JP2008084761A - 光電変換素子およびその製造方法、ならびに光電変換素子用電極 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気抵抗が小さく電流損失の少ない光電変換素子およびその製造方法、ならびに光電変換素子用電極を提供する。
【解決手段】金属電極12と、金属電極12に隣接して設けられた酸化物層13と、酸化物層13によって担持された色素15と、金属電極12の酸化物層13の側に対向配置された対向電極11と、酸化物層13と対向電極11との間に設けられた電解質層14とを備えている。これにより、電気抵抗が小さくなり、電流損失が低減される。特に、酸化物層13を、金属電極12に電解析出を用いて形成することにより、金属電極12の腐食が抑制されるため、光電変換効率や寿命特性の悪化を防ぐことができる。
【選択図】図1
【解決手段】金属電極12と、金属電極12に隣接して設けられた酸化物層13と、酸化物層13によって担持された色素15と、金属電極12の酸化物層13の側に対向配置された対向電極11と、酸化物層13と対向電極11との間に設けられた電解質層14とを備えている。これにより、電気抵抗が小さくなり、電流損失が低減される。特に、酸化物層13を、金属電極12に電解析出を用いて形成することにより、金属電極12の腐食が抑制されるため、光電変換効率や寿命特性の悪化を防ぐことができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、色素を利用して構成された光電変換素子およびその製造方法、ならびにそのような光電変換素子に用いられる光電変換素子用電極に関する。
従来、太陽光等の光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池として、色素を光増感剤として用いた色素増感型の太陽電池が知られている。この色素増感型の太陽電池は、一般に普及しているシリコン半導体を用いた太陽電池よりも、製造コストを削減でき、大がかりな設備を必要としないため、次世代の太陽電池として注目されており、実用化に向けて開発が進められている(例えば、特許文献1〜4)。
一般に、色素増感型の太陽電池は、色素が光を吸収して電子を放出する性質を利用して発電を行うものであり、電解液を介した電気化学的なセル構造を持つのが特徴である。具体的には、透明電極に二酸化チタン(TiO2)等の酸化物を焼き付けて多孔質構造とし、色素を吸着させたものに、対極となる透明電極を、電解液を介して貼り合わせた構造を有している。このような構造において、光を吸収した色素が電子を放出すると、この電子が酸化物から注入されて透明電極間を移動し、一方、電解液中では酸化還元反応が繰り返される。これにより、定常的に光電変換が行われる仕組みとなっている。
特開平1−220380号公報
特開平5−504023号公報
特表2002−512729号公報
特開2003−308891号公報
ところが、上記のような色素増感型の太陽電池では、酸化物の層の下地電極として透明電極、例えばITO(インジウム・スズ酸化物)やFTO(フッ素ドープ酸化スズ)等を用いているため、電気抵抗が大きく、その結果、電流損失が生じるという問題があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、電気抵抗が小さく電流損失の少ない光電変換素子およびその製造方法を提供することにある。
本発明に係る光電変換素子は、金属電極と、金属電極に隣接して設けられた酸化物層と、酸化物層によって担持された色素と、金属電極の酸化物層の側に対向配置された対向電極と、酸化物層と対向電極との間に設けられた電解質層とを備えたものである。
本発明に係る光電変換素子では、光が対向電極側より入射すると、対向電極および電解質層を透過して、酸化物層に担持される色素に吸収される。光を吸収した色素は電子を放出し、この電子が、酸化物層から注入されたのち、電気抵抗の小さな金属電極を伝わり、対向電極へ移動する。一方、電解質層においては、両極間での電子の移動に伴って、酸化還元反応が繰り返される。これにより、電子が両極および電解質中を連続的に移動し、定常的に光電変換が行われる。
