JP2008077059A - 光学装置を備えるプロジェクタ - Google Patents

光学装置を備えるプロジェクタ Download PDF

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JP2008077059A
JP2008077059A JP2007185302A JP2007185302A JP2008077059A JP 2008077059 A JP2008077059 A JP 2008077059A JP 2007185302 A JP2007185302 A JP 2007185302A JP 2007185302 A JP2007185302 A JP 2007185302A JP 2008077059 A JP2008077059 A JP 2008077059A
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Abstract

【課題】斜入射光に対しても位相差を与えず、精密なアライメントを必要としない光学素
子を組み込んだプロジェクタを提供すること。
【解決手段】合成支持板185は、第1の平板88が有する負の一軸性と、第2の平板8
9が有する正の一軸性とを相殺したものであり、全体として擬似的な等方的屈折材料とし
て機能する。つまり、合成支持板185は、あたかもガラスのような等方的媒質として変
調光を透過させ、通過する光束の偏光状態に殆ど影響を与えないものになっている。
【選択図】図5

Description

本発明は、画像形成等の各種用途に用いられる光学装置を組み込んだプロジェクタに関
する。
従来のプロジェクタとして、液晶パネルの前後に一組の偏光板を配置した液晶ライトバ
ルブによって、透過光を制御し像光を形成するものがある。そして、このようなプロジェ
クタにおいて、例えば液晶パネルと入射偏光板との間に補償用の位相差フィルムを配置す
ることにより、液晶に残存するプレチルトに起因する複屈折によって生じる位相ずれを補
償し、コントラストを高めるものが存在する(特許文献1参照)。
特開平10−312166号公報
上記のようなプロジェクタに組み込まれる偏光板や位相差フィルム等の光学素子は、水
晶やサファイアからなる基板に支持されることがある。これは、光束によって加熱される
光学素子をその基板の放熱性によって保護しようとするものである。この場合、サファイ
アや水晶は複屈折性を有しているので、例えばサファイアや水晶の光学軸を調整すること
で、基板自体が結像や偏光状態等に影響を与えないようにしている。例えば加熱される光
学素子は偏光膜であり、この場合偏光膜の透過軸と基板の光学軸を平行に配置することで
基板の複屈折性による影響を最小限にしている。つまり、偏光膜をサファイア等の基板で
支持する場合には、サファイア等の基板の光学軸を偏光方向に平行にアライメントして配
置することで位相差の発生を抑えていた。
しかしながら、このような方法では、偏光方向と基板の光学軸とを精度良く一致させる
必要があり、このようなアライメントが最適な位置から1°でもずれると、基板を通過す
る光束の偏光状態が大きく変化してしまい、液晶ライトバルブのコントラストが大幅に低
下する場合があった。また、上記のような光学素子において、サファイアや水晶製の基板
に垂直に入射する光束については、位相差の発生を防止できても、基板に斜めから入射す
る光束については、位相差の発生を防止できない。
そこで、本発明は、斜入射光に対しても位相差を与えず、精密なアライメントを必要と
しない光学素子を組み込んだプロジェクタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係るプロジェクタは像形成等のための光学装置を備
える。当該光学装置は、(a)互いに平行な入射平面及び射出平面を有するとともに光学
軸を有する負の一軸性の無機屈折材料で形成されている第1の平板と、(b)前記第1の
平板の前記入射平面にそれぞれ平行な入射平面及び射出平面を有するとともに前記第1の
平板の光学軸に略平行な光学軸を有する正の一軸性の無機屈折材料で形成されている第2
の平板とを含む。本プロジェクタの光学装置において、前記第1の平板と前記第2の平板
とは、光束が当該第1及び第2の平板の間を通過する際に偏光状態が実質的に影響を受け
ないような位置関係で、当該第1及び第2の平板のうち少なくとも一方が加熱される光学
素子に接するように配置され、前記第1の平板の厚さと前記第2の平板の厚さとの調整に
より、前記第1及び第2の平板の位相差を互いに打ち消す。ここで、第1の平板の光学軸
と第2の平板の光学軸とが略平行であるとは、両平板の光学軸が厳密に平行である場合の
ほかこれに近い状態を含むことを意味し、例えば両平板の屈折率差等を考慮して、第1の
平板をその光学軸に沿って透過してきた入射光が第2の平板をその光学軸に対して同一角
度をなして通過する状態を意味する。
上記プロジェクタの光学装置では、第1の平板の厚さと第2の平板の厚さとの調整によ
り、前記第1及び第2の平板の位相差を互いに打ち消すので、両平板を一組として、複屈
折を有しない擬似的な等方的部材として機能させることができる。つまり、第1及び第2
の平板をガラス等の等方的な材料と同様に光学素子の基板等として偏光光の光路上に配置
することができるので、光学素子や基板のアライメント精度を徒に高くすることなく、無
機屈折材料としての各種特性を生かして、光学装置の耐久性、精度等に関する信頼性を高
めることができる。しかも、第1及び第2の平板のうち少なくとも一方が加熱される光学
素子に接して配置されるので、加熱される光学素子を第1の平板と第2の平板とのいずれ
かによって冷却することができる。これにより、例えば偏光板、位相差フィルム、液晶パ
ネル等の光学装置又はその部分を高精度で動作させることができ、高性能のプロジェクタ
を提供することができる。
また、本発明の具体的な態様又は観点によれば、上記プロジェクタにおいて、前記第1
及び第2の平板の前記位置関係は、当該第1及び第2の平板を直接接させること、又は、
当該第1及び第2の平板の間に等方性媒体を介在させることのいずれかである。この場合
、第1の平板から射出した光束が実質的に偏光状態を変えず第2の平板に入射することに
なり、両平板を併せた状態で実質的な等方的部材として使用することができる。
本発明の別の態様によれば、前記第1及び第2の平板が接着剤を介して互いに接合され
る。この場合、第1及び第2の平板を接合した光学素子は、1つの透過平板として機能し
、プロジェクタに組み込む作業も簡便なものとなる。
本発明のさらに別の態様によれば前記第1の平板を透過するときに前記第1の平板の光
学軸と平行な光線が、前記第2の平板を透過するときに前記第2の平板の光学軸と平行な
光線となるように、前記第1の平板の光学軸と前記第2の平板の光学軸とが配置される。
この場合、第1及び第2の平板を一組とする光学素子は、第1の平板で与えられた位相差
を第2の平板で与えられる位相差で容易に相殺することが可能となる。
本発明のさらに別の態様によれば、前記加熱される光学素子が所定方向の直線偏光を透
過させる偏光膜を含む。この場合、加熱される偏光膜を第1の平板と第2の平板とのいず
れかによって冷却することができるとともに、偏光膜を通過する光束の偏光状態が第1の
平板や第2の平板で乱されることを防止できる。
本発明のさらに別の態様によれば、前記偏光膜は、第1の偏光膜と第2の偏光膜とを含
み、前記第1の平板は、前記第2の平板の光入射側に配置され、前記第1の偏光膜は、前
記第1の平板の光入射端面に接しており、前記第2の偏光膜は、前記第2の平板の光射出
端面に接している。熱を分散させ偏光膜の劣化を抑制するように2つの偏光膜を使用した
