JP2008074561A - 移動式クレーンの安定限界監視装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】移動式クレーンの安定限界監視装置として、左右のアウトリガジャッキ9l,9rの接地反力が、予め定めた閾値(許容下限値)Flimに達すると安定限界信号を出力するようにしたものがある。従来の安定限界監視装置では、左右のアウトリガジャッキ9l,9rの張り出し長さに関係なく、一定の閾値Flimが採用されていた。このため、アウトリガジャッキ9l,9rの張り出し長さが変わるとクレーン能力を充分に発揮できないという問題があった。
【解決手段】左右のアウトリガジャッキ9l,9rの張り出し長さLl,Lrをそれぞれ検出する張り出し長さに応じて閾値Flimを連続的または段階的に変動させるようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、移動式クレーンの安定限界監視装置に関するものである。
本発明の安定限界監視装置の適用対象としての移動式クレーンは、図3および図4に示すような移動式クレーン、すなわち、車両フレーム1の前部および後部に運転室2および荷台3を取り付けた車両Aと、車両Aの運転室2と荷台3間の車両フレーム1上に取り付けつけたクレーン4とからなり、前記クレーン4が、車両フレーム1上に取り付けたクレーン基台5と、このクレーン基台5に旋回作動自在に立設した旋回ポスト6と、その基端部を旋回ポスト6に起伏作動自在に取り付けられその先端部に荷物Wの吊り下げ手段8を備えたブーム7と、前記クレーン基台5に車両フレーム1の左右外側に張り出して接地可能なよう取り付けられクレーン作業時にクレーン基台5が取り付けられた車両フレーム1部分をジャッキアップする左右一対のアウトリガジャッキ9l,9rとで構成された移動式クレーンである。
図3および図4において、Afl,Afrは車両Aの左右の前輪を示し、Arl,Arrは車両Aの左右の後輪を示す。
このような移動式クレーンは、クレーン作業時に、左右のアウトリガジャッキ9l,9rを車両Aの左右外側に張り出して接地し、これらアウトリガジャッキ9l,9rによりクレーン基台5が取り付けられた車両フレーム1の部分をジャッキアップした上で、旋回ポスト6を旋回作動、ブーム7を起伏作動、および、吊り下げ手段8を操作し、吊り下手段8に吊り下げた荷重Wを任意の位置に移動させるようにして使用する。クレーン作業時にある移動式クレーンは、左右のアウトリガジヤッキ9l,9rの各接地点9l−1,9r−1、および、車両Aの左右の後輪Arl−1,Arr−1の各接地点の都合4箇所で安定的に支持される。
この種の移動式クレーンには、クレーン作業時に移動式クレーンが車両Aの左右方向に転倒するのを未然に防止するための安定限界監視装置が取り付けられている。
従来の安定限界監視装置は、図5または図6に示すように、左右のアウトリガジャッキ9l、9rの接地反力Fl,Frをそれぞれ検出する左右一対の接地反力検出手段10l、10rと、左右のアウトリガジャッキ9l、9rのうち反転倒側のアウトリガジヤッキ9lまた9rの接地反力FlまたはFrの許容下限値としての閾値Fminを出力する閾値出力手段11と、前記左右の接地反力検出手段10l、10rの検出に係る少なくとも何れか一方の接地反力FlまたはFrが閾値出力手段11の出力する閾値Fmin以下になると安定限界信号Pを出力する比較手段12とで構成している。
なお、本明細書において用いる転倒側のアウトリガジャッキとは、クレーン4の姿勢を、当該クレーンのブーム3に作用するブーム倒伏モーメントが移動式クレーンを車両Aの左右一側側に転倒させるよう作用する如き姿勢(ブーム7を車両Aの左右一横側に延出するようにした姿勢)にした際に、ブーム3と同側に位置するアウトリガジャッキ9lまたは9rを指すものである。また、反転倒側のアウリトリガジャッキとは、クレーン4の姿勢を上記の如き姿勢にした際に、ブーム3と反対側に位置するアウトリガジャッキ9rまたは9lを指すものである。図6は、ブーム3を車両Aの右側に延出した移動式クレーンの平面図を示しているが、ここでは、車両Aの右側にあるアウトリガジヤッキ9rが転倒側となり、左側にあるアウトリガジヤッキ9lが反転倒側となっている。
