JP2008085624A - フィルタおよびフィルタ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 通過帯域の低周波側の減衰極を通過帯域の近傍に設けても、広帯域化による線路の特性インピーダンスの増加を低減し、小型化が容易なフィルタを提供する。
【解決手段】 第1および第2の入出力端子1,2と、基準電位が供給される基準ノード3と、第1の入出力端子1と基準ノード3との間に接続された第1の並列共振線路A1と、第1の入出力端子1と第2の入出力端子2との間に直列接続され、前段から出力された信号が後段に入力される第2〜第4の並列共振線路A2〜A4と、第2の入出力端子2と基準ノード3との間に接続された第5の並列共振線路A5と、第1の入出力端子と第2の入出力端子との間に接続された入出力間インダクタ4とを備えたフィルタである。接地電極に隣接させて、接地される並列共振線路を形成したので、線路の特性インピーダンスの増加が抑制されて誘電体層の厚みが抑制され、小型化(薄型化)が容易である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、通過帯域の低周波側および高周波側に減衰極を有するフィルタおよびフィルタ装置に関するものであり、例えば携帯電話や無線LAN等の無線通信機器その他の各種通信機器等において使用されるフィルタ装置に関するものである。
近年、携帯電話機等の移動体通信機器等に使用されるフィルタ装置は、移動体通信機器等の薄型化や小型化の要求に伴い、誘電体同軸型共振器を用いたフィルタから分布定数回路を共振器に用いた積層ストリップラインフィルタへと進展してきている。
また、これらの積層ストリップラインフィルタは、通過周波数帯域の低周波側および高周波側の減衰帯域にそれぞれ減衰極を備えて尖鋭な帯域通過特性を有し、無線通信機などにおいて、所望周波数帯域の信号のみを選択的に通過させるとともに、通過帯域の低周波側および高周波側に近接した信号帯域における不所望信号の混入を防止して、良質の通信を行ない得るようにするために利用されている。
このような従来の積層ストリップラインフィルタとして、例えば、特許文献1に示されたものがある。特許文献1に示された従来の積層ストリップラインフィルタを、図7に回路構成図、図8に透視平面図、図9に断面図として示す。図9(a)および(b)はそれぞれ、図8のa−a’線およびb−b’線における断面図である。
図7に示すように、従来の積層ストリップラインフィルタは、先端短絡線路111〜115と先端開放線路121〜125とで構成されている。そして、先端短絡線路111と先端開放線路121とが並列に接続されることにより、並列共振線路B1が形成されている。また、先端短絡線路112と先端開放線路122とが並列に接続されて、並列共振線路B2が形成されている。また、先端短絡線路113と先端開放線路123とが並列に接続されて、並列共振線路B3が形成されている。また、先端短絡線路114と先端開放線路124とが並列に接続されて、並列共振線路B4が形成されている。また、先端短絡線路115と先端開放線路125とが並列に接続されて、並列共振線路B5が形成されている。
そして、並列共振線路B2の一方の端子は、並列共振線路B1を介して接地されるとともに入出力端子の一方が接続され、並列共振線路B2の他方の端子は、並列共振線路B3を介して接地されるとともに並列共振線路B4の一方の端子が接続され、並列共振線路B4の他方の端子は、並列共振線路B5を介して接地されるとともに入出力端子の他方が接続されてフィルタを構成している。
この構成において、一般に、フィルタの通過帯域を狭帯域化するためには、接地された並列共振線路B1,B3,B5を形成する先端短絡線路111,113,115の特性インピーダンスZL1b,ZL3b,ZL5bと先端開放線路121,123,125の特性インピーダンスZC1b,ZC3b,ZC5bとを小さくするか、もしくは入出力端子間に直列に接続された並列共振線路B2,B4を形成する先端短絡線路112,114の特性インピーダンスZL2b,ZL4bと先端開放線路122,124の特性インピーダンスZC2b,ZC4bとを小さくする必要がある。
しかし、狭帯域な通過帯域の近傍の減衰極を通過周波数帯域においてより通過帯域の近傍に移動させるためには、接地された並列共振線路B1,B3,B5の特性インピーダンスを大きくするか、または入出力端子間に直列に接続された並列共振線路B2,B4の特性インピーダンスを小さくする必要があり、接地された並列共振線路B1,B3,B5の特性インピーダンスは狭帯域化と相反する傾向にある。
