JP2008080306A - 化学合成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
マイクロリアクタを利用しても生産量を増大させ、生成物の品質を向上する。
【解決手段】
マイクロ流路を有したマイクロリアクタ101を備えた化学合成装置において、複数個並列に配置されたマイクロリアクタ101と、原料を貯留する原料タンクと、原料を送液するポンプ105と、各マイクロリアクタの入口側及び出口側に配置された入口側電磁弁104及び出口側電磁弁105と、マイクロリアクタの温度を検出する温度センサ102と、ポンプ105の出口側に設置された圧力計106と、を備え、温度センサ102及び圧力計106で検出された値に関連して、入口側電磁弁104及び出口側流路電磁弁107の開閉並びにポンプ105の流量制御を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、数10〜数100μm程度のマイクロ流路内で二液を化学反応させるための化学合成装置に関し、特にマイクロ流路を並列化し生産量を増大させるものに好適である。
化学反応を行うためのマイクロデバイスはマイクロリアクタと呼ばれており、(1)加熱,冷却速度が速い、(2)流れが層流である、(3)単位体積当たりの表面積が大きい、(4)物質の拡散長が短いので反応が迅速に進行する等の特徴がある。そして、マイクロな反応場は化学反応そのものにも本質的な影響を与える可能性も秘めている。
また、実験室での合成から工業的な生産への移行時において、従来はスケールアップのためにパイロットプラントの製作・確認が不可欠となっており、多大な時間と労力が必要であった。
さらに、マイクロ反応場での化学反応において、温度及び反応時間を精密に制御し、これによってより高い効率で化学反応を行うため、単一のマイクロリアクタに対し反応温度及び圧力,流量,生成物の量を監視し、その値をフィードバックすることが知られ、例えば、特許文献1に記載されている。
特開2006−145516号公報
商業生産として一定量の製品を長時間安全かつ連続的に合成するための並列化マイクロリアクタプラントでは、一部のマイクロリアクタ内の流路異常発生による流量の変化などにより他のマイクロリアクタで行われる反応の条件が変化する可能性がある。また異常を起こしたマイクロリアクタ内で行われた反応の生成物は正常時の生成物とは組成などが異なる可能性もある。
さらに、従来技術のように、単にマイクロ流路単位での圧力あるいは流量の監視により、異常検知を行い、マイクロリアクタを多数並列化したものでは実生産に対応できず、特に生産コストが増大する。例えば、反応には多岐の化学物質を用い、反応温度も様々であるため圧力ないし流量を監視するセンサには高い耐食性,耐熱性が求められたり、微小な圧力または流量の変化を検知するための精度が求められたりするので、センサは必然的に高価なものとなる。
さらに、圧力や流量の変化に基づく異常だけでなく、圧力や流量の変化を伴わない異常、例えば反応率の低下や反応の暴走なども検知する必要がある。
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、マイクロリアクタを利用しても生産量を増大させ、開発から工業生産までの移行、スケールアップを効率的に行うと共に、生成物の品質を向上することにある。また、他の目的は、異常が発生した場合、異常個所は速やかに特定し、生産量等への影響を軽減,修復を可能にすることにある。
さらに、他の目的は、生産量の増大に係わらず、メンテナンスを容易とし、メンテナンスコストを低減することにある。
なお、本発明は、上記目的の少なくとも一つを達成することにある。
上記の目的を達成するため、本発明は、少なくとも2液を混合するマイクロ流路を有したマイクロリアクタと、該マイクロリアクタ内で混合された液体を回収するタンクとを備えた化学合成装置において、複数個並列に配置された前記マイクロリアクタと、前記マイクロリアクタに導入する原料を貯留する原料タンクと、前記原料を送液するポンプと、各前記マイクロリアクタの入口側及び出口側に配置された入口側電磁弁及び出口側電磁弁と、前記マイクロリアクタの温度を検出する温度センサと、前記ポンプの出口側に設置された圧力計と、を備え、前記温度センサ及び前記圧力計で検出された値に関連して、前記入口側電磁弁及び前記出口側電磁弁の開閉並びに前記ポンプの流量制御を行うものである。
