JP2008075165A - 透明導電膜形成方法及び有機電界発光素子の製造方法およびマグネトロンスパッタ装置 - Google Patents

透明導電膜形成方法及び有機電界発光素子の製造方法およびマグネトロンスパッタ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基板上にマスクを設け、スパッタリング法により基板上に透明導電膜をパターン形成する透明導電膜形成方法において、基板に入射する粒子のエネルギーは600eV程度と非常に高く、粒子が基板内に入り込んだり、基板を構成する原子が叩き出されたり、あるいは基板に欠陥を発生させるといった問題が発生する。
【解決手段】ターゲットと基板間に設置したグリッドから漏れ出たプラズマ荷電粒子を、真空スパッタチャンバーの側面から挿引したフィラメント(電子銃)先端から放出される電子と結合させることで、粒子極性を中和させることを特徴とする透明導電膜形成方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、スパッタリング法を用いた透明電極形成方法に関し、また透明電極形成方法を用いた有機電界発光素子の製造方法に関する。
透明導電膜の応用分野は光通信、半導体レーザー、各種ディスプレイ、記録メディア、民生用機器(デジタルカメラ、プロジェクター、携帯電話、レンズ、ミラー、ランプ等)など多様化しており、透明導電膜の製造技術においては歩留まり向上などの量産時の安定性、また多層膜形成時の膜性能について重要な要求項目となってきている。
有機電界発光素子は、2つの電極間に有機発光層を挟持した構造を有し、電極間に電流を流すことにより有機発光層を発光させるものであるが、発光した光を取り出すために、どちらか一方の電極を透明にする必要がある。そして、透明電極としてインジウム・錫酸化物(ITO)からなる透明導電膜等を用いることが提案されている(例えば、特許文献1、2、3、4)。
上部光取り出し(トップエミッション)型の有機電界発光素子は、基材と反対側の電極を透明電極とするものであるが、このとき金属薄膜上に透明導電膜を形成することにより、陰極の保護と配線抵抗の低抵抗化を図ることが提案されている。また、透明導電膜を陰極とするために下地の有機発光層の保護や電子注入障壁低減を目的として、有機発光層と透明導電膜の間にバッファー層を挟持することが提案されている。透明導電膜形成には従来から行われている蒸着法、並びに近年光通信関連で利用されているプラズマやイオンビームによるアシスト蒸着法やイオンプレーティング法、イオンビームスパッタ法などが主に使用されており、その他としてsol/gel法、スプレー法などの湿式法を用いる場合もある。一方、半導体やフラットパネルディスプレイ、電子部品などの薄膜製造工程における量産装置に使用されている方式としてスパッタリング法がある。スパッタリング法は成膜速度や膜組成などが安定しており、また大面積基板への均一な成膜が可能であるため、量産化に適した方式として広く利用されている。更に膜厚及び導電性・透明性の均一性が高く、微細エッチング特性にも優れることから、主流ともなっている。
以下に公知文献を示す。
特開2003−901158号公報 特開2001−250678号公報 特許第2850906号公報 特開2005−68501号公報 「色変換方式有機ELによるフルカラー化の実現」 工業材料Vol.52 No.4(2004.4)
蒸着法により基板上に導電膜をパターン形成する場合、蒸着法は熱的なエネルギーのみで基板に粒子を堆積させるため、基板に入射する粒子のエネルギーは0.1eV程度である。これに対し、スパッタリング法にて基板上に透明導電膜をパターン形成する場合、基板に入射する粒子のエネルギーは600eV程度と非常に高い。一般的に基板に入射する粒子のエネルギーが50eV程度以上になると、粒子が基板内に入り込んだり、基板を構成する原子が叩き出されたり、あるいは基板に欠陥を発生させるといった問題が発生する
特に、有機薄膜上にスパッタリング法により、透明導電膜を成膜した場合、高エネルギー粒子である反跳Arプラズマ、γ電子、ターゲット粒子などの飛散・衝突により有機薄膜の分子構造が破壊(結合断裂)され、有機発光材料本来の発光ポテンシャルが低下するという問題があった(非特許文献1)。
上記課題を解決させるために請求項1に係る発明としては、基板上にマスクを設け、スパッタリング法により基板上に透明導電膜をパターン形成する透明導電膜形成方法において、ターゲットと基板間に設置したグリッドから漏れ出たプラズマ荷電粒子を、真空スパッタチャンバーの側面から挿引したフィラメント(電子銃)先端から放出される電子と結合させることで、粒子極性を中和させることを特徴とする透明導電膜形成方法とした。
また、請求項2に係る発明としては、請求項1に記載の透明導電膜形成方法に用いられるスパッタ装置において、真空スパッタチャンバーの側面からフィラメント挿引可能なことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置とした。
また、請求項3に係る発明としては、請求項1に記載の透明導電膜形成方法において、フィラメント先端から放出される電子をソレノイドコイルにより形成された磁界により、進行方向を制御させ、プラズマ荷電粒子と効率良く衝突させることを特徴とする透明導電膜形成方法とした。
また、請求項4に係る発明としては、基材上に第一電極と有機発光層と第二電極を少なくともこの順に備え、電極間に電流を流すことにより有機発光層を発光させる有機電界発光素子の製造方法において、第一電極若しくは第二電極の少なくとも一方を請求項1〜請求項3いずれか1項に記載の方法によりパターン形成することを特徴とする有機電界発光素子の製造方法とした。
