JP2008076789A - 高分子製光学的ローパスフィルター - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高分子製光学的ローパスフィルターは、特定の化合物、化合物(A)[=アクリル酸4−(4−アルキルシクロヘキシル)フェニル]10〜60重量部、化合物(B)[=4−[ω−(プロペノイルオキシ)アルコキシ]安息香酸2−[4−[4−{ω−(プロペノイルオキシ)アルコキシ}ベンゾイルオキシ]フェニル]エチル]30〜80重量部、および化合物(C)[=4−[6−(プロペノイルオキシ)ヘキシルオキシ]安息香酸4−アルキルフェニル]3〜30重量部よりなる液晶性単量体と、重合調節剤とを含有してなる光重合性液晶組成物により得られる共重合体。
【選択図】なし
Description
従来において、かかる光学的ローパスフィルターとしては、複屈折物質中における常光線と異常光線との分離による光学的ローパス特性を利用した、例えば水晶などによる複屈折型のものが多く使用されている。
常光線と異常光線との変位距離Sは下記の数式(1)により表される(「結晶光学」p198:森北出版)。
従って、複屈折型の光学的ローパスフィルターであって小型化のものを得るためには、光学的ローパスフィルターの基材として、屈折率の異方性が大きく、配向度が45度またはその付近にあるものを用いることが望ましい。
本発明の高分子製光学的ローパスフィルターは、上記一般式(1)で表される化合物(A)10〜60質量部、上記一般式(2)で表される化合物(B)30〜80質量部、および上記一般式(3)で表される化合物(C)3〜30質量部よりなる液晶性単量体と、重合調節剤とを含有してなる光重合性液晶組成物により得られる共重合体(以下、「特定の液晶共重合体」ともいう。)よりなるものである。
化合物(A)としては、特に式(a)で示されるものを用いることが好ましい。
光重合反応は、通常、きわめて迅速に生じて短時間のうちに完結するものであるところ、このような重合調節剤を含有する光重合性液晶組成物を後述する光重合処理に供することにより重合転換率を制御することができ、そして、後述するように、配向された状態で液晶性単量体を光重合させることによって、配向状態のメソゲンに規制された状態で残余の重合性成分が加熱重合処理に供されることとなり、その結果、生成される特定の液晶共重合体が、分離幅の大きい、きわめて優れた複屈折性を有するものとなると共に、配向メソゲンにより配向の乱れが小さく抑制されるために、ヘイズ値がきわめて小さく、非常に高い透明性を有する高分子製光学的ローパスフィルターを得ることができる。
重合調節剤の使用割合は、液晶性単量体に対して0.01〜5.0質量%、特に0.02〜1.0質量%であることが好ましい。
また、光重合性液晶組成物の重合反応性を向上させることを目的として、光重合開始剤や増感剤を添加してもよい。
ここに、光重合開始剤としては、例えば、公知のベンゾインエーテル系化合物類、ベンゾフェノン化合物類、アセトフェノン化合物類、ベンジルケタール化合物類、ビスアシルホスフィンオキサイド化合物類などから選択したものを用いることができる。
光重合開始剤の使用割合は、光重合性液晶組成物に対して3質量%以下、特に2質量%以下であることが好ましい。
また、高分子製光学的ローパスフィルターのヘイズ値Hは、例えば、濁度計「NDH2000」(日本電色工業株式会社製)を用いて測定することができる。
一方、当該屈折率の異方性の上限値は、液晶の安定性などの観点から0.35以下、特に、0.3以下であることが好ましい。
配向角ψは、その絶対値が10〜80度の範囲、好ましくは20〜70度の範囲、より好ましくは30〜60度の範囲とされる。配向角ψの絶対値が過小または過大である場合には、必要な特性を得るために当該高分子製光学的ローパスフィルターの厚みを大きくすることが必要となる。
<キャスト用セル>
図1は、本発明の高分子製光学的ローパスフィルターを得るための方法を実施するために好適に用いられるキャスト用セルの一例の構成を示す説明用断面図である。このキャスト用セル10は、一定の厚みの間隙Gを介して2枚の平板状の透明なガラスよりなる成型用基板12,12を互いに対向するよう平行に配置し、その状態で当該2枚の成型用基板12,12の外周面にわたってシール用テープ14を共通に貼り付けることにより作製され、内部にシールされた成型用空間が形成されている。
あるいは、キャスト用セルとしては、例えば、間隙を介して対向する平行に配置された少なくとも一方が透明な2枚の成型用基板の間にスペーサを配置し、当該2枚の成型用基板によって区画された成型用空間を有するものを用いることもできる。