そこで、必要な通過帯域を確保した上でその通過帯域の近傍に減衰極を有する狭帯域化を実現するには、接地された並列共振線路の特性インピーダンスも入出力端子間に直列に接続された並列共振線路の特性インピーダンスも共に小さくし、それらの大きさをそのフィルタ回路の入出力インピーダンスよりも十分小さくすることで、通過帯域の近傍に急峻な減衰極を有する狭帯域なフィルタを実現していた。
特開平10−276005号公報
しかしながら、近年の情報伝送容量の増加に伴い、無線通信機器は従来の周波数帯域では足りなくなり、高周波化と広帯域化とで利用帯域幅を拡張して情報伝送容量を確保するようになってきている。そこで、通過帯域が広く、そして通過帯域の近傍に減衰極を有するフィルタが求められるようになってきている。
このような状況において、従来の積層ストリップラインフィルタでは、通過帯域を広帯域化し、かつ通過帯域の近傍に減衰極を得ようとすると、接地された並列共振線路の特性インピーダンスを大きくする必要がある。そして、接地された並列共振線路の特性インピーダンスを大きくするには、図9に示す誘電体層131,133の厚みを厚くする必要がある。
図11に、接地された線路の特性インピーダンスZと線路幅Wと誘電体厚みhの比との関係を示している。共振器を構成する線路の特性インピーダンスZが大きくなると、構成する線路の厚みが厚くなり、積層基板の厚みの増大を招くという問題があった。
また、近年様々な新しい通信システムが登場してきており、異なるシステムの通過帯域が近接してきており、通過帯域のより近傍に減衰極を持つ(急峻度を増した)フィルタが望まれるようになった。しかしながら、従来のフィルタでは、通過帯域のより近傍に減衰極を設けようとすると、共振器を構成する線路の特性インピーダンスをより大きくする必要があり、それによって構成する線路の厚みが厚くなり、積層基板の厚みの更なる増大を招くという問題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、通過帯域の低周波側の近傍に第1の減衰極を、高周波側の近傍に第2の減衰極を有する周波数帯域特性を持つフィルタにおいて、フィルタの通過帯域の広帯域化による線路の特性インピーダンスの増加が低減されて小型化(特に薄型化)が容易であり、かつ通過帯域より低周波側の通過帯域のより近傍に第1の減衰極を設けることができるフィルタおよびフィルタ装置を提供することにある。
本発明のフィルタは、通過帯域の低周波側の近傍に第1の減衰極を、高周波側の近傍に第2の減衰極を有する周波数帯域特性を持つフィルタであって、第1および第2の入出力端子と、基準電位が供給される基準ノードと、前記第1の入出力端子と前記基準ノードとの間に接続された第1の並列共振線路と、前記第1の入出力端子と前記第2の入出力端子との間に直列接続され、前段から出力された信号が後段に入力される第2乃至第4の並列共振線路と、前記第2の入出力端子と前記基準ノードとの間に接続された第5の並列共振線路と、前記第1の入出力端子と前記第2の入出力端子との間に接続された入出力端子間インダクタとを備えていることを特徴とするものである。
本発明のフィルタ装置は、上記構成のフィルタを形成したフィルタ装置であって、対向するように配置された第1および第2の接地電極と、該第1および第2の接地電極間に積層された第1乃至第5の誘電体層と、該第1乃至第5の誘電体層の各層間に形成され、前記第1および第2の接地電極に電気的に接続された短絡端と開放端とを有する第1乃至第4の導体パターンと、前記第1乃至第5の誘電体層のいずれかに形成された第1および第2の入出力端子電極と、前記第1乃至第5の誘電体層のいずれかの層間に、前記第1および第2の入出力端子電極に接続されて形成されている入出力端子間インダクタ電極とを備え、第1の並列共振線路が、前記第1の接地電極および前記第1の導体パターン間に形成され、第2乃至第4の並列共振線路が、前記第1乃至第4の導体パターンの各導体パターン間に形成され、第5の並列共振線路が、前記第2の接地電極および前記第4の導体パターン間に形成され、入出力端子間インダクタが前記入出力端子間インダクタ電極により形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタ装置は、上記構成において、前記第1乃至第5の並列共振線路の長さ、または前記第1乃至第4の導体パターンの短絡端から開放端までの長さが、通過帯域の中心周波数の波長の1/2以下であることを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタ装置は、上記構成において、前記第1および第4の導体パターンは、前記第2および第3の導体パターンと平面視で重なるように配置されており、かつ前記第2および第3の導体パターンより幅が広いことを特徴とするものである。