移動式クレーンが車両Aの左右方向へ転倒しようとするとき、反転倒側のアウトリガジヤッキ9lまたは9rの接地反力FlまたはFrは常に転倒側アウトリガジヤッキ9のそれよりも小さい。このことから、本件出願の明細書および特許請求の範囲で言及している『左右の接地反力検出手段10l,10rの検出に係る少なくとも何れか一方の接地反力FlまたはFrが閾値出力手段11の出力する閾値Flim以下になると安定限界信号Pを出力する比較手段12』とは、『左右の接地反力Fl,Frのうち反転倒側の接地反力FlまたはFrが閾値出力手段11の出力する閾値Flim以下になると安定限界信号を出力する比較手段12』と同義の意味を持っている。
図5に示す安定限界監視装置においては、比較手段12は、左右の接地反力検出手段10l、10rからの接地反力Fl,Frを、個々に閾値出力手段11からの閾値Flimと比較し対応する接地反力FlまたはFrが閾値Flim以下になると安定限界信号Pを出力する一対の比較器12−1l,12−1rで構成したものを示している。このような構成により、比較手段12は、左右の設置反力検出手段10l,10rの検出に係る少なくとも何れか一方の接地反力FlまたはFrが閾値Flim以下になると安定限界信号Pを出力するようになっている。
また、図6に示す安定限界監視装置においては、比較手段12は、左右の接地反力検出手段10l,10rからの接地反力Fl,Frを受け取りこれら接地反力Fl,Frのうち反転倒側のアウトリガジャキの接地反力FlまたはFrを判別する反転倒側判別手段12−2と、この反転倒側判別手段12−2により選択された反転倒側のアウトリガジャッキ9lまたは9rの接地反力FlまたはFrが低下して閾値Flimになると安定限界信号Pを出力する単一の比較器12−1で構成したものを示している。このような構成により、比較手段12は、左右の接地反力検出手段10l,10rの検出に係る少なくとも何れか一方の設置反力FlまたはFrが閾値Flim以下になると安定限界信号Pを出力するようになっている。
なお、この場合(図6の例の場合)、上記の反転倒側判別手段12−2は下記(イ)、(ロ)の何れかで構成される。
・ 移動式クレーンが車両Aの左右方向へ転倒しようとするとき、反転倒側のアウトリガジャッキ9lまたは9rの接地反力FlまたはFrは常に転倒側のアウトリガジヤッキ9のそれよりも小さいので、上記の反転倒側判別手段12−2は、左右の接地反力検出手段9l,9rから受け取った接地反力Fl,Frのうち小さいほうを選択して比較手段12−1に出力するよう構成する。
・ ブーム7の先端部が車両Aの左側に位置するような旋回ポスト6の旋回領域(以下左旋回領域という)では、車両Aの右側に位置するアウトリガジャッキ9rが反転倒側となり、ブーム7の先端部が車両Aの右側に位置するような旋回ポスト6の旋回領域(以下右旋回領域という)では、車両Aの左側に位置するアウトリガジャッキ9lが反転倒側となる。このため、旋回ポスト6が左旋回領域にあるか右旋回領域にあるかを検出する旋回領域検出器(図示省略)と、この旋回領域検出器からの検出信号を受け取り受け取りに係る検出信号が、左旋回領域である場合には右側の接地反力検出手段10rからの接地反力Frを選択して比較器12−1に出力し、右旋回領域である場合には左側の接地反力検出手段10lからの接地反力Flを選択して比較器12−1に出力する切換器(図示省略)で構成する。
このように構成した安定限界監視装置は、反転倒側のアウトリガジャッキ9の接地反力FlまたはFrが閾値出力手段11の出力する閾値Fmin以下になると比較手段12から安定限界信号Pを出力されるので、この安定限界信号Pにより警報器またはクレーン4の作動を規制する作動規制手段を作動させることで、移動式クレーンを車両Aの左右方向に転倒させる危険を回避できる。