また、本発明の光電変換素子では、酸化物層が、金属電極との界面に沿って、連続膜構造を有することが好ましい。これにより、金属電極が電解質層に対して実質的に暴露されることがないため、金属電極を構成する金属の電解質層への溶出が抑制される。ここで、「連続膜構造」とは、「金属電極を構成する金属の電解質層への溶出を抑制することが可能な」酸化物層の結晶構造を意味するものとする。また、「隣接する」には、金属電極の表面が自然に酸化することにより生じる酸化膜(厚みは0.5nm以下程度)が酸化物層と金属電極との間に存在している場合も含むものとする。
さらに、本発明に係る光電変換素子では、金属電極の酸化物層の側とは反対側の面に、絶縁膜を備えていることが好ましい。これにより、素子全体の機械的な強度やハンドリング性が向上する。
本発明に係る光電変換素子用電極は、金属電極と、金属電極に隣接して設けられた酸化物層と、酸化物層によって担持された色素とを備えたものである。
本発明に係る光電変換素子用電極では、酸化物層によって担持された色素が光を吸収することにより電子を放出し、この電子が酸化物層に注入されたのち、電気抵抗の小さな金属電極に移動する。これにより、光電変換が行われる。
また、本発明に係る光電変換素子用電極では、酸化物層が、金属電極との界面に沿って連続膜構造を有することが好ましい。これにより、例えば、対向する電極との間に電解液を狭持して光電変換素子を構成する場合に、金属電極が電解液に対して実質的に暴露されることがないため、金属電極の腐食が抑制される。
本発明に係る光電変換素子の製造方法は、金属電極に、電解析出により酸化物層を形成する工程と、酸化物層に色素を吸着させる工程と、金属電極と対向電極とを、酸化物層を間にして重ね合わせる工程と、対向電極と酸化物層との間に電解液を含浸させる工程と
を含むものである。
を含むものである。
本発明に係る光電変換素子の製造方法では、金属電極に、電解析出を用いて酸化物層を形成することにより、酸化物層の電解質層に対向する側は多孔質構造となる一方、酸化物層の金属電極との界面近傍は連続膜構造となる。これにより、光増感のための色素を十分に担持すると共に、金属電極を構成する金属の電解質層への溶出を抑制可能な酸化物層が形成される。
また、本発明に係る光電変換素子の製造方法では、酸化物層を形成する前に、金属電極に形成された酸化膜を除去するようにしてもよい。これにより、金属電極を構成する金属の電解質層への溶出が、より効果的に抑制される。
さらに、本発明に係る光電変換素子の製造方法では、金属電極の一方の面に絶縁膜を形成したのち、電解析出により酸化物層を形成するようにしてもよい。これにより、金属電極の絶縁層に覆われていない面に対してのみ電解析出作用を集中させることができる。
本発明に係る光電変換素子によれば、金属電極と対向電極との間に、電解質層と、色素を担持する酸化物層とを設け、かつ酸化物層が金属電極に隣接するようにしたので、電気抵抗が小さく電流損失の少ない光電変換素子を実現することができる。
特に、酸化物層が、金属電極との界面に沿って連続膜構造を有するようにすれば、金属電極の腐食が抑制されるため、光電変換効率や寿命特性等の悪化を防ぐことができる。
さらに、金属電極の酸化物層の側とは反対側の面に、絶縁膜を設けるようにすれば、素子の機械的強度やハンドリング性が向上する。
本発明に係る光電変換素子用電極によれば、色素を担持する酸化物層を金属電極に隣接して設けるようにしたので、電気抵抗が小さくなり、電流損失の少ない光電変換素子を作製することが可能となる。
特に、酸化物層が、金属電極との界面に沿って連続膜構造を有するようにすれば、例えば、電解液の酸化還元作用を利用する光電変換素子等に用いられる場合に、変換効率や寿命特性等の悪化を防ぐことができる。
本発明に係る光電変換素子の製造方法によれば、金属電極に、電解析出により酸化物層を形成するようにしたので、色素を十分に担持しつつ、金属電極の腐食を抑制する構造を有する酸化物層を形成することができる。これにより、電流損失が少なく、光電変換効率や寿命特性の悪化が防止された色素増感型光電変換素子を作製することが可能となる。
また、酸化物層を形成する前に、金属電極の表面に形成された酸化膜を除去するようにすれば、金属電極の腐食の抑制に有利となり、光電変換効率や寿命特性の悪化が効果的に防止される。
さらに、金属電極の一方の面に絶縁膜を形成したのち、他方の面に、電解析出により酸化物層を形成するようにすれば、金属電極の絶縁膜に覆われていない面に対してのみ電解析出作用が集中し、金属電極の腐食を効果的に抑制する酸化物層を、効率的に形成することが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に実施の形態という。)について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る色素増感型光電変換素子の断面構成を表すものである。この色素増感型光電変換素子は、色素増感型の太陽電池に好適に用いられるものであり、例えば、透明電極11と、この対極となる金属電極12とが対向するように配置されており、これらの間には、電解液層13と、色素15を担持する酸化物層14を備えている。
