JP5812409B2 - チオフェンメチン化合物およびチオフェンメチン化合物からなる色素ならびに熱転写シート - Google Patents

チオフェンメチン化合物およびチオフェンメチン化合物からなる色素ならびに熱転写シート Download PDF

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Description

本発明は、新規なチオフェンメチン化合物に関し、より詳細には、耐光性に優れ、かつイエロー色素として使用した場合に感度に優れる新規チオフェンメチン化合物に関する。
感熱昇華転写方式は、昇華性染料 をバインダー樹脂に溶解又は分散させた染料層を基材に担持した熱転写フィルムを使用し、この熱転写フィルムを受像フィルムに重ねてサーマルヘッド等の加熱デバイスに画像情報に応じたエネルギーを印加することにより、熱転写フィルム上の染料層中に含まれる昇華性染料を受像フィルムに移行させて画像を形成する方法である。
この感熱昇華転写方式は、熱転写フィルムに印加するエネルギー量によってドット単位で染料の移行量を制御できるため、階調性画像の形成に優れるとともに、文字や記号等の形成が簡便である等の利点を有している。
このような熱転写方式において得られる画像は銀塩写真と同様に高画質なものが形成可能となっており、それにつれて、画像の光・熱・湿度などの因子による画質劣化防止への要求が極めて高くなってきており、画像保存性を改良するための種々の昇華性染料の開発が行われている。
例えば、耐光性の優れるイエロー色素として、特開平11−152420号公報には、置換チオフェン環と置換ピラゾリン環とがメチン鎖で結合した構造を有するチオフェンメチン化合物(化合物B18)からなるチオフェンメチン系色素等が開示されている。
特開平11−152420号公報
しかしながら、上記したチオフェンメチン化合物は耐光性に優れるものの、感熱転写記録用色素として使用した場合に感度が不十分であった。そして、本発明者らは、上記したチオフェンメチン化合物のピラゾリン環の3位のアルキル基を特定鎖長のアルコキシ基に変更することにより、優れた耐光性を維持しながら、感度にも優れる化合物が得られるとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
したがって、本発明の目的は、優れた耐光性を維持しながら感度にも優れる、新規なチオフェンメチン化合物を提供することである。
本発明によるチオフェンメチン化合物は、下記式(I)で表されるものである。
Figure 0005812409
(式中、
およびRは、それぞれ独立して、C1〜C4のアルキル基を表し、
は、水素原子またはハロゲン原子を表し、
は、C1〜C4のアルキル基を表す。)
また、本発明の態様によれば、前記RおよびRがいずれもC1またはC2のアルキル基であることが好ましい。
また、本発明の態様によれば、前記Rが水素原子または臭素原子であることが好ましい。
さらに、本発明の態様によれば、前記Rがエチル基であることが好ましい。
また、本発明の別の態様においては、上記チオフェンメチン化合物からなる感熱転写記録用色素、およびその色素を用いた熱転写シートも提供される。
本発明によるチオフェンメチン化合物は、チオフェン基に結合したアミノ基が特定のアルキル基で置換されており、かつピラゾリン環の3位が特定のアルコキシ基で置換されているため、優れた耐光性を維持しながら優れた感度を実現できる。そのため、感熱転写記録用イエロー色素として有用である。
<チオフェンメチン化合物>
本発明によるチオフェンメチン化合物は、下記式Iで表されるものである。
Figure 0005812409
上記式(I)中、RおよびRは、それぞれ独立して、C1〜C4のアルキル基を表すが、これらの中でも、感度の観点から、RおよびRがいずれもC1またはC2のアルキル基、すなわち、メチル基またはエチル基であることが好ましい。
また、上記式(I)中、Rは水素原子またはハロゲン原子を表すが、これらの中でも、Rは、感度および耐光性の観点から、水素原子または臭素元素であることが好ましい。
また、上記式(I)中、RはC1〜C4のアルキル基を表すが、これらの中でもRがエチル基であることが好ましい。
上記式(I)で表されるチオフェンメチン化合物は、チオフェンアルデヒド化合物とピラゾロン化合物との脱水縮合反応により合成することができる。例えば、下記式(II)で表されるチオフェンアルデヒド化合物と、下記式(III)で表されるピラゾロン化合物とを、2−プロパノール等の溶媒中で加熱して脱水縮合させることにより、上記式(I)で表されるチオフェンメチン化合物を合成することができる。なお、下記式(II)および(III)中のR、R、RおよびRは、いずれも上記した定義と同義である。
Figure 0005812409
上記式(I)で表されるチオフェンメチン化合物の製造に使用される上記式(II)のチオフェンアルデヒド化合物は、公知の方法により合成することができ、例えば、Synlett、383−384頁(1998)に記載の方法により合成することができる。また、上記式(III)のピラゾロン化合物も公知の方法により合成することができ、例えば特開昭51−52169号公報に記載の方法により合成することができる。
<イエロー色素および熱転写シート>