場合でも2つの偏光膜間に配置される平板によって位相差が与えられない。
本発明のさらに別の態様によれば、前記第1の平板がサファイアで形成され、前記第2
の平板が水晶で形成される。この場合、加熱される光学素子をガラスや石英よりも通常高
い熱伝導度を有するサファイアや水晶によって効率的に冷却することができる。
本発明のさらに別の態様によれば、前記光学装置が、液晶を保持する液晶セルと、当該
液晶セルに近接して配置される少なくとも1つの偏光部材とを含む光変調装置であり、前
記第1及び第2の平板が、前記液晶セルと前記少なくとも1つの偏光部材との間に配置さ
れる。この場合、液晶セルと少なくとも1つの偏光膜とによって液晶ライトバルブとして
機能する光変調用の光学装置を提供することができる。以上において、偏光部材とは、偏
光素子や偏光ビームスプリッタ等を意味し、液晶ライトバルブに対応して複数の偏光部材
がある場合、前記第1及び第2の平板は、前記液晶セルと最も離れた偏光部材までのいず
れかの位置に配置される。
本発明のさらに別の態様によれば、前記光変調装置を照明する照明装置と、前記光変調
装置によって形成された画像を投射する投射レンズとをさらに備える。この場合、照明装
置に照明された光変調装置によって形成された像光を、投射レンズによって画像としてス
クリーン上に投射することができる。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る光学装置である液晶ライトバルブ(光変調装置)
の構造を説明する拡大断面図である。
図示の液晶ライトバルブ31において、入射側の第1偏光板である第1偏光フィルタ3
1bと、射出側の第2偏光板である第2偏光フィルタ31cとは、クロスニコルを構成す
る。これら第1及び第2偏光フィルタ31b,31cの間に挟まれた液晶装置31aは、
入射光の偏光方向を、入力信号に応じて画素単位で変化させる液晶パネルである。
液晶装置31aは、例えば垂直配向モードで動作する液晶(すなわち垂直配向型の液晶
)で構成される液晶層71を挟んで、入射側に透明な第1基板72aと、射出側に透明な
第2基板72bとを備える。さらに、液晶装置31aは、入射側の第1基板72aの外側
に入射側カバー74aを備え、射出側の第2基板72bの外側に射出側カバー74bを備
える。
第1基板72aの液晶層71側の面上には、透明な共通電極75が設けられており、そ
の上には、例えば配向膜76が形成されている。一方、第2基板72bの液晶層71側の
面上には、マトリクス状に配置された複数の透明画素電極77と、各透明画素電極77に
電気的に接続されている薄膜トランジスタ(不図示)とが設けられており、その上には、
例えば配向膜78が形成されている。ここで、第1及び第2基板72a,72bと、これ
らに挟まれた液晶層71と、電極75,77とは、入射光の偏光状態を変化させるための
液晶セルとなっている。また、液晶セルを構成する各画素は、1つの画素電極77と、共
通電極75と、これらの間に挟まれた液晶層71とを含む。なお、第1基板72aと共通
電極75との間には、各画素を区分するように格子状のブラックマトリックス79が設け
られている。
ここで、配向膜76,78は、液晶層71を構成する液晶性化合物を必要な方向に配列
させるためのものであり、液晶層71に電圧が印加されないオフ状態において、液晶性化
合物の光学軸を第1基板72aの法線に対して大きくないが一様な傾きとなるように配向
させる役割を有し、液晶層71に電圧が印加されたオン状態において、液晶性化合物の光
学軸が第1基板72aの法線に対して垂直な特定の方向(具体的にはX方向)に配向する
ことを許容する。これにより、液晶層71に対して電圧を印加しないオフ状態において、
最大遮光状態(最低輝度状態)を確保することができ、液晶層71に対して電圧を印可し
たオン状態において、最大透過状態(最高輝度状態)を確保することができる。
図2は、図1に示す液晶装置31aの入射側に配置される第1偏光フィルタ31bの構
造を説明する断面構造図である。第1偏光フィルタ31bは、偏光膜81と、外側支持層
83と、光学補償板85とを備える三層構造の偏光板すなわち偏光素子であり、入射光の
光軸に沿ったZ方向に垂直なXY面に対して微小角だけ傾斜した状態で配置されている。
ここで、最も内側の光学補償板85は、第1の平板86と第2の平板87とを含む二層構
造になっており、両平板86,87は、互いに異種の無機複屈折材料で形成されている。
なお、外側支持層83の入射平面83a及び射出平面83bと、光学補償板85の入射平
面85a及び射出平面85bとは、互いにすべて平行になっている。また、光学補償板8
5を構成する第1の平板86の入射平面86a及び射出平面86b、並びに、第2の平板
87の入射平面87a及び射出平面87bは、互いにすべて平行で、第1の平板86の入
射平面86aと第2の平板87の射出平面87bとは、光学補償板85自体の入射出平面
85a,85bに一致している。
以上の第1偏光フィルタ31bにおいて、光学素子である偏光膜81は、有機材料で形
成された外側支持層83と無機材料で形成された光学補償板85との間にサンドイッチさ
れた状態で保持されている。偏光膜81は、一定方向に振動する直線偏光のみを通過させ
るためのもので、例えばPVA(ポリビニールアルコール)膜に染料を吸着させて特定方
向に延伸させることによって形成される。また、外側支持層83は、例えば薄いTAC(
トリアセチルセルロース)板で形成されている。さらに、光学補償板85において、第1
の平板86は、負の一軸性の屈折材料(例えばサファイア)で形成されており、第2の平
板87は、正の一軸性の屈折材料(例えば水晶)で形成されている。結果的に、光学補償
板85は、第1の平板86が有する負の一軸性のうち、第2の平板87が有する正の一軸
性によって相殺された残りとしての負の一軸性により、全体として負の一軸性の複屈折材
料として機能する。つまり、光学補償板85は、擬似的な屈折率として、負の一軸性の複
屈折を有するものとなっている。
なお、光学補償板85は、偏光部材としての偏光膜81に接しているので、例えばサフ
ァイアや水晶といった比較的熱伝率の高い結晶性の無機材料で形成され比較的厚みがある
ものとされており、入射光の吸収によって発熱しやすい偏光膜81を効率的に冷却するこ
とができる一種の冷却板若しくは放熱板として機能する。
図3は、図1に示す液晶装置31aの射出側に配置される第2偏光フィルタ31cの構
造を説明する断面構造図である。第2偏光フィルタ31cは、偏光膜81と、外側支持層
83と、合成支持板185とを備える三層構造の偏光板すなわち偏光素子であり、変調光
の光軸に沿ったZ方向に垂直なXY面に平行な状態で配置されている。ここで、最も内側
の合成支持板185は、第1の平板88と第2の平板89とを含む二層構造の支持部材で
あり、両平板88,89は、互いに異種の無機複屈折材料で形成されている。なお、第1
偏光フィルタ31bの場合と同様、外側支持層83の入射平面83a及び射出平面83b
と、合成支持板185の入射平面185a及び射出平面185bとは、互いにすべて平行
になっている。また、合成支持板185を構成する第1の平板88の入射平面88a及び
射出平面88b、並びに、第2の平板89の入射平面89a及び射出平面89bは、互い
にすべて平行で、第1の平板88の入射平面88aと第2の平板89の射出平面89bと
は、合成支持板185自体の入射出平面185a,185bに一致している。
以上の第2偏光フィルタ31cにおいて、偏光膜81や外側支持層83は、図2に示す
第1偏光フィルタ31bを構成する偏光膜81や外側支持層83と同様のものである。ま
た、内側に配置された合成支持板185において、第1の平板88は、負の一軸性の屈折
材料(例えばサファイア)で形成されており、第2の平板89は、正の一軸性の屈折材料
