JP2008087175A - ガスバリア性積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ガスバリア性積層体として、高分子フィルム基材1の上に金属または無機化合物からなるガスバリア層2を真空成膜法で形成し、さらにその上にヒートシール材の層4を積層した構造体の製法として、ガスバリア層2とヒートシール材の層4の接着力を、実用上十分な強度とする方法を提供する。さらに、該ガスバリア層の表面に微粒子などのガスバリア性を損なうおそれのあるものの付着を防止する方法を提供する。
【解決手段】 ガスバリア層2の上にポリオレフィン系ポリマー層5を真空成膜法で形成することによって、その上に低温の溶融押し出しラミネート法でポリオレフィン系のヒートシール材層4を積層することができる。ガスバリア層2とその上のポリオレフィン系ポリマー層5をインラインで成膜することによって、微粒子などの付着を防止することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は食品、医薬品、精密電子部品などをヒートシール包装するために使用されるガスバリア性積層体に関するものであり、特にヒートシール材とその下のガスバリア材の製造方法に関する。
食品や医薬品、精密電子部品などのヒートシール包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を防ぎ、かつ内容物の機能や性質を保持するために、包装材料を透過する酸素や水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を防止する必要があり、これらを遮断するガスバリア機能を備えている事が求められている。従来より、酸素、水蒸気などの遮断性に優れたアルミなどの金属箔をガスバリア層として用い、ヒートシール材を積層した包装材料が一般的に用いられてきた。アルミ等の金属箔を用いた包装材料は、温度・湿度の影響がほとんどなく、ガスバリア性に非常に優れるという利点がある。
しかし、アルミなどの金属箔を用いた包装材料は、使用後に廃棄する際に不燃物として処理しなくてはならない、検査時に金属探知機に検知されてしまう、などの課題を有している。
これらの欠点を克服した包装材料として、例えば、特許文献1、2等に記載されているように、高分子フィルム上に、真空蒸着法やスパッタリング法等の形成手段によりガスバリア性を有する材料、例えばアルミニウムなどの金属や、酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機化合物の薄膜を積層したフィルムが開発されている。これらの蒸着フィルムは、前記の課題を克服し、かつ酸素、水蒸気等のガス遮断性を有している。また、酸化珪素や酸化アルミニウムなどの無機化合物により形成された薄膜は透明性を有しており、さらに電子レンジ用材料として使用でき、ガスバリア性に加えて金属箔等では得ることのできない、包装材料として優れた機能を有している。
これらの蒸着層を有するガスバリア材は、包装材料として使用される際に、フィルムとして成形され、パウチ袋に加工されるなどして広く使用されている。パウチ袋に加工するためには、フィルムはシール性を有していることが望ましい。特許文献3、4に開示されているように、ヒートシール可能な材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等が上記のガスバリア材の上に積層され、ヒートシール性のガスバリア性封止フィルムとして使用されている。ヒートシール材としては、ポリオレフィン系ポリマー材料が、適度なヒートシール温度、ヒートシール強度を有し、さらに人体や環境に対する安全性が高く、例えばレトルト食品に多用されている、好ましい材料である。
しかし、ヒートシール材としてポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系ポリマーを使用する場合には、それらは元来接着性がかなり少ない小さい材料であり、上記のガスバリア性の金属膜や無機物膜に積層する際、パウチ材に使用することができる程度に接着強度を高くすることは容易ではない。通常、両者をウレタン系などの接着剤を用いたドライラミネーション法を用いて貼り合わせる方法、あるいは溶剤等に難溶解性であるので、溶融押し出しラミネート法(溶融押し出し法、と記す場合もある)を使用する方法が用いられている。
図1に従来の製法によるガスバリア積層体の層構成を示す。図1(a)は、接着剤を使用した場合の層構成であり、高分子フィルム基材1の上に金属または無機化合物からなるガスバリア性の蒸着層2(ガスバリア層、と記す場合もある)が成膜・積層され、接着剤
