JP2008078042A - イオン源電極及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】冷却効率が高く、かつ溶融層により耐食性が優れ、冷却水の漏水の危険が少なく、冷却効率の高いイオン源電極を得ることにある。
【解決手段】熱膨張係数の小さい耐熱材料からなる平板1と冷却孔となる冷却溝2を設けた溝付き平板3とを接合した構造のイオン源電極において、平板1と溝付き平板3との接合面及び溝付き平板の溝2内部にこれらの平板と反応性の良い耐食性に優れた金属からなるバリヤ9,10を形成し、これら平板及び溝付き平板の接合面をバリヤ9,10を介して接合して一体化したものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、核融合装置の中性粒子入射装置やイオンミキシング装置などに適用されるイオン源において、プラズマ中のイオンを加速して高速イオンビームを生成するイオン源電極及びその製造方法に関する。
核融合装置の中性粒子入射装置やイオンミキシング装置においては、プラズマから高速イオンビームを生成するイオン源が用いられている。
例えば、図8に示すように核融合装置に用いられる中性粒子入射装置31のイオン源32は、水素などのガス33が導入され、フィラメント34を有するプラズマ生成部35において、当該フィラメント34を介してアーク放電を行うことによりプラズマを生成する。そして、このプラズマ中のガスが電離したイオンを、電極36に高電圧電源37により高電圧を印加することで形成される電界によってプラズマから引き出して加速し、高エネルギーを有する高速のイオンビーム40を発生するものである。
このイオンビーム40は、そのままでは核融合装置のコイルの磁場によって曲げられてしまうため、ガスを満たした中性子セル39を通過させてイオンとガスとの衝突反応により運動エネルギーを保存したまま中性子ビーム41に変換し、炉心プラズマ42に入射させる。
上述したイオン源におけるイオン加速用の電極36は、図示するように3段あるいは5段(図示しない)などから構成され、当該電極に多数形成されたイオンビーム引出し孔を通してプラズマからイオンビームを引き出すようになっており、特にイオン源に最も近い1段目の電極は高温のイオンビームと直接接触する構造となっている。このため、電極には電極自体の熱負荷を下げ、耐久性能を向上させる冷却チャンネルが形成されている。
通常、この冷却チャンネルは、効果的に冷却を果たすために多数形成されるイオンビーム引出し孔間にそれぞれ設けられる。
図9は、従来の1段目のイオン源電極の一例を示す断面図である。
すなわち、イオン源電極43は耐熱性が高く線膨張係数が小さく、且つ入手が容易なモリブデン材からなる電極板43a,43bを貫通して形成された多数のビーム引出し孔44を備えている。このビーム引出し孔44に隣接して冷媒が流れる冷却チャンネル45を形成している。
このイオン源電極43の構成をより詳細に述べると、モリブデンからなる2枚の電極板43a,43bを、一方の板に冷却チャンネル45を加工し、もう一方の板は平板を用い、これら2枚のモリブデンからなる板を真空中で高温にて加圧可能なホットプレス装置を用いて拡散接合し、電極板43a,43bを通してビーム引出し孔44を有する構造としたものである。
ところで、上記のような構成のイオン源電極43を用いてイオンビームを引き出すとき、イオン源電極にはイオン源電極自体の熱負荷を下げるため、冷却チャンネル45の中に冷媒である純水を通している。
しかし、電極板の材料として高熱負荷に耐え、且つビーム引出し孔の熱負荷による位置の精度維持のために線膨張の小さい材料、さらには入手が容易であるなどの理由からモリブデンが用いられているが、このモリブデン材料はその素材が焼結金属で製造されるために、純水などの冷却水で腐食するという欠点がある。したがって、本発明者らの経験ではその電極としての寿命は1年ないし2年と非常に短い。このようなことから、腐食しにくい耐食性に優れ、且つ寿命の長いイオン源電源が望まれている。