また、請求項5に係る発明としては、基材上に反射電極と有機発光層と透明電極を少なくともこの順に備え、電極間に電流を流すことにより有機発光層を発光させるトップエミッション型有機電界発光素子の製造方法において、透明電極を請求項1〜請求項3いずれか1項に記載の方法により形成することを特徴とするトップエミッション型有機電界発光素子の製造方法とした。
また、請求項6に係る発明としては、請求項4または請求項5に記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記有機発光層形成材料を溶媒に溶解または分散させインキとする工程と、該インキを用いて凸版反転オフセット印刷法により基材上に有機発光層を形成する工程を備えることを特徴とする有機電界発光素子の製造方法とした。
また、請求項7に係る発明としては、請求項4または請求項5に記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記有機発光層形成材料を溶媒に溶解または分散させインキとする工程と、該インキを用いて凸版印刷(フレキソ印刷)法により基材上に有機発光層を形成する工程を備えることを特徴とする有機電界発光素子の製造方法とした。
また、請求項8に係る発明としては、請求項4、5、6、7いずれか1項に記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記有機発光層及び電極を形成した基材上に、ガラスにCaOを形成した基材を、封止基材として貼り合わせすることを特徴とする有機電界発光素子の製造方法とした。
トップエミッション型有機電界発光素子作製において、上部透明電極は有機電界発光素子で一般的に使用される蒸着法では成膜できず、スパッタ法で成膜される。スパッタ法は蒸着法と比較して堆積される粒子の運動エネルギーが大きいこと(数十倍〜数百倍)やプラズマ(O、Ar)が発生するため、基板へ形成されている有機電界発光層にダメージが入りやすい。ダメージが入った有機電界発光素子は駆動電圧が増加し、発光効率の低下、低寿命など様々な問題を引き起こす。そのため、トップエミッション型有機電界発光素子では、いかに有機電界発光層にダメージを与えず透明導電膜を作製するかが一つの技術課題となっている。
他としては、トップエミッション型有機電界発光素子は有機層成膜前に反射電極(陽極)を形成しなければならない。そのため反射電極は反射率が大きいだけではなく、表面平坦性の確保が重要課題になる。
一般的なトップエミッション型有機電界発光素子は、反射電極(陽極)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極の順に積層されている。この構造は、発光層と反射電極間に正孔注入層と正孔輸送層があるため、ボトムエミッション型有機電界発光素子と比べて発光層と反射電極間の距離が大きくなる。発光層と反射層との光学距離が発光波長(励起光)460nm(青緑)の半波長程度になると、光学的な干渉を強く受けるため、各層の膜厚を最適化しないと発光特性(スペクトルや効率)を制御できない。そのため、光学設計も非常に重要になる。
上部透明電極作製にあたり有機膜へのダメージ部分の分析を行ったところ、スパッタ中の高エネルギー粒子の衝突、プラズマや紫外線の基板への照射などがダメージ原因と判明した。ArイオンをAlq3表面に照射すると、C1s結合エネルギーは変化しないが、N1s、O1s、Al2pの結合エネルギーが変化することを確認した。従って、Arイオン照射はAlq3中のAl−O結合とAl−N結合にダメージを与えてしまうことが判明した。Alq3表面を40WのArとO2プラズマで10秒間晒した後に大気中光電子分光法で表面を測定した。O2プラズマ照射後の電子分光信号の傾きは小さくなり、更に仕事関数の変化が見られた。これらのことはAlq3表面の酸化に起因していると推定している。ArよりO2プラズマの方がAlq3に対してよりダメージを与えることも分かった。(以上、参考文献1)
従来技術では、ターゲットと基板間に設けたグリッド(キャリアトラップ部)でグリッド下部にプラズマ荷電粒子を完全に閉じ込めることが不可能であったが、本願発明である真空スパッタチャンバーから挿引したフィラメント(電子銃)を用いることで、ダメージ支配因子とされるArイオンとフィラメント先端から放出された電子を結合させ、基板へのプラズマ荷電粒子飛散頻度を大幅に低下させることが可能になった。
また、フィラメント先端から放出された電子は、高真空化を移動するため、電子密度が大きい状態にあり、移動過程で熱電子となって負の空間電荷を形成する。この負の空間電荷である電子はプラズマのデバイ遮蔽(電場遮蔽)効果によりプラズマ内には入り込まないが、漏れでたArイオンとは静電誘導で引き付けあう。更にフィラメント先端に設けたソレノイドコイル(集束コイル)形成磁界により、電子をArイオン密度の高い箇所に選択的に放出することも可能である。
凸版反転オフセット印刷法は、ブランケットを用い、ブランケットをブラン胴に固定し、ブランケット表面にあるパターン化されたインキを被転写体に転写させるものであり、インキのパターン形状及び膜厚が制御しやすいという利点がある。有機電界発光素子の製造方法において、有機発光層を凸版反転オフセット印刷法を用いて形成することにより、パターン形状の優れた有機発光層を得ることができた。
凸版印刷(フレキソ印刷)法は、シンプルで経済性に優れた印刷法である。凸版印刷法の仕組みは、凸版(樹脂版)の表面に、アニロックスロールと呼ばれるローラーでインキをつけ、更にその版を被印刷基材に押し付けて転写する印刷方式である。アニロックスロール表面に付き過ぎたインキはドクターブレードにより掻き落され、常に安定した量のインキが版表面に供給される。
