JP2008163384A - スパッタリング装置、スパッタリング用トラップ、成膜方法および有機電界発光装置の製造方法 - Google Patents

スパッタリング装置、スパッタリング用トラップ、成膜方法および有機電界発光装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ターゲットの使用効率を高めながら、γ電子、反跳Arイオンなどによる基板へのダメージを抑えたマグネトロンスパッタリング装置の提供。
【解決手段】ターゲット2の裏面と対向した支持プレート11と、支持プレート11の中心を通る法線から中心が離れて位置する支持プレート11に支持されたカソードマグネット12とを含んだマグネットプレート10と、ターゲット2と対向する基板3との間に設置され、マグネット12に対応して法線からずれた位置に中心を有する開口22が設けられた遮蔽板21と、開口22の周囲に同極性の磁極が開口の中心を向くように放射状に配置された複数のトラップマグネット23とを含んだトラップ20と、開口22のマグネット12に対する相対位置を一定に保ちながら、マグネットプレート10とトラップ20とを法線の周りでターゲット2に対して相対的に回転させる駆動機構とを含む装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、スパッタリング装置、スパッタリング用トラップ、成膜方法および有機電界発光装置の製造方法に関する。
今日、透明導電膜の応用分野は多様化し、光通信、半導体レーザー、各種ディスプレイ、記録メディア、民生用機器(デジタルカメラ、プロジェクター、携帯電話、レンズ、ミラー、ランプ等)など、広範囲に広がっている。透明導電膜の製造技術において、歩留まりの改善などの量産時の安定性の向上や多層膜形成時の膜性能の向上は、重要な技術課題として挙げられる。
有機電界発光素子は、2つの電極間に有機発光層を挟持した構造を有し、電極間に電流を流すことにより有機発光層を発光させるものである。有機電界発光素子では、発光を取り出すために、どちらか一方の電極を透明にする必要がある。この有機電界発光素子の電極として、透明導電膜を使用することが可能である。有機電界発光素子用の透明電極としては、例えば、インジウム・錫酸化物(ITO)からなる透明導電膜などを使用することが提案されている(特許文献1および2)。
上部光取り出し(トップエミッション)型の有機電界発光素子は、基材と反対側の電極を透明電極とするものである。トップエミッション型の有機電界発光素子を製造する際に、金属薄膜上に透明導電膜を形成することにより、陰極の保護と配線抵抗の低減とを図ることができる。また、透明導電膜を光取り出し側の陰極としたときに、下地の有機発光層の保護や電子注入障壁の低減を目的として、有機発光層と透明導電膜との間にバッファ層を設けることができる。
透明導電膜の形成には、従来から行われている蒸着法の他に、プラズマやイオンビームによるアシスト蒸着法およびイオンプレーティング法が主に使用されている。また、その他の方法として、sol/gel法、スプレー法などの湿式法を用いることもできる。
一方、半導体やフラットパネルディスプレイ、電子部品などの製造工程における薄膜形成方法として、量産性に優れたスパッタリング法が広く利用されている。スパッタリング法は、成膜速度や膜組成などが安定しており、また大面積基板への均一な成膜が可能であるため、量産化に適する。さらに、スパッタリング法は、膜厚および導電性・透明性の均一性が高いことから、透明導電膜の形成方法の主流ともなっている。
スパッタリング法による薄膜の形成方法の確立は、薄膜の応用分野を広げ、新材料の開発に拍車をかけた。そのスパッタリングの更なる改善を図った方法が、マグネトロンスパッタリング法である。
マグネトロンスパッタリング装置の電極配置は、陰極(ターゲット)の背後に磁石が取り付けられている以外は、直流二極、高周波などの装置と変わらない。マグネトロンスパッタリング装置において、陰極の下部に取り付けられた数個の磁石は、陰極(ターゲット)上にトロイダル型の1種のトンネルを作り、放電プラズマをほぼそのトンネルの中に拘束する。
マグネトロンスパッタリング法は、このようなマグネトロンスパッタリング装置を用いて、磁石が発生する磁場内にプラズマを拘束して高密度プラズマを作り、スパッタリングを行う方法である。この方法では、陰極面上に、数mmの薄い暗部を隔てて明るく輝くドーナツ状の高密度プラズマ(≒1018-3)が生成される。磁石材料としては、Ba−フェライト、アルニコ合金、Co−希土類合金、Nd系合金などが用いられる。
このようにして生成したマグネトロンプラズマは、電流密度が高く、600eVもの高エネルギーでイオンが電子をたたくので、陰極材料を高速でスパッタする。低圧力なので、スパッタされた粒子の平均自由行程は長く、陰極に対向して設置された基板上にスパッタ粒子を捕集して、薄膜を形成することができる。
以上のようなことから、マグネトロン方式の放電は、スパッタリングによる種々の薄膜の形成に標準的に用いられている。マグネトロンスパッタリング法は、例えば、Al、W、Tiなどの金属薄膜や酸化膜、窒化膜などの形成に広く利用されている。
しかし、マグネトロンスパッタリング法を用いて薄膜を形成する際、一般的に、基板へのダメージという不都合な点が浮上する。
蒸着法により基板上に透明導電膜をパターン形成する場合、熱的なエネルギーのみで基板に粒子を堆積させるため、基板に入射する粒子のエネルギーは0.1eV程度である。これに対し、スパッタリング法により基板上に透明導電膜をパターン形成する場合、基板に入射する粒子のエネルギーは600eV程度と非常に高い。一般的に、基板に入射する粒子のエネルギーが50eV程度以上になると、粒子が基板内に入り込んだり、基板を構成する原子が叩き出されたり、あるいは基板に欠陥を発生させるといった問題が発生する。
特に、有機薄膜上にスパッタリング法により透明導電膜を形成した場合、高エネルギー粒子である反跳Arイオン、γ電子、ターゲット粒子などの飛散・衝突により有機薄膜の分子構造が破壊され(結合が断裂され)、有機発光材料本来の発光ポテンシャルが低下するという問題があった(非特許文献1)。
さらに、マグネトロンスパッタリング法では、プラズマ雲がドーナツ形状をなすため、ターゲット材もドーナツ形状に侵食されるという問題がある。その結果、材料全体の使用効率は大幅に低下し、特に貴金属や高純度材料をターゲットとして用いた場合にコストアップとなってしまう。
特開2001−250678号公報 特許第2850906号公報 「色変換方式有機ELによるフルカラー化の実現」 工業材料Vol.52 No.4(2004.4)
本発明の目的は、マグネトロンスパッタリングにおいて、スパッタリングターゲットの使用効率を高めながら、γ電子、反跳Arイオンなどによる基板へのダメージを抑えることである。
上記の課題を解決するための第1の発明は、スパッタリングターゲットの裏面と対向した支持プレートと、支持プレートの中心を通る法線から中心が離れて位置するように支持プレートに支持されたカソードマグネットとを含んだマグネットプレートと、スパッタリングターゲットの表面と対向するように基板を支持するホルダと、スパッタリングターゲットと基板との間に設置され、法線からずれた位置に中心を有する開口が設けられた遮蔽板と、開口の周囲に、各々の一方の磁極が開口の中心を向くように放射状に配置された複数のトラップマグネットとを含み、複数のトラップマグネットの中心を向いた磁極は同極性であるトラップと、開口のカソードマグネットに対する相対位置を一定に保ちながら、マグネットプレートとトラップとを法線の周りでスパッタリングターゲットに対して相対的に回転させる駆動機構とを含んだことを特徴とするスパッタリング装置である。
また、第2の発明は、遮蔽板は金属層を含み、スパッタリング装置は、金属層とスパッタリングターゲットとの間の電位差を制御する手段をさらに含んだことを特徴とする第1の発明のスパッタリング装置である。
また、第3の発明は、遮蔽板は金属板であり、スパッタリング装置は、金属板とスパッタリングターゲットとの間の電位差を制御する手段をさらに含んだことを特徴とする第1の発明のスパッタリング装置である。
