JP2006281446A - 熱転写受像シート及び熱転写記録材料 - Google Patents

熱転写受像シート及び熱転写記録材料 Download PDF

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Abstract

【課題】熱転写の印字速度の高速化に対応して、十分な印字濃度が得られ、熱転写シートの染料層と熱転写受像シートの受容層とが融着することがなく、また熱転写シートの染料層から染料を、熱転写受像シートの受容層に転写して得られる印画物の耐光性等の耐久性が良好である昇華転写型熱転写受像シート及び該熱転写受像シートと熱転写シートの組み合わせからなる熱転写記録材料を提供する。
【解決手段】基材の少なくとも一方の面に染料受容層を備えた昇華転写型熱転写受像シートで、該受容層に変性ポリビニルアセタール樹脂を含有させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、基材上に染料受容層を設けた昇華転写型熱転写受像シートと、またその熱転写受像シートと、基材シート上に染料層を設けた昇華転写型熱転写シートとの組み合わせである熱転写記録材料に関し、特に熱転写の印字速度の高速化に対応し、十分な印字濃度が得られ、熱転写シートの染料層と熱転写受像シートの受容層とが融着することがなく、また染料層から染料を受容層に転写して得られる印画物の耐光性等の耐久性が良好である熱転写受像シート及び熱転写記録材料に関するものである。
従来、種々の熱転写方法が公知であるが、それらの中で昇華性染料を記録材とし、これを紙やプラスチックフィルム等の基材シートに担持させて熱転写シートとし、昇華性染料で染着可能な熱転写受像シート、例えば紙やプラスチックフィルムの表面に染料受容層を設けた熱転写受像シート上に各種のフルカラー画像を形成する方法が提案されている。この方法は昇華性染料を色材としている為、濃度階調を自由に調節ができ、原稿のフルカラー画像が表現できる。また、染料により形成された画像は非常に鮮明で、かつ透明性に優れているため、中間色の再現性や階調再現性に優れ、銀塩写真に匹敵する高品質の画像を形成することが可能である。
近年、熱転写プリンターの印字速度の高速化が進むにしたがって、従来の熱転写記録材料では、十分な印字濃度が得られないという問題が生じてきた。それに対し、例えば、熱転写シートの染料層における染料/樹脂(Dye/Binder)の比率を大きくすることを行ったが、巻き取り保管中に熱転写シートの裏面側の耐熱滑性層へ染料が移行し、その移行した染料が巻き返した時に、他の色の染料層や転写性保護層等へ再転移し(キックバック)、この汚染された層を受像シートへ熱転写すると、指定された色と異なる色相になったり、いわゆる地汚れが生じたりする。また、画像形成時の熱転写の際、高エネルギーをかけることを行ったが、染料層と受容層とが融着し、いわゆる異常転写が起こる。その異常転写を防止するため、受容層に多量の離型剤を添加すると、印字感度が低下し印字濃度が下がってくる。
特許文献1には、アラルキル基あるいはアリール基含有ビニル基を有するポリビニルアセタール系樹脂を、熱転写受像シートの受容層の主成分とすることにより、印字における高濃度の記録ができ、耐光性、定着性など保存安定性が良好な記録物が得られることが示されている。また、特許文献2には、活性水素を有する樹脂、シリコーン樹脂、イソシアネート基と反応する官能基を有する変性シリコーンオイル、及び、多官能イソシアネート化合物を含有する組成物を熱硬化させた受像層を有する熱転写受像シートが記載され、その活性水素を有する樹脂としてポリビニルアセタール系樹脂が用いられ、高濃度の記録ができ、染料層と受像層の融着が起こらないことが示されている。
しかし、上記のようなポリビニルアセタール系樹脂では、残存する水酸基の影響などにより、熱転写受像シートの高温、多湿環境下(50℃、80%RH)における保存性、言い換えれば耐湿性に劣るなどの課題があった。また、これまでポリビニルアセタール系樹脂だけでは、熱転写時の転写の感度向上は得られなかった。その転写感度を向上させるためには、可塑剤を添加するなど、塗工膜の軟化点を下げることなどを行っていた。しかし、軟化点を下げることにより、耐熱性が低下して、熱転写受像シート同士を積み重ねて保存中に、受容層面と相対する裏面層とがブロッキングするなどの課題が見受けられたり、異常転写(熱転写シートと熱融着)するなどといった課題があった。
特開平03−162989号公報 特開平03−227690号公報
したがって、本発明は、熱転写の印字速度の高速化に対応して、十分な印字濃度が得られ、熱転写シートの染料層と熱転写受像シートの受容層とが融着することがなく、また熱転写シートの染料層から染料を、熱転写受像シートの受容層に転写して得られる印画物の耐光性等の耐久性が良好である昇華転写型熱転写受像シート及び該熱転写受像シートと熱転写シートの組み合わせからなる熱転写記録材料を提供することを目的とするものである。
本発明は、請求項1として、基材の少なくとも一方の面に染料受容層を備えた昇華転写型熱転写受像シートにおいて、該受容層が下記の構造式で示される変性ポリビニルアセタール樹脂を含有することを特徴とする。
Figure 2006281446
(式中、Xは水素原子又はアセチル基を表し、Yは、ウレタン基(−OCONHR´、R´は有機基)を有する基である。式中lとmとnは、各構造単位のモル%を表し、50<l<85、10<m<50、0<n<30の範囲である。)
請求項2としては、請求項1に記載の受容層の変性ポリビニルアセタール樹脂が、受容層のバインダー樹脂全体に対し、50モル%以上を含むことを特徴とする。請求項3として、請求項1または2に記載の受容層は、さらに離型剤を含むことを特徴とする。
また、本発明は、請求項4として、請求項1〜3のいずれか一つに記載の熱転写受像シートと、基材シートの少なくとも一方の面に染料層を備えた昇華転写型熱転写シートとからなり、前記染料層と受容層とを重ね合わせ、加熱手段により前記染料層中の染料を前記受容層に転写可能な熱転写記録材料において、熱転写シートの染料層がビスフェノール骨格を有するポリエステル系樹脂を含有することを特徴とする。請求項5として、請求項4に記載の染料層は、さらに離型剤を含むことを特徴とする。
