〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る液晶装置である液晶ライトバルブ(光変調装置)の構造を説明する拡大断面図である。
図示の液晶ライトバルブ31において、入射側の偏光素子である第1偏光フィルタ31bと、射出側の偏光素子である第2偏光フィルタ31cとは、例えばクロスニコルを構成する。これら第1偏光フィルタ31b及び第2偏光フィルタ31cの間に挟まれた偏光変調部31aは、入射光の偏光方向を、入力信号に応じて画素単位で変化させる液晶パネルである。
偏光変調部31aは、ツイストネマティックモードで動作する液晶(すなわちツイストネマティック型の液晶)で構成される液晶層71を挟んで、入射側に透明な第1基板72aと、射出側に透明な第2基板72bとを備える液晶セル70を有する。また、偏光変調部31aは、液晶セル70の第1偏光フィルタ31b側に、第1光学補償部材OC1と、第2光学補償部材OC2とを有する。これらの第1基板72a、第2基板72bや第1光学補償部材OC1、第2光学補償部材OC2は、第1偏光フィルタ31b、第2偏光フィルタ31cと同様、入出射面の法線がZ軸に平行になるように配置されている。
液晶セル70において、第1基板72aの液晶層71側の面上には、透明な共通電極75が設けられており、その上には、例えば配向膜76が形成されている。一方、第2基板72bの液晶層71側の面上には、マトリクス状に配置された複数の透明画素電極77と、各透明画素電極77に電気的に接続されている薄膜トランジスタ(不図示)とが設けられており、その上には、例えば配向膜78が形成されている。この液晶セル70は、第1基板72a及び第2基板72bと、これらに挟まれた液晶層71と、共通電極75、透明画素電極77とを基本的な構成要素としており、入射光の偏光状態を入力信号に応じて変化させる光能動素子として機能する。この液晶セル70を構成する各画素は、1つの透明画素電極77と、共通電極75と、これらの間に挟まれた液晶層71とを含む。なお、第1基板72aと共通電極75との間には、各画素を区分するように格子状のブラックマトリクス79が設けられている。
ここで、配向膜76,78は、液晶層71を構成する液晶性化合物を必要な方向に配列させるためのものである。一方の配向膜76は、これに接する液晶性化合物を第1ラビング方向(例えばX軸方向)に配向させ、他方の配向膜78は、これに接する液晶性化合物を第2ラビング方向(例えばY軸方向)に配向させる。液晶層71に電圧が印加されないオフ状態において、配向膜76は、液晶性化合物の光学軸を第1偏光フィルタ31bの偏光面であるXZ面を含んだ方向に配向させる役割を有し、配向膜78は、液晶性化合物の光学軸を第2偏光フィルタ31cの偏光面であるYZ面を含んだ方向に配向させる役割を有する。結果的に、液晶層71中の液晶性化合物の光学軸は、第1基板72aから第2基板72bにかけて徐々にねじれるように配置される。つまり、第1基板72a及び第2基板72bの内側すなわち配向膜76,78に隣接して液晶層71の両端側に配置される一組の液晶性化合物の光学軸は、XY平面上に投影した場合、互いに例えば90°のツイスト角をなす。これにより、一対の第1偏光フィルタ31b、第2偏光フィルタ31cの間に挟まれた液晶層71をノーマリホワイトモードで動作させることになり、電圧非印加のオフ状態で最大透過状態(光オン状態)を確保することができる。なお、後に詳述するが、液晶層71の両端側すなわち配向膜76,78の近傍位置において、液晶性化合物の光学軸は、XY平面すなわち配向膜76,78に対向する入射面や出射面に平行になっておらず、かかる入射面や出射面に対して一定のプレチルト角だけ傾いた状態で配置されている。
一方、液晶層71に電圧が印加されたオン状態すなわち遮光状態(光オフ状態)において、配向膜76,78から離れた位置にある液晶性化合物の光学軸は、第1基板72aの法線に平行な方向(具体的にはZ方向)に配向する。しかしながら、液晶層71の両端側すなわち配向膜76,78の近傍において、液晶性化合物の光学軸は、略元のままに維持されている。つまり、両端側における液晶性化合物の光学軸は、第1偏光フィルタ31b及び第2偏光フィルタ31cの偏光面に沿ったX方向やY方向に配向されているが、XY面すなわち配向膜76,78に対向する入射面や出射面に水平になっておらず、入射面や出射面に対して一定のチルト角或いは極角だけ傾いた状態に維持されている。なお、液晶層71に電圧が印加されていないオフ状態と電圧が印加されたオン状態とにおいて、配向膜76,78の近傍位置に存在する液晶性化合物の光学軸は、多少変動するがXY面に対して傾いた傾斜状態に維持される。よって、オン状態すなわち遮光状態の液晶層71に対する光学的補償を目的とする場合、このような傾斜状態に対応する傾斜角もプレチルト角と呼ぶものとする。