また、第4の発明は、スパッタリングターゲットの裏面と対向した支持プレートと、支持プレートの中心を通る法線から中心が離れて位置するように支持プレートに支持されたカソードマグネットとを含んだマグネットプレートと、スパッタリングターゲットの表面と対向するように基板を支持するホルダと、マグネットプレートを法線の周りでスパッタリングターゲットに対して相対的に回転させる駆動機構とを含んだスパッタリング装置において、前記スパッタリングターゲットと基板との間に設置するスパッタリング用トラップであって、中心からずれた位置に中心を有する開口が設けられた遮蔽板と、開口の周囲に、各々の一方の磁極が開口の中心を向くように放射状に配置された複数のトラップマグネットとを含み、複数のトラップマグネットの中心を向いた磁極は同極性であることを特徴とするスパッタリング用トラップである。
また、第5の発明は、スパッタリングターゲットの裏面と対向した支持プレートと支持プレートの中心を通る法線から中心が離れて位置するように支持プレートに支持されたカソードマグネットとを含んだマグネットプレートをスパッタリングターゲットに対して相対的に回転させながらスパッタリングを行ってスパッタリングターゲットの表面と対向した基板上に薄膜を形成する成膜方法であって、スパッタリングターゲットと基板との間に、スパッタリングターゲットの中心を通る法線から中心が離れて位置する開口が設けられた遮蔽板と、開口の周囲に、各々の一方の磁極が開口の中心を向くように放射状に配置された複数のトラップマグネットとを含み、複数のトラップマグネットの中心を向いた磁極は同極性であるスパッタリングトラップを設置し、開口のカソードマグネットに対する相対位置を一定に保ちながらスパッタリングを行うことを特徴とする成膜方法である。
また、第6の発明は、遮蔽板は金属層を含み、金属層とスパッタリングターゲットとの間の電位差を制御しながらスパッタリングを行うことを特徴とする第5の発明の成膜方法である。
また、第7の発明は、遮蔽板は金属板であり、金属板とスパッタリングターゲットとの間の電位差を制御しながらスパッタリングを行うことを特徴とする第5の発明の成膜方法である。
また、第8の発明は、基材と、基材上に順次形成された第1電極と有機発光層と第2電極とを備えた有機電界発光素子とを含んだ有機電界発光装置の製造方法であって、第1電極および/または第2電極を、第5から第7の発明のいずれか1つの成膜方法により形成することを含んだことを特徴とする有機電界発光装置の製造方法である。
また、第9の発明は、有機発光層材料を溶媒に溶解または分散させてインキを調製し、インキを用いて、レリーフ印刷法により、有機発光層を形成することをさらに含んだことを特徴とする第8の発明の有機電界発光装置の製造方法である。
また、第10の発明は、基材と有機電界発光素子とを含んだ基板に、ガラス基板とその上に形成されたCaO層とを含んだ封止基材を貼り合わせることをさらに含んだことを特徴とする第8または第9の発明の有機電界発光装置の製造方法である。
また、第11の発明は、基材と、基材上に順次形成された、反射電極と、有機発光層と、透明電極とを備えた有機電界発光素子とを含んだトップエミッション型の有機電界発光装置の製造方法であって、透明電極を、第5から第7の発明のいずれか1つの成膜方法により形成することを含んだことを特徴とするトップエミッション型有機電界発光装置の製造方法である。
また、第12の発明は、有機発光層材料を溶媒に溶解または分散させてインキを調製し、インキを用いて、レリーフ印刷法により、有機発光層を形成することをさらに含んだことを特徴とする第11の発明のトップエミッション型有機電界発光装置の製造方法である。
また、第13の発明は、基材と有機電界発光素子とを含んだ基板に、ガラス基板とその上に形成されたCaO層とを含んだ封止基材を貼り合わせる工程をさらに含んだことを特徴とする第11または第12の発明のトップエミッション型の有機電界発光装置の製造方法である。
本発明によると、マグネトロンスパッタリングにおいて、スパッタリングターゲットの使用効率を高めながら、γ電子、反跳Arイオンなどによる基板へのダメージを抑えることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同様または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、本発明の一実施形態のスパッタリング装置の概略断面図である。図2は、図1に示すスパッタリング装置が含むバッキングプレートの概略平面図である。図3は、図1のスパッタリング装置で用いることができるホルダ部の拡大概略図である。図4は、図1のスパッタリング装置が含むスパッタリングトラップの概略平面図である。図5は、図1のスパッタリング装置のホルダ部で用いることができるペルチェ素子の一例の概略断面図である。なお、構成要素の相対位置を示すために、図2にはマグネットプレートおよびスパッタリングターゲットをあわせて描き、図4にはカソードマグネットをあわせて描いている。
図1のスパッタリング装置1は、図示しない真空チャンバを含んでいる。真空チャンバ内には、マグネットプレート10と、バッキングプレート13と、ホルダ部14と、スパッタリングトラップ20とが設置されている。また、このスパッタリング装置1は、図示しない駆動機構をさらに含んでいる。
マグネットプレート10は、支持プレート11と、複数のピンカソードマグネット12aとを含んでいる。これらピンカソードマグネット12aは、支持プレート11に、そこに差し込まれた状態で保持されている。
図2に示すように、ピンカソードマグネット12aは、支持プレート11に差し込まれて、六角形の平面形状を有するカソードマグネット12を構成している。カソードマグネット12の中心は、マグネットプレート10の中心,すなわち支持プレート11の中心,を通る法線からずれている。
カソードマグネット12の平面形状は、六角形に限られず、例えば、円形でもよい。ピンカソードマグネット12aの形状は円柱でも角柱でもよい。また、カソードマグネット12を構成するマグネットとしては、ピンカソードマグネットだけではなく、例えば、リング状カソードマグネットやブロック状カソードマグネットを用いることができる。
マグネトロンスパッタリングにおいて、カソードマグネット12が発生する磁場は、プラズマを、後述するスパッタリングターゲット2の近傍であって、カソードマグネット12の上方に拘束する。この拘束されたプラズマ雲は、カソードマグネット12の輪郭に対応してドーナツ形状となる。
図1に示すように、マグネットプレート10上には、僅かな間隙をおいてバッキングプレート13が設置されている。マグネットプレート10とバッキングプレート13との間隙は、例えば、流路(図示しない)とすることができ、冷却水をその流路に流すことでマグネットプレート10およびバッキングプレート13を冷却することができる。バッキングプレート13は、スパッタリングターゲット2を支持して固定する役割と、冷却水を用いる場合には、冷却水による吸熱作用をターゲットに伝達させる役割とを果たす。
ホルダ部14は、支持体15と、マスクフレーム16と、ペルチェ素子17とを含んでいる。
図1および図3に示すように、ホルダ部14は、例えば、マグネットを利用する場合、基板3を、基板3上部のマグネットとしての支持体15と基板3下部のマグネットとしてのマスクフレーム16とで上下から磁力で挟み込むことで、スパッタリングターゲット2と対向させるように着脱可能に支持している。ホルダ部14は、所望の薄膜パターンを形成するために、例えば、マスク4を基板3とマスクフレーム16との間に介在させて、基板3を支持することができる。
支持体15の基板3との対向面の裏面には、ペルチェ素子17が設けられている。ペルチェ素子17の機能については後述する。
図1に示すように、スパッタリングトラップ20は、スパッタリングターゲット2と基板3との間に設置されている。スパッタリングトラップ20は、例えばマグネットプレート10の周縁部上に設けられるスペーサ18に支持されている。スペーサ18は、バッキングプレート13と間隙を置いて設置される。このように設置されたスペーサ18は、スパッタリングトラップ20が含んだ遮蔽板に設けられた開口(後述する)のカソードマグネット12に対する相対位置を一定に保つ役割を果たす。