層3を介してヒートシール層4が積層されている。図1(b)は、溶融押し出しラミネート法を使用した場合の層構成であり、高分子フィルム基材1の上に金属または無機化合物からなるガスバリア性の蒸着層2が成膜・積層され、ヒートシール層4が積層されている。本発明において、成膜・積層とは、ある層の上に別の層の膜を成膜しながら、いいかえると堆積しながら、積層することを意味する。
接着剤を使用する方法は、接着剤中に含まれる低分子化合物の内容物への移行、溶出が近年報告されており、食品の包装に使用する場合には特に好ましくない。
接着剤を使用しない溶融押し出しラミネート法においては、ポリオレフィン系ポリマーのヒートシール材をガスバリア材上に積層する際の温度を300℃程度の高温にしなければ、ガスバリア材に対して十分な接着強度を得ることが難しい。その高温によって、ガスバリア層が物理的な、特に熱的な、ダメージを受けて、ガスバリア性が劣化してしまうことがある。対策として、現在はガスバリア材の種類、成膜条件、高分子フィルム基材の種類、溶融押し出し時の各種条件等を調整しているが、品質上、生産上の制約となっている。従って、低温で溶融押し出し積層しても十分な接着強度が得られることが望ましい。
一方、別の問題として、ガスバリア性を有する蒸着層は、別工程に移行する間に、表面上に微小なちり、粉塵などが付着して汚染される可能性がある。ガスバリア層として設けられる金属層または無機化合物層は薄く、割れやすいので、汚染されると、例えばゴミが付着した部分ではガスバリア層にキズがついたり、ヒビが入ったりして、ガスバリア性が無くなってしまったり、極端に低下してしまうという問題が発生する。
以下に先行技術文献を示す。
米国特許第3442686号明細書 特公昭63−28017号公報 特開2000−7047号公報 特開2005−96792号公報 Merle Millard、Techniques and Applications of Plasma Chemistry,J.H.Hollahanand A.T.Bell Eds.,John Wiley & Sons,177−213,1974 上原徹ら、日本接着学会誌、Vol.37、52−56、2001
ガスバリア性積層体として、高分子フィルム基材の上に金属または無機化合物からなるガスバリア層を真空成膜法で形成し、さらにその上にヒートシール材としてポリオレフィン蒸着層を積層した構造体を製造するにあたって、該ガスバリア層と該ヒートシール材の層の間の接着力を、接着剤を使用せず、また300℃程度の高温の溶融押し出しラミネート法も使用することなく、実用上十分な強度とする方法を提供することであり、さらに、該ガスバリア層の表面に微粒子などのガスバリア性を損なうおそれのあるものの付着を防止する方法を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、高分子フィルム基材上に形成したバリア性を付与する金属または無機化合物からなる蒸着層の上に、ポリオレフィン系ポリマー層を蒸着積層することにより、該蒸着ポリオレフィン系ポリマー層(ポリオレフィン蒸着層、と記すこともある)の上に低温でポリオレフィン系ヒートシール材を溶融押し出し積層しても、十分な接着強度が得られることを見いだし、本発明に至った。本発
明の方法によれば、外気に触れることなくガスバリア性の層の上にインラインでヒートシール材の下地となるポリオレフィン蒸着層を形成する装置を使用することができるので、金属または無機化合物からなる蒸着層を微粒子などのガスバリア性を損なうおそれのあるものの付着等の汚染から保護することが可能である。
すなわち、請求項1の発明は、高分子フィルム基材の少なくとも一方の面に、少なくとも、金属または無機化合物からなるガスバリア層と、該ガスバリア層の上のポリオレフィン系ポリマーからなる層の2層を有するガスバリア性積層体の製造方法であって、該ガスバリア層および該ポリオレフィン系ポリマーからなる層の成膜・積層方法が真空蒸着法であり、かつ該ガスバリア層および該ポリオレフィン系ポリマーからなる層を、同一真空蒸着装置内において、真空状態を保持したまま、該高分子フィルム基材上に順次、成膜・積層することを特徴とするガスバリア性積層体の製造方法である。
請求項2の発明は、該ポリオレフィン系ポリマーからなる層の成膜・積層方法が真空蒸着法の一種であるプラズマ重合法であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層体の製造方法である。
