JP2007290347A - 熱転写シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材シート上に、染料層として少なくともイエロー染料層とマゼンタ染料層とシアン染料層とを形成した熱転写シートにおいて、上記イエロー染料層が含有するイエロー染料は、キノフタロン系化合物及び/又はその互変異性体であり、上記マゼンタ染料層が含有するマゼンタ染料は、アゾ化合物、並びに/又は、2種のアントラキノン系化合物であり、上記シアン染料層が含有するシアン染料は、インドアニリン系化合物、及び/又は、アントラキノン系化合物である熱転写シート。
【選択図】なし
Description
昇華型熱転写方式は、一般的に三原色(イエロー、マゼンタ、シアンの3色。必要に応じてブラックを加えてもよい。)を順次重ねて階調印画することにより、フルカラー表現を行っている。
従来から、画像保存性を改良するために好適な染料の組合せを選択することが提案されているが(例えば、特許文献1参照。)、中間色の耐光性を向上する効果は具体的に示されていない。
これに対して、熱転写シートから、中間転写媒体の2箇所以上に各色染料を熱転写し、被転写体に再転写する際に、中間転写媒体の別箇所に転写された各色染料を重ね合わせて画像を形成する熱転写記録方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この方法は、熱転写シート自体を改良したものではない。
上記イエロー染料層が含有するイエロー染料は、下記一般式(1)
上記マゼンタ染料層が含有するマゼンタ染料は、下記一般式(2)
上記シアン染料層が含有するシアン染料は、下記式(5)
(基材シート)
本発明における基材シートとしては、従来公知のある程度の耐熱性と強度を有するものであれば何れのものでもよく、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、1,4−ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルフィドフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリサルホンフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、セロハン、酢酸セルロース等のセルロース誘導体、ポリエチレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム、アイオノマーフィルム等の樹脂フィルム;コンデンサー紙、パラフィン紙、合成紙等の紙類;不織布;紙や不織布と樹脂との複合体;等が挙げられる。
上記基材シートは、厚さが一般に約0.5〜50μmであり、好ましくは約3〜10μmである。
上記基材シートは、必要に応じ、その一方の面又は両面に接着層(プライマー層)を設ける等、接着処理を行ったものであってもよい。
上記接着処理としては、コロナ放電処理、放射線処理、粗面化処理、化学薬品処理、プラズマ処理、プライマー処理、グラフト化処理等、公知の表面改質方法が挙げられる。
本発明の熱転写シートは、染料層として、少なくともイエロー染料層とマゼンタ染料層とシアン染料層とを形成したものである。
上記熱転写シートは、面順次に各染料層を形成しているものであってよい。
本発明の熱転写シートは、例えば、基材シート上にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック等複数の染料層を面順次に繰り返し設けたもの、上記複数の染料層及び転写性保護層を面順次に設けたもの等が挙げられる。なお、ブラックは熱溶融性インキ層であっても染料層であってもよい。
上記特定イエロー染料は、上記一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物及び/又はその互変異性体を、1つの染料層において1種のみ含有するものであってもよいし、2種以上含有するものであってもよい。
上記ハロゲン原子としては、F、Cl、Br、I等が挙げられるが、中でも、Cl、Brが好ましい。
上記一般式(1)において、Rは、炭素数1〜5のアルキル基、水素原子、アルキル基及び/若しくはベンゼン環を有する総炭素数6〜10のアシル基、又は、エーテル酸素を有してもよい炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基を表す。
上記Rとしてのアルキル基及びアルコキシカルボニル基は、それぞれ直鎖又は分岐鎖の何れであってもよい。