図1および図4に示すように、スパッタリングトラップ20は、遮蔽板21を有している。遮蔽板21には、開口22が設けられている。開口22は、中心が遮蔽板21の中心を通る法線からはずれている。開口22は、その位置および寸法がカソードマグネット12に対応しており、例えば、開口22を通してマグネットプレート10を観察すると、カソードマグネット12が設置された領域を視認可能である。スパッタリングトラップ20とマグネットプレート10とはスペーサ18を介して接続されているので、開口22は、常にカソードマグネット12に対応した位置にある。
スパッタリングトラップ20は、さらに、複数のトラップマグネット23を含んでいる。これらトラップマグネット23は、各々の一方の磁極が、開口22の中心を向くように、遮蔽板21の開口22の周縁部に沿って放射状に配置されている。これらトラップマグネット23は、開口22の中心を向いた磁極が同極性である。
遮蔽板21の材料としては、例えば、低熱膨張率材料を用いることができる。低熱膨張率材料の例を以下に示す。
Figure 2008163384
遮蔽板21は、表面積が小さく、表面平坦性が高いことが好ましく、例えば、板形状であってもよい。
低熱膨張率材料からなり、表面積が小さな遮蔽板21を使用すると、スパッタ熱輻射によるトラップ膨張収縮に起因した付着ターゲット粒子の滑落(パーティクルの発生)を抑えることができる。
また、図1に示すように、スパッタリングトラップ20とスペーサ18との間には、絶縁体19を介在させてもよい。この場合、スパッタリングトラップ20は、マグネットプレート10から独立して電位を設定可能とすることができる。絶縁体19としては、例えば、碍子を用いることができる。なお、スパッタリングトラップ20の機能については、後述する。
図示しない駆動機構は、マグネットプレート10の中心を通る法線を軸にして、マグネットプレート10とスパッタリングトラップ20とをスパッタリングターゲット2に対して相対的に回転させる。それにより、カソードマグネット12が発生する磁場のスパッタリングターゲット2に対する相対的な位置を変化させることができる。
図1に示すように、スパッタリング装置1は、さらに、例えばスパッタリングターゲット2と基板3との間に電圧を印加する電圧印加手段50を含んでいる。電圧印加手段50は、スパッタリングターゲット2と基板3との間に電圧が印加できれば、どこに接続されていてもよい。例えば、マスク4がメタルマスクである場合には、正電極をメタルマスク4に接続することができる。また、負電極を、例えば、マグネットプレート10またはバッキングプレート13に接続することもできる。
ここで、ペルチェ素子17について、図面を参照しながら説明する。
図5に示すように、ペルチェ素子17は、2枚のセラミック基板31と、複数の金属電極32と、複数のp型半導体33と、複数のn型半導体34とを含んでいる。
2枚のセラミック基板31は、間隙をおいて対向している。これらのセラミック基板31の各対向面上では、金属電極32が配列している。各金属電極32の両端は隣り合う2つの金属電極32の近接した端とそれぞれ対向している。
n型半導体33およびp型半導体34は、各々が金属電極32の向き合った端部間に介在しており、金属電極32の配列方向に沿って交互に配列している。
図5に示した構成を有する素子は、電流を流すことによりペルチェ(Peltier)効果が起きるので冷却または吸熱の能力を持つ。
ここで、ペルチェ効果について説明する。物質の両端に温度差を与えると、超伝導体以外であれば必ず起電力が生じる。この現象をゼーベック(Seebeck)効果と呼び、これらを身近に利用しているのが、温度測定に用いられる熱電対(thermocouple)である。物質の高温端と低温端とに外部回路を接続すれば、この熱起電力により電流を発生させ、電力として取り出すことができる。これとは逆に、2種の物質を接合して電流を流すと、接合点で電流の向きに応じて熱が発生または吸収される。この現象がペルチェ(Peltier)効果と呼ばれているものであり、先述のゼーベック効果とは表裏一体の熱電現象である。ゼーベック効果およびペルチェ効果の2つの熱−電気の変換過程を総称し、熱電変換(thermoelectric conversion)と呼ぶ。
ペルチェ現象は、電流を反転させるだけで加熱と冷却とを切り替えることが可能で、応答速度も極めて速いので、熱電冷却や電子冷熱として、半導体レーザーや高感度の赤外線検出器やCCDなどの冷却、更には半導体製造プロセスや医療機器など精密な温度制御や局所的な急速冷却が要求される分野に広く利用されている。
ペルチェ素子17は、プラスの熱電能を持つP型半導体33とマイナスの熱電能を持つN型半導体34とを有している。P型半導体33とN型半導体34とはその相対熱電能が非常に大きいため、ペルチェ素子17を用いると、大きなペルチェ効果を活用できる。
したがって、ペルチェ素子17を支持体15の上部に設けることで、真空下で容易に基板3およびマスク4を冷却することが可能である。さらに、ペルチェ素子17を設けるにあたっては、装置の大幅改良が必要ないという利点もある。
次に、図1に示すスパッタリング装置を用いた薄膜の形成方法の一例を説明する。
まず、図1に示すように、バッキングプレート13上にスパッタリングターゲット2を載置して固定し、ホルダ部14に基板3とメタルマスク4とを取り付ける。
その後、真空チャンバを真空にして、スパッタリングを行う。
ここで、スパッタリング法による成膜の原理などについて説明する。
スパッタリング法は、高速粒子をターゲットに入射、衝突させることで薄膜を形成する方法である。高速粒子としては、スパッタリング現象が放電管中で発見されたという歴史的背景と、さらには簡便であることなどから、グロー放電で発生した正イオンを用いることが多い。直流二極スパッタリング法は、グロー放電を利用したもっとも簡便な薄膜作製法である。
直流グロー放電は、10〜10×10-2Torr程度の低圧力気体中に2枚の対向電極をおき、数百V以上の高電圧を印加したときに両電極間に生ずる冷陰極放電であって、そのときの電流密度は10×10-1〜10×102A/m2である。気体中には宇宙線などで自然発生した正イオンや電子が存在しており、これらの荷電粒子は印加された電圧により加速されて電極に衝突する。ここで正イオンに着目する。正イオンは、電圧が高ければ、電極に衝突することにより二次電子を放出させる。放出された二次電子は、電圧により加速されて陽極に向かう。加速された二次電子のエネルギーが十分大きくなり、しかも気体分子の密度がある程度以上大きければ、それらは気体分子と衝突してイオン化を生じさせ、イオンと電子とが次々に生成する。これは、アバランシェ(avalanche)効果と呼ばれる現象である。正イオンおよび電子は、放電空間や電極中で再結合して中和するので、この現象はある状態で定常に達する。このような二次電子の冷陰極放出を基本とする放電がグロー放電と呼ばれ、熱電子放出を基本とするアーク放電とは区別される。
直流グロー放電をマクロ的に見ると、生成した正イオンは、陰極の周辺に正の空間電荷層を形成している。さらに、この正の電荷層に隣接して、陽極側に負の空間電荷層が生じている。電圧降下の大部分は、正の空間電荷層において生ずる。正イオンの1個1個を見ると、それらは陰極に向かって加速され、さらに定常的に陰極に衝突している。陰極に衝突する際、陰極は二次電子だけでなく、その他に二次イオン、中性粒子などの陰極(ターゲット)物質を放出する。この現象を利用した方法が、直流二極スパッタリング法である。二次イオンの量は中性粒子の10-2程度なので、薄膜形成だけを考えるときは通常無視される。陰極から飛び出した中性粒子が基板上で凝縮して薄膜を形成する。
マグネトロンスパッタリング法は、スパッタリング法の1つの形態であり、平板状陰極面に磁場をかけて放電するマグネトロン放電により膜形成を行うスパッタリング法である。マグネトロンスパッタリング法では、典型的には圧力≒5mTorr(Ar)において、電圧V≒600Vで20mA/cm2程度の高電流密度の放電が得られる。このとき、陰極面上に、数mmの薄い暗部を隔てて明るく輝くドーナツ状の高密度プラズマ(≒1×1018-3)が生成される。
ここで、プラズマ発生の原理を概略的に説明する。
