JP5704447B2 - 熱転写シート - Google Patents
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Description
前記イエロー染料層、マゼンタ染料層およびシアン染料層の各層は、基材上に、染料色素とバインダー樹脂とを含んでなる染料層が設けられたものであり、
前記イエロー染料は、下記式(Y-I)で表される化合物からなる染料色素を含んでなり、
R1およびR2は、それぞれ独立して、C1〜C4のアルキル基を表し、
R3は、水素原子または分岐を有していてもよいC1〜C8のアルキル基を表し、
R4は、C1〜C4のアルキル基を表す。)
前記マゼンタ染料は、下記式(M-I)で表される化合物、下記式(M-II)で表される化合物、および下記式(M-III)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の染料色素を含んでなり、
環Aは、置換基を有しても良いピリジン環を表し、
R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子、置換されても良いアルキル基、アリル基、置換されても良いアリール基または置換されても良いシクロアルキル基を表し、
R7は、置換されても良いアルキル基または置換されても良いアリール基を表し、
R8は、水素原子、置換されても良いアルキル基または置換されても良いアリール基を表す。)
環Eは、置換基を有しても良いピリジン環を表し、
R9およびR10は、それぞれ独立して、水素原子、置換されても良いアルキル基、アリル基、置換されても良いアリール基または置換されても良いシクロアルキル基を表し、
R11は、水素原子、置換されても良いアルキル基、置換されても良いアリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基またはカルバモイル基を表し、
R12は、置換されても良いアルキル基または置換されても良いアリール基を表す。)
R13およびR14は、それぞれ独立して、アミノ基またはヒドロキシ基を表し、
R15およびR16は、それぞれ独立して、水素原子または置換されても良いアリールオキシ基を表す。)
前記シアン染料は、下記式(C-I)で表される化合物および下記式(C-II)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の染料色素を含んでなる、
環Gは、任意の置換基を有しても良いベンゼン環を表し、
R17およびR18は、それぞれ独立して、水素原子、置換されても良いアルキル基、アリル基、置換されても良いアリール基または置換されても良いシクロアルキル基を表し、
R19は、水素原子または置換されても良いアルキル基を表し、
R20は、置換されても良いアルキル基、置換されても良いアルコキシ基、置換されても良いアリール基または置換されても良いアリールオキシ基を表し、
R21は、水素原子またはハロゲン原子を表す。)
ことを特徴とするものである。
本発明による熱転写シートを構成する基材は、後記する染料層を支持するためのものであり、公知の材料を使用することができる。具体的には、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであれば何れのものでもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等の樹脂フィルム;コンデンサー紙、パラフィン紙、合成紙等の紙類;不織布;紙や不織布と樹脂との複合体、等が挙げられる。
本発明による熱転写シートは、基材上に、染料層として、少なくともイエロー染料層と、マゼンタ染料層とシアン染料層とを形成したものである。転写シートは、染料層として、さらに従来公知のブラック染料層を形成することもできる。
マゼンタ染料層は、下記式(M-I)、(M-II)および(M-III)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のマゼンタ染料色素と、バインダー樹脂とを含んでなるものである。以下、下記式(M-I)、(M-II)および(M-III)の各マゼンタ染料色素について説明する。
シアン染料層は、下記式(C-I)で表される化合物および下記式(C-II)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種のシアン染料色素と、バインダー樹脂とを含んでなるものである。以下、下記式(C-I)および(C-II)の各シアン染料色素について説明する。
本発明による熱転写シートは、上述の各染料層を形成する面と反対側の基材面上に、耐熱滑性層が形成されていてもよい。耐熱滑性層は、ステッキングや印画しわ等、熱転写時にサーマルヘッドの熱が原因で生じる問題を防止するために設けるものである。
上記耐熱滑性層塗工液における溶剤としては、上述の染料インキにおける溶剤と同様のものを使用することができる。
イエローインキに使用するイエロー染料色素として、下記の5種類のチアゾールメチン化合物を合成した。
実施例1:チアゾールメチン化合物1の合成
0.66gの2−ジエチルアミノ−5−ホルミルチアゾール(3.6mmol)と、0.73gの3−エトキシ−1−フェニル−5−ピラゾロン(3.6mmol)と、0.28gの酢酸アンモニウム(3.6mmol)とを、5mlの2−プロパノール溶媒に加え、この混合物を加熱還流下で1.5時間撹拌した。次いで、2−プロパノールを濃縮除去した後、反応系に水5mlを加え、析出固体をろ取し、水洗した後、オーブン中で乾燥させることにより、1.26gの化合物1を得た。得られた化合物1を赤外吸収スペクトル分析装置および核磁気共鳴装置を用いて構造の特定を行った。IRスペクトルおよびプロトンNMRスペクトルの分析結果から、下記式で表されるチアゾールメチン化合物が得られていることを確認した。