液晶セル70の射出側に配置される第1光学補償部材OC1は、入射側から順に、第3光学素子部分81aと、第1光学素子81bと、ガラス板81cとを備える。これら第3光学素子部分81a、第1光学素子81b、及びガラス板81cは、光入射端面と光射出端面とが平行な平板素子であり、例えば光学接着剤によって互いに接合されている。ここで、第1光学素子81bは、透明な正の一軸性結晶であり、例えば水晶板等で形成される。この第1光学素子81bは、その光学軸がYZ面に対して一定の角を成し、かつ、その光学軸がZ軸に対して所定の傾斜角をなすように配置されている。つまり、第1光学素子81bの光学軸は、例えばXZ面に対して平行でZ軸に対して所定の傾斜角をなす。ここで、第1光学素子81bの厚みd1は、後述する光学補償を達成できるような適当な値に設定されている。また、第3光学素子部分81aは、負の一軸性に近似する屈折率異方性を有するTAC(トリアセチルセルロース)等の延伸フィルムで形成される。このような延伸フィルムは、リタデーションの調整が比較的容易で、大量生産に向いている。第3光学素子部分81aの光学軸の方向や厚みd3については後述する。
第2光学補償部材OC2は、入射側から順に、第3光学素子部分83a、第2光学素子83bと、ガラス板83cとを備える。これら第3光学素子部分83a、第2光学素子83b、及びガラス板83cは、光入射端面と光射出端面とが平行な平板素子であり、例えば光学接着剤によって互いに接合されている。ここで、第2光学素子83bは、透明な正の一軸性結晶であり、例えば水晶板等で形成される。この第2光学素子83bは、その光学軸がXZ面に対して一定の角を成し、かつ、その光学軸がZ軸に対して所定の傾斜角をなすように配置されている。つまり、第2光学素子83bの光学軸は、例えばYZ面に対して平行でZ軸に対して所定の傾斜角をなす。ここで、第2光学素子83bの厚みd2は、後述する光学補償を達成できるような適当な値に設定されている。また、第3光学素子部分83aは、負の一軸性に近似する屈折率異方性を有するTAC等の延伸フィルムで形成される。第3光学素子部分83aの光学軸の方向や厚みd3については後述する。
ここで、上記第3光学素子部分81a,83aの屈折率異方性に関するパラメータについて説明する。第1光学補償部材OC1の第3光学素子部分81aと、第2光学補償部材OC2の第3光学素子部分83aとは、本実施形態の場合、同一材料であり、同一の厚みを有する。これら第3光学素子部分81a,83aの屈折率異方性に関するパラメータRe,Rthは、第3光学素子部分81a,83aの屈折率を基準とした各軸x,y,z方向の屈折率をnx,ny,nzとし、第3光学素子部分81a,83aのz方向の厚みをd3とした場合に、
Re=(nx−ny)・d3 … (1)
Rth={(nx+ny)/3−nz}・d3 … (2)
で与えられ、以下の条件式(3)
−Rth<Re<Rth … (3)
を満たす。つまり、第3光学素子部分81a,83aを構成する延伸フィルムの製造方法の設定により、第3光学素子部分81a,83aの屈折率楕円体において、一対の長径側(nxとny)の屈折率差Reが長径側(nx及びny)と最短径(nz)との屈折率差Rthよりも小さくなるようにする。ここで、Rthは、正の値となっている。
以上で説明した第1光学補償部材OC1及び第2光学補償部材OC2は、協働して液晶層71のプレチルトに起因する視野角依存性やコントラスト低下を補償する役割を有する。
具体的には、第1光学素子81b及び第2光学素子83bが、液晶層71の両端側に存在する液晶のプレチルトに起因する液晶リタデーションのうちXY面内の成分を実効的にキャンセルする。このため、第1光学素子81b及び第2光学素子83bの組み付け時において、これらの光学軸の方位角や極角がそれぞれ調整され、これらの厚みd1,d2がそれぞれ調整される。
さらに、第3光学素子部分81a,83aは、両者の協働によって第3光学素子として機能し、液晶層71の両端側に存在する液晶のプレチルトに起因する液晶リタデーションのうち入射面及び射出面に垂直な方向の成分と、上記第1光学素子81b及び第2光学素子83bによるZ方向に関する付随リタデーションとを実効的にキャンセルする役割を有する。このため、第3光学素子部分81a,83aの光学軸の方向とともに厚みd3が調整される。
図2(A)〜2(D)は、第1光学素子81bと、第2光学素子83bとによるプレチルトの補償(すなわち液晶リタデーションの補償)を概念的に説明する斜視図である。
図2(A)に示すように、液晶層71の入射面側の平均的なプレチルトは、例えばXZ面に対して略平行でZ軸に対して角θ0だけ傾いていると見ることができる。すなわち、このようなプレチルトの屈折率楕円体RIE0は、光学軸OA01がZ軸に対して極角θ0だけ傾いた状態となっており、光学軸OA01が略+X方向に配向している。なお、液晶層71の入射面に近い位置において、特に入射面に極めて近い液晶性化合物の光学軸は、電圧を印加する前のプレチルト角と等しく、一般的に入射面となす角度は10°未満程度である。さらに、電圧印加時において液晶層中心部に向かうに従って液晶性化合物の光学軸は、急激に入射面法線方向すなわちZ方向に平行になる角度に近づく。