本発明によるチオフェンメチン化合物は、感熱熱転写材料として有用である。例えば、上記式(I)で表されるチオフェンメチン化合物は、昇華型熱転写用のイエロー色素として使用でき、他の公知のマゼンタ色素、シアン色素、その他の色素等と組み合わせて、好適に使用できる。また、上記化合物からなるイエロー色素からなる染料層、およびマゼンタ、シアン、ブラック等色素からなる複数の染料層を面順次に基材上に設けて熱転写シートとすることができる。また、上記複数の染料層に加え転写性保護層を面順次に設けたもの等であってもよい。なお、さらに熱溶融性インキ層のブラックを設けてもよい。マゼンタ、シアン、ブラック等の昇華型熱転写用色素や熱溶融性色素としては、従来公知のものを使用することができる。
各染料層は、それぞれ上記特定の染料に加え、バインダー樹脂をも含有するものである。バインダー樹脂としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂;ポリエステル系樹脂;フェノキシ樹脂、等が挙げられる。
バインダー樹脂としては、更に、離型性グラフトコポリマーも挙げられる。上記離型性グラフトコポリマーは、離型剤として配合することもできる。離型性グラフトコポリマーは、ポリシロキサンセグメント、フッ化炭素セグメント、フッ化炭化水素セグメント及び長鎖アルキルセグメントから選択された少なくとも1種の離型性セグメントを、上述のバインダー樹脂を構成するポリマー主鎖にグラフト重合させてなるものである。離型性グラフトコポリマーとしては、なかでも、ポリビニルアセタールからなる主鎖にポリシロキサンセグメントをグラフトさせて得られるグラフトコポリマーが好ましい。
各染料層は、所望により、離型剤、無機微粒子、有機微粒子等の添加剤を使用してもよい。離型剤としては、上述の離型性グラフトコポリマー、シリコーンオイル、リン酸エステル等が挙げられる。無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられる。有機微粒子としては、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
各染料層は、それぞれ各特定の染料、バインダー樹脂及び所望により添加する添加剤と、溶剤とを含有する染料インキから形成されるものである。溶剤としては、染料インキの材料として従来公知のものであれば特に限定されず、例えば、アセトン、メタノール、水、メチルエチルケトン、トルエン、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド〔DMF〕、酢酸エチル、これらの溶剤の混合溶剤等が使用でき、なかでも、メチルエチルケトンとトルエンとの混合溶剤が好ましい。
各染料インキは、例えば、ペイントシェーカー、プロペラ型攪拌機、ディゾルバー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、2本ロールミル、3本ロールミル、超音波分散機、ニーダー、ラインミキサー、2軸押出機等の従来公知の製造方法を用いて調製することができる。
各染料層は、例えば、ワイヤーバーコーティング、グラビア印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の従来公知の方法で上述の各染料インキを上記基材に塗工することにより形成することができる。
塗工方法としては、グラビアコーティングが好ましい。また、塗工においては、特に限定されないが、60〜120℃の温度にて1秒〜5分程度乾燥することが好ましい。各染料インキの乾燥が不充分であると、地汚れや巻取りにした際に染料インキが裏移りし、更にその裏移りした染料インキが巻き返した際に異なる色相である染料層に再移転する、いわゆるキックバックが生じることがある。
各染料インキは、乾燥塗布量が好ましくは0.2〜3.0g/m程度、より好ましくは0.4〜1.0g/m程度となるよう塗布すればよい。
熱転写シートを構成する基材は、後記する染料層を支持するためのものであり、公知の材料を使用することができる。具体的には、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであれば何れのものでもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等の樹脂フィルム等が挙げられる。
上記基材は、厚さが一般に約0.5〜50μmであり、好ましくは約3〜10μmである。
基材は、必要に応じ、その一方の面又は両面に接着処理を施していてもよい。基材上に染料層を形成するための染料インキを塗布して形成する場合、塗工液の濡れ性、接着性等が不足しやすいので、接着処理を施すことが好ましい。上記接着処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等、公知の樹脂表面改質技術をそのまま適用することができる。また、それらの処理を二種以上併用することもできる。
さらに、上記基材の接着処理として、基材上に接着層を塗工して形成することも可能である。接着層は、例えば、以下の有機材料及び無機材料から形成することができる。上記有機材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン及びその変性体等のビニル系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。上記無機材料としては、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナあるいはアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、疑ベークマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等のコロイド状無機顔料超微粒子等が挙げられる。