この種の安定限界監視装置は、特開平8−73189号公報中の図4およびその説明個所たる文番「0006」に「安定限界信号出力部10」として開示されている。この文番「0006」には、「各ジャッキ4,4に作用する負荷をそれぞれ検出する負荷検出手段10b,10bと、これら負荷検出手段10b,10bの検出に係る何れか一方の負荷が予め定めた所定値以下になると安定限界信号aを出力する演算手段10cと以て構成。」と説明されている。ここには、演算手段10cの構成についての具体的な説明がないが、この演算手段10cが、左右の各ジャッキ4,4のうち反転倒側のアウトリガジヤッキの接地反力Fの下限値としての閾値Fminを出力する閾値出力手段と、前記左右の負荷検出手段10b,10bの検出に係る少なくとも何れか一方の接地反力Fが閾値出力手段の出力する閾値以下になると安定限界信号Pを出力する比較手段(左右の接地反力のうち反転倒側の接地反力が閾値出力手段の出力する閾値以下になると安定限界信号を出力する比較手段)で構成されたものであることは、当業者にとって自明なところである。
図5および図6に図に示し上述した従来の安定限界監視装置は、特開平8−73189号に上記如く開示されている安定限界信号出力部10部分を、自明の範囲で敷衍して解説したものである。
特開平8−73189号公報
上記の如く構成した従来の安定限界監視装置においては、閾値出力手段11が出力する閾値Flimは予め定めた単一の所定値となっており、アウトリガジャッキ9l、9rの張り出し長さに応じて当該閾値Flimを変動させるようにはなっていない。
すなわち、閾値出力手段11の出力する閾値Flimは、転倒側および反転倒側のアウトリガジヤッキ9lおよび9rの双方を最短張り出し長さ(移動式クレーンが車両Aの左右方向に最も転倒しやすい長さ)にした状態において、移動式クレーンを左右側方へ転倒させることなくクレーン作業ができる反転倒側のアウトリガジャッキ9の接地反力の許容下限値に設定されている。そして、この閾値Flimは、転倒側および反転倒側のアウトリガジャッキ9,9の張り出し長さを最短張り出し長さ以上にした場合にも、同じ値の閾値Flimを用いるようにしている。
閾値出力手段11の出力する閾値Flimをこのように設定した従来の安定限界監視装置は、転倒側および反転倒側のアウトリガジャッキ9l,9rの少なくとも一方の張り出し長さを最短張り出し状態より拡げて行うクレーン作業時の能力を充分に活用できないという問題を持っている。
この問題発生の理由について説明すると次の通りである。先ず、この説明で用いる符号を下記のように定義する。
Ll,Lr;旋回ポスト6の旋回中心を基準とする左右のアウトリガジャッキ9l,9rの張り出し長さ、
H ;左右のアウトリガジヤッキ9l,9rの各接地点9l−1,9r−1間の距離、この距離HはLlとLrの加算値に略合致するものである。
Mg ;転倒側のアウトリガジヤッキ9lまたは9rの接地点9l−1または9r−1まわりに作用して移動式クレーンを車両Aの左側方または右側方へ転倒させようとする転倒側モーメント、
この転倒モーメントMgは、転倒側アウトリガジャッキ9lまたは9rの接地点9l−1または9r−1を基準として画定される転倒線よりも外側に存在するブーム7の該当部分および当該ブーム7の先端部に吊り下げた荷重Wの重量に基づき生じるモーメントである。
Ms ;転倒側のアウトリガジャッキ9l,9rの接地点9l−1,9r−1まわりに作用して移動式クレーンを安定させようとする、前記転倒モーメントに対抗する安定側モーメント、
この安定側モーメントは、転倒側のアウトリガジャッキ9lまたは9rの接地点9l−1または9r−1を基準として画定される転倒線よりも内側に存在する重量(車両Aの重量、クレーン4の該当部分の重量、車両Aの荷台3への積載荷重の重量)に基づき生じるものである。
Mt ;安定側モーメントMsから転倒側モーメントMgを減算して得られる残存安定モーメント。移動式クレーンは、この残存安定モーメントMtを所定量以上確保することで、左右方向へ転倒させることなく安全にクレーン作業ができるものである。
この残存安定モーメントMtは、反転倒側のアウトリガジャッキ9lまたは9rの接地反力FlまたはFrと距離Hの乗算値に相当する。
従来の安定限界監視装置において、閾値出力手段11が出力する閾値Flimは、転倒側および反転倒側のアウトリガジャッキ9lおよび9rの双方を最短張り長さ(移動式クレーンが車両Aの左右方向に最も転倒しやすい長さ)にした状態において、移動式クレーンを車両Aの左右側方へ転倒させることなくクレーン作業ができる反転倒側のアウトリガジャッキ9の接地反力の許容下限値に設定されており、このように設定した閾値を左右のアウトリガジャッキ9l,9rの張り出し長さが最短張り出し長さより拡げたときにも、変動させないようにしたものである。