上記Rとしてのアルキル基及びアルコキシカルボニル基は、例えば、水素原子の一部が窒素、上述のハロゲン原子等で置換されたものであってもよい。
上記Rとしてのアシル基は、ベンゾイル基等のアロイル基をも含む概念である。上記アロイル基としては、芳香環における1〜5個の水素原子が独立して炭素数1〜3のアルキル基により置換されたものであってもよく、アロイル基を構成する芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられるが、ベンゼン環が好ましい。
上記Rとしては、水素原子が好ましい。
上記一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物及びその互変異性体は、一般に、従来公知のキノフタロン系化合物と同様の方法で合成することができる。
上記特定イエロー染料が特定イエロー染料インキに含有される場合、上記一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物は、その互変異性体を形成し得る。本発明は、そのような互変異性体も含むものである。
本明細書において、上記吸光係数は、0.0002wt%の染料を含有するトルエン溶液を調製し、(株)島津製作所 UV−3100PCにて最大吸収波長λmax時の吸光係数を測定した値である。
上記R3としては、炭素数1〜5の直鎖又は分岐アルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖又は分岐アルキル基が特に好ましい。
上記Xのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。上記Xとしては、塩素原子又は臭素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
上記一般式(2)で表されるアゾ化合物は、R1及びR2が炭素数2〜8のアルキル基であり、R3が炭素数1〜5のアルキル基であり、Xが塩素原子又は臭素原子であることが好ましい。
上記アゾ化合物としては、例えば、
で示されるアニリン類のジアゾ化を行い、(ii)得られたジアゾ液を下記一般式(III)
で示される化合物とカップリング反応させ、(iii)更にアルカリ水溶液を加え、析出物を濾取、水洗、乾燥し、下記一般式(IV)
で示されるアゾ化合物を得た後、(iv)上記一般式(IV)のアゾ化合物の臭素原子をシアノ化する方法により得ることができる。
上記(i)のジアゾ化は、上記一般式(II)で示されるアニリン類を、硫酸、リン酸等の酸溶媒に溶解した後、ニトロシル硫酸を滴下し、ジアゾ化を行い、ジアゾ液を得る。上記酸溶媒の使用量は、上記アニリン類の重量に対し同量〜10倍重量、好ましくは同量〜5倍重量であり、上記ニトロシル硫酸の使用量は、上記一般式(II)で示されるアニリン類のモル量に対し0.8〜1.2倍モル、好ましくは0.95〜1.1倍モルである。
上記アニリン類のジアゾ化において、滴下温度及び反応温度は、一般に−10〜30℃、好ましくは−5〜10℃であり、反応時間は、一般に0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
上記一般式(III)で示される化合物の使用量は、上記一般式(II)で示されるアニリン類のモル量に対し一般に0.9〜1.3倍モル、好ましくは1.0〜1.2倍モルである。
上記カップリング反応において、上記ジアゾ液の滴下温度及び反応温度は、一般に−10〜30℃、好ましくは−5〜10℃であり、反応時間は0.5〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
上記シアン化銅(I)の使用量は、一般に、上記一般式(IV)で示されるアゾ化合物のモル量に対し2.0〜2.5倍モルである。
上記シアノ化反応において、反応温度は一般に50〜150℃、好ましくは70〜90℃であり、反応時間は、一般に1〜5時間である。
更に、上記シアノ化反応液を水中に排出し、析出物を濾取、水洗した後、トルエン等の有機溶媒で抽出後、抽出液を濾過することにより金属分を除き、有機層を濃縮し、n−へプタン等の脂肪族炭化水素類で分散処理することにより、目的の上記一般式(I)で表されるアゾ化合物を精製、回収することができる。
本明細書において、上記吸光係数は、イエロー染料と同様に測定した値である。
下記式(5)