請求項3の発明は、該ポリオレフィン系ポリマーからなる層の上に、溶融押し出し法によってポリオレフィン系ポリマーからなるヒートシール層を該ポリオレフィン系ポリマーが溶融する温度以上250℃以下の温度で積層することを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記載のガスバリア性積層体の製造方法である。
請求項4の発明は、該ガスバリア性積層体の層がアルミニウム、錫、またはチタンのいずれかよりなる層、あるいはそれらのいずれか2種以上の混合物よりなる層であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体の製造方法である。
請求項5の発明は、該ガスバリア性積層体の層が酸化アルミニウムまたは酸化珪素からなる層であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体の製造方法である。
請求項6の発明は、該ポリオレフィン系ポリマーよりなる層がポリエチレンの層であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体の製造方法である。
請求項1の発明によって、後工程においてシーラント材として使用されるポリオレフィン系ポリマーと積層する際に、接着剤を用いない低温溶融押し出し法によってヒートシール層を積層することが可能になり、これにより接着剤成分の溶出を起こさず、かつ熱によるバリア層の物理的ダメージを回避し、ガスバリア性の劣化を起こさずにガスバリア性積層体を製造することが可能になった。
請求項2の発明よって、インライン工程にて金属または無機化合物の蒸着層の上に、ポリオレフィンの蒸着層を形成することにより、根本的に金属または無機化合物による蒸着層がちりや微粉末によって汚染されるのを防ぐことができる。その結果、薄い蒸着層を保護する事ができる。ここでインライン工程とは、外気に晒すことなく、順次工程を行うことを意味する。
見方を変えると、シーラント材としてポリオレフィン系ポリマーを溶融押し出し積層する際、両者のあいだに十分な接着強度が得られない場合、接着剤を使用する場合があるが
、本発明のポリオレフィン蒸着層はその接着剤の役割を果たすと言うことができる。本発明のポリオレフィン材料は人体や環境に対しても無害であり、しかも低温でポリオレフィン系のヒートシール材を溶融押し出し積層しても十分な接着強度を有する接着剤である。請求項1の発明によって、このような一種の接着剤の役割をはたすポリオレフィン蒸着層を形成することができた。また、請求項2の発明によって、インラインでガスバリア性蒸着層とその上のポリオレフィン系の蒸着層を形成することができるので、該ガスバリア層の表面がちりや微粉末によって汚染されることを防止することができる。
また、本発明においては、高分子フィルム基材上に印刷を施した後に、金属や無機化合物を真空蒸着することが可能であり、さらにその上にポリオレフィン系ポリマーを真空蒸着して積層することが可能である。従って、印刷工程で良品である部分だけを本発明によるガスバリア性フィルムの製造に使用することによって、後で印刷する場合に発生する印刷不良分のロスすることを防ぐことができる。
特許文献1、2及び非特許文献1,2において金属や無機化合物、ポリオレフィン系ポリマーを蒸着法により成膜する方法が述べられているが、金属や無機化合物を蒸着することによって得られたバリア層と、ポリオレフィン系ポリマーによる蒸着層を連続したインライン工程において積層したガスバリア性積層体、及びその製造方法については報告例がない。ガスバリア性を有する蒸着層とポリオレフィン系ポリマー層を連続したインライン工程内で積層することによりこれらの問題を解決できる。本発明はガスバリア層とポリオレフィン系ポリマー層を同一真空装置内で、インライン工程にて順次、成膜・積層するガスバリア性積層体の製造方法を提供するものである。
以下に、本発明の1実施例としての最良の実施形態について図面を参照して説明する。
図2は、本発明のガスバリア材の作成工程を説明する図である。図2(a)は最初に高分子フィルム基材1の上に蒸着法で金属または無機化合物よりなるガスバリア性の層2を形成した図である。図2(b)は次の工程で、該ガスバリア性の層2の上に蒸着法でポリオレフィン系ポリマーからなる蒸着層5を形成した図である。図2(c)は、さらに該ポリオレフィン系ポリマーからなる蒸着層5の上に、ヒートシール層4を形成した図である。