本発明によれば、マイクロリアクタの入口側及び出口側に電磁弁を設け、温度及び圧力計に関連して、電磁弁の開閉及び流量制御を行うので、マイクロリアクタを利用して生産量を増大させ、品質を向上することができる。また、異常が発生した場合、異常個所による生産量等への影響を軽減,修復を可能にし、生産量の増大に係わらず、メンテナンスを容易とすることができる。
以下、一実施の形態について図を参照して説明する。
図1(a)は温度モニタリング装置および流量調節機構を備えたマイクロリアクタを含む流路の概念図を示している。マイクロリアクタ内ではn種類の溶液が混合される。温度センサ102はマイクロリアクタ101の内部流路混合部に設置され、マイクロリアクタ101の流路温度をリアルタイムでモニタリングし、その値は制御システム103へと送られる。制御システム103は測定された流路温度に応じ入口側電磁弁104および出口側流路の電磁弁107の開閉、ならびにマイクロリアクタ101へと原料溶液を送り込む原料aのポンプ105aから原料nのポンプ105nの流量制御を行う。
図1(b)は図1のシステムを複数個並列にナンバリングアップした場合の概念図を示したものである。原料溶液側の流路については1種類のみを図示している。ポンプ105は複数個並列に配置されたマイクロリアクタ101すべてに対し送液を行う。マイクロリアクタ101内部の流路混合部にそれぞれ備えられた温度センサ102は各マイクロリアクタの流路温度を逐次個別に制御システム103に送り、制御システム103はこの測定された流路温度に応じ入口側電磁弁104および出口側流路の電磁弁107の開閉、ならびにリアクタへと原料溶液を送り込むポンプ105の流量制御を行う。
図1,図2に示すものにおいて、正常時及び異常発生時の温度変化の経時変化図を用いて発熱反応を行った場合の温度変化による異常検知方法を説明する。
図2(a)は正常に稼動しているリアクタの近傍温度の経時変化を示したものであり、反応開始時間t11までは流路温度は反応前の流路温度T11となる。反応開始時間t11を過ぎ反応が開始した後、流路温度は上昇し、正常な反応中の温度T12で一定となる。この温度は反応が終了するまで、すなわちポンプ105の稼動を終了するまで一定に保たれる。 一方(b)は稼動中に流路異常が発生したリアクタの近傍温度の経時変化を示したものであり、異常発生時間t12までの温度挙動は(a)と同様である。異常発生時間t2 において流路異常が発生すると、例えば反応が暴走した場合流路温度は上昇し正常な反応中の温度T12との温度差ΔTが生ずる。
流路温度は温度センサ102によって測定されその値は制御システム103へと送られているため、制御システム103は発生した流路異常による正常な反応中の温度T12との温度差ΔTを検知し、温度差が発生したマイクロリアクタの前後に存在する入口側電磁弁104を閉じることで異常が発生したマイクロリアクタ内の流体が他のマイクロリアクタの流体と合流するのを防ぐ。
また、ポンプ105が常に一定流量の原料溶液を送り続けている場合、異常が発生した流路を閉鎖することにより、他のマイクロリアクタへ流れ込む流量が増大する。そのため、制御システム103は、ポンプ105の後部かつ流路の分岐点の前部に設置された全体流路監視用の圧力計106から送られる圧力の値より流路閉鎖に伴う変化を検出し、これを変化前と同じとなるようポンプ105の流量を変化させる。これにより、他のマイクロリアクタに流れ込む流量を一定に保つことができる。あるいは制御システム103により、流量をマイクロリアクタ101の稼動個数に比例させることとしても良い。
