JP2007286609A - 液晶装置及びこれを備えるプロジェクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】遮光時に液晶セルの正面方向において黒表示で透過光が増して画像のコントラストが低下する現象を抑えることができる液晶装置及びこれを備えるプロジェクタ。
【解決手段】オフ状態の液晶層71を表す屈折率楕円体RIE1の作用と、第1複屈折部材73aを表す屈折率楕円体RIE2の作用と、第2複屈折部材73bを表す屈折率楕円体RIE3の作用とを加算すると、擬似的に正の一軸結晶型の複屈折材料と等価な複合的作用を達成することができる。液晶装置31aに入射した照明光については、方位角補償部材OC1によって、入射軸IAのまわりにおける方位角に依存する位相差が近似的に補償され、極角補償部材OC2によって、入射軸IAに対する極角に依存する位相差が補償される。よって、液晶ライトバルブ31のオフ時すなわち黒表示時における正面方向の遮光性を高めることができ、液晶ライトバルブ31のコントラストを向上させることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、画像形成用の液晶装置に関し、さらに、当該液晶装置を組み込んだプロジェクタに関する。
従来、垂直配向型の液晶パネルに適した光学補償シートとして、光学異方性層を備えるものが知られている(特許文献1参照)。この光学異方性層は、配向膜近傍のプレチルトに起因する位相の乱れを補償するため、配向膜に対して徐々に傾斜角が変化する円盤状化合物を含んでいる。また、この液晶パネルでは、上記光学異方性層とは別に、電圧無印加時に垂直配向状態の液晶セルを斜めから観察した際の光漏れを防止するため、負の一軸性の透明支持体或いは光学補償シートを光学軸が液晶セルの厚み方向となるように配置している。
特開平10−312166号公報
しかし、上記のような光学補償シートでは、電圧無印加時に液晶セルの正面方向に関する光漏れを十分に防止することができない。すなわち、実際の液晶セルは、電圧無印加時に一定方向にプレチルトが生じており、このプレチルトの分だけ視野角特性が歪んでシフトする。この結果、液晶セルに電圧を印加していない遮光時に、液晶セルの正面方向を中心とした対象角度範囲内で比較的大きな光漏れが生じ、黒表示で透過光が増して画像のコントラストを低下させている。
そこで、本発明は、遮光時に液晶セルの正面方向において黒表示で透過光が増して画像のコントラストが低下する現象を抑えることができる液晶装置及びこれを備えるプロジェクタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る液晶装置は、(a)垂直配向モードで動作する液晶を含むとともに、オフ状態における液晶の光学軸が光入射面に垂直な入射軸に対して所定のプレチルト角だけ傾斜配向する液晶セルと、(b)入射軸に対して所定の傾きをなす光学軸を有する正の一軸性の複屈折材料でそれぞれ形成された複数の複屈折部材を有し、オフ状態における液晶との組み合わせによって、入射軸に沿った光学軸を有する正の一軸性の複屈折材料と等価な複合的作用を達成する方位角補償部材と、(c)入射軸に沿った光学軸を有する負の一軸性の複屈折材料で形成された極角補償部材とを備える。
上記液晶装置では、垂直配向型の液晶セルのオフ状態(すなわち電圧無印可状態)における液晶の光学軸が光入射面の法線(入射軸)に対して傾斜配向しており、液晶に所謂プレチルトが生じている。そして、方位角補償部材は、入射軸に対して所定の傾きをなす光学軸を有する正の一軸性の複屈折材料でそれぞれ形成された複数の複屈折部材を有し、オフ状態における液晶との組み合わせによって、入射軸に沿った光学軸を有する正の一軸性の複屈折材料と等価な複合的作用を達成する。つまり、液晶セルと方位角補償部材とを組み合わせることにより、入射軸に垂直な各方向(すなわち方位角方向)に関する屈折率が近似的に一様となって電圧無印加状態の液晶装置を透過する光の位相変調量(リタデーション)の方位角依存性がなくなる。さらに、極角補償部材が入射軸に沿った光学軸を有する負の一軸性の複屈折材料で形成されるので、液晶セルや方位角補償部材と併せて極角補償部材を組み合わせることにより、入射軸からの各傾き角(すなわち極角)ごとの屈折率を実質的に略一様とすることができ、電圧無印加状態の液晶装置を透過する光の位相変調量の極角依存性をなくすことができる。つまり、方位角補償部材と極角補償部材とによって、液晶セルにおける位相変調量の方位角依存性及び極角依存性を近似的に補償することができる。これにより、液晶セルに電圧を印可しないオフ時に液晶セルの正面方向において黒表示で透過光が増して画像のコントラストが低下する現象を抑えることができる。
また、本発明の具体的な態様又は観点によれば、上記液晶装置において、オフ状態の液晶の屈折率楕円体の作用と、複数の複屈折部材に対応する各屈折率楕円体の作用とを加算することによって、入射軸に沿った長軸を有する屈折率楕円体と等価な作用を実現する。この場合、各複屈折部材における屈折率楕円体の光学軸の極角がオフ状態の液晶における屈折率楕円体の光学軸の極角と等しくなり、光入射面に対して垂直に入射する光の各複屈折部材の各屈折率楕円体に応じて発生する位相差がオフ状態の液晶の屈折率楕円体に応じて発生する位相差と互いに相殺し合う。
本発明の別の態様によれば、方位角補償部材が、複数の複屈折部材の厚みの調整によって、オフ状態の液晶の屈折率楕円体の作用と複数の複屈折材料に対応する屈折率楕円体の作用との加算によって得られる複合的作用としての複屈折状態を調整する。この場合、各複屈折部材の屈折率楕円体のサイズが液晶の屈折率楕円体のサイズと異なる場合であっても、位相変調量の方位角依存性をなくすことができる。
本発明のさらに別の態様によれば、方位角補償部材が複数の複屈折部材として2枚の水晶板を有する。この場合、複数の複屈折部材として耐久性があり少ない2枚の水晶板を用いて方位角補償部材を構成できるので、液晶装置を比較的低コストで耐久性のあるものとできる。
本発明のさらに別の態様によれば、2枚の水晶板の光学軸の方位角が互いに120°だけずれており、オフ状態の液晶の配向方向と2枚の水晶の光学軸とが互いに120°だけずれた状態となっている。この場合、光入射面に対して垂直に入射する光の各水晶板で生じている位相差と、オフ状態の液晶で生じている位相差とが略等しくなってバランスし、液晶セルにおける位相変調量の方位角依存性を比較的正確に補償することができる。
本発明のさらに別の態様によれば、方位角補償部材が有機物質により正の一軸性を構築した部材である。有機物質に構築された正の一軸性の部材としては、液晶、または延伸膜などを採用できる。延伸フィルムは、大量生産に向いている。液晶は、画像変調用の液晶(液晶層)と同じ屈折率となるため精度よく位相差の補償することができる。
本発明のさらに別の態様によれば、極角補償部材がサファイア板を含んで形成される。この場合、負の一軸結晶であるサファイア板を1枚用意するだけで極角補償部材として機能させることができる。
本発明のさらに別の態様によれば、極角補償部材が入射軸に垂直で互いに異なる方向に延びる光学軸を有する正の一軸性の複屈折材料でそれぞれ形成された複数の複屈折部材を有する。この場合、極角補償部材を正の一軸性の複屈折材料のみで形成することができ、極角補償部材を構成する複屈折材料の自由度を高めることができる。