本発明の昇華転写型熱転写受像シートは、基材の少なくとも一方の面に染料受容層を備えた構成において、該受容層が上記の構造式で示される特定の変性ポリビニルアセタール樹脂を含有することを特徴としたことにより、従来の熱転写受像シートの受容層のポリビニルアセタール系樹脂では、残存する水酸基の影響などにより、耐湿性に劣る欠点に対して、樹脂中の水酸基を減らす為に、水酸基と反応する結合(ウレタン結合)を利用して、水酸基を減らした変性ポリビニルアセタール樹脂を用いることで、耐湿性を向上させた。また、上記の変性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基と反応する結合を利用して、塗膜の軟化点を下げる効果のあるモノマー種をポリマー中に導入すること(水酸基を他の官能基に変換させたこと)により、ブロッキングなどの課題をクリアすることが出来た。これらのモノマー種を導入することで、塗膜の軟化点を下げることによる効果により、熱転写時の感度の向上も得られた。また、本発明の熱転写記録材料は、上記の熱転写受像シートと、基材シートの少なくとも一方の面に染料層を備えた熱転写シートを組み合わせたもので、熱転写シートの染料層がビスフェノール骨格を有するポリエステル系樹脂を含有することが好ましい。これにより、熱転写時の熱転写シートの染料層と熱転写受像シートの受容層とが融着することを防止出来た。
本発明の熱転写受像シートの一つの実施形態を図1に示す。図示した熱転写受像シート1は、基材2の一方の面に染料受容層3を設け、基材2の他方の面には裏面層4を設けた構成である。図示したものに限らず、本発明の熱転写受像シートは、基材と染料受容層との間に、必要に応じて帯電防止層、クッション層、白色顔料および蛍光増白剤を添加した中間層や易接着層等の層を形成してもよい。また、裏面層の上に、帯電防止層等の層を形成してもよい。
また本発明の熱転写記録材料の一つの実施形態を図2に示す。図示した熱転写記録材料20は、熱転写シート11と熱転写受像シート1の組み合わせからなるもので、熱転写シート11は基材シート12の一方の面に染料層13を設け、基材シート12の他方の面に耐熱滑性層14を備えている。尚、熱転写受像シート1は、図1で示した構成の熱転写受像シートと同様の構成である。図示したものに限らず、熱転写シートは、基材シートと染料層との間に、必要に応じて易接着層等を設けたり、耐熱滑性層の上に帯電防止層等の層を形成してもよい。
以下に、本発明の熱転写受像シートと、さらに本発明の熱転写記録材料を構成する熱転写シートについて、それぞれの構成する各層の説明を行なう。まず熱転写受像シートから説明していく。
(基材)
熱転写受像シートの基材2は、受容層を保持するという役割を有するとともに、画像形成時に加えられる熱に耐え、取り扱い上支障のない機械的特性を有することが、望ましい。このような基材の材料は特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートが使用でき、特に限定されない。
上記のプラスチックフィルムまたはシートやこれらの合成樹脂に白色顔料や充填剤を加えて成膜した白色フィルム、あるいは基材内部にミクロボイドを有するシート、他にコンデンサーペーパー、グラシン紙、硫酸紙、合成紙(ポリオレフィン系、ポリスチレン系)、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、合成樹脂又はエマルジョン含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、合成樹脂内添紙、セルロース繊維紙等を用いることができる。また、上記の基材の任意の組合わせによる積層体も使用できる。代表的な例として、セルロース繊維紙と合成紙、セルロース繊維紙とプラスチックフィルムとの積層体があげられる。
また、上記の基材の表面及び又は裏面に易接着処理した基材も使用できる。これらの基材の厚みは、通常3〜300μm程度であり、機械的適性等を考慮し、100〜250μmの基材を用いるのが好ましい。また、基材とその上に設ける層との密着性が乏しい場合には、その表面に易接着処理やコロナ放電処理を施すのが好ましい。
(染料受容層)
本発明における昇華転写型熱転写受像シート1の染料受容層3は、基材の少なくとも一方の面に一種類以上の熱可塑性樹脂を含有して設けられ、熱転写シートから移行してくる昇華性染料を受容し、形成された熱転写画像を維持するためのものである。本発明では、熱転写受像シートの染料受容層が、下記の構造式で示される変性ポリビニルアセタール樹脂を含有していることが特徴である。
Figure 2006281446
(式中、Xは水素原子又はアセチル基を表し、Yは、ウレタン基(−OCONHR´、R´は有機基)を有する基である。式中lとmとnは、各構造単位のモル%を表し、50<l<85、10<m<50、0<n<30の範囲である。)
上記の変性ポリビニルアセタール樹脂について、詳しく説明する。アセタール系樹脂は、ポリビニルアルコールをアセタール化することにより得られるが、一般式で表される。ポリビニルアルコール(PVA)をアセタール化する場合、PVAを完全にアセタール化することは困難であり、部分的にアセチル基や水酸基が不可逆的に残存する。本発明では、ビニルアルコール単位の側鎖水酸基を加水分解基を有するイソシアネートにより変性しウレタン基を持った(−OCONHR´)変性ポリビニルアセタール樹脂を受容層において使用する。
その変性される前のポリビニルアセタール樹脂について説明する。ポリビニルアセトアセタール樹脂の場合、アセタール部分のモル%がポリマー全量に対して50%未満であるか、又は該アセタール部分の20モル%を越える量がポリビニルアセトアセタール以外のものである場合は、トルエン、メチルエチルケトンなど、染料をよく溶解する溶媒に対する溶解性が劣り、加工適性(特に塗工適性)に優れない場合がある。したがって、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、50%以上であり、アセタール部分のモル%がポリマー全体に対して、50%以上85%以下が好ましい。また、該アセタール部分の80モル%以上が、ポリビニルアセトアセタール及びポリビニルブチルアセタールであることが望ましい。ポリビニルアルコール(PVA)をアセタール化する場合、PVAを完全にアセタール化することは困難であり、部分的にアセチル基や水酸基が不可逆的に残存する。
上記の変性前のポリビニルアセタール樹脂の場合、バインダー樹脂の溶剤溶解性の改良や、基材との親和性向上(密着性向上)を目的として、これ以外のアルデヒドを用いてもよい。上記樹脂を得る際にアセタール化反応に用いるアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒド、ベンズアルデヒド、1−ナフトアルデヒド、o−トルアルデヒド、p−トルアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、3−フェニルクロロピオンアルデヒドなどが挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。