ここに有機材料の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロフルオロエチレン、ポリアリレート、ポリスルホン、セルロース、ポリエーテルケトンなどを挙げることができる。また、無機材料の具体例としては、シリコン、ガラスなどを挙げることができる。
図2に示すように、このキャスト用セル10における成型用基板12,12間の間隙Gよりなる成型用空間内に光重合性液晶組成物を注入して保持させることにより、光重合性液晶組成物の薄層Lが形成された成型用複合体20を形成する。
以上において、2枚の成型用基板12,12の間の間隙Gの大きさは、目的とする高分子製光学的ローパスフィルターの厚みの大きさに応じて設定され、通常、10〜200μmである。
このようにして得られる、成型用基板12,12と光重合性液晶組成物の薄層Lとよりなる成型用複合体20に対して、配向処理が行われる。
具体的には、図3に示すように、平行磁場が作用されている場において、成型用複合体20を、その成型用基板12の表面が磁力線の方向と特定の角度θをなす方向に伸びる状態に保持することにより、光重合性液晶組成物の薄層Lに平行磁場を作用させ、これにより、液晶性単量体の液晶分子Mを磁力線の方向と直角な方向に配向させる。
配向処理における平行磁場の強さが、3テスラ以上とされることにより、確実に、厚みが10〜200μmであってヘイズ値が1.5%以下である高分子製光学的ローパスフィルターが得られる。
このようにして配向処理がなされた成型用複合体20の薄層Lに対して、紫外線による光重合処理およびこれに続く加熱重合処理が行われ、これにより、薄層Lを形成する光重合性液晶組成物が重合されて特定の液晶共重合体が得られる。
配向処理がなされた成型用複合体20に対して、例えば紫外線放射ランプよりの紫外線を、キャスト用セル10における透明な成型用基板12を介して薄層Lに照射することにより、光重合性液晶組成物について光重合処理が行われる。
以上の光重合処理が終了した成型用複合体20は、続いて加熱重合処理に供される。この加熱重合処理においては、当該成型用複合体20を加熱することにより、薄層Lにおける残余の重合性成分、すなわち未反応の単量体やオリゴマーが重合され、これにより、硬化した特定の液晶共重合体が形成される。
この加熱重合処理においては、既に形成されている配向メソゲンによって規制された状態で残余の重合性成分が重合されるため、この加熱重合処理の後に得られる重合体は、高い配向状態が維持されたものとなり、その結果、優れた複屈折性を有する高分子製光学的ローパスフィルターが製造される。
このセル複合体から、両方の成型用基板を除去することにより、特定の液晶共重合体を単独で取り出すことが可能であり、この特定の液晶共重合体はそのままで、または他の適宜の部材と共に、光学機器に、高分子製光学的ローパスフィルターとして適用することができる。
また、このセル複合体は、そのままで光学的ローパスフィルターとして適用することができる。
あるいは、上記のセル複合体から一方の成型用基板を除去することにより、特定の液晶共重合体と成型用基板とが積層された積層体が得られるが、この積層体を、そのままでまたは他の適宜の部材と共に、光学機器に、高分子製光学的ローパスフィルターとして適用することができる。
この複合光学フィルターに用いられる視感度補正用フィルターとしては、ガラス製またはプラスチック製のものを用いることができる。
ガラス製の視感度補正用フィルターとしては、例えば、リン酸ガラスに銅イオンが導入されたもの(HOYA社製、C−500S,C−5000など)、その他が挙げられ、プラスチック製の視感度補正用フィルターとしては、例えば、リン酸基含有アクリル系単量体およびこれと共重合可能な単量体からなる混合単量体を重合して得られる共重合体と、銅塩を主体とする金属塩とからなる光学フィルター(特開平6−118228号公報参照)が挙げられる。また、ガラスやプラスチックよりなる基板上に真空蒸着法やスパッタリング法により形成される無機多層膜による干渉フィルターなども挙げられるが、これらに限定されるものではない。
このような接着剤としては、熱硬化型ものまたは光硬化型のものであって、優れた光透過性を有するもの、例えば、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤またはアクリル系接着剤などの接着剤を用いることが好ましい。また、粘着剤としては、耐候性の観点からアクリル系のものを用いることが好ましい。