図2(B)に示すように、液晶層71の射出面側の平均的なプレチルトは、例えばYZ面に対して略平行でZ軸に対して角θ0だけ傾いていると見ることができる。すなわち、プレチルトの屈折率楕円体RIE0は、光学軸OA02がZ軸に対して極角θ0だけ傾いた状態となっており、光学軸OA02が略+Y方向に配向している。なお、液晶層71の射出面に近い位置において、特に射出面に極めて近い液晶性化合物の光学軸は、電圧を印加する前のプレチルト角と等しく、一般的に入射面となす角度は10°未満程度である。さらに、電圧印加時において液晶層中心部に向かうに従って液晶性化合物の光学軸は、急激に射出面法線方向すなわちZ方向に平行になる角度に近づく。
図2(C)に示すように、第1光学素子81bの屈折率楕円体RIE1は、その光学軸OA1がXZ面に対して略平行でZ軸に対して角θ1だけ傾いた状態となっており、図2(D)に示すように、第2光学素子83bの屈折率楕円体RIE2は、その光学軸OA2がYZ面に対して略平行でZ軸に対して角θ2だけ傾いた状態となっている。
図3は、第1光学素子81b及び第2光学素子83bによる補償の効果を概念的に説明する図である。液晶層71の入射面及び射出面近傍のプレチルトと、第1光学素子81b及び第2光学素子83bの屈折率異方性とを合成した屈折率楕円体RIEaは、その光学軸OAaがZ軸に平行な長径となっている正の一軸性の屈折率特性を有している。この屈折率楕円体RIEaは、液晶層71のプレチルトによる液晶リタデーションのうちZ方向の成分と、第1光学素子81b及び第2光学素子83bの屈折率楕円体RIE1,RIE2によるZ方向に関する付随リタデーションとを加算した結果としての仮想的な残留複屈折であると考えることができる。
図4は、第3光学素子を構成する各第3光学素子部分81a,83aの最長軸の方向を説明する図である。2つの第3光学素子部分81a,83aがそれぞれ等しい位相差Reを持つ場合、第1光学補償部材OC1に設けた第3光学素子部分81aの屈折率楕円体RIE31の最長軸としての光学軸OA31は、X軸に対して0°の方向に延び、第2光学補償部材OC2に設けた第3光学素子部分83aの屈折率楕円体RIE32の最長軸としての光学軸OA32は、X軸に対して90°の方向に延びる。つまり、これら第3光学素子部分81a,83aの光学軸は、直交する均等な角をなしている。
この場合、第3光学素子部分81a,83aは、屈折率楕円体の最短軸zを液晶層71の入射出面の法線に平行なZ方向に揃えたままで、屈折率楕円体の長径側の長い方の軸(nx>nyであればx軸)をXY面内で均等な方向に割り付けているので、これら第3光学素子部分81a,83aのXY面内における屈折率異方性すなわち位相差を互いに相殺することができ、全体の第3光学素子として、あたかも厳密な負の一軸結晶であるかのような補償を可能にする。
図5(A)〜5(C)は、第3光学素子部分81a,83aによる、上述の残留複屈折率の補償を説明する図である。図5(A)は、図3に対応するもので、第1光学素子81b及び第2光学素子83bによる液晶層71のプレチルトの補償後に残留する屈折率楕円体RIEaを示し、図5(B)は、第3光学素子部分81a,83aを合成した屈折率楕円体RIE3を示す。この屈折率楕円体RIE3は、その光学軸OA3がZ軸に平行な短径となっている負の一軸性を有している。このように、屈折率楕円体RIEaが正の一軸性を示し、屈折率楕円体RIE3が負の一軸性を示すことから、両者を合成することにより見かけ上の屈折率異方性を相殺できる。つまり、図5(C)に示すように、第1光学素子81b及び第2光学素子83bと、第3光学素子部分81a,83aとによる液晶層71のプレチルトの補償後の屈折率楕円体RIEbは、略円形に近いものとなっている。よって、Z軸に平行な正面方向から光束に対してだけでなく、正面方向に対して一定の傾きを有する光束に対するリタデーションの変化を抑えることができ、広い視野角範囲にわたって良好な光変調特性を実現できる。
以上は、理想的な位相補償の説明であったが、現実の液晶ライトバルブ31では、液晶層71のプレチルトは、製品毎にバラツキいており、また、第1光学素子81b及び第2光学素子83bや第3光学素子部分81a,83aの加工精度も厳密に確保することは容易でない。このため、液晶ライトバルブ31の組立時に第1光学素子81b及び第2光学素子83bや第3光学素子部分81a,83aをシステム光軸すなわちZ軸に平行な軸のまわりで回転させて調整を行う必要がある。ここで、第1光学素子81b及び第2光学素子83bや第3光学素子部分81a,83aの調整機構を設けないで、第1光学素子81b及び第2光学素子83bと第3光学素子部分81a,83aとの回転位置を全て調整しながら液晶ライトバルブ31を作製することは、調整が煩雑でコスト増大という問題がある。