JP2008240087A - スパッタリング装置及び透明導電膜形成方法並びに有機電界発光素子の製造方法 - Google Patents

スパッタリング装置及び透明導電膜形成方法並びに有機電界発光素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トップエミッション型有機電界発光素子及びその製造方法において、上部透明電極形成時、スパッタリングターゲット表面から基板被成膜面へ入射するプラズマ荷電粒子を捕捉して、発光ポテンシャル低下を抑制することを目的とする。
【解決手段】マグネトロンスパッタリング装置において、ターゲット4は大径開口部4aと、小径開口部4bと、それら開口部4a,4bを接続する周面4cとを有し、バッキングプレート5には、ターゲット4を、その大径開口部4aが基板2に向けられた状態で収容する凹部5aが設けられ、この凹部5aを構成する内周壁面5bは、ターゲット4の周面4cが嵌め込まれるすり鉢形状に形成され、この凹部5aにターゲット4を入れ子式に嵌め合わせる。これにより、基板への副生成荷電粒子の入射も大幅に減少する。
【選択図】図3

Description

本発明は、マグネトロンスパッタリング法を用いたスパッタリング装置及び透明導電膜形成方法並びに有機電界発光素子の製造方法に関する。
透明導電膜は、光通信、半導体レーザー、各種ディスプレイ、記録メディア、民生用機器(デジタルカメラ、プロジェクター、携帯電話、レンズ、ミラー、ランプ等)などの多種多様な分野に応用されており、そして、透明導電膜の製造技術においては、歩留まり向上などの量産時の安定性、また多層膜形成時の膜性能について重要な要求項目となってきている。
有機電界発光素子は、2つの電極間に有機発光層が挟持された構造を有し、電極間に電流を流すことにより有機発光層を発光させるものである。そして、この有機電界発光素子で発光した光を取り出すためには、どちらか一方の電極を透明にする必要がある。また、透明電極としてインジウム・錫酸化物(ITO)からなる透明導電膜等を用いることが提案されている(例えば、特許文献1、2、3、4参照)。
上部光取り出し(トップエミッション)型の有機電界発光素子は、基材と反対の側にある電極を透明電極とするものである。この場合、金属薄膜上に透明導電膜を形成することにより、陰極の保護と配線抵抗の低抵抗化を図ることが提案されている。
また、透明導電膜を陰極とするために下地の有機発光層の保護や電子注入障壁の低減を目的として、有機発光層と透明導電膜の間にバッファー層を挟持状態に設けることが提案されている。
このような透明導電膜の形成には、従来から行われている蒸着法、並びに近年光通信関連で利用されているプラズマやイオンビームによるアシスト蒸着法やイオンプレーティング法、イオンビームスパッタ法などが主に使用されており、その他としてsol/gel法、スプレー法などの湿式法を用いる場合もある。
一方、半導体やフラットパネルディスプレイ、電子部品などの薄膜製造工程における量産装置に使用されている方式としてスパッタリング法がある。このスパッタリング法は成膜速度や膜組成などが安定しており、また大面積基板への均一な成膜が可能であるため、量産化に適した方式として広く利用されている。更に膜厚及び導電性・透明性の均一性が高く、微細エッチング特性にも優れることから、主流ともなっている。
特開2003−901158号公報 特開2001−250678号公報 特許第2850906号公報 特開2005−68501号公報
参考文献1
「色変換方式有機ELによるフルカラー化の実現」 工業材料Vol.52 No.4(2004.4)
参考文献2
「透明導電膜の技術」 日本学術振興会 オーム社(1999.3)
蒸着法により基板上に導電膜をパターン形成する場合、熱的なエネルギーのみで基板に粒子を堆積させて導電膜を形成するため、基板に入射する粒子のエネルギーは0.1eV程度である。これに対し、スパッタリング法にて基板上に透明導電膜をパターン形成する場合、基板に入射する粒子のエネルギーは600eV程度と非常に高い。
一般的に基板に入射する粒子のエネルギーが50eV程度以上になると、粒子が基板内に入り込んだり、基板を構成する原子が叩き出されたり、あるいは基板に欠陥を発生させるといった問題がある。
特に、マグネトロンスパッタリング法により、有機薄膜上に透明導電膜を成膜した場合、高エネルギー粒子である反跳Arプラズマ、γ電子、ターゲット粒子などの飛散・衝突により有機薄膜の分子構造が破壊(結合断裂)され、有機発光材料本来の発光ポテンシャルが低下するという問題があった(非特許文献1,2参考)。
本発明は、上記のような従来の問題を解決するためになされたもので、トップエミッション型有機電界発光素子の製造方法における上部透明電極の形成時に、スパッタリングターゲット表面から基板被成膜面へ入射するプラズマ荷電粒子を捕捉して、発光ポテンシャルの低下を抑制することが可能なマグネトロン式のスパッタリング装置及び透明導電膜形成方法並びに有機電界発光素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記のような従来の問題を解決するためになされたもので、請求項1の発明は、スパッタガスが供給されるスパッタリングチャンバと、前記スパッタリングチャンバ内に配置されたマグネトロンスパッタリング用のターゲットと、前記スパッタリングチャンバ内に設けられ前記ターゲットを支持するバッキングプレートと、前記ターゲットに磁場を形成してスパッタ用のプラズマを発生する磁場形成手段とを備え、前記ターゲットでのスパッタ現象を利用して前記ターゲットに対向して配置された基板に成膜するスパッタリング装置において、前記ターゲットは、大径開口部と、小径開口部と、それら開口部を接続する周面とを有し、前記バッキングプレートには、前記大径開口部を前記基板に向けて前記ターゲットを収容する凹部が設けられ、前記凹部を構成する壁面は、前記周面が嵌め込まれる形状で形成されていることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載のスパッタリング装置において、前記磁場形成手段は、前記凹部の周方向の複数箇所にそれぞれ複数個ずつ配設されたカソードマグネットを有し、前記複数箇所の各カソードマグネットは前記凹部を構成する壁面の傾斜方向に一定間隔で配列され、このカソードマグネットの配列数は所望の磁場強度が得られるように調整可能に設定されることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1記載のスパッタリング装置において、前記バッキングプレートは前記スパッタリングチャンバ内に回転可能に支持され、かつ前記バッキングプレートを回転する駆動機構を備えることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1記載のスパッタリング装置において、前記ターゲットと前記基板との間にプラズマ荷電粒子を捕捉するための円形状のトラップが配設され、前記トラップの外周部に複数の磁石が前記トラップの円周方向に等間隔で、かつ前記トラップの半径方向に延在して配列され、前記複数の磁石の前記トラップの中心を向く極性が同極であることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1記載のスパッタリング装置において、前記トラップと前記ターゲットの間の電位差を制御する手段を備えることを特徴とする。
請求項6の発明は、基板上にスパッタリング法により透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法であって、スパッタリングチャンバ内に配置されたマグネトロンスパッタリング用のターゲットと、前記スパッタリングチャンバ内に設けられ前記ターゲットを支持するバッキングプレートと、前記ターゲットに磁場を形成してスパッタ用のプラズマを発生する磁場形成手段を有するスパッタリング装置を備え、前記ターゲットは、大径開口部と、小径開口部と、それら開口部を接続する周面とを有し、前記バッキングプレートには、前記大径開口部を前記基板に向けて前記ターゲットを収容する凹部が設けられ、前記凹部を構成する壁面は、前記周面が嵌め込まれる形状で形成され、前記ターゲットのすり鉢形状の内面に前記磁場形成手段により磁場を形成するとともに該磁場に閉じ込められたスパッタ用のプラズマを発生させて前記ターゲットをスパッタリングし、そのスパッタ粒子を前記基板に堆積させて透明導電膜を形成することを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6記載の透明導電膜形成方法において、前記磁場形成手段は、前記凹部の周方向の複数箇所にそれぞれ複数個ずつ配設されたカソードマグネットを有し、前記複数箇所の各カソードマグネットは前記凹部を構成する壁面の傾斜方向に一定間隔で配列され、このカソードマグネットの配列数は所望の磁場強度が得られるように調整可能に設定されることを特徴とする。