また、有機電界発光素子の製造方法において、本発明の有機発光層及び電極を形成した基材上に、ガラスにCaOを形成した基材を封止基材として、両者を貼り合わせすることにより、乾燥剤を挿入せず封止を行うことが可能になった。また、ガラスを直接、基材上部に貼り合わせすることから、封止基材での光吸収やキャップ構造のガラスを用いた場合に生じる光路長の変化が起きず、光取り出し効率を向上させることができた。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
本願発明に用いられる透明導電膜の用途は多岐にわたる。中でもオプトエレクトロニクスデバイス用の電極として使用する場合、種々デバイスの使用条件に応じた要求を満たさなければならない。特に、透明導電膜形成材料は電気的特性と可視光領域の光学的特性の両方は最低限満足する材料でなければならない。本発明における透明導電膜形成材料としては、酸化インジウム系のITO(In23にSnをドーパントとして添加)、その他には酸化スズ系ではSnO2(ドーパント添加)、酸化亜鉛系ではAZO(ZnOにAlをドーパントとして添加)、GZO(ZnOにGaをドーパントとして添加)、IZO(ZnOにInをドーパントとして添加)などを用いることができる。
また、これらの他にCdO系、酸化ガリウム系の材料を用いることが可能である。しかし、CdO系に関しては、Cdが毒性を有するために実用化は困難である。また酸化ガリウム系の透明導電膜もワイドバンドギャップを持つなど数々の特徴を有するが、In同様、Gaは資源の観点からは豊富な材料とは言い難い。このように透明導電膜形成材料は材料設計の指針として環境面を最優先しなければならない社会的背景がある。
ITOはIndium tin oxideと呼ばれているが、その母結晶はIn23である。Snを酸化物換算で5〜10wt%添加した組成のITO(In23:Sn)は絶縁体のように透明でありながら、導電性が高く(103S/cm)、吸収も少ない。透明性と導電性は互いに関係があるが、1対1の対応があるわけではない。透明性はIn23結晶の構造的な完全性が高く、バンドギャップ内の電子捕獲準位が非常に少ないということであるが、それは結晶内の原子が結晶系の座標点(格子点位置)に正しく、過不足なく位置しているか否かで決まることである。In23試薬は黄白色であり、酸素をわずかに含む(分圧で10-1Pa以下)雰囲気中で蒸着またはスパッタ成膜すれば透明導電膜を得る。しかし、化合物としては酸素を手放しやすく、真空中加熱や数%の水素を含むような還元雰囲気中での加熱によって容易に還元され、還元が進めば青黒から黒、更に茶褐色にまで変色していく。導電性は母結晶のIn原子やSn原子で置換してやるか、酸素原子を必要十分に与えない条件の下で成膜することで発現する。
ITOの透明性の物理的意味は半導体としてのバンドギャップが可視域の短波長限界400nm付近にあることに帰せられる。しかし、これだけでは不十分で、高い透明性を確保するにはバンドギャップ内に常温で電子が常駐するような準位が少ないか無視できるということである。このようなバンドギャップ内準位は酸素空孔や、In位置に置換したSn原子以外のIn、Sn原子または原子集団(クラスター)による格子欠陥に由来するものであり、母結晶自体が良質の結晶格子を形成しやすいものでなくてはならない。酸化性が極度に弱い雰囲気で成膜しない限り、In23はこの要件を満たす。実際、In23はガラス基板温度を300℃程度にしておけば、酸素がやや不足した雰囲気条件であっても、厚さ数十nmの段階から半値幅の狭い良く整ったX線回折パターンを示す。この結晶化しやすい特徴はSnを添加していっても、数十%程度までは失われない。SnO2膜やZnO膜とは大きく異なる特徴である。
次に、本発明の透明導電膜形成方法について示す。本願発明は、スパッタリング法により基板上に透明電極を形成するものであり、スパッタリング法としては、イオンビームスパッタリング法、直流スパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法等を用いることが可能である。
マグネトロンスパッタリング法は平板状陰極面に磁場をかけて放電するマグネトロン放電により膜形成を行うスパッタリング法である。典型的には圧力≒6.55×102mPa(Ar)において、電圧Vd≒600Vで20mA/cm2程度の高電流密度の放電が得られる。このとき陰極面上に、数mmの薄い暗部を隔てて明るく輝くドーナツ状の高密度プラズマ(≒1018-3)が生成される。このドーナツの大半径R(≒4cm)は磁力線の形状でほぼ決まるが、ドーナツの厚さaは半径Rの位置の磁場(≒200Gs)と加速電圧Vdによって、電子のラーモア半径(ρe≒0.5cm)程度になる。なお、イオンは重くてラーモア半径が大きいので磁場は効かないと考えてよい。このように低い圧力でも高密度のプラズマが生成されるのは、次のような二次電子のE×Bドリフトによる周回運動の効果(マグネトロン効果)による。プラズマ内の正イオンは陰極暗部の電圧降下で加速されて陰極面をたたき、そこから二次電子を放出させる。この二次電子は暗部の電場で加速されてeVd(例えば600eV)程度の高いエネルギーを得る。この高エネルギー電子は無磁場では電極間の距離だけ走って陽極に吸収されて消滅するので、その寿命は短く電離効率が悪い。しかし、マグネトロン放電では陰極面に平行に磁場があるので、二次電子は陰極面上をE×Bドリフトをしながらサイクロイドを描いて、ドーナツに沿う方位角方向にぐるぐる周回する。その結果、二次電子が最終的に陽極に吸われて消滅するまでの寿命が長くなり、数多くの電離を起こしてドーナツ状の高密度プラズマができる。