本発明のさらに別の態様によれば、極角補償部材が延伸膜を含んで形成される。この場合、低コストで量産可能な極角補償部材によって液晶装置を安価なものとできる。
本発明のさらに別の態様によれば、極角補償部材がオフ状態の液晶と方位角補償部材とに起因する入射軸に沿った方向の位相変調量を実質的にキャンセルする。この場合、液晶セルと方位角補償部材と極角補償部材とを合わせた全体に関して、位相変調量を入射面内だけでなく入射軸方向を含む各方向に関してバランスさせることができる。なお、上記のような位相変調量の調整は、極角補償部材の厚さを増減調整することによって達成される。
本発明に係るプロジェクタは、(a)上述の液晶装置を含む光変調装置と、(b)光変調装置を照明する照明装置と、(c)光変調装置によって形成された画像を投射する投射レンズとを備える。
上記プロジェクタの具体的な態様では、液晶装置が透過型であり、光変調装置が液晶セル、方位角補償部材、及び極角補償部材を挟むように配置される一対の偏光素子を含む。
上記プロジェクタの別の態様では、液晶装置が反射型であり、光変調装置が偏光ビームスプリッタを含み、方位角補償部材及び極角補償部材が液晶セルと偏光ビームスプリッタとの間に挟まれるように配置される。
上記プロジェクタにおいては、上述の液晶装置を含む光変調装置を備えており、液晶セルに電圧を印可しないオフ時に液晶装置の正面方向において黒表示で透過光が増して画像のコントラストが低下する現象を抑えることができる。これにより、簡単な手法でコントラストの高い画像を投射できるプロジェクタを提供することができる。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る液晶装置である液晶ライトバルブ(光変調装置)の構造を説明する拡大断面図である。
図示の液晶ライトバルブ31において、入射側の偏光素子である第1偏光フィルタ31bと、射出側の偏光素子である第2偏光フィルタ31cとは、クロスニコルを構成する。これら第1及び第2偏光フィルタ31b,31cの間に挟まれた液晶装置31aは、入射光の偏光方向を入力信号に応じて画素単位で変化させる透過型の液晶パネルである。なお、偏光フィルタ31b,31cは、樹脂等で形成される吸収型の偏光子とすることもできるが、ワイヤグリッド偏光子等の反射型の偏光子とすることもできる。
液晶装置31aは、垂直配向モードで動作する液晶(すなわち垂直配向型の液晶)で構成される液晶層71を挟んで、入射側に透明な第1基板72aと、射出側に透明な第2基板72bとを備える。さらに、液晶装置31aは、入射側透明基板である第1基板72aの外側に入射側カバー74aを備え、射出側透明基板である第2基板72bの外側に射出側カバー74bを備える。
第1基板72aの液晶層71側の面上には、透明な共通電極75が設けられており、その上には、例えば配向膜76が形成されている。一方、第2基板72bの液晶層71側の面上には、マトリクス状に配置された複数の透明画素電極77と、各透明画素電極77に電気的に接続されている薄膜トランジスタ(不図示)とが設けられており、その上には、例えば配向膜78が形成されている。ここで、第1及び第2基板72a,72bと、これらに挟まれた液晶層71と、電極75,77とは、入射光の偏光状態を変化させるための液晶セルとなっている。また、液晶セルを構成する各画素は、1つの画素電極77と、共通電極75と、これらの間に挟まれた液晶層71とを含む。なお、第1基板72aと共通電極75との間には、各画素を区分するように格子状のブラックマトリックス79が設けられている。
ここで、配向膜76,78は、液晶層71を構成する液晶すなわち液晶性化合物を必要な方向に配列させるためのものであり、液晶層71に電圧が印加されないオフ状態において、液晶性化合物の光学軸を第1基板72aの法線に対して大きくないが一様な傾きとなるように配向させる役割を有し、液晶層71に電圧が印加されたオン状態において、液晶性化合物の光学軸を第1基板72aの法線に対して垂直な特定の方向(具体的にはX方向)に配向させる役割を有する。これにより、液晶層71に対して電圧を印加しないオフ状態において、最大遮光状態(最低輝度状態)を確保することができ、液晶層71に対して電圧を印可したオン状態において、最大透過状態(最高輝度状態)を確保することができる。
この液晶装置31aにおいて、入射側カバー74aの入射面すなわち第1偏光フィルタ31bに対向する一方の平坦面には、薄い第1複屈折部材73aが貼り付けられている。また、入射側カバー74aと第1基板72aとの間には、薄い第2複屈折部材73bが挿入されている。ここで、第1複屈折部材73aや第2複屈折部材73bは、光学接着剤によって入射側カバー74aの両平坦面上に接合されて一体化した方位角補償部材OC1を構成しており、このような方位角補償部材OC1は、第1基板72aの入射面上に光学接着剤によって貼り付けられる。第1及び第2複屈折部材73a,73bは、例えば正の一軸結晶である水晶等の複屈折材料でそれぞれ形成されている。なお、方位角補償部材OC1は、後に詳述するが、オフ状態の液晶層71による位相変調量に対してその方位角依存性を相殺するように作用する。これにより、方位角補償部材OC1とオフ状態の液晶層71とを合わせた全体が、入射軸すなわちZ軸に沿った光学軸を有する擬似的な正の一軸結晶と同様の複屈折材料として機能することになる。
なお、方位角補償部材OC1については、第1及び第1複屈折部材73a,73bのみで構成することができる。その場合、入射側カバー74aは不要になり、両複屈折部材73a,73bを直接第1基板72aに貼り付けることができ、或いは両複屈折部材73a,73bを適当なホルダによって第1基板72aから離間して保持させることもできる。
一方、射出側カバー74bの射出面すなわち第2偏光フィルタ31cに対向する一方の平坦面には、例えばサファイアであれば150〜250μm程度の厚さを有する薄い第3複屈折部材73dが貼り付けられている。ここで、第3複屈折部材73dは、光学接着剤によって射出側カバー74bの片平坦面上に接合されて一体化した極角補償部材OC2を構成しており、このような極角補償部材OC2は、第2基板72bの射出面上に光学接着剤によって貼り付けられる。第3複屈折部材73dは、例えば負の一軸結晶であるサファイア等の複屈折材料で形成されている。なお、極角補償部材OC2は、後に詳述するが、オフ状態の液晶層71と方位角補償部材OC1とによって生じる複合的作用としての位相変調量に関して極角依存性を相殺するように作用する。これにより、方位角補償部材OC1とオフ状態の液晶層71とを合わせた擬似的な正の一軸結晶型の複屈折性と、極角補償部材OC2の負の一軸結晶型の複屈折性とが組み合わさって、全体として入射光の方位角や極角に応じて位相変調量が変化しにくい高精度の液晶装置31aが得られる。
なお、極角補償部材OC2については、第3複屈折部材73dのみで構成することができる。その場合、射出側カバー74bは不要になり、第3複屈折部材73dを直接第2基板72bに貼り付けることができ、或いは第3複屈折部材73dを適当なホルダによって第2基板72bから離間して保持させることもできる。