請求項1に記載のガスバリア性積層体の構造は、一つは図2(b)に示した高分子フィルム基材1の少なくとも一方の表面上に、金属または無機化合物蒸着層2、ポリオレフィン系ポリマー蒸着層5が積層されている構造である。さらに、図2(a)では金属または無機化合物蒸着層2を高分子フィルム基材1の片面に形成しているが、目的によっては、両面に形成してもよい。また、図2(b)ではポリオレフィン系ポリマー蒸着層5を高分子フィルム基材1の片面に形成しているが、同様に両面に形成する製造方法も請求項1に記載の製造方法に含まれる。さらに、図2(c)ではヒートシール層3を基材フィルムの両面に形成してもよく、請求項4の製造方法に含まれる。
本発明に使用することができる高分子フィルム基材1としては、包装材料として用いられている高分子フィルム基材であれば使用することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリエステル類およびこれらの共重合体、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロンー12などのポリアミド類、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、セルロース、トリアセチルセルロース、ポリビニルアルコールなどを使用することができる。
ポリオレフィンはアルケン族の重合した熱可塑性樹脂の総称であり、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、MDPE(中密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、ポリブテン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどがあり、本発明において使用することができる。
本発明においてガスバリア層2は、水蒸気バリア性、および/または酸素バリア性を有するものであり、材料としては、後に記す蒸着方法で成膜可能なものであれば、通常使用される材料を使用することができる。例えば、金属からなる蒸着層としては、アルミニウム、錫、チタンなどが、無機化合物からなる蒸着層としては、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化インジウム、酸化タングステン、酸化亜鉛、酸化チタン、などが使用可能であるが、これらに限られるものではない。しかし、金属材料としては、アルミニウム、錫、チタン、さらにはこれらの合金、または混合物がガスバリア性、生産性の点で、本発明において特に好ましい。また、無機化合物としては、酸化アルミニウム、酸化珪素が、真空蒸着法で成膜する本発明において、生産性、ならびに反応性蒸着法によって、化学組成が化学量論的組成からはずれたアモルファス構造のものを成膜することが可能である点でも、特に好ましい。ガスバリア層2の膜厚は、5〜100nmの範囲にあることが好ましい。5nm以下であるとバリア性が発現せず、100nm以上であると応力がかかった際に割れやすくなる。
金属または無機化合物を蒸着する方法として本発明に使用することができる方法には、物理的手法により薄膜を堆積する物理気相堆積法または化学反応を用いた化学気相堆積法がある。例えば、物理気相堆積法では熱的気化を用いた真空蒸着法やスパッタ現象を用いたスパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法が使用可能であり、化学気相堆積法ではプラズマにより蒸着材料をラジカル化して反応を促進する方法が使用可能である。また、反応させたいガスを蒸着室に導入する反応性蒸着法を使用することができる。
生産効率を考慮すると、熱的気化を用いた真空蒸着法が薄膜形成速度などの点で、最も優れており、広く使用されており、本発明においても好適に使用することができる。加熱手段としては電子線加熱方式、抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いる事が好ましい。電子線加熱方式は、他の加熱方式と比較して供給できるエネルギーが高いため、蒸着材料の選択肢を広げる事ができるので、特に好ましい。また蒸着層と基材の密着性及び蒸着層の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることができる。
