JP2008076269A - 縦型形状測定装置、および形状測定方法。 - Google Patents
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Abstract
【課題】
大面積・薄肉化パネルの形状測定において、より正確なパネルの「そり」を測定できる縦型形状測定装置を提供する。
【解決手段】
パネルを均一で一定の力で挟持できるクランプで構成された支持機構を備えた縦型形状測定装置を使用し、パネルを支持するクランプ力を変えた、少なくとも2種類のクランプ力で測定した、真の「そり」の分かっているパネルの「そり」の測定結果と三点裏返し測定法により求めた真の「そり」の測定結果より、装置固有の系統誤差を求め、真の「そり」が未知のパネルについて、少なくとも2種類のクランプ力で測定したパネルの「そり」の測定結果より、計算式によりパネルの真の「そり」を求めることができる。
【選択図】 図9
大面積・薄肉化パネルの形状測定において、より正確なパネルの「そり」を測定できる縦型形状測定装置を提供する。
【解決手段】
パネルを均一で一定の力で挟持できるクランプで構成された支持機構を備えた縦型形状測定装置を使用し、パネルを支持するクランプ力を変えた、少なくとも2種類のクランプ力で測定した、真の「そり」の分かっているパネルの「そり」の測定結果と三点裏返し測定法により求めた真の「そり」の測定結果より、装置固有の系統誤差を求め、真の「そり」が未知のパネルについて、少なくとも2種類のクランプ力で測定したパネルの「そり」の測定結果より、計算式によりパネルの真の「そり」を求めることができる。
【選択図】 図9
Description
縦型測定装置を使用して、シリコンウェーハやFPD用ガラス基板等のパネルの形状測定を行っているが、パネルが大面積・薄肉化するに伴い、その正確な形状測定を迅速に行うのが困難になってきている。本発明は測定での誤差要因を分析し、大面積・薄肉化パネルの「そり」の測定精度のよい縦型形状測定装置に関する。
近年のパネル製造技術において、パネルの厚みのバラツキ自体は小さくなるが、その一方で、パネルの自重による変形の影響を受けるような、大面積・薄肉パネルとなると、パネルを支持するクランプの挟持方法や測定装置自体がもつ誤差因子による影響を受け、パネルの正確な「そり」測定が困難となってきている。
ウェーハの「そり」測定装置として、ウェーハの外周を等間隔の3点で水平に支持して、ウェーハに平行に配置した測定装置で表面側の各測定点でウェーハまでの距離を第1の測定値とし、ウェーハを反転して水平に支持し、表面の真後ろにあたる、裏面の各測定点に対応する位置のウェーハまでの距離を第2の測定値として前記の測定装置で測定し、各測定点の第1の測定値と第2の測定値の差の1/2の値を前記ウエハの「そり」量として算出する、横型の形状測定法が知られている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、横型形状測定法は、ウェーハの「そり」の真に近い形状を測定出来るが、表側と裏側の2回測定する必要があり、測定に時間がかかり、実際の製造ラインでは採用が難しい欠点があった。
そのため、現在では、大型ウェーハの測定では自重による変形を小さくするため、エッジ三点でウェーハを鉛直に支持し、ウェーハを回転させ、光学干渉縞を使用する方法、および変位センサでウェーハ両面をスキャンする方法で「そり」を測定する縦型測定法が知られている(例えば、特許文献2〜3、非特許文献1)。
さらに、ウエーハの歪を最小にするため、ウエーハグリップフィンガは、ウエーハのエッジと接触する溝とウエーハエッジは各々曲率半径を有し、溝の曲率半径をウエーハエッジのものより大きくし、溝の最小点で接触するようにしたウェーハの「そり」を計測する方法が知られている(例えば、特許文献4)。