請求項8の発明は、請求項6記載の透明導電膜形成方法において、前記バッキングプレートは前記スパッタリングチャンバ内に回転可能に支持され、かつ前記バッキングプレートを回転する駆動機構を備えることを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項6記載の透明導電膜形成方法において、前記ターゲットと前記基板との間にプラズマ荷電粒子を捕捉するための円形状のトラップが配設され、前記トラップの外周部に複数の磁石が前記トラップの円周方向に等間隔で、かつ前記トラップの半径方向に延在して配列され、前記複数の磁石の前記トラップの中心を向く極性が同極であることを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項6記載の透明導電膜形成方法において、前記トラップと前記ターゲットの間の電位差を制御する手段を備えることを特徴とする。
請求項11の発明は、基板と、前記基材上に順に形成された第一電極と有機発光層と第二電極を少なくとも備え、前記第一電極と第二電極間に電流を流すことにより有機発光層を発光させる有機電界発光素子の製造方法において、スパッタリングチャンバ内に配置されたマグネトロンスパッタリング用のターゲットと、前記スパッタリングチャンバ内に設けられ前記ターゲットを支持するバッキングプレートと、前記ターゲットに磁場を形成してスパッタ用のプラズマを発生する磁場形成手段を有するスパッタリング装置を備え、前記ターゲットは、大径開口部と、小径開口部と、それら開口部を接続する周面とを有し、前記バッキングプレートには、前記大径開口部を前記基板に向けて前記ターゲットを収容する凹部が設けられ、前記凹部を構成する壁面は、前記周面が嵌め込まれる形状で形成され、前記ターゲットのすり鉢形状の内面に前記磁場形成手段により磁場を形成するとともに該磁場に閉じ込められたスパッタ用のプラズマを発生させて前記ターゲットをスパッタリングし、そのスパッタ粒子を前記基板に堆積させて前記第一電極もしくは第二電極の少なくとも一方をパターン形成することを特徴とする。
請求項12の発明は、請求項11記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記磁場形成手段は、前記凹部の円周方向の複数箇所にそれぞれ複数個ずつ配設されたカソードマグネットを有し、前記複数箇所の各カソードマグネットは前記凹部を構成する壁面の傾斜方向に一定間隔で配列され、このカソードマグネットの配列数は所望の磁場強度が得られるように調整可能に設定されることを特徴とする。
請求項13の発明は、請求項11記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記バッキングプレートは前記スパッタリングチャンバ内に回転可能に支持され、かつ前記バッキングプレートを回転する駆動機構を備えることを特徴とする。
請求項14の発明は、請求項11記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記ターゲットと前記基板との間にプラズマ荷電粒子を捕捉するための円形状のトラップが配設され、前記トラップの外周部に複数の磁石が前記トラップの円周方向に等間隔で、かつ前記トラップの半径方向に延在して配列され、前記複数の磁石の前記トラップの中心を向く極性が同極であることを特徴とする。
請求項15の発明は、請求項11記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記トラップと前記ターゲットの間の電位差を制御する手段を備えることを特徴とする。
請求項16の発明は、請求項11記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記第一電極と第二電極との間に電流を供給すことにより前記有機発光層を発光させるトップエミッション型有機電界発光素子であることを特徴とする。
請求項17の発明は、請求項11記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記有機発光層の形成材料を溶媒に溶解または分散させてインキとする工程と、前記インキを用いて凸版印刷(レリーフ印刷)法により前記基材上に有機発光層を形成する工程とを備えることを特徴とする。
請求項18の発明は、請求項17記載の有機電界発光素子の製造方法において、前記有機発光層及び前記電極を形成した前記基材上に、ガラスにCaOを形成した基材を封止基材として、両者を貼り合わせすることを特徴とする。
トップエミッション型有機電界発光素子の作製において、上部透明電極は有機電界発光素子で一般的に使用される蒸着法では成膜できず、スパッタリング法で成膜される。スパッタリング法は蒸着法と比較して、堆積される粒子の運動エネルギーが大きいこと(数十倍〜数百倍)やプラズマ(O、Ar)が発生するため、基板に形成されている有機電界発光層にダメージが入りやすい。ダメージが入った有機電界発光素子は駆動電圧が増加し、発光効率の低下、低寿命など様々な問題を引き起こす。そのため、トップエミッション型有機電界発光素子では、いかに有機電界発光層にダメージを与えず透明導電膜を作製するかが一つの技術課題となっている。
また、トップエミッション型有機電界発光素子は、有機層成膜前に反射電極(陽極)を形成しなければならない。そのため反射電極は反射率が大きいだけではなく、表面平坦性の確保が重要な課題となる。
一般的なトップエミッション型有機電界発光素子は、反射電極(陽極)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/透明陰極の順に積層されている。この構造は、発光層と反射電極間に正孔注入層と正孔輸送層があるため、ボトムエミッション型有機電界発光素子と比べて発光層と反射電極間の距離が大きくなる。発光層と反射層との光学距離が発光波長(励起光)460nm(青緑)の半波長程度になると、光学的な干渉を強く受けるため、各層の膜厚を最適化しないと発光特性(スペクトルや効率)を制御できない。そのため、光学設計も非常に重要になる。
上部透明電極の作製にあたり有機膜のダメージ部分の分析を行ったところ、スパッタ中の高エネルギー粒子の衝突、プラズマや紫外線の基板への照射などがダメージ原因と判明した。ArイオンをAlq3表面に照射すると、C1s結合エネルギーは変化しないが、N1s、O1s、Al2pの結合エネルギーが変化することを確認した。
従って、Arイオン照射はAlq3(キノリノールAl錯体)中のAl−O結合とAl−N結合にダメージを与えてしまうことが判明した。Alq3表面を400WのArとO2プラズマで10秒間晒した後に大気中光電子分光法で表面を測定した。O2プラズマ照射後の電子分光信号の傾きは小さくなり、更に仕事関数の変化が見られた。これらのことはAlq3表面の酸化に起因していると推定している。ArよりO2プラズマの方がAlq3に対してよりダメージを与えることも分かった(特許文献1参照)。
従来技術におけるターゲットの表面(電極表面)は平板で、基板との位置関係が平行に対向している、いわゆるプラナー(planar)型マグネトロンスパッタリング装置では、陰極(ターゲット)の背後にカソードマグネットが取り付けられ、磁力線は閉じており、少なくとも磁力線の一部が陰極面と平行になるようにできている。実際には数個のカソードマグネットが交互に配置されており、トロイダル(toroidal)型の一種のトンネルを作り、放電プラズマはほぼこのトンネル周辺に拘束される。