また、第1光学素子81b及び第2光学素子83bや第3光学素子部分81a,83aのすべてについて調整機構を設けた場合、調整機構のスペースを確保することが困難になり、調整工程も結局煩雑なものとなる。そこで、本実施形態では、第1光学素子81bと第3光学素子部分81aとを互いに接着して第1群すなわち第1光学補償部材OC1とするとともに、第2光学素子83bと第3光学素子部分83aとを互いに接着して第2群すなわち第2光学補償部材OC2とする。これにより、第1光学素子81bと第3光学素子部分81aとについては、接着時の方位ズレが残るが、後述するようにコントラストの劣化には大きく影響しない。また、第2光学素子83bと第3光学素子部分83aとについても、接着時の方位ズレが残るが、後述するようにコントラストの劣化には大きく影響しない。さらに、例えば第1光学補償部材OC1を回転させれば、第2光学補償部材OC2については、固定したままでよい。第2光学補償部材OC2を固定して第1光学補償部材OC1を回転させることで、入射偏光軸に対して概ね±45°の偏光成分に対して位相差を揃えることができる。この際、入射偏光軸に対して平行な偏向成分や垂直な偏向成分については位相差が残って残留位相差となるが、コントラスト低下は最小に抑えることができる。
図6は、第1光学補償部材OC1をシステム光軸すなわちZ軸に平行な軸のまわりに回転させるための調整機構91の構造を説明する正面図である。調整機構91は、第2光学補償部材OC2を保持する第1ホルダ92と、第1光学補償部材OC1を保持する第2ホルダ93と、第1ホルダ92及び第2ホルダ93を互いに回転位置調整する調整部材94とを備える。ここで、調整部材94は、第1ホルダ92及び第2ホルダ93を連結する軸部材94aと、第2ホルダ93を時計回りや反時計回りに回転させるネジ調整部94bと、第1ホルダ92側に固定されて第2ホルダ93の縁部分を案内するガイド94cとを含む。ネジ調整部94bは、第1ホルダ92、第2ホルダ93から延びる支持板94f,94gの間隔を調整するためのネジ94hを備えている。ネジ調整部94bの正逆回転により、第1ホルダ92に対する第2ホルダ93の回転姿勢、すなわち第2光学補償部材OC2に対する第1光学補償部材OC1の回転姿勢を微調整することができる。なお、以上の調整機構91は単なる例示であり、第1光学補償部材OC1をZ軸のまわりに微小回転させる様々な薄型の調整機構を採用することができる。
図7は、図6の調整機構91による液晶ライトバルブ31の残留位相差の調整を説明する図である。この場合、XY面に投影した位相差を示している。ここで、液晶層71の入射面側のプレチルトに対応する光学軸OA01の方向はX軸に正確に沿っておらず、X軸に対して一定の角度をなす。同様に、液晶層71の射出面側のプレチルトに対応する光学軸OA02の方向はY軸に正確に沿っておらず、Y軸に対して一定の角度をなす。
また、第1光学補償部材OC1側の第1光学素子81bの光学軸OA1はX軸に正確に沿っておらず、X軸に対して一定の角度をなす。同様に、第2光学補償部材OC2側の第2光学素子83bの光学軸OA2はY軸に正確に沿っておらず、Y軸に対して一定の角度をなす。
さらに、第1光学補償部材OC1側の第3光学素子部分81aの光学軸OA31はX軸に正確に沿っておらず、X軸に対して一定の角度をなす。同様に、第2光学補償部材OC2側の第3光学素子部分83aの光学軸OA32はY軸に正確に沿っておらず、Y軸に対して一定の角度をなす。
以上において、液晶層71のプレチルトに対応する光学軸OA01,OA02は、固定的なものであり、第2光学補償部材OC2の光学的方位を構成する光学軸OA2や光学軸OA32もこの実施形態では固定されている。一方、第1光学補償部材OC1の光学的方位を構成する光学軸OA1や光学軸OA31については、図6の調整機構91により、Z軸のまわりに一体的に回転させることができ、入射偏光軸すなわちX軸方向に対して±45°の偏光成分に対して位相差を揃えることができる。この際、入射偏光軸に対して平行な偏向成分や垂直な偏向成分については位相差が残って残留位相差となるが、上述のようにコントラスト低下は最小に抑えられる。
図8は、図6の調整機構91による液晶ライトバルブ31の残留位相差の調整を説明するグラフである。なお、横軸は調整機構91による調整角度(°)を示し、縦軸は液晶ライトバルブ31が黒表示である場合の照度(lx)を示す。グラフにおいて、記号●で示す実線の曲線は、全ての補償素子すなわち第1光学素子81b及び第2光学素子83bや第3光学素子部分81a,83aが液晶層71の入射面側のプレチルトに対してアライメントされていると仮定した場合であって、第1光学補償部材OC1を調整機構91によって回転させた場合の照度変化を示す。記号■で示す点線の曲線は、第1光学補償部材OC1の第3光学素子部分81aが理想値から1°ずれていることを前提として、図6の調整機構91によって第1光学補償部材OC1の回転角度を調整した場合に黒表示の照度がどう変化するかを計測したものである。また、記号△で示す一点鎖線の曲線は、第1光学補償部材OC1の第3光学素子部分81aが理想値から2°ずれていることを前提として、図6の調整機構91によって第1光学補償部材OC1の回転角度を調整した場合に黒表示の照度がどう変化するかを計測したものである。グラフからも明らかなように、第1光学補償部材OC1の回転によって残留位相差の光学的方位を調整することで、良好なコントラストを確保できることが分かる。