さらに、マイクロリアクタは微細流路であるため、反応温度の誤差は0.1〜0.2℃程度になる。したがって、正常な反応中の温度T12との温度差ΔTが0.1〜0.2℃以上となった場合、制御システム103が異常と判定することが望ましく、0.1℃ 以上で警告を発するなど、迅速な異常検知と対処が可能となる。
図3は異常が発生したマイクロリアクタを含む流路及び各マイクロリアクタの前後流路に洗浄用の流路を設置したシステムを示し、マイクロリアクタ101の前後流路に対し入口側三方電磁弁302および出口側三方電磁弁303が配置されており、ここに洗浄用の流路が接続される。
異常の発生したマイクロリアクタの洗浄方法ならびに元の流路への復帰方法について説明する。
異常発生リアクタ301は、制御システム103によって入口側三方電磁弁302および出口側三方電磁弁303が操作されることによって洗浄用の流路へと繋がれる。洗浄用の流路の入口側は、洗浄溶液用タンク306,洗浄溶液用ポンプ308,洗浄流路用センサ309に、出口側は廃液タンク307に接続される。洗浄流路用センサ309としては圧力計、あるいは流量計を用いることが望ましい。
異常発生リアクタ301の前後流路が洗浄用の流路へ切り換えられた後、制御システム103は洗浄溶液用ポンプ308を稼動させ一定の流量または圧力で送液を行う。送液する洗浄溶液は、流路の異常が流路壁への原料の析出によることも考えられるため原料溶液中に溶存している物質に親和性が高い、すなわち高い溶解度を示す溶媒であることが望ましい。
送液を行う間、洗浄流路用センサ309は流路の圧力または流量を常にモニタリングし、その値を制御システム103へと出力する。流路が正常である場合には圧力または流量がある一定の値を示すよう、洗浄溶液用ポンプ308の流量または圧力は予め設定されている。
一定時間の送液を行った後に、洗浄流路用センサ309による圧力または流量が、流路が正常である場合の圧力または流量と等しくなった場合、制御システム103は異常発生リアクタ301の異常が解消されたと判断し、異常発生リアクタ301の入口側三方電磁弁302を原料溶液側に切り換え、原料溶液を流入させる。
異常発生リアクタ301の内部流路及びその前後流路に残存している洗浄用液が原料溶液によって置き換わるだけの時間通液を行った後、制御システム103は異常発生リアクタ301の出口側三方電磁弁303を生成溶液側に切り換える。したがって異常発生リアクタ301内を流れる溶液は生成タンクへと再度流れ込む。
次に図4を参照して、マイクロリアクタの前後で流路を合流させることでブロック化を行い、ブロックの前後流路に対し異常検知用センサを設置し、かつ異常部位特定用に別流路を設置し、その流路内に圧力計あるいは流量計を備えたものを説明する。
各マイクロリアクタ101および入口側三方電磁弁401および出口側三方電磁弁402を含む前後流路は数本単位で合流されることでブロック化される。前部側のブロック化された流路にブロック流路前部電磁弁403が設置され、前部側あるいは後部側に異常検知用センサ407が設置される。異常検知用センサ407として用いるものとしては、流量計,圧力計,温度計,吸光光度計などが適している。
また、異常検知用センサ407の設置位置は、異常検知用センサ407として圧力計を用いる場合は、前部側のブロック流路に、温度計,吸光光度計を用いる場合は、後部側のブロック流路に設置することがマイクロリアクタ101で発生した異常を正確に検知する点で良い。異常検知用センサ407として流量計を用いる場合は、マイクロリアクタ101の異常によって生じる流量変化はブロック流路の前部側,後部側のどちらでも検知可能なので前部側,後部側のどちらでも良い。
異常検知用センサ407は流路内の状態を随時モニタリングし制御システム103へと出力する。制御システム103はその値に応じブロック流路前部電磁弁403の開閉ならびにポンプ105の流量制御を行う。入口側三方電磁弁401および出口側三方電磁弁
402に対しては異常検知用の流路が原料および生成溶液用の流路とは別に接続されている。