出発物質である0.66gの2−ジエチルアミノ−5−ホルミルチアゾールに代えて、1.81gの2−ジエチルアミノ−5−ホルミル−4−イソプロピルチアゾール(8mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、2.24gの化合物2を得た。得られた化合物2を実施例1と同様にして構造の同定を行ったところ、下記式で表されるチアゾールメチン化合物が得られていることを確認した。
出発物質である0.66gの2−ジエチルアミノ−5−ホルミルチアゾールに代えて、1.36gの2−ジプロピルアミノ−5−ホルミル−4−イソプロピルチアゾール(5.34mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、1.96gの化合物3を得た。得られた化合物3を実施例1と同様にして構造の同定を行ったところ、下記式で表されるチアゾールメチン化合物が得られていることを確認した。
出発物質である0.66gの2−ジエチルアミノ−5−ホルミルチアゾールに代えて、2.08gの2−ジエチルアミノ−5−ホルミル−4−フェニルチアゾール(8mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして、3.28gの化合物4を得た。得られた化合物4を実施例1と同様にして構造の同定を行ったところ、下記式で表されるチアゾールメチン化合物が得られていることを確認した。
特開平2−215595号公報の実施例に記載されている化合物2と同様の化合物を、特開平2−215595号公報の記載に基づいて合成し、下記式で表されるチアゾールメチン化合物5を得た。
マゼンタ染料色素として、上記式(M-I-I)で表されるアゾメチン系染料色素を2.0部、Disperse Red60を2.0部およびDisperse Violet26を3.0部と、ポリビニルアセタール樹脂(エスレックKS−5、5%ワニス、積水化学工業株式会社製)70部と、トルエン/メチルエチルケトン(質量比1:1)の溶媒23部とを混合して、マゼンタインキM1を調製した。なお、上記式(M-I-I)で表されるアゾメチン系染料色素は、特許第3013137号公報に記載された方法により製造した。
シアン染料色素として、上記式(C-I-I)で表されるインドアニリン系染料色素を3.0部およびSolvent Blue63を4.0部と、ポリビニルアセタール樹脂(エスレックKS−5、5%ワニス、積水化学工業株式会社製)70部と、トルエン/メチルエチルケトン(質量比1:1)の溶媒23部とを混合して、シアンインキC1を調製した。なお、上記式(C-I-I)で表されるインドアニリン系染料色素は、特公平5−45436号公報に記載された方法により製造した。
厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの一方の面に、下記組成からなる耐熱滑性層形成用塗工液を、乾燥塗布量が1.0g/m2となるように塗布し、乾燥させて耐熱滑性層を形成した。なお、下記の配合量は質量基準である。次いで、PETフィルムの耐熱滑性層を形成した面とは反対側の面に、上記で得られた各インキをグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.8g/m2となるように塗布し、80℃で2分間乾燥して染料層を形成した。
<耐熱活性層形成用塗工液>
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBX−1、積水化学工業株式会社製)
13.6部
ポリイソシアネート硬化剤(タケネートD218、武田薬品工業株式会社製)
0.6部
リン酸エステル(プライサーフA208、第一工業製薬株式会社製) 0.8部
メチルエチルケトン(MEK) 42.5部
トルエン 42.5部
微細空隙層の39μm厚のミクロボイドフィルムの一方の面に、下記組成からなる接着剤層形成用塗工液を塗布し、乾燥させて接着剤層を形成した。次いで、後記する形成条件により、コート紙(186g/m2)の一方の面に裏面層を設けた支持体と、ミクロボイドフィルムとを、支持体の裏面層を設けた側と反対側の面と接着剤層とが重なるように貼り合わせた。
<接着剤層形成用塗工液>
多官能ポリオール(タケラックA−969V、三井化学株式会社製) 30.0部
イソシアネート(タケネートA−5、三井化学株式会社製) 10.0部
酢酸エチル 60.0部
<プライマー層形成用塗工液>
ポリエステルポリオール(アドコート、東洋モートン株式会社製) 15.0部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比2:1) 85.0部
<染料受容層形成用塗工液>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(ソルバインC、日信化学工業株式会社製)
(塩化ビニル/酢酸ビニル=87/13、数平均分子量31,000、ガラス転移温度70℃) 20.0部
カルボキシル変性シリコーン(X−22−3701E、信越化学工業株式会社製)
1.0部
メチルエチルケトン//トルエン(質量比1:1) 79.0部
上記で得られた熱転写受像シートを被転写体として用いた。各染料リボンからなる熱転写シートの染料層と上記被転写体の染料受容面とを対向させて重ね合わせ、熱転写シートの裏面からサーマルヘッドを用いて熱転写記録を行い、印画エネルギーが等間隔となるブラックの18階調画像を形成した。また、画像形成後オリンパス社製P−400プリンター専用リボンのオーバーコートを熱転写した。なお、印画条件は以下の通りとした。
サーマルヘッド:F3598(東芝ホクト電子株式会社製)
発熱体平均抵抗値:5176(Ω)
主走査方向印字密度:300dpi
副走査方向印字密度:300dpi
印字電力:0.12(W/dot)
1ライン周期:2(msec.)