なお、ある群を構成する部品すべての位相差を合成した合計の位相差を考えることができ、その合計の位相差の遅相軸をその群の光学的方位と定義する。例えば、位相差をもつ第3光学素子部分81a及び第1光学素子81bを備える第1光学補償部材OC1の光学的方位は、第3光学素子部分81aの位相差と第1光学素子81bの位相差を合成したときの合計位相差の遅相軸である。また、液晶ライトバルブ31の持つ残留位相差を補償するために、液晶ライトバルブ31及び第2光学補償部材OC2に対して、第1光学補償部材OC1の光学的方位を調整したときに残留した位相差の遅相軸が、最終的な残留位相差の光学的方位である。
以上の説明から明らかなように、本実施形態の液晶ライトバルブ31では、第3光学素子部分81a,83aが負の一軸性の又は負の一軸性に近似する屈折率異方性を有するので、正の一軸性を有する第1光学素子81b及び第2光学素子83bによって十分に補正できなかった斜入射の光束に対する光学的補償が簡易に達成される。これにより、液晶層71の入射面側及び射出面側に形成された各プレチルトによって生じる像光のリタデーションを広い視野角範囲で近似的に相殺又は低減することができ、結果的に、コントラストが向上される。さらに、視野角が補償されることにより、色むらの少ない画像を投射することができる。この際、調整機構91により、第3光学素子の一つである第3光学素子部分81aを光学膜として有する第1光学補償部材OC1の光学的方位を、第2光学補償部材OC2の固定された光学的方位に対して調整可能にしているので、調整の影響が比較的少ない第3光学素子部分81aの回転調整によって、第1偏光フィルタ31b及び第2偏光フィルタ31cの偏光軸に対して±45°の調整基準方向に関する液晶ライトバルブ31の残留位相差を低減する微調整が可能になる。
なお、以上の第1実施形態では、第1光学補償部材OC1側を回転させたが、第1光学補償部材OC1を固定して第2光学補償部材OC2側を回転させることができる。また、第3光学素子部分81aを第2光学補償部材OC2に組み込んで、第2光学素子83bと第3光学素子部分81aとをセットにし、第3光学素子部分83aを第1光学補償部材OC1に組み込んで、第1光学素子81bと第3光学素子部分83aとをセットにすることができる。さらに、第3光学素子を構成する光学膜は、第3光学素子部分81a,83aの2枚に限らず、1枚や、3枚以上とすることができる。この際、3枚以上の光学膜は、屈折率楕円体の最短軸zをZ方向に揃えたままで、屈折率楕円体の長径側の長い方の軸をXY面内で均等な方向に割り付けるか、2つのグループにわけそれぞれのグループ内での屈折率楕円体の長径側の長い方の軸を揃え、分かれたグループ同士の屈折率楕円体の長径側の長い方の軸が直角になるように配置する。さらにこの場合、第1光学補償部材OC1と第2光学補償部材OC2とに振り分ける光学素子部分の差が2枚以上にならないようにする。これにより、第1光学補償部材OC1の持つ光学的方位によるシステム光軸に平行な方向から入射する偏光に影響を与える位相差の大きさと、第2光学補償部材OC2の持つ光学的方位によるシステム光軸に平行な方向から入射する偏光に影響を与える位相差の大きさとが比較的均衡し、第2光学補償部材OC2のシステム光軸に垂直な面内の光学的方位に対する第1光学補償部材OC1のシステム光軸に垂直な面内の光学的方位の相対位置の調整後に残るシステム光軸に対して所定の角度をもって入射する偏光に影響を与える残留位相差を比較的小さくできる。
その他、第1光学素子81bや第2光学素子83bは、通常薄くなるので、ガラス基板で両側からサンドイッチして強度や表面の平坦度を高めることもできる。逆に、第1光学素子81bと第2光学素子83bとによってガラス基板をサンドイッチした素子として、素子表面の現れる第1光学素子81bと第2光学素子83bとに対してエッチング等の表面加工を施すこともできる。
〔第2実施形態〕
以下、本発明の第2実施形態に係る液晶装置である液晶ライトバルブについて説明する。第2実施形態の液晶ライトバルブは、第1実施形態の液晶ライトバルブを変形したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態と同様であり重複説明を省略する。