気体を構成している原子や分子は、原子核の周りに電子が捕まえられた準中性状態にある。このような気体中に放電などによって外部からエネルギーを与えてやると、電子は原子核の引力を振り切り自由になり、気体は電子と原子核(正イオン)とがバラバラになった状態になる。これが、固体、液体、気体に並ぶ第4の状態といわれるプラズマである。
物質の第4状態であるプラズマは、特異な物理的性質および化学的性質を有している。第1に、高温であるので、粒子の運動エネルギーが大きい。第2に、電荷を持つ粒子の集団なので、導電性があり、金属のように振舞う。第3に、化学的に活性であって、反応性が高い。例えば、メタンガスと水素ガスとを混ぜて放電を生じさせ、壁温を適度に設定すると、壁面にダイヤモンドが析出してくる。第4に、プラズマは発光するので、光源として利用することができる。例えば、夜の街を彩るネオンサインやナトリウム・水銀などの放電を用いる照明はよく目にするところである。このようなプラズマの性質は、プラズマ内の電子と気体分子との衝突に由来している。
プラズマ中の粒子は電場やローレンツ力(電荷qをもつ粒子が磁界B中を運動するときに受ける力:−qv×B)、圧力勾配、粘性力などが存在するときに加速を受ける。プラズマは準中性条件を満たすため、1価の正イオンの場合、電子とイオンとは密度が等しい。従って、プラズマの密度を求めるにはどちらかの密度を調べれば良い。
マグネトロンスパッタリング法において、発生するドーナツ状の高密度プラズマの大半径R(≒4cm)は、陰極背面に設けられた磁石が発生する磁力線の形状でほぼ決まるが、ドーナツの厚さaは半径Rの位置の磁場(≒200Gs)と加速電圧Vによって、電子のラーモア半径(ρ≒0.5cm)程度になる。なお、イオンは重くてラーモア半径が大きいので磁場は効かないと考えてよい。このように低い圧力でも高密度のプラズマが生成するのは、次のような二次電子のE×Bドリフトによる周回運動の効果(マグネトロン効果)による。
プラズマ内の正イオンは、陰極暗部の電圧降下で加速されて陰極面をたたき、そこから二次電子を放出させる。この二次電子は、暗部の電場で加速されてeV(例えば600eV)程度の高いエネルギーを得る。この高エネルギー電子は無磁場では電極間の距離だけ走って陽極に吸収されて消滅するので、その寿命は短く、電離効率が悪い。しかし、マグネトロン放電では陰極面に平行に磁場があるので、二次電子は、陰極面上をE×Bドリフトをしながらサイクロイドを描いて、ドーナツに沿う方位角方向に周回する。その結果、二次電子が最終的に陽極に吸われて消滅するまでの寿命が長くなり、数多くの電離を起こしてドーナツ状の高密度プラズマができる。
陽極は電子を捕集して電流を流す働きをするだけなので、陰極と対向させて平板状陽極をおく方式の他に、リング状の陽極面を陰極面と同じ平面上におく方式もよく用いられている。
直流マグネトロンプラズマは直流電流を流す必要があるので、陰極材料(スパッタ材料)は導電性でなければならない。そこで、絶縁性の薄膜をスパッタリング法で形成する場合には、RFマグネトロンプラズマが用いられる。すなわち、陰極にRF電圧をフローティングの状態で印加すると正イオンのチャージアップが打ち消され、陰極表面には直流の自己バイアス電圧が発生する。この電圧によってイオンが加速され、絶縁性の陰極材料もスパッタすることが可能になる。
しかし、高エネルギープロセスのため、有機薄膜上へ透明導電膜を形成する場合、下地の有機薄膜に、反跳Arイオンやγ電子、更には加速されたターゲット粒子が衝突して大きなダメージを与えるという問題を有している。ここで、Arイオンは、準中性状態の気体Arを放電などによりプラズマ化させたときに生成する正イオンである。また、γ電子は、二次電子であり、プラズマ電子が気体Arやターゲット粒子に衝突した際に放出される高エネルギー電子である。
さて、本実施形態では、駆動機構を用い、マグネットプレート10とスパッタリングトラップ20とをマグネットプレート10の中心を通る法線を軸にしてスパッタリングターゲット2に対して相対的に回転させながらスパッタリングを行う。
マグネトロンスパッタリング法では、カソードマグネットが発生した磁場の作用により、スパッタリングターゲット近傍のカソードマグネットに対応した位置にドーナツ状のプラズマが発生する。スパッタリング中、この磁場のスパッタリングターゲットに対する相対的な位置が不変であると、高密度プラズマによりスパッタリングターゲットが局所的にドーナツ状の侵食を受けてしまい、高いターゲット利用効率を達成できない。
図1のスパッタリング装置1では、カソードマグネット12を含んだマグネットプレート10とスパッタリングトラップ20とをスパッタリングターゲット2に対して相対的に回転させることで、カソードマグネット12が発生する磁場のスパッタリングターゲット2に対する相対的な位置を変化させることができる。そのため、スパッタリングによる局所的な侵食を避けることができる。つまり、図1のスパッタリング装置1によると、高いターゲット利用効率を達成できる。
図1のスパッタリング装置1は、例えば、有機電界発光素子の製造に利用することができる。
有機電界発光素子の一形態であるトップエミッション型有機電界発光素子では、上部電極に透明導電膜を使用することがある。この透明導電膜は、有機電界発光素子の製造工程で一般的に使用される蒸着法によって形成することができず、スパッタリング法で形成される。スパッタリング法では、プラズマ(O2-、Ar+)を発生させるため、基板上に形成されている有機電界発光層がダメージを受けやすい。スパッタリング法によって有機層が受けるダメージを実際に分析したところ、主に、スパッタリングによる高エネルギー粒子の衝突、プラズマや紫外線の基板への照射などがダメージの原因であることがわかった。有機電界発光素子がダメージを受けると、駆動電圧の上昇、発光効率の低下、低寿命化などの様々な問題が生じる。そのため、トップエミッション型有機電界発光素子では、いかに有機電界発光層にダメージを与えずに透明導電膜を作製するかが1つの技術課題となっている。
図1のスパッタリング装置1のスパッタリングトラップ20は、上で説明したように、カソードマグネット12に対応した寸法の開口22が設けられた遮蔽板21を含んでおり、この開口22は常にカソードマグネット12に対応した位置にある。したがって、広角側に進行する反跳Arイオンやγ電子などの荷電粒子は、遮蔽板21によって遮られ、基板へ入射することはない。
しかも、このスパッタリングトラップ20では、複数のトラップマグネット23が各々の一方の磁極が開口22の中心を向くように遮蔽板21の開口22に沿って放射状に配置されている。これらトラップマグネット23は、開放磁場を形成する。この開放磁場は、反跳Arイオンなどの荷電粒子の進行方向を曲げる。また、トラップマグネット23が形成する開放磁場は、リーク荷電粒子であるγ電子を捕捉する。
すなわち、スパッタリングトラップ20は、広角側に進行する反跳Arイオンやγ電子などの荷電粒子が基板3に入射するのを防止するのに加え、低角側に進行する反跳Arイオンやγ電子などの荷電粒子が基板3に入射するのを抑制する。したがって、スパッタリングトラップ20を設置すると、荷電粒子の基板3への入射、飛散を大幅に抑制することができる。
一方、ターゲット粒子は、電気的に中性であるため、トラップマグネット23が形成する磁場の影響を受けない。遮蔽板21に設けられた開口22は、上で説明したように、常にカソードマグネット12に対応した位置にあるため、ターゲット粒子は開口22を通って基板3に達する。したがって、スパッタリングトラップ20を設置したことによる成膜レートおよび面内膜厚分布の悪化はない。
スパッタリングトラップ20は電荷を帯びたArイオンやγ電子をトラップするので、スパッタリングの進行に伴い、電荷がスパッタリングトラップ20に溜まる可能性がある。スパッタリングトラップ20に電荷が溜まると、スパッタリングトラップ20とスパッタリングターゲット2との間および/またはスパッタリングトラップ20と基板3との間の電位差が変化する。その結果、プラズマの荷電粒子バランスが変化してしまう。
このような場合には、スパッタリングトラップ20の遮蔽板21として金属層を含んだ遮蔽板または金属板を用い、さらに、この遮蔽板21に接続した電位差制御手段51で所望の電圧を印加することにより、荷電粒子のバランスを最適化することができる。