プライマー処理は、プラスチックフィルムを延伸処理して製造する場合、未延伸フィルムにプライマー液を塗布し、その後に延伸処理して行うこともできる。
上記した熱転写シートは、各染料層を形成する面と反対側の基材面上に、耐熱滑性層が形成されていてもよい。耐熱滑性層は、ステッキングや印画しわ等、熱転写時にサーマルヘッドの熱が原因で生じる問題を防止するために設けるものである。
耐熱滑性層は、主に耐熱性樹脂からなるものである。耐熱性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテート−ヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
耐熱滑性層は、上記耐熱性樹脂に加え、滑り性付与剤、架橋剤、離型剤、有機粉末、無機粉末等の添加剤を配合してなるものであってもよい。
耐熱滑性層は、一般に、上述の耐熱性樹脂、並びに、所望により添加する上記滑り性付与剤及び添加剤を溶剤中に加えて、各成分を溶解又は分散させて耐熱滑性層塗工液を調製した後、該耐熱滑性層塗工液を基材の上に塗工し、乾燥させて形成することができる。
上記耐熱滑性層塗工液における溶剤としては、上述の染料インキにおける溶剤と同様のものを使用することができる。
耐熱滑性層塗工液の塗工法としては、例えば、ワイヤーバーコーティング、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等が挙げられるが、なかでもグラビアコーティングが好ましい。耐熱滑性層塗工液は、乾燥塗布量が好ましくは0.1〜3g/m、より好ましくは1.5g/m以下となるよう塗布すればよい。
本発明による熱転写シートは、基材上に上述の染料層を有するものであれば、上記基材と染料層との間に下引き層等が設けられていてもよい。下引き層は、特に限定されず、基材と染料層との接着性を向上させる組成を適宜選択して設けることができる。
本発明による熱転写シートは、画像形成後に画像面を保護する保護層を転写できるよう、更に、上述の染料層と面順次に転写保護層を形成したものであってもよい。転写保護層の構成及び調製は、特に限定されず、使用する基材シート、染料層等の特徴に応じて、従来公知の技術より選択することができる。また、転写保護層は、基材フィルムが離型性でない場合、基材フィルムと転写保護層との間に剥離層を設けて、転写保護層の転写性を向上させることが好ましい。
本発明による熱転写シートは、基材の染料層を設けた側と反対側にサーマルヘッド等により所定箇所を加熱・加圧し、染料層のうち印字部に相当する箇所の染料を被転写材に転写させて印画することができる。熱転写を行う際に使用するプリンターとしては、特に限定されず、公知の熱転写プリンターを使用することができる。
被転写材としては熱転写受像シート等を使用することができる。熱転写受像シートは、基材上の一方の面に染料受容層を設けたものである。熱転写受像シートを構成する基材層は、受容層を保持する機能を有するが、熱転写時には熱が加えられるため、加熱された状態でも取り扱い上、支障がない程度の機械的強度を有することが好ましい。このような基材層の材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、コンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系等)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、壁紙、裏打ち用紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、板紙等、セルロース繊維紙、セルロース紙の表裏をポリエチレンでコートした銀塩写真の印画用紙の基材として使用されるレジンコート紙、あるいは、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の各種プラスチックフィルム又はシートが使用でき、またこれら合成樹脂に白色顔料や、充填剤を加えて成膜し、基材内部に微細空隙(ミクロボイド)を有するフィルム(多孔質フィルム)も使用できる。
基材層上に設けられる染料受容層は、熱転写シートから移行してくる昇華染料を受容し、形成された画像を維持する為のものである。受容層を形成する為の樹脂としては、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−アクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ゼラチンおよびその誘導体などが挙げられる。なお、これら樹脂材料を2種以上混合して用いてもよい。これらの樹脂は有機溶剤に溶解または分散させた塗工液を用いて染料受容層を形成してもよく、また、樹脂を水系の溶媒に溶解または分散させた塗工液を用いて染料受容層を形成してもよい。例えば、水系の塗工液として、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体系樹脂(塩酢ビ系樹脂)をエマルジョン形態としたものを好適に使用できる。