ポリビニルアセタール樹脂の重合度は、1000以上であれば良く、好ましくは1000〜2500である。重合度が高すぎると、溶液としての粘度が高く、工業的に扱いが困難になるからである。又重合度が1000未満であると、染料層と熱融着(印画時、離型性が悪化)しやすくなり、好ましくない。ポリビニルアセタール樹脂の分子量は、諸特性の向上を目的として、適宜使用することが出来るが、例えば粘度調整、印刷適性の改善などを目的として、重合度の異なるポリビニルアルコールを使用して、アセタール化反応を別々に行って得た樹脂を混合して、また原料の段階で異なる重合度のポリビニルアルコールを混合したものを用いてもよい。
次に、変性ポリビニルアセタール樹脂について説明する。ポリビニルアセタール樹脂中の水酸基の0<水酸基≦1当量をウレタン基に変換したポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂と単官能イソシアネートとの付加反応により得られる。単官能イソシアネートの例としては、エチルイソシアネート、n−プロピルイソシアネート、i−プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、αジメチルベンジルイソシアネート、p−トルエンスルフォニルイソシアネート、2−フロロフェニルイソシアネート、ラウリルイソシアネート、オクチルイソシアネートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの反応には、ジブチル錫ジアセテートなどの錫触媒、トリエチルアミン、エチルアミン、エタノールアミンといったアミン触媒などを用いる。この際の反応温度は80℃〜100℃が好ましい。
本発明では、受容層のバインダー樹脂として、変性ポリビニルアセタール樹脂を使用するものであるが、受容層のバインダー樹脂全体に対し、50モル%以上で変性ポリビニルアセタール樹脂を用いることが望ましい。また、受容層には、変性していないアセタール系樹脂を、必要に応じて添加しても良い。その変性していないアセタール系樹脂は、受容層のバインダー樹脂全体に対し、50モル%未満の範囲で添加しても良い。望ましくは、30モル%以下で添加することが望ましい。
上記のように、本発明では熱転写受像シートの受容層バインダー樹脂として、変性ポリビニルアセタール樹脂を主体に使用するものであり、熱転写時の熱転写シートの染料層と融着しない、つまり異常転写がなく、また得られる印画物の耐光性等の耐久性が良好となる。また、変性していないポリビニルアセタール系樹脂では、残存する水酸基の影響などにより、耐湿性に劣る欠点があるが、本発明で使用する変性ポリビニルアセタール樹脂は、樹脂中の水酸基を減らす為に、水酸基と反応する結合(ウレタン結合)を利用して、水酸基を減らした構造にして、耐湿性を向上させた。また、その変性ポリビニルアセタール樹脂は、水酸基と反応する結合を利用して、塗膜の軟化点を下げる効果のあるモノマー種をポリマー中に導入すること(水酸基を他の官能基に変換させたこと)により、ブロッキングなどを防止することができる。また、これらのモノマー種を導入することで、塗膜の軟化点を下げることによる効果により、熱転写時の感度の向上も図られる。
また、受容層のバインダー樹脂として、変性ポリビニルアセタール樹脂を主体に構成し、補助的にポリ塩化ビニル,ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン化ポリマー,ポリ酢酸ビニル,エチレン酢酸ビニル共重合体,塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体,ポリアクリルエステル,ポリスチレン,ポリスチレンアクリルなどのビニル系樹脂、ポリビニルホルマール,ポリビニルブチラール,ポリビニルアセタールなどのアセタール系樹脂、飽和,不飽和の各種ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロースアセテートなどのセルロース系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等を追加して用いることも可能である。
受容層には、上記のバインダー樹脂に、離型剤を加えることができる。これは、熱転写時に、染料層との融着若しくは印画感度の低下等を防ぐ目的で、離型剤を混合させる。本発明における受容層で用いられる離型剤としては、従来公知の離型剤、例えば、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロン(登録商標)パウダー等の固形ワックス、弗素系、リン酸エステル系の界面活性剤、シリコーン等が、何れも使用可能である。特に好ましい離型剤は変性シリコーンであり、具体的には、
1)変性シリコーンオイル側鎖型、
2)変性シリコーンオイル両末端型、
3)変性シリコーンオイル片末端型、
4)変性シリコーンオイル側鎖両末端型、
5)シリコーングラフトアクリル樹脂、及び
6)メチルフェニルシリコーンオイル等が挙げられる。
変性シリコーンオイルは、反応性シリコーンオイルと非反応性シリコーンオイルとに分けられる。反応性シリコーンオイルとしては、アミノ変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、メタクリル変性、メルカプト変性、フェノール変性、片末端反応性、異種官能基変性等が挙げられる。非反応性シリコーンオイルとしては、ポリエーテル変性、メチルスチリル変性、アルキル変性、高級脂肪酸エステル変性、親水性特殊変性、高級アルコキシ変性、高級脂肪酸変性、フッ素変性等が挙げられる。上記シリコーンオイルの中でも、被膜形成成分と反応性である基を有する種類の反応性シリコーンオイルは、アセタール系樹脂中残基の水酸基と反応して結合してもよく、適宜硬化剤、触媒などを添加して使用することも可能である。
離型剤は1種若しくは2種以上のものが使用される。また、離型剤の添加量は、受容層形成用樹脂100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましい。この添加量の範囲を満たさない場合は、昇華型熱転写シートと熱転写受像シートの受容層との融着若しくは印画感度の低下等の問題が生じる場合がある。受容層はバインダー樹脂と離型剤を含有し、また硬化剤や触媒を添加でき、その他にも、必要に応じて各種の添加剤を加えることができる。受容層の白色度を向上させ転写画像の鮮明度を更に高める目的で、酸化チタン、酸化亜鉛、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、微粉末シリカ等の顔料や充填剤を添加することができる。また、受容層には可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、帯電防止剤など公知の添加剤を必要に応じて加えることができる。