図9は、第2実施形態の液晶ライトバルブの構造を説明する拡大断面図である。図示の液晶ライトバルブ131において、偏光変調部31aのうち第1群の第1光学補償部材OC1に第3光学素子部分81aを組み込み、第1群の第2光学補償部材OC2に第1光学素子81b及び第2光学素子83bと、第3光学素子部分83aとを組み込んでいる。
図10は、第2実施形態における液晶ライトバルブ131の残留位相差の調整を説明する図である。ここで、液晶層71のプレチルトに対応する光学軸OA01,OA02の方向は、図7の場合と同様である。また、第1光学素子81b及び第2光学素子83bの光学軸OA1,OA2や、第3光学素子部分81a,83aの光学軸OA31,OA32も、図7の場合と同様である。ただし、この場合、第2光学補償部材OC2の光学的方位を構成する光学軸OA1,OA2,OA32は、固定され、第1光学補償部材OC1の光学的方位を構成する光学軸OA31は、図6の調整機構91によって、Z軸のまわりに回転する。この場合も、入射偏光軸すなわちX軸方向に対して±45°の偏光成分に対して位相差を揃えることができる。
図11は、液晶ライトバルブ131の残留位相差の図6の調整機構91による調整を具体的に説明するグラフである。なお、横軸は調整機構91による調整角度(°)を示し、縦軸は液晶ライトバルブ31が黒表示である場合の照度(lx)を示す。グラフにおいて、記号●で示す曲線は、第1光学補償部材OC1のXY面内の位相差が12nm程度であった場合の第1光学補償部材OC1の回転に伴う照度の変化を測定した結果である。また、記号■で示す曲線は、第1光学補償部材OC1のXY面内の位相差が1nm程度であった場合の第1光学補償部材OC1の回転に伴う照度の変化を測定した結果である。以上から分かるように、XY面内の位相差が12nm程度残っている第1光学補償部材OC1は、XY面内の光学的方位を回転させることによって残留位相差を調整し、液晶ライトバルブ31が黒表示である場合の照度(lx)に変化を与えることができ、良好なコントラストを確保できる。ただし、XY面内の位相差が12nm程度残っている第1光学補償部材OC1は、その回転による照度への影響が、XY面内の位相差が1nm程度残っている第1光学補償部材OC1が回転することによる照度への影響よりも大きいことからわかるように、第1光学補償部材OC1のXY面内の位相差が大きい場合は、その回転に対する照度の変化量が大きいので調整機構の回転範囲を狭くでき、第1光学補償部材OC1のXY面内の位相差が小さい場合は、その回転に対する照度の変化が小さいので微調整が容易となる。
なお、以上の第2実施形態において、第3光学素子を構成する光学膜は、第3光学素子部分81a,83aの2枚に限らず、1枚或いは3枚以上とすることができる。この場合、第1光学補償部材OC1には、その回転により、第1偏光フィルタ31b及び第2偏光フィルタ31cの偏光軸に対して±45°の調整基準方向に関する液晶ライトバルブ31の残留位相差を低減することができるだけのXY面内の位相差を確保する。
〔第3実施形態〕
図12は、図1に示す液晶ライトバルブ31等を組み込んだプロジェクタの光学系の構成を説明する図である。
本プロジェクタ10は、光源光を発生する光源装置21と、光源装置21からの光源光を赤緑青の3色に分割する色分離光学系23と、色分離光学系23から射出された各色の照明光によって照明される光変調部25と、光変調部25からの各色の像光を合成するクロスダイクロイックプリズム27と、クロスダイクロイックプリズム27を経た像光をスクリーン(不図示)に投射するための投射光学系である投射レンズ29とを備える。このうち、光源装置21、色分離光学系23、光変調部25、及びクロスダイクロイックプリズム27は、スクリーンに投射すべき像光を形成する画像形成装置となっている。
以上のプロジェクタ10において、光源装置21は、光源ランプ21aと、凹レンズ21bと、一対のレンズアレイ21d,21eと、偏光変換部材21gと、重畳レンズ21iとを備える。このうち、光源ランプ21aは、例えば高圧水銀ランプからなり、光源光を回収して前方に射出させる凹面鏡を備える。凹レンズ21bは、光源ランプ21aからの光源光を平行化する役割を有するが、省略することもできる。一対のレンズアレイ21d,21eは、マトリクス状に配置された複数の要素レンズからなり、これらの要素レンズによって凹レンズ21bを経た光源ランプ21aからの光源光を分割して個別に集光・発散させる。偏光変換部材21gは、レンズアレイ21eから射出した光源光を例えば図12の紙面に垂直なS偏光成分のみに変換して次段光学系に供給する。重畳レンズ21iは、偏光変換部材21gを経た照明光を全体として適宜収束させることにより、光変調部25に設けた各色の光変調装置に対する重畳照明を可能にする。つまり、両レンズアレイ21d,21eと重畳レンズ21iとを経た照明光は、以下に詳述する色分離光学系23を経て、光変調部25に設けられた各色の第1液晶パネル25a、第2液晶パネル25b、第3液晶パネル25cを均一に重畳照明する。