プラナー型マグネトロンスパッタリング装置では、プラズマ密度が陰極上の場所によって大きく変わる。そのためにスパッタリングの激しさが陰極上の場所によって非常に異なる。一般にターゲットの磁極−磁極間部分(エロージョンセンター)が大きくスパッタリングされる。従って、陰極上に対向しておかれた陽極上の基板上にできた薄膜では、陰極上のスパッタリングの状態に対応した膜厚の不均一性が生じる。
本発明にかかる透明導電膜形成方法並びに有機電界発光素子の製造方法に用いられるマグネトロンスパッタリング装置のターゲットは、大径開口部と、小径開口部と、それら開口部を接続する周面とを有し、そして、バッキングプレートには、ターゲットを、その大径開口部を基板に向けて収容する凹部が設けられ、この凹部を構成する壁面はターゲットの周面が嵌め込まれる形状で形成されているので、ターゲット表面上のプラズマが基板に対して傾きをもって形成され、それに伴いプラズマ放電(グロー放電)時にプラズマ荷電粒子が陰極電位降下により、ターゲット表面に対して垂直、すなわち傾きを持って衝突するため、その際副生成荷電粒子である反跳Arイオンやγ電子も弾性衝突により同方向に放出される。これにより基板への副生成荷電粒子の入射も大幅に減少できる。
また、本発明においては、基板に形成された堆積膜がターゲットを、その大径開口部と小径開口部を接続する周面がすり鉢形状を呈する構造にしたので、副生成荷電粒子の入射影響を受けなくなることから、膜にArイオンなどが入射する(逆スパッタリング)ことによる組成ズレ(ターゲット組成≠膜組成)の懸念もない。
また、本発明においては、ターゲットと基板間にプラズマ荷電粒子を捕捉させるため、外周部に中心方向の極性が同極となるよう放射状に磁石を設置した円形トラップを設けたことで、トラップ外周部にできた形成磁界により、副生成荷電粒子を本トラップで捕捉拡散させ、基板への入射を更に減少させることが可能である。また、本発明のトラップは電位差を制御する手段を有し、このトラップに負電圧を印加することで正電荷であるArイオンを、正電圧を印加することで電子を、それぞれ静電誘導(クーロン引力)により引き付けて中和し、消滅させることが可能になる。
また、本発明において、ターゲットと基板との間に設けた円形状のトラップに正電圧を印加させるということは、別の捉え方をするとプラズマ雲中に正の電位の電極が挿入されることにより、その周辺に電子が集まり電場を打ち消すような作用を起こさせるということと同義である。そのとき集まる電子の厚さがデバイ長(λD)であり、電位の変化はほぼこの範囲内で起こるので、この中では電場が強く、その外側では電場は弱くなる。λDの内側をイオンシース(イオンさや)と呼ぶ。イオンシースの存在はプラズマの存在にとっては不可欠で、プラズマが生じている系の代表的な長さ、例えば電極間距離はλDより十分大きい必要がある。
また、本発明にかかるマグネトロンスパッタリング装置のバッキングプレートはターゲットに対して回転可能であり、このバッキングプレートを駆動機構により回転させることで、ターゲット表面のプラズマ着火部も移相回転し、それに伴ってターゲットの局部侵食が低減し、結果としてターゲット材の使用効率、基板堆積膜の面内膜厚分布も大幅に向上できる。更に基板への高エネルギー粒子の連続的な入射によるダメージも軽減される。
また、本発明における磁場形成手段は、バッキングプレートの凹部に配設されたカソードマグネットは凹部を構成する壁面の傾斜方向に一定間隔で配列され、このカソードマグネットの配列本数を所望の磁場強度になるように調整可能に設定できるようにしたので、プラズマのターゲット上拘束能の向上が期待できる。
また、本発明においては、トラップの成形材料に図9に示す低熱膨張率材料を用いた。これにより、スパッタリング輻射熱によるトラップ膨張収縮による付着ターゲット粒子の滑落(パーティクル発生)を低下させることが可能になる。
また、本発明におけるレリーフ印刷法は、シンプルで経済性に優れた印刷法である。レリーフ印刷法の仕組みは、レリーフ刷版(樹脂版)表面に、アニロックスロールと呼ばれるローラーでインキをつけ、更にその版を被印刷基材に押し付けて転写する印刷方式である。アニロックスロール表面につき過ぎたインキはドクターブレードにより掻き落され、常に安定した量のインキが版表面に供給できる。
また、本発明の有機電界発光素子の製造方法においては、有機発光層及び電極を形成した基材上に、ガラスにCaOを形成した基材を封止基材として、両者を貼り合わせすることにより、乾燥剤を挿入せず封止を行うことが可能になった。また、ガラスを直接、基材上部に貼り合わせすることから、封止基材での光吸収やキャップ構造のガラスを用いた場合に生じる光路長の変化等の光学損失を軽減させ、光取り出し効率を向上させることができた。
以下に本発明の実施の形態について説明する。
本願発明に用いられる透明導電膜の用途は多岐にわたる。中でもオプトエレクトロニクスデバイス用の電極として使用する場合、種々のデバイスの使用条件に応じた要求を満たさなければならない。特に、透明導電膜形成材料は電気的特性と可視光領域の光学的特性の両方は最低限満足する材料でなければならない。本発明における透明導電膜形成材料としては、酸化インジウム系のITO(InにSnをドーパントとして添加)、その他には酸化スズ系ではSnO(ドーパント添加)、酸化亜鉛系ではAZO(ZnOにAlをドーパントとして添加)、GZO(ZnOにGaをドーパントとして添加)、IZO(ZnOにInをドーパントとして添加)などを用いることができる。
また、これらの他にCdO系、酸化ガリウム系の材料を用いることが可能である。しかし、CdO系に関しては、Cdが毒性を有するために実用化は困難である。また、酸化ガリウム系の透明導電膜もワイドバンドギャップを持つなど数々の特徴を有するが、In同様、Gaは資源の観点からは豊富な材料とは言い難い。このように透明導電膜形成材料は材料設計の指針として環境面を最優先しなければならない社会的背景がある。
ITOはIndium tin oxideと呼ばれているが、その母結晶はInである。Snを酸化物換算で5〜10wt%添加した組成のITO(In:Sn)は絶縁体のように透明でありながら、導電性が高く(10e+3S/cm)、吸収も少ない。また、透明性と導電性は互いに関係があるが、1対1の対応があるわけではない。透明性はIn結晶の構造的な完全性が高く、バンドギャップ内の電子捕獲準位が非常に少ないということであるが、それは結晶内の原子が結晶系の座標点(格子点位置)に正しく、過不足なく位置しているか否かで決まることである。In試薬は黄白色であり、酸素をわずかに含む(分圧で10e−1Pa以下)雰囲気中で蒸着またはスパッタ成膜すれば透明導電膜を得る。しかし、化合物としては酸素を手放しやすく、真空中加熱や数%の水素を含むような還元雰囲気中での加熱によって容易に還元され、還元が進めば青黒から黒、更に茶褐色にまで変色していく。導電性は母結晶のIn原子やSn原子で置換するか、酸素原子を必要十分に与えない条件の下で成膜することで発現する。
ITOの透明性の物理的意味は半導体としてのバンドギャップが可視域の短波長限界400nm付近にあることに帰せられる。しかし、これだけでは不十分で、高い透明性を確保するにはバンドギャップ内に常温で電子が常駐するような準位が少ないか無視できるということである。このようなバンドギャップ内準位は酸素空孔や、In位置に置換したSn原子以外のIn、Sn原子または原子集団(クラスター)による格子欠陥に由来するものであり、母結晶自体が良質の結晶格子を形成しやすいものでなくてはならない。酸化性が極度に弱い雰囲気で成膜しない限り、Inはこの要件を満たす。実際、Inはガラス基板温度を300℃程度にしておけば、酸素がやや不足した雰囲気条件であっても、厚さ数十nmの段階から半値幅の狭い良く整ったX線回折パターンを示す。この結晶化しやすい特徴はSnを添加していっても、数十%程度までは失われない。SnO膜やZnO膜とは大きく異なる特徴である。
次に、本発明の透明導電膜形成方法について示す。
本発明は、スパッタリング法により基板上に透明電極を形成するものであり、スパッタリング法としては、イオンビームスパッタリング法、直流スパッタリング法、高周波スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、対向ターゲット式スパッタリング法等を用いることが可能である。