また、横型形状測定装置で、被測定物に近似な形状を有し、設計上の形状データが明らかな原器の形状を測定して第1の測定値を求め、前記原器の形状データとから形状測定装置に起因する装置誤差量を求め、被測定物の形状を測定し、前記装置誤差量を補正し、被測定物の測定値を求める方法が知られている。(例えば、特許文献5)
しかしながら、縦型形状測定法ではウェーハの両側に設置された2つの変位センサによりセンサとウェーハの表面と裏面の距離を同時に測定することから、外乱の影響を受けずにウェーハの厚さを測定できるが、パネルの大型・薄肉化が進むと、誤差要因が増え、「そり」測定の精度が低下する。縦型形状測定法では構造上、オプティカルフラットの測定による精度の検証が困難であるので、測定した「そり」の検証も難しい。
また、シリコンウェーハやFPD用ガラス基板の測定についての研究のほとんどは、測定センサの開発や測定システムの誤差分離に関するものであり、さらに、精度検定用の「そり」を求める方法も確立されておらず、たとえば、現在市販されている縦型測定装置では、測定装置の系統誤差やパネルの変形の影響を受けて、「そり」測定の再現性は約10μm程度あり、サブミクロンの測定精度は実現していない。
そのため、縦型形状測定装置を使用して、大面積・薄肉化したシリコンウェーハやFPD用ガラス基板等のパネルの「そり」測定において、パネルを支持するクランプ力の影響や、装置の系統誤差がどの位あるかを調べ、これらがパネルの「そり」測定時に及ぼす影響を取除き、より正確なパネルの「そり」を測定できる縦型形状測定装置が望まれている。
本発明は、「そり」の判明している大面積・薄肉のパネルを基に、パネルを一定の力で挟持できるクランプで構成された支持機構を備えた縦型形状測定装置を使用し、前記パネルを回転しながら、その「そり」を測定し、縦型形状測定装置での誤差要因を解明し、その誤差要因を補正することで、縦型形状測定装置を使用した大面積・薄肉のパネルの「そり」の測定精度を上げる方法を見出した。すなわち、
(1)大面積・薄肉のパネルを同一平面内で回転させ、前記パネル表面を変位センサで走査して「そり」を測定する縦型形状測定装置であって、前記パネルのエッジを等角度に配置した、少なくとも3点で、クランプにより、前記パネルの挟持する力を制御することが可能な支持機構を備えた、縦型形状測定装置。
(2)自重による影響を補正し、真の「そり」S(x,y)が測定できた大面積・薄肉のパネルPがあるとき、前記縦型形状測定装置の支持機構に、パネルPのエッジを、少なくとも等角度に配置した3点で、クランプにより挟持し、パネルPを回転させ、前記パネルの表面を変位センサで走査し、前記クランプを挟持力f1で挟持した時の前記パネルの「そり」がM1(x,y)、挟持力f2で挟持した時の前記パネルの「そり」がM2(x,y)である時、パネルの真の「そり」S(x,y)とクランプの単位挟持力あたりのパネルの変形量δ(x,y)、および前記縦型形状測定装置の系統誤差K(x,y)が次式数3、及び数4
(3)前記大面積・薄肉のパネルPと同一生産条件で生産された他のパネルPnの「そり」を、前記縦型形状測定装置で測定する場合において、パネルPnを前記クランプにより挟持し、数3,4より求めた、前記縦型形状測定装置の系統誤差K(x,y)を使用して、前記クランプの挟持力fn1でパネルPnを挟持したときの、パネルの「そり」Mn1(x,y)と挟持力fn2でパネルPnを挟持したときのパネルの「そり」Mn2(x,y)より、パネルPnの真の「そり」Sn(x,y)を求める、形状測定方法。
(4)大面積・薄肉のパネルが、直径20cm以上で、厚さ1mm以下ウェーハである。
本発明のパネル支持機構を装備した縦型形状測定装置を使用し、大型で薄肉のシリコンウェーハや、ガラス基板等のパネルの「そり」の測定が精度よく行え、大面積・薄肉パネルの生産工程の管理、不良率の削減に有用である。
本発明者らは大面積・薄肉パネルとして、直径300mm、厚さ0.775mmのウェーハを使用した。まず、横型形状測定装置を使用しウェーハの正確な「そり」を測定した。次に、そのウェーハの「そり」を縦型形状測定装置を使用して測定し、測定した2つの「そり」を比較し、縦型測定装置の誤差要因を解析した。
