JP4386875B2 - 熱転写シート - Google Patents
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Description
一方、キノフタロン系染料は、鮮明性及び諸堅牢性に優れ、特に発色濃度及び耐光性に優れており、従来より熱転写シートに使用されている。しかしながら、従来のキノフタロン染料は、染料インキ中の溶剤への溶解性が低いので、更なる感度向上を目的として熱転写シートの染料層における染料/樹脂(Dye/Binder)比を大きくしようとした場合、常温で析出するので多量に添加できず、染料/樹脂比を上げにくい。
で表されるキノフタロン化合物を含むことを特徴とする熱転写シートである。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の熱転写シートは、該染料担持層として、後述のキノフタロン化合物又はその混合物を含有するものを少なくとも1つ有していれば、それ以外の構成は従来公知の熱転写シートの構成と同様でよい。
上記染料担持層は、例えば、図1に示すように、基材シートの片面に単一の染料担持層を設けたもの(実施形態5)であってもよいし、同一基材シート上にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等、複数の染料担持層を面順次に繰り返し設けたもの(実施形態3)であってもよいし、1つまたは複数の染料担持層並びに転写性保護層積層体及び/又は熱溶融性インキ層を面順次に設けたもの(実施形態1,2及び4)であってもよい。
上記染料担持層は、染料をバインダーにより担持してなる層である。
本発明の熱転写シートは、上記一般式(1)で表されるキノフタロン化合物をイエロー染料として含む層を少なくとも1つ有するものであれば、同一基材シート上に複数の染料担持層を有する場合は所望の染料を含有する層を1種のみ有するものであってもよいし、所望の染料を含有する層を2種以上有するものであってもよい。
上記R1が含むエーテル結合としての酸素の数は、好ましくは2〜5個、より好ましくは2〜4個である。
上記R1としては、好ましくは総炭素数3〜16、より好ましくは総炭素数4〜14の直鎖、分岐又は環状アルキル基であり、とりわけ下記一般式(2):
上記R6及びR7は、それぞれ独立して、好ましくは水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は、総炭素数2〜6のアルコキシアルキル基である。
上記R2が炭素数1〜8のアルキル基であるものの具体例としては、メチル基、エチル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、neo−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2−メチルペンチル基、n−へプチル基、イソヘプチル基、tert−へプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルへキシル基等が挙げられる。
上記R2としては、好ましくは水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり、より好ましくは水素原子、イソプロピル基、イソブチル基又はt−ブチル基である。
上記R3及びR4がハロゲン原子であるものの例として、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられるが、塩素、臭素がより好ましい。
R3及びR4が炭素数1〜8のアルキル基であるものの例としては、上記R2が炭素数1〜8のアルキル基である例と同様の例が挙げられるが、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
上記R3とR4とが結合してR3、R4が置換する位置の炭素原子とともに形成される芳香環であるものとしては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられるが、ベンゼン環がより好ましい。
上記一般式(1)のキノフタロン化合物において、R3及びR4は、好ましくは水素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は、R3とR4が結合してR3、R4が置換する位置の炭素原子とともに形成されたベンゼン環若しくはナフタレン環であり、より好ましくは水素原子又はR3とR4が結合してR3、R4が置換する位置の炭素原子とともに形成されたベンゼン環である。
上記一般式(1)で表されるキノフタロン化合物の製造方法を以下に説明する。
該キノフタロン化合物の代表的な製造方法としては、下記一般式(3):
の化合物1モル量に対して、有機溶媒中、アルカリ化合物の存在下、下記一般式(4):
HS−R1 (4)
(式中、R1は、上記一般式(1)におけるものと同じものを表す。)
の化合物を1〜8モル量、好ましくは1〜4モル量用いて、20〜120℃、好ましくは80〜100℃で1〜48時間、好ましくは4〜24時間反応する。
該有機溶媒の使用量は、種類によって異なるが、例えばDMIの場合、上記一般式(3)の化合物1モルに対して重量比2〜50倍、好ましくは5〜20倍である。
上記一般式(3)の化合物と、下記一般式(5):
HS−R8 (5)
(式中、R8は2個の水酸基を有するアルキル基を表す。)
の化合物を上記と同様な反応条件の下で反応させて、下記一般式(6):