本発明のポリオレフィン蒸着層5には、ポリエチレンやポリプロピレン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明において、ポリオレフィン蒸着層5を成膜する方法としては、前記の蒸着方法を用いることができる。例えば、ポリエチレンを蒸着材料として真空蒸着法で成膜することができる。さらに、ポリオレフィン蒸着層5を形成する方法としては、プラズマ重合法による成膜方法が、本発明において特に重合反応効率の点で適している。プラズマ重合法による成膜法は、モノマーガスを真空蒸着釜内に導入し、プラズマによって反応性を高めて重合させてポリマーを形成し、基材上に成膜する方法である。ポリエチレン層を形成するためのモノマーガスとしては、エチレンガスやアセチレンガスを使用する。また、ポリプロピレン層形成のためには、モノマーであるプロピレンガスを使用する。ポリオレフィン蒸着層5の膜厚は、5〜100nmの範囲内にあることが好ましい。5nm以下であると耐熱性が不十分であり、シーラント材を押し出した際にガスバリア層2の劣化がおこりやすくなる。また、材料コストや蒸着コストの面から100nm以上積層することは経済的でない。さらには、10〜50nmであることが好ましい。
ポリオレフィン蒸着層5はガスバリア層2と連続したインライン工程にて成膜するため、表面上に微小なちり、粉塵などが付着しない点で好ましく、さらに、プラズマ重合法で成膜・積層する際は、重合反応の効率が良く、特に好ましい。また、本発明のポリオレフィン系ポリマーよりなるヒートシール材層には、低温溶融性に優れるポリエチレン層を用いることが好ましい。
本発明の製造方法に使用して好適な装置の構造例と本発明のガスバリア性積層体(図2(b))の作成方法例を図3によって以下に説明する。図3において、構造は、真空ポンプ33、34、35を接続した真空成膜装置の内部にプロセスロール43、巻きだしロール31、巻き取りロール32があり、プロセスロール43の周囲に順に遮蔽板A36、電子線照射装置39,蒸着用材料供給源41、遮蔽板B37、ガス供給装置42、プラズマ発生装置40,遮蔽板C38を配置した構造である。
図3の装置を使用して、図2(b)に示したガスバリア性積層体を形成する方法を以下に示す。巻きだしロール31に装着した高分子フィルム基材1を遮蔽板36を通過させて、電子線照射装置39が設置されている真空蒸着室に導入する。その部屋で、プロセスロール43に巻き付いた該フィルム基材1の上に蒸着用材料供給源41から蒸発したガスバリア材2を蒸着する。引き続き、遮蔽板37を通過させて、プラズマ発生装置42が設置されているプラズマ重合室に導入する。プラズマ重合室でガス供給装置42から供給されたガスがプラズマによって重合したもの、すなわちポリオレフィン系ポリマー、からなる蒸着層5をガスバリア材2の上に成膜させる。次に、遮蔽板38を通過させてから巻き取りロール32に巻き取る。ガスバリア材(金属または無機化合物)の層2を真空蒸着によって成膜する部屋の真空度は成膜する材料によって異なるが、例えば10―2Pa程度に調節する。また、プラズマ重合膜の層5を成膜する部屋の真空度は、成膜するものによって異なるが、例えば10Pa程度に調節する。
<実施例1>
2室仕様の蒸着装置において、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)フィルムに、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを蒸発させて、酸素ガスを導入し、厚さ15nmの酸化アルミニウムを成膜した。次いで、モノマーとしてエチレンガスを1.0リットル/分の流量にて導入し、電極には周波数13.56MHzの高周波電源を用いて120Wの放出電力にて、厚さ20nmのポリエチレン・プラズマ重合膜を成膜した。
<実施例2>
2室仕様の蒸着装置において、厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)フィルムに、電子線加熱方式による真空蒸着装置により、金属アルミニウムを蒸発させて、厚さ15nmの金属アルミニウムを成膜した。次いで、実施例1と同様に厚さ20nmのポリエチレン・プラズマ重合膜を成膜した。
<比較例1>
実施例1の方法と同様にして厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)フィルムに、厚さ15nmの酸化アルミニウムを成膜した。
<比較例2>
実施例2の方法と同様にして厚さ12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)フィルムに、厚さ15nmの金属アルミニウムを成膜した。
<試験1>
得られた実施例1、2及び比較例1、2のガスバリア性積層体に、溶融押し出し法により、厚さ50μmのポリエチレンを200℃及び320℃にて積層した。テンシロン試験機を用いて300mm/分の引張り速度にて剥離試験を行い、接着強度を測定した。
結果を表1に示す。