熱転写受像シートは、熱転写シートとの離型性を向上させるために、染料受容層中に離型剤を含有させてもよい。離型剤としてはポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス類、フッ素系またはリン酸エステル系界面活性剤、シリコーンオイル、反応性シリコーンオイル、硬化型シリコーンオイル等の各種変性シリコーンオイル、各種シリコーン樹脂などが挙げられる。
また、基材層と染料受容層との間には、染料受容層と基材との接着性、白色度、クッション性、隠蔽性、帯電防止性、カール防止性等の付与を目的とし、従来公知のあらゆる中間層を設けることができる。中間層に用いるバインダー樹脂としては、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリスルフォン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明が実施例に限定されるものではない。なお、「部」とは、特に断りのない限り、質量部を意味するものとする。
実施例1(チオフェンメチン化合物1の合成)
0.98gの2−ジエチルアミノ−5−ホルミルチオフェン(5.3mmol)と、1.09gの3−エトキシ−1−フェニル−5−ピラゾロン(5.3mmol)と、0.41gの酢酸アンモニウム(5.3mmol)とを、7mlの2−プロパノール溶媒に加え、この混合物を加熱還流下で2時間撹拌した。次いで、2−プロパノールを濃縮除去した後、反応系に水30mlを加え、析出固体をろ取し、水洗した後、オーブン中で乾燥させることにより、1.55gの化合物1を得た。得られた化合物1を赤外吸収スペクトル分析装置および核磁気共鳴装置を用いて構造の特定を行った。IRスペクトルおよびプロトンNMRスペクトルの分析結果から、下記式で表されるチオフェンメチン化合物が得られていることを確認した。
Figure 0005812409
実施例2(チオフェンメチン化合物2の合成)
出発物質である0.98gの2−ジエチルアミノ−5−ホルミルチオフェンに代えて、0.83gの2−ジメチルアミノ−5−ホルミルチオフェン(5.3mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、1.46gの化合物2を得た。得られた化合物2を実施例1と同様にして構造の同定を行ったところ、下記式で表されるチオフェンメチン化合物が得られていることを確認した。
Figure 0005812409
実施例3(チオフェンメチン化合物3の合成)
出発物質である0.98gの2−ジエチルアミノ−5−ホルミルチオフェンに代えて、1.25gの4−ブロモ−2−ジメチルアミノ−5−ホルミルチオフェン(5.3mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、1.80gの化合物3を得た。得られた化合物3を実施例1と同様にして構造の同定を行ったところ、下記式で表されるチオフェンメチン化合物が得られていることを確認した。
Figure 0005812409
比較例1(チオフェンメチン化合物4の合成)
特開平11−152420号公報の実施例に記載されている色素B18と同様の化合物を、特開平11−152420号公報の記載に基づいて合成し、下記式で表されるチオフェンメチン化合物4を得た。
Figure 0005812409
<イエロー染料インキの調製>
上記で得られた化合物1を2.5部、ポリビニルアセタール樹脂(エスレックKS−5、5%ワニス、積水化学工業株式会社製)70.0部、および、トルエン/メチルエチルケトン(質量比1:1)の溶媒27.5部を混合して、イエローインキ1を調製した。また、使用する染料化合物を化合物2〜4に変更した以外は、上記と同様にしてイエローインキ2〜4を調製した。
<熱転写シートの作製>
厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの一方の面に、下記組成からなる耐熱滑性層形成用塗工液を、乾燥塗布量が1.0g/mとなるように塗布し、乾燥させて耐熱滑性層を形成した。なお、下記の配合量は質量基準である。次いで、PETフィルムの耐熱滑性層を形成した面とは反対側の面に、上記で得られたイエローインキをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.8g/mとなるように塗布し、80℃で2分間乾燥して染料層を形成した。
<耐熱活性層形成用塗工液>
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBX−1、積水化学工業株式会社製)
13.6部
ポリイソシアネート硬化剤(タケネートD218、武田薬品工業株式会社製)
0.6部
リン酸エステル(プライサーフA208、第一工業製薬株式会社製) 0.8部
メチルエチルケトン(MEK) 42.5部
トルエン 42.5部
<熱転写受像シートの作製>
微細空隙層の39μm厚のミクロボイドフィルムの一方の面に、下記組成からなる接着剤層形成用塗工液を塗布し、乾燥させて接着剤層を形成した。次いで、後記する形成条件により、コート紙(186g/m)の一方の面に裏面層を設けた支持体と、ミクロボイドフィルムとを、支持体の裏面層を設けた側と反対側の面と接着剤層とが重なるように貼り合わせた。