また、本発明のフィルタ装置は、上記構成において、前記第1および第2の接地電極と前記第1乃至第4の導体パターンの短絡端とが、前記第1乃至第5の誘電体層内に形成された貫通導体または前記第1乃至第5の誘電体層の側面に形成された側面導体により電気的に接続されていることを特徴とするものである。
本発明のフィルタによれば、通過帯域の低周波側の近傍に第1の減衰極を、高周波側の近傍に第2の減衰極を有する周波数帯域特性を持つフィルタであって、第1および第2の入出力端子と、基準電位が供給される基準ノードと、第1の入出力端子と基準ノードとの間に接続された第1の並列共振線路と、第1の入出力端子と第2の入出力端子との間に直列接続され、前段から出力された信号が後段に入力される第2乃至第4の並列共振線路と、第2の入出力端子と基準ノードとの間に接続された第5の並列共振線路とを備えていることから、広帯域化による線路の特性インピーダンスの増加を低減でき、特性インピーダンスの増加による誘電体層の厚みの増加を低減できるとともに、小型化が容易なフィルタを提供することができる。
また、本発明のフィルタによれば、第1の入出力端子と第2の入出力端子との間に接続された入出力端子間インダクタを備えていることから、第1および第2の入出力端子間を伝送される信号について、入出力端子間インダクタが位相を遅らせるように働く。そのため、通過帯域の低周波側において信号の位相を遅らせて、通過帯域により近い周波数で減衰させることができ、通過帯域のより近傍に第1の減衰極を設けることが可能となる。
よって、フィルタの通過帯域の広帯域化に伴う線路の特性インピーダンスの増加を低減することが可能で、小型化が容易であり、かつ通過帯域より低周波側の通過帯域のより近傍に第1の減衰極を設けることが容易なフィルタを提供することができる。
また、本発明のフィルタ装置によれば、上記構成の本発明のフィルタを備えたものであって、第1の並列共振線路が第1の接地電極および第1の導体パターン間に形成され、第2乃至第4の並列共振線路が第1乃至第4の導体パターンの各導体パターン間に形成され、第5の並列共振線路が第2の接地電極および第4の導体パターン間に形成され、第1乃至第5の誘電体層のいずれかの層間において入出力端子間インダクタが入出力端子間インダクタ電極により形成されていることから、広帯域化に伴う誘電体層の厚さの増大が低減されるため、小型化が容易で、かつ通過帯域より低周波側の近傍に急峻な減衰極を有するフィルタ装置を提供することができる。
また、本発明のフィルタ装置によれば、第1乃至第5の並列共振線路の長さ、または、第1乃至第4の導体パターンの短絡端から開放端までの長さが、通過帯域の中心周波数の波長の1/2以下であるときには、第1乃至第4の導体パターンの長さを抑えることができ、小型化がより容易となる。
また、本発明のフィルタ装置によれば、第1および第4の導体パターンが、第2および第3の導体パターンと平面視で重なるように配置されており、かつ、第2および第3の導体パターンより幅が広いときには、特性劣化の原因となる浮遊容量を低減でき、より高性能なフィルタ装置とすることができる。
また、本発明のフィルタ装置によれば、第1および第2の接地電極と第1乃至第4の導体パターンの短絡端とが、第1乃至第5の誘電体層内に形成された貫通導体または第1乃至第5の誘電体層の側面に形成された側面導体により電気的に接続されているときには、積層された複数の誘電体層の内部に形成するフィルタ装置の設計自由度が向上するとともに、小型で高性能なフィルタ装置とすることができる。
本発明のフィルタおよびフィルタ装置について図面を参照しつつ以下に詳細に説明する。図1は、本発明のフィルタの実施の形態の例を示す回路構成図である。図2〜図4は図1のフィルタを積層構造で構成した本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例である。図2は本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例を示すフィルタ装置の透視斜視図、図3は本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例を示すフィルタ装置を平面視した(積層方向から見た)透視平面図、図4(a)は図3におけるa−a’線断面図、図4(b)は図3におけるb−b’線断面図である。