陽極は電子を捕集して電流を流す働きをするだけなので、陰極と対向させて平板状陽極をおく方式の他に、リング状の陽極面を陰極面と同じ平面上におく方式もよく用いられている。このマグネトロンプラズマは電流密度が高く、600eVもの高エネルギーでイオンが電子をたたくので、陰極材料を高速でスパッタする。低圧力なのでスパッタされた粒子の平均自由行程が長く、陰極に対向しておかれた基板上にスパッタ粒子を捕集して薄膜を堆積させることができる。
以上のようなことから、マグネトロン方式の放電は、スパッタリングによる種々の薄膜の形成に標準的に用いられている。例えば、Al、W、Tiなどの金属薄膜や酸化膜、窒化膜などの形成に広く利用されている。直流マグネトロンプラズマは直流電流を流す必要があるので、陰極材料(スパッタ材料)は導電性でなければならない。そこで絶縁性の薄膜のスパッタ成膜やエッチングにはRFマグネトロンプラズマが用いられる。すなわち、陰極にRF電圧をフローティングの状態で印加すると正イオンのチャージアップが打ち消され、陰極表面には直流の自己バイアス電圧が発生する。この電圧によってイオンが加速され、絶縁性の陰極材料もスパッタすることが可能になる。しかし、高エネルギープロセスのため、有機薄膜上へ透明導電膜を成膜する場合、下地の有機薄膜に反跳Arプラズマやγ電子、更には加速されたTarget粒子が衝突し大きなダメージを与えるという問題を有している。
本発明の透明導電膜形成に用いるDCマグネトロンスパッタ装置の模式図を図1に示した。図1において、真空スパッタチャンバー側面にフィラメント(電子銃)(6)挿入の
ためのポートが設けられ、円形フランジを介してチャンバー内に向けて挿引される。また、フィラメント先端近傍に放出した電子を磁界集束(ベント)させるためのソレノイドコイル(集束コイル)(5)が設けられている。
更に、基板(1、2、3)とターゲット(13)の間にはグリッド(8)が設けられている。また、ターゲット(13)は、バッキングプレート(OFC)(14)に固定されており、更にバッキングプレート(14)のターゲット(13)と反対側の面には、カソードマグネット(16)が備えられている。なお、装置内は成膜時には真空状態となる。
グリッド(8)には、電圧が印加される。グリッド(8)に電圧を印加することで、プラズマ荷電粒子の捕獲(消滅)効果が得られる。従って、マスクへのプラズマ荷電粒子の入射頻度も低下させることができ、キャリアトラップ機構として作用する。
本発明におけるプラズマとは、気体を構成している原子や分子は原子核の周りに電子が捕まえられた準中性状態であり、このような気体中では放電などにより外部からエネルギーを与えてやると電子は原子核の引力を振り切り自由になり、気体は電子と原子核(正イオン)がバラバラになった状態になる。これがプラズマである。プラズマは固体、液体、気体に並ぶ物質の第4状態といわれる。一方、プラズマ中の粒子は電場やローレンツ力(電荷qをもつ粒子が磁界B中を運動するときに受ける力:−qv×B)、圧力勾配、粘性力などが存在するとき加速を受ける。プラズマは準中性条件を満たすため、一価の正イオンの場合、電子とイオンの密度は等しい。従って、プラズマの密度を求めるにはどちらかの密度を調べれば良い。
物質の第四状態であるプラズマは物理・化学的に特異な性質を持っている。第一に、高温であるので粒子の運動エネルギーが大きい。第二に電荷を持つ粒子の集団であるので導電性があり金属のように振舞う。第三に化学的に活性であって反応性が高い。例えばメタンガスと水素ガスを混ぜて放電し、壁温を適度に設定すると壁面にダイヤモンドが析出してくる。第四にプラズマは光るので光源として利用することができる。例えば、夜の街を彩るネオンサインやナトリウム・水銀などの放電を用いる照明はよく目にするところである。このようなプラズマの性質はプラズマ内の電子と気体分子との衝突に求めることができる。
本発明におけるArイオン(12)は、準中性状態のAr気体を放電などによりプラズマ化させたときに形成される正イオンである。
二次電子であるγ電子(11)はプラズマ電子がAr気体やターゲット粒子に衝突した際に放出される高エネルギーな電子である。
図2に発明の透明導電膜形成方法における基板周辺部の説明図を示した。基板(2)はマスク(19)及びマスクフレーム(3)と、マグネットホルダー(1)によって挟まれ、密着した構造となっている。基板(2)は、マスクと密着した面に透明導電膜がマスクの開口形状に応じて、パターニングされる。本発明の透明導電膜形成方法にあっては、透明導電膜形成中に基板がペルチェ素子(18)によって冷却されている。ペルチェ素子は、マグネットホルダー上に設けられる。
ペルチェ素子は真空下で密着基板上部に据付けることで容易に基板及びマスク冷却が可能となる半導体素子である。ペルチェ素子を設けるにあっては装置の大幅改造が不必要であり、簡単に基板及びマスクを冷却することができる。
物質の両端に温度差を与えると、超伝導体以外なら必ず起電力が生じる。この現象をゼ
ーベック(Seebeck)効果と呼び、これらを身近に利用しているのが温度測定に用いられる熱電対(Thermocouple)である。物質の高温端と低温端に外部回路を接続すれば、この熱起電力により電流を発生させ、電力として取り出すことができる。これとは逆に二種の物質を接合して電流を流すと接合点で電流の向きに応じて可逆的に熱が発生または吸収される。これをペルチェ(Peltier)効果と呼び、先述のゼーベック効果とは表裏一体の熱電現象である。電流を反転させるだけで可逆的に加熱と冷却が可能で、応答速度も極めて遅いので、熱電冷却や電子冷熱として、半導体レーザーや高感度の赤外線検出器やCCDなどの冷却、更に半導体製造プロセスや医療機器など精密な温度制御や局所的な急速冷却が要求される分野に広く利用される。ゼーベック効果及びペルチェ効果の二つの熱−電気の変換過程を総称し熱電変換(Thermoelectric conversion)と呼ぶ。