図2は、図1に示す液晶層71の屈折率と両補償部材OC1,OC2の屈折率とを説明する側方断面の概念図である。また、図3(a)は、図1に示す液晶層71及び方位角補償部材OC1の屈折率を概念的に説明する平面図であり、図3(b)は、液晶層71及び方位角補償部材OC1の複合的屈折率を概念的に説明する平面図であり、図3(c)は、図1に示す液晶層71及び方位角補償部材OC1の複合的屈折率と極角補償部材OC2の屈折率を概念的に説明する側面図である。ここで、方位角補償部材OC1を構成する第1及び第2複屈折部材73a,73bと、オフ状態の液晶層71の画素部分と、極角補償部材OC2を構成する第3複屈折部材73dとは、すべて平行な入出射面に挟まれており、互いに平行に配置されている。ただし、光学的性能に実質的な影響を与えない範囲で、上記の各要素自体や相互間に僅かなクサビ角を設けることもできる。
図2の液晶装置31aに入射面S1を介して入射した光束は、第1及び第2複屈折部材73a,73bを順次通過した後に液晶層71を通過し、最終的に第3複屈折部材73dを経て射出面S2から射出される。
液晶装置31aのうち、液晶層71において、液晶性化合物の屈折率楕円体RIE1の長軸すなわち光学軸OA1は、XZ面内でZ軸すなわち入射軸IAに対して小さいが一定の傾き角を有している。この際、屈折率楕円体RIE1の傾き方向はX方向であり、このX方向を液晶層71の配向方向と呼ぶものとし、XZ面を便宜上第1方位面P1と呼ぶものとする(図3(a)参照)。また、この屈折率楕円体RIE1の配向方向における傾き角は、プレチルト角θ1と呼ばれる。
一方、方位角補償部材OC1の第1複屈折部材73aにおいて、これを構成する正の一軸性の屈折率楕円体RIE2の長軸すなわち光学軸OA2は、入射軸IAに対して適宜傾いた状態に設定されており、XZ面に平行な第1方位面P1を入射軸IAのまわりに反時計方向に120°回転させた第2方位面P2内にある(図3(a)参照)。この際、屈折率楕円体RIE2の第2方位面P2における入射軸IAに対する傾き角θ2すなわち極角は、液晶層71に付与されているプレチルト角θ1と略等しくなっている。
また、方位角補償部材OC1の第2複屈折部材73bにおいて、これを構成する正の一軸性の屈折率楕円体RIE3の長軸すなわち光学軸OA3は、入射軸IAに対して適宜傾いた状態に設定されており、上記第1方位面P1を入射軸IAのまわりに時計方向に120°回転させた第3方位面P3内にある(図3(a)参照)。この際、屈折率楕円体RIE3の第3方位面P3における入射軸IAに対する傾き角θ3すなわち極角は、液晶層71に付与されているプレチルト角θ1と略等しくなっている。
以上説明したオフ状態の液晶層71を表す屈折率楕円体RIE1の作用と、第1複屈折部材73aを表す屈折率楕円体RIE2の作用と、第2複屈折部材73bを表す屈折率楕円体RIE3の作用とを加算すると、擬似的に正の一軸性の複屈折材料と等価な複合的作用を達成することができる。つまり、図3(b)に示すように、上記のような複合的作用を達成する擬似的な複屈折材料の屈折率楕円体QEは、XY面内において略円形の屈折率断面を有し、図3(c)に示すように、同屈折率楕円体QEは、XZ面内において楕円の屈折率断面を有する。図からも明らかなように、屈折率楕円体QEは、Z軸方向すなわち入射軸IA方向を長軸としており、入射軸IAに沿った光学軸OA4を有する正の一軸性の複屈折材料と等価な屈折率異方性を示す。
図4(a)は、液晶層71の屈折率楕円体RIE1と、第1複屈折部材73aの屈折率楕円体RIE2と、第2複屈折部材73bの屈折率楕円体RIE3との関係を説明する斜視図である。また、図4(b)は、3つの屈折率楕円体RIE1,RIE2,RIE3の作用、すなわちこれら屈折率楕円体RIE1,RIE2,RIE3の作用を合成した複合な屈折率楕円体QEを表す斜視図である。図からも明らかなように、3つのラグビーボール状の屈折率楕円体RIE1,RIE2,RIE3を組み合わせることによって、1つの擬似的な屈折率楕円体QEが得られることが分かる。
以上では、液晶層71の屈折率楕円体RIE1と、第1複屈折部材73aの屈折率楕円体RIE2と、第2複屈折部材73bの屈折率楕円体RIE3が略等しいサイズを有し、液晶層71と第1複屈折部材73aと第2複屈折部材73bとが等しい厚みを有するものとして説明を行った。しかしながら、通常、液晶層71と複屈折部材73a、73bとの屈折率は異なっており、各屈折率楕円体RIE1,RIE2,RIE3のサイズすなわち屈折率と、速軸方向の屈折率と遅軸方向の屈折率との屈折率差とが異なる場合を考慮する必要がある。
液晶層71、第1複屈折部材73a及び第2複屈折部材73bにおいて、各屈折率及び速軸方向の屈折率と遅軸方向の屈折率との屈折率差とが異なる場合には、それぞれの光学軸の極角が決定され、厚さはその極角、各屈折率差などによって方位角依存性がなくなるように最適化する。
まず、図5に示すように、液晶層71、第1複屈折部材73a及び第2複屈折部材73bの光学軸がすべて同じ方向に(同じ方位角で)傾斜しており、さらに液晶層71→第1複屈折部材73a→第2複屈折部材73bの順番に光が透過すると想定する。液晶層71、第1複屈折部材73a及び第2複屈折部材73bの各光入射面及び光射出面はすべて平行である。液晶層71の光入射面に対して入射角θ1°で入射してくる光は始めに液晶層71の光入射面で屈折し、液晶層71中では屈折角θ2°で進行する。ここで、屈折角θ2°で進む光と液晶層71内の液晶の光学軸とのなす角度をα°とする。次に、液晶層71から出射し屈折角θ1°(液晶層71の光入射面への入射角に同じ)で進行し、第1複屈折部材73aへ入射する。第1複屈折部材73aの光入射面で屈折した光は、第1複屈折部材73a内を屈折角θ3°で進行する。ここで、屈折角θ3°で進む光と第1複屈折部材73aの光学軸とのなす角度がα°(液晶層71内を進む光と液晶の光学軸がなす角度α°に同じ)となるように、第1複屈折部材73aの光学軸の傾き(極角)を決定する。同様に、第2複屈折部材73bを屈折角θ4°で進む光と第2複屈折部材73bの光学軸とのなす角度がα°(液晶層71内を進む光と液晶の光学軸がなす角度α°に同じ)となるように、第2複屈折部材73bの光学軸の傾き(極角)を決定する。屈折角θ2°、θ3°及びθ4°は液晶層71、第1複屈折部材73aの各屈折率とそれらの間に介在する物質の屈折率により決定される。
この様に光学軸の極角が決定された液晶層71、第1複屈折部材73a及び第2複屈折部材73bをそれぞれの方位角が互いに120°ずつずれるように配置する。
次に、第1複屈折部材73a及び第2複屈折部材73bの各厚みを決定する。第1複屈折部材73aと第2複屈折部材73bとの屈折率が大きく異なると、ある一つの入射角の光線を考えただけで厚さは決定できない。実際は、なるべく方位角依存性がなくなるようにシミュレーション上で厚さを少しずつ変化させていき、最もリタデーションの小さくなる厚みを選定する。
なお、特別な場合として、液晶層71、第1複屈折部材73a及び第2複屈折部材73bの各屈折率がおよそ等しい場合は、各屈折率差と厚さは以下のような関係になる。
Δn(液晶層71の屈折率)×D(液晶層71の厚み)
=Δn(第1複屈折部材73aの屈折率)×D(第1複屈折部材73aの厚み)
=Δn(第2複屈折部材73bの屈折率)×D(第2複屈折部材73bの厚み)