そこで、その対策として、以下のようなイオン源電源の製造方法が提案されている。
(1)冷却水通路用の溝を設けた溝付きモリブデン板の溝表面に冷却水による腐食を防ぐためにニッケルを被覆しておき、その上にニッケルにて被覆されたモリブデン平板を重ね、拡散接合により溝付きモリブデン板と一体化すると共に、ニッケルにて被覆された冷却水通路孔を形成し、その後イオンビーム孔を加工する方法(特許文献1)。特に、この電極はプラズマ生成部の開口部側に装着し、電界を形成する電極に好適な耐熱金属かつ高融点材料のモリブデンから構成されている。
(2)上記と同様にモリブデン板を主体として構成されたイオン源電極において、モリブデン板を拡散接合により一体化した重合板構造とし、その冷却水通路用の冷却孔の内周面をセラミック被覆層で被覆したイオン源電極であり、この場合、セラミック被覆層をセラミックスの蒸着により形成する方法(特許文献2)。
(3)イオンビームを加速するイオン源電極において、タンタル板の拡散接合により一体化した重合板構造のタンタル板を主体として構成され、タンタル板を拡散接合するにあたり、接合面にチタンを介して拡散接合する方法(特許文献3)。
(4)真空あるいはガス雰囲気中での拡散接合が可能な加熱ヒータを設置した真空容器内で、互いの端面を向かい合わせた一対の電極要素である溝付き板と平板との間に上記電極要素材料の融点より低温で共晶反応により液相を生成して電極要素と固溶する薄膜層を形成し、共晶反応を利用した拡散接合で一体化する方法(特許文献4)。この場合、溝付き板には冷媒を流すための冷却孔を構成する細溝及びイオンビームの引出しのためのビーム引出し孔が形成される。
この方法の特徴は、共晶反応により生成する液相を利用することにより、比較的小さい加圧力を作用させただけで拡散接合できるので、液相が拡散凝固してギャップやボイドが消失し、電極全体を変形させたり、溝付き板の冷却孔を変形させたり、あるいは埋めることなく、両電極要素の接合面全体において、密着性に優れた良好な接合面を得ることができることである。また、冷却孔用に形成した細溝が加圧力によって変形することにより冷却効率を低下させたり、製品としての寸法精度が低下したりすることが少ないなどの利点がある。
特願平3−129638号公報 特願平5−029093号公報 特願平6−314600号公報 特許第2523742号公報
上記(1)の方法により製造されたイオン源電極は、モリブデン製の電極板にニッケルをコーティングすることによって、冷却水によるモリブデン電極板の腐食を防ぎ、製品としての長寿命化を図るために工夫されたものであるが、モリブデン製の電極板の水路内へのニッケルの健全なコーティングは難しく、時にそのコーティングの不健全部から腐食し、冷却水の漏水事故を引起す自体が考えられる。
コーティングの健全性が得難いのは、水路になる溝が2mm乃至3mmと非常に細く、このような細い溝の内部のコーティングが要求されるからである。このコーティング方法あるいは手段として電気メッキやPVD(物理蒸着)、CVD(化学蒸着)などの最先端のコーティング技術を用いても細い溝の内部のコーティングは難しい。また、溝形状は冷却効率を高めるために角溝であり、その溝内部およびコーナ部分のコーティング厚みが均一且つ健全であるようにコーティングするのは非常に難しい。
また、上記(1),(2),(3)の方法により製造されたイオン源電極は、いずれも高融点材料であるモリブデンまたはタンタルから構成されるもので、その構造は溝付き板と平板とを拡散接合で一体化するものである。高融点材料であるモリブデンまたはタンタルからなる溝付き板と平板とを拡散接合するには、接合中、特に温度、雰囲気、加圧力については厳しく条件を守ることが求められる。さらに、これらの条件は定時間安定に保たなければならない。