上記にあげたバインダー樹脂と、上記であげた離型剤と必要に応じて添加剤等を任意に添加し、溶剤、希釈剤等で、十分に混練して、受容層塗工液を調整し、これを、上記にあげた基材の上に、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により、塗布し、乾燥して、受容層を形成する。受容層の塗工量は、乾燥時で0.5g/m2〜4.0g/m2であることが好ましい。塗工量が乾燥時で0.5g/m2未満では、染料の定着においてムラが生じたりして、染料受容性が低下し、また塗工量が多すぎても、原材料のムダであり、また乾燥時間が多く必要となり、生産性等が低下する。
本発明の熱転写受像シートは、基材と受容層との間に、必要に応じて帯電防止層、クッション層、白色顔料および蛍光増白剤を添加した中間層や易接着層等の層を形成してもよい。また、基材の受容層形成側と反対側の面上に、帯電防止層、筆記層、裏面層等の層を形成してもよい。
(裏面層)
基材の受容層を設けた面と反対の面に、熱転写受像シートの搬送性の向上や、カール防止などのために、裏面層4を設けることができる。このような機能をもつ裏面層として、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ハロゲン化ポリマー等の樹脂中に、添加剤として、アクリル系フィラー、ポリアミド系フィラー、フッ素系フィラー、ポリエチレンワックス等の有機系フィラー、アミノ酸系粉体や、二酸化珪素や金属酸化物などの無機フィラーを加えたものが使用できる。また裏面層として、上述の樹脂をイソシアネート化合物等の硬化剤により硬化したものを使用することもできる。裏面層は、裏面層塗工液を調整し、上記にあげた受容層の形成手段と同様の方法が適用でき、裏面層の塗工量は、乾燥時で0.5g/m2〜5.0g/m2であることが好ましい。
次に、本発明の熱転写記録材料20における昇華転写型熱転写シート11の構成する各層の説明を行なう。
(基材シート)
本発明で用いる熱転写シートの基材シート12としては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであればいずれのものでも良く、例えば、0.5〜50μm、好ましくは1〜10μm程度の厚さのポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等が挙げられる。
上記基材シートにおいて、染料層を形成する面に、接着処理を施すことがよく行なわれている。上記基材シートのプラスチックフィルムは、その上に染料層を塗布して形成する場合、塗布液の濡れ性、接着性等が不足しやすいので、接着処理を施すものである。その接着処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、オゾン処理、紫外線処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、低温プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等公知の樹脂表面改質技術をそのまま適用することができる。また、それらの処理を二種以上を併用することもできる。上記のプライマー処理は、例えばプラスチックフィルムの溶融押出しの成膜時に、未延伸フィルムにプライマー液を塗布し、その後に延伸処理して行なうことができる。
さらに、上記の基材シートの接着処理として、基材と染料層との間に易接着層を塗工して形成することも可能である。その易接着層は、以下に示すような樹脂から形成することができる。ポリエステル系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン等のビニル系樹脂、ポリビニルアセトアセタールやポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂等が挙げられる。
(染料層)
本発明で使用する昇華転写型熱転写シートは、上記の基材シートの少なくとも一方の面に染料層13を設けたものである。該染料層は1色の単一層で構成したり、あるいは色相の異なる染料を含む複数の染料層を、同一基材シートの同一面に面順次に、繰り返し形成することも可能である。染料層は、熱移行性染料をバインダーにより担持してなる層である。使用する染料としては、熱により、溶融、拡散もしくは昇華移行する染料であって、従来公知の昇華転写型熱転写シートに使用されている染料は、いずれも本発明に使用可能であるが、色相、印字感度、耐光性、保存性、バインダーへの溶解性等を考慮して選択する。
染料としては、例えばジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾール系、メロシアニン、ピラゾロンメチン等のメチン系、インドアニリン、アセトフェノンアゾメチン、ピラゾロアゾメチン、イミダゾルアゾメチン、イミダゾアゾメチン、ピリドンアゾメチンに代表されるアゾメチン系、キサンテン系、オキサジン系、ジシアノスチレン、トリシアノスチレンに代表されるシアノメチレン系、チアジン系、アジン系、アクリジン系、ベンゼンアゾ系、ピリドンアゾ、チオフェンアゾ、イソチアゾールアゾ、ピロールアゾ、ピラールアゾ、イミダゾールアゾ、チアジアゾールアゾ、トリアゾールアゾ、ジズアゾ等のアゾ系、スピロピラン系、インドリノスピロピラン系、フルオラン系、ローダミンラクタム系、ナフトキノン系、アントラキノン系、キノフタロン系等のものが挙げられる。
染料層のバインダーとしては、従来公知の樹脂バインダーがいずれも使用でき、好ましいものを例示すれば、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フェノキシ樹脂等が挙げられる。これらの中で、本発明では、特にビスフェノール骨格を有するポリエステル系樹脂が好ましく用いられる。その理由としては、熱転写受像シートの受容層における変性ポリビニルアセタール樹脂と、熱転写シートの染料層におけるビスフェノール骨格を有するポリエステル系樹脂とは、基本的に相溶性が悪いため、熱転写時に受容層と染料層とが熱融着しづらくなるからである。
上記のビスフェノール骨格を有するポリエステル系樹脂は、変性ポリエステル樹脂であり、アルコール成分として、下記のような変性ポリオール成分を用いて合成される。変性ポリオール成分として、ビスフェノール骨格を有するもので、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールAF、ビスフェノールSが挙げられる。ポリオール成分としては、ビスフェノール骨格を有しないエチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどと、ビスフェノール骨格を有するものとを併用してもよい。尚、変性ポリエステル樹脂の合成の際、各成分は単一でなくても良く、適宜に複数組み合わせても良い。