上記特定シアン染料として、上記インドアニリン系化合物のみであってもよいし、上記アントラキノン系化合物のみであってもよいが、両化合物を併用することで耐光性向上のみならず転写濃度の向上が期待できることから、上記シアン染料は、上記式(5)で表されるインドアニリン系化合物及び上記式(6)で表されるアントラキノン系化合物を含有するものであることが好ましい。
上記シアン染料は、従来公知の製造方法で合成することができ、例えば、上記式(5)のインドアニリン系化合物としては特許1773306号公報記載のものが挙げられ、上記式(6)のアントラキノン系化合物としてはSolvent Blue63が挙げられる。
本明細書において、上記吸光係数は、特定イエロー染料と同様に測定した値である。
上記バインダー樹脂としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のビニル系樹脂;ポリエステル系樹脂;フェノキシ樹脂;等が挙げられる。
上記離型性グラフトコポリマーは、ポリシロキサンセグメント、フッ化炭素セグメント、フッ化炭化水素セグメント及び長鎖アルキルセグメントから選択された少なくとも1種の離型性セグメントを、上述のバインダー樹脂を構成するポリマー主鎖にグラフト重合させてなるものである。
上記離型性グラフトコポリマーとしては、なかでも、ポリビニルアセタールからなる主鎖にポリシロキサンセグメントをグラフトさせて得られるグラフトコポリマーが好ましい。
上記離型剤としては、上述の離型性グラフトコポリマー、シリコーンオイル、リン酸エステル等が挙げられる。
上記無機微粒子としては、カーボンブラック、アルミニウム、二硫化モリブデン等が挙げられる。
上記有機微粒子としては、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
上記溶剤としては、染料インキの材料として従来公知のものであれば特に限定されず、例えば、アセトン、メタノール、水、メチルエチルケトン、トルエン、エタノール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド〔DMF〕、酢酸エチル、これらの溶剤の混合溶剤等が使用でき、なかでも、メチルエチルケトンとトルエンとの混合溶剤が好ましい。
上記染料インキは、一般に、上記イエロー染料を上記バインダー樹脂及び溶剤中に分散させるものであり、上記イエロー染料の含有量a質量%と、上記イエロー染料の上記溶剤に対する20℃での溶解度s質量%とが式a>sで表される関係を満たすことが好ましい。
本明細書において、「分散」とは、染料インキを20〜25℃の温度下に168時間(7日間)静置後、染料粒子の沈降を目視で確認できない状態であることを意味する。上記特定イエロー染料に関し、溶剤に溶解する限度とは、染料が溶剤100g中に20℃の温度下で最大限に溶解する場合における該染料の質量を意味し、バインダー樹脂の溶剤溶解液に溶解する限度とは、染料がバインダー樹脂1wt%を溶解させた溶剤100g中に20℃の温度下で染料が最大限に溶解する場合における該染料の質量を意味する。
上記D50粒径が0.1μm未満であると、得られる染料層の地肌汚れ等の原因となることがあり、5.0μmを超えると、得られる染料層が転写感度不足となるおそれがある。上記D50粒径は、より好ましい下限が0.3μm、より好ましい上限が3.0μmである。
上記D90粒径が0.3μm未満であると、上記地肌汚れ等が起こるおそれがあり、10.0μmを超えると、得られる染料層に起因して地肌汚れ(サーマルヘッドで加熱しなくても着色する現象)等の問題が生じるおそれがある。
上記D50粒径及びD90粒径は、それぞれ日機装(株)製マイクロトラック粒度分布計UPA−150を用い、固形分濃度8.75質量%(このうち染料濃度5.25質量%、バインダー樹脂濃度3.5質量%)溶液について各測定条件下で測定した粒度分布から算出した値である。
(測定条件)
・測定原理:動的光散乱法
・光源:半導体レーザ
・波長:780nm
・サンプルセル:SUS316
上記特定イエロー染料の含有量aは、好ましい下限が1質量%であり、好ましい上限が15質量%である。
上記特定イエロー染料インキは、特定イエロー染料等の染料とバインダー樹脂との合計量、すなわち固形分が質量基準で2〜30質量%程度であることが好ましく、5 〜15質量%であることがより好ましい。
本明細書において、特定イエロー染料インキが2種以上の染料化合物を含有するものである場合、上記特定イエロー染料の含有量a及び固形分量は、何れも各染料化合物の合計に関する範囲を表す。