電位差制御手段51としては、例えば、DC電源を用いることができる。また、電位差制御手段51は、極性切替機構を有していてもよい。電位差制御手段51が極性切替機構を含んでいると、荷電粒子バランスをより効率的に最適化することができる。
なお、スパッタリングトラップ20とスペーサー18との間に絶縁体19を介在させていれば、スパッタリングトラップ20は、マグネットプレート10から独立して電位を設定可能とすることができる。
スパッタリングトラップ20の電位をマグネットプレート10から独立して設定することができれば、さらに効率よく先の電位差の変化を防止し、それゆえに荷電粒子バランスが変化してしまうことを防ぐことができる。
また、スパッタリングトラップ20の電位をマグネットプレート10から独立して設定することができるので、例えば、スパッタリングトラップ20の電位をスパッタリングターゲット2の電位よりも高く設定することできる。この場合、スパッタリングトラップ20にγ電子を捕捉させることができる。また反対に、スパッタリングトラップ20の電位をスパッタリングターゲット2の電位よりも低く設定すると、スパッタリングトラップ20に正イオンを捕捉させることができる。
以上の説明から明らかなように、図1のスパッタリング装置1をトップエミッション型有機電界発光素子の透明導電膜の形成に使用すると、透明導電膜の形成に伴って基板表面の有機層に与えるダメージを低減することができる。
なお、図1のスパッタリング装置1は、トップエミッション型有機電界発光素子の上部電極の形成だけでなく、ボトムエミッション型有機電界発光素子などの他の有機電界発光素子の透明導電膜の形成にも用いることもできる。また、この装置1を有機電界発光素子の製造以外に使用することも、もちろん可能である。
ここで、有機電界発光素子について説明する。
有機電界発光素子は、基材上に、第1電極と、有機発光層と、第2電極とがこの順で設けられた構成を有し、電極間に電流を流すことにより有機発光層を発光させるものである。ここで、第1電極および第2電極のうち、一方は陽極、他方は陰極として働く。また、第1電極と第2電極との間には、発光補助層として、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層などが必要に応じて設けられる。
有機電界発光素子は、これを大気中の水分から保護することを目的として封止される。有機電界発光素子は、例えば、ガラスキャップまたは金属キャップを基材と貼り合わせる方法や、有機電界発光素子をバリア層などにより被覆する方法を用いて封止することができる。
有機電界発光素子から光を取り出す方法としては、例えば、発光した光を基材側から取り出すボトムエミッション方式と、基材と反対側から光を取り出すトップエミッション方式とが挙げられる。
ボトムエミッション型の有機電界発光素子では、有機発光層を基準として基材側の層は、発光した光を透過させるために透明である必要がある。すなわち、基材および第1電極は透明である必要がある。
一方、トップエミッション型の有機電界発光素子では、有機発光層を基準として第2電極側の層は、発光した光を透過させるために透明である必要がある。すなわち、第2電極は透明である必要があり、また、封止によって光が遮断されないようにする必要がある。
また、一般的なトップエミッション型では、第1電極として反射電極を用い、発光層と反射電極との間に正孔注入層と正孔輸送層とが設けられているため、ボトムエミッション型有機電界発光素子と比べて、第1および第2電極間の距離が大きくなる。これら電極間の光学距離が発光波長460nm(青緑の励起光)の半波長程度になると、光学的な干渉を強く受けるため、各層の膜厚を最適化しないと、スペクトルや効率など、発光特性を制御できない。そのため、光学設計も非常に重要になる。
次に、図面を参照しながら、図1に示すスパッタリング装置を製造に利用することが可能なトップエミッション型の有機電界発光素子を含んだ有機電界発光装置を、その製造方法とともに説明する。
図6に、トップエミッション型の有機電界発光素子を含んだ有機電界発光装置の一例の概略断面図を示す。
図6に示すトップエミッション型有機電界発光装置100は、基材101と、有機電界発光素子200と、絶縁性隔壁102と、封止基材105とを含んでいる。各有機電界発光素子200は、反射電極201と、正孔輸送層202と、有機発光層203a〜203cのいずれかと、電子注入性保護層204と、透明電極205とを含んでいる。
基材101としては、ガラス基材やプラスチック製のフィルムまたはシートを用いることができる。プラスチックフィルムを採用すると、巻き取りにより有機電界発光素子の製造が可能となるため、安価に素子を提供できるという利点がある。プラスチックフィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネートなどを用いることができる。なお、有機電界発光装置をアクティブマトリクス駆動方式の有機電界発光装置とする場合は、基材101として、薄膜トランジスタ(TFT)を備えたTFT基材を用いる必要がある。
基材101上には、例えばストライプ形状にパターニングされた反射電極201が形成されている。反射電極201は、第1電極であり、有機電界発光素子の陽極として働く。反射電極201の材料としては、例えば、Mg、Al、Crなどの金属材料を用いることができる。なお、反射電極201は、Mg、Al、Crなどの反射電極とITOなどの透明電極とを含んだ2層構成であってもよい。このとき、ITO層は、陽極界面層として設けられる。反射電極201の形成方法としては、例えば、蒸着法やスパッタリング法などの真空成膜法を用いることができる。
基材101上には、絶縁性隔壁102がさらに形成されている。絶縁性隔壁102は、反射電極201のパターンの間隙に形成され、反射電極201の縁部を覆っている。絶縁性隔壁102は、反射電極201と、正孔輸送層202と、有機発光層203a〜203cのいずれかと、電子注入性保護層204とを含んだ1つの積層体を、隣り合う他の積層体から隔離している。それにより、絶縁性隔壁102は、これら積層体の間での短絡を防いでいる。絶縁性隔壁102の材料としては、例えば、感光性材料を用いることができる。感光性材料としては、ポジ型であってもネガ型であってもよく、例えば、ノボラック樹脂、ポリイミド樹脂などを用いることができる。絶縁性隔壁102は、例えば、パターン露光および現像などを含んだフォトリソグラフィー法によって形成することができる。
正孔輸送層202は、反射電極201上に形成されている。正孔輸送層202の材料としては、例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)などを用いることができる。正孔輸送層202は、例えば、上記材料を水に溶かして塗工液とし、この塗工液をスピンコート法などにより塗工し、その後乾燥させることで形成することができる。
有機発光層203a〜203cは、正孔輸送層202上に形成されている。有機電界発光装置100にフルカラー画像を表示させる場合には、有機電界発光装置100は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光色をそれぞれ有する有機発光層を含む必要がある。図6において、有機電界発光装置100は、赤色有機発光層203aを含んだ有機電界発光素子200と、緑色有機発光層203bを含んだ有機電界発光素子200と、青色有機発光層203cを含んだ有機電界発光素子200とを含んでいる。有機発光層203a〜203cの材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)やポリフルオレン(PF)を用いることができる。
有機発光層203a〜203cは、例えば、レリーフ印刷を用いて形成することができる。レリーフ印刷については、後述する。
電子注入性保護層204は、有機発光層203a〜203cの上に形成されている。電子注入性保護層204の材料としては、例えば、CaやBaなどの低仕事関数の希土類元素を用いることができる。電子注入性保護層204は、蒸着法を用いて形成することができる。