で表される中間体としてのキノフタロン化合物を製造する。
次いで、上記一般式(6)の化合物と下記一般式(7):
上記還流に使用する有機溶媒としては、上記一般式(3)の化合物と上記一般式(4)の化合物との反応に使用したものと同様のものを用いることができる。
上記還流を行う時間は、6〜72時間、好ましくは12〜48時間であり、反応温度は使用する有機溶媒の種類にもよるが、一般に100〜115℃が好ましい。
上記還流終了後、反応液を上記した後処理法と同様の操作を行って、目的とする一般式(1)のキノフタロン化合物を得ることができる。
化合物が上記一般式(1)以外の構造を有する染料としては、例えば、ジアリールメタン系色素;トリアリールメタン系色素;チアゾール系色素;ベンゾチアゾール系色素;メロシアニン系色素;ピラゾロンメチン等のメチン系色素;インドアニリン系色素;アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系色素;ピリドンアゾ系色素;キサンテン系色素;オキサジン系色素;ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノスチレン系色素;ジシアノスチリル系色素;チアジン系色素;アジン系色素;アクリジン系色素;ベンゼンアゾ系色素;ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等のアゾ系色素;複素環アゾ系色素;スピロピラン系色素;インドリノスピロピラン系色素;フルオラン系色素;ローダミンラクタム系色素;ナフトラクタム系色素;ナフトキノン系色素;アントラキノン系色素;トリシアノスチリル系色素;ピラゾロトリアゾール系色素;インドフェノール系色素;シアノメチレン系色素;上記一般式(1)以外のキノフタロン系色素;等が挙げられる。
上記離型性グラフトコポリマーは、一般に、ポリシロキサンセグメント、フッ化炭素セグメント、フッ化炭化水素セグメント及び長鎖アルキルセグメントからなる群より選択された少なくとも1種の離型性セグメントを上述のバインダー樹脂のポリマー主鎖にグラフト重合させてなるものである。
これらのうち、特に好ましいのはポリビニルアセタール樹脂からなるポリマー主鎖にポリシロキサンセグメントをグラフトさせて得られたグラフトコポリマーである。
該添加剤として、例えば、受像シートとの離型性やインキの塗工適性を向上させるために添加するポリエチレンワックス等の有機微粒子、無機微粒子、燐酸エステル、シリコーンオイル等の離型剤が挙げられる。
上記一般式(1)の化合物は、トルエン、メチルエチルケトン、乳酸メチル等、染料担持層塗工液に汎用される有機溶剤の種類を問わず溶解性が高いので、熱転写シートの染料として使用する場合、高い染料/樹脂比の染料担持層にすることができる。この点、本発明の熱転写シートは、上記一般式(1)のキノフタロン化合物を染料として用いることにより、染料/樹脂比が高い染料担持層を有するので、転写時の感度が良く、発色濃度にも優れている。
上記塗工液は、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の手段を用いて塗工することができる。
本発明において、上記染料担持層は、乾燥後塗布量を一般に0.2〜6.0g/m2、好ましくは0.3〜3.0g/m2程度とすることができる。
本発明の熱転写シートにおける基材シートとしては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであれば何れのものでもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。
上記基材シートは、一般に0.5〜50μm、好ましくは1〜10μm程度の厚みを有する。
上記基材シートであるプラスチックフィルムはその上に染料担持層を塗布して形成する場合、塗工液の濡れ性、接着性等が不足しやすいので、接着処理を施すことが好ましい。
上記接着処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等、公知の樹脂表面改質技術をそのまま適用することができる。また、それらの処理を二種以上併用することもできる。
上記接着層は、例えば、以下の有機材料及び無機材料から形成することができる。上記有機材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂やポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン及びその変性体等のビニル系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。
上記無機材料としては、シリカ(コロイダルシリカ)、アルミナあるいはアルミナ水和物(アルミナゾル、コロイダルアルミナ、カチオン性アルミニウム酸化物又はその水和物、疑ベークマイト等)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン等のコロイド状無機顔料超微粒子等が挙げられる。
上記接着処理は、基材シート作製時にプラスチックフィルムを延伸処理して使用する際、未延伸フィルムにプライマー液を塗布し、その後に延伸処理をすることで作製することもできる。
本発明の熱転写シートは、例えば図2(b)に示すように、基材シートの染料担持層と反対側の面にサーマルヘッドの熱によるステッキングや印字しわ等の悪影響を防止するため、耐熱滑性層を設けることができる。