「そり」の定義としては、シリコンウェーハにおいては、最小二乗法によって求めた基準面から吸着固定しないウェーハの表面までの距離の最大値と最小値の差を測定し「そり」としている。図1に示すように、基準面との差を中心面にとった場合を「WARP」、基準面との表面の最大値と最小値との差にとった場合を「SORI」と定義されている。本発明では「そり」は横型形状測定装置では「WARP」、縦型形状測定装置では「SORI」で測定した。近年のウェーハの厚みの偏差が「そり」と比べると非常に小さいので、厚みの偏差を無視でき、WARPとSORIがほぼ同じになるので、本発明ではどちらも「そり」という。
まず、真のウェーハの「そり」を測定するため、横型形状測定装置(図2)を用い、ウェーハを三点で水平に支持する。ウェーハを支持する点として鋼球を用い、その配置は水平面上で、図3で示したように、任意の二等辺三角形の頂点の位置でよく、パネルを支持したときに、パネルの重心がその二等辺三角形の内側にあり、安定して支持できれば良い。
本発明では、この方法を三点支持裏返し法と呼ぶ。三点支持裏返し法では、水平面上に配置した直径10mmの三つの鋼球ボールで水平に支持されたパネルの表面の形状を、自重による変形も含めて測定した後、パネルを反転軸まわりで真後ろに裏返すと、「反り」が上下反転するが、自重による変形が常に重力方向に生じるため、この二つの形状測定結果から、自重による影響分は相殺し、パネルの正確な「そり」が抽出可能な方法である。
変位測定装置を使用して、ウェーハがY方向に移動し、上部の三角測量式光学センサがX方向に移動し、前記センサより、測定レーザビームがわずかに傾斜してウェーハ表面に入射され、ウェーハからの反射光は、センサ受光部が受信し、データ処理装置に転送されて、各測定点の測定値がメモリに記憶され、センサからのウェーハの表面および裏面の各々の距離を検出し記憶し、演算器によって、ウェーハの表面形状を等高線模様としてモニタに表示する。
ウェーハ表面の測定点までの距離を測定した後、ウェーハを真後ろに裏返して、表面に対応する裏面の測定点までの距離を測定することにより、図4に示した方法で、ウェーハの自重の影響を除去しウェーハの正確な「そり」が計算式より計算することができる。この方法では、重力の影響を除去し「そり」を算出する原理は、まず、ウェーハの表面を上にして表面測定点までの距離Sf(x,y)を測定する。Sf(x,y)は、「そり」w(x,y)と自重によるたわみg(x,y)の両方を含んでいる。次に、ウェーハを真後ろに裏返して、表面に対応する裏面の測定点までの距離Sb(x,y)を測定する。そして、表面形状と対応する裏面形状の差をとることにより自重による変形g(x,y)の影響を除去し、2で割ることにより「そり」W(x,y) を求めることができる。
三点支持裏返し法によって、測定したウェーハの「そり」の精度がどのくらいあるものかを調べると、まず、誤差要因として考えられるのは、測定する装置固有の誤差と、測定対象に依存した誤差の二つである。この二つの誤差それぞれについて、詳細に分析すると、その影響を校正によって除去できる系統誤差と確率的不規則現象のため統計的な処理によって軽減するしかない偶然誤差に分けられる。三点支持裏返し法における誤差要因をまとめると、表1のようになる。
まず、測定装置固有の誤差に関して、本発明者等は、研磨製品の面精度を計測するために用いる原器である、オプティカルフラットを用いて調べた。また、測定対象に依存した誤差については、直径300mmのシリコンウェハを測定対象としてデータサンプリング間隔、ウェーハ裏返し精度による誤差の測定を行った。
オプティカルフラットの測定を行った場合は、理論的にはオプティカルフラットの検定結果程度の値になるはずである。しかし、実際には、測定装置の運動精度や振動、およびセンサ直線性やノイズの影響による誤差を含み、この誤差はウェーハなどを測定した場合の結果に影響を与える。