従って、この高分子製光学的ローパスフィルターは、従来使用されている水晶製の光学的ローパスフィルターに比べて、非常に軽量で、厚みが小さいものとすることができ、従って、ビデオカメラなどのCCD素子、MOS素子などの撮像素子を利用した機器の小型化、軽量化に大きく寄与することができるものである。
なお、以下の実施例において、「部」は「質量部」を意味する。
下記の化合物A1(アクリル酸トランス−4−(4−プロピルシクロヘキシル)フェニル)と、化合物B1−a(4−[3−(プロペノイルオキシ)プロピルオキシ]安息香酸2−[4−〔4−{3−(プロペノイルオキシ)プロピルオキシ}ベンゾイルオキシ〕フェニル]エチル)および化合物B1−b(4−[6−(プロペノイルオキシ)ヘキシルオキシ]安息香酸2−[4−〔4−{6−(プロペノイルオキシ)ヘキシルオキシ}ベンゾイルオキシ〕フェニル]エチル)が質量比で24.75:30.25の割合で混合された組成物B1と、化合物C1(4−[6−(プロペノイルオキシ)ヘキシルオキシ]安息香酸4−エチルフェニル)とを質量比で40:55:5の割合で混合してなる液晶性単量体成分100部に、光重合開始剤ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド1部と1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3部との混合物(商品名「イルガキュア1800」チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.5部、および重合調節剤2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.2部を添加し、溶解することにより、光重合性液晶組成物を調製した。
縦40mm、横40mm、厚さ3mmの透明ガラス板2枚を、0.2mmの間隔で平行に保持し、周囲を共通にテープによりシールすることにより作製したキャスト用セルを予め温度40℃に温めておき、これに上記光重合性液晶組成物を注入し、注入口をテープで封止することにより成型用複合体を作製し、この成型用複合体を遮光した条件で温度70℃に加温した。
その後、超高圧水銀灯から紫外線を12mW/cm2 のエネルギー強度で60秒間照射することにより、光重合処理を行った。
この重合体膜1について、その複屈折性を示す像分離量Dを求めたところ2.5μm、またヘイズ値Hを求めたところ0.25%であって、規格化ヘイズ値は0.1%/μmとなり、透明性に優れたフィルムが得られた。
また、ヘイズ値Hは、濁度計「NDH2000」(日本電色工業株式会社製)を用いて測定した。
このようにして得られる残渣が入った容器aの重量(W1 )を測定した。そして、重合転換率Tpを式:Tp=(W0−W1 )/W0 により求めた。
重合調節剤2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン0.2部を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして光重合性液晶組成物を調製した。この光重合性液晶組成物を用いて実施例1と同様にして成型用複合体を作製し、同様の条件で配向処理および光重合処理を行った。
一方、同一の操作を行い、光重合処理により得られた参照用フィルムについて、その重合転換率を求めたところ100質量%であった。
このようにして得られた比較用重合体膜1について、その複屈折性を示す像分離量Dを求めたところ8.3μmであり、またヘイズ値Hを求めたところ1.8%で規格化ヘイズ値は0.22%/μmであった。
これに対して、比較例1の重合調節剤を含有しない光重合性液晶組成物による高分子製光学的ローパスフィルターは、複屈折性は高いもののヘイズ値が十分に小さいものとならないことが理解される。
12 成型用基板
G 間隙
M 液晶分子
14 シール用テープ
L 光重合性液晶組成物の薄層
20 成型用複合体
Claims (2)
- 下記一般式(1)で表される化合物(A)10〜60質量部、下記一般式(2)で表される化合物(B)30〜80質量部、および下記一般式(3)で表される化合物(C)3〜30質量部よりなる液晶性単量体と、重合調節剤とを含有してなる光重合性液晶組成物により得られる共重合体よりなることを特徴とする高分子製光学的ローパスフィルター。
- 高分子製光学的ローパスフィルターの像分離量をD(μm)、ヘイズ値をH(%)としたときにH/D(%/μm)で定義される規格化ヘイズ値が、0.15以下であることを特徴とする請求項1に記載の高分子製光学的ローパスフィルター。
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