拡散接合に必要な温度は、一般にその材料の融点に対して0.7倍以上の温度あるいはその材料の再結晶温度以上と言われている。雰囲気は、拡散接合に必要な温度において被接合材料の表面酸化などの問題にならない雰囲気が必要である。したがって、高真空中あるいはアルゴンまたはヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で接合することが要求される。加圧力は、接合面の面粗さや接合温度で適正加圧力が決まる。温度が高ければ、加圧力は小さく、温度が低ければ、加圧力を大きく設定しなければならない。また、面粗さについては被接合面の凹凸が細かい場合は加圧力を小さく、逆に接合面の凹凸が粗い場合は加圧力を高く設定しなければならない。
要するに、接合面同士のコンタクト(密着)が重要である。この条件を保持する時間は温度、雰囲気、加圧力によって左右される。すなわち、温度が高く、かつ加圧力が高ければ相互拡散は積極的に進み、保持時間は短くてすむ。
しかし、拡散接合によるイオン源電極板の接合では、接合を容易とする接合面の精度、例えば面粗さを5S以下に保つようにしたとき、機械加工後にバフ研磨が必要となり、また、その平坦度、さらには清浄度を保つためには加工中及び加工後の保管にも注意が必要である。特に、イオン源電極板の板厚は、例えば約3〜10mmと薄く、この部材の接合面全体を均一に加圧し、かつ溝の変形を抑えながら加圧力を制御することは難しい。その装置を作るとしても非常に複雑かつ高価な設備となる。このような拡散接合では製造コストが高く、その信頼性は低く、イオン源電極板のような大面積となると、接合面全域にわたる均一な接合は困難と考えられる。
また、上記(4)の方法により製造されたイオン源電極は、共晶反応を利用した拡散接合で一体化するものであり、その特徴は共晶反応により生成する液晶を利用することであり、比較的小さい圧力を作用させた状態で拡散接合が可能になる。
しかし、拡散接合で各部材を一体化するには、拡散接合あるいは共晶反応が起る温度域まで全ての部材を加熱する必要がある。この方法では、接合面に平坦な面が得られず加熱状態で接合面の密着が充分でない場合には、共晶反応は起らず、液相が生成しないので、そこに欠陥であるボイドが発生する可能性がある。
一方、この方法は上述した(1)〜(3)の方法による電極板の接合において述べたと同様な問題に直面する可能性がある。すなわち、拡散接合によるイオン源電極では接合を容易にする接合面の精度、例えば面粗さを5S以下に保つようにしたとき、機械加工後にバフ研磨が必要であり、さらにこうした工程を得た後でも、平坦度及び静浄度を保ち続けるように保管に注意しなければならない。
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、冷却効率が高く、且つ耐食性に優れ、寿命の長いイオン源電極及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は上記の目的を達成するため、次のような手段及び方法によりイオン源電極を構成及び製造するものである。
請求項1に対応する発明は、熱膨張係数の小さい耐熱材料からなる平板と冷却孔となる冷却溝を設けた溝付き平板とを接合した構造のイオン源電極において、前記平板と前記溝付き平板との接合面及び溝付き平板の溝内部にこれらの平板と反応性の良い耐食性に優れた金属からなるバリヤを形成し、これら平板及び溝付き平板の接合面を前記バリヤを介して接合して一体化したものである。
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応する発明のイオン源電極において、前記平板及び溝付き平板は、モリブデンまたはタンタルのいずれかを主成分とする材料で構成され、前記平板及び溝付き平板の接合面及び溝内部に形成した金属からなるバリヤは、金ろうあるいはニッケルろう、またはチタン入り銀ろうなど、ろう材を主成分として形成される。