透明電極11は、透明性を有する電極、例えば、ITO(インジウム・スズ酸化物)、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)等により構成されている。また、厚みは、光透過性、導電性等の特性を考慮して選定され、例えば、0.1〜50μm程度である。この透明電極11は、光を電解液層14側へ透過させると共に、外部回路に対して、負極として機能するものである。
金属電極12は、例えば、SUS(Steel Use Stainless:ステンレス鋼材)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)等の金属及びそれらの合金により構成されており、厚みは、必要とされる導電性を考慮して選択され、例えば、0.05〜500μmである。この金属電極12は、後述の酸化物層13から電子を受け取り、外部回路に対して正極として機能するものである。
酸化物層13は、透明電極11と金属電極12との間に、金属電極12に隣接して設けられている。この酸化物層13は、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO2)等の酸化物半導体により構成され、厚みは例えば1〜100μmである。また、2種以上の酸化物半導体を組み合わせた構成としてもよく、ドープ層でもアンドープ層であってもよい。ただし、酸化物層13は、好ましくは酸化亜鉛により構成される。金属電極12に対して電解析出により形成した場合、金属電極の腐食をより効果的に抑制できるためである。
ここで、図2には、図1における領域Iの拡大図を示す。図2に示したように、酸化物層13の表面側(後述の電解液層14に対向する側)は、比表面積の大きな多孔質構造13Aとなっている。これは、表面付近に色素15を吸着させるためである。色素15としては、特に可視域及び赤外域の光に対して吸収性を有するものが挙げられる。また、酸化物層13に対して吸着性を有することが必要であるため、色素分子中にカルボキシル基、カルボン酸無水基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基などを有することが好ましい。具体的には、ルテニウム(Ru)金属錯体、アゾ系色素、キノン系色素、キノンイシン系色素、キナクリドン色素、スクアリリウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、トリフェニルメタン系色素、キサンラン系色素、ポリフェニル系色素、フタロシアニン系色素、ペリレン系色素、インジゴ系色素等が用いられる。色素15は、酸化物層13を構成する酸化物半導体が、ほとんど光を吸収しないため、光の吸収波長域を拡げる光増感剤として機能し、光を吸収することにより励起された電子を放出する性質を有している。
一方、酸化物層13の金属電極12との界面Sの近傍は、連続膜構造13Bとなっていることが好ましい。これは、金属電極12を構成する金属が電解液層14に対して、イオンとして溶出しにくい構造であり、言い換えれば、電解液層14から電解液が浸出することにより金属電極12が腐食されることが低減された構造である。また、このとき、連続膜構造13Bと金属電極12との間に、製造過程等で自然に生じた酸化膜が存在していたとしても、その厚みが0.5nm以下程度であれば、本実施の形態と同等の構成とみなすことができる。