<接着剤層形成用塗工液>
多官能ポリオール(タケラックA−969V、三井化学株式会社製) 30.0部
イソシアネート(タケネートA−5、三井化学株式会社製) 10.0部
酢酸エチル 60.0部
続いて、ミクロボイドフィルムの接着剤層を設けた面とは反対側の面に、下記組成のプライマー層形成用塗工液を、乾燥塗布量が2.0g/mとなるようにワイヤーバーコーティングにより塗布し、乾燥させてプライマー層を形成した。
<プライマー層形成用塗工液>
ポリエステルポリオール(アドコート、東洋モートン株式会社製) 15.0部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2:1) 85.0部
形成したプライマー層上に、下記組成からなる染料受容層形成用塗工液を、乾燥塗布量が4.0g/mとなるようにワイヤーバーコーティングにより塗布し、乾燥させて染料受容層を形成することにより、熱転写受像シートを得た。
<染料受容層形成用塗工液>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(ソルバインC、日信化学工業株式会社製)
(塩化ビニル/酢酸ビニル=87/13、数平均分子量31,000、ガラス転移温度70℃) 20.0部
カルボキシル変性シリコーン(X−22−3701E、信越化学工業株式会社製)
1.0部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1:1) 79.0部
<印字物の作製>
上記で得られた熱転写受像シートを被転写体として用いた。次いで、得られた熱転写シートのイエロー染料層と上記被転写体の染料受容面とを対向させて重ね合わせ、熱転写シートの裏面からサーマルヘッドを用いて熱転写記録を行い、印画エネルギーが等間隔となるイエローの階調画像を形成した。また、画像形成後オリンパス社製P−400プリンター専用リボンのオーバーコートを熱転写した。なお、印画条件は以下の通りとした。
印字条件
サーマルヘッド:F3598(東芝ホクト電子株式会社製)
発熱体平均抵抗値:5176(Ω)
主走査方向印字密度:300dpi
副走査方向印字密度:300dpi
印字電力:0.12(W/dot)
1ライン周期:2(msec.)
パルスDuty:85%
印字開始温度:35.5(℃)
<印画物の評価>
上記のようにして得られた各階調のイエロー画像のなかで最も高いエネルギーを与えて印画した箇所について、マクベス反射濃度計(RD−918、サカタインクス株式会社製)を用いて、反射濃度を測定した。また、分光光度計(GretagMacbeth Spectrolino、グレタグ社製)を用いて、白色基準を絶対値とし、D50光源、観測視野2°を濃度標準として、色度値L、aおよびbを測定した(L、aおよびbは、CIE1976L表色系に基づくものであり、Lは明度を、a及びbは、知覚色度指数を表す)。次いで、得られた画像をキセノンウェザオメター(アトラス社製、Ci4000:ブラックパネル温度45℃、フィルター:内側:CIRA、外側:ソーダライム、試験機内30℃、30%、照射制御420nmの紫外線を1.2W/mに固定)にて24時間照射(100kJ)を行い、照射前後の濃度変化(耐光性残存率(%)=試験後濃度/初期濃度×100)を求めた。ΔEabは、照射前OD=1付近のΔEab=((照射後L−照射前L+(照射後a−照射前a+(照射後b−照射前b1/2により確認した。なお、側色条件は以下の通りとした。
測色条件
測色器:分光測定器SpectroLino(Gretag Macbeth社製)
光源:D65
視野角:2°
濃度測定用フィルター:ANSI Status A
得られた最大感度および耐光性残存率(照射前OD=1付近)は下記表1に示される通りであった。
Figure 0005812409

Claims (6)

  1. 下記式(I)で表される、チオフェンメチン化合物:
    Figure 0005812409
    (式中、
    およびRは、それぞれ独立して、C1〜C4のアルキル基を表し、
    は、水素原子またはハロゲン原子を表し、
    は、C1〜C4のアルキル基を表す。)。
  2. 前記RおよびRがいずれもC1またはC2のアルキル基である、請求項1に記載のチオフェンメチン化合物。
  3. 前記Rが水素原子または臭素原子である、請求項1または2に記載のチオフェンメチン化合物。
  4. 前記Rがエチル基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のチオフェンメチン化合物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のチオフェンメチン化合物からなる感熱転写記録用色素。
  6. イエロー染料層とマゼンタ染料層とシアン染料層とを少なくとも含んでなる熱転写シートであって、
    前記イエロー染料層、マゼンタ染料層およびシアン染料層の各層は、基材上に、染料色素とバインダー樹脂とを含んでなる染料層が設けられたものであり、イエロー染料色素が請求項5に記載の色素である、熱転写シート。
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