図1において、11〜15は第1〜第5の先端短絡線路、21〜25は第1〜第5の先端開放線路であり、第1の先端短絡線路11と第1の先端開放線路21とが並列に接続されて第1の並列共振線路A1が形成され、第2の先端短絡線路12と第2の先端開放線路22とが並列に接続されて第2の並列共振線路A2が形成され、第3の先端短絡線路13と第3の先端開放線路23とが並列に接続されて第3の並列共振線路A3が形成され、第4の先端短絡線路14と第4の先端開放線路24とが並列に接続されて第4の並列共振線路A4が形成され、第5の先端短絡線路15と第5の先端開放線路25とが並列に接続されて第5の並列共振線路A5が形成されている。また、1および2は第1および第2の入出力端子であり、3は基準電位が供給される基準ノード、4は入出力端子間インダクタである。基準電位は、例えば、接地電位GND等である。
本発明のフィルタは、第1の入出力端子1と基準ノード3との間に接続された第1の並列共振線路A1と、第1の入出力端子1と第2の入出力端子2との間に直列接続され、前段から出力された信号が後段に入力される第2乃至第4の並列共振線路A2〜A4と、第2の入出力端子2と基準ノード3との間に接続された第5の並列共振線路A5と、第1の入出力端子1と第2の入出力端子2の間に接続された入出力端子間インダクタ4とを備えている。そして、本発明のフィルタは、伝送線路を介して外部回路に電気的に接続され、第1の入出力端子1、第2の入出力端子2から高周波信号が入出力される。
第1および第2の入出力端子1,2は、高周波信号の入力および出力の端子として用いられる場合と、入力もしくは出力のどちらかに用いられる場合とがある。第1および第2の入出力端子1,2が入力もしくは出力のどちらかに用いられる場合は、例えば、第1の入出力端子1から高周波信号が入力されて、第2の入出力端子2から信号が出力される。
また、図2〜図4において、31は第1の誘電体層、32は第1の誘電体層31の上に積層された第2の誘電体層、33は第2の誘電体層32の上に積層された第3の誘電体層、34は第3の誘電体層33の上に積層された第4の誘電体層、35は第4の誘電体層34の上に積層された第5の誘電体層である。41は第1の誘電体層31の下面に配された第1の接地電極、42は第5の誘電体層35の上面に配された第2の接地電極、51および61はそれぞれ第1および第2の誘電体層31,32の間に配された第1の先端短絡電極および第1の先端開放電極、52および62はそれぞれ第2および第3の誘電体層32,33の間に配された第2の先端短絡電極および第2の先端開放電極、53および63はそれぞれ第3および第4の誘電体層33,34の間に配された第3の先端短絡電極および第3の先端開放電極、54および64はそれぞれ第4および第5の誘電体層34,35の間に配された第4の先端短絡電極および第4の先端開放電極、43は第1の先端開放電極61に接続された第1の入出力端子、44は第4の先端開放電極64に接続された第2の入出力端子、45は第1乃至第5のいずれかの層間に第1および第2の入出力端子に接続されて形成された入出力端子間インダクタ電極である。
そして、第1の先端短絡電極51と第1の先端開放電極61が接続されて短絡端と開放端とを有する第1の導体パターンM1が形成され、第2の先端短絡電極52と第2の先端開放電極62が接続されて短絡端と開放端とを有する第2の導体パターンM2が形成され、第3の先端短絡電極53と第3の先端開放電極63が接続されて短絡端と開放端とを有する第3の導体パターンM3が形成され、第4の先端短絡電極54と第4の先端開放電極64が接続されて短絡端と開放端とを有する第4の導体パターンM4が形成されている。
図1に示した第1の並列共振線路A1が、第1の接地電極41および第1の導体パターンM1間に形成されており、第5の並列共振線路A5が第2の接地電極42および第4の導体パターンM4間に形成されている。また、図1に示した第2乃至第4の並列共振線路A2〜A4が、第1乃至第4の導体パターンM1〜M4の各導体パターン間に形成されている。
詳細には、第2の並列共振線路A2が第1の導体パターンM1および第2の導体パターンM2間に形成され、第3の並列共振線路A3が第2の導体パターンM2および第3の導体パターンM3間に形成され、第4の並列共振線路A4が第3の導体パターンM3および第4の導体パターンM4間に形成されている。