上記の変性ポリエステル樹脂の製造方法自体は、公知の方法でよく、脱水縮合、エステル交換縮合などの公知の方法でよい。これらの変性ポリエステル樹脂の分子量は、数平均分子量で2000〜60000の範囲が好ましく、更に好ましくは溶解性の観点から、10000〜55000が好ましい。またTgにおいては、60〜100℃であることが好ましい。染料層は上記の変性ポリエステル樹脂の単一種類だけでなく、複数種類の変性ポリエステル樹脂を混合して使用してもよい。また、染料層のバインダー樹脂として、変性ポリエステル樹脂を主体に構成し、補助的にセルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ブチラール系樹脂、フェノキシ樹脂等を追加して用いることも可能である。
染料層には、上記の染料とバインダー樹脂の他に、離型剤を加えることができる。この離型剤を添加することにより、熱転写時の受容層との融着をより防止することができる。その離型剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。シリコーン系界面活性剤とは、疎水性部分がシリコーン樹脂からなり、これの末端及び/又は側鎖に親水性基が導入された水溶性化合物である。シリコーン樹脂には、その代表としてポリ(ジメチル)シロキサンが挙げられ、メチルフェニルジメチルポリシロキサン、テトラメチルテトラフェニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン・ポリメチルフェニルシロキサンコポリマー、ポリメチルシロキサン、テトラメチルポリメチルシロキサン、ポリメチルシロキサン・ポリジメチルシロキサンコポリマーなど、側鎖のメチル基の一部或いは、全てがフェニル基や水素原子等に置換されたものなどが挙げられる。また、このシリコーン樹脂に導入される親水性基としてはポリエーテル基、ポリグリセリン基、ピロリドン基、ベタイン基、硫酸塩基、水酸基、カルボキシル基、リン酸塩基、4級アンモニウム塩基、等が挙げられる。
これらのシリコーン樹脂、親水性基は、適宜組合せて使用することができる。また、界面活性剤の構造に関しても、上記のシリコーン樹脂の末端及び/又は側鎖に親水性基を単に導入するだけでなく、親水性基を導入したポリマーと導入しないポリマーをランダム共重合、ブロック共重合するなどしてコポリマー化する等してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂としてポリジメチルシロキサンを、親水性基として、ポリエーテル基、ポリグリセリン基、又はピロリドン基を導入したシリコーン系界面活性剤が好ましく用いられる。
染料層は、上記染料、バインダー樹脂と、離型剤、その他必要に応じて従来公知と同様な各種の添加剤を加えてもよい。その添加剤として、例えば、受像シートとの離型性やインキの塗工適性を向上させるために、ポリエチレンワックス等の有機微粒子や無機微粒子が挙げられる。このような染料層は、通常、適当な溶剤中に上記染料、バインダー樹脂と、必要に応じて添加剤を加えて、各成分を溶解または分散させて塗工液を調製し、その後、この塗工液を基材の上に塗布、乾燥させて形成することができる。この塗布方法は、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の公知の手段を用いることができる。このように形成された染料層は、0.2〜6.0g/m2、好ましくは0.3〜3.0g/m2程度の乾燥時の塗工量である。
(耐熱滑性層)
本発明で用いる熱転写シートは、基材シートの一方の面に、サーマルヘッドの熱によるステッキングや印字しわ等の悪影響を防止するため、耐熱滑性層14を設けることができる。上記の耐熱滑性層を形成する樹脂としては、従来公知のものであればよく、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂からなる耐熱滑性層に添加あるいは上塗りする滑り性付与剤としては、リン酸エステル、シリコーンオイル、グラファイトパウダー、シリコーン系グラフトポリマー、フッ素系グラフトポリマー、アクリルシリコーングラフトポリマー、アクリルシロキサン、アリールシロキサン等のシリコーン重合体が挙げられるが、好ましくは、ポリオール、例えば、ポリアルコール高分子化合物とポリイソシアネート化合物及びリン酸エステル系化合物からなる層であり、さらに充填剤を添加することがより好ましい。
耐熱滑性層は、基材シートの上に、上記に記載した樹脂、滑り性付与剤、更に充填剤を、適当な溶剤により、溶解又は分散させて、耐熱滑性層塗工液を調整し、これを、例えば、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等の形成手段により塗工し、乾燥して形成することができる。耐熱滑性層の塗工量は、固形分で、0.1g/m2〜3.0g/m2が好ましい。
次に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に詳述する。尚、文中、部又は%とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
まず、熱転写受像シートの受容層で使用する樹脂を、以下の製造例01〜03で示す方法で用意した。
(製造例01)
変性ポリビニルアセタール樹脂の元のアセタール樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂を次に示す方法で製造した。まず5Lのセパラブルフラスコに純水270gを入れ、これにポリビニルアルコール(重合度1700、ケン化度98.8mol%)を220g加えて、完全に溶解させた。次に、この水溶液の液温を20℃に保持し、これに35質量%塩酸650gを加えた後、液温を10℃まで下げ、アセトアルデヒド137gを適宜加えて無色粉末を析出させた。ついで、反応系を30℃に昇温し、3時間加熱恒温保持したのち、水洗中和して触媒及び未反応アルデヒドを除去し、ポリビニルアセトアセタール樹脂(比較例用樹脂)を得た。得られた樹脂をメチルエチルケトンに溶解し、オクタデシルイソシアネートを水酸基に対して1当量を添加した。更にトリエチルアミンを加え、50℃で24時間、加熱撹拌を行った。この溶液を水5Lに注いで再沈殿、精製し、更に水洗、乾燥することにより、変性ポリビニルアセタール樹脂を得た。(変性ポリビニルアセタール樹脂1)
(製造例02)
製造例01で用いたオクタデシルイソシアネートをαジメチルベンジルイソシアネートに替えて用いて、触媒をジブチル錫アセテートに変更した以外は、製造例01と同様にして変性ポリビニルアセタール樹脂2を得た。
(製造例03)