上記特定シアン染料は、上記式(5)で表されるインドアニリン系化合物と上記式(6)で表されるアントラキノン系化合物との質量比率は、上記インドアニリン系化合物/上記アントラキノン系化合物=1/4〜4/1(質量比)であることが好ましく、上記インドアニリン系化合物/アントラキノン系化合物=1.5/1〜1/1.5(質量比)であることがより好ましい。
上記特定シアン染料インキは、上記特定シアン染料とバインダー樹脂との合計量、すなわち固形分が質量基準で2〜30質量%程度であることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
上記特定シアン染料インキは、上記式(5)又は上記式(6)で表される各化合物を、好ましくは、合計量で該シアン染料インキの0.5質量%以上、より好ましくは該シアン染料インキの2〜10質量%の範囲で含有している。
該合計量が0.5質量%未満であると、感度不足となり所望の濃度が得られないことがあり、また、該合計量が10質量%を超えると、熱転写シートとしたときに染料が析出してくるおそれがある。
本明細書において、特定シアン染料インキが2種以上の染料化合物を含有するものである場合、上記特定シアン染料の含有量a及び固形分量は、何れも各染料化合物の合計に関する範囲を表す。
上記特定イエロー染料インキは、特定イエロー染料を均一に分散させる点で、ビーズミル、ボールミル等の分散機を用いて調製することが好ましい。
上記ビーズミル又はボールミルにおけるビーズ及びボールとしては、ガラス、セラミック、スチール、ジルコニア等が挙げられる。
ビーズミル、ボールミルのビーズ径は、特定イエロー染料の初期粒径に応じて選定すればよいが、一般に0.05〜2.0mmであることが好ましい。
例えば、アイメックス(株)製 ウルトラビスコミル UVM−2を用いてジルコニアビーズ平均直径0.3mm、回転数1000rpmで10時間分散処理した染料インキと、関西ロール(株)製 2本ロールミルを用いてロール温度20℃、ロール回転数を前ロール20rpm、後ロール24rpmの条件にて染料:バインダー樹脂:溶剤=3:3:4の割合で混練し、それに溶剤を加えペイントシェーカーにて溶解・分散させる方法が挙げられる。
上記塗工方法としては、グラビアコーティングが好ましい。
上記塗工において、特に限定されないが、60〜120℃の温度にて1秒〜5分程度乾燥することが好ましい。
上記染料インキの乾燥が不充分であると、地汚れや巻取りにした際に染料インキが裏移りし、更にその裏移りした染料インキが巻き返した際に異なる色相である染料層に再移転する、いわゆるキックバックが生じることがある。
上記染料インキは、乾燥塗布量が好ましくは0.2〜3.0g/m2程度、より好ましくは0.4〜1.0g/m2程度となるよう塗布すればよい。
1.耐熱滑性層
本発明の熱転写シートは、更に、上述の染料層を形成する面と反対側の基材シート面上に、耐熱滑性層を設けてなるものであってもよい。
上記耐熱滑性層は、ステッキングや印画しわ等、熱転写時にサーマルヘッドの熱が原因で生じる問題を防止するために設けるものである。
上記耐熱性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセトアセタール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アクリルポリオール、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタン又はエポキシのプレポリマー、ニトロセルロース樹脂、セルロースナイトレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテート−ヒドロジエンフタレート樹脂、酢酸セルロース樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。
上記耐熱滑性層塗工液における溶剤としては、上述の染料インキにおける溶剤と同様のものを使用することができる。
上記耐熱滑性層塗工液の塗工法としては、例えば、ワイヤーバーコーティング、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、グラビア版を用いたリバースロールコーティング法等が挙げられるが、なかでもグラビアコーティングが好ましい。
上記耐熱滑性層塗工液は、乾燥塗布量が好ましくは0.1〜3g/m2、より好ましくは1.5g/m2以下となるよう塗布すればよい。
本発明の熱転写シートは、基材シート上に上述の染料層を有するものであれば、上記基材シートと染料層との間に下引き層等を設けてなるものであってもよい。