実施例1、2のガスバリア性積層体は低温(200℃)、高温(320℃)において良好な貼りあわせ結果を得た。一方、比較例1、2は低温(200℃)では接着が得られず、高温(320℃)では接着したものの、接着強度は実施例1,2と比較して低い傾向にあった。これらの結果により、ガスバリア性を有する蒸着膜上にポリエチレン蒸着層を積層することにより、低温条件下においても、接着剤を用いずに良好な接着性が得られることが分かった。
Figure 2008087175
貼りあわせ実施結果
<試験2>
試験2で得られた積層体について、MOCON法を用いて30℃、湿度70%の条件下にて酸素透過度を測定した。
結果を表2に示す。
本試験結果より、ガスバリア層とポリエチレン蒸着層をインライン工程により積層した実施例1,2は比較例1、2に比べて良好な酸素バリア性を発現した。さらには溶融押し出し時にポリエチレン層を積層する際、低温(200℃)下で積層することによりバリア性が良好に保たれる事がわかった。また、実施例1、2においては、ポリエチレン蒸着層がバリア層を汚染などから保護し、バリア性劣化の防止に寄与していることが考えられる。
Figure 2008087175
酸素透過度
試験1、2より、インライン工程により金属または無機化合物層とポリエチレン層を蒸着成膜すると、シーラント材などに使用するポリエチレン層を後工程において従来よりも低温で積層できるようになり、熱による酸素バリア性の劣化を防いで良好な酸素バリア性を維持できることがわかった。
本発明は、食品容器、医薬品容器、電子部品など、ガスバリア性を必要とする包装材料に応用可能である。
従来のガスバリア性積層体の一形態の側断面である。 本発明によるガスバリア性積層体の製造工程の説明図である。 本発明の製造方法に使用して好適なガスバリア層とポリオレフィン蒸着層を連続して成膜する装置例の構造説明図である。
符号の説明
1: 高分子フィルム基材
2: 金属または無機化合物からなるガスバリア性蒸着層
3: 接着剤層
4: 溶融押し出し法によるヒートシール材の層
5: ポリオレフィン系ポリマーからなる蒸着層
31:巻きだしロール
32:巻き取りロール
33:真空ポンプA
34:真空ポンプB
35:真空ポンプC
36:遮蔽板A
37:遮蔽板B
38:遮蔽板C
39:電子線照射装置
40:プラズマ発生装置
41:蒸着用材料供給源
42:ガス供給装置
43:プロセスロール

Claims (6)

  1. 高分子フィルム基材の少なくとも一方の面に、少なくとも、金属または無機化合物からなるガスバリア層と、該ガスバリア層の上のポリオレフィン系ポリマーからなる層の2層を有するガスバリア性積層体の製造方法であって、該ガスバリア層および該ポリオレフィン系ポリマーからなる層の成膜・積層方法が真空蒸着法であり、かつ該ガスバリア層および該ポリオレフィン系ポリマーからなる層を、同一真空蒸着装置内において、真空状態を保持したまま、該高分子フィルム基材上に順次、成膜・積層することを特徴とするガスバリア性積層体の製造方法。
  2. 該ポリオレフィン系ポリマーからなる層の成膜・積層方法が真空蒸着法の一種であるプラズマ重合法であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性積層体の製造方法。
  3. 該ポリオレフィン系ポリマーからなる層の上に、溶融押し出し法によってポリオレフィン系ポリマーからなるヒートシール層を該ポリオレフィン系ポリマーが溶融する温度以上250℃以下の温度で積層することを特徴とする請求項1ないし2のいずれかに記載のガスバリア性積層体の製造方法。
  4. 該ガスバリア性積層体の層がアルミニウム、錫、またはチタンのいずれかよりなる層、あるいはそれらのいずれか2種以上の混合物よりなる層であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体の製造方法。
  5. 該ガスバリア性積層体の層が酸化アルミニウムまたは酸化珪素からなる層であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体の製造方法。
  6. 該ポリオレフィン系ポリマーよりなる層がポリエチレンの層であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のガスバリア性積層体の製造方法。
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CN115384149A (zh) * 2022-07-26 2022-11-25 升辉新材料股份有限公司 一种高阻隔单材化高分子膜及其制备方法

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