極角補償部材OC2の第3複屈折部材73dにおいては、図3(c)に示すように、第3複屈折部材73dを構成する負の一軸結晶の屈折率楕円体RIE5の短軸すなわち光学軸OA5が入射軸IAに対して平行に設定されている。一方で、既に説明したように、オフ状態の液晶層71と第1複屈折部材73aと第2複屈折部材73bとを組み合わせて得られる作用に等価とみなされる屈折率楕円体QEは、長軸すなわち光学軸OA4が入射軸IAに対して平行に設定されている。ここで、第3複屈折部材73dにおける屈折率楕円体RIE5の複屈折量すなわち速軸方向の屈折率と遅軸方向の屈折率との屈折率差と第3複屈折部材73dの厚さから計算される位相変調量と、液晶層71等を合わせた屈折率楕円体QEの複屈折量すなわち速軸方向の屈折率と遅軸方向の屈折率との屈折率差と液晶層71、第1複屈折部材73a及び第2複屈折部材73bの厚さから計算される位相変調量が略等しければ、方位角補償部材OC1と、オフ状態の液晶層71と、極角補償部材OC2とを順次経た光束は、恰も等方性の材料を通過するかのように振る舞う。つまり、液晶装置31aに入射した照明光については、方位角補償部材OC1によって、入射軸IAのまわりにおける方位角に依存する位相差が近似的に補償され、極角補償部材OC2によって、入射軸IAに対する極角に依存する位相差が補償される。よって、入射軸IAに対して比較的小さな角度から大きな角度で入射する様々な照明光が、入射軸IAに沿った照明光と略等価な作用を受けることになり、液晶ライトバルブ31の視野角特性が入射軸IAに関して対称的になるとともに、液晶ライトバルブ31の液晶セルに電圧を印可しないオフ時すなわち黒表示時における正面方向の遮光性を高めることができ、液晶ライトバルブ31のコントラストを向上させることができる。
図6(a)は、液晶層71、第1複屈折部材73a及び第2複屈折部材73bのそれぞれの屈折率楕円体RIE1,RIE2,RIE3を合成した屈折率楕円体QEを示し、図6(b)は、第3複屈折部材73dの屈折率楕円体RIE5を示す。また、図6(c)は、屈折率楕円体QEと屈折率楕円体RIE5との作用を合成した複合的な屈折率球体RISを表す斜視図である。屈折率楕円体QEと屈折率楕円体RIE5とは、光学軸OA4,OA5がともにZ軸方向に平行で、正負が異なる一軸結晶型の特性を有するので、積算によって恰も等方性の材料のように振る舞わせることが可能になる。
以上では、合成の対象となる屈折率楕円体QEと、極角補償用の屈折率楕円体RIE5とが略等しいサイズを有するものとしているが、屈折率楕円体QEのサイズと屈折率楕円体RIE5のサイズとは通常異なる。よって、方位角補償部材OC1の場合と同様に、極角補償部材OC2の入射軸IAすなわちZ軸方向の厚みを調整することによって、屈折率楕円体QEの作用によって生じる位相変調量と屈折率楕円体RIE5の作用によって生じる位相変調量とをバランスさせることができるので、入射軸IAに対する傾きとしての極角に依存する光変調の差を殆どなくすことができる。
具体的な実施例について説明すると、垂直配向型の各種液晶層71に対して、方位角補償部材OC1を構成する第1及び第2複屈折部材73a,73bとして水晶を用いた場合、各複屈折部材73a,73bの厚みは、30〜40μm程度の範囲となった。また、同じ条件で、極角補償部材OC2を構成する第3複屈折部材73dとしてサファイア結晶を用いた場合、第3複屈折部材73dの厚みは、100〜300μm程度の範囲となった。
図7は、具体的な液晶ライトバルブ31に対応するデータでシミュレーションを行った結果を示す。図7(a)は、実施例の液晶ライトバルブ31の視野角特性を示し、図7(b)は、比較例の液晶ライトバルブの視野角特性を示す。比較例の液晶ライトバルブは、実施例の液晶ライトバルブ31から両補償部材OC1,OC2を除いたものである。両視野角特性において、等高線は、入射面の法線方向に対する傾斜角を意味する。図からも明らかなように、実施例の液晶ライトバルブ31の場合、視野角特性が入射面の法線方向に関して対称的であり、液晶ライトバルブ31の正面方向のコントラストを著しく向上させていることが分かる。
以下、第1及び第2複屈折部材73a,73bを備える方位角補償部材OC1の製造方法について説明する。まず、方位角補償部材OC1の構成要素となる、一対の複屈折部材73a,73b及び入射側カバー74aの材料を準備する。すなわち、第1及び第2複屈折部材73a,73bの材料となる水晶等をなるべく薄く切り出して、光学軸すなわち各屈折率楕円体RIE1,RIE2の傾き方向と傾き角とが図2及び図3(a)に示すようなものになるようにする。次に、切り出した各水晶板の一対の対向する平面に対して研磨等の加工を施して表面を滑らかにする。次に、入射側カバー74aの材料となる、石英、白板ガラス等の透過率が高く複屈折性有しない平行平板状の支持基板を準備する。次に、洗浄後の支持基板の表面側に紫外線硬化樹脂を介して洗浄後の一方の水晶板をアライメントして貼り合わせた後、硬化によって固定する。次に、支持基板の裏面側に紫外線硬化樹脂を介して洗浄後の他方の水晶板をアライメントして貼り合わせた後、硬化によって固定する。その後、支持基板上の両水晶板を比較的粗い砥粒で研磨して、水晶板が必要な厚さの第1及び第2複屈折部材73a,73bになるようにする。仕上げとして、研磨された面には細かい傷がつくので、両複屈折部材73a,73bと同程度の屈折率を有する接着材等で傷を埋め、或いは比較的細かい砥粒で再度研磨を行って、両複屈折部材73a,73bの表面を平滑化する。なお、第1及び第2複屈折部材73a,73bにおいて割れ等に耐えうる厚みである場合は、入射側カバー74aを介在させずに第1及び第2複屈折部材73a,73bを直接接着固定し加工を施してもよい。
以下、第3複屈折部材73dを備える極角補償部材OC2の製造方法について説明する。まず、極角補償部材OC2の構成要素となる、第3複屈折部材73d及び射出側カバー74bの材料を準備する。すなわち、第3複屈折部材73dの材料となるサファイア等をなるべく薄く切り出して、屈折率楕円体RIE5の光学軸OA5が図3(b)、3(c)に示すようなものになるようにする。次に、切り出したサファイア板の一対の対向する平面に対して研磨等の加工を施して表面を滑らかにする。次に、射出側カバー74bの材料となる、石英、白板ガラス等の透過率が高く複屈折性有しない平行平板状の支持基板を準備する。次に、洗浄後の支持基板の表面側に紫外線硬化樹脂を介して洗浄後のサファイア板を貼り合わせた後、硬化によって固定する。その後、支持基板上のサファイア板を比較的粗い砥粒で研磨して、サファイア板が必要な厚さの第3複屈折部材73dになるようにする。仕上げとして、第3複屈折部材73dと同程度の屈折率を有する接着材等で第3複屈折部材73d表面の傷を埋め、或いは比較的細かい砥粒で再度研磨を行って、第3複屈折部材73dの表面を平滑化する。なお、第3複屈折部材73dにおいて割れ等に耐えうる厚みである場合は、射出側カバー74bに接着せずに第3複屈折部材73d単品で加工を施してもよい。
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態に係る液晶装置である液晶ライトバルブ(光変調装置)について説明する。第2実施形態の液晶ライトバルブは、第1実施形態の液晶ライトバルブを変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態と同様であり重複説明を省略する。