(例えば水晶)で形成されている。結果的に、合成支持板185は、第1の平板88が有
する負の一軸性と、第2の平板89が有する正の一軸性とを相殺したものであり、全体と
して擬似的な等方的屈折材料として機能する。つまり、合成支持板185は、あたかもガ
ラスのような等方的媒質として変調光を透過させ、通過する光束の偏光状態に殆ど影響を
与えないものになっている。なお、以上の説明において、合成支持板185は、入射出平
面185a,185bがZ方向に沿った光軸に対して垂直になるように配置されているが
、合成支持板185を光軸に垂直な状態から多少傾斜した状態に配置することもできる。
ここで、第2偏光フィルタ31cにおいて内側の合成支持板185を見かけ上の等方的
屈折材料で形成する理由について簡単に説明する。外側支持層83は、特定の直線偏光を
選択的に透過させる光学素子である偏光膜81の外側(具体的には、図1において変調光
が射出する側)すなわち偏光特性に影響しない非作用側にあり、クロスニコルの機能に実
質的に影響しないので、これが多少複屈折性を有していても特に問題は生じない。一方、
合成支持板185は、偏光膜81の内側(具体的には、図1の液晶装置31aに対向する
側)すなわち偏光特性に影響する作用側にある層であり、クロスニコルの機能に実質的に
影響するので、これが多少であっても複屈折性を有していると、液晶ライトバルブ31の
変調性能に影響が生じる。よって、合成支持板185を構成する第1の平板88の複屈折
性によって生じた偏光状態の変化を同様に合成支持板185を構成する第2の平板89の
複屈折性によって相殺するような作用を与えるならば、合成支持板185全体として複屈
折性が恰も存在しないかのように扱うことができ、液晶装置31aによる変調作用に影響
を与えない理想的な第2偏光フィルタ31cを提供することができる。
なお、合成支持板185は、偏光膜81に接しているので、例えばサファイアや水晶と
いった比較的熱伝率の高い結晶性の無機材料で形成され比較的厚みがあるものとされてお
り、変調光の吸収によって発熱しやすい偏光膜81を効率的に冷却することができる一種
の冷却板若しくは放熱板として機能する。
図4(a)は、図2に示す第1偏光フィルタ31bに組み込まれた光学補償板85の屈
折率を説明する側面図であり、図4(b)は、光学補償板85の等価的な機能を説明する
図である。光学補償板85のうち第1の平板86を形成する負の一軸性屈折材料の屈折率
楕円体RIE21の短軸すなわち光学軸OA21は、入射平面85a及び射出平面85b
に対して略垂直であるが微小角だけ傾斜して配置されている。また、第2の平板87を形
成する正の一軸性屈折材料の屈折率楕円体RIE22の長軸すなわち光学軸OA22も、
入射平面85a及び射出平面85bに対して略垂直であるが微小角だけ傾斜して配置され
ており、屈折率楕円体RIE21の光学軸OA21に平行になっている。結果的に、両平
板86,87の光学軸OA21,OA22、すなわち光学補償板85としての光学軸は、
入射平面85aの法線に対して微小角だけ傾斜した状態となっている。
ここで、光学補償板85は、第1の部分P21と第2の部分P22とに分けて考えるこ
とができ、一方の第1の部分P21は、屈折率楕円体RIE21と屈折率楕円体RIE2
2とを適当な比率で互いに相殺するように合成したものと考えることができ、屈折率球R
ISと等価な等方的な媒体として、入射光に対して位相差を与えない。他方の第2の部分
P22は、第1の平板86が部分的に位相差付与の効果を失わないで残った極めて薄い層
(厚さd2’)と考えることができ、この極めて薄い層の屈折率楕円体RIE21により
、入射光に対して位相差を与えることができる。つまり、第1の平板86の厚さと第2の
平板87の厚さとをバランスさせた等方的な状態から適宜ずらしたアンバランスな状態と
することにより、全体として負の一軸性の複屈折材料として機能し位相差付与量すなわち
補償量の少ない光学補償板85を得ることができる。具体的には、入射平面85aに入射
する照明光束の主光線(図示の例では入射平面85aの法線に沿ったZ方向に延びる)に
対する光学補償板85の光学軸OA21,OA22の傾斜角度に応じて、照明光束に与え
られる位相差が変化する。
図5(a)は、図3に示す第2偏光フィルタ31cに組み込まれた合成支持板185の
屈折率を説明する側面図であり、図5(b)は、合成支持板185の等価的な機能を説明
する図である。合成支持板185のうち第1の平板88を形成する負の一軸性屈折材料の
屈折率楕円体RIE21の短軸すなわち光学軸OA21は、入射平面185a及び射出平
面185bに対して垂直に配置されている。また、第2の平板89を形成する正の一軸性
屈折材料の屈折率楕円体RIE22の長軸すなわち光学軸OA22も、入射平面185a
及び射出平面185bに対して垂直に配置されており、屈折率楕円体RIE21の光学軸
OA21と平行になっている。結果的に、合成支持板185は、屈折率楕円体RIE21
と屈折率楕円体RIE22とを適当な比率で互いに相殺するように合成したものと考える
ことができ、屈折率球RISと等価な等方的な媒体として、入射光に対して位相差を与え
ない。つまり、第1の平板88の厚さと第2の平板89の厚さとをバランスさせた状態と
することにより、全体として等方的な屈折材料として機能し位相差を殆ど発生させない合
成支持板185を得ることができる。
合成支持板185における屈折率の相殺機能についてより詳細に説明する。まず、第1
の平板88について考えると、この第1の平板88は、負の一軸性結晶からなり、屈折率
を基準とする各軸方向の屈折率をNx,Ny,Nzとすると、一般にNz<Nx=Nyの
関係が成り立ち、屈折率楕円体RIE21の長軸に対応する光学軸OA21は、合成支持
板185の入射平面185aに法線方向から入射する光線(垂直入射光)に対して平行に
なっている。ここで、図5(a)に示すように第1の平板88の正常屈折率がNで異常
屈折率がNである。よって、垂直入射光に対する第1の平板88のリタデーションRe
1は、第1の平板88の厚みをd1として、
Re1=(N−N)×d1 … (1)
となる。同様に、第2の平板89について考えると、この第2の平板89は、正の一軸性
結晶からなり、屈折率を基準とする各軸方向の屈折率をnx,ny,nzとすると、一般
にnx=ny<nzの関係が成り立ち、屈折率楕円体RIE22の長軸に対応する光学軸
OA22は、合成支持板185の入射平面185aに法線方向から入射する光線(垂直入
射光)に対して平行になっている。ここで、図5(a)に示すように第2の平板89の正
常屈折率がnで異常屈折率がnである。よって、垂直入射光に対する第2の平板89
のリタデーションRe2は、第2の平板89の厚みをd2として、
Re2=(n−n)×d2 … (2)
となる。ここで、第1の平板88の屈折率Nzの短軸と第2の平板89の屈折率nzの長
軸とは平行又は略平行に配置されている。したがって、垂直入射光に対するトータルのリ
タデーションREは、式(1)で与えられるRe1と、式(2)で与えられるRe2との
差の絶対値で与えられる。つまり、Re1=Re2のとき、第2偏光フィルタ31cに入
射する変調光は、位相作用を受けず特定の直線偏光のみを通過させる。
以下では、液晶ライトバルブ31への入射光が角度分布を有する場合について考察する
。まず、空気に挟まれた液晶装置31aを斜めに通過するある光束について考え、空気中
での傾き角をη0とし、第1の平板88中での傾き角をη1とし、第2の平板89中での
傾き角をη2とする。この場合、第1の平板88において、NとNとの差が小さいこ
とからN≒Nとなるので、液晶装置31aから射出し空気を介して第2偏光フィルタ