パルスDuty:85%
印字開始温度:35.5(℃)
上記のようにして得られた18階調のブラック画像の各箇所について、分光光度計(GretagMacbeth Spectrolino、グレタグ社製)を用いて、白色基準を絶対値とし、D50光源、観測視野2°を濃度標準として、色度値L*、a*およびb*を測定した(L*、a*およびb*は、CIE1976L*a*b*表色系に基づくものであり、L*は明度を、a*及びb*は、知覚色度指数を表す)。得られた色度値から彩度C*を算出した。なお、彩度C*は、色空間の中央軸(無彩色軸)からの距離であり、無彩色(白・黒・灰色)の場合のC*は0であり、C*の値が0に近いほどニュートラルな黒色であることを意味する。
上記と同様にしてイエロー画像、ブラック画像、レッド画像およびグリーン画像を形成し、それぞれの印画物をキセノンウェザオメター(アトラス社製、Ci4000:ブラックパネル温度45℃、フィルター:内側:CIRA、外側:ソーダライム、試験機内30℃、30%、照射制御420nmの紫外線を1.2W/m2に固定)にて48時間照射(200kJ)を行い、ΔE*abを算出した。ΔE*abは、照射前OD=1付近のΔE*ab=((照射後L*−照射前L*)2+(照射後a*−照射前a*)2+(照射後b*−照射前b*)2)1/2により確認した。なお、側色条件は以下の通りとした。
測色器:分光光度計(GretagMacbeth Spectrolino、グレタグ社製)
光源:D65
視野角:2°
濃度測定用フィルター:ANSI Status A
Claims (11)
- イエロー染料層とマゼンタ染料層と、シアン染料層とを少なくとも含んでなる熱転写シートであって、
前記イエロー染料層、マゼンタ染料層およびシアン染料層の各層は、基材上に、染料色素とバインダー樹脂とを含んでなる染料層が設けられたものであり、
前記イエロー染料は、下記式(Y-I)で表される化合物からなる染料色素を含んでなり、
R1およびR2は、それぞれ独立して、C1〜C4のアルキル基を表し、
R3は、水素原子または分岐を有していてもよいC1〜C8のアルキル基を表し、
R4は、C1〜C4のアルキル基を表す。)
前記マゼンタ染料は、下記式(M-I)で表される化合物、下記式(M-II)で表される化合物、および下記式(M-III)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の染料色素を含んでなり、
環Aは、置換基を有しても良いピリジン環を表し、
R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子、置換されても良いアルキル基、アリル基、置換されても良いアリール基または置換されても良いシクロアルキル基を表し、
R7は、置換されても良いアルキル基または置換されても良いアリール基を表し、
R8は、水素原子、置換されても良いアルキル基または置換されても良いアリール基を表す。)
環Eは、置換基を有しても良いピリジン環を表し、
R9およびR10は、それぞれ独立して、水素原子、置換されても良いアルキル基、アリル基、置換されても良いアリール基または置換されても良いシクロアルキル基を表し、
R11は、水素原子、置換されても良いアルキル基、置換されても良いアリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基またはカルバモイル基を表し、
R12は、置換されても良いアルキル基または置換されても良いアリール基を表す。)
R13およびR14は、それぞれ独立して、アミノ基またはヒドロキシ基を表し、
R15およびR16は、それぞれ独立して、水素原子または置換されても良いアリールオキシ基を表す。)
前記シアン染料は、下記式(C-I)で表される化合物および下記式(C-II)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の染料色素を含んでなる、
環Gは、任意の置換基を有しても良いベンゼン環を表し、
R17およびR18は、それぞれ独立して、水素原子、置換されても良いアルキル基、アリル基、置換されても良いアリール基または置換されても良いシクロアルキル基を表し、
R19は、水素原子または置換されても良いアルキル基を表し、
R20は、置換されても良いアルキル基、置換されても良いアルコキシ基、置換されても良いアリール基または置換されても良いアリールオキシ基を表し、
R21は、水素原子またはハロゲン原子を表す。)
ことを特徴とする、熱転写シート。 - 前記式(Y-I)のR1およびR2がいずれもC2〜C3のアルキル基である、請求項1に記載の熱転写シート。
- 前記式(Y-I)のR3がC2〜C4のアルキル基である、請求項1または2に記載の熱転写シート。
- 前記式(Y-I)のR4がエチル基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱転写シート。
- 前記イエロー染料がキノフタロン色素をさらに含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱転写シート。
- 前記マゼンタ染料が、前記式(M-I-I)、前記式(M-III-I)および前記式(M-III-II)で表される染料色素を含んでなる、請求項7に記載の熱転写シート。
- 前記シアン染料が、前記式(C-I-I)および前記式(C-II-I)で表される染料色素を含んでなる、請求項9に記載の熱転写シート。
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