電解液層14は、透明電極11と酸化物層13との間に含浸された電解液からなり、この電解液は、酸化還元対となるイオンを含んでいる。電解液としては、レドックス電解質を溶媒に添加した溶液が好ましい。レドックス電解質は、酸化還元対として、例えば、ヨウ素/ヨウ化物、臭素/臭化物等を有するものであることが好ましい。このような電解質としては、例えば、ハロゲン化セシウム、ハロゲン化四級アルキルアンモニウム類、ハロゲン化イミダゾリウム類、ハロゲン化チアゾリウム類、ハロゲン化オキサゾリウム類、ハロゲン化キノリニウム類、ハロゲン化ピリジニウム類から選ばれる一種以上とハロゲン単体との組み合わせを用いることができる。具体的には、ヨウ化セシウム、四級アルキルアンモニウムヨージド類のテトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラエブチルアンモニウムヨージド、テトラペンチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラへプチルアンモニウムヨージド、トリメチルフェニルアンモニウムヨージド、イミダゾリウムヨージド類として3−メチルイミダゾリウムヨージド、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨージド、チアゾリウムヨージド類として3−エチル−2−メチル−2−チアゾリウムヨージド、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムヨージド、3−エチル−2−メチルベンゾチアゾリウムヨージド、オキサゾリウムヨージド類として3−エチル−2−メチル−ベンゾキサゾリウムヨージド、キノリニウムヨージド類として1−エチル−2−メチルキノリニウムヨージド、ピリジニウムヨージド類の1種以上とヨウ素との組み合わせ、あるいは四級アルキルアンモニウムブロミド等と臭素との組み合わせを用いることができる。また、CuI、CuSCN、NiO、Cu2O、KIなどのp型半導体固体ホール輸送材料を用いてもよい。溶媒は水系でアセトニトリル−エチレンカーボネート混合溶液など様々なものを用いることができる。電解液層14は、電解液をゲル化剤によって半固体化したゲル状電解質の形態であってもよい。この電解液層14において、含有される酸化還元対イオンが、それぞれ、負極において酸化反応、正極において還元反応を繰り返すことにより、連続的な電子の移動を生じ、定常的は光電変換を可能にしている。
絶縁膜16は、金属電極12の酸化物層13の側とは反対側の面に設けられている。この絶縁膜16の厚みは、例えば50〜500μmである。また形態は、例えばシート状、ロール状等であり、絶縁膜16上に、複数の色素増感型光電変換素子が分割形成された構成であってもよい。
上記のような構成の色素増感型光電変換素子は、例えば、次のようにして作製することができる。
まず、絶縁膜16上に、例えば蒸着法、スパッタ法等を用いて金属電極12を形成する。あるいは、金属箔をそのまま金属電極12として用いるようにしてもよい。このとき、金属電極12の表面(特に、後述の酸化物層13を形成する面)に形成された自然酸化膜を除去することが好ましい。具体的には、金属電極12の表面に逆電位を印加することにより行う。次いで、形成した金属電極12に対して、電解析出により、酸化物層13を形成する。具体的には、例えば、亜鉛塩を含む電解浴中で電解析出を行う。亜鉛塩としては、例えば、塩化亜鉛(ZnCl)、臭化亜鉛(ZnBr)、ヨウ化亜鉛(ZnI)などのハロゲン化亜鉛、硝酸亜鉛(Zn(NO3)2)、過塩素酸亜鉛(Zn(ClO4)2)等を用いることが好ましい。また、ハロゲン化亜鉛を用いる場合は、酸素や空気によるバブリングを行うことが好ましい。この電解浴中に、金属電極12を含浸させて、金属電極12と対極との間に一定の電圧を印加することにより行う。このときの電解浴の温度は30〜100℃の範囲であることが好ましい。対極としては、例えば、亜鉛、金、白金(Pt)、銀(Ag)等を用いることができ、電解析出に際して、電解浴中で適宜運動させるようにしてもよい。対極の運動手段を有する装置としては、例えば、回転ディスク電極型電解装置、回転シリンダー電極型電解装置、振動電極型電解装置、スイング電極型電解装置、定速電極送り型電解装置等が挙げられる。
次いで、形成した酸化物層13の表面に、色素15を吸着させる。具体的には、色素15を例えばメタノール等の有機溶媒に溶解させた溶液中に、酸化物層13を浸漬することにより行う。浸漬の条件は適宜選択されるが、30℃の溶液に対しては、約3時間程度浸漬することが好ましい。
次に、金属電極12と、この対極となる透明電極11とを、酸化物層13を介して重ね合わせる。こののち、重ね合わせた透明電極11と酸化物層13との間に、電解液を含浸させることにより、電解液層14を形成する。最後に、電極間を有機樹脂等で固めて電解液層14を狭持させることにより、色素増感型光電変換素子を完成する。
次に、上記のような色素増感型光電変換素子およびその製造方法の作用、効果について説明する。