透明電極205は、電子注入性保護層204および絶縁性隔壁102上に形成されている。この装置100にパッシブマトリックス駆動方式を採用する場合には、透明電極205は、ストライプ状のパターンを形成するように配置する。また、この装置100にアクティブマトリックス駆動方式を採用する場合は、透明電極205は連続膜とする。透明導電膜205は、有機電界発光素子200の陰極として働く。透明電極205としては、例えば、透明導電膜を用いることができる。
ここで、透明導電膜について説明する。
透明導電膜の用途は、多岐にわたる。例えば、透明導電膜は、発光ダイオード、半導体レーザー、フラットパネルディスプレイなどの様々な物品で使用されている。
透明導電膜は、オプトエレクトロニクスデバイスの電極として使用する場合、各々のデバイスの使用条件に応じた要求を満たさなければならない。例えば、透明導電膜の材料には、電気的特性と可視光領域の光学的特性との双方に優れていることが要求される。そのような材料としては、例えば、In23にSnをドーパントとして添加してなるインジウム錫酸化物(ITO)などの酸化インジウム系材料、SnO2にドーパントを添加してなる酸化スズ系材料、ZnOにAlをドーパントとして添加してなるアルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、ZnOにGaをドーパントとして添加してなるガリウム亜鉛酸化物(GZO)、およびZnOにInをドーパントとして添加してなるインジウム亜鉛酸化物などの酸化亜鉛系材料を挙げることができる。
透明導電膜の材料としては、CdO系材料および酸化ガリウム系材料を用いることも可能である。但し、CdO系材料に関しては、Cdが毒性を有するという問題がある。また、酸化ガリウム系材料からなる透明導電膜は、ワイドバンドギャップを持つなど数々の特徴を有しているが、ガリウムは豊富に産出される材料とは言い難い。このように、透明導電膜に使用可能な材料の中には、環境および資源の観点から使用が制約されるものがある。
上記の通り、ITOの母結晶はIn23である。酸化物換算で5から10質量%の錫を含有したITOは、絶縁体のように透明でありながら、導電性が高く(1×103S/cm)、吸収も少ない。
透明性に優れたITOでは、In23結晶の構造的な完全性が高く、バンドギャップ内の電子捕獲準位が非常に少ない。すなわち、透明性に優れたITOでは、結晶内で原子が正しく且つ過不足なく位置している。
In23試薬は、黄白色である。酸素を僅かに含んだ雰囲気(分圧で1×10-1Pa以下)中でIn23を蒸着またはスパッタ成膜すると、透明導電膜が得られる。しかし、この化合物は酸素を手放しやすく、例えば真空中での加熱や数%の水素を含んだ還元雰囲気中での加熱によって容易に還元され、これに伴い、青黒、黒、茶褐色へとこの順に変色する。In23系材料の導電性は、母結晶のIn原子をSn原子で置換するか、または、酸素欠損が生じる条件の下で成膜することで発現する。
ITOの透明性は、ITOのバンドギャップが可視光波長域内の最短波長である400nm付近にあることに由来している。しかし、これだけでは不十分で、高い透明性を達成するには、バンドギャップ内に常温で電子が常駐するような準位が少ないかまたは無視できることが必要である。このようなバンドギャップ内準位は、酸素欠損や、インジウム原子、錫原子または原子集団(クラスター)による格子欠陥に由来するものである。したがって、優れた透明性を達成するためには、母結晶自体が良質の結晶格子を形成しやすいものでなくてはならない。In23は、酸化性が極度に弱い雰囲気で成膜しない限り、この要件を満足する。実際、In23は、基板温度を300℃程度にしておけば、酸素がやや不足した雰囲気条件であっても、厚さが数10nmの段階から半値幅の狭いX線回折パターンを示す。このIn23の結晶化しやすい特徴は、Snの添加量が数10%程度以下の範囲内であれば失われない。これは、SnO2膜やZnO膜とは大きく異なる特徴である。
透明導電膜を含む透明電極205は、図1のスパッタリング装置を用いて形成することができる。図1のスパッタリング装置を用いて透明電極205を形成することにより、有機発光層203a〜203cへのダメージを低減させることができるため、発光特性の優れた有機電界発光素子を製造することができる。また、図1のスパッタリング装置を用いたスパッタリング法では、成膜中のマスク4の温度上昇も抑えることができる。したがって、マスクの熱膨張や熱変形を抑えることができ、透明電極205を正確にパターニングすることができる。
有機電界発光素子200は、バリア層103で被覆されている。バリア層103は、光透過性を有している必要がある。バリア層103の材料としては、例えば、窒化珪素層、酸化珪素層、窒化酸化珪素層を用いることができる。バリア層103は、例えば、化学気相堆積(CVD)法により形成することができる。なお、CVD法は、形成すべき膜が含有している元素を含んだ化合物を気化させてなるガス、または、このガスと水素および/または窒素などのキャリアガスとの混合ガスを、高温に加熱した基板表面に供給し、基板表面で分解、還元、酸化、置換などの化学反応を起こさせ、基材上に薄膜を形成する方法である。
有機電界発光素子200などが形成された基材101は、樹脂層104を介して、封止基材105に貼り合わされている。
樹脂層104の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂などからなる光硬化型接着性樹脂、熱硬化型接着性樹脂、2液硬化型接着性樹脂、エチレンエチルアクリレート(EEA)ポリマー等のアクリル系樹脂、エチレンビニルアセテート(EVA)等のビニル系樹脂、ポリアミド、合成ゴム等の熱可塑性樹脂、ポリエチレンやポリプロピレンの酸変性物などの熱可塑性接着性樹脂を使用することができる。
封止基材105の材料としては、例えば、無アルカリガラスおよびアルカリガラスなどのガラスやプラスチック材料を用いることができる。封止基材105は、ガラスまたはプラスチック材料からなる層と、その上に形成されたCaO層とを含んだ多層構造を有していてもよい。有機電界発光素子200などが形成された基材101と封止基材105とを、CaO層とバリア層103とが向き合うように貼り合わせると、CaO層を乾燥剤として利用することができる。CaO層は、透明であるので、画像表示を妨げることがない。したがって、CaO層は、表示領域の全体に亘って形成することができる。
基材101と封止基材105との貼り合わせには、例えば、ロールを用いた熱圧着を利用することができる。また、樹脂層104の材料として光硬化型接着性樹脂を使用する場合には、紫外光等を照射することにより貼り合わせることができる。
基材101と封止基材105との貼り合わせた有機電界発光装置100は、上で説明したように、透明電極205を形成した際の有機発光層203a〜203cなどへのダメージが小さく、発光特性に優れている。
なお、トップエミッション型の有機電界発光素子200には、上で説明した構成だけでなく、様々な構成を採用することができる。例えば、反射電極201を陰極とし、透明電極205を陽極としてもよい。また、図6では、反射電極201と透明電極205との間に、正孔輸送層202と有機発光層203a〜203cのいずれかと電子注入性保護層204とが介在しているが、正孔輸送層202および電子注入性保護層204の一方または双方を省略してもよい。有機電界発光素子200は、正孔注入層、電子輸送層、電荷発生層などの発光補助層をさらに含んでいてもよい。
基板101の電極を成膜しない側に、セラミック蒸着フィルムやポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物等の他のガスバリア性フィルムを積層しても良い。また、基材101および封止基材105として、可撓性を有しているプラスチック基材を使用してもよい。こうすると、フレキシブル有機電界発光装置が得られる。
図7に、図1に示すスパッタリング装置1を製造に利用することが可能な有機電界発光装置の他の例の概略断面図を示す。
図7に示す有機電界発光装置300は、両面発光型の有機電界発光装置である。有機電界発光装置300は、第1電極を反射電極201ではなく透明電極206とした以外は、図6に示す有機電界発光装置100とほぼ同様の構造を有している。この有機電界発光装置300は、上面と下面との双方で画像を表示可能である。