本発明において、下引き層は、特に限定されず、基材と染料層との接着性を向上させる組成を適宜選択して設けることができる。
上記転写保護層の構成及び調製は、特に限定されず、使用する基材シート、染料層等の特徴に応じて、従来公知の技術より選択することができる。
上記転写保護層は、基材フィルムが離型性でない場合、基材フィルムと転写保護層との間に剥離層を設けて、転写保護層の転写性を向上させることが好ましい。
上記被転写材として熱転写受像シート等を使用することができる。
上記熱転写受像シートとしては、記録面が染料受容性を有するものであれば特に限定されず、例えば、紙、金属、ガラス、合成樹脂等の基材の少なくとも一方の面に染料受容層を形成したものを挙げることができる。
上記熱転写を行う際に使用するプリンターとしては、特に限定されず、公知の熱転写プリンターを使用することができる。
(染料インキの調製)
1.200mlカップサイズのガラス瓶に下記の量の染料、バインダー樹脂及び溶剤更に平均粒径0.3mmのジルコニアビーズを約250部投入し、ペイントシェーカー(浅田鉄工(株)製)で3時間染料を分散させて、イエロー染料インキを調製した。
<イエロー染料インキ組成>
染料Y−1 5.25部
ポリビニルアセタール樹脂(エスレックKS−5、積水化学工業社製)3.5部
メチルエチルケトン 45.635部
トルエン 45.635部
2.超音波分散機を20分間操作することにより完全溶解させ、マゼンタ染料インキ及びシアン染料インキを用いて混合して調製した。
<マゼンタ染料インキ組成>
染料M−1 2.08部
染料M−2 1.84部
染料M−3 2.72部
ポリビニルアセタール樹脂(エスレックKS−5、積水化学工業社製)3.5部
メチルエチルケトン 45部
トルエン 45部
染料C−1 3.0部
染料C−2 3.5部
ポリビニルアセタール樹脂(エスレックKS−5、積水化学工業社製)3.5部
メチルエチルケトン 45部
トルエン 45部
基材シートとして、厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレート〔PET〕フィルム上に、グラビアコーティングにより、乾燥塗布量が0.6g/m2になるように上述の各染料インキを塗布し、80℃、2分間乾燥して各染料層を形成させて、実施例1の熱転写シートを作製した。
なお、上記基材シートの他方の面に、予め下記組成の耐熱滑性層塗工液をグラビアコーティングにより、乾燥塗布量が1.0g/m2になるように塗布、乾燥して、耐熱滑性層を形成しておいた。
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBX−1、積水化学工業社製)13.6部
ポリイソシアネート硬化剤(タケネートD218、武田薬品工業社製) 0.6部
リン酸エステル(プライサーフA208S、第一工業製薬社製) 0.8部
メチルエチルケトン 42.5部
トルエン 42.5部
イエロー染料インキにおいて、イエロー染料を下記式で表される染料Y−2に変える以外は実施例1と同様にして、実施例2の熱転写シートを作製した。
イエロー染料インキにおいて、イエロー染料を下記式で表される染料Y−4に変えるのと以下のマゼンタ染料インキ組成に変える以外は実施例1と同様にして、実施例3の熱転写シートを作製した。
染料M−1 5.25部
ポリビニルアセタール樹脂(エスレックKS−5、積水化学工業社製)3.5部
メチルエチルケトン 45部
トルエン 45部
イエロー染料インキにおいて、イエロー染料を下記式で表される染料Y−3に変える以外は、実施例1と同様にして、実施例4の熱転写シートを作製した。
イエロー染料インキにおいて、イエロー染料を染料Y−1(4.20部)及び染料Y−2(1.05部)に変える以外は、実施例4と同様にして、実施例5の熱転写シートを作製した。
シアン染料インキにおいて以下のインキ組成に変える以外は、実施例5と同様にして
実施例6の熱転写シートを作製した。
<シアン染料インキ組成>
染料C−1 3.5部
ポリビニルアセタール樹脂(エスレックKS−5、積水化学工業社製)3.5部
メチルエチルケトン 46.5部
トルエン 46.5部
シアン染料インキにおいて、シアン染料を染料C−2に変える以外は、実施例6と同様にして実施例7の熱転写シートを作製した。
マゼンタ染料インキにおいて、マゼンタ染料を染料M−2(1.84部)及び染料M−3(2.72部)に変える以外は、実施例5と同様にして、実施例8の熱転写シートを作製した。