ペルチェ素子は、P型半導体とN型半導体を用いると、P型の熱電能はプラス、N型の熱電能はマイナスの符号を持ち、その相対熱電能は非常に大きいので、大きな熱電効果が得られる。図3にペルチェ素子の説明断面図を示した。図3に示したように、ペルチェ素子はセラミック基板(22)間にP型半導体(24a)、N型半導体(24b)を金属電極(23)を介して交互にΠ型に配列することにより、冷却または吸熱の能力をもつ素子となる。この素子は電流を流して温度差を起こさせるペルチェ効果を活用しており、ペルチェ素子と呼ばれる。
次に、本発明の有機電界発光素子の製造方法について述べる。本発明の有機電界発光素子においては、基材上に第一電極、有機発光層、第二電極がこの順に設けられている。また、第一電極・第二電極間には発光補助層として、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層等が必要に応じて設けられる。また、基材上に設けられた第一電極、有機発光層、第二電極は、両電極及び有機発光層等を環境中の水分等から保護することを目的として、封止される。封止としては、ガラスキャップ、金属キャップを基材と貼り合わせる方法や、第一電極、有機発光層、第二電極が設けられた基材を、バリア層等により被覆する方法を用いることができる。
また、第一電極及び第二電極の一方は陽極であり、もう一方が陰極となる。有機電界発光素子とは、電極間に電流を流すことにより有機発光層を発光させるものであるが、発光した光を基材側から取り出す方式をボトムエミッション方式、基材と反対側から取り出す方式をトップエミッション方式という。ボトムエミッション方式においては、有機発光層を基準として基材側の層は有機発光層で発光した光を透過させるために透明とする必要がある。すなわち、基材及び第一電極は透明性を有する必要がある。一方、トップエミッション方式の有機電界発光素子においては、有機発光層を基準として基材と反対側の層は有機発光層で発光した光を透過させるために透明とする必要がある。すなわち、第二電極は透明性を有する必要があり、また、封止によって光が遮断されないようにする必要がある。
図4にトップエミッション方式の有機電界発光素子の説明断面図を示した。基材(26)上には、第一電極として反射電極(27)がパターン形成され、反射電極(27)間には隔壁(28)が形成され、反射電極(27)上に正孔輸送層(29)、有機発光層(30a、30b、30c)がこの順で設けられ、更に有機発光層(30a、30b、30c)上に電子注入性保護層(33)、第二電極として透明電極(34)が設けられている。そして、反射電極(27)、隔壁(28)、正孔輸送層(29)、有機発光層(30a、30b、30c)、電子注入性保護層(33)、透明電極(34)が設けられた基材は、バリア層(35)、樹脂層(36)、封止基材(37)で封止されている。また、反射電極、隔壁、正孔輸送層、有機発光層、電子注入性保護層、透明電極が設けられた基材を、乾燥剤としてCaOを成膜したガラス基板と直接貼り合わせ、封止しても良い。
本発明のトップエミッション型有機電界発光素子において、基材(26)としては、ガラス基材やプラスチック製のフィルムまたはシートを用いることができる。プラスチックフィルムを用いれば、巻き取りにより有機電界発光素子の製造が可能となり、安価に素子を提供できる。そのプラスチックフィルム材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート等を用いることができる。また、電極を成膜しない側にセラミック蒸着フィルムやポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物等の他のガスバリア性フィルムを積層しても良い。また、有機電界発光素子をアクティブマトリクス方式の有機電界発光素子とする場合、基板は薄膜トランジスタ(TFT)を備えたTFT基材を用いる必要がある。
有機電界発光素子の駆動方法としては、パッシブマトリクス方式とアクティブマトリクス方式があるが、本発明の有機電界発光素子はパッシブマトリクス方式の有機電界発光素子、アクティブマトリクス方式の有機電界発光素子のどちらにも適用可能である。パッシブマトリクス方式とはストライプ状の電極を有機発光層を挟んで直交させるように対向させ、その交点を発光させる方式であるのに対し、アクティブマトリクス方式は画素毎にトランジスタを形成した、いわゆる薄膜トランジスタ(TFT)基板を用いることにより、画素毎に独立して発光する方式である。薄膜トランジスタ(TFT)としてはアモルファスシリコンまたはポリシリコンの薄膜トランジスタ(TFT)が用いられる。
パッシブマトリクス方式の有機電界発光素子では、走査するストライプ状の電極数が大きくなるほど各画素における点灯時間は短くなるため、ON状態では瞬間発光輝度を大きくする必要がある。瞬間発光輝度を大きくした場合には素子寿命が低下するので、走査するストライプ上の電極数が数百〜千数百本も必要な大容量ディスプレイには適さない。対して、各アクティブマトリクス方式の有機電界発光素子では、画素毎にスイッチング素子とメモリ素子(アクティブ素子)を設けているため、1回の走査周期の間動作状態を保持することができるため、ディスプレイを大型化しても瞬間発光輝度は小さくても良く、耐久性にも優れる。また、ディスプレイなどの高速応答が要求される動画表示に有利である。