スパッタリング法は、高速粒子をターゲットに入射、衝突させることで生ずる現象である。しかし、歴史的にはこの現象は放電管中で発見されたこと、更には簡便であることなどにより、高速粒子としてグロー放電で発生した正イオンを用いることが多い。直流二極スパッタリング法は、グロー放電をそのまま利用した最も簡便な薄膜作製法である。
直流グロー放電は10〜10e−2Torr程度の低圧力気体中に2枚の対向電極をおき、数百V以上の高電圧を印加したときに両電極間に生ずる冷陰極放電で、そのときの電流密度は10e−1〜10e+2A/mである。気体中には宇宙線などで自然発生した正イオンや電子が存在している。これらの荷電粒子が電場で加速されて電極に衝突する。正イオンに着目すると、電圧が高ければ正イオンは電極に衝突し二次電子を放出する。二次電子は電圧により加速され陽極に向かう。加速された二次電子のエネルギーが十分大きくなり、しかも気体分子の密度がある程度以上大きければ、それらは気体分子と衝突してイオン化し、イオンと電子を次々に生成し、いわゆるavalancheを生ずる。正イオンと電子は放電空間や電極中で再結合して中和するから、ある状態で定常に達する。
このように二次電子の冷陰極放出を基本とする放電がグロー放電と呼ばれ、熱電子放出を基本とするアーク放電と区別される。マクロ的に見ると、生成された正イオンは陰極の周辺に正の空間電荷層を形成している。電圧降下は大部分、この層のところで生ずる。この層に隣接し陽極側に負の空間電荷層が生じている。正イオンの1個1個を見ると、それらは陰極に向かって加速され陰極に定常的に衝突している。このとき、陰極が二次電子を放出し、その他に二次イオン、中性粒子など陰極(ターゲット)物質を放出する。これが直流二極スパッタリングである。二次イオンの量は中性粒子の10e−2程度なので、薄膜形成だけを考えるときは通常無視される。陰極から飛び出した中性粒子が基板に凝縮して薄膜を形成する。
スパッタリング法による薄膜形成法の確立は薄膜応用を広げ、新材料開発に拍車をかけた。更なる改善を図ったスパッタリング法がマグネトロンスパッタリング法である。マグネトロンスパッタリング装置の電極配置は直流二極、高周波などの装置と変わらない。陰極(ターゲット)下部には数個の磁石が置かれている。放電プラズマは本発明の磁石により形成されたターゲット上磁場に拘束され、その磁束密度は200〜500Gs程度のものが多い。なお、磁石材料としてはBa−フェライト、アルニコ合金、Co−希土類合金、Nd系合金などが用いられる。
マグネトロンスパッタリング法は平板状陰極面に磁場をかけて放電するマグネトロン放電により膜形成を行うスパッタリング法である。典型的には圧力≒5mTorr(Ar)において、電圧Vd≒600Vで20mA/cm程度の高電流密度の放電が得られる。このとき陰極面上に、数mmの薄い暗部を隔てて明るく輝くドーナツ状の高密度プラズマ(≒10e+18m−3)が生成される。このドーナツの大半径R(≒4cm)は磁力線の形状でほぼ決まるが、ドーナツの厚さaは半径Rの位置の磁場(≒200Gs)と加速電圧Vdによって、電子のラーモア半径(ρe≒0.5cm)程度になる。なお、イオンは重くてラーモア半径が大きいので磁場は効かないと考えてよい。
このように低い圧力でも高密度のプラズマが生成されるのは、次のような二次電子のE×Bドリフトによる周回運動の効果(マグネトロン効果)による。プラズマ内の正イオンは陰極暗部の電圧降下で加速されて陰極面をたたき、そこから二次電子を放出させる。この二次電子の暗部の電場で加速されてeVd(例えば600eV)程度の高いエネルギーを得る。この高エネルギー電子は無磁場では電極間の距離だけ走って陽極に吸収されて消滅するので、その寿命は短く電離効率が悪い。しかし、マグネトロン放電では陰極面に平行に磁場があるので、二次電子は陰極面上をE×Bドリフトしながらサイクロイドを描いて、ドーナツに沿う方位角方向にぐるぐる周回する。その結果、二次電子が最終的に陽極に吸われて消滅するまでの寿命が長くなり、数多くの電離を起こしてドーナツ状の高密度プラズマができる。
陽極は電子を捕集して電流を流す働きをするだけなので、陰極と対向させて平板状陽極をおく方式の他に、リング状の陽極面を陰極面と同じ平面上におく方式もよく用いられている。このマグネトロンプラズマは電流密度が高く、600eVもの高エネルギーでイオンが電子をたたくので、陰極材料を高速でスパッタする。低圧力なのでスパッタされた粒子の平均自由行程が長く、陰極に対向しておかれた基板上にスパッタ粒子を捕集して薄膜を堆積させることができる。
以上のようなことから、マグネトロン方式の放電は、スパッタリングによる種々の薄膜の形成に標準的に用いられている。例えば、Al、W、Tiなどの金属薄膜や酸化膜、窒化膜などの形成に広く利用されている。直流マグネトロンプラズマは直流電流を流す必要があるので、陰極材料(スパッタ材料)は導電性でなければならない。そこで、絶縁性の薄膜のスパッタリング成膜やエッチングにはRF(高周波)マグネトロンプラズマが用いられる。すなわち、陰極にRF電圧をフローティングの状態で印加すると正イオンのチャージアップが打ち消され、陰極表面には直流の自己バイアス電圧が発生する。この電圧によってイオンが加速され、絶縁性の陰極材料もスパッタすることが可能になる。しかし、高エネルギープロセスのため、有機薄膜上へ透明導電膜を形成する場合、下地の有機薄膜に反跳Arプラズマやγ電子、更には加速されたターゲット粒子が衝突し大きなダメージを与えるという問題を有している。
本発明の透明導電膜形成に用いるマグネトロンスパッタリング装置について図1〜図3を参照して説明する。
図1は本発明にかかるマグネトロンスパッタリング装置のターゲット及びバッキングプレートの分解斜視図、図2は本発明にかかるマグネトロンスパッタリング装置のマグネトロンスパッタ用とラップの平面図、図3は本発明にかかるマグネトロンスパッタリング装置の内部構造を示す構成図である。
図3において、マグネトロンスパッタリング装置は、真空のスパッタリングチャンバ16と、このスパッタリングチャンバ16内に配置されたマグネトロンスパッタリング用のターゲット4と、スパッタリングチャンバ16内に設けられターゲット4を支持するバッキングプレート(OFC)5と、このバッキングプレート5に装着されたカソードマグネット6とを備えている。
上記ターゲット4は、図1及び図3に示すように、大径開口部4aと、小径開口部4bと、それら開口部4a,4bを接続する周面4cとを有し、この周面4cはすり鉢形状を呈している。そして、ターゲット4の小径開口部4bには円筒部4dが軸線を一致して一体に形成されている。また、上記バッキングプレート5には、ターゲット4を、その大径開口部4aが基板2に向けられた状態で収容する凹部5aが設けられ、この凹部5aを構成する内周壁面5bは、ターゲット4の周面4cが嵌め込まれる形状に形成されている。これにより、ターゲット4がバッキングプレート5の凹部5aに入れ子式に嵌め合わされる構造になっている。
上記カソードマグネット6は、バッキングプレート5の凹部5aの周方向に互いに180度離れた2箇所に配設されるもので、それぞれの箇所には3個ずつのカソードマグネット6を有し、これらカソードマグネット6は、その一端が凹部4aの内周壁面5bに露出するようにして、凹部4aの内周壁面5bに対し直角で、かつ凹部4を構成する内周壁面5bの傾斜方向に等間隔に配列されている。また、カソードマグネット6の配列本数は3個に限らず、その本数は、所望の磁場強度が得られるように調整可能に設定できる構成になっている。
なお、バッキングプレート5に装着されるカソードマグネット6の本数を調整する手法としては、カソードマグネット6が挿入される円筒状の穴を凹部4aの内周壁面5bに対し直角に、かつ凹部4aを構成する内周壁面5bの傾斜方向に等間隔に複数個形成し、これら穴への挿入本数を調整することで可能となる。
各カソードマグネット6はスパッタ用電源51の負極にリード線18を介して接続され、スパッタ用電源41の正極は基板2のマスク15にリード線を介して接続されている。このスパッタ用電源51とカソードマグネット6は、特許請求の範囲に記載した磁場形成手段を構成する。
また、バッキングプレート5はスパッタリングチャンバ16内に回転可能に支持され、このバッキングプレート5は図示省略した駆動機構により図3の矢印方向に回転駆動されるようになっている。