製造例01で用いたオクタデシルイソシアネートを水酸基に対して0.5当量添加した以外は、同様にして変性ポリビニルアセタール樹脂3を得た。
また、熱転写シートの染料層で使用するポリエステル系樹脂を、以下の製造例1〜3で示す方法で用意した。下記の例で示す酸成分とポリオール成分と、触媒として微量の酢酸カルシウム及び三酸化アンチモンとを空気冷却器をつけたクライゼンフラスコ型反応機に入れ、N2雰囲気下で徐々に温度を上げ、約150℃に保ち、この温度で1時間撹拌して反応を行い、その後、反応生成物をパイレックス(登録商標)管に入れて、酸素を完全に遮断し、275℃ 0.1〜0.05mmHgの条件で、2時間縮合反応をさせ、変性ポリエステル樹脂を得た。
(製造例1)
酸成分;
テレフタル酸 70部
イソフタル酸 30部
ポリオール成分;
エチレングリコール 50部
ビスフェノールA 50部
(製造例2)
酸成分;
テレフタル酸 40部
イソフタル酸 30部
セバチン酸 30部
ポリオール成分;
エチレングリコール 40部
ネオペンチルグリコール 40部
ビスフェノールB 20部
(製造例3)(比較例用樹脂)
酸成分;
テレフタル酸 40部
イソフタル酸 30部
セバチン酸 30部
ポリオール成分;
エチレングリコール 50部
ネオペンチルグリコール 50部
前記の製造例01〜03で得た樹脂溶液を用いて、下記5種の受容層塗工液A〜Eを調製した。
(受容層塗工液A)
製造例01の樹脂溶液(固形分基準) 100部
シリコーン:ポリエーテル変性シリコーン 10部
(商品名 KF−615 信越化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1)で希釈して、塗工液の固形分を20%に調整した。
(受容層塗工液B)
製造例02の樹脂溶液(固形分基準) 100部
シリコーン:アクリル変性シリコーン 5部
(商品名 FS−730 日本油脂(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1)で希釈して、塗工液の固形分を20%に調整した。
(受容層塗工液C)
製造例03の樹脂溶液(固形分基準) 100部
シリコーン:メチルスチリル変性シリコーン 8部
(商品名 KF−410 信越化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1)で希釈して、塗工液の固形分を20%に調整した。
(受容層塗工液D)
製造例01の樹脂溶液(固形分基準) 70部
製造例01で変性前のポリビニルアセトアセタール樹脂 30部
シリコーン:アルキル変性シリコーン 10部
(商品名 KF−412 信越化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1)で希釈して、塗工液の固形分を20%に調整した。
(受容層塗工液E)
製造例01で変性前のポリビニルアセトアセタール樹脂 100部
シリコーン:アルキル変性シリコーン 10部
(商品名 KF−412 信越化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1)で希釈して、塗工液の固形分を20%に調整した。
次に、前記の製造例1〜3で得た樹脂溶液を用いて、下記3種の染料層の条件の塗工液を調製した。
(染料層条件<1>)
・イエロー染料層塗工液;
製造例1の樹脂溶液(固形分基準) 4.5部
C.I. Disperse Yellow−231 7部
メチルエチルケトン 45部
トルエン 37部
シクロヘキサノン 5.5部
離型剤(KF615) 1部
・マゼンタ染料層塗工液;
製造例1の樹脂溶液(固形分基準) 5部
C.I. Disperse Violet−26 7部
メチルエチルケトン 45部
トルエン 39部
シクロヘキサノン 3部
離型剤(KF615) 1部
(染料層条件<2>)
イエロー染料層塗工液及びマゼンタ染料層塗工液ともに、上記の染料層条件<1>の組成中で、樹脂溶液が製造例2の樹脂を使用した以外は、同組成とする。
(染料層条件<3>)
イエロー染料層塗工液及びマゼンタ染料層塗工液ともに、上記の染料層条件<1>の組成中で、樹脂溶液が製造例3の樹脂を使用した以外は、同組成とする。
(実験例1)
基材として、コート紙(王子製紙(株)製OKトップコート;127.9g/m2)の表裏に厚さ50μmの白色PET(東レ(株)製ルミラーE63S)をウレタン系接着剤(三井武田ケミカル(株)製タケラックA−969V/タケネートA−5=3/1、塗布量:4g/m2(乾燥後))で貼合した基材を用いた。該基材の一方の面に、上記に用意した受容層塗工液Aをバーコーターにより、塗布量2.0g/m2(乾燥後)となるように塗布、乾燥(120℃、3分)して熱転写受像シートを作製した。
また、基材シートとして、厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)上に、上記に用意した染料層条件<1>のイエロー染料層塗工液とマゼンタ染料層塗工液を40℃に加温し、バーコーターにより、各塗布量1.0g/m2(乾燥後)となるように塗布、乾燥(80℃、5分)して熱転写シートを作製した。尚、上記基材シートの他方の面に、予め下記組成の耐熱滑性層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が1.0g/m2になるように塗布、乾燥して、耐熱滑性層を形成しておいた。
(耐熱滑性層塗工液)
ポリビニルブチラール樹脂 13.6部
(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
ポリイソシアネート硬化剤 0.6部
(タケネートD218 武田薬品工業(株)製)
リン酸エステル 0.8部
(プライサーフA208S 第一工業製薬(株)製)
メチルエチルケトン 42.5部
トルエン 42.5部
(実験例2)
上記の実験例1の熱転写受像シートの作製条件において、受容層塗工液を上記に用意した受容層塗工液Bに変更した以外は、実験例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。また、熱転写シートは実験例1と同じものを使用した。
(実験例3)
上記の実験例1の熱転写受像シートの作製条件において、受容層塗工液を上記に用意した受容層塗工液Cに変更した以外は、実験例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。また、熱転写シートは実験例1と同じものを使用した。
(実験例4)
上記の実験例1の熱転写受像シートの作製条件において、受容層塗工液を上記に用意した受容層塗工液Dに変更した以外は、実験例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。また、熱転写シートは実験例1と同じものを使用した。