第一電極である反射電極(27)は、陽極として、Mg、Al、Cr等の金属材料を蒸着法やスパッタリング法といった真空成膜法により形成することができる。また、反射電極としては、Mg、Al、Cr等の反射電極とITO等の透明電極との2層構成としても良い。このとき、ITOは陽極界面層として設けられる。
反射電極(27)形成後、反射電極縁部を覆うようにして反射電極間に隔壁(28)が形成される。隔壁は絶縁性を有する必要があり、感光性材料等を用いることができる。感光性材料としてはポジ型であってもネガ型であっても良く、ノボラック樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることができ、フォトリソグラフィー法により露光工程、現像工程を経て、隔壁は形成される。
そして、反射電極(27)上には、正孔輸送層(29)が設けられる。正孔輸送層形成材料としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)等を用いることができる。PEDOT/PSSは水に溶解させ塗工液とし、スピンコート法等により基板上に塗工され、乾燥される。
正孔輸送層(29)上には、有機発光層(30a、30b、30c)が設けられる。有機電界発光素子をフルカラー表示させる場合には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、それぞれの発光色を有する有機発光層を画素毎にパターニングする必要があり、図4においては、赤色有機発光層(30a)、緑色有機発光層(30b)、青色有機発光層(30c)を有している。有機発光層形成材料としてはポリパラフェニレンビニレン(PPV)やポリフルオレン(PF)等を用いることができる。これらの有機発光材料は、トルエン等の芳香族系有機溶媒に溶解させインキとし、印刷法を用いることにより、3色にパターニングされる。
印刷方法としては、インクジェット印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法等を用いることが可能であるが、中でも凸版反転オフセット印刷法を好適に使用することができる。図6に凸版反転オフセット印刷法における印刷工程の模式図を、図7に凸版印刷(フレキソ印刷)法における印刷工程の模式図を示した。
図6において本体フレーム(38)上にあるブラン胴(39)の周囲にはブランケット(40)が装着してある。また、(41)は印刷ステージであり、印刷時には原版である凸版(42)及び被印刷基材(44)を固定する。また、印刷ステージ(41)は本体フレーム(38)上を一軸方向に移動可能になっている。また図中に示す(43)はインキである。被印刷基材には、基材上に第一電極、隔壁、正孔輸送層が予め形成されている。
印刷ステージ(41)上には凸版(42)が固定されており、ブランケット(40)には予めインキ(43)が図示しないインキ供給手段により、カーテンコート法、バーコート法、ワイヤーコート法、スリットコート法等のコーティングを用いて塗布されている(図6(a))。印刷ステージ(41)が移動しブラン胴を回転させることにより、ブランケット(40)上のインキ膜を所望のパターンのネガパターンである凸版(42)により除去され、ブランケット上のインキが所望のパターンにパターン化される(図6(b))。ついで、印刷ステージ(41)が移動しブラン胴を回転させることにより、被印刷基材(44)上にブランケット上のインキパターンが転移し、印刷工程を終了する(図6(c)、(d))。
なお、凸版反転オフセット印刷装置は、ブラン胴が固定され、凸版及び被印刷基材を備えたステージが移動する方式であるが、本発明の凸版反転オフセット印刷装置は、印刷時においてステージが固定されブラン胴が移動する方式であっても構わない。
本発明における印刷用ブランケットとしては、高分子フィルムやゴムのようにある程度の柔軟性を有する材料で構成されることが好ましく、シリコーンゴムを用いることができる。
図7においてフレキソ刷版(48)の表面に、アニロックスロール(46)でインキを付け、更にそのフレキソ刷版(48)を圧胴(50)を介して、被転写基板(49)に押し付ける。アニロックスロール(46)表面に付き過ぎたインキはドクターブレード(45)により掻き落され、常に安定した量のインキが版の表面に供給される。
フレキソ印刷はアニロックスロールで厚みのある高弾性の樹脂凸版に水性インキまたはUVインキを付け、直接、被印刷体に印刷する。そのため、フレキソ印刷は平滑性の悪い面やフィルム、布等、フレキシブル基材にも対応する。また、非常に薄く均一なベタ印刷を得意とし、様々な樹脂や薬品を塗り重ねることにより、更に精度を高めることも可能である。近年、フレキソ印刷の技術革新により、高精緻で精巧な多色表現が可能となっている。また、水性インキがフレキソ印刷に適応していることから、環境性が高いとされ、特に食品、医薬品のパッケージ分野において広く利用されている。更にインキの塗布量が少ないことから、残留溶剤も少ない。
次に、有機発光層(30a、30b、30c)上に電子注入性保護層(33)を設ける
。電子注入性保護層形成材料としては、CaやBa等の低仕事関数である希土類元素を用いることができ、これらの希土類元素を真空蒸着法により成膜し、電子注入性保護層を形成する。