そこで、オプティカルフラットの表面形状測定を2回行い、それぞれを表面、裏面形状データとして、裏返し法の原理により「そり」を算出した。この走査を3回行い平均した結果0.275μmとなった。
さらに、測定装置固有の誤差のうち、装置の運動性能や熱変形などによる誤差と測定センサによる誤差の分離を試みた。測定センサを測定装置からはずし、測定センサとブロックゲージの距離を一定に保った上で定盤上に固定した。それとは別に、表面形状測定装置の先の実験と同条件で走査し、運動だけさせた、先の実験と同様に「そり」を算出した結果0.209μmとなった。
以上の結果より、三点裏返し法の測定装置固有の誤差は0.275μmであったが、このうち測定センサの偶然誤差範囲は0.209μmを占めることが分かった。これらの値は、数十μmあるシリコンウェーハや石英ガラスウェーハの「そり」に対しては十分小さく無視できることが分かった。
次に、本発明者等は、縦型形状測定装置を使用して、大面積・薄肉パネルの「そり」を測定する場合の誤差要因を調べた。縦型形状測定装置は、図5に示すように、ウェーハのエッジをクランプにより一定の力で押え支持し、ウェーハを同一平面で回転させながら、ウェーハの両面に並行に対向配置された二つの変位測定器によりウェーハの表面までの距離を測定する。
自重による大面積・薄肉パネルの変形を最小とするため、シリコンウェーハを垂直に支持し「そり」測定を行った。変位測定器には、三角測量方式のレーザ変位計のアンリツ株式会社製非接触レーザ変位計KL1300Bを使用した。この縦型形状測定装置でウェーハの両側から変位センサにより「そり」を測定する。
まず、ウェーハの両側に配置された変位センサをウェーハのエッジからウェーハの中心まで半径方向に移動させることにより、垂直に支持したウェーハは回転しているので、渦巻状にウェーハの表面までの距離を測定することができる。変位センサの動きだけを停止すれば円形に、回転だけを止めれば直線的にウェーハの表面位置を測定できる。ガイド軸(x軸)に装着したリニアスケールによって測定したセンサの位置と、回転リングの表面に装着したリニアスケールによって測定したウェーハの位置から測定値がウェーハのどの位置に対応する測定値であるかは、演算装置で計算することができる。測定中に振動やクランプ位置の変動などの影響でウェーハが変位した場合、表面形状測定の結果には影響が生じるが、厚さ測定においては、センサの測定方向間の距離が変わらなければ影響はない。表面を計る変位センサの値をaとし、ウェーハの厚みをtとすると、図6で示したように、ウェーハの中心面を測定するには、任意の測定点における測定値は、a+t/2で出力される。
クランプ力による変形量がクランプ力に対して線形的に変化するならば、クランプ力をそれぞれFと2Fに設定した場合、図7に示したように、二つの測定結果の差を取ることによってクランプ力Fによる変形が求められる。クランプ力Fによる変形が抽出されれば、クランプ力が0の場合の「そり」を求めることができる。振動などの外乱の影響を除けば、クランプ力によるウェーハの変形や、装置固有の系統誤差が、「そり」の測定に影響すると考えられる誤差要因である。
本発明では、ウェーハのエッジを等角度の3点で、ウェーハ中心方向に押え、挟み込む力を制御することが出来る支持機構を製作し用いた。パネルを一定の力で挟みこめば、表面硬度が高く、クランプ力による局所的な塑性変形がないウェーハのようなパネルは、クランプ力の大きさに比例して、変形が線形的に変化すると考えられる。パネルを挟み込む力を変化させて、パネルの変形量を測定し、その変形量の差を抽出して「そり」を求め、こうして求めた「そり」と真の「そり」と比較し、縦型形状測定法の有効性を確認する。