請求項3に対応する発明は、冷却孔を有するイオン源電極において、熱膨張係数が小さく、かつ耐熱性に優れた金属と耐食性に優れた金属とを2層に組合せた2枚のクラッド材を用いて、平板と前記耐熱性に優れた金属部に冷却溝を設けた溝付き平板とを構成し、これら平板及び溝付き平板を接合して一体化したものである。
請求項4に対応する発明は、モリブデンに代表される熱膨張係数の小さい材料からなる平板及び溝付きの平板を接合する前に、平板及び溝付きの平板の接合面並びに溝付きの平板の溝内面に耐食性の高い金属によりバリヤを施し、その後平板及び溝付き平板を接合して一体化する。
請求項5に対応する発明は、熱膨張係数の小さい金属と純水に対して耐食性の高い金属とを真空中で圧延したクラッド材からなる2枚の平板を用い、その一方の平板に耐食性に優れた金属の厚み以下の溝加工を施して溝付き平板とし、これら平板及び溝付き平板を真空炉中または雰囲気ガス中で接合して一体化する。
本発明によれば、冷却効率が高く、かつ溶融層により耐食性が優れ、冷却水の漏水の危険が少なく、冷却効率の高いイオン源電極を得ることができる。
以下本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係るイオン源電極を構成する製作前の部品形状を示す図であり、図2及び図3はその製造工程を示す図である。
このイオン源電極の製造方法としては、図1(a),(b)に示すようにモリブデンからなる平板1と幅及び深さがそれぞれ約2mmの複数の溝2を互いに平行かつ所定の間隔を存して形成したモリブデンからなる溝付きの平板3を製作する。
次に、図2に示すように平板1の一面及び溝付き平板3の一面並びに溝内部に、ニッケルろうのパウダー4,5を塗布し、ヒータ6を内蔵した真空炉7内に挿入する。その後、ニッケルろうのパウダー4,5を塗布した平板1及び溝付き平板3を排気ポンプ8により10-2Pa以下の真空雰囲気内で、ろう材が溶融する温度である1050〜1100℃まで加熱し、10分以上保持する。
その後、これら平板1及び溝付き平板3を真空炉7から取り出し、平板1の一面(接合面)と溝付き平板3の一面(接合面)とを接合後、冷却孔となる溝内部の溶融したろう材を、機械加工することによりバリヤ9,10が形成された所定の形状の溝11及び平面に仕上げる。特に本実施形態では、バリヤ9,10の厚みとして0.1〜0.2mm程度の厚みを目標にして切削加工し、所定の厚みを得ると共に、その後の工程である接合ができるように平面仕上げにも細心の注意を払いながら機械加工を施した。
このようにして所定の平面度が得られた平板1及び溝付き平板3を、図3に示すような構成で真空炉7内に重ね合せてセットし、所定の重しなどを用いて真空雰囲気中で加熱することで、平板1及び溝付き平板3のバリヤ9,10を介して接合し一体化する。
なお、加熱温度などの接合条件は、バリヤの生成温度と同程度の1050〜1100℃、加熱時間10分以上で行った。
図4は、平板1及び溝付き平板3をバリヤ9,10を介して接合した後に、イオンビームの引き出し孔用のビーム穴12をNC加工機で加工した後のイオン源電極の断面図を示す。
図4において、一点鎖線は溶融層を介して接合した平板1及び溝付き平板3の接合面14を示し、また平板1及び溝付き平板3を接合し、一体化したことで得られた冷却孔12をそれぞれ示している。
このような方法でイオン源電極を製造すれば、図4の断面図に示すように冷却孔13に純水を通水することで冷却効率を高めることができるので、ビーム反射による高熱負荷の試験運転にもビーム穴12の寸法変化もなく、また、冷却孔13はバリヤで覆われており、モリブデン材が直接接することがないために純水の冷却媒体による腐食による冷却水の漏洩の心配はない。したがって、高熱負荷運転が想定されるモリブデンからなるイオン源電極に対する信頼性が高めることができると共に、耐熱性及び長寿命化を図ることができる。
なお、本実施形態では、溶融層の生成にニッケルろうを用いた方法について説明したが、ニッケルろう以外にも金ろう、チタン入り銀ろう、パラジウムろうなどを用いても、モリブデンとのぬれ性および反応性から見て、同様の作用効果が得られる。