そして、第1の接地電極41および第1の先端短絡電極51は第1の誘電体層31を挟んで平面視で重なるように平行に配されて第1の先端短絡線路11を構成し、第1および第2の先端短絡電極51,52は第2の誘電体層32を挟んで平面視で重なるように平行に配されて第2の先端短絡線路12を構成し、第2および第3の先端短絡電極52,53は第3の誘電体層33を挟んで平面視で重なるように平行に配されて第3の先端短絡線路13を構成し、第3および第4の先端短絡電極53,54は第4の誘電体層34を挟んで平面視で重なるように平行に配されて第4の先端短絡線路14を構成し、第2の接地電極42および第4の先端短絡電極54は第5の誘電体層35を挟んで平面視で重なるように平行に配されて第5の先端短絡線路15を構成している。
また、第1の接地電極41および第1の先端開放電極61は第1の誘電体層31を挟んで平面視で重なるように平行に配されて第1の先端開放線路21を構成し、第1および第2の先端開放電極61,62は第2の誘電体層32を挟んで平面視で重なるように平行に配されて第2の先端開放線路22を構成し、第2および第3の先端開放電極62,63は第3の誘電体層33を挟んで平面視で重なるように平行に配されて第3の先端開放線路23を構成し、第3および第4の先端開放電極63,64は第4の誘電体層34を挟んで平面視で重なるように平行に配されて第4の先端開放線路24を構成し、第2の接地電極42および第4の先端開放電極64は第5の誘電体層35を挟んで平面視で重なるように平行に配されて第5の先端開放線路25を構成している。
また、入出力端子間インダクタ電極45により入出力端子間インダクタ4が形成されている。
図3では、第1〜第4の先端短絡電極51〜54と第1〜第4の先端開放電極61〜64とについての構成を示すため、第1および第2の接地電極41,42、第1および第2の入出力端子電極43,44、入出力端子間インダクタ電極45を図示から省いている。
また、第1乃至第5の並列共振線路A1〜A5の長さ、または第1乃至第4の導体パターンM1〜M4の短絡端から開放端までの長さが、通過帯域の中心周波数の波長の1/2以下であるものとしている。
さらに、第1および第4の導体パターンM1,M4は、第2および第3の導体パターンM2,M3と平面視で重なるように配置されており、かつ第2および第3の導体パターンM2,M3より幅が広いものとされている。
このような構成の本発明のフィルタおよびフィルタ装置は、第1および第2の接地電極41,42と第1乃至第4の導体パターンM1〜M4の短絡端とが、第1乃至第5の誘電体層31〜35内に形成された貫通導体または第1乃至第5の誘電体層31〜35の側面に形成された側面導体(図示せず)を用いて接続された構成とすることにより、3次元的な配線設計が可能となり、積層された複数の誘電体層の内部に形成するフィルタ装置の設計自由度が向上するので、小型で高性能なフィルタ装置となる。
本発明のフィルタおよびフィルタ装置によれば、第1の入出力端子1と基準ノード3との間に第1の並列共振線路A1が接続され、第1の入出力端子1と第2の入出力端子2との間に第2乃至第4の並列共振線路A2乃至A4が直列接続され、第2の入出力端子2と基準ノード3との間に第5の並列共振線路A5が接続された構成を備えることから、広帯域化による線路の特性インピーダンスの増加を低減できる。そのため、誘電体層31〜35の厚みの増加を低減でき、小型化が容易なフィルタおよびフィルタ装置を提供することができる。以下に、その理由を説明する。
本発明のフィルタの回路構成の先端短絡線路11,先端開放線路21の特性インピーダンスZL1a,ZC1aと従来のフィルタの回路構成の先端短絡線路111,先端開放線路121,先端短絡線路115,先端開放線路125の特性インピーダンスZL1b,ZC1b,ZL5b,ZC5bと、低周波側および高周波側の通過帯域の周波数f−1,f+1、減衰極の周波数f−∞,f+∞との関係を以下の式に示す。
Figure 2008085624
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本発明のフィルタおよびフィルタ装置(第1のフィルタおよびフィルタ装置)によれば、回路構成の先端短絡線路11,先端開放線路21の特性インピーダンスZL1a,ZC1aは、式(1)、式(2)で示すように、通過帯域の広帯域度fw1/ft(≒g/2)に比例して増加し、また、減衰域の急峻度fw∞/fw1(≒q)においても高くなるにつれて増加する。従来のフィルタの回路構成の先端短絡線路111,先端開放線路121,先端短絡線路115,先端開放線路125の特性インピーダンスZL1b,ZC1b,ZL5b,ZC5bは、式(3)〜(6)で示される。