(実験例5)
上記の実験例1の熱転写受像シートの作製条件において、受容層塗工液を上記に用意した受容層塗工液Eに変更した以外は、実験例1と同様にして、熱転写受像シートを作製した。また、熱転写シートは実験例1と同じものを使用した。
(実験例6)
上記の実験例1の熱転写シートの作製条件において、イエロー染料層塗工液とマゼンタ染料層塗工液を、上記の染料層条件<2>のものに変更した以外は、実験例1と同様にして、熱転写シートを作製した。また、熱転写受像シートは実験例1と同じものを使用した。
(実験例7)
上記の実験例2の熱転写シートの作製条件において、イエロー染料層塗工液とマゼンタ染料層塗工液を、上記の染料層条件<2>のものに変更した以外は、実験例2と同様にして、熱転写シートを作製した。また、熱転写受像シートは実験例2と同じものを使用した。
(実験例8)
上記の実験例3の熱転写シートの作製条件において、イエロー染料層塗工液とマゼンタ染料層塗工液を、上記の染料層条件<2>のものに変更した以外は、実験例3と同様にして、熱転写シートを作製した。また、熱転写受像シートは実験例3と同じものを使用した。
(実験例9)
上記の実験例4の熱転写シートの作製条件において、イエロー染料層塗工液とマゼンタ染料層塗工液を、上記の染料層条件<2>のものに変更した以外は、実験例4と同様にして、熱転写シートを作製した。また、熱転写受像シートは実験例4と同じものを使用した。
(実験例10)
上記の実験例5の熱転写シートの作製条件において、イエロー染料層塗工液とマゼンタ染料層塗工液を、上記の染料層条件<2>のものに変更した以外は、実験例5と同様にして、熱転写シートを作製した。また、熱転写受像シートは実験例5と同じものを使用した。
(実験例11)
上記の実験例1の熱転写シートの作製条件において、イエロー染料層塗工液とマゼンタ染料層塗工液を、上記の染料層条件<3>のものに変更した以外は、実験例1と同様にして、熱転写シートを作製した。また、熱転写受像シートは実験例1と同じものを使用した。
(実験例12)
上記の実験例2の熱転写シートの作製条件において、イエロー染料層塗工液とマゼンタ染料層塗工液を、上記の染料層条件<3>のものに変更した以外は、実験例2と同様にして、熱転写シートを作製した。また、熱転写受像シートは実験例2と同じものを使用した。
(実験例13)
上記の実験例3の熱転写シートの作製条件において、イエロー染料層塗工液とマゼンタ染料層塗工液を、上記の染料層条件<3>のものに変更した以外は、実験例3と同様にして、熱転写シートを作製した。また、熱転写受像シートは実験例3と同じものを使用した。
(実験例14)
上記の実験例4の熱転写シートの作製条件において、イエロー染料層塗工液とマゼンタ染料層塗工液を、上記の染料層条件<3>のものに変更した以外は、実験例4と同様にして、熱転写シートを作製した。また、熱転写受像シートは実験例4と同じものを使用した。
(実験例15)
上記の実験例5の熱転写シートの作製条件において、イエロー染料層塗工液とマゼンタ染料層塗工液を、上記の染料層条件<3>のものに変更した以外は、実験例5と同様にして、熱転写シートを作製した。また、熱転写受像シートは実験例5と同じものを使用した。
(評価)
次に、下記のようにして、上記の各実験例で作製した熱転写シートと熱転写受像シートとを組み合わせの条件は、各実験例で示した通りとして、印字濃度と離型性を以下の方法で調査した。
<印字濃度>
各熱転写受像シートを室内放置の条件のもので用意し、各実験例に対応する熱転写シートと組み合わせて、染料層と受容層とを重ね合わせて、下記の条件にて印画を行い、マクベス反射濃度計RD−918にて、印画物の反射濃度である印字濃度を測定した。
<色差(ΔEab)>
各熱転写受像シートを室内放置の条件のものと、温度40℃、湿度90%RHの環境下に96時間保存したものの2種類を用意し、各実験例に対応する熱転写シートと組み合わせて、染料層と受容層とを重ね合わせて、下記の条件にて印画を行い、Gretag Macbeth社製 Spectrolino(D65光源、ANSI StatusA フィルター使用)にて印画物の色差(ΔEab)を測定した。
但し、ΔEabは下記の条件にて算出した。国際照明委員会(CIE)のL***表色系での色相、彩度に関係する量として、a、bがあり、ΔEab=((Δa*2
(Δb*21/2により算出した。但し、上記の保存前の印画物における表面色L*
**をL1 *,a1 *,b1 *とし、保存後の印画物における表面色L***をL2 *,a2 *,b2 *として、Δa*=a2 *−a1 *、Δb*=b2 *−b1 *である
。したがって、上記の印字濃度は熱転写受像シートの高温高湿保存前の測定値であり、色差(ΔEab)は、熱転写受像シートの高温高湿保存前と保存後のもので用意して、印画した印画物の色差を測定し、保存による色相変化(色差)を調べたものである。
(印画条件)
発熱体平均抵抗値;5179(Ω)
主走査方向印字密度;300dpi
副走査方向印字密度;300dpi
印加電圧;24(V)
1ライン周期;2(msec.)
印字開始温度;40(℃)
印加パルス(階調制御方法);1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長をもつ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を70%に固定し、ライン周期当たりのパルス数を0から255個を15分割した。これにより、15段階に異なるエネルギーを与えることができる。上記の印画条件は、電圧を落として、なるべく受容層が熱負けしない電圧で、印字可能な速度で行った。
上記の各実験例における印画物について、240階調目(シャドウ部)の反射濃度を測定した。
<離型性>
上記の印加電圧24Vの場合の印画条件において、各実験例における熱転写シートの染料層と熱転写受像シートの受容層とを重ね合わせて、印画した時の熱転写受像シートと熱転写シートとが熱融着がないか、手で剥がす際に問題がないか、離型性を調べた。評価の基準は以下の通りである。
○:引き剥す際に、ほとんど抵抗を感じず、また、熱転写受像シートと熱転写シートの熱融着に起因する問題もない。
△:引き剥す際に、若干の抵抗があるが、熱融着に起因する問題はない。
×:熱融着しており、引き剥しが困難である。
上記の実験例1〜5で用意した熱転写記録材料については、印画条件を下記の条件に変更して、耐光性、耐熱性、耐湿性、耐ブロッキング性の信頼性試験の評価を行った。
(印画条件)
発熱体平均抵抗値;5179(Ω)
主走査方向印字密度;300dpi
副走査方向印字密度;300dpi
印加電圧;32(V)
1ライン周期;1(msec.)