異常発生リアクタ301において流路の狭窄あるいは閉塞が起こった場合、そのリアクタを含むブロック全体において流量,圧力に変化が生じる。この変化は異常検知用センサ407によってモニタリングされ制御システム103へと送られる。そして、制御システムはこの圧力ないし流量変化に伴い異常発生リアクタ301を含むブロックのブロック流路前部電磁弁403を閉鎖する。同時に、制御システム103は異常発生リアクタ301を含むブロックの後部に存在するブロック後部三方電磁弁404を操作し後部流路を廃液タンク307へと流れるようにする。
さらに、同時に制御システム103は異常流路特定用のポンプ406を起動させ、かつ異常発生リアクタ301を含むブロック内マイクロリアクタ101のうち一つの流路について入口側三方電磁弁401および出口側三方電磁弁402を駆動し、異常特定用流路へと繋がるようにする。
異常流路特定用のポンプ406の起動により、異常流路特定用溶液タンク405より溶液がマイクロリアクタ101へと送り込まれ、流路内圧力は異常流路特定用センサ408によってモニタリングされ、その値は制御システムへと送られる。異常流路特定用センサ408としては圧力計、あるいは流量計を用いる。
異常流路特定用流路に接続されたマイクロリアクタ101を含む流路が正常である場合、異常流路特定用センサ408によってモニタリングされる圧力あるいは流量はある一定の値を示すよう、異常流路特定用のポンプ406の流量あるいは圧力は予め設定されてある。したがって、異常流路特定用センサ408によってモニタリングされた圧力あるいは流量が予め設定された値と等しかった場合には制御システム103はこの流路を正常と判断し、この流路前後の入口側三方電磁弁401および出口側三方電磁弁402を駆動し、異常特定用の流路から切り離す。
同時に、制御システム103は異常ブロック内の新たなマイクロリアクタ101についてその前後の入口側三方電磁弁401および出口側三方電磁弁402を操作し異常特定用の流路へと切り換え、同様の作業を繰り返す。この作業を繰り返し異常特定用流路が異常発生リアクタ301へと繋がれた場合、異常流路特定用センサ408は正常流路に繋がれている場合とは異なった値を示す。したがって、制御システム103は異常発生リアクタ301が異常であると判断し、異常発生リアクタ301の前後流路を異常特定用流路につないだ状態を保ちつつ異常発生リアクタ301を含むブロックのブロック流路前部電磁弁403を開放し、原料溶液を流入させる。そして、異常発生リアクタ301を含むブロックのブロック後部三方電磁弁404は廃液タンク307へと繋がった状態にしておく。これにより、原料溶液が異常ブロック内に存在する異常発生リアクタ301以外のマイクロリアクタ101に通液され、かつその溶液は廃液タンク307へと流れ込む。これにより、マイクロリアクタ101内に存在する異常流路特定用の溶液あるいは古い原料溶液,生成溶液を押し流す。押し流すのに必要な体積以上の原料溶液を通液したのち、制御システム103は異常発生リアクタ301を含むブロックのブロック後部三方電磁弁404を操作し生成溶液タンク305へと流れ込む流路へ切り換えるので、異常発生リアクタ301以外のリアクタは元の流路へ復帰される。
ポンプ105が常に一定流量の原料溶液を送り続けている場合、異常が発生したブロックを閉鎖することにより、他のマイクロリアクタへ流れ込む流量が増大する。一方異常発生リアクタ301を特定した後に異常発生リアクタ301を含むブロックに対し原料溶液を流入させた場合においては、他のマイクロリアクタへ流れ込む流量は減少する。そのため、ポンプ105の後部かつ流路の分岐点の全部に設置された全体流路監視用の圧力計
106から送られる圧力の値より制御システム103が流路閉鎖ないし開放に伴う圧力変化を認識し、これを変化前の圧力と同じとなるようポンプ105の流量を変化させることで他のマイクロリアクタに流れ込む流量を一定に保つことができる。ここでの制御システム103による流量制御方法は流量をマイクロリアクタ101の稼動個数に比例させることでも良く、制御方法として簡単になる。図4で示したシステムにおいては、図3で示す洗浄溶液用の流路を新たに設ける必要はなく、異常流路特定用の流路及びタンクが洗浄溶液用の流路及びタンクを兼ねることができる。