色分離光学系23は、第1ダイクロイックミラー23a及び第2ダイクロイックミラー23bと、補正光学系である3つのフィールドレンズ23f,23g,23hと、反射ミラー23j,23m,23n,23oとを備え、光源装置21とともに照明装置を構成する。ここで、第1ダイクロイックミラー23aは、赤緑青の3色のうち例えば赤光及び緑光を反射し青光を透過させる。また、第2ダイクロイックミラー23bは、入射した赤及び緑の2色のうち例えば緑光を反射し赤光を透過させる。この色分離光学系23において、光源装置21からの略白色の光源光は、反射ミラー23jで光路を折り曲げられて第1ダイクロイックミラー23aに入射する。第1ダイクロイックミラー23aを通過した青光は、例えばS偏光のまま、反射ミラー23mを経てフィールドレンズ23fに入射する。また、第1ダイクロイックミラー23aで反射されて第2ダイクロイックミラー23bでさらに反射された緑光は、例えばS偏光のままフィールドレンズ23gに入射する。さらに、第2ダイクロイックミラー23bを通過した赤光は、例えばS偏光のまま、第1レンズLL1、第2レンズLL2及び反射ミラー23n,23oを経て、入射角度を調節するためのフィールドレンズ23hに入射する。第1レンズLL1、第2レンズLL2及びフィールドレンズ23hは、リレー光学系を構成している。このリレー光学系は、第1レンズLL1の像を、第2レンズLL2を介してほぼそのままフィールドレンズ23hに伝達する機能を備えている。
光変調部25は、3つの第1液晶パネル25a、第2液晶パネル25b、第3液晶パネル25cと、各第1液晶パネル25a、第2液晶パネル25b、第3液晶パネル25cを挟むように配置される3組の偏光フィルタ25e,25f,25gとを備える。ここで、青光用の第1液晶パネル25aと、これを挟む一対の偏光フィルタ25e,25eとは、輝度変調後の像光のうち青光を画像情報に基づいて2次元的に輝度変調するための青色用の液晶ライトバルブを構成する。青色用の液晶ライトバルブは、図1等に示す液晶ライトバルブ31,131と同様の構造を有しており、コントラスト向上のための第1光学補償部材OC1及び第2光学補償部材OC2を組み込んでいる。このうち、第1光学補償部材OC1については、図6の調整機構91によって、システム光軸OAに平行な軸のまわりに回転可能になっている。同様に、緑光用の第2液晶パネル25bと、対応する偏光フィルタ25f,25fも、緑色用の液晶ライトバルブを構成し、赤光用の第3液晶パネル25cと、偏光フィルタ25g,25gも、赤色用の液晶ライトバルブを構成する。そして、これら緑光及び赤色用の液晶ライトバルブも、図1等に示す液晶ライトバルブ31,131と同様の構造を有している。つまり、第1光学補償部材OC1及び第2光学補償部材OC2を有し、一方の第1光学補償部材OC1については、図6の調整機構91によって、システム光軸OAに平行な軸のまわりに回転可能になっている。
青光用の第1液晶パネル25aには、色分離光学系23の第1ダイクロイックミラー23aを透過することによって分岐された青光が、フィールドレンズ23fを介して入射する。緑光用の第2液晶パネル25bには、色分離光学系23の第2ダイクロイックミラー23bで反射されることによって分岐された緑光が、フィールドレンズ23gを介して入射する。赤光用の第3液晶パネル25cには、第2ダイクロイックミラー23bを透過することによって分岐された赤光が、フィールドレンズ23hを介して入射する。各第1液晶パネル25a〜第3液晶パネル25cは、入射した照明光の空間的強度分布を画素単位で変調する非発光型の光変調装置であり、各第1液晶パネル25a〜第3液晶パネル25cにそれぞれ入射した3色の光は、各第1液晶パネル25a〜第3液晶パネル25cに電気的信号として入力された駆動信号或いは画像信号に応じて変調される。その際、偏光フィルタ25e,25f,25gによって、各第1液晶パネル25a〜第3液晶パネル25cに入射する照明光の偏光方向が調整されるとともに、各第1液晶パネル25a〜第3液晶パネル25cから射出される変調光から所定の偏光方向の成分光が像光として取り出される。
クロスダイクロイックプリズム27は、光合成部材であり、4つの直角プリズムを貼り合わせた平面視略正方形状をなし、直角プリズム同士を貼り合わせた界面には、X字状に交差する一対の第1誘電体多層膜27a、第2誘電体多層膜27bが形成されている。一方の第1誘電体多層膜27aは青色光を反射し、他方の第2誘電体多層膜27bは赤色光を反射する。このクロスダイクロイックプリズム27は、第1液晶パネル25aからの青光を第1誘電体多層膜27aで反射して進行方向右側に射出させ、第2液晶パネル25bからの緑光を第1誘電体多層膜27a及び第2誘電体多層膜27bを介して直進・射出させ、第3液晶パネル25cからの赤光を第2誘電体多層膜27bで反射して進行方向左側に射出させる。