この色素増感型光電変換素子では、光が透明電極11側から入射すると、電解液層14を透過して、酸化物層13に照射される。照射された光は、酸化物層13に担持される色素15により吸収され、色素15中の電子を励起する。この励起された電子は、酸化物層13の伝導体に注入されたのち、隣接する金属電極12に伝わり、外部回路(図示せず)を介して、対極である透明電極11に到達する。一方、電解液層14では、色素15に残存するホールが電解液中のイオンを酸化し、この酸化されたイオンは、透明電極11側において、上述の電子を受けて再び還元される。このようにして、両極間における電子の移動とそれに伴う酸化還元反応とが繰り返されることにより、定常的な光電変換が行われる。
特に、酸化物層13に金属電極12が隣接して設けられていることにより、酸化物層13が色素15より享受した電子が直接的に金属電極へ引き渡される。従来の素子では、酸化物層13が、ITO等の電気抵抗の大きい透明電極に隣接していたため、これによる電流の損失が大きいという問題があったが、本実施の形態では、導電性の高い金属を電極として用いているので、素子の電気抵抗が小さくなり、電流損失を低減することできる。また、金属電極12が入射光に対する反射膜としても機能するため、素子内における光閉じ込めに有利となる。さらに、従来のITOやFTO等の透明電極材料は、高価であるため、安価な金属を電極として用いることにより、製造コストの削減を図ることができる。
また、酸化物層13が、金属電極12との界面Sに沿って連続膜構造13Aを有することにより、金属電極12が実質的に電解液層14に暴露されることがない。これにより、金属電極12を構成する金属の電解液層14への溶出が低減され、金属電極12が腐食することを抑制することができる。従って、光電変換効率や寿命特性の悪化を防止することができ、素子の信頼性が向上する。
この色素増感型光電変換素子の製造方法では、金属電極12の一面に、電解析出を用いて酸化物層13を形成するようにしたので、酸化物層13の表面付近では多孔質構造13Aとなり、一方、金属電極12との界面Sの近傍は連続膜構造13Bとなる。これは、析出の際の電解の強弱が、形成される酸化物層13の結晶性を左右しているためである。従って、電解の強い金属電極との界面Sの近傍と、電解の弱い表面付近とでは、上記のような異なった結晶構造が形成される。これにより、金属電極12を構成する金属が電解液層14に溶出することを低減しつつ、光増感のための色素15を十分に吸着できる構造を有する酸化物層13を形成することができる。また、常温、常圧下で酸化物層13を形成可能であるため、例えば複数の素子をロール状のフィルムに分散配置して形成する場合等、種々多様な形態に対応が可能となる。これに対して、酸化物層13を、金属電極12上に焼結により成長させて形成した場合には、酸化物層13全体に渡って孔が形成されるため、形成された孔から容易に電解液が浸出し、金属電極12を腐食させることとなり好ましくない。従って、電流損失が少なく、かつ光電変換効率や寿命特性の悪化が防止された色素増感型光電変換素子を作製することができる。
また、電解析出前に、金属電極12の表面に形成された自然酸化膜を除去するようにすれば、金属電極12を構成する金属の電解液層14への溶出が効果的に抑制される。これにより、金属電極12の腐食の抑制に有利となり、光電変換効率や寿命特性の悪化が効果的に防止される。
さらに、絶縁膜16を金属電極12の裏面(酸化物層13を形成しない面)に設けるようにすれば、電解析出の際に、絶縁膜16がマスクとなって、絶縁膜16を設けていない面に酸化物層13が形成される。すなわち、金属電極12の酸化物層13を形成したい領域に対してのみ、選択的に電解析出を行うことができ、電解析出作用を集中させることが可能となる。これにより、金属電極12の腐食を効果的に抑制する酸化物層13を、効率的に形成することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
(実施例)
実施例として、厚さ100μmのPETフィルム上に蒸着させたCuからなる金属電極12上に、電解析出により、酸化亜鉛(ZnO)よりなる酸化物層13を2μmの厚みで形成したのち、この上から電解液層14を接触させて、全体をガラスで封止した試料を作製した。作製した試料について、室温(25℃)で48時間放置したもの(条件1)と、高温多湿(温度80℃、湿度80%)の環境下で100時間放置したもの(条件2)とについて、接触させた電解液層14から抜き取った電解液の分析を行い、金属電極12を構成するCuイオンの濃度(ppm)を測定した。結果を表1に示す。