ターゲット4と基板2との間には、図3に示すように、プラズマ荷電粒子を捕捉するための円形状のトラップ13が基板2と平行に配設され、このトラップ13は碍子8を介してスペーサ7によりバッキングプレート5に一定の間隔を離して支持されている。また、トラップ13の外周部には、図2及び図3に示すように、開放磁界形成用の複数の磁石9がトラップ12の周方向に等間隔で、かつトラップ12の半径方向に延在して配列され、この各磁石9のトラップ13の中心を向く極性が同極になるように構成されている。さらに、マグネトロンスパッタリング装置は、トラップ13とターゲット4の間の電位差を制御する極性切替手段14を備えている。
また、図3において、符号15はスパッタリングチャンバ16に設けたプラズマ着火確認用の覗き窓である。
マグネトロンスパッタリング装置を上記のように構成することにより、ターゲット4の表面上発生するプラズマ11は基板2に対して傾きをもって形成され、これに伴いプラズマ放電(グロー放電)時にプラズマ荷電粒子が陰極電位降下により、ターゲット4の表面に対して垂直、すなわち傾きを持って衝突するため、副生成荷電粒子である反跳Arイオンやγ電子も弾性衝突により同方向に放出される。これにより基板2への副生成荷電粒子の入射も大幅に減少する。また、基板に形成された堆積膜がターゲット4をすり鉢形状にすることで、副生成荷電粒子の入射影響を受けなくなることから、膜にArイオン12などが入射する(逆スパッタリング)ことによる組成ズレ(ターゲット組成≠膜組成)の懸念もない。
また、プラズマ荷電粒子を捕捉させるため、外周部に放射状に配列した磁石9を有するトラップ3をターゲット4と基板2との間に設けたので、トラップ3の外周部にできた形成磁界10により、副生成荷電粒子をトラップ3で捕捉、拡散させ、基板2への入射を更に減少させることが可能である。
また、トラップ3は電位差を制御する極性切替手段14を備えているので、例えばトラップ3に負電圧を印加することで正電荷であるArイオン12を、正電圧を印加することで電子を、それぞれ静電誘導(クーロン引力)により引き付け中和、消滅させることが可能になる。
また、本実施の形態におけるマグネトロンスパッタリング装置は、バッキングプレート5を回転駆動する図示省略の駆動機構を備えているので、バッキングプレート5を図3の矢印方向に回転することにより、ターゲット表面のプラズマ着火部も移相回転し、それに伴ってターゲット4の局部侵食が低減され、結果としてターゲット材の使用効率、基板堆積膜の面内膜厚分布も大幅に向上できる。更に基板2への高エネルギー粒子の連続的な入射によるダメージも軽減される。なお、装置内は成膜時には真空状態となる。
本本実施の形態におけるプラズマ11とは、気体を構成している原子や分子は原子核の周りに電子が捕まえられた準中性状態であり、このような気体中では放電などにより外部からエネルギーを与えてやると電子は原子核の引力を振り切り自由になり、気体は電子と原子核(正イオン)がバラバラになった状態になる。これがプラズマ11である。プラズマ11は固体、液体、気体に並ぶ物質の第4状態といわれる。
プラズマにおける各種荷電粒子をはじめとするプラズマ諸量測定法として静電短針法(ラングミューアプローブ法)がある。ターゲットのような中性粒子を対象とする場合には分光計測を用いるが、荷電粒子を対象とする場合は、ラングミューアプローブ法を用いる。ラングミューアプローブ法で計測可能なプラズマ諸量は、電子温度(Te)、電子エネルギー分布関数(EEDF)、電子密度(Ne)、フローティングポテンシャル(Vf)、イオン密度(Ni)、プラズマポテンシャル(Vp)などである。計測は簡便で、プラズマ中に挿入したプローブユニット先端のプローブチップでの電圧−電流特性を計測することで得られる。この場合、電子エネルギー分布関数(EEDF)はMaxwell-Boltzmann分布であることが前提である。
プローブ電流すなわち、プラズマ電子電流(Ie)は熱平衡状態のEEDFをMaxwell-Boltzmann分布であると仮定すると、以下の式(1)で表わされる。
Ie=1/4(e・S・Ne・C)・exp[(V−Vp)/Te]・・・・(1)
ただし、e:電荷素量、S:プローブチップ表面積、C:電子熱運動平均速度、V:プローブ電圧である。また、上式(1)の係数部はプローブシース表面に達する電子の熱拡散電流を示し、指数部は障壁電界を飛び越えて、プローブチップの表面に到達する電子の割合を示す。
物質の第4状態であるプラズマ11は物理・化学的に特異な性質を持っている。第一に高温であるので粒子の運動エネルギーが大きい。第二に電荷を持つ粒子の集団であるので導電性があり、金属のように振舞う。第三に化学的に活性であって反応性が高い。例えばメタンガスと水素ガスを混ぜて放電し、壁温を適度に設定すると壁面にダイヤモンドが析出してくる。第四にプラズマ11は光るので光源として利用することができる。例えば、夜の街を彩るネオンサインやナトリウム・水銀などの放電を用いる照明はよく目にするところである。このようなプラズマ11の性質はプラズマ11内の電子と気体分子との衝突に求めることができる。
本実施の形態におけるArイオン12とは、準中性状態のAr気体を放電などによりプラズマ化させたときに形成される正イオンである。
二次電子であるγ電子はプラズマ電子がAr気体やターゲット粒子に衝突した際に放出される高エネルギーな電子である。
図4に本発明の透明導電膜形成方法における基板周辺部の説明図を示した。
この図4において、基板2はマスク18及びマスクフレーム20とマグネットホルダー1によって挟まれ、密着した構造となっている。この基板2は、マスク18と密着した面に透明導電膜がマスク18の開口18a形状に応じてパターニングされる。
ここで、図4においては、マスクを用いた例を示したが、基板全体に透明電極膜を設ける場合には、マスクは用いなくてもよい。
本発明の透明導電膜形成方法にあっては、透明導電膜形成中に基板がペルチェ素子17によって冷却されている。ペルチェ素子17は、マグネットホルダー1上に設けられる。
ペルチェ素子17は、真空下で密着基板上部に据付けることで容易に基板2及びマスク18の冷却が可能となる半導体素子である。ペルチェ素子1)を設けるに際しては装置の大幅改造が不必要であり、簡単に基板及びマスクを冷却することができる。
物質の両端に温度差を与えると、超伝導体以外なら必ず起電力が生じる。この現象をゼーベック(Seebeck)効果と呼び、これらを身近に利用しているのが温度測定に用いられる熱電対(Thermocouple)である。物質の高温端と低温端に外部回路を接続すれば、この熱起電力により電流を発生させ、電力として取り出すことができる。これとは逆に二種の物質を接合して電流を流すと接合点で電流の向きに応じて可逆的に熱が発生または吸収される。これをペルチェ(Peltier)効果と呼び、前述のゼーベック効果とは表裏一体の熱電現象である。電流を反転させるだけで可逆的に加熱と冷却が可能で、応答速度も極めて遅いので、熱電冷却や電子冷熱として、半導体レーザーや高感度の赤外線検出器やCCDなどの冷却、更に半導体製造プロセスや医療機器など精密な温度制御や局所的な急速冷却が要求される分野に広く利用される。ゼーベック効果及びペルチェ効果の二つの熱−電気の変換過程を総称し熱電変換(Thermoelectric conversion)と称する。
ペルチェ素子17は、P型半導体とN型半導体を用いると、P型の熱電能はプラス、N型の熱電能はマイナスの符号を持ち、その相対熱電能は非常に大きいので、大きな熱電効果が得られる。図5にペルチェ素子の説明断面図を示した。
図5に示したように、ペルチェ素子17はセラミック基板22間にP型半導体24a、N型半導体24bを金属電極23を介して交互にΠ型に配列することにより、冷却または吸熱の能力をもつ素子となる。この素子は電流を流して温度差を起こさせるペルチェ効果を活用しており、ペルチェ素子と呼ばれる。
次に、本発明の有機電界発光素子の製造方法について述べる。