図8は、第2実施形態の液晶ライトバルブに組み込まれる液晶装置31aの構造を説明する側方断面図である。この場合、極角補償部材OC2を構成する第3複屈折部材173dが4枚の部分板81,82,83,84を貼り合わせたものとなっている。これらの部分板81,82,83,84は、いずれも正の一軸性の複屈折材料で作製されている。正の一軸性の複屈折材料を複数枚用いて、負の一軸性材料と同様の特性を得るためには、それぞれの光学軸が90°ずれた一対の正の一軸性の複屈折材料を一組以上用いる。本実施形態においては、負の一軸性材料(第3複屈折部材173d)は、それぞれの光学軸が90°ずれた一対の正の一軸性の複屈折材料を2組(部分板81,83,部分板82,84)を備えている。部分板81と部分板83とが一対であり、部分板81の光学軸OA51と部分板83の光学軸OA53とは90°ずれている。また、部分板82と部分板84とが一対であり、部分板82の光学軸OA52と部分板84の光学軸OA54とは90°ずれている。
各部分板81,82,83,84は、図9(a)に示すように、屈折率楕円体RIE51,RIE52,RIE53,RIE54がすべて異なる方向に向いており、各屈折率楕円体RIE51,RIE52,RIE53,RIE54の光学軸OA51,OA52,OA53,OA54は、入射面S1に平行なXY面内において8等分された角度ごとに配置されている。具体的には、光学軸OA51を方位角0°(=180°)とすると、光学軸OA54は方位角90°(=270°)に、光学軸OA52は方位角45度(=225°)に、光学軸OA54は方位角135°(=315°)にそれぞれ配置される。
さらに、各部分板81,82,83,84は、図8に示すように、部分板81と部分板83とを隣接させ、部分板82と部分板84とを隣接させ、積み重ねている。部分板81,82,83,84の積み重ね方としてじは、少なくとも1組が隣接するように配置させる必要がある。つまり、部分板81と部分板83、及び部分板82と部分板84とのうち一方の組を隣接させれば、他方の組みの部分板同士を隣接させなくてもよい(たとえば、光入射側から部分板82→部分板81→部分板83→部分板84の順番で積み重ねてもよい)。
この場合、各屈折率楕円体RIE51,RIE52,RIE53,RIE54は、それぞれラグビーボール状で正の一軸性の特性を有しているが、これら4つのラグビーボール状の屈折率楕円体RIE51,RIE52,RIE53,RIE54の光学軸OA51,OA52,OA53,OA54をXY面に平行に配置させて上述のような方位角に配置させることによって、図9(b)に示すような1つの擬似的な屈折率楕円体QE5が得られる。この屈折率楕円体QE5は、ZX面に平行な光学軸を有する負の一軸性の複屈折材料と等価な屈折率異方性を示す。つまり、本実施形態の第3複屈折部材173dは、その厚みの調節によって、第1実施形態の第3複屈折部材73dと同等の役割を果たす。
なお、以上の実施形態において、第3複屈折部材173dを構成する一対の部分板(互いの光学軸が90°ずれている2枚の部分板)2組となる部分板81〜84は、一対の部分板(互いの光学軸が90°ずれている2枚の部分板)3組以上となる各種層数とすることができる。一対の部分板(互いの光学軸が90°ずれている2枚の部分板)を3組以上用いる場合の積み重ね方としては、一対をなす部分板同士が隣接するように積み重ねてもよいし、積層された部分板の中央に光学軸が90°ずれている2枚の部分板を隣接させこの隣接された一組から入射側に積層された部分板の光学軸の配置と射出側に配置された部分板の光学軸の配置とが対照的になるように積み重ねてもよい。つまり、それぞれの光学軸が光入射面に平行であって互いの光学軸が90°ずれている正の一軸性を有する一対の部分板(2枚の部分板)を1組み以上用いて、その複数の部分板の正の一軸性の複屈折特性を合成することによって、第3複屈折部材173dとして光入射面に垂直な光学軸を有する負の一軸性の複屈折特性を得られれば、部分板はどのように積層することも可能である。なお、層数を増やすほど屈折率楕円体QE5の形状が滑らかになるが、層数が少ないほど第3複屈折部材173dの製造は簡単になる。
また、第3複屈折部材173dを構成する部分板81〜84は、同一の複屈折材料で作製される必要はない。ただし、部分板81〜84を異なる材料で作製する場合、それぞれを屈折率ならびに速軸方向の屈折率と遅軸方向の屈折率との屈折率差に応じた厚みとする。
〔第3実施形態〕
図10は、図1に示す液晶ライトバルブ31等を組み込んだプロジェクタの光学系の構成を説明する図である。
本プロジェクタ10は、光源光を発生する光源装置21と、光源装置21からの光源光を赤緑青の3色に分割する色分離光学系23と、色分離光学系23から射出された各色の照明光によって照明される光変調部25と、光変調部25からの各色の像光を合成するクロスダイクロイックプリズム27と、クロスダイクロイックプリズム27を経た像光をスクリーン(不図示)に投射するための投射光学系である投射レンズ29とを備える。このうち、光源装置21、色分離光学系23、光変調部25、及びクロスダイクロイックプリズム27は、スクリーンに投射すべき像光を形成する画像形成装置となっている。
以上のプロジェクタ10において、光源装置21は、光源ランプ21aと、凹レンズ21bと、一対のフライアイ光学系21d,21eと、偏光変換部材21gと、重畳レンズ21iとを備える。このうち、光源ランプ21aは、例えば高圧水銀ランプからなり、光源光を回収して前方に射出させる凹面鏡を備える。凹レンズ21bは、光源ランプ21aからの光源光を平行化する役割を有する。光源ランプの21aの凹面鏡が、放物面であった場合凹レンズ21bを省略することもできる。一対のフライアイ光学系21d,21eは、マトリックス状に配置された複数の要素レンズからなり、これらの要素レンズによって凹レンズ21bを経た光源ランプ21aからの光源光を分割して個別に集光・発散させる。偏光変換部材21gは、フライアイ光学系21eから射出した光源光を例えば図10の紙面に垂直なS偏光成分のみに変換して次段光学系に供給する。重畳レンズ21iは、偏光変換部材21gを経た照明光を全体として適宜収束させることにより、光変調部25に設けた各色の光変調装置に対する重畳照明を可能にする。つまり、両フライアイ光学系21d,21eと重畳レンズ21iとを経た照明光は、以下に詳述する色分離光学系23を経て、光変調部25に設けられた各色の液晶パネル25a,25b,25cを均一に重畳照明する。