31cに傾き角η0で入射した光束については、第1の平板88中において、以下の条件
を満たすような光路をたどる。
sin(η0):sin(η1)=1:1/N
sin(η1)=sin(η0)/N … (3)
さらに、第2の平板89において、n≒nとなるので、第1の平板88中で傾き角η
1で第2の平板89に傾き角η2で入射した光束については、以下のようになる。
sin(η1):sin(η2)=1/N:1/n
sin(η2)=sin(η1)(N/n) … (4)
以上のような斜め入射光が両平板88,89すなわち合成支持板185を通過する際の
リタデーションRe’は、次式
Re’=(N−N)×d1/cos(η1)
−(n−n)×d2/cos(η2) … (5)
で与えられる。上式でd1/cos(η1)は、傾斜した入射光の第1の平板88におけ
る実効的厚さであり、d2/cos(η2)は、傾斜した入射光の第2の平板89におけ
る実効的厚さである。
結果的に、合成支持板185すなわち第1及び第2の平板88,89を通過する際のリ
タデーションRe’は、屈折率n,n,N,N,d1,d2が定数であり、値η
1,η2が上記値η0によって決定されるパラメータであるので、以下のような関数f
Re’=f(η0) … (6)
と考えて処理することができる。よって、上記式(6)に基づいて、全ての入射光線(傾
き角η0,方位角φ)に関してリタデーションRe’を求めてこれらの総和が最小値にな
るように、合成支持板185を構成する平板88,89の厚みd1,d2を最適化するこ
ともでき、この場合、偏光膜81に入射する光束は、傾き角η0が比較的小さい範囲で、
位相作用を殆ど受けず液晶装置31aから射出されたままの状態となる。例えばある一定
のNAで液晶ライトバルブ31に垂直入射する光束の場合、開口角に対応するη0が0〜
ηmaxとなり、方位角φが0〜360°となるので、以下の積分値
Figure 2008077059
がゼロに近づくように第1及び第2の平板88,89の厚み等を設定する。ここで、W(
η0,φ)は、入射光の角度分布によって与えられる重み関数である。図6(a)は、通
過光のリタデーションRe’=f(η0)と傾き角η0との関係を視覚的に説明したもの
であり、傾き角η0が0となる正面方向の光に対してリタデーションRe’が最も小さく
なっているが、傾き角η0が増加するに従ってリタデーションRe’が徐々に増加する。
また、図6(b)は、入射光の重み関数W(η0,φ)と傾き角η0との関係を視覚的に
説明したものであり、傾き角η0が0となる正面方向の光の密度が最も高くなっており、
これに伴って重み関数が最大値となっている。以上は例示であり、リタデーションRe’
=f(η0)の特性は、第1及び第2の平板88,89の光学特性によって定まり、重み
関数W(η0,φ)は、光源の放射特性、均一化光学系の光学特性等によって定まる。つ
まり、第1及び第2の平板88,89の屈折率楕円体RIE21,RIE22や厚みd1
,d2を調節することで、様々なW(η0,φ)の照明装置に対してリタデーションRe
’=f(η0)の積分値を極小化することができ、液晶装置31aから射出されたままの
状態の光束を偏光膜81に入射させることができる。
以上の式(7)によって表される積分値(合計リタデーション)は、高速演算を行うシ
ミュレーションによって迅速に求めることができ、第1及び第2の平板88,89の屈折
率特性を入力することで、両平板88,89の厚みd1,d2を迅速に決定することがで
きる。
以下、第1偏光フィルタ31bに設けた光学補償板85の機能、すなわち液晶層71の
プレチルトに起因する位相の乱れを補償する機能について説明する。
図7は、液晶層71の屈折率と光学補償板85の屈折率とを説明する側方断面の概念図
である。ここで、液晶層71の入射面71a及び射出面71bは互いに平行であり、光学
補償板85すなわち入出射平面85a,85bは、上記入出射面71a,71bに対して
ともに平行に配置されている。
液晶層71において、オフ状態の液晶性化合物の屈折率楕円体RIE3の長軸すなわち
光学軸OA3は、XZ面内でZ軸に対して小さいが一定の傾き角を有している。この際、
屈折率楕円体RIE3の傾き方向はX方向であり、このX方向を液晶層71の配向方向と
呼ぶものとする。また、屈折率楕円体RIE3の配向方向における傾き角は、プレチルト
角θ3と呼ばれる。一方、光学補償板85において、これの擬似的屈折率に相当する屈折
率楕円体RIE2は、図4(b)に示す第2の部分P22における負の一軸性結晶の屈折
率楕円体RIE21に相当するものになっており、その短軸すなわち光学軸OA2は、X
Z面内にあってZ軸に対して小さいが一定の傾き角を有している。この際、屈折率楕円体
RIE2の傾き方向すなわち方位角は、液晶層71の配向方向と同じX方向となる。そし
て、屈折率楕円体RIE2が傾く方位角における屈折率楕円体RIE2の傾き角θ2は、
入射面71aへの垂直入射光の光路VPを基準として、液晶層71に付与されているプレ
チルト角θ3と等しくなっている。つまり、光学補償板85の光学軸OA2傾き角を調節
することにより、ある入射角度で液晶装置31aに入射する光線について考えた場合に、
光学補償板85内を透過する際と液晶層71内を透過する際とにおいて、液晶層71を光
学軸OA1に対して平行に通過する光が、光学補償板85を光学軸OA2に対して平行に
通過するようにしている。
以上のように、オフ状態の液晶層71のプレチルトに応じて光学補償板85の光学軸の
方位を設定することにより、第1偏光フィルタ31bから射出された偏光と第2偏光フィ
ルタ31cに入射する偏光とは同一状態となり、垂直入射光に対する第2偏光フィルタ3
1cでの遮光が完全となる。つまり、液晶ライトバルブ31によって形成される画像のコ
ントラストを最大限高めることができる。
図8は、第2偏光フィルタ31cに関して、合成支持板185を構成する第1の平板8
8の厚さと第2の平板89の厚さとを変化させた場合の位相差を調べたグラフである。グ
ラフ中、□印は、300μm厚を有するサファイア製の第1の平板88と、200μm厚
を有する水晶製の第2の平板89とを貼り合わせた実施例の合成支持板185における位
相差の入射角依存性を示す。また、◇印は、225μm厚を有するサファイア製の第1の
平板88と、200μm厚を有する水晶製の第2の平板89とを貼り合わせた第1比較例
の合成支持板185における位相差の入射角依存性を示す。また、△印は、150μm厚
を有するサファイア製の第1の平板88と、200μm厚を有する水晶製の第2の平板8
9とを貼り合わせた第2比較例における位相差の入射角依存性を示す。グラフから明らか
なように、□印で示す実施例の合成支持板185に関しては、入射角が10°以下の範囲
で、位相差が1nm以下で入射角度依存性が殆ど発生せず、石英ガラスや白板ガラス等の
等方的部材を用いた場合と遜色ないことが分かる。つまり、サファイア製の第1の平板8
8と水晶製の第2の平板89とを例えば3:2の厚さ比で組み合わせることにより、擬似
的な屈折率等方性を有する平板を簡単に得ることができる。このような合成支持板185
やこれを構成する平板88,89は、比較的厚みがあり、各平板88,89の加工が容易
で合成支持板185の取扱も容易である。さらに、サファイアや水晶は、熱伝導率が高く
、放熱能力に優れていることから、偏光膜81の支持体として優れる。さらに、第1の平
板88の光学軸OA21と第2の平板89の光学軸OA22とは互いに一致して入出射平
面185a,185bに垂直になっているので、入出射平面185a,185b内に光学
軸成分が存在しない。よって、偏光膜81等を貼り付ける際の角度方向の制限がなくなり
アライメントが容易になる。
なお、以上のグラフに示す具体例では、第1の平板88であるサファイア板の厚さを固