図5は、流路のブロック化による異常検知システムおよび異常検知用の流路が洗浄用の流路を兼ねたマイクロリアクタプラントにおいて、流路の狭窄が発生した場合の各ブロック及び洗浄流路の流量変化を図示したものである。
異常発生時刻t21において流路に異常が発生するまでの間はすべてのブロックにおいて流量は正常稼動時の流量V21となっている。異常発生時刻t21において流路に異常が発生すると、図5(b)で示す異常の発生したリアクタを含むブロックは異常を発生したリアクタにおいて流路狭窄が生じているため流量が減少する。
この流量変化を異常検知用センサ407が検出し、制御システム103へと出力されることによって、制御システム103は異常ブロックを認識し、異常検知時間t22において異常ブロックのブロック流路前部電磁弁403を閉じブロックの閉鎖を行う。このとき異常ブロックでは原料溶液の流入が起こらなくなり流量は0となり、一方残りの正常ブロック図5(a)では一時的に流量が増大する。そのため、ポンプ105の後部かつ流路の分岐点の全部に設置された全体流路監視用の圧力計106を設け、その圧力値より制御システム103は圧力変化を認識し、これを変化前の圧力と同じとなるようポンプ105の流量を変化させる。したがって、他のマイクロリアクタに流れ込む流量を一定に保つことができる。
また、異常ブロックを閉鎖した後に、異常ブロック内一つのマイクロリアクタ101の前後流路を入口側三方電磁弁401および出口側三方電磁弁402を駆動することで異常検知用流路へ切り換える。なお、異常検知用流路は洗浄用流路を兼ねている。異常検知用流路への切り換えが行われた後、制御システムは異常流路特定用のポンプ406を稼動し異常検知用流路に接続されたマイクロリアクタ101に溶液を流入する。
異常検知用流路に接続されたマイクロリアクタ101を含む流路が正常である場合、異常流路特定用センサ408によってモニタリングされる圧力あるいは流量はある一定の値を示すように異常流路特定用のポンプ406の流量あるいは圧力を予め設定する。したがって、異常流路特定用のポンプ406の流量あるいは圧力が予め設定された値であれば、マイクロリアクタ101を含む流路が正常であり、図5(c)で示す異常検知用流路の流量は正常流路通液時の流量V23となる。つまり、このとき制御システム103は流路が正常であると認識し、この流路前後の入口側三方電磁弁401および出口側三方電磁弁402を操作し異常特定用の流路から切り離す。
そして、制御システム103は異常ブロック内の新たなマイクロリアクタ101について入口側三方電磁弁401および出口側三方電磁弁402を操作し、異常特定用の流路へと切り換え、同様の作業を繰り返す。
切り換えた新たなマイクロリアクタ101に流路異常が生じている場合、異常流路特定用センサ408によって検出される流量は、正常流路通液時の流量V23より低くなる。このとき制御システム103はこのマイクロリアクタ101を異常と判断し、異常と判断されたマイクロリアクタ101の前後流路を異常特定用流路につないだ状態を保ちつつ異常と判断されたマイクロリアクタ101を含むブロックのブロック流路前部電磁弁403を開放する。
異常と判断されたマイクロリアクタ101を含むブロックのブロック後部三方電磁弁
404は廃液タンク307へと繋がった状態にしておく。これにより、原料溶液が異常ブロック内に存在する異常と判断されたマイクロリアクタ101以外のマイクロリアクタ
101に通液され、かつその溶液は廃液タンク307へと流れ込む。したがって、異常ブロック内の正常なマイクロリアクタ101内に存在する異常流路特定用の溶液あるいは古い原料溶液ないし生成溶液を押し流すことが出来る。さらに、押し流すのに必要な体積以上の原料溶液を通液したのち、制御システム103は異常発生リアクタ301を含むブロックのブロック後部三方電磁弁404を操作し、生成溶液タンク305へと流れ込む流路へ切り換え、異常発生リアクタ301以外のリアクタを元の流路へ復帰させる。