印字開始温度;40(℃)
印加パルス(階調制御方法);1ライン周期中に、1ライン周期を256に等分割したパルス長をもつ分割パルスの数を0から255個まで可変できるマルチパルス方式のテストプリンターを用い、各分割パルスのDuty比を90%に固定し、ライン周期当たりのパルス数を0から255個を15分割した。これにより、15段階に異なるエネルギーを与えることができる。上記の印画条件は、高速印画の場合を想定したものである。
上記の耐光性、耐熱性、耐湿性、耐ブロッキング性の信頼性試験の評価は、以下の方法にて、調べた。
<耐光性>
上記の印加電圧32Vの場合の印画条件で得られた印画物について、下記条件のキセノンフェードメーターにより耐光性の評価を行った。
(耐光性評価の条件)
・照射試験器:アトラス社製Ci35
・光源:キセノンランプ
・フィルター:内側=IRフィルター
外側=ソーダライムガラス
・ブラックパネル温度:45(℃)
・照射強度:1.2(W/m2)―420(nm)での測定値
・照射エネルギー:400(kJ/m2)―420(nm)での積算値
次に、上記の耐光性条件の照射前後において、照射前の光学反射濃度が1.0近傍のステップについて、下記式により残存率を算出し、この残存率を基に下記評価基準で耐光性を評価した。
残存率(%)=(照射後の光学反射濃度/照射前の光学反射濃度)×100
(評価基準)
○:残存率が80%以上で耐光性が良好である。
△:残存率が60%〜70%であり、耐光性がやや劣る。
<耐熱性>
上記の印加電圧32Vの場合の印画条件で得られた印画物について、60℃の環境下に1週間放置後、印画物の状態を観察した。その評価の判断基準は以下の通りである。
○:印画部に滲み等の不良が見当たらなく、良好である。
△:印画部に滲みが少し見られ、耐熱性がやや劣る。
<耐湿性>
上記の印加電圧32Vの場合の印画条件で得られた印画物について、50℃、80%RHの環境下に100時間放置後、印画物の状態を観察した。その評価の判断基準は以下の通りである。
○:印画部に滲み等の不良が見当たらなく、良好である。
△:印画部に滲みが少し見られ、耐湿性がやや劣る。
×:印画部に滲みが見られ、耐湿性が劣る。
<耐ブロッキング性>
上記の印加電圧32Vの場合の印画条件で得られた印画物について、各実験例の印画物同士で、画像形成された受像面と、もう一方の印画物の裏面とを対向させて重ね合わせ、これを厚さ150μmの合成紙(王子油化(株)製 ユポFPG#150)にて挟持した状態で20kg/cm2の荷重をかけて60℃のオーブンに48時間放置後、重ね合わせていた受像面と裏面を剥して、下記の評価の基準で耐ブロッキング性を調べた。
○:ブロッキングしていない。
△:一部分で、ブロッキングしている。
上記の実験例1〜15における印字濃度と離型性の評価結果は下記の表1の通りである。但し、表1で示した結果は、イエロー染料層で調べた結果であり、またマゼンタ染料層で調べた結果については、同様の傾向が見られる。(表3参照)
Figure 2006281446
上記に示した表1において、実験例11〜15においては、染料層の条件が、ビスフェノール骨格を有するポリエステル系樹脂を含有しないものであり、印画した時の熱転写受像シートと熱転写シートとが熱融着するまでは至らないが、両者を引き剥す際に、少し抵抗があった。さらに、熱転写受像シートを高温高湿(50℃、80%)に保存した後の条件で、色差(ΔEab)に関し、実験例5、10、15が、変性ポリビニルアセタール樹脂を含有しないものでは、ΔEabが4以上で大きく、色相や彩度が保存前後で大きく変化していることが判る。また、実験例5、10、15は、上記の保存前でも、印字濃度の低下が見られる。尚、実験例1〜4、6〜9、11〜14は、上記の色差(ΔEab)が全て3以下であり、印画物の色相や彩度が熱転写受像シートの高温高湿の保存前後で、あまり変化していないものである。
上記の実験例1〜5における耐光性、耐熱性、耐湿性、耐ブロッキング性の信頼性試験の評価結果は下記の表2の通りである。但し、表2で示した結果は、上記の染料層条件<1>のもので、マゼンタ染料層を用いて印画した場合であるが、イエロー染料層を用いて印画した場合でも、また染料層条件<2>及び<3>のものでも、同様の傾向が見られる。(表3参照)
Figure 2006281446
Figure 2006281446
上記に示した表2において、実験例5においては、受容層の条件において、変性ポリビニルアセタール樹脂を含有していなく、耐湿性の評価において、印画部に滲みが見られ、不良となる結果であった。
また、上記の実験例の受容層で使用した変性ポリビニルアセタール樹脂1と変性ポリビニルアセタール樹脂2、及び出発原料である変性していないポリビニルアセトアセタール樹脂の計3種の樹脂の粘弾性として、軟化点の測定を以下の方法にて行った。
(軟化点測定の条件)
測定機器;剛体振り子型表面物性試験機(A&D社製 RPT3000W)
昇温速度;3℃/min
測定した結果を、横軸に温度(℃)、縦軸に対数減衰率をとって、グラフにしたものが、図3である。対数減衰率のピーク温度が、測定した樹脂の軟化点を示すものであり、グラフから出発原料は、約120℃にピークが見られる。また変性ポリビニルアセタール樹脂1は、約40℃と約100℃にピークが見られ、変性ポリビニルアセタール樹脂2は、約100℃にピークが見られる。このように、変性ポリビニルアセタール樹脂1、2は、出発原料に比べて、軟化点のピークが低温側にシフトしていることを確認できる。
本発明の熱転写受像シートの一つの実施形態を示す概略図である。 本発明の熱転写記録材料の一つの実施形態を示す概略図である。 横軸に温度(℃)、縦軸に対数減衰率をとって、軟化点の測定用にグラフにしたものである。
符号の説明
1 熱転写受像シート
2 基材
3 染料受容層
4 裏面層
11 熱転写シート
12 基材シート
13 染料層
14 耐熱滑性層
20 熱転写記録材料

Claims (5)

  1. 基材の少なくとも一方の面に染料受容層を備えた昇華転写型熱転写受像シートにおいて、該受容層が下記の構造式で示される変性ポリビニルアセタール樹脂を含有することを特徴とする熱転写受像シート。
    Figure 2006281446
    (式中、Xは水素原子又はアセチル基を表し、Yは、ウレタン基(−OCONHR´、R´は有機基)を有する基である。式中lとmとnは、各構造単位のモル%を表し、50<l<85、10<m<50、0<n<30の範囲である。)
  2. 前記の受容層の変性ポリビニルアセタール樹脂が、受容層のバインダー樹脂全体に対し、50モル%以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱転写受像シート。
  3. 前記の受容層は、さらに離型剤を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の熱転写受像シート。
  4. 請求項1〜3のいずれか一つに記載の熱転写受像シートと、基材シートの少なくとも一方の面に染料層を備えた昇華転写型熱転写シートとからなり、前記染料層と受容層とを重ね合わせ、加熱手段により前記染料層中の染料を前記受容層に転写可能な熱転写記録材料において、熱転写シートの染料層がビスフェノール骨格を有するポリエステル系樹脂を含有することを特徴とする熱転写記録材料。
  5. 前記の染料層は、さらに離型剤を含むことを特徴とする請求項4に記載の熱転写記録材料。
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