定して第2の平板89である水晶板の厚さを調整しているが、その逆も可能であり、第2
の平板89である水晶板の厚さを固定して第1の平板88であるサファイア板の厚さを調
整することもできる。
以下、合成支持板185を備える第2偏光フィルタ31cの製造方法について説明する
。まず、外側支持層83となるべきTAC板上に粘着剤を介してPVA膜を接着し、PV
A膜にヨウ素等を主体とした染料を吸着させてPVA膜を染色する。その後、PVA膜を
TAC板とともに延伸してPVA膜に所望の偏光特性を持たせる。これにより、偏光膜8
1及び外側支持層83の2層構造が得られる。これと並行して、合成支持板185の材料
を準備する。つまり、第1の平板88の材料となるサファイア板と、第2の平板89の材
料となる水晶板とを目標の厚さより研磨分だけ厚く切り出して、屈折率楕円体RIE21
,RIE22の傾き方向(配向方位)が両平板88,89の一対の対向する平面すなわち
主面に垂直になるようにする。次に、サファイア板と水晶板の一対の対向する平面に対し
て研磨等の加工を施して表面を滑らかにする。次に、洗浄後のサファイア板と水晶板とを
紫外線硬化樹脂を介して貼り合わせた後、硬化によって固定する。最後に、別途準備した
偏光膜81及び外側支持層83の2層構造と、サファイア板及び水晶板からなる合成支持
板185とを紫外線硬化樹脂を介して貼り合わせた後、硬化によって固定する。
なお、以上の説明で、偏光フィルタ31b,31cを構成する偏光膜81は、樹脂等で
形成される吸収型の偏光子であるものとしたが、ワイヤグリッド偏光子等の反射型の偏光
子とすることもできる。
〔第2実施形態〕
図9は、図1に示す液晶ライトバルブ31を組み込んだプロジェクタの光学系の構成を
説明する図である。
本プロジェクタ10は、光源光を発生する光源装置21と、光源装置21からの光源光
を赤緑青の3色に分割する色分離光学系23と、色分離光学系23から射出された各色の
照明光によって照明される光変調部25と、光変調部25からの各色の像光を合成するク
ロスダイクロイックプリズム27と、クロスダイクロイックプリズム27を経た像光をス
クリーン(不図示)に投射するための投射光学系である投射レンズ29とを備える。この
うち、光源装置21、色分離光学系23、光変調部25、及びクロスダイクロイックプリ
ズム27は、スクリーンに投射すべき像光を形成する画像形成装置となっている。
以上のプロジェクタ10において、光源装置21は、光源ランプ21aと、凹レンズ2
1bと、一対のフライアイ光学系21d,21eと、偏光変換部材21gと、重畳レンズ
21iとを備える。このうち、光源ランプ21aは、例えば高圧水銀ランプからなり、光
源光を回収して前方に射出させる凹面鏡を備える。凹レンズ21bは、光源ランプ21a
からの光源光を平行化する役割を有するが、省略することもできる。一対のフライアイ光
学系21d,21eは、マトリックス状に配置された複数の要素レンズからなり、これら
の要素レンズによって凹レンズ21bを経た光源ランプ21aからの光源光を分割して個
別に集光・発散させる。偏光変換部材21gは、フライアイ光学系21eから射出した光
源光を例えば図9の紙面に垂直なS偏光成分のみに変換して次段光学系に供給する。重畳
レンズ21iは、偏光変換部材21gを経た照明光を全体として適宜収束させることによ
り、光変調部25に設けた各色の光変調装置に対する重畳照明を可能にする。つまり、両
フライアイ光学系21d,21eと重畳レンズ21iとを経た照明光は、以下に詳述する
色分離光学系23を経て、光変調部25に設けられた各色の液晶パネル25a,25b,
25cを均一に重畳照明する。
色分離光学系23は、第1及び第2ダイクロイックミラー23a,23bと、補正光学
系である3つのフィールドレンズ23f,23g,23hと、反射ミラー23j,23m
,23n,23oとを備え、光源装置21とともに照明装置を構成する。ここで、第1ダ
イクロイックミラー23aは、赤緑青の3色のうち例えば赤光及び緑光を反射し青光を透
過させる。また、第2ダイクロイックミラー23bは、入射した赤及び緑の2色のうち例
えば緑光を反射し赤光を透過させる。この色分離光学系23において、光源装置21から
の略白色の光源光は、反射ミラー23jで光路を折り曲げられて第1ダイクロイックミラ
ー23aに入射する。第1ダイクロイックミラー23aを通過した青光は、例えばS偏光
のまま、反射ミラー23mを経てフィールドレンズ23fに入射する。また、第1ダイク
ロイックミラー23aで反射されて第2ダイクロイックミラー23bでさらに反射された
緑光は、例えばS偏光のままフィールドレンズ23gに入射する。さらに、第2ダイクロ
イックミラー23bを通過した赤光は、例えばS偏光のまま、レンズLL1,LL2及び
反射ミラー23n,23oを経て、入射角度を調節するためのフィールドレンズ23hに
入射する。レンズLL1,LL2及びフィールドレンズ23hは、リレー光学系を構成し
ている。このリレー光学系は、第1レンズLL1の像を、第2レンズLL2を介してほぼ
そのままフィールドレンズ23hに伝達する機能を備えている。
光変調部25は、3つの液晶パネル25a,25b,25cと、各液晶パネル25a,
25b,25cを挟むように配置される3組の偏光フィルタ25e,25f,25gとを
備える。ここで、第1光路OP1に配置された青光用の液晶パネル25aと、これを挟む
一対の偏光フィルタ25e,25eとは、青光を画像情報に基づいて2次元的に輝度変調
するための青色用の液晶ライトバルブを構成する。青色用の液晶ライトバルブは、図1に
示す液晶ライトバルブ31と同様の構造を有しており、光学補償板85及び合成支持板1
85を、一対の偏光フィルタ25eに相当する第1及び第2偏光フィルタ31b,31c
の内側部分にそれぞれ組み込んでいる。同様に、第2光路OP2に配置された緑光用の液
晶パネル25bと、対応する偏光フィルタ25f,25fも、緑色用の液晶ライトバルブ
を構成し、第3光路OP3に配置された赤光用の液晶パネル25cと、偏光フィルタ25
g,25gも、赤色用の液晶ライトバルブを構成する。そして、これら緑光及び赤色用の
液晶ライトバルブも、図1に示す液晶ライトバルブ31と同様の構造を有している。
青光用の第1液晶パネル25aには、色分離光学系23の第1ダイクロイックミラー2
3aを透過することによって分岐された青光が、フィールドレンズ23fを介して入射す
る。緑光用の第2液晶パネル25bには、色分離光学系23の第2ダイクロイックミラー
23bで反射されることによって分岐された緑光が、フィールドレンズ23gを介して入
射する。赤光用の第3液晶パネル25cは、第2ダイクロイックミラー23bを透過する
ことによって分岐された赤光が、フィールドレンズ23hを介して入射する。各液晶パネ
ル25a〜25cは、入射した照明光の空間的強度分布を変調する非発光型の光変調装置
であり、各液晶パネル25a〜25cにそれぞれ入射した3色の光は、各液晶パネル25
a〜25cに電気的信号として入力された駆動信号或いは画像信号に応じて変調される。
その際、偏光フィルタ25e,25f,25gによって、各液晶パネル25a〜25cに
入射する照明光の偏光方向が調整されるとともに、各液晶パネル25a〜25cから射出
される変調光から所定の偏光方向の成分光が像光として取り出される。
クロスダイクロイックプリズム27は、光合成部材であり、4つの直角プリズムを貼り
合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、X字状に
交差する一対の誘電体多層膜27a,27bが形成されている。一方の第1誘電体多層膜
27aは青色光を反射し、他方の第2誘電体多層膜27bは赤色光を反射する。このクロ