このように本発明の第1の実施形態では、強制冷却タイプのモリブデンからなるイオン源電極は平板1及び溝付き平板3のそれぞれの接合面と溝付き平板3の溝内面にモリブデンと反応性のよい金属でバリヤが形成されているので、冷却媒体の純水がモリブデン材と直接接することがない。このため、モリブデン材の冷却水による腐食がなくなるので、従来の拡散接合タイプのモリブデン電極と比較して、長寿命化が実現できる。また、製造方法としては大型かつ特殊な接合装置を必要とした拡散接合方式と比較して、真空炉などの装置のみを用いた簡便な製造方法により、信頼性の高いイオン電極を安価に製作できる。
図5は本発明の第2の実施形態を説明するためのイオン電極を構成する部品の断面図である。
第2の実施形態では、熱膨張係数の小さい金属と純水に対して耐食性の高い金属とを真空中で圧延したクラッド材からなる2枚の平板を用い、その一方の平板に耐食性に優れた金属の厚み以下の溝加工を施して溝付き平板とし、これら平板及び溝付き平板を真空炉中または雰囲気ガス中で接合して一体化し、イオン電極を製造する。
ここで、上記イオン電極板の製造方法を図5(a),(b)により具体的に説明する。
図5(a),(b)に示すように、熱膨張係数の小さい金属であるモリブデンからなる板厚の異なる平板15,16に、純水に対して耐食性が高いニッケルからなる厚みの異なる平板17,18を図示しない真空圧延装置を用いて真空雰囲気中で圧延し、これら平板15と17、平板16と18をそれぞれ接合して一体化し、モリブデン及びニッケルからなる2層構成のクラッド材19,20を製作する。
このモリブデン及びニッケルからなるクラッド材19,20として、それぞれ図5(a)のクラッド材19はモリブデンが0.3mm、ニッケルが0.2mmでトータル板厚が0.5mmであり、また図5(b)のクラッド材20はイオン源電極の冷却孔用の溝加工を施すためにモリブデンが0.8mm、ニッケルが0.7mmでトータル板厚が1.5mmである。
図5(b)に示すクラッド材20に対して、ニッケル側に幅2mm、深さ0.5mmの冷却溝21を約20mmのピッチで加工する。
図6は、イオン源の冷却孔となる溝加工を施した後のクラッド材20の断面図である。
このように溝加工を施したクラッド材20と図5(a)に示すクラッド材19とを接合するために、それぞれのクラッド材19,20を重ね合せ、図2或いは図3に示したような真空炉内で、チタン入り銀ろう或いは比較的低温のろう材であるインジウムが入ったチタン入り銀ろうなどのろう材を用いて真空ろう付けを行い、平板のクラッド材19と溝付きクラッド材20とを接合し一体化させて図7に示す冷却孔23を有するイオン源電極を製作する。
その後、さらに第1の実施形態で示した図4に示すイオン源電極の断面図と同様、図示しないがイオンビームの引き出し孔用のビーム孔12をNC加工機で加工し、所定の構造及び形状であるイオン源電極に仕上げる。
このように図5(a)に示すモリブデン及びニッケルからなるクラッド材19と図6に示すニッケル側に溝21を加工したモリブデン及びニッケルからなるクラッド材20を真空炉内で接合し、一体化したイオン源電極は、冷却孔に純水を通水して冷却効率を高めることで、ビーム照射による高熱負荷の試験運転にもビーム孔の寸法変化もなく、また、冷却孔は耐食性に優れるニッケルで覆われているので、モリブデンが直接純水と接することがなく、腐食による冷却水の漏洩の心配がなくなる。したがって、高熱負荷運転が想定されるモリブデン製イオン源電極の信頼性を向上させることができると共に、長寿命化を図ることができる。
また、耐熱性及び耐食性に優れるモリブデン及びニッケルからなるクラッド材は、真空圧延により製造されるため、モリブデンとニッケルの接合性及び圧延クラッドの実績から見てその信頼性に優れており、イオン源電極の信頼性も向上する。