以上、一連の作業によって異常が発生したリアクタを含むブロックに再度原料溶液が通液されるため流量は上昇し、1ブロックにつきマイクロリアクタ101がN個ブロック化されている場合、異常ブロック復帰時間t23におけるその値は、異常リアクタの切り離しが行われているため正常稼動時の流量V21の(N−1/N)倍となる異常リアクタを含むブロック流量V22となる。
一方、異常検知用流路では異常が発生したマイクロリアクタ101が接続された状態で送液が続けられており、通液している溶液の洗浄効果によって流量は徐々に増大する。その後、異常流路特定用センサ408によって検出される流量が正常流路通液時の流量V23となった場合、制御システム103は異常が発生したマイクロリアクタ101の異常が解消されたと判断し、異常が発生したマイクロリアクタ101の入口側三方電磁弁401を原料溶液側に切り換え、原料溶液を流入させる。
異常と判断されたマイクロリアクタ101の内部流路及びその前後流路に残存している洗浄用液が原料溶液によって置き換わるだけの時間通液を行った後、制御システム103は異常と判断されたマイクロリアクタ101の出口側三方電磁弁402を生成溶液側に切り換え、異常と判断されたマイクロリアクタ101内を流れる溶液は生成タンクへと再度流れ込む。これにより、異常が発生したリアクタを含むブロックの稼動リアクタ個数は正常ブロックと同じN個となるため、異常リアクタ復帰時間t24における異常発生リアクタを含むブロックの流量は正常稼動時の流量V21となる。
また、異常発生時間t21からの一定時間、異常ブロック復帰時間t23までの一定時間、異常リアクタ復帰時間t24までの一定時間においては、正常ブロック,異常リアクタを含むブロックにおいて流量異常時間Δt21が存在することとなる。この流量変化はマイクロリアクタ101内での化学反応に何らかの影響を及ぼし、結果として全体品質の低下を招く恐れがある。そのため、異常検知用センサによって検出され制御システム103によって認識される流量異常時間Δt21の時間内にマイクロリアクタ101を流れた溶液は、制御システム103がブロック後部三方電磁弁404を廃液タンク307へ繋がる流路へと一定時間繋ぎ換え、影響あった反応溶液を排除する。
図6は温度センサによる異常検知システム、流路のブロック化による異常検知システム、洗浄用の流路を備えたマイクロリアクタプラントにおいて流路に異常が発生した場合の処理アルゴリズムを示したものである。
マイクロリアクタ内で異常の発生601が起こると、その異常は温度センサ102あるいは異常検知用センサ407によって温度変化,流量変化あるいは圧力変化といった形で検出される。常時モニタリングされているその値の変化を基に制御システム103は異常発生後に熱的異常602の有無を判定する。また、ポンプ105直後の流路で全体流路監視用の圧力計106により圧力の変化が検出されている場合は、制御システム103はポンプ105の流量を制御し、系全体の圧力を一定に保つようにする。
制御システム103による熱的異常602の有無の判定によって熱的異常が存在すると判定された場合、制御システム103は異常と判定されたマイクロリアクタ101前後流路の三方電磁弁の切り換え603を行い、洗浄用流路へとつなぎ変える。遮断によって生じるマイクロリアクタ101の一個あたりの流量変化は制御システム103および全体流路監視用の圧力計106によってポンプ105の流量を調節することにより補正される。
つぎに、洗浄溶液用ポンプ稼動604を行い異常流路の洗浄を行う。洗浄用流路に設置された洗浄流路用センサ309は、圧力または流量を逐次検出し、制御システム103へと出力しており、制御システム103は正常な流路での送液時における圧力値あるいは流量値を基に圧力あるいは流量のチェック605を行う。チェックされた圧力あるいは流量が正常時と異なる場合は洗浄を継続して行う。
圧力あるいは流量が等しかった場合、制御システム103は異常が発生したマイクロリアクタ101の前部流路の三方電磁弁切り換え606を行い、原料流路へと切り換える。異常が発生したマイクロリアクタ101の内部流路及びその前後流路に残存している洗浄用液が原料溶液によって置き換わるだけの時間通液を行った後、異常が発生したマイクロリアクタ101の後部流路の三方電磁弁切り換え607を行い、異常が発生したマイクロリアクタ101は全体の流路に復帰する。