スダイクロイックプリズム27は、液晶パネル25aからの青光を第1誘電体多層膜27
aで反射して進行方向右側に射出させ、液晶パネル25bからの緑光を第1及び第2誘電
体多層膜27a,27bを介して直進・射出させ、液晶パネル25cからの赤光を第2誘
電体多層膜27bで反射して進行方向左側に射出させる。
投射レンズ29は、クロスダイクロイックプリズム27で合成されたカラーの像光を、
所望の倍率でスクリーン(不図示)上に投射する。つまり、各液晶パネル25a〜25c
に入力された駆動信号或いは画像信号に対応する所望の倍率のカラー動画やカラー静止画
がスクリーン上に投射される。
〔第3実施形態〕
以下、本発明の第3実施形態に係る液晶装置である液晶ライトバルブ(光変調装置)に
ついて説明する。第3実施形態の液晶ライトバルブは、第1実施形態の液晶ライトバルブ
を変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態と同様である。
図10は、第3実施形態の液晶ライトバルブの構造を説明する拡大断面図である。図示
の液晶ライトバルブ331は、液晶装置331aと、偏光ビームスプリッタ331bと、
光学補償板85と、偏光フィルタ331dとを備える。
液晶ライトバルブ331において、液晶装置331aは、入射光の偏光方向を入力信号
に応じて画素単位で変化させる反射型の液晶パネルである。液晶装置331aは、例えば
垂直配向モードで動作する液晶(すなわち垂直配向型の液晶)で構成される液晶層71を
挟んで、表側に第1基板72aと、裏側に第2基板372bとを備える。表側すなわち入
射出側の第1基板72aやその周辺部分については、ブラックマトリクスが存在しない点
を除いて第1実施形態と同様のものである。裏側の第2基板372bの液晶層71側には
、回路層379を介して、マトリクス状に配置された複数の反射画素電極377が形成さ
れている。各反射画素電極377には、回路層379に設けた薄膜トランジスタ(不図示
)が電気的に接続されている。回路層379及び反射画素電極377の上には、配向膜7
8が形成されている。ここで、第1及び第2基板72a,372bと、これらに挟まれた
液晶層71と、電極75,377とは、入射光の偏光状態を変化させるための液晶セルと
なっている。また、液晶セルを構成する各画素は、1つの画素電極377と、共通電極7
5と、これらの間に挟まれた液晶層71とを含む。
液晶ライトバルブ331において、偏光ビームスプリッタ331bは、図1の偏光フィ
ルタ31b,31cに代えて設けられたものであり、液晶装置331aに入射させる光の
偏光方向と、液晶装置331aから射出された光の偏光方向とについての調整を行ってい
る。この偏光ビームスプリッタ331b中には、偏光部材として、偏光を分離するための
偏光分離膜32が内蔵されている。
この偏光ビームスプリッタ331bは、入射光のうちS偏光を偏光分離膜32によって
反射して液晶装置331aへと入射させ、液晶装置331aから射出された変調光のうち
偏光分離膜32を透過するP偏光を射出する。つまり、液晶層71に対して電圧を印加し
ないオフ状態において、液晶装置331aからはS偏光が射出され偏光ビームスプリッタ
331bの偏光分離膜32でS偏光が反射されるので、画像光としては最大遮光状態(最
低輝度状態)を確保することができ、液晶層71に対して電圧を印可したオン状態におい
て、液晶装置331aからはP偏光が射出され偏光ビームスプリッタ331bの偏光分離
膜32でP偏光が透過されるので、最大透過状態(最高輝度状態)を確保することができ
る。なお、偏光ビームスプリッタ331bは、システム光軸に対して傾斜配置されるワイ
ヤグリッド偏光子等の他の反射型の偏光部材に置き換えることができる。
液晶ライトバルブ331において、光学補償板85は、入射光の光軸に沿ったZ方向に
垂直なXY面に平行な状態で配置されている。この光学補償板85は、図1に示す第1偏
光フィルタ31bから偏光膜81等を除いたものであり、互いに異種の複屈折材料で形成
された第1の平板86と第2の平板87とを含む二層構造を有している。具体的には、例
えば、第1の平板86が負の一軸性の屈折率を有し、第2の平板87が正の一軸性の屈折
率を有し、両者を合わせた光学補償板85は実効厚みの薄い負の一軸性の複屈折材料とし
て機能する。つまり、光学補償板85は、補正量の少ない位相差板として機能する。
光学補償板85の機能は、入射光束が光学補償板85と液晶層71とを往復することに
関係する点を除いて、第1実施形態の場合と同様である。すなわち、液晶装置331aに
おいて、垂直入射光に対するトータルのリタデーションは、図1に示す液晶装置31aに
場合の2倍で与えられる。液晶層71に対して電圧を印加しないオフ状態において、光学
補償板85を構成する第1及び第2の平板86,87の厚みの調整によって、偏光ビーム
スプリッタ331bで反射されて液晶装置331aに入射する偏光と、液晶装置331a
で反射されて偏光ビームスプリッタ331bに入射する偏光とが同一状態となり、垂直入
射光に対する遮光が完全となり、液晶ライトバルブ331の透過及び遮光によって決定さ
れる画像のコントラストは最大となる。なお、両平板86,87の厚みの調整等によって
、一定の視野角特性を有する入射光に対してもコントラストを高めることができる。
偏光フィルタ331dは、偏光ビームスプリッタ331bの射出側に配置されている。
偏光フィルタ331dは、図1の偏光フィルタ31cと同様の構造を有し、外側支持層8
3及び偏光膜81bの偏光ビームスプリッタ331b側に合成支持板185を備える。
ここで、偏光膜81bは、第1実施形態の場合と多少異なり、液晶ライトバルブ331
から射出される偏光の選択性を高める役割を有する。すなわち、偏光ビームスプリッタ3
31bの偏光分離膜32は、例えばP偏光を完全に透過しS偏光を完全に反射することが
望まれるが、一般にそのような消光特性すなわち検光特性を実現することは困難で、検光
特性の多少の改善であってもコスト増加を招く。このため、偏光分離膜32によるS偏光
の反射率をあまり高くしないで、代わりに偏光ビームスプリッタ331bの射出側に偏光
フィルタ331dを設けて比較的安価に検光特性の改善を図ることが考えられる。
以上のように、偏光ビームスプリッタ331bの射出側に偏光フィルタ331dを設け
た場合、偏光フィルタ331dの放熱を確保して加熱によるダメージの発生を予防するこ
とが望ましくなる。この場合、偏光フィルタ331dを構成する偏光膜81bに合成支持
板185を密着させることにより、偏光膜81bの効率的な冷却を確保することができる
。一方、偏光ビームスプリッタ331bの射出側に偏光フィルタ331dを設けた場合、
偏光フィルタ331dに内在する位相差によって、偏光膜81bの通過前に偏光状態や結
像等に影響を与えないようにする必要がある。よって、第1実施の場合と同様に、合成支
持板185については、水晶やサファイアのように熱伝導性の高い材料で形成して効率的
な冷却を達成できるようにするとともに、合成支持板185を構成する複数の複屈折材料
が相互に位相差を打ち消すようにする。具体的には、合成支持板185を構成する第1の
平板88の複屈折性によって生じた偏光状態の変化を、同様に合成支持板185を構成す
る第2の平板89の複屈折性によって相殺するような作用を与えることで、合成支持板1
85全体として複屈折性が恰も存在しないかのように扱うことができ、理想的な偏光透過
特性を有する偏光フィルタ331dを提供することができる。
合成支持板185において、第1の平板88は、負の一軸性の屈折材料(例えばサファ
イア)で形成されており、第2の平板89は、正の一軸性の屈折材料(例えば水晶)で形
成されている。結果的に、合成支持板185は、第1の平板88が有する負の一軸性と、