なお、本実施形態では、モリブデンとニッケルのクラッド材を用いたが、耐熱性及び耐食性を有する金属の組合せであれば、モリブデンとニッケルの組合せに限定されるものではない。例えば、モリブデンと銅のクラッド材でもモリブデンとニッケルの組合せと同様の作用効果を得ることができる。
また、モリブデンとニッケルなどのクラッド材は、HIP(熱間等方圧加圧)による製造方法でも、接合の信頼性は高く、そのクラッド材を用いても本実施形態と同様の耐熱性、耐食性に優れたイオン源電極を得ることができる。
このように本発明の第2の実施形態では、強制冷却タイプのモリブデン製イオン源電極板は冷却媒体の純水がモリブデンと材と直接接することがないので、モリブデン材の冷却水による腐食がなく、従来の拡散接合タイプのモリブデン電極と比較して、長寿命化を図ることができる。また、製造方法としては大型かつ特殊な接合装置を必要とした拡散接合方式と比較して、真空炉などの簡易な装置のみで信頼性の高いイオン電極を簡便な方法で安価に製造することができる。
本発明の第1の実施形態に係るイオン源電極板を構成する製作前の部品を示す断面図。 同実施形態において、イオン源電極板の途中までの製造工程を示す断面図。 同実施形態において、イオン源電極板の最終の製造工程を示す断面図。 同実施形態のイオン源電極を示す断面図 本発明の第2の実施形態に係るイオン源電極を構成する製作前の部品を示す断面図。 同実施形態において、イオン源電極板の途中までの製造工程を示す断面図。 同実施形態において、イオン源電極板の最終の製造工程を示す断面図。 中性粒子入射装置の概略構成を示す断面図。 従来のイオン源電極板を示す断面図。
符号の説明
1…平板、2…溝、3…溝付き平板、4,5…パウダー、6…ヒータ、7…真空炉、8…排気ポンプ、9,10…バリヤ、11…冷却孔溝、12…ビーム穴、13…冷却孔、14…接合面、15…モリブデン平板、16,18…ニッケル平板、17…モリブデン、19,20…クラッド材、21…冷却溝、23…冷却孔

Claims (5)

  1. 熱膨張係数の小さい耐熱材料からなる平板と冷却孔となる冷却溝を設けた溝付き平板とを接合した構造のイオン源電極において、
    前記平板と前記溝付き平板との接合面及び溝付き平板の溝内部にこれらの平板と反応性の良い耐食性に優れた金属からなるバリヤを形成し、これら平板及び溝付き平板の接合面を前記バリヤを介して接合して一体化したことを特徴とするイオン源電極。
  2. 請求項1記載のイオン源電極において、
    前記平板及び溝付き平板は、モリブデンまたはタンタルのいずれかを主成分とする材料で構成され、
    前記平板及び溝付き平板の接合面及び溝内部に形成した金属からなるバリヤは、金ろうあるいはニッケルろう、またはチタン入り銀ろうなど、ろう材を主成分として形成されることを特徴とするイオン源電極。
  3. 冷却孔を有するイオン源電極において、
    熱膨張係数が小さく、かつ耐熱性に優れた金属と耐食性に優れた金属とを2層に組合せた2枚のクラッド材を用いて、平板と前記耐熱性に優れた金属部に冷却溝を設けた溝付き平板とを構成し、これら平板及び溝付き平板を接合して一体化したことを特徴とするイオン源電極。
  4. モリブデンに代表される熱膨張係数の小さい材料からなる平板及び溝付きの平板を接合する前に、平板及び溝付きの平板の接合面並びに溝付きの平板の溝内面に耐食性の高い金属によりバリヤを施し、その後平板及び溝付き平板を接合して一体化することを特徴とするイオン源電極の製造方法。
  5. 熱膨張係数の小さい金属と純水に対して耐食性の高い金属とを真空中で圧延したクラッド材からなる2枚の平板を用い、その一方の平板に耐食性に優れた金属の厚み以下の溝加工を施して溝付き平板とし、これら平板及び溝付き平板を真空炉中または雰囲気ガス中で接合して一体化することを特徴とするイオン電極の製造方法。
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