上記耐熱滑性層は、一般に、耐熱性樹脂からなるものである。
上記耐熱滑性層を形成する樹脂としては、従来公知のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリオール高分子化合物、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
耐熱活性層の耐熱性を高めるために架橋剤としてポリイソシアネート化合物等を併用し架橋樹脂層とすることが望ましい。
上記滑り性付与剤としては、リン酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体が挙げられる。上記滑り性付与剤は、上記耐熱性樹脂に配合せずに耐熱滑性層に上塗りしてもよい。
上記耐熱滑性層は、更に固形あるいは液状の充填剤を添加することがより好ましい。
上記耐熱滑性層としては、耐熱性樹脂としてポリアルコール高分子化合物を含有し、上記滑り性付与剤として及びリン酸エステル系化合物を含有する層が好ましい。
厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム〔PET〕に下記耐熱滑性層液を1.0g/m2(乾燥後塗布量)を塗布し乾燥させて耐熱滑性層を形成し、該PETの耐熱滑性層と反対側の面に、下記組成の染料担持層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥後塗布量が0.7g/m2になるように塗布し、80℃で2分間乾燥して染料担持層を形成した。
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBX−1、積水化学工業(株)製) 13.6部
ポリイソシアネート硬化剤(タケネートD218、武田薬品工業(株)製) 0.6部
リン酸エステル(プライサーフA208S、第一工業製薬(株)製) 0.8部
メチルエチルケトン〔MEK〕 2.5部
トルエン 42.5部
染料(表2に示すもの) 3.0部
ポリビニルアセタール樹脂(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製) 3.5部
MEK 6.75部
トルエン 46.75部
染料担持層塗工液を下記のものに変える以外は実施例1と同様である
<染料担持層塗工液>
染料(表2に示すもの) 6.0部
ポリビニルアセタール樹脂(エスレックKS−5 積水化学工業(株)製) 3.5部
MEK 5.25部
トルエン 45.25部
染料担持層塗工液における染料の種類を後述の表2のものに代える以外は、実施例1と同様にして熱転写シートを作製した。
なお、比較例1に使用した化合物(A)は、特開2000−229945号公報(実施例1)記載の方法に基づき調製したものであり、比較例2に使用した化合物(B)は、特開平5−229268号公報(実施例11)記載の方法に基づき調製したものである。化合物(A)及び化合物(B)の構造を下記に示す。
各実施例及び各比較例に使用した染料並びに各実施例及び各比較例から得られた熱転写シートについて、以下の試験を行った。
トルエン/MEK=1/1(質量比)に、各染料を3w/v%の量となるよう添加し、50℃にて加熱攪拌し完全に溶解させた。得られた液を25℃にて60時間放置した後、染料析出の有無を目視で判断し、溶解性を決定した。
(評価基準)
○: 析出無し
×: 析出有
被転写体としてオリンパス(株)製、デジタルカラープリンタ P−400専用A4サイズスタンダードペーパーを用いた。
各熱転写シートの染料担持層と染料受容面とを対向させて重ね合せ熱転写シートの裏面からヘッド引加エネルギー0.2mJ/dotの条件にてサーマルヘッドにて熱転写記録を行い、更に保護層としてオリンパス(株)製、デジタルカラープリンタ P−400専用インクリボンパックの保護層を0.15mJ/dotにて転写して、後述の濃度色相と同条件にて発色濃度を測定した。
(評価基準)
◎:発色濃度が2.0超
○:発色濃度が2.0以下、1.5超
△:発色濃度が1.5以下、1.0超
×:発色濃度が1.0以下
上記熱転写記録テストで得られた印画物をキセノンウェザオメター(アトラス社製、Ci4000:ブラックパネル温度45℃、フィルターCIRA,ソーダライム)にて96時間照射を行い、照射前後の色相変化(照射前OD=1のΔE*ab=((照射後L*−照射前L*)2+(照射後a*−照射前a*)2+(照射後b*−照射前b*)2)1/2;式中L*,a*,b*は、CIE1976L*a*b*表色系(JISZ8729−(1980))に基づく)。
(評価基準)
◎:ΔE*abが4以下
○:ΔE*abが4以上、7未満
△:ΔE*abが7以上、10未満
×:ΔE*abが10以上
上記濃度、色相の測定にはグレタグマクベス社製分光測定器SpectroLinoを用いて測定した(測定条件、濃度:ANSI Status A、色相:光源D65、視野角2°)。
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JP2005289439A JP4386875B2 (ja) | 2005-09-30 | 2005-09-30 | 熱転写シート |
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JP2007098694A JP2007098694A (ja) | 2007-04-19 |
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