色分離光学系23は、第1及び第2ダイクロイックミラー23a,23bと、補正光学系である3つのフィールドレンズ23f,23g,23hと、反射ミラー23j,23m,23n,23oとを備え、光源装置21とともに照明装置を構成する。ここで、第1ダイクロイックミラー23aは、赤緑青の3色のうち例えば赤光及び緑光を反射し青光を透過させる。また、第2ダイクロイックミラー23bは、入射した赤及び緑の2色のうち例えば緑光を反射し赤光を透過させる。この色分離光学系23において、光源装置21からの略白色の光源光は、反射ミラー23jで光路を折り曲げられて第1ダイクロイックミラー23aに入射する。第1ダイクロイックミラー23aを通過した青光は、例えばS偏光のまま、反射ミラー23mを経てフィールドレンズ23fに入射する。また、第1ダイクロイックミラー23aで反射されて第2ダイクロイックミラー23bでさらに反射された緑光は、例えばS偏光のままフィールドレンズ23gに入射する。さらに、第2ダイクロイックミラー23bを通過した赤光は、例えばS偏光のまま、レンズLL1,LL2及び反射ミラー23n,23oを経て、入射角度を調節するためのフィールドレンズ23hに入射する。レンズLL1,LL2及びフィールドレンズ23hは、リレー光学系を構成している。このリレー光学系は、第1レンズLL1の像を、第2レンズLL2を介してほぼそのままフィールドレンズ23hに伝達する機能を備えている。
光変調部25は、3つの液晶パネル25a,25b,25cと、各液晶パネル25a〜25cを挟むように配置される3組の偏光フィルタ25e,25f,25gとを備える。ここで、青光用の液晶パネル25aと、これを挟む一対の偏光フィルタ25e,25eとは、青光を画像情報に基づいて2次元的に輝度変調するための青色用の液晶ライトバルブを構成する。青色用の液晶ライトバルブは、図1に示す液晶ライトバルブ31と同様の構造を有しており、コントラスト向上のための補償部材OC1,CO2を組み込んでいる。同様に、緑光用の液晶パネル25bと、対応する偏光フィルタ25f,25fも、緑色用の液晶ライトバルブを構成し、赤光用の液晶パネル25cと、偏光フィルタ25g,25gも、赤色用の液晶ライトバルブを構成する。そして、これら緑光及び赤色用の液晶ライトバルブも、図1に示す液晶ライトバルブ31と同様の構造を有している。具体的には、各偏光フィルタ25e,25f,25gは、図1の偏光フィルタ31b,31cに対応しており、各液晶パネル25a,25b,25cは、図1の液晶装置31aに対応しており、コントラスト向上のための補償部材OC1,OC2をそれぞれ組み込んでいる。
青光用の第1液晶パネル25aには、色分離光学系23の第1ダイクロイックミラー23aを透過することによって分岐された青光が、フィールドレンズ23fを介して入射する。緑光用の第2液晶パネル25bには、色分離光学系23の第2ダイクロイックミラー23bで反射されることによって分岐された緑光が、フィールドレンズ23gを介して入射する。赤光用の第3液晶パネル25cには、第2ダイクロイックミラー23bを透過することによって分岐された赤光が、フィールドレンズ23hを介して入射する。各液晶パネル25a〜25cは、入射した照明光の空間的強度分布を変調する非発光型の光変調装置であり、各液晶パネル25a〜25cにそれぞれ入射した3色の光は、各液晶パネル25a〜25cに電気的信号として入力された駆動信号或いは画像信号に応じて変調される。その際、偏光フィルタ25e,25f,25gによって、各液晶パネル25a〜25cに入射する照明光の偏光方向が調整されるとともに、各液晶パネル25a〜25cから射出される変調光から所定の偏光方向の成分光が像光として取り出される。
クロスダイクロイックプリズム27は、光合成部材であり、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、X字状に交差する一対の誘電体多層膜27a,27bが形成されている。一方の第1誘電体多層膜27aは青色光を反射し、他方の第2誘電体多層膜27bは赤色光を反射する。このクロスダイクロイックプリズム27は、液晶パネル25aからの青光を第1誘電体多層膜27aで反射して進行方向右側に射出させ、液晶パネル25bからの緑光を第1及び第2誘電体多層膜27a,27bを介して直進・射出させ、液晶パネル25cからの赤光を第2誘電体多層膜27bで反射して進行方向左側に射出させる。
投射レンズ29は、クロスダイクロイックプリズム27で合成されたカラーの像光を、所望の倍率でスクリーン(不図示)上に投射する。つまり、各液晶パネル25a〜25cに入力された駆動信号或いは画像信号に対応する所望の倍率のカラー動画やカラー静止画がスクリーン上に投射される。
〔第4実施形態〕
以下、本発明の第4実施形態に係る液晶装置である液晶ライトバルブ(光変調装置)について説明する。第4実施形態の液晶ライトバルブは、第1実施形態の液晶ライトバルブを変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態と同様である。
図11は、第4実施形態の液晶ライトバルブの構造を説明する拡大断面図である。図示の液晶ライトバルブ331は、液晶装置331aと、偏光ビームスプリッタ331bとを備える。液晶装置331aは、入射光の偏光方向を入力信号に応じて画素単位で変化させる反射型の液晶パネルである。
液晶装置331aは、垂直配向モードで動作する液晶(すなわち垂直配向型の液晶)で構成される液晶層71を挟んで、表側に第1基板72aと、裏側に第2基板372bとを備える。なお、表側の第1基板72aやその周辺部分については、ブラックマトリクスが存在しない点を除いて第1実施形態と同様である。
第2基板372bの液晶層71側には、回路層379を介して、マトリクス状に配置された複数の反射画素電極377が形成されている。各反射画素電極377には、回路層379に設けた薄膜トランジスタ(不図示)が電気的に接続されている。回路層379及び反射画素電極377の上には、配向膜78が形成されている。ここで、第1及び第2基板72a,372bと、これらに挟まれた液晶層71と、電極75,377とは、入射光の偏光状態を変化させるための液晶セルとなっている。また、液晶セルを構成する各画素は、1つの画素電極377と、共通電極75と、これらの間に挟まれた液晶層71とを含む。
液晶ライトバルブ331において、偏光ビームスプリッタ331bは、図1の偏光フィルタ31b,31cに代えて設けられたものであり、液晶装置331aに入射させる光の偏光方向と、液晶装置331aから射出された光の偏光方向とについての調整を行っている。この偏光ビームスプリッタ331b中には、偏光を分離するための偏光分離膜32が内蔵されている。
偏光ビームスプリッタ331bは、入射光のうちS偏光を偏光分離膜32によって反射して液晶装置331aへと入射させ、液晶装置331aから射出された変調光のうち偏光分離膜32を透過するP偏光を射出する。つまり、液晶層71に対して電圧を印加しないオフ状態において、液晶装置331aからはS偏光が射出され偏光ビームスプリッタ331bの偏光分離膜32でS偏光が反射されるので、画像光としては最大遮光状態(最低輝度状態)を確保することができ、液晶層71に対して電圧を印可したオン状態において、液晶装置331aからはP偏光が射出され偏光ビームスプリッタ331bの偏光分離膜32でP偏光が透過されるので、最大透過状態(最高輝度状態)を確保することができる。なお、偏光ビームスプリッタ331bは、システム光軸に対して傾斜配置されるワイヤグリッド偏光子等の他の反射型の偏光分離素子に置き換えることができる。