(実施例)
実施例として、厚さ100μmのPETフィルム上に蒸着させたCuからなる金属電極12上に、電解析出により、酸化亜鉛(ZnO)よりなる酸化物層13を2μmの厚みで形成したのち、この上から電解液層14を接触させて、全体をガラスで封止した試料を作製した。作製した試料について、室温(25℃)で48時間放置したもの(条件1)と、高温多湿(温度80℃、湿度80%)の環境下で100時間放置したもの(条件2)とについて、接触させた電解液層14から抜き取った電解液の分析を行い、金属電極12を構成するCuイオンの濃度(ppm)を測定した。結果を表1に示す。
また、上記実施例に対する比較例として、金属電極12上に、粒径0.5μmの酸化亜鉛粒子をペースト状にして、2μmの厚みで塗布したのち、400℃の温度で1時間焼成を行い結晶成長させた試料について、上記実施例と同様にして(条件1および条件2)、金属電極12のCuイオン濃度を測定した。結果を表1に示す。
表1に示したように、実施例では、条件1において測定限界値以下となり、条件2において0.03ppmのCuイオンが検出された。これに対し、比較例では、条件1において1ppm、条件2において12ppmものCuイオンが検出された。この結果から、電解析出により酸化物層13を形成した実施例では、焼結により形成した比較例に比べて、Cuイオンの電解液層14への溶出が、大幅に低減されている。特に、条件1の常温下では、測定限界値以下となり、ほとんど溶出されていないことがわかる。従って、酸化物層13を電解析出により形成することによって、金属電極12に隣接して酸化物層13が設けられていても、電解液の浸出による金属電極12の腐食が低減されることが示された。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、電極間に狭持される電解質として、電解液を用いる場合について説明したが、これに限定されず、固体電解質を用いるようにしてもよい。また、用途としては、色素増感型の太陽電池に限定されず、光センサ等、他の光電変換装置にも適用可能である。
11…透明電極、12…金属電極、13…酸化物層、13A…多孔質構造、13B…連続膜構造、14…電解液層、15…色素、16…絶縁膜。
Claims (8)
- 金属電極と、
前記金属電極に隣接して設けられた酸化物層と、
前記酸化物層によって担持された色素と、
前記金属電極の前記酸化物層の側に対向配置された対向電極と、
前記酸化物層と前記対向電極との間に設けられた電解質層と
を備えたことを特徴とする光電変換素子。 - 前記酸化物層は、前記金属電極との界面に沿って連続膜構造を有する
ことを特徴とする請求項1記載の光電変換素子。 - 前記金属電極の前記酸化物層の側とは反対側の面に絶縁膜を備えた
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光電変換素子。 - 金属電極と、
前記金属電極に隣接して設けられた酸化物層と、
前記酸化物層によって担持された色素と
を備えたことを特徴とする光電変換素子用電極。 - 前記酸化物層は、前記金属電極との界面に沿って連続膜構造を有する
ことを特徴とする請求項4記載の光電変換素子用電極。 - 金属電極に、電解析出により酸化物層を形成する工程と、
前記酸化物層に色素を吸着させる工程と、
前記金属電極と対向電極とを、前記酸化物層を間にして重ね合わせる工程と、
前記対向電極と前記酸化物層との間に電解液を含浸させる工程と
を含むことを特徴とする光電変換素子の製造方法。 - 前記金属電極の表面に形成された酸化膜を除去したのち、電解析出により前記酸化物層を形成する
ことを特徴とする請求項6記載の光電変換素子の製造方法。 - 前記金属電極の一方の面に絶縁膜を形成したのち、他方の面に前記酸化物層を形成する
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の光電変換素子の製造方法。
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JP2006265220A JP2008084761A (ja) | 2006-09-28 | 2006-09-28 | 光電変換素子およびその製造方法、ならびに光電変換素子用電極 |
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