イエロー染料インキにおいて、イエロー染料を染料Y−5に変える以外は、実施例3と同様にして比較例1の熱転写シートを作製した。
マゼンタ染料インキにおいて、マゼンタ染料インキ組成を実施例1と同様になるように変える以外は、比較例1と同様にして比較例2の熱転写シートを作製した。
シアン染料インキにおいて、シアン染料インキ組成を実施例6と同様になるように変える以外は比較例2と同様にして比較例3の熱転写シートを作製した。
シアン染料インキにおいて、シアン染料インキ組成を実施例7と同様になるように変える以外は比較例3と同様にして比較例4の熱転写シートを作製した。
シアン染料インキにおいて、シアン染料インキ組成を実施例8と同様になるように変える以外は比較例3と同様にして比較例5の熱転写シートを作製した。
なお、染料溶解性、イエロー染料溶解度及び粒度分布測定を実施したイエロー染料インキは、実施例1〜4及び比較例1〜5のものである。
1.印画物の作成
OLYMPUS社製P−400プリンター専用のA4サイズスタンダードペーパーを被転写体として用いた。各熱転写シートの染料層と上記被転写体の染料受容面とを対向させて重ね合わせ、熱転写シートの裏面からテストプリンター(ウェッジ社製)を用いて下記条件で、イエロー染料層、マゼンタ染料層、シアン染料層の順に印画を行い、0/255〜255/255(濃度Max)の階調パターン18stepの三次色のブラック(3Bk)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブルー(B)、グリーン(G)、レッド(R)の印画パターンを形成し、各階調ごとに測色した。
(印字条件)
・サーマルヘッド:F3598(東芝ホクト電子株式会社製)
・発熱体平均抵抗値:5176(Ω)
・主走査方向印字密度:300dpi
・副走査方向印字密度:300dpi
・印字電力:0.12(W/dot)
・1ライン周期:2(msec.)
・パルスDuty:85%
・印字開始温度:35.5(℃)
2.色相変化の測定
上記印加により得られたフルカラー画像をキセノンウェザオメター(アトラス社製、Ci4000:照度120000lux、ブラックパネル温度45℃、フィルターCIRA、ソーダライム、槽内環境30℃、20%)にて96時間照射を行い、照射前後の色相変化(ΔE*ab=((照射後L*−照射前L*)2+(照射後a*−照射前a*)2+(照射後b*−照射前b*)2)1/2;(式中、Lは明度を表し、a、bは知覚明度指数を表す。また、L*、a*、b*は、CIE1976L*a*b*表色系に基づくものである。)を算出した。
(測色条件)
・白色基準:絶対値
・測色器:分光測定器SpectroLino(Gretag Macbeth社製)
・光源:D65
・フィルター:ANSI Status A
・視野角:2°
イエロー濃度、マゼンタ濃度、シアン濃度及びブラック濃度の各測定
グレタグマクベス社製分光測定器SpectroLinoを用いて測定した(測定条件、濃度:ANSI Status A、色相:光源D65、視野角2°)。
Claims (2)
- 基材シート上に、染料層として少なくともイエロー染料層とマゼンタ染料層とシアン染料層とを形成した熱転写シートにおいて、
前記イエロー染料層が含有するイエロー染料は、下記一般式(1)
前記マゼンタ染料層が含有するマゼンタ染料は、下記一般式(2)
前記シアン染料層が含有するシアン染料は、下記式(5)
ことを特徴とする熱転写シート。 - イエロー染料層は、前記一般式(1)で表されるキノフタロン系化合物及び/又はその互変異性体からなるイエロー染料と、バインダー樹脂と、溶剤とを含有する染料インキから形成するものであり、
前記染料インキにおいて前記イエロー染料を前記バインダー樹脂及び前記溶剤中に分散させることにより、前記イエロー染料インキに占める前記イエロー染料の含有量a質量%と、前記イエロー染料の前記溶剤に対する20℃での溶解度s質量%とが、式a>sで表される関係を満たすことを特徴とする請求項1記載の熱転写シート。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2006269959A JP2007290347A (ja) | 2006-03-31 | 2006-09-29 | 熱転写シート |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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