マイクロリアクタ101の一個あたりの流量変化は制御システム103および全体流路監視用の圧力計106によってポンプ105の流量を調節することにより補正される。
熱的異常602の判定において異常が認められなかった場合、制御システム103は異常検知用センサ407によって異常ブロック特定608を行う。これによって異常と判定されたブロックにおいて、制御システム103は異常ブロック前部の電磁弁閉鎖と後部の三方電磁弁の切り換え609を同時に行う。後部の三方電磁弁は洗浄流路側に接続される。マイクロリアクタ101の一個あたりの流量変化は制御システム103および全体流路監視用の圧力計106によってポンプ105の流量を調節することにより補正される。
制御システムは異常ブロック内マイクロリアクタ101の前後の三方電磁弁切り換えを行い、洗浄流路へとつなぎ変える。その後、洗浄用溶液を通過させることで熱的異常が発生した場合と同様に圧力あるいは流量のチェック605を行い、これが正常であった場合、異常ブロック内別のマイクロリアクタ101の前後における三方電磁弁切り換えを行い、洗浄流路へとつなぎ変えて同様のチェックを繰り返す。
異常であった場合は引き続き流路の洗浄を行い、その後の処理は熱的異常が検知された場合と同様である。
異常の発生したマイクロリアクタを除かれた異常ブロックについて、その前部流路の電磁弁の開放610を行い、原料流路へと切り換える。異常ブロックの内部流路及びその前後流路に残存している洗浄用液が原料溶液によって置き換わるだけの時間通液を行った後、異常ブロックの後部流路の三方電磁弁切り換え611を行い、異常ブロックは全体の流路に復帰する。マイクロリアクタ101の一個あたりの流量変化は制御システム103および全体流路監視用の圧力計106によってポンプ105の流量を調節することにより補正される。
以上、一連処理の間、正常なマイクロリアクタ101及びそれを含む全体の流路は異常発生時以前と同様に稼動を継続する。
洗浄作業によって圧力値が正常とならない場合、流路内部での原料ないし生成物質の析出が疑われる場合にはマイクロリアクタ101をヒータ(図示せず)などで選択的に加熱し、溶解を促すなどしても良いが、異常が解消されない場合にはその流路を除いた状態で運転を継続する。
以上により、商業生産として一定量の製品を長時間安全かつ連続的に合成するための並列化マイクロリアクタプラントにおいて、マイクロ流路に対し温度センサを配置して異常を検知することにより、従来方法と比較し低コストかつ迅速な異常検知が可能となる。また圧力,流量への異常を伴わない異常にについても迅速かつ効率的な検知が可能となる。
さらに、複数個のリアクタをブロック化しブロック毎に異常検知用センサを用いることで、使用する異常検知用のセンサの個数を削減することができ、マイクロリアクタシステムの製造コストの低減及びメンテナンスの簡略化となる。
さらに、異常が発生したマイクロリアクタのみの洗浄及び生産流路へ復帰することによって、プラントとしての生産量の大幅な低下を防ぐことが可能になる。
(a)本発明の一実施の形態における温度センサ部を示すブロック図。(b)本発明の一実施の形態におけるマイクロリアクタを複数個並列化した状態を示すブロック図。 (a)一実施の形態における正常時におけるマイクロリアクタ温度変化を示すグラフ。(b)一実施の形態における異常発生時のマイクロリアクタ温度変化を示すグラフ。 本発明による他の実施形態を示すブロック図。 本発明によるさらに他の実施形態を示すブロック図。 (a)異常の発生していないブロック内流量を示すグラフ。(b)異常の発生したマイクロリアクタを含むブロック内流量を示すグラフ。(c)異常用流路流量を示すグラフ。 異常発生時の制御アルゴリズムを示すフローチャート。
符号の説明
101 マイクロリアクタ
102 温度センサ
103 制御システム
104 入口側電磁弁
105 ポンプ
105a 原料aのポンプ
105b 原料bのポンプ
105n 原料nのポンプ
106 圧力計
107 出口側流路の電磁弁