次に、電子注入性保護層(33)上に陰極として透明電極(33)を設ける。透明電極の形成にあっては、先程示した本発明の透明導電膜形成方法を用いることができる。トップエミッション型の有機電界発光素子においては、透明電極を形成する際に本発明の透明導電膜形成方法を好適に用いることができる。本発明の透明導電膜形成方法は、スパッタリング法で成膜する際に、有機発光層といった有機薄膜へのダメージを低減させることができるため、発光特性の優れた有機電界発光素子を得ることができる。また、本発明の透明導電膜形成方法は成膜中のパターニング用マスクの温度上昇を抑えることができる。従って、マスクの熱膨張や熱変形を抑えることができ、透明電極を正確にパターニングすることも可能となる。なお、本発明の有機電界発光素子は、反射電極を陰極、透明電極を陽極としても良い。
次に、反射電極(27)、隔壁(28)、正孔輸送層(29)、有機発光層(30a、30b、30c)、電子注入性保護層(33)、透明電極(34)が形成された基材(26)に対し、封止を行う。まず、基材(26)全体にバリア層(35)を形成する。
バリア層(35)としては、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜等を用いることができる。バリア膜はCVD法により形成される。CVD法は膜にしたい元素を含む気化させた化合物(ソースガス)をそのまま、あるいは水素・窒素などのキャリアガスと混ぜ、高温加熱した基板表面にできるだけ均一になるように送り込み、基板表面で分解、還元、酸化、置換などの化学反応を起こさせ、基材上に薄膜を作る方法である。
更に、バリア層(35)が設けられた基材は、樹脂層(36)を介して、封止基板(37)と貼り合わされる。封止基板(37)としては、透明性を有していれば良く、無アルカリガラス、アルカリガラス等のガラスやプラスチック材料を用いることができる。または、上記ガラスにCaOを形成した基材を封止基材として、両者を貼り合わせしても良い。これにより、乾燥剤を挿入せず封止を行うことが可能である。また、ガラスを直接、基材上部に貼り合わせすることから、封止基材での光吸収やキャップ構造のガラスを用いた場合に生じる光路長の変化が起きず、光取り出し効率を向上させることもできる。樹脂層(36)としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂などからなる光硬化型接着性樹脂、熱硬化型接着性樹脂、2液硬化型接着性樹脂や、エチレンエチルアクリレート(EEA)ポリマー等のアクリル系樹脂、エチレンビニルアセテート(EVA)等のビニル系樹脂、ポリアミド、合成ゴム等の熱可塑性樹脂や、ポリエチレンやポリプロピレンの酸変性物などの熱可塑性接着性樹脂を挙げることもできる。
貼り合わせ方法については、加熱したロールによる圧着による方法を用いることができる。また、樹脂層として光硬化型接着性樹脂を用いた場合には、紫外光等を照射することにより貼り合わせることができる。
また、本発明の有機電界発光素子においては、基材及び封止基材に可とう性のあるプラスチック基材を用いることにより、フレキシブル有機電界発光素子とすることができる。
また、本願発明の有機電界発光素子においては、両電極を透明電極とし、基材を透明基材とし、封止を透明材料により行うことにより、透明有機電界発光素子とすることができる。図5に透明有機電界発光素子の説明断面図を示した。図5では、透明基材(26)上に第一電極として透明電極(27)が形成され、更に図4と同様に、隔壁(28)、正孔輸送層(29)、有機発光層(30a、30b、30c)、電子注入性保護層(33)、
透明電極(34)が形成されている。更に、透明性を有するバリア層(35)、樹脂層(36)、封止基材(37)によって封止されている。透明有機電界発光素子においては、基板側、基板と反対側の両面から画像を表示することが可能となる。
基板としてガラス基板を用い、基板上に陽極である反射電極としてCr、陽極界面層としてITOをスパッタリング法により積層形成した。得られた基板上のCr及びITOの積層膜はフォトリソ法によりパターニングを行い、ストライプパターンとした。次に、ストライプ状のCrの端部を覆うように、ポリイミド材料を用い、フォトリソ法により隔壁を形成した。次に、正孔輸送材料としてPEDOT/PSSを用い、これを水に溶解し塗工液とし、スピンコート法により正孔輸送層を形成した。
次に、ポリフルオレン(PF)からなる緑色有機発光材料を用い、この緑色有機発光材料をトルエンに溶解しインキとし、凸版反転オフセット印刷法によりストライプ状に有機発光層を形成した。次に、蒸着法により有機発光層上にBa、Alからなる電子注入性保護層を、陽極のCrストライプパターンと直交するようにマスクを用いて成膜した。
次に、本発明の透明導電膜形成方法を用いて透明電極を形成した。フィラメント材質にはタングステンを用い、フィラメント先端から放出する電子の加速電圧は10〜100kVとした。なお、スパッタリング装置にはDCマグネトロンスパッタ装置を用いた。このとき、DCマグネトロンスパッタリング装置内には基板とターゲット間にステンレス製の円形グリッドを設け、また、基板上と接触するようにマスクを設け、マスクはマグネットホルダーにより固定した。また、基板の透明電極成膜面と反対側にはペルチェ素子を設けた。スパッタリング条件は、ガス圧力が1.0Pa、Arガス流量が100sccm、放電パワーが0.6kW、ターゲット−基板間距離が130mmである。このとき、透明電極であるITOは電子注入性保護層と重なり、反射電極であるCrのストライプパターンと直交するように150nmの膜厚となるように設けた。なお、スパッタリング成膜中においてのマスク温度は50℃であった。
次に、有機電界発光素子の発光領域全面にCVD法により酸化珪素膜を設け、更にCaO膜を介してガラス基板と貼り合わせることにより封止を行い、トップエミッション型有機電界発光素子を得た。
得られた有機電界発光素子の素子特性は、最高輝度が3000cdm-2、最大電流効率は2.5cdA-1である。