その結果、式(7)で示すように、本発明のフィルタの回路構成の先端短絡線路11の特性インピーダンスZL1aは、従来のフィルタの回路構成の線路先端短絡線路111,115の特性インピーダンスZL1b,ZL5bより小さくなる。同じく、本発明のフィルタの回路構成の先端開放線路21の特性インピーダンスZC1aは、従来のフィルタの回路構成の先端開放線路121,125の特性インピーダンスZC1b,ZC5bより小さくなる。特に、従来のフィルタの回路構成の先端短絡線路111の特性インピーダンスZL1bは、本発明のフィルタの回路構成の先端短絡線路11の特性インピーダンスZL1aに対し、Ω−1の2乗の項が除算されるため、広帯域度が大きくなるにつれ、その差異が急激に増大する傾向にある。
また、Ω−1の2乗の項は、従来のフィルタの回路構成において、先端短絡線路111,先端開放線路121で構成された並列共振線路B1の共振周波数として、通過帯域の低周波側の周波数f−1を形成するために、先端短絡線路111の特性インピーダンスZL1bの式に除算されることとなる。一方、本発明のフィルタの回路構成において、先端短絡線路11,先端開放線路21で構成された並列共振線路A1の共振周波数は、通過帯域の中心周波数ftを形成するために、先端短絡線路11の特性インピーダンスZL1aの式にΩtの2乗の項を形成することになる。ただし、Ωtの2乗は1であるため、式(1)の通りとなり、先端短絡線路11の特性インピーダンスZL1aは、先端短絡線路111の特性インピーダンスZL1bと比べて少なくともΩ−1の2乗の項の分、大きく低減できることとなる。この効果は広帯域なほど顕著になる。
同様に、接地された並列共振線路15,25等の他の線路においても広帯域化に伴う特性インピーダンスの増加を低減することができる。
したがって本発明のフィルタおよびフィルタ装置は、従来のフィルタに比べて広帯域化に伴う並列共振線路の特性インピーダンスの増加が低減されて誘電体層の厚みの増加が低減されるので、小型化が容易なフィルタおよびフィルタ装置とすることができる。
また、このような本発明のフィルタおよびフィルタ装置において、通過帯域より低周波側の第1の減衰極は、通過帯域の低周波側の近傍に、第1の入出力端子43と第2の入出力端子44との位相差が反転する点すなわちゼロになる点に発現する。本発明のフィルタおよびフィルタ装置では、第1の入出力端子43および第2の入出力端子44に接続されて入出力端子間インダクタ電極45が形成され、この入出力端子間インダクタ電極45により入出力端子間インダクタ4が形成されていることから、第1および第2の入出力端子間43,44を伝送される信号について、入出力端子間インダクタ電極45が位相をより遅らせるように働く。そのため、第1の入出力端子43と第2の入出力端子44との位相差が反転する周波数をより通過帯域に近づけることができるため、通過帯域の低周波側のより近傍に第1の減衰極を設けることが可能となる。
よって、本発明のフィルタおよびフィルタ装置によれば、小型化が容易であり、かつ通過帯域より低周波側の通過帯域のより近傍に第1の減衰極を設けることが容易なフィルタおよびフィルタ装置を提供することができる。
本発明のフィルタ装置に用いる第1〜第5の誘電体層31〜35としては、例えば、アルミナセラミックス,ムライトセラミックス等のセラミックス材料やガラスセラミックス等の無機系材料、あるいは四ふっ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン;PTFE),四ふっ化エチレン−エチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合樹脂;ETFE),四ふっ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン−パーフルテロアルキルビニルエーテル共重合樹脂;PFA)等のフッ素樹脂やガラスエポキシ樹脂,ポリイミド等の樹脂系材料等が用いられる。これらの材料による第1〜第5の誘電体層31〜35の形状や寸法(厚みや幅,長さ)は、使用される周波数や用途等に応じて設定される。
本発明のフィルタ装置における第1および第2の接地電極41,42、第1乃至第4の導体パターンM1〜M4、第1および第2の入出力端子43,44、入出力端子間インダクタ電極45は、高周波信号伝送用の金属材料の導体層、例えばCu層、Mo−Mnのメタライズ層上にNiメッキ層およびAuメッキ層を被着させたもの、Wのメタライズ層上にNiメッキ層およびAuメッキ層を被着させたもの、Cr−Cu合金層、Cr−Cu合金層上にNiメッキ層およびAuメッキ層を被着させたもの、TaN層上にNi−Cr合金層およびAuメッキ層を被着させたもの、Ti層上にPt層およびAuメッキ層を被着させたもの、またはNi−Cr合金層上にPt層およびAuメッキ層を被着させたもの等を用いて、厚膜印刷法あるいは各種の薄膜形成方法やメッキ法等により形成される。その厚みや幅も、伝送される高周波信号の周波数や用途等に応じて設定される。