クランプでパネルを均一な3方向からの力で挟み込むための支持機構は、図9のような構成であり、直線状のリンク6本と、直線状のものを十字に重ねた十字状のリンク6本、計12個のリンクで構成される。パネルを支持するクランプは6本の十字状リンクのうち3本で、3つの支持点は等角度の120度ごとに配置するように構成している。この支持機構は、十字状リンクの点Aで図10に示す回転リンク面に取付けられた、十字状のリンクは点Aを中心に回転することによって十字状リンクの先端がパネルのエッジを中心方向に挟みパネルを挟持している。十字状リンクはAの回りに自由に回転できる。このリンク機構は3点が連携して動くため、円盤状のパネルを効率よく回転リンクの中心部に向けた均一な力で挟み込むことができるという特徴がある。引張りばねの任意の支持点Bに取り付けられた電動アクチュエータによって、3点で均一に挟み込む力が調整できるような支持機構であり、また、図9の十字上リンクRXにひずみゲージを図11の概念図のように貼付することによって、クランプ力を検出し、アクチュエータのフィードバック信号として出力できるようになっている。
縦型形状測定装置に図9のパネル支持機構を設け、直径300mm、厚さ0.775mmのウェーハWを使用し、「そり」を調べた。図5に示したウェーハWの中心を横切るガイド軸GA,GB上を、三角測量方式のレーザ変位計のセンサ、SA,SBを、エッジより、ウェーハ中心部にX座標軸上で移動させ、同時にウェーハを回転させる事で、ウェーハ両面から、一定間隔でらせん状に形状を測定する。一般的にこの方法での精度としては、サブミクロンからナノメートルの分解能で計測することができる。
上記の方法で、縦型形状測定装置を使用し、ウェーハWの結晶方位に対するクランプ位置の差による影響をしらべた。ノッチ角度0度と90度でウェーハを支持後、その「そり」を測定し、ウェーハW表面の「そり」を等高線図でモニターに表示する。ウェーハWの「そり」は、ノッチ方角0度を90度に回転させた位置でも、ウェーハを鉛直に立てて回転して測定すれば、自重の影響はなく、またクランプの挟持力を一定に保てば、測定してもウェーハの「そり」は変わらないと思われるが、「そり」を示す等高線図は、図12の模様で表示されたように、ノッチ方角が0度と90度では等高線図の模様は異なっている。
ウェーハWを使用して三点支持裏返し法でウェーハWの正確な「そり」を求め、等高線図で表わすと図13の模様となる。図13では、図3に示す3個の鋼球に対してノッチ角度を変えて測定しても、ウェーハW自体の「そり」は変わらない。
そこで、ウェーハWの縦型形状測定装置で測定した、図12の等高線図と、横型測定装置を使用して測定した、真の「そり」の等高線図図13の減算計算を行い、その結果得られた「そり」の等高線図をモニター画面上に表わしたのが図14であり、パネル支持機構に取付けるときのクランプ位置に対するノッチ方角0度と90度での、模様を比較すると、模様は厳密には一致しなかったが、非常に似た形状になった。この図14の意味するものが、縦型装置固有の系統誤差といえる。即ち、縦型形状測定装置でノッチ方角を決めて測定した、「そり」図12の形状データより、装置の系統誤差図14を差引けば、数3から分かるように、真のウェーハの「そり」にクランプ力による変形量を加えた形状が求められる。差分した結果が完全に一致しなかった原因として、クランプ力によるウェーハの変形量が考えられる。
以上より、クランプ力の挟み込みによりパネルの「そり」図12には、図13に示す真の「そり」に、クランプ力による変形量を加えたものと、装置固有の系統誤差K(x,y)が含まれる。例えば、一枚のウェーハを三点裏返し法により、真の「そり」S(x,y)測定後、このウェーハを縦型形状測定装置の図9に示した本発明の支持機構に装着し、そり測定に与える因子と考えられる、クランプの単位挟持力による変形量をδ(x,y)、装置固有の系統誤差量をK(x,y)とし、クランプ力をfとすると、測定される「そり」M(x,y)はクランプ力が3方より均一な力で挟持するので、異なる力f1とf2で挟持した場合、測定されたウェーハの「そり」M1(x,y)とM2(x,y)はそれぞれ、数5、数6で表わされる式を満足させると考えられる。