液晶装置331aにおいて、第1基板72aの入射面すなわち偏光ビームスプリッタ331bに対向する一方の平坦面には、第1複屈折部材73aと、第2複屈折部材73bと、第3複屈折部材73dとを含む補償部材OC3が貼り付けられている。この補償部材OC3、図1の方位角補償部材OC1と、極角補償部材OC2と一体化したものである。具体的には、補償部材OC3のうち、方位角補償部材OC1すなわち第1及び第2複屈折部材73a,73bは、例えば正の一軸結晶である水晶等の複屈折材料でそれぞれ形成されている。これらの複屈折部材73a,73bからなる方位角補償部材OC1は、オフ状態の液晶層71による位相変調量に対してその方位角依存性を相殺するように作用する。これにより、方位角補償部材OC1とオフ状態の液晶層71とを合わせた全体が、入射軸すなわちZ軸に沿った光学軸を有する擬似的な正の一軸結晶と同様の複屈折材料として機能することになる。また、第3複屈折部材73dは、例えば負の一軸結晶であるサファイア等の複屈折材料で形成されている。第3複屈折部材73dは、オフ状態の液晶層71と第1及び第2複屈折部材73a,73bとによって生じる複合的作用としての位相変調量に関して、極角依存性を相殺するように作用する。これにより、方位角補償部材OC1とオフ状態の液晶層71とを合わせた擬似的な正の一軸結晶型の複屈折性と、第3複屈折部材73dの負の一軸結晶型の複屈折性とが組み合わさって、全体として入射光の方位角や極角に応じて位相変調量が変化しにくい高精度の液晶装置331aが得られる。
補償部材OC3を構成する第1〜第3複屈折部材73a〜73dの機能は、入射光束が第1〜第3複屈折部材73a〜73dと液晶層71とを往復する点を除いて、第1実施形態の場合と同様である。すなわち、液晶装置331aにおいて、垂直入射光に対するトータルのリタデーションは、図1に示す液晶装置31aに場合の2倍で与えられ、第1〜第3複屈折部材73a〜73dの厚みの調整によって、偏光ビームスプリッタ331bで反射されて液晶装置331aに入射する偏光と、液晶装置331aで反射されて偏光ビームスプリッタ331bに入射する偏光とが同一状態となり、垂直入射光に対する遮光が完全となり、液晶ライトバルブ331の透過及び遮光によって決定される画像のコントラストは最大となる。同様に、第1〜第3複屈折部材73a〜73dの屈折率楕円体RIE1,RIE2,RIE3や厚みを調節することで、様々な角度分布の照明装置に対してリタデーションの積分値を極小化することができ、液晶ライトバルブ331によって形成される画像のコントラストを最大限高めることができる。
なお、以上の第4実施形態において、第3複屈折部材73dは、例えば負の一軸性を有する一枚の複屈折材料で形成されたが、第2実施形態と同様に、正の一軸性を有する複数の部分板81〜84を貼り合わせたものとすることができる。
〔第5実施形態〕
図12は、図11に示す液晶ライトバルブ331を組み込んだプロジェクタの光学系の構成を説明する図である。なお、第5実施形態のプロジェクタ310は、第3実施形態のプロジェクタ10を変形したものであり、特に説明しない部分は、第3実施形態と同様である。
本プロジェクタ310は、光源光を発生する光源装置21と、光源装置21からの光源光を赤緑青の3色に分割する色分離光学系323と、色分離光学系323から射出された各色の照明光によって照明される光変調部325と、光変調部325からの各色の像光を合成するクロスダイクロイックプリズム27と、クロスダイクロイックプリズム27を経た像光をスクリーン(不図示)に投射するための投射光学系である投射レンズ29とを備える。
色分離光学系323は、第1及び第2ダイクロイックミラー323a,23bと、反射ミラー323nとを備える。この色分離光学系23において、光源装置21からの略白色の光源光は、ダイクロイックミラー323aに入射する。第1ダイクロイックミラー323aで反射された青光は、例えばS偏光のまま、反射ミラー323nを経て偏光ビームスプリッタ55aに入射する。また、第1ダイクロイックミラー323aを透過して第2ダイクロイックミラー23bで反射された緑光は、例えばS偏光のまま偏光ビームスプリッタ55bに入射する。さらに、第2ダイクロイックミラー23bを通過した赤光は、例えばS偏光のまま、偏光ビームスプリッタ55cに入射する。
光変調部325は、3つの偏光ビームスプリッタ55a,55b,55cと、3つの液晶パネル56a,56b,56cとを備える。ここで、青光用の偏光ビームスプリッタ55a及び液晶パネル56bは、像光のうち青光を画像情報に基づいて2次元的に輝度変調するための青色用の液晶ライトバルブを構成する。青色用の液晶ライトバルブは、図11に示す液晶ライトバルブ331と同様の構造を有している。同様に、緑光用の偏光ビームスプリッタ55b及び液晶パネル56bも、緑色用の液晶ライトバルブを構成し、赤光用の偏光ビームスプリッタ55c及び液晶パネル56cも、赤色用の液晶ライトバルブを構成する。そして、これら緑光及び赤色用の液晶ライトバルブも、図11に示す液晶ライトバルブ331と同様の構造を有している。具体的には、偏光ビームスプリッタ55a,55b,55cは、図11の偏光ビームスプリッタ331bに対応しており、偏光分離膜32b,32g,32rを内蔵する。また、各液晶パネル56a,56b,56cは、図11の液晶装置331aに対応しており、コントラスト向上のための光学補償素子すなわち補償部材OC3をそれぞれ組み込んでいる。
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
すなわち、上記実施形態では、方位角補償部材OC1を構成する第1及び第2複屈折部材73a,73bとして水晶板を用いた例について説明したが、水晶板以外の正の一軸結晶または有機物質(例えば液晶や延伸膜など)により正の一軸性を構築した部材を用いることができる。さらに、方位角補償部材OC1を3枚以上の複屈折部材で構成することもできる。この場合も、各複屈折部材に対応する屈折率楕円体の光学軸の入射軸IAに対する極角を、オフ状態の液晶層71のプレチルト角に等しくする。そして、各複屈折部材の光学軸の方位角と、液晶層71の配向方向とが入射軸IAのまわりに等分割されるようにする。
また、極角補償部材OC2や補償部材OC3の第3複屈折部材73dを有機物質(例えば液晶や延伸膜など)により正の一軸性を構築した部材に置き換えることができる。延伸膜(延伸フィルム)は、通常、光学軸の方向が入射面に垂直になるので、第3複屈折部材73dとして組み込むことにより、サファイア板の場合と同様に、液晶ライトバルブ31によって形成される画像のコントラストを最大限高めることができる。なお、延伸フィルムは、大量生産に向いている。液晶は、画像変調用の液晶(液晶層71)と同じ屈折率となるため精度よく位相差の補償することができる。
また、上記第1及び第2実施形態では、方位角補償部材OC1を液晶層71の入射側に配置しているが、方位角補償部材OC1を液晶層71の射出側すなわち射出側カバー74bの前後に配置することができる。また、上記第1及び第2実施形態では、極角補償部材OC2を液晶層71の射出側に配置しているが、極角補償部材OC2を液晶層71の入射側すなわち入射側カバー74aの前後に配置することができる。
また、上記第5実施形態及び第6実施形態では、偏光ビームスプリッタ331bの偏光分離素子で反射したS偏光を液晶装置331aに入射させ、偏光ビームスプリッタ331bの偏光分離素子を透過したP偏光を画像光として射出する例のみを挙げたが、偏光ビームスプリッタ331bの偏光分離素子を透過したP偏光を液晶装置331aに入射させ、偏光ビームスプリッタ331bの偏光分離素子で反射したS偏光を画像光として射出する構成とすることも可能である。