投射レンズ29は、クロスダイクロイックプリズム27で合成されたカラーの像光を、所望の倍率でスクリーン(不図示)上に投射する。つまり、各第1液晶パネル25a〜第3液晶パネル25cに入力された駆動信号或いは画像信号に対応する所望の倍率のカラー動画やカラー静止画がスクリーン上に投射される。
以上実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
すなわち、上記実施形態では、第1光学素子81b及び第2光学素子83bとして水晶板を用いたが、水晶板に代えて正の一軸結晶や有機物質(例えば液晶や延伸フィルム)を使用することができる。
また、上記実施形態では、第3光学素子を構成する光学膜としてTACを用いているが、TAC以外の負の一軸性材料及び負の一軸性に近似する屈折率異方性を有する材料を用いることができる。具体的には、サファイア、方解石、KDP(二水素カリウム)、ADP(リン酸二水素アンモニウム)等の無機材料を使用することができ、オレフィン系の各種有機材料を使用することができる。さらに、第3光学素子については、単一の補償用光学膜で構成することもできるが、これを複数層の補償用光学膜で構成する場合には、複数種類の材料層を組み合わせて積層させて第3光学素子を構成することも可能である。
また、上記実施形態では、第3光学素子部分81a,83aの少なくとも一方を第1光学補償部材OC1に組み込んで残留位相差の調整を行っているが、第1光学素子81bのみを第1光学補償部材OC1に組み込んで残留位相差の調整を行ったり、或いは第2光学素子83bのみを第1光学補償部材OC1に組み込んで残留位相差の調整を行ったりすることもできる。
また、上記実施形態では、第1光学補償部材OC1及び第2光学補償部材OC2を、液晶セル70と第1偏光フィルタ31bとの間に配置しているが、これら第1光学補償部材OC1、第2光学補償部材OC2を液晶セル70と第2偏光フィルタ31cとの間に配置することもできる。さらに、第1光学補償部材OC1及び第2光学補償部材OC2を、液晶セル70入射側と射出側とに分けて配置することもできる。
また、上記実施形態では、液晶層71に電圧が印加されたオン状態すなわち光オフ状態でリタデーションを補償してコントラストを向上させているが、液晶層71に電圧が印加されていないオフ状態すなわち光オン状態でリタデーションを補償することもできる。
また、上記実施形態の液晶セル70において、第1基板72a等に微小レンズからなるマイクロレンズアレイを画素に対応して埋め込むように形成することができる。ただし、液晶セル70と、第1光学補償部材OC1及び第2光学補償部材OC2等とを通過する光束の広がり角度等が一致する観点で、液晶セル70の後段に第1光学補償部材OC1及び第2光学補償部材OC2その他の補償素子を配置することが好ましい。
また、上記実施形態のプロジェクタ10では、光源装置21を、光源ランプ21a、一対のレンズアレイ21d,21e、偏光変換部材21g、及び重畳レンズ21iで構成したが、レンズアレイ21d,21e、偏光変換部材21g等については省略することができ、光源ランプ21aも、LED等の別光源に置き換えることができる。
また、上記実施形態では、色分離光学系23を用いて照明光の色分離を行って、光変調部25において各色の変調を行った後に、クロスダイクロイックプリズム27において各色の像の合成を行っているが、単一の液晶パネルすなわち液晶ライトバルブ31によって画像を形成することもできる。
上記実施形態では、3つの第1液晶パネル25a〜第3液晶パネル25cを用いたプロジェクタ10の例のみを挙げたが、本発明は、2つの液晶パネルを用いたプロジェクタ、或いは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも適用可能である。
上記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投射を行うフロントタイプのプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投射を行うリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
10…プロジェクタ、21…光源装置、23…色分離光学系、23a…第1ダイクロイックミラー、23b…第2ダイクロイックミラー、25…光変調部、25a…第1液晶パネル、25b…第2液晶パネル、25c…第3液晶パネル、25e,25f,25g…偏光フィルタ、27…クロスダイクロイックプリズム、29…投射レンズ、31,131…液晶ライトバルブ、31a…偏光変調部、31b…第1偏光フィルタ、31c…第2偏光フィルタ、70…液晶セル、71…液晶層、75…共通電極、77…透明画素電極、76,78…配向膜、81a,83a…第3光学素子部分、81b…第1光学素子、83b…第2光学素子、91…調整機構、92…第1ホルダ、93…第2ホルダ、94…調整部材、94a…軸部材、94b…ネジ調整部、OC1…第1光学補償部材、OC2…第2光学補償部材。