本発明のフィルタ装置に用いる第1〜第5の誘電体層31〜35の形成にあたっては、例えば誘電体層がガラスセラミックスから成る場合であれば、まず誘電体層となるガラスセラミックスのグリーンシートを準備し、これに所定の打ち抜き加工を施して貫通導体となる貫通孔を形成した後、スクリーン印刷法によりCu等の導体ペーストを貫通孔に充填するとともに、所定の伝送線路パターンおよびその他の導体層のパターンを印刷塗布する。次に、850〜1000℃で焼成を行ない、最後に外表面に露出している導体層上にNiメッキおよびAuメッキを施す。
図5は、図1〜図4に示す構成の本発明のフィルタ装置のフィルタ特性の代表例を示したものである。また、図10は、図7〜図9に示す従来のフィルタにおいて得られるフィルタ特性を示したものである。
図5において横軸は通過帯域の中心周波数で規格化した周波数f/ftを、縦軸は通過特性(単位:dB)を、f−1,f+1は低周波側および高周波側の通過帯域の周波数を、f−∞,f+∞は低周波側および高周波側の減衰極の周波数を、fw1は通過帯域幅を、fw∞は減衰極間の幅を表す。図5のフィルタ特性図から分かるように、本発明のフィルタ装置は、従来のフィルタ装置のフィルタ特性図である図10と比較して、広帯域な特性を有している。
図1〜図4に示す構成の本発明のフィルタおよびフィルタ装置の場合は、広帯域化によって、構成する線路の特性インピーダンスは増加する傾向にあるが、接地された並列共振線路の共振周波数は、従来の構成ではf−1を形成するのに対して、通過帯域の中心周波数ftを形成するために、特性インピーダンスの式にΩ−1の2乗の項が除算されることが無い。このため、従来の構成と比較して線路の特性インピーダンスの増加を低減でき、結果として厚みの増加を低減し、小型化が容易なフィルタおよびフィルタ装置を提供することができる。
また、図6において、実線は図1に示す構成の本発明のフィルタにおける挿入特性の例であり、破線は図1に示す構成の本発明のフィルタに対して、その入出力端子間インダクタ4がない構成の場合のフィルタの特性を示す挿入特性の例である。図6において横軸は周波数(単位:GHz)を、縦軸は通過特性(単位:dB)を表す。図6に示す結果より、本発明のフィルタの実施の形態の例では、破線で示す従来の構成のフィルタ特性の例に比べて、低周波側の第1の減衰極をより通過帯域の近傍に設けることができていることが分かる。
このことから、第1の入出力端子1と第2の入出力端子2との間に入出力端子間インダクタ4を設けたことによって、通過帯域の低周波側の第1の減衰極が近づいた(急峻度が増す)際に生じる、線路の特性インピーダンスの増加をより低減でき、高インピーダンス化による厚みの増加を低減し、更なる小型化が容易なフィルタ装置を提供することができることがわかる。
なお、本発明のフィルタ装置は、第1乃至第5の並列共振線路A1〜A5の長さ、つまり、第1乃至第4の導体パターンM1〜M5の短絡端から開放端までの長さが、通過帯域の中心周波数の波長の1/2以下であることが好ましい。
この場合には、第1乃至第4の導体パターンM1〜M5の長さを抑えることができ、小型化がより容易となる。
また、本発明のフィルタ装置は、第1および第4の導体パターンM1,M4が、第2および第3の導体パターンM2,M3と平面視で重なるように配置されており、かつ、第2および第3の導体パターンM2,M3より幅が広いことにより、第2および第3の導体パターンM2,M3と第1および第2の接地電極41,42との間に静電容量が発生することが効果的に防止されるため、特性劣化の原因となる浮遊容量を低減でき、より高性能なフィルタ装置とすることができる。
また、本発明のフィルタ装置は、第1および第2の接地電極41,42と第1乃至第4の導体パターンM1〜M4(第1〜第5の先端短絡電極51〜55)の短絡端とが、第1乃至第5の誘電体層内に形成された貫通導体(図示せず)または第1乃至第5の誘電体層の側面に形成された側面導体(図示せず)により電気的に接続されていることにより、積層された複数の誘電体層の内部に形成するフィルタ装置の設計自由度が向上するとともに、より小型で高性能なフィルタ装置とすることができる。