第2の平板89が有する正の一軸性とを相殺したものであり、上述のように全体として擬
似的な等方的屈折材料として機能する。なお、両平板88,89の厚みの調整等によって
、垂直入射光だけでなく一定の視野角特性を有する入射光に対しても、複屈折性を低減し
た光透過性の基板を提供することができる。
以上の説明において、合成支持板185は、入射出平面185a,185bがZ方向に
沿った光軸に対して垂直になるように配置されているが、合成支持板185を光軸に垂直
な状態から多少傾斜した状態に配置することもできる。
また、以上の説明では、偏光フィルタ331dを偏光ビームスプリッタ331bの射出
側に配置しているが、偏光フィルタ331dを偏光ビームスプリッタ331bの入射側に
配置することもできる。この場合、合成支持板185は、外側支持層83及び偏光膜81
bに対して偏光ビームスプリッタ331b側に配置される。
〔第4実施形態〕
図11は、図10に示す液晶ライトバルブ331を組み込んだプロジェクタの光学系の
構成を説明する図である。なお、第4実施形態のプロジェクタ310は、第2実施形態の
プロジェクタ10を変形したものであり、特に説明しない部分は、第2実施形態と同様で
ある。
本プロジェクタ310は、光源光を発生する光源装置21と、光源装置21からの光源
光を赤緑青の3色に分割する色分離光学系323と、色分離光学系323から射出された
各色の照明光によって照明される光変調部325と、光変調部325からの各色の像光を
合成するクロスダイクロイックプリズム27と、クロスダイクロイックプリズム27を経
た光をスクリーン(不図示)に投射するための投射光学系である投射レンズ29とを備え
る。
色分離光学系323は、第1及び第2ダイクロイックミラー323a,23bと、反射
ミラー323nとを備える。この色分離光学系23において、光源装置21からの略白色
の光源光は、ダイクロイックミラー323aに入射する。第1ダイクロイックミラー32
3aで反射された青光は、例えばS偏光のまま、反射ミラー323nを経て偏光ビームス
プリッタ55aに入射する。また、第1ダイクロイックミラー323aを透過して第2ダ
イクロイックミラー23bで反射された緑光は、例えばS偏光のまま偏光ビームスプリッ
タ55bに入射する。さらに、第2ダイクロイックミラー23bを通過した赤光は、例え
ばS偏光のまま、偏光ビームスプリッタ55cに入射する。
光変調部325は、3つの偏光ビームスプリッタ55a,55b,55cと、3つの液
晶パネル56a,56b,56cとを備える。ここで、青光用の偏光ビームスプリッタ5
5a及び液晶パネル56aは、青光を画像情報に基づいて2次元的に輝度変調するための
青色用の液晶ライトバルブを構成する。青色用の液晶ライトバルブは、図10に示す液晶
ライトバルブ331と同様の構造を有している。同様に、緑光用の偏光ビームスプリッタ
55b及び液晶パネル56bも、緑色用の液晶ライトバルブを構成し、赤光用の偏光ビー
ムスプリッタ55c及び液晶パネル56cも、赤色用の液晶ライトバルブを構成する。そ
して、これら緑光及び赤色用の液晶ライトバルブも、図10に示す液晶ライトバルブ33
1と同様の構造を有している。具体的には、偏光ビームスプリッタ55a,55b,55
cは、図10の偏光ビームスプリッタ331bに対応しており、偏光分離膜32b,32
g,32rを内蔵する。また、偏光ビームスプリッタ55a,55b,55cと、液晶パ
ネル56a,56b,56cとの間には、コントラスト向上のための光学補償板85がそ
れぞれ配置されている。さらに、偏光ビームスプリッタ55a,55b,55cと、クロ
スダイクロイックプリズム27との間には、偏光の選択性を高めるための偏光フィルタ3
31dがそれぞれ配置されている。
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるもの
ではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能で
あり、例えば次のような変形も可能である。
すなわち、上記実施形態では、合成支持板185としてサファイアと水晶を用いた例に
ついて説明したが、サファイア以外の負の一軸性結晶(例えば、方解石、KDP、ADP
)を用いることができ、水晶以外の正の一軸性結晶(例えば、方解石、バナジン酸イット
リウム、ルチル)を用いることができる。
また、上記第1実施形態等では、第2偏光フィルタ31cにおいて単一の偏光膜81だ
けで検光していたが、偏光膜を2つ備える構成にしてもよい。偏光膜を2つ用いた第2偏
光フィルタ31cの構成例を、図12に示す。入射側に配置される偏光膜81aは、第1
の平板88の入射側端面に接着され、射出側に配置される偏光膜81bは、第2の平板8
9と外側支持層83とに挟まれて接着される。図12では、支持部材185に含まれる第
1の平板88と第2の平板89とを互いに離間させて冷却風の流路を形成し、偏光膜81
aと偏光膜81bとの冷却効果をより高めた構成を示している。なお、装置の小型化や冷
却効率などの理由により、第1の平板88と第2の平板89とを接着した構成としてもよ
いし、図12に示す光学装置をプロジェクタに組み込む場合は、外側支持層83の射出面
をクロスダイクロイックプリズムの光入射面に接着してもよい。出射側の偏光膜81bは
第2の平板89と外側支持層83とに挟まれているため放熱しやすい。偏光膜81aの放
熱を促進させるために、放熱性はよいが複屈折性を有するサファイアや水晶等の第1の平
板88に偏光膜81aを貼付したとしても、第1の平板88で与えられる位相差を第2の
平板89で相殺するので、偏光膜81bで正確に検光でき、画像のコントラスト低下を防
止することができる。
また、上記第1実施形態等では、合成支持板185を液晶層71の射出側に配置してい
るが、合成支持板185を液晶層71の入射側に配置することができる。つまり、合成支
持板185を第1偏光フィルタ31b側に組み込み、光学補償板85を第2偏光フィルタ
31c側に組み込むことができる。
また、上記実施形態の合成支持板185内において、第1の平板88と第2の平板89
との順序を入れ替えることもできる。つまり、第1の平板88を射出側に配置し、第2の
平板89を入射側に配置することができる。
また、合成支持板185を構成する第1の平板88と第2の平板89とを接着剤で接合
する必要はなく、上記図12のように両平板88,89を空気を介して対向させ、或いは
両平板88,89を密着状態で対向させて、これら平板88,89を不図示のホルダで保
持することも可能である。また、両平板88,89の間には、接着剤以外の等方性媒体を
介在させることができる。さらに、両平板88,89の間には、異方性媒体を介在させる
こともできる。この場合、両平板88,89の光学軸に一致するように異方性媒体の光学
軸を配置する。
また、上記実施形態では、合成支持板185を構成する一対の平板88,89の光学軸
OA21,OA22を入射平面185a等に対して微小角だけ傾斜させているが、光学軸
OA21,OA22を両平板86,87の入射平面185a等に対してともに垂直にする
こともできる。この場合、第2偏光フィルタ31c自体を入射光に対して適宜傾斜させる
ことが望ましい。結果的に、第2偏光フィルタ31cに入射する光束のうち、ある傾き角
でこれを通過する主光線は、第1の平板88を透過するときにその光学軸OA21と平行
になり、第2の平板89を透過するときにその光学軸OA22と平行な光線となる。これ
により、合成支持板185で発生する位相差をより効果的に低減できる。
また、上記実施形態では、合成支持板185を含む第2偏光フィルタ31cを垂直配向
型の液晶ライトバルブ31に組み込む場合について説明したが、同様の合成支持板185