この式より、δ(x,y)は次式の数7により求めることができる。また、それを用いて装置固有の系統誤差K(x,y)は数8により求めることができる。よって、真の「そり」Sn(x,y)が未知であるウェーハPnを異なるクランプ力fn1とfn2で挟持し、「そり」Mn1とMn2を測定すれば、数9、数10が成り立つ。
これらの式を連立すれば、Sn(x,y)とδn(x,y)が求められるので、このウェーハの真の「そり」Sn(x,y)が求められる。
本発明の横型形状測定装置を使用し、三点裏返し測定法により、製造ロットの異なる2枚のウェーハ(ウェーハA,B)のほぼ正確な「そり」を求めた。ウェーハAが13μm、ウェーハBが12μmであった。このウェーハを本発明の支持機構に装着し、クランプ力を変化させ、クランプの挟持力とウェーハの「そり」との関係を測定し、クランプ挟持力を横軸に、形状測定(Mn)をK(x,y)を用いて補正した形状から求めた「そり」値を縦軸にプロットし、クランプ力をf1、f2、f3と3通りに変えて測定した「そり」のプロットを直線で近似して求めた直線の傾き、δA(x,y)、δB(x,y)を測定し、結果を図15に示した。この傾きより、クランプの単位挟時力当たりの変形量、ウェーハAのδA(x,y)として2.29μm/N、ウェーハBのδB(x,y)として0.73μm/Nを得た。
数9を用いて、ウェーハの真の「そり」Snを計算してみると、ウェーハAの真の「そり」の計算値は13.9μm、ウェーハBの真の「そり」の計算値は11.8μmとなり三点裏返し測定法により求めた真の「そり」値との差はそれぞれ0.9μmと0.2μmであり、本発明縦型形状測定装置の精度は1μm程度と考えられ、現行の縦型形状測定装置の精度10μmと比較すると、大幅に精度をあげる事が出来た。
G、GA,GB ガイド軸
N ノッチ
R 回転支持体
S、SA,SB 変位センサ
W ウェーハ
RX 十字状リンク
N ノッチ
R 回転支持体
S、SA,SB 変位センサ
W ウェーハ
RX 十字状リンク
Claims (4)
- 大面積・薄肉のパネルを同一平面内で回転させ、前記パネル表面を変位センサで走査してパネルの「そり」を測定する縦型形状測定装置であって、前記パネルのエッジを等角度に配置した、少なくとも3点で、クランプにより、前記パネルの挟持する力を制御することが可能な支持機構を備えた、縦型形状測定装置。
- 自重による影響を補正し、真の「そり」S(x,y)が測定できた大面積・薄肉のパネルPがあるとき、前記縦型形状測定装置の支持機構に、パネルPのエッジを、少なくとも等角度に配置した3点で、クランプにより挟持し、パネルPを回転させ、前記パネルの表面を変位センサで走査し、前記クランプを挟持力f1で挟持した時の前記パネルの「そり」がM1(x,y)、挟持力f2で挟持した時の前記パネルの「そり」がM2(x,y)である時、パネルの真の「そり」S(x,y)とクランプの単位挟持力あたりのパネルの変形量δ(x,y)、および前記縦型形状測定装置の系統誤差K(x,y)が次式数1、及び数2
- 前記大面積・薄肉のパネルPと同一生産条件で生産された他のパネルPnの「そり」を、前記縦型形状測定装置で測定する場合において、パネルPnを前記クランプにより挟持し、数1,2より求めた、前記縦型形状測定装置の系統誤差K(x,y)を使用して、前記クランプの挟持力fn1でパネルPnを挟持したときの、パネルの「そり」Mn1(x,y)と挟持力fn2でパネルPnを挟持したときのパネルの「そり」Mn2(x,y)より、パネルPnの真の「そり」Sn(x,y)を求める、形状測定方法。
- 大面積・薄肉のパネルが、直径20cm以上で、厚さ1mm以下ウェーハである、請求項1に記載の、縦型形状測定装置。
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