また、上記実施形態のプロジェクタ10では、光源装置21を、光源ランプ21a、一対のフライアイ光学系21d,21e、偏光変換部材21g、及び重畳レンズ21iで構成したが、フライアイ光学系21d,21e、偏光変換部材21g等については省略することができ、光源ランプ21aも、LED等の別光源に置き換えることができる。
また、上記実施形態のプロジェクタ10では、各色の液晶パネル25a,25b,25cをそれぞれの面内を均一な明るさで照明するようにフライアイ光学系21d,21e、と重畳レンズ21iを用いていたが、それらに代わってインテグレータロッド光学系を用いることができる。
また、上記実施形態では、色分離光学系23を用いて照明光の色分離を行って、光変調部25において各色の変調を行った後に、クロスダイクロイックプリズム27において各色の像の合成を行っているが、単一の液晶パネルすなわち液晶ライトバルブ31によって画像を形成することもできる。
上記実施形態では、3つの液晶パネル25a〜25cを用いたプロジェクタ10の例のみを挙げたが、本発明は、1つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、2つの液晶パネルを用いたプロジェクタ、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも適用可能である。
上記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行なうフロントタイプのプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行なうリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
第1実施形態に係る液晶パネルの構造を説明する側方断面図である。 液晶層の屈折率と補償板の屈折率とを説明する側方断面図である。 (a)〜(c)は、液晶層と補償板の屈折率を説明する平面図及び側面図である。 (a)、(b)は、3つの屈折率楕円体と、これらの作用を合成した複合な屈折率楕円体とを示す斜視図である。 第1及び第2複屈折部材等に屈折率差がある場合の調整を説明する概念図である。 (a)〜(c)は、図4(b)の屈折率楕円体と別の屈折率楕円体との合成を説明する斜視図である。 (a)、(b)は、シミュレーションによる視野角について実施例と比較例を示す。 第2実施形態の液晶ライトバルブ中の補償板等を説明する側方断面図である。 (a)、(b)は、複数の屈折率楕円体の作用を合成した屈折率楕円体を示す平面図及び側面図である。 図1の液晶ライトバルブを組み込んだプロジェクタの光学系を説明する図である。 第4実施形態の液晶ライトバルブを説明する側方断面図である。 図11の液晶ライトバルブを組み込んだプロジェクタの光学系を説明する図である。
符号の説明
10…プロジェクタ、 21…光源装置、 23…色分離光学系、 25…光変調部、 25a,25b,25c…液晶パネル、 25e,25f,25g…偏光フィルタ、 27…クロスダイクロイックプリズム、 29…投射レンズ、 31…液晶ライトバルブ、 31a…液晶装置、 31b…第1偏光フィルタ、 31c…第2偏光フィルタ、 71…液晶層、 72a…第1基板、 72b…第2基板、 73a…第1複屈折部材、 73b…第2複屈折部材、 73d…第3複屈折部材、 74a…入射側カバー、 74b…射出側カバー、 IA…入射軸、 OA1,OA2,OA3,OA4,OA5…光学軸、 OC1…方位角補償部材、 OC2…極角補償部材、 QE…屈折率楕円体、 RIE1,RIE2,RIE3…屈折率楕円体、 S1…入射面、 S2…射出面

Claims (13)

  1. 垂直配向モードで動作する液晶を含むとともに、オフ状態における前記液晶の光学軸が光入射面に垂直な入射軸に対して所定のプレチルト角だけ傾斜配向する液晶セルと、
    前記入射軸に対して所定の傾きをなす光学軸を有する正の一軸性の複屈折材料でそれぞれ形成された複数の複屈折部材を有し、前記オフ状態における液晶との組み合わせによって、前記入射軸に沿った光学軸を有する正の一軸性の複屈折材料と等価な複合的作用を達成する方位角補償部材と、
    前記入射軸に沿った光学軸を有する負の一軸性の複屈折材料で形成された極角補償部材と
    を備える液晶装置。
  2. 前記オフ状態の液晶の屈折率楕円体の作用と、前記複数の複屈折部材に対応する各屈折率楕円体の作用とを加算することによって、前記入射軸に沿った長軸を有する屈折率楕円体と等価な作用を実現する請求項1記載の液晶装置。
  3. 前記方位角補償部材は、前記複数の複屈折部材の厚みの調整によって、前記オフ状態の液晶の屈折率楕円体の作用と前記複数の複屈折材料に対応する各屈折率楕円体の作用との加算によって得られる前記複合的作用としての複屈折状態を調整する請求項2記載の液晶装置。
  4. 前記方位角補償部材は、前記複数の複屈折部材として2枚の水晶板を有する請求項1から請求項3のいずれか一項記載の液晶装置。
  5. 前記2枚の水晶板の光学軸の方位角は互いに120°だけずれており、前記オフ状態の液晶の配向方向と前記2枚の水晶の光学軸とは、互いに120°だけずれた状態となっている請求項4記載の液晶装置。
  6. 前記方位角補償部材は、有機物質により正の一軸性を構築した部材である請求項1から請求項3のいずれか一項記載の液晶装置。
  7. 前記極角補償部材は、サファイア板を含んで形成される請求項1から請求項6のいずれか一項記載の液晶装置。
  8. 前記極角補償部材は、前記入射軸に垂直で互いに異なる方向に延びる光学軸を有する正の一軸性の複屈折材料でそれぞれ形成された複数の複屈折部材を有する請求項1から請求項6のいずれか一項記載の液晶装置。
  9. 前記極角補償部材は、有機物質により正の一軸性を構築した部材である請求項1から請求項6のいずれか一項記載の液晶装置。
  10. 前記極角補償部材は、前記オフ状態の液晶と前記方位角補償部材とに起因する前記入射軸に沿った方向から入射した光の位相変調量を実質的にキャンセルする請求項1から請求項9のいずれか一項記載の液晶装置。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか一項記載の液晶装置を含む光変調装置と、
    前記光変調装置を照明する照明装置と、
    前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射レンズと、
    を備えるプロジェクタ。
  12. 前記液晶装置は、透過型であり、
    前記光変調装置は、前記液晶セル、前記方位角補償部材、及び前記極角補償部材を挟むように配置される一対の偏光素子を含む請求項11記載のプロジェクタ。
  13. 前記液晶装置は、反射型であり、
    前記光変調装置は、偏光ビームスプリッタを含み、
    前記方位角補償部材及び前記極角補償部材は、前記液晶セルと前記偏光ビームスプリッタとの間に挟まれるように配置される請求項11記載のプロジェクタ。
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