有機電界発光装置300の製造では、透明電極205および透明電極206が含んでいる透明導電膜の形成に、図1に示すスパッタリング装置を使用することができる。
次に、有機発光層203a〜203cの形成に利用可能な印刷法について説明する。
有機発光層203a〜203cを印刷法により形成する場合、その印刷法としては、インクジェット印刷法、オフセット印刷法、レリーフ印刷法等を利用することができる。
図8は、レリーフ印刷機を概略的に示す図である。
このレリーフ印刷機400は、インキ401を収容しているインキ溜め402と、アニロックスロール403と、ドクターブレード404と、版胴405と、版胴405に巻き付けられたレリーフ刷版406と、圧胴407とを含んでいる。ここでインキは、有機発光層203a〜203cの材料を、それぞれ、トルエンなどの芳香族系溶媒に溶解させたものである。レリーフ印刷法では、アニロックスロール403を回転させて、インキ溜め402に収容されているインキ401を、アニロックスロール403の表面に付着させ、次いで、アニロックスロール403の表面に付着した過剰量のインキ401をドクターブレード404により掻き落とす。次に、アニロックスロール403の表面からレリーフ刷版406上にインキ401を供給し、このインキ401をアニロックスロール403と圧胴407とにより被転写基板408上に転写する。
レリーフ印刷法では、アニロックスロール403により、厚みのある高弾性の樹脂凸版406に水性インキまたはUVインキ401を付着させ、このインキ401を樹脂凸版406から被印刷体408へと直接に転写する。そのため、レリーフ印刷法によると、平滑性の低い面や、フィルムおよび布等のフレキシブル基材への印刷も可能である。また、非常に薄く均一なベタ印刷を得意とし、様々な樹脂や薬品を塗り重ねることにより、更に精度を高めることも可能である。近年、レリーフ印刷の技術革新により、高精緻で精巧な多色表現が可能となっている。また、水性インキがレリーフ印刷に適応していることから、環境性が高いとされ、特に食品、医薬品のパッケージ分野において広く利用されている。更にインキの塗布量が少ないことから、残留溶剤も少ない。
ここで、有機電界発光装置の駆動方式について説明する。
有機電界発光装置の駆動方式としては、例えば、パッシブマトリクス駆動方式とアクティブマトリクス駆動方式とが挙げられる。パッシブマトリクス駆動方式は、有機発光層を挟んでストライプ状の電極を直交させるように対向させ、その交点で発光させる駆動方式である。他方、アクティブマトリクス駆動方式は、画素毎にトランジスタを設けたアレイ基板を使用して、映像信号を書き込むべき画素と表示動作を行うべき画素とを互いから電気的に切り離す駆動方式である。
パッシブマトリクス駆動方式では、走査するストライプ状の電極数が大きくなるほど各画素における点灯時間は短くなるため、ON状態では瞬間発光輝度を大きくする必要がある。瞬間発光輝度を大きくした場合には、素子寿命が低下するので、走査するストライプ状の電極数が数100本を超える高精細ディスプレイには適さない。パッシブマトリクス駆動方式の表示エリアは、陽極と陰極とによる単純マトリクスで構成されており、陰極と陽極とが交差した部分で発光可能である。パッシブマトリクス駆動方式は、Rowライン、すなわち、陰極、が選択された時のみ点灯するデューティ駆動であり、また、駆動用ドライバICは外付け実装する必要がある。
アクティブマトリクス駆動方式の有機電界発光装置では、各画素はスイッチング素子とメモリ素子とを含んでいる。アクティブマトリクス駆動方式によると、各画素は、その書込期間において映像信号を記憶し、書込期間に続く表示期間では先の映像信号の大きさに対応した輝度で発光し続ける。ディスプレイを大型化した場合であっても、瞬間発光輝度は小さくてよく、寿命の観点で有利である。また、パッシブマトリクス駆動方式に比べ、低電圧駆動が可能であるので、消費電力も小さくすることができる。したがって、ディスプレイの大面積化や高精細化の観点では、アクティブマトリクス駆動方式がより優れているといえる。
有機電界発光素子は電流で駆動するため、有機電界発光装置にアクティブマトリクス駆動方式を採用した場合には、比較的大きな電流を流すことができるTFTが必要である。このため、多くの場合、TFTとして、移動度が高い低温ポリシリコンTFTを使用している。低温ポリシリコンTFTは、安価なガラス基板上に形成することができ、また、このガラス基板上には、低温ポリシリコンTFTを含んだ周辺ドライバ回路を形成することができる。したがって、コンパクトな装置を実現可能である。アクティブマトリクス型有機電界発光装置の応用分野は、TFTを用いたアクティブマトリクス型液晶装置の応用分野と重なっている。したがって、市場規模は巨大であり、将来的に、液晶装置の置き換えや有機電界発光素子に特有の新しい市場の開拓などが大いに期待されている。
以下に、本発明の例を記載する。
(実施例)
本例では、以下の方法により、図6の有機電界発光装置を製造した。ただし、本例では、有機発光層203a〜203cの全てを、発光色が緑の有機発光層とした。
まず、スパッタリング法により、ガラス基板101上にクロム層およびITO層を順次形成した。次いで、フォトリソグラフィー技術を用いて、クロム層とITO層との積層体をストライプ状にパターニングした。これにより、クロム層とITO層との積層体からなる陽極201を得た。
次に、フォトリソグラフィー技術を利用して、先のストライプパターンの間隙にポリイミドからなる絶縁性隔壁102を形成した。
次いで、PEDOTとPSSとを水に溶解させて塗工液を調製した。この塗工液を基板101の絶縁性隔壁102側の主面にスピンコート法により塗布して、正孔輸送層202を得た。
その後、緑色有機発光材料であるポリフルオレン(PF)をトルエンに溶解させてインキを調製した。このインキを正孔輸送層202上にレリーフ印刷法により印刷して、有機発光層203a〜203cを得た。
次に、マスクを用いた蒸着法により、有機発光層203a〜203c上に、バリウムとアルミニウムとからなる電子注入層204をストライプ状に形成した。電子注入層205は、そのストライプパターンが陽極201のストライプパターンと直交するように形成した。
次に、図1に示す、スパッタリング装置1を用いて、電子注入層204および絶縁性隔壁102上に、ITOからなる厚さが150nmの陰極205を形成した。
ここで、カソードマグネット12としては、半径が300mmの円盤形状の支持プレート11に差し込まれた3000本のピンカソードマグネット12aから構成されたものを用いた。カソードマグネット12は、マグネットプレート10の中心から120mm離間した位置に中心を持ち、一辺が120mmの正六角形の平面形状とした。スパッタリングトラップ20としては、半径が300mmの円盤形状の非磁性体からなる遮蔽板21と、480個のトラップマグネット23とを含んだものを使用した。この遮蔽板21において、開口22の中心は、遮蔽板21の中心から120mm離間していた。スパッタリングトラップ20は、スパッタリングターゲット2から60mm離間し、かつ開口22がカソードマグネット12の位置に対応するように設置した。
本例では、マグネットプレート10とスパッタリングトラップ20とを、スパッタリングターゲット2に対して回転させて、以下の条件でスパッタリングを行った。すなわち、真空チャンバ内の圧力を1.0Paに保ちつつ、真空チャンバ内に、アルゴンガスと酸素ガスとを、それぞれ150sccmおよび0.2sccmの流量で供給した。放電パワーは1.5kWとし、スパッタリングターゲット2と基板3との距離は200mmとした。また、ペルチェ素子17でマスク4を冷却することにより、マスク4の温度を50℃以下に維持した。
次に、CVD法により、陰極205上に酸化珪素からなるバリア層103を形成した。さらに、ガラス基板とその一方の主面に形成されたCaO層とを含む封止基材105を、CaO層がバリア層103と向き合うように樹脂層104を介して貼り合せた。
以上のようにして、図6に示す有機電界発光装置100を完成した。
次に、この有機電界発光装置の特性を調べた。その結果、最高輝度は5000cd/m2であり、最大電流効率は2.5cd/Aであった。
(比較例)