本発明の有機電界発光素子においては、基材上に第一電極、有機発光層、第二電極がこの順に設けられている。また、第一電極・第二電極間には発光補助層として、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層、電荷発生層等が必要に応じて設けられる。また、基材上に設けられた第一電極、有機発光層、第二電極は、両電極及び有機発光層等を環境中の水分等から保護することを目的として封止される。封止としては、ガラスキャップ、金属キャップを基材と貼り合わせる方法や第一電極、有機発光層、第二電極が設けられた基材を、バリア層等により被覆する方法を用いることができる。
また、第一電極及び第二電極の一方は陽極であり、もう一方が陰極となる。有機電界発光素子とは、電極間に電流を流すことにより有機発光層を発光させるものであるが、発光した光を基材側から取り出す方式をボトムエミッション方式、基材と反対側から取り出す方式をトップエミッション方式という。
ボトムエミッション方式においては、有機発光層を基準として基材側の層は有機発光層で発光した光を透過させるために透明とする必要がある。すなわち、基材及び第一電極は透明性を有する必要がある。
一方、トップエミッション方式の有機電界発光素子においては、有機発光層を基準として基材と反対側の層は有機発光層で発光した光を透過させるために透明にする必要がある。すなわち、第二電極は透明性を有する必要があり、また、封止によって光が遮断されないようにする必要がある。
図6にトップエミッション方式の有機電界発光素子の説明断面図を示した。
この図6において、基材26上には、第一電極として反射電極27がパターン形成され、反射電極27間には隔壁28が形成され、反射電極27上に正孔輸送層29、有機発光層30a、30b、30cがこの順で設けられ、更に有機発光層30a、30b、30c上に電子注入性保護層33、第二電極として透明電極34が設けられている。そして、反射電極27、隔壁28、正孔輸送層29、有機発光層30a、30b、30c、電子注入性保護層33、透明電極34が設けられた基材は、バリア層35、樹脂層36、封止基材37で封止されている。また、反射電極、隔壁、正孔輸送層、有機発光層、電子注入性保護層、透明電極が設けられた基材を、乾燥剤としてCaOを成膜したガラス基板と直接貼り合わせ、封止しても良い。
本発明のトップエミッション型有機電界発光素子において、基材26としては、ガラス基材やプラスチック製のフィルムまたはシートを用いることができる。プラスチックフィルムを用いれば、巻き取りにより有機電界発光素子の製造が可能となり、安価に素子を提供できる。そのプラスチックフィルム材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート等を用いることができる。また、電極を成膜しない側にセラミック蒸着フィルムやポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物等の他のガスバリア性フィルムを積層しても良い。また、有機電界発光素子をアクティブマトリクス方式の有機電界発光素子とする場合、基板は薄膜トランジスタ(TFT)を備えたTFT基材を用いる必要がある。
有機電界発光素子の駆動方法としては、パッシブマトリクス方式とアクティブマトリクス方式があるが、本発明の有機電界発光素子はパッシブマトリクス方式の有機電界発光素子、アクティブマトリクス方式の有機電界発光素子のどちらにも適用可能である。パッシブマトリクス方式とはストライプ状の電極を有機発光層を挟んで直交させるように対向させ、その交点を発光させる方式であるのに対し、アクティブマトリクス方式は画素毎にトランジスタを形成した、いわゆる薄膜トランジスタ基板を用いることにより、画素毎に独立して発光する方式である。
パッシブマトリクス方式の有機電界発光素子では、走査するストライプ状の電極数が大きくなるほど各画素における点灯時間は短くなるため、ON状態では瞬間発光輝度を大きくする必要がある。瞬間発光輝度を大きくした場合には素子寿命が低下するので、走査するストライプ上の電極数が数百〜千数百本も必要な大容量ディスプレイには適さない。
パッシブマトリクス方式の表示エリアは、陽極と陰極による単純マトリクスで構成されており、陰極と陽極が交差した部分で発光可能である。Rowラインすなわち陰極が選択された時のみ点灯するデューティ駆動であり、また駆動用ドライバICは外付け実装する必要がある。有機電界発光素子は応答性が速く、残光特性がないため、パッシブ型のようなデューティ駆動が可能になる。
アクティブマトリクス方式の有機電界発光素子では、画素毎にスイッチング素子とメモリ素子(アクティブ素子)を設けているため、1回の走査周期の間動作状態を支持することができるため、ディスプレイを大型化しても瞬間発光輝度は小さくても良く、耐久性にも優れる。また、パッシブマトリクス方式に比べ、低電圧駆動なので、消費電力も小さくすることができる。従って、ディスプレイの大面積化や高精細化にはアクティブマトリクス方式の方が優れているといえる。
有機電界発光素子は電流駆動であるため、比較的大きな電流を流すことができるTFTが必要である。このため、アクティブマトリクス方式には、移動度が高い低温p−Si TFT基板が採用されている。この低温p−Si TFTは安価なガラス基板を用いて製造でき、また周辺ドライバ回路を内蔵することができるため、コンパクトなディスプレイ作製が可能である。アクティブマトリクス方式有機電界発光ディスプレイの応用分野は、TFTを用いたアクティブマトリクス型液晶ディスプレイの応用分野と重なっている。従って、市場規模は巨大であり、将来的に液晶ディスプレイの置き換えや有機電界発光素子特有の新しい市場開拓ができ、その成長性が大いに期待されている。
第一電極である反射電極27は、陽極として、Mg、Al、Cr等の金属材料を蒸着法やスパッタリング法といった真空成膜法により形成することができる。また、反射電極としては、Mg、Al、Cr等の反射電極とITO等の透明電極との2層構成としても良い。このとき、ITOは陽極界面層として設けられる。
反射電極27の形成後、反射電極縁部を覆うようにして反射電極間に隔壁28が形成される。隔壁は絶縁性を有する必要があり、感光性材料等を用いることができる。感光性材料としてはポジ型であってもネガ型であっても良く、ノボラック樹脂、ポリイミド樹脂等を用いることができ、フォトリソグラフィー法により露光工程、現像工程を経て、隔壁は形成される。
そして、反射電極27上には、正孔輸送層29が設けられる。正孔輸送層形成材料としては、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)等を用いることができる。PEDOT/PSSは水に溶解させ塗工液とし、スピンコート法等により基板上に塗工され、乾燥される。
正孔輸送層29上には、有機発光層30a、30b、30cが設けられる。有機電界発光素子をフルカラー表示させる場合には、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)、それぞれの発光色を有する有機発光層を画素毎にパターニングする必要があり、図7においては、赤色有機発光層30a、緑色有機発光層30b、青色有機発光層30cを有している。有機発光層形成材料としてはポリパラフェニレンビニレン(PPV)やポリフルオレン(PF)等を用いることができる。これらの有機発光材料は、トルエン等の芳香族系有機溶媒に溶解させインキとし、印刷法を用いることにより、3色にパターニングされる。
印刷方法としては、インクジェット印刷法、オフセット印刷法、レリーフ印刷法等を用いることが可能であるが、中でもレリーフ印刷法を好適に使用することができる。図8にレリーフ印刷法における印刷工程の模式図を示した。
図8(a)において、レリーフ刷版41の表面に、アニロックスロール39でインキを付け、更にそのレリーフ刷版41を圧胴を介して、図8(b)に示すように被転写基板42に押し付ける。アニロックスロール39表面に付き過ぎたインキはドクターブレード38により掻き落され、常に安定した量のインキが版の表面に供給される。
レリーフ印刷はアニロックスロールで厚みのある高弾性の樹脂凸版に水性インキまたはUVインキを付け、直接、被印刷体に印刷する。そのため、フレキソ印刷は平滑性の悪い面やフィルム、布等、フレキシブル基材にも対応する。また、非常に薄く均一なベタ印刷を得意とし、様々な樹脂や薬品を塗り重ねることにより、更に精度を高めることも可能である。
