐熱滑性層と反対側の面に、下記組成の染料インキをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.6g/mになるように塗布し、80℃で2分間乾燥して染料層を形成した。
<耐熱滑性層塗工液>
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)13.6部
ポリイソシアネート硬化剤(タケネートD218、武田薬品工業(株)製) 0.6部
リン酸エステル(プライサーフA208S、第一工業製薬(株)製) 0.8部
メチルエチルケトン〔MEK〕 42.5部
トルエン 42.5部
<染料インキ>
Figure 2008087307
表中の染料Y−1、染料Y−2、染料Y−3、染料Y−4、染料M−1、染料M−2及び
染料M−3の化学式は下記の通りである。
Figure 2008087307
Figure 2008087307
Figure 2008087307
(比較例)
染料インキにおける染料を後述の表4のものに代える以外は、実施例と同様にして熱転写シートを作製した。
Figure 2008087307
表中の染料M−11の化学式は下記の通りである。
Figure 2008087307
(試験例)
各実施例及び各比較例に使用した染料並びに各実施例及び各比較例から得られた熱転写シートについて、以下の試験を行った。結果を表5に示す。
熱転写記録テスト(発色濃度)
被転写体としてオリンパス(株)製、デジタルカラープリンタ P−400専用A4サイズスタンダードペーパーを用い、転写性保護層としてオリンパス(株)製、デジタルカラープリンタ P−400専用インクリボンパックの転写製保護層を用いて、各熱転写シートの染料層と染料受容面とを対向させて重ね合せ熱転写シートの裏面からヘッド引加エネルギー0〜0.15mJ/dotの条件にてサーマルヘッドで熱転写を行い、各種濃度の印画物を作成し、発色濃度(ISOステータスA濃度)を測定した。
(評価基準)
0.15mJ/dotの条件(印加エネルギー)にて
○:イエロー及びマゼンタの発色濃度が共に1.8以上
×:イエロー又はマゼンタ発色濃度が1.8以下
耐光性テスト
上記熱転写記録テストで得られた画像をキセノンウェザオメター(アトラス社製、Ci4000:ブラックパネル温度45℃、フィルターCIRA,ソーダライム)にて90時間照射を行い、照射前の濃度が1である印画物の照射後の濃度残存率を算出し、下記の基準にて照射前後の濃度変化を評価した。
(評価基準)
○:イエロー及びマゼンタの濃度残存率が共に70%以上
×:イエロー又はマゼンタの濃度残存率が70%以下
濃度色相の測定
グレタグマクベス社製分光測定器SpectroLinoを用いて、濃度を測定した(測定条件、濃度:ISOステータスA濃度(ANSI Status A))。
Figure 2008087307
実施例は、比較例と比べイエローとマゼンタよりレッドを形成した場合に、それぞれの濃度残存率が良好であった。
本発明の昇華型熱転写シートは、上述の構成よりなるものであるので、耐光性等の諸堅牢性に優れ、イエローとマゼンタよりレッドを形成した場合のそれぞれの濃度残存率が良好な印画物を得ることができる。

Claims (6)

  1. 基材シート上に、染料とバインダー樹脂からなる染料層として少なくともイエロー染料層及びマゼンタ染料層が形成された熱転写シートであって、
    前記イエロー染料層は、下記一般式(A)
    Figure 2008087307
    (式中、Rは2個以上の酸素原子をエーテル結合の形で含むアルキル基を表す。)
    で表されるキノフタロン系化合物からなるイエロー染料を含有し、
    前記マゼンタ染料層は、下記一般式(B)
    Figure 2008087307
    (式中、Rはアルキル基を表し、R及びRはそれぞれ独立して炭素数2以上のアルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
    で表されるアゾ系化合物からなるマゼンタ染料を含有する
    ことを特徴とする昇華型熱転写シート。
  2. イエロー染料が下記式(Y−1)
    Figure 2008087307
    で表される化合物である請求項1記載の昇華型熱転写シート。
  3. マゼンタ染料が下記式(M−1)
    Figure 2008087307
    で表される化合物である請求項1又は2記載の昇華型熱転写シート。
  4. マゼンタ染料層は、更に、下記一般式(C)
    Figure 2008087307
    (式中、Rは、置換又は非置換のアルコキシカルボニル基、置換又は非置換のアルキルアミノカルボニル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリールオキシ基、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のシクロアルキル基、複素環基又はハロゲン原子を表す。Rは、アミノ基又は水酸基を表す。nは2以下の整数を表す。)
    で表されるアントラキノン系化合物を含有する請求項1、2又は3記載の昇華型熱転写シート。
  5. 一般式(C)で表されるアントラキノン系化合物が、下記式(M−2)
    Figure 2008087307
    で表される化合物、及び/又は、下記式(M−3)
    Figure 2008087307
    で表される化合物である請求項1、2、3又は4記載の昇華型熱転写シート。
  6. イエロー染料層は、更に、下記式(Y−2)
    Figure 2008087307
    で表される化合物、下記式(Y−3)
    Figure 2008087307
    で表される化合物、及び、下記式(Y−4)
    Figure 2008087307
    で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含有するものである請求項1、2、3、4又は5記載の昇華型熱転写シート。
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