を含む第2偏光フィルタ31cをTN型の液晶ライトバルブに組み込むことができる。さ
らに、上記実施形態において、合成支持板185を、偏光膜81ではなく光学補償用の位
相差フィルムの支持体として、垂直配向型やTN型等の各種液晶ライトバルブ中に組み込
むことができる。なお、合成支持板185を位相差フィルムの支持体とする場合、合成支
持板185を光軸に垂直な状態から所定角だけ傾斜した状態に配置することで、位相差フ
ィルムを合成支持板185同様に傾斜した状態に保持することができる。
また、上記実施形態のような合成支持板185は、例えば液晶装置31aの第1基板7
2a及び入射側カバー74a等に置き換えることができる。
また、上記のような合成支持板185は、光学補償その他の目的で、プロジェクタ10
の他の箇所(例えば偏光変換部材21g、色分離光学系23、投射レンズ29等の内部)
に組み込むこともできる。
また、上記第3実施形態及び第4実施形態では、偏光ビームスプリッタ331b,55
a,55b,55cの偏光分離素子で反射したS偏光を光学補償板85を介して液晶装置
331a,56a,56b,56cに入射させ、偏光ビームスプリッタ331b,55a
,55b,55cの偏光分離素子を透過した液晶装置331a,56a,56b,56c
からのP偏光を、偏光フィルタ331dを介して画像光として射出する例のみを挙げたが
、偏光ビームスプリッタ331b,55a,55b,55cの偏光分離素子を透過したP
偏光を光学補償板85を介して液晶装置331a,56a,56b,56cに入射させ、
偏光ビームスプリッタ331b,55a,55b,55cの偏光分離素子で反射した液晶
装置331aからのS偏光を、偏光フィルタ331dを介して画像光として射出する構成
とすることも可能である。
また、上記実施形態のプロジェクタ10,310では、光源装置21を、光源ランプ2
1a、一対のフライアイ光学系21d,21e、偏光変換部材21g、及び重畳レンズ2
1iで構成したが、フライアイ光学系21d,21e、偏光変換部材21g等については
省略することができ、光源ランプ21aも、LED等の別光源に置き換えることができる
また、上記実施形態では、色分離光学系23,323を用いて照明光の色分離を行って
、光変調部25,325において各色の変調を行った後に、クロスダイクロイックプリズ
ム27において各色の像の合成を行っているが、単一の液晶パネルすなわち液晶ライトバ
ルブ31,331によって画像を形成することもできる。
上記実施形態では、3つの液晶パネル25a〜25cを用いたプロジェクタ10,31
0の例のみを挙げたが、本発明は、2つの液晶パネルを用いたプロジェクタ、あるいは、
4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも適用可能である。
上記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行なうフロントタイプのプロ
ジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射
を行なうリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
第1実施形態に係る液晶パネルの構造を説明する側方断面図である。 第1偏光フィルタの構造を説明する側面図である。 第2偏光フィルタの構造を説明する側面図である。 (a)、(b)は、光学補償板の屈折率とその等価的な機能を説明する図である。 (a)、(b)は、合成支持板の屈折率とその等価的な機能を説明する図である。 (a)、(b)は、リタデーションの傾き角依存性と、入射光の重み関数とを示す。 液晶層の屈折率と光学補償板の屈折率とを説明する側方断面図である。 シミュレーションの結果を説明するグラフである。 図1の液晶ライトバルブを組み込んだプロジェクタの光学系を説明する図である。 第2実施形態の液晶ライトバルブを説明する側方断面図である。 図10の液晶ライトバルブを組み込んだプロジェクタの光学系を説明する図である。 図1に示す液晶パネルの構造の変形例を説明する側方断面図である。
符号の説明
10…プロジェクタ、 21…光源装置、 23…色分離光学系、 25…光変調部、
25a,25b,25c…液晶パネル、 25e,25f,25g…偏光フィルタ、
27…クロスダイクロイックプリズム、 29…投射レンズ、 31…液晶ライトバルブ
、 31a…液晶装置、 31b…第1偏光フィルタ、 31c…第2偏光フィルタ、
71…液晶層、 72a…第1基板、 72b…第2基板、 75,77…電極、 76
,78…配向膜、 77…透明画素電極、 81…偏光膜、 83…外側支持層、 85
…光学補償板、 85a,85b…入出射平面、 88…第1の平板、 89…第2の平
板、 185…合成支持板、 185a,185b…入出射平面

Claims (9)

  1. 互いに平行な入射平面及び射出平面を有するとともに光学軸を有する負の一軸性の無機
    屈折材料で形成されている第1の平板と、前記第1の平板の前記入射平面にそれぞれ平行
    な入射平面及び射出平面を有するとともに前記第1の平板の光学軸に略平行な光学軸を有
    する正の一軸性の無機屈折材料で形成されている第2の平板とを含む光学装置を備えるプ
    ロジェクタであって、
    前記第1の平板と前記第2の平板とは、光束が当該第1及び第2の平板の間を通過する
    際に偏光状態が実質的に影響を受けないような位置関係で、当該第1及び第2の平板のう
    ち少なくとも一方が加熱される光学素子に接するように配置され、
    前記第1の平板の厚さと前記第2の平板の厚さとの調整により、前記第1及び第2の平
    板の位相差を互いに打ち消すプロジェクタ。
  2. 前記第1及び第2の平板の前記位置関係は、当該第1及び第2の平板を直接接させるこ
    と、又は、当該第1及び第2の平板の間に等方性媒体を介在させることのいずれかである
    請求項1記載のプロジェクタ。
  3. 前記第1及び第2の平板は、接着剤を介して互いに接合される請求項2記載のプロジェ
    クタ。
  4. 前記第1の平板を透過するときに前記第1の平板の光学軸と平行な光線が、前記第2の
    平板を透過するときに前記第2の平板の光学軸と平行な光線となるように、前記第1の平
    板の光学軸と前記第2の平板の光学軸とが配置されている請求項1から請求項3のいずれ
    か一項記載のプロジェクタ。
  5. 前記加熱される光学素子は、所定方向の直線偏光を透過させる偏光膜を含む請求項1か
    ら請求項4のいずれか一項記載のプロジェクタ。
  6. 前記偏光膜は、第1の偏光膜と第2の偏光膜とを含み、
    前記第1の平板は、前記第2の平板の光入射側に配置され、
    前記第1の偏光膜は、前記第1の平板の光入射端面に接しており、
    前記第2の偏光膜は、前記第2の平板の光射出端面に接している請求項5記載のプロジ
    ェクタ。
  7. 前記第1の平板は、サファイアで形成され、前記第2の平板は、水晶で形成される請求
    項1から請求項6のいずれか一項記載のプロジェクタ。
  8. 前記光学装置は、液晶を保持する液晶セルと、当該液晶セルに対応して配置される少な
    くとも1つの偏光部材とを含む光変調装置であり、
    前記第1及び第2の平板は、前記液晶セルと前記少なくとも1つの偏光部材との間に配
    置される請求項1から請求項7のいずれか一項記載のプロジェクタ。
  9. 前記光変調装置を照明する照明装置と、前記光変調装置によって形成された画像を投射
    する投射レンズとをさらに備える請求項8記載のプロジェクタ。
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