近年、レリーフ印刷の技術革新により、高精緻で精巧な多色表現が可能となっている。また、水性インキがレリーフ印刷に適応していることから、環境性が高いとされ、特に食品、医薬品のパッケージ分野において広く利用されている。更にインキの塗布量が少ないことから、残留溶剤も少ない。
次に、有機発光層30a、30b、30c上に電子注入性保護層33を設ける。電子注入性保護層形成材料としては、CaやBa等の低仕事関数である希土類元素を用いることができ、これらの希土類元素を真空蒸着法により成膜し、電子注入性保護層を形成する。
次に、電子注入性保護層33上に陰極として透明電極34を設ける。透明電極の形成にあっては、前述した本発明の透明導電膜形成方法を用いることができる。
トップエミッション型の有機電界発光素子においては、透明電極を形成する際に本発明の透明導電膜形成方法を好適に用いることができる。本発明の透明導電膜形成方法は、スパッタリング法で成膜する際に、有機発光層といった有機薄膜へのダメージを低減させることができるため、発光特性の優れた有機電界発光素子を得ることができる。
また、本発明の透明導電膜形成方法は成膜中のパターニング用マスクの温度上昇を抑えることができる。従って、マスクの熱膨張や熱変形を抑えることができ、透明電極を正確にパターニングすることも可能となる。なお、本発明の有機電界発光素子は、反射電極を陰極、透明電極を陽極としても良い。
次に、反射電極27、隔壁28、正孔輸送層29、有機発光層30a、30b、30c、電子注入性保護層33、透明電極34が形成された基材26に対し、封止を行う。まず、基材26全体にバリア層35を形成する。
バリア層35としては、窒化珪素膜、酸化珪素膜、窒化酸化珪素膜等を用いることができる。バリア膜はCVD法により形成される。CVD法は膜にしたい元素を含む気化させた化合物(ソースガス)をそのまま、あるいは水素・窒素などのキャリアガスと混ぜ、高温加熱した基板表面にできるだけ均一になるように送り込み、基板表面で分解、還元、酸化、置換などの化学反応を起こさせ、基材上に薄膜を作る方法である。
更に、バリア層35が設けられた基材は、樹脂層36を介して、封止基板37と貼り合わされる。封止基板37としては、透明性を有していれば良く、無アルカリガラス、アルカリガラス等のガラスやプラスチック材料を用いることができる。または、上記ガラスにCaOを形成した基材を封止基材として、両者を貼り合わせしても良い。これにより、乾燥剤を挿入せず封止を行うことが可能である。また、ガラスを直接、基材上部に貼り合わせすることから、封止基材での光吸収やキャップ構造のガラスを用いた場合に生じる光路長の変化が起きず、光取り出し効率を向上させることもできる。樹脂層36としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン樹脂などからなる光硬化型接着性樹脂、熱硬化型接着性樹脂、2液硬化型接着性樹脂や、エチレンエチルアクリレート(EEA)ポリマー等のアクリル系樹脂、エチレンビニルアセテート(EVA)等のビニル系樹脂、ポリアミド、合成ゴム等の熱可塑性樹脂や、ポリエチレンやポリプロピレンの酸変性物などの熱可塑性接着性樹脂を挙げることもできる。
貼り合わせ方法については、加熱したロールによる圧着による方法を用いることができる。また、樹脂層として光硬化型接着性樹脂を用いた場合には、紫外光等を照射することにより貼り合わせることができる。
また、本発明の有機電界発光素子においては、基材及び封止基材に可とう性のあるプラスチック基材を用いることにより、フレキシブル有機電界発光素子とすることができる。
また、本発明の有機電界発光素子においては、両電極を透明電極とし、基材を透明基材とし、封止を透明材料により行うことにより、透明有機電界発光素子とすることができる。
図7に透明有機電界発光素子の説明断面図を示した。
この図7では、透明基材26上に第一電極として透明電極27が形成され、更に図6と同様に、隔壁28、正孔輸送層29、有機発光層30a、30b、30c、電子注入性保護層33、透明電極34が形成されている。更に、透明性を有するバリア層35、樹脂層36、封止基材37によって封止されている。透明有機電界発光素子においては、基板側、基板と反対側の両面から画像を表示することが可能となる。
基板としてガラス基板を用い、基板上に陽極である反射電極としてCr、陽極界面層としてITOをスパッタリング法により積層形成した。得られた基板上のCr及びITOの積層膜はフォトリソ法によりパターニングを行い、ストライプパターンとした。次に、ストライプ状のCrの端部を覆うように、ポリイミド材料を用い、フォトリソ法により隔壁を形成した。次に、正孔輸送材料としてPEDOT/PSSを用い、これを水に溶解し塗工液とし、スピンコート法により正孔輸送層を形成した。
次に、ポリフルオレン(PF)からなる緑色有機発光材料を用い、この緑色有機発光材料をトルエンに溶解しインキとし、レリーフ印刷法によりストライプ状に有機発光層を形成した。次に、蒸着法により有機発光層上にBa、Alからなる電子注入性保護層を、陽極のCrストライプパターンと直交するようにマスクを用いて成膜した。
次に、本発明のマグネトロンスパッタリング装置を用いて透明電極を形成した。また、基板上と接触するようにマスクを設け、マスクはマグネットホルダーにより固定した。基板の透明電極成膜面と反対側にはペルチェ素子を設けた。透明電極成膜におけるスパッタリング条件を図10に示す。
次に、有機電界発光素子の発光領域全面にCVD法により酸化珪素膜を設け、更にCaO膜を介してガラス基板と貼り合わせることにより封止を行い、トップエミッション型有機電界発光素子を得た。
得られた有機電界発光素子の素子特性は、最高輝度が5000cdm−2、最大電流効率は2.6cdA−1である。
(比較例)
実施例と同様に反射電極、隔壁、正孔輸送層、有機発光層、電子注入性保護層を形成したガラス基板に対し、実施例と同様にマグネトロンスパッタリング装置を用い、透明電極の成膜を行った。但し、マグネトロンスパッタリングターゲットはすり鉢形状のものでなく、平行平板型スパッタリングターゲットを用い、ターゲットと基板間にプラズマ荷電粒子捕捉用のトラップを設けなかった。更に、基板に対してペルチェ素子も設けなかった。なお、スパッタリングに際し、この他のスパッタリング条件は表2と同じである。
このとき、スパッタリング中のマスク温度は60℃であり、実施例と比較して10℃程度高い結果となった。また、透明電極が形成された基板に対し、実施例と同様に封止を行い、有機電界発光素子を得た。得られた有機電界発光素子の最高輝度は1000cdm−2であり、最大電流効率は0.5cdA−1であった。
本発明の透明導電膜形成に用いるマグネトロンスパッタ用ターゲット周辺の分解斜視図である。 本発明にかかるマグネトロンスパッタリング装置のマグネトロンスパッタ用とラップの平面図である。 本発明にかかるマグネトロンスパッタリング装置の内部構造を示す構成図である。 本発明の透明導電膜形成方法における基板周辺部の説明図である。 ペルチェ素子の説明断面図である。 トップエミッション型有機電界発光素子の説明断面図である。 透明有機電界発光素子の説明断面図である。 本発明の凸版印刷(レリーフ印刷)法による印刷工程の模式図である。 本発明におけるプラズマ荷電粒子捕捉用トラップの成形材料の材質を示す図である。 本発明のマグネトロンスパッタ装置のスパッタリング条件を示す図である。
符号の説明
1……マグネットホルダー、2……ガラス基板、3……スパッタリング用トラップ、4……マグネトロンスパッタ用ターゲット、4a……大径開口部、4b……小径開口部、4c……周面、5……バッキングプレート(OFC)、5a……凹部、5b……壁面、6……カソードマグネット、7……スペーサ、8……碍子(セラミック)、9……磁石(開放磁場形成)、10……磁力線(開放磁場)、11……Arプラズマ、12……Arイオン(漏れプラズマ荷電粒子)、13……ターゲット粒子、14……極性切替機構、15……覗き窓(プラズマ着火確認)、16……スパッタリングチャンバ、17……ペルチェ素子、18……マスク、18a……マスクの開口、20……マスクフレーム、21……リード線、22……セラミック基板、23……金属電極、24a……P型半導体、24b……N型半導体、26……基材、27……反射電極(第一電極)、28……隔壁、29……正孔輸送層、30a……赤色(R)有機発光層、30b……緑色(G)有機発光層、30c……青色(B)有機発光層、33……電子注入性保護層、34……透明電極(第二電極)、35……バリア層、36……樹脂層、37……封止基材、38……ドクターブレード、39……アニロックスロール、40……版胴、41……レリーフ刷版、42……被転写基材、L……発光。