本例では、実施例で説明したのとほぼ同様の方法により、図6の有機電界発光装置を製造した。ただし、本例では、実施例と同様、有機発光層203a〜203cの全てを、発光色が緑色の有機発光層とした。また、本例では、スパッタリングトラップ20とペルチェ素子17とを省略した。スパッタリング中のマスク4の温度は60℃であった。
次に、この有機電界発光装置の特性を調べた。その結果、最高輝度は200cd/m2であり、最大電流効率は0.05cd/Aであった。
本発明の一実施形態に係るスパッタリング装置の概略断面図。 図1に示すスパッタリング装置が含むバッキングプレートの概略平面図。 図1のスパッタリング装置で用いることができるホルダ部を概略的に示す拡大図。 図1のスパッタリング装置が含むスパッタリングトラップの概略平面図。 図1のスパッタリング装置のホルダ部で用いることができるペルチェ素子の一例を概略的に示す断面図。 図1に示すスパッタリング装置を製造に利用することが可能な有機電界発光装置の一例を概略的に示す断面図。 図1に示すスパッタリング装置を製造に利用することが可能な有機電界発光装置の他の例を概略的に示す断面図。 レリーフ印刷機を概略的に示す図。
符号の説明
1…スパッタリング装置、2…スパッタリングターゲット、3…基板、4…マスク、10…マグネットプレート、11…支持プレート、12…カソードマグネット、12a…ピンカソードマグネット、13…バッキングプレート、14…ホルダ部、15…支持体、16…マスクフレーム、17…ペルチェ素子、18…スペーサ、19…絶縁体、20…スパッタリングトラップ、21…遮蔽板、22…開口、23…トラップマグネット、31…セラミック基板、32…金属電極、33…p型半導体、34…n型半導体、100…トップエミッション型有機電界発光装置、101…基材、102…絶縁性隔壁、103…バリア層、104…樹脂層、105…封止基材、200…有機電界発光素子、201…反射電極、202…正孔輸送層、203…有機発光層、204…電子注入性保護層、205、206…透明電極、300…両面発光型有機電界発光装置、400…レリーフ印刷機、401…インキ、402…インキ溜め、403…アニロックスロール、404…ドクターブレード、405…版胴、406…レリーフ刷版、407…圧胴、408…被転写基板。

Claims (13)

  1. スパッタリングターゲットの裏面と対向した支持プレートと、前記支持プレートの中心を通る法線から中心が離れて位置するように前記支持プレートに支持されたカソードマグネットとを含んだマグネットプレートと、
    前記スパッタリングターゲットの表面と対向するように基板を支持するホルダと、
    前記スパッタリングターゲットと前記基板との間に設置され、前記法線からずれた位置に中心を有する開口が設けられた遮蔽板と、前記開口の周囲に、各々の一方の磁極が前記開口の中心を向くように放射状に配置された複数のトラップマグネットとを含み、前記複数のトラップマグネットの前記中心を向いた前記磁極は同極性であるトラップと、
    前記開口の前記カソードマグネットに対する相対位置を一定に保ちながら、前記マグネットプレートと前記トラップとを前記法線の周りで前記スパッタリングターゲットに対して相対的に回転させる駆動機構とを含んだことを特徴とするスパッタリング装置。
  2. 前記遮蔽板は金属層を含み、前記スパッタリング装置は、前記金属層と前記スパッタリングターゲットとの間の電位差を制御する手段をさらに含んだことを特徴とする請求項1記載のスパッタリング装置。
  3. 前記遮蔽板は金属板であり、前記スパッタリング装置は、前記金属板と前記スパッタリングターゲットとの間の電位差を制御する手段をさらに含んだことを特徴とする請求項1記載のスパッタリング装置。
  4. スパッタリングターゲットの裏面と対向した支持プレートと、前記支持プレートの中心を通る法線から中心が離れて位置するように前記支持プレートに支持されたカソードマグネットとを含んだマグネットプレートと、前記スパッタリングターゲットの表面と対向するように基板を支持するホルダと、前記マグネットプレートを前記法線の周りで前記スパッタリングターゲットに対して相対的に回転させる駆動機構とを含んだスパッタリング装置において、前記スパッタリングターゲットと前記基板との間に設置するスパッタリング用トラップであって、
    中心からずれた位置に中心を有する開口が設けられた遮蔽板と、前記開口の周囲に、各々の一方の磁極が前記開口の中心を向くように放射状に配置された複数のトラップマグネットとを含み、前記複数のトラップマグネットの前記中心を向いた前記磁極は同極性であることを特徴とするスパッタリング用トラップ。
  5. スパッタリングターゲットの裏面と対向した支持プレートと前記支持プレートの中心を通る法線から中心が離れて位置するように前記支持プレートに支持されたカソードマグネットとを含んだマグネットプレートを前記スパッタリングターゲットに対して相対的に回転させながらスパッタリングを行って前記スパッタリングターゲットの表面と対向した基板上に薄膜を形成する成膜方法であって、
    前記スパッタリングターゲットと前記基板との間に、前記法線からずれた位置に中心を有する開口が設けられた遮蔽板と、前記開口の周囲に、各々の一方の磁極が前記開口の中心を向くように放射状に配置された複数のトラップマグネットとを含み、前記複数のトラップマグネットの前記中心を向いた前記磁極は同極性であるスパッタリングトラップを設置し、前記開口の前記カソードマグネットに対する相対位置を一定に保ちながら前記スパッタリングを行うことを特徴とする成膜方法。
  6. 前記遮蔽板は金属層を含み、前記金属層と前記スパッタリングターゲットとの間の電位差を制御しながら前記スパッタリングを行うことを特徴とする請求項5記載の成膜方法。
  7. 前記遮蔽板は金属板であり、前記金属板と前記スパッタリングターゲットとの間の電位差を制御しながら前記スパッタリングを行うことを特徴とする請求項5記載の成膜方法。
  8. 基材と、前記基材上に順次形成された第1電極と有機発光層と第2電極とを備えた有機電界発光素子とを含んだ有機電界発光装置の製造方法であって、
    前記第1電極および/または前記第2電極を、請求項5から7のいずれか1項記載の成膜方法により形成することを含んだことを特徴とする有機電界発光装置の製造方法。
  9. 有機発光層材料を溶媒に溶解または分散させてインキを調製し、前記インキを用いて、レリーフ印刷法により、前記有機発光層を形成することをさらに含んだことを特徴とする請求項8記載の有機電界発光装置の製造方法。
  10. 前記基材と前記有機電界発光素子とを含んだ基板に、ガラス基板とその上に形成されたCaO層とを含んだ封止基材を貼り合わせることをさらに含んだことを特徴とする請求項8または9記載の有機電界発光装置の製造方法。
  11. 基材と、前記基材上に順次形成された反射電極と有機発光層と透明電極とを備えた有機電界発光素子とを含んだトップエミッション型の有機電界発光装置の製造方法であって、
    前記透明電極を、請求項5から7のいずれか1項記載の成膜方法により形成することを含んだことを特徴とするトップエミッション型有機電界発光装置の製造方法。
  12. 有機発光層材料を溶媒に溶解または分散させてインキを調製し、前記インキを用いて、レリーフ印刷法により、前記有機発光層を形成することをさらに含んだことを特徴とする請求項11記載のトップエミッション型有機電界発光装置の製造方法。
  13. 前記基材と前記有機電界発光素子とを含んだ基板に、ガラス基板とその上に形成されたCaO層とを含んだ封止基材を貼り合わせる工程をさらに含んだことを特徴とする請求項11または12記載のトップエミッション型の有機電界発光装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010036338A (ja) * 2008-07-31 2010-02-18 Ube Machinery Corporation Ltd 成形機における金型からの排熱回収方法
JP2016164287A (ja) * 2015-03-06 2016-09-08 東京エレクトロン株式会社 成膜装置

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