301 異常発生リアクタ
302 入口側三方電磁弁
303 出口側三方電磁弁
304 原料タンク
305 生成溶液タンク
306 洗浄溶液用タンク
307 廃液タンク
308 洗浄溶液用ポンプ
309 洗浄流路用センサ
401 入口側三方電磁弁
402 出口側三方電磁弁
403 ブロック流路前部電磁弁
404 ブロック後部三方電磁弁
405 異常流路特定用溶液タンク
406 異常流路特定用のポンプ
407 異常検知用センサ
408 異常流路特定用センサ
11 反応開始時間
12,t21 異常発生時間
11 反応前の流路温度
12 正常な反応中の温度
ΔT 正常な反応中の温度T12との温度差
22 異常検知時間
23 異常ブロック復帰時間
24 異常リアクタ復帰時間
21 正常稼動時の流量
22 異常リアクタを含むブロック流量
23 正常流路通液時の流量
Δt21 流量異常時間

Claims (7)

  1. 少なくとも2液を混合するマイクロ流路を有したマイクロリアクタと、該マイクロリアクタ内で混合された液体を回収するタンクとを備えた化学合成装置において、
    複数個並列に配置された前記マイクロリアクタと、
    前記マイクロリアクタに導入する原料を貯留する原料タンクと、
    前記原料を送液するポンプと、
    各前記マイクロリアクタの入口側及び出口側に配置された入口側電磁弁及び出口側電磁弁と、
    前記マイクロリアクタの温度を検出する温度センサと、
    前記ポンプの出口側に設置された圧力計と、
    を備え、前記温度センサ及び前記圧力計で検出された値に関連して、前記入口側電磁弁及び前記出口側電磁弁の開閉並びに前記ポンプの流量制御を行うことを特徴とした化学合成装置。
  2. 請求項1に記載のものにおいて、複数個の前記マイクロリアクタは複数毎にブロック化されて並列に流路接続されたことを特徴とした化学合成装置。
  3. 請求項1に記載のものにおいて、前記温度センサで検出された値に基づいて前記マイクロリアクタに異常が発生したことを検出し、検出された前記マイクロリアクタに接続された前記入口側電磁弁を閉じることを特徴とした化学合成装置。
  4. 請求項1に記載のものにおいて、前記温度センサで検出された値に基づいて前記マイクロリアクタに異常が発生したことを検出し、検出された前記マイクロリアクタに接続された前記入口側電磁弁を閉じると共に、正常な前記マイクロリアクタの流量が所定値となるように前記ポンプの流量制御を行うことを特徴とした化学合成装置。
  5. 請求項1に記載のものにおいて、前記入口側電磁弁に換えて入口側三方電磁弁,出口側電磁弁に換えて出口側三方電磁弁を設け、前記入口側三方電磁弁に接続された洗浄溶液用ポンプ及び洗浄溶液用タンクと、前記出口側三方電磁弁に接続された廃液タンクと、前記入口側三方電磁弁と前記洗浄溶液用ポンプとの間に設けられた圧力あるいは流量を測定する洗浄流路用センサと、を備えたことを特徴とした化学合成装置。
  6. 請求項1に記載のものにおいて、複数個の前記マイクロリアクタは複数毎にブロック化されて並列に流路接続され、前記入口側電磁弁に換えて入口側三方電磁弁,出口側電磁弁に換えて出口側三方電磁弁を設け、
    前記入口側三方電磁弁に接続された異常流路特定用ポンプ及び異常流路特定用タンクと、前記出口側三方電磁弁に接続された廃液タンクと、それぞれの前記ブロック毎に設けられた異常検知用センサと、前記入口側三方電磁弁と前記洗浄溶液用ポンプとの間に設けられた圧力あるいは流量を測定する異常流路特定用センサと、を備えたことを特徴とした化学合成装置。
  7. 請求項1に記載のものにおいて、複数個の前記マイクロリアクタは複数毎にブロック化されて並列に流路接続され、前記入口側電磁弁に換えて入口側三方電磁弁,出口側電磁弁に換えて出口側三方電磁弁を設け、
    それぞれの前記ブロック毎に流量,圧力,温度,吸光光度のいずれかを検出する異常検知用センサと、を備えたことを特徴とした化学合成装置。
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