(比較例)
実施例と同様に反射電極、隔壁、正孔輸送層、有機発光層、電子注入性保護層を形成したガラス基板に対し、実施例と同様にDCマグネトロンスパッタリング装置を用い、透明電極の成膜を行った。但し、DCマグネトロンスパッタリング装置において、フィラメント(電子銃)によるArイオン軽減機構を設けなかった。更に、基板に対してペルチェ素子も設けなかった。なお、スパッタリングに際し、この他のスパッタリング条件は実施例と同じである。
このとき、スパッタリング中のマスク温度は60℃であり、実施例1と比較して10℃程度高い結果となった。また、透明電極が形成された基板に対し、実施例と同様に封止を行い、有機電界発光素子を得た。得られた有機電界発光素子の最高輝度は200cdm-2、であり、最大電流効率は0.05cdA-1であった。
本発明の透明導電膜形成の例に用いるDCマグネトロンスパッタ装置の模式図である。 本発明の透明導電膜形成方法の例における基板周辺部の説明図である。 ペルチェ素子の説明断面図である。 トップエミッション型有機電界発光素子の例の説明断面図である。 透明有機電界発光素子の例の説明断面図である。 本発明に係るの凸版反転オフセット印刷法による印刷工程の模式図である。 本発明に係るの凸版印刷(フレキソ印刷)法による印刷工程の模式図である。
符号の説明
1 マグネットホルダー
2 ガラス基板
3 マスクフレーム
4 基板搬送アーム(ロボット)
5 ソレノイドコイル
6 フィラメント(電子銃)
7 グロー放電
8 グリッド(キャリアトラップ機構)
9 ガス導入管(Ar、O2)
10 アース
11 二次電子(γ電子)
12 Arイオン
13 ターゲット
14 バッキングプレート(OFC)
15 チラー
16 カソードマグネット
17 スパッタチャンバー
18 ペルチェ素子
19 マスク
19a マスクの開口部
21 リード線
22 セラミック基板
23 金属電極
24a P型半導体
24b N型半導体
26 基材
27 反射電極(第一電極)
28 隔壁
29 正孔輸送層
30a 赤色(R)有機発光層
30b 緑色(G)有機発光層
30c 青色(B)有機発光層
33 電子注入性保護層
34 透明電極(第二電極)
35 バリア層
36 樹脂層
37 封止基材
38 本体フレーム
39 ブラン胴
40 ブランケット
41 印刷ステージ
42 凸版
43 インキ
44 被転写基板
45 ドクターブレード
46 アニロックスロール
47 版胴
48 フレキソ刷版
49 被転写基材
50 圧胴
L 発光

Claims (8)

  1. 基板上にマスクを設け、スパッタリング法により基板上に透明導電膜をパターン形成する透明導電膜形成方法において、ターゲットと基板間に設置したグリッドから漏れ出たプラズマ荷電粒子を、真空スパッタチャンバーの側面から挿引したフィラメント先端から放出される電子と結合させることで、粒子極性を中和させることを特徴とする透明導電膜形成方法。
  2. 請求項1に記載の透明導電膜形成方法に用いられるスパッタ装置において、真空スパッタチャンバーの側面からフィラメント挿引可能なことを特徴とするマグネトロンスパッタ装置。
  3. 請求項1に記載の透明導電膜形成方法において、フィラメント先端から放出される電子をソレノイドコイルにより形成された磁界により、進行方向を制御させ、プラズマ荷電粒子と効率良く衝突させることを特徴とする透明導電膜形成方法。
  4. 基材上に第一電極と有機発光層と第二電極を少なくともこの順に備え、電極間に電流を流すことにより有機発光層を発光させる有機電界発光素子の製造方法において、第一電極若しくは第二電極の少なくとも一方を請求項1〜請求項3いずれか1項に記載の方法によりパターン形成することを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  5. 基材上に反射電極と有機発光層と透明電極を少なくともこの順に備え、電極間に電流を流すことにより有機発光層を発光させるトップエミッション型有機電界発光素子の製造方法において、透明電極を請求項1〜請求項3いずれか1項に記載の方法により形成することを特徴とするトップエミッション型有機電界発光素子の製造方法。
  6. 請求項4または請求項5に記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記有機発光層形成材料を溶媒に溶解または分散させインキとする工程と、該インキを用いて凸版反転オフセット印刷法により基材上に有機発光層を形成する工程を備えることを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  7. 請求項4または請求項5に記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記有機発光層形成材料を溶媒に溶解または分散させインキとする工程と、該インキを用いて凸版印刷(フレキソ印刷)法により基材上に有機発光層を形成する工程を備えることを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  8. 請求項4、5、6、7いずれか1項に記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記有機発光層及び電極を形成した基材上に、ガラスにCaOを形成した基材を、封止基材として両者を貼り合わせすることを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
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