このような貫通導体や側面導体は、第1〜第4の導体パターンM1〜M4と同様の金属材料を用い、同様の方法で、または誘電体層となる未焼成のセラミック材料にあらかじめ形成しておいた貫通孔内に充填すること等により形成することができる。
本発明のフィルタの実施の形態の例を示す回路構成図である。 本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例を示すフィルタ装置の透視斜視図である。 本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例を示すフィルタ装置の透視平面図である。 図3に示す本発明のフィルタ装置の実施の形態の一例の断面図であり、(a)はa−a’線断面図、(b)はb−b’線断面図である。 本発明のフィルタ装置における通過特性の例を示す線図である。 本発明のフィルタにおける通過特性の例を示す線図である。 従来のフィルタの例を示す回路構成図である。 従来のフィルタ装置の例を示す透視平面図である。 図9に示す従来のフィルタ装置の例を示す断面図であり、(a)はa−a’線断面図、(b)はb−b’線断面図である。 従来のフィルタ装置における通過特性の例を示す線図である。 接地された線路の特性インピーダンスZと線路幅Wと誘電体厚みhの比との関係図である。
符号の説明
1・・・・第1の入出力端子
2・・・・第2の入出力端子
3・・・・基準ノード
4・・・・入出力端子間インダクタ
11・・・・第1の先端短絡線路
12・・・・第2の先端短絡線路
13・・・・第3の先端短絡線路
14・・・・第4の先端短絡線路
15・・・・第5の先端短絡線路
21・・・・第1の先端開放線路
22・・・・第2の先端開放線路
23・・・・第3の先端開放線路
24・・・・第4の先端開放線路
25・・・・第5の先端開放線路
45・・・・入出力端子間インダクタ電極
A1・・・第1の並列共振線路
A2・・・第2の並列共振線路
A3・・・第3の並列共振線路
A4・・・第4の並列共振線路
A5・・・第5の並列共振線路

Claims (5)

  1. 第1および第2の入出力端子と、基準電位が供給される基準ノードと、前記第1の入出力端子と前記基準ノードとの間に接続された第1の並列共振線路と、前記第1の入出力端子と前記第2の入出力端子との間に直列接続され、前段から出力された信号が後段に入力される第2乃至第4の並列共振線路と、前記第2の入出力端子と前記基準ノードとの間に接続された第5の並列共振線路と、前記第1の入出力端子と前記第2の入出力端子との間に接続された入出力端子間インダクタとを備えていることを特徴とするフィルタ。
  2. 対向するように配置された第1および第2の接地電極と、該第1および第2の接地電極間に積層された第1乃至第5の誘電体層と、該第1乃至第5の誘電体層の各層間に形成され、前記第1および第2の接地電極に電気的に接続された短絡端と開放端とを有する第1乃至第4の導体パターンと、前記第1乃至第5の誘電体層のいずれかに形成された第1および第2の入出力端子電極と、前記第1乃至第5の誘電体層のいずれかの層間に、前記第1および第2の入出力端子電極に接続されて形成されている入出力端子間インダクタ電極とを備え、第1の並列共振線路が、前記第1の接地電極および前記第1の導体パターン間に形成され、第2乃至第4の並列共振線路が、前記第1乃至第4の導体パターンの各導体パターン間に形成され、第5の並列共振線路が、前記第2の接地電極および前記第4の導体パターン間に形成され、入出力端子間インダクタが前記入出力端子間インダクタ電極により形成されていることを特徴とするフィルタ装置。
  3. 前記第1乃至第5の並列共振線路の長さ、または前記第1乃至第4の導体パターンの短絡端から開放端までの長さが、通過帯域の中心周波数の波長の1/2以下であることを特徴とする請求項2記載のフィルタ装置。
  4. 前記第1および第4の導体パターンは、前記第2および第3の導体パターンと平面視で重なるように配置されており、かつ前記第2および第3の導体パターンより幅が広いことを特徴とする請求項2または請求項3記載のフィルタ装置。
  5. 前記第1および第2の接地電極と前記第1乃至第4の導体パターンの前記短絡端とが、前記第1乃至第5の誘電体層内に形成された貫通導体または前記第1乃至第5の誘電体層の側面に形成された側面導体により電気的に接続されていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれか記載のフィルタ装置。
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