Claims (18)

  1. スパッタガスが供給されるスパッタリングチャンバと、前記スパッタリングチャンバ内に配置されたマグネトロンスパッタリング用のターゲットと、前記スパッタリングチャンバ内に設けられ前記ターゲットを支持するバッキングプレートと、前記ターゲットに磁場を形成してスパッタ用のプラズマを発生する磁場形成手段とを備え、前記ターゲットでのスパッタ現象を利用して前記ターゲットに対向して配置された基板に成膜するスパッタリング装置において、
    前記ターゲットは、大径開口部と、小径開口部と、それら開口部を接続する周面とを有し、
    前記バッキングプレートには、前記大径開口部を前記基板に向けて前記ターゲットを収容する凹部が設けられ、
    前記凹部を構成する壁面は、前記周面が嵌め込まれる形状で形成されている、
    ことを特徴とするスパッタリング装置。
  2. 前記磁場形成手段は、前記凹部の周方向の複数箇所にそれぞれ複数個ずつ配設されたカソードマグネットを有し、前記複数箇所の各カソードマグネットは前記凹部を構成する壁面の傾斜方向に一定間隔で配列され、このカソードマグネットの配列数は所望の磁場強度が得られるように調整可能に設定されることを特徴とする請求項1記載のスパッタリング装置。
  3. 前記バッキングプレートは前記スパッタリングチャンバ内に回転可能に支持され、かつ前記バッキングプレートを回転する駆動機構を備えることを特徴とする請求項1記載のスパッタリング装置。
  4. 前記ターゲットと前記基板との間にプラズマ荷電粒子を捕捉するための円形状のトラップが配設され、前記トラップの外周部に複数の磁石が前記トラップの円周方向に等間隔で、かつ前記トラップの半径方向に延在して配列され、前記複数の磁石の前記トラップの中心を向く極性が同極であることを特徴とする請求項1記載のスパッタリング装置。
  5. 前記トラップと前記ターゲットの間の電位差を制御する手段を備えることを特徴とする請求項1記載のスパッタリング装置。
  6. 基板上にスパッタリング法により透明導電膜を形成する透明導電膜形成方法であって、
    スパッタリングチャンバ内に配置されたマグネトロンスパッタリング用のターゲットと、前記スパッタリングチャンバ内に設けられ前記ターゲットを支持するバッキングプレートと、前記ターゲットに磁場を形成してスパッタ用のプラズマを発生する磁場形成手段を有するスパッタリング装置を備え、
    前記ターゲットは、大径開口部と、小径開口部と、それら開口部を接続する周面とを有し、
    前記バッキングプレートには、前記大径開口部を前記基板に向けて前記ターゲットを収容する凹部が設けられ、
    前記凹部を構成する壁面は、前記周面が嵌め込まれる形状で形成され、
    前記ターゲットの内面に前記磁場形成手段により磁場を形成するとともに該磁場に閉じ込められたスパッタ用のプラズマを発生させて前記ターゲットをスパッタリングし、そのスパッタ粒子を前記基板に堆積させて透明導電膜を形成する、
    ことを特徴とする透明導電膜形成方法。
  7. 前記磁場形成手段は、前記凹部の周方向の複数箇所にそれぞれ複数個ずつ配設されたカソードマグネットを有し、前記複数箇所の各カソードマグネットは前記凹部を構成する壁面の傾斜方向に一定間隔で配列され、このカソードマグネットの配列数は所望の磁場強度が得られるように調整可能に設定されることを特徴とする請求項6記載の透明導電膜形成方法。
  8. 前記バッキングプレートは前記スパッタリングチャンバ内に回転可能に支持され、かつ前記バッキングプレートを回転する駆動機構を備えることを特徴とする請求項6記載の透明導電膜形成方法。
  9. 前記ターゲットと前記基板との間にプラズマ荷電粒子を捕捉するための円形状のトラップが配設され、前記トラップの外周部に複数の磁石が前記トラップの円周方向に等間隔で、かつ前記トラップの半径方向に延在して配列され、前記複数の磁石の前記トラップの中心を向く極性が同極であることを特徴とする請求項6記載の透明導電膜形成方法。
  10. 前記トラップと前記ターゲットの間の電位差を制御する手段を備えることを特徴とする請求項6記載の透明導電膜形成方法。
  11. 基板と、前記基材上に順に形成された第一電極と有機発光層と第二電極を少なくとも備え、前記第一電極と第二電極間に電流を流すことにより有機発光層を発光させる有機電界発光素子の製造方法において、
    スパッタリングチャンバ内に配置されたマグネトロンスパッタリング用のターゲットと、前記スパッタリングチャンバ内に設けられ前記ターゲットを支持するバッキングプレートと、前記ターゲットに磁場を形成してスパッタ用のプラズマを発生する磁場形成手段を有するスパッタリング装置を備え、
    前記ターゲットは、大径開口部と、小径開口部と、それら開口部を接続する周面とを有し、
    前記バッキングプレートには、前記大径開口部を前記基板に向けて前記ターゲットを収容する凹部が設けられ、
    前記凹部を構成する壁面は、前記周面が嵌め込まれる形状で形成され、
    前記ターゲットの内面に前記磁場形成手段により磁場を形成するとともに該磁場に閉じ込められたスパッタ用のプラズマを発生させて前記ターゲットをスパッタリングし、そのスパッタ粒子を前記基板に堆積させて前記第一電極もしくは第二電極の少なくとも一方をパターン形成する、
    ことを特徴とする有機電界発光素子の製造方法。
  12. 前記磁場形成手段は、前記凹部の円周方向の複数箇所にそれぞれ複数個ずつ配設されたカソードマグネットを有し、前記複数箇所の各カソードマグネットは前記凹部を構成する壁面の傾斜方向に一定間隔で配列され、このカソードマグネットの配列数は所望の磁場強度が得られるように調整可能に設定されることを特徴とする請求項11記載の有機電界発光素子の製造方法。
  13. 前記バッキングプレートは前記スパッタリングチャンバ内に回転可能に支持され、かつ前記バッキングプレートを回転する駆動機構を備えることを特徴とする請求項11記載の有機電界発光素子の製造方法。
  14. 前記ターゲットと前記基板との間にプラズマ荷電粒子を捕捉するための円形状のトラップが配設され、前記トラップの外周部に複数の磁石が前記トラップの周方向に等間隔で、かつ前記トラップの半径方向に延在して配列され、前記複数の磁石の前記トラップの中心を向く極性が同極であることを特徴とする請求項11記載の有機電界発光素子の製造方法。
  15. 前記トラップと前記ターゲットの間の電位差を制御する手段を備えることを特徴とする請求項11記載の有機電界発光素子の製造方法。
  16. 前記第一電極と第二電極との間に電流を供給すことにより前記有機発光層を発光させるトップエミッション型有機電界発光素子であることを特徴とする請求項11記載の有機電界発光素子の製造方法。
  17. 前記有機発光層の形成材料を溶媒に溶解または分散させてインキとする工程と、前記インキを用いて凸版印刷(レリーフ印刷)法により前記基材上に有機発光層を形成する工程とを備えることを特徴とする請求項11記載の有機電界発光素子の製造方法。
  18. 前記有機発光層及び前記電極を形成した前記基材上に、ガラスにCaOを形成した基材を封止基材として、両者を貼り合わせすることを特徴とする請求項17記載の有機電界発光素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010192144A (ja) * 2009-02-16 2010-09-02 Sumitomo Chemical Co Ltd 有機エレクトロルミネッセンス素子
JP2020023739A (ja) * 2018-08-08 2020-02-13 株式会社アルバック イオンビームスパッタリング装置及びイオンビームスパッタリング方法

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