従って、従来の安定限界監視装置においては、左右のアウトリガジャッキ9l,9rの張り出し長さLl,Lrがいずれも最短張り出し長さになっている場合には、移動式クレーンのクレーン性能を充分に発揮できるものの、左右のアウトリガジヤッキ9l,9rの張り出し長さがLl,lrの少なくとも何れかが最短張り出し長さ以上になった場合には、
安定側モーメントMsから転倒側モーメントMgを減算して求められる残存安定モーメントMtが必要以上に確保される結果となる。換言すれば、従来の安定限界監視装置においては、左右のアウトリガジャッキ9l、9rの少なくとも何れか一方を最短張り出し長さ以上にして行うクレーン作業時のクレーン能力を充分に活用できないという問題を持っているのである。
本発明の係る移動式クレーンの安定限界監視装置は、従来の安定限界監視装置が持つ上記した問題を解決するため、以下の如く構成している。
(請求項1記載の安定限界監視装置の構成について)
車両フレーム1の前部および後部に運転室2および荷台3を取り付けた車両A、車両A
の運転室2と荷台3間の車両フレーム1上に取り付けつけたクレーン4とからなり、前記クレーン4が、車両フレーム1上に取り付けたクレーン基台5と、このクレーン基台5に旋回作動自在に立設した旋回ポスト6と、その基端部を旋回ポスト6に起伏作動自在に取り付けられその先端部に荷物Wの吊り下げ手段8を備えたブーム7と、前記クレーン基台5に車両フレーム1の左右外側に張り出して接地可能なよう取り付けられクレーン作業時にクレーン基台5が取り付けられた車両フレーム1部分をジャッキアップする左右一対のアウトリガジャッキ9l,9rとで構成された移動式クレーンに用いられる安定限界監視装置であって、
左右のアウトリガジャッキ9l,9rの接地反力Fl,Frをそれぞれ検出する左右一対の接地反力検出手段10l,10rと、左右のアウトリガジャッキ9l,9rのうち反転倒側のアウトリガジヤッキの接地反力FlまたはFrの下限値としての閾値Flimを出力する閾値出力手段11と、前記左右の接地反力検出手段10l,10rの検出に係る少なくとも何れか一方の接地反力FlまたはFrが閾値出力手段11の出力する閾値Flim以下になると安定限界信号Pを出力する比較手段とで構成したものにおいて、
左右のアウトリガジャッキ9l,9rの張り出し長さLl,Lrをそれぞれ検出して前記閾値入力手段11に入力する張り出し長さ検出手段13l,13rを設け、前記閾値出力手段9は、張り出し長さ検出手段13l,13rから入力される左右のアウトリガジャッキの張り出し量が増大するほどその出力に係る閾値Flimを連続的または段階的に低減させるよう構成してあることを特徴とする移動式クレーンの安定限界監視装置。
(請求項1記載の安定限界監視装置の作用・効果について)
このように構成した請求項1記載の安定限界監視装置は、左右のアウトリガジャッキの張り出し量が増大するほど、閾値出力手段9から出力される閾値Flimが連続的または段階的に低減する。このため、閾値出力手段11の出力する閾値Flimの低減傾向(左右のアウトリガジャッキ9l,9rの張り出し量が増大するほど連続的または段階的に低減する閾値Flimの低減傾向)を、適切に設定しておくことによって、左右のアウトリガジャッキ9l、9rの少なくとも何れか一方を最短張り出し長さ以上にして行うクレーン作業時のクレーン能力を充分に活用できるのである。
(請求項2記載の安定限界監視装置の構成について)
請求項2は請求項1の従属項であって、請求項1記載の安定限界監視装置における閾値出力手段11を次のように構成したものである。
閾値出力手段11は、左右の張り出し量検出手段13l,13rの検出値を用いて閾値
Flimを算出出力する際に、左右の張り出し幅検出手段13l,13rの検出値から左右のアウトリガジャッキの接地点間の距離Hを求め、この求めた距離Hに反比例する閾値Flimを算出出力するよう構成してあることを特徴とする請求項1記載の移動式クレーンの安定限界監視装置。
(請求項2記載の安定限界監視装置の作用・効果について)
前述したように残存安定モーメントMtは、反転倒側アウトリガジャッキ9lまたは9rの接地反力FlまたはFrと距離Hの乗算値として求められる。このため、反転倒側のアウトリガジャッキ9lまたは9rの接地反力の許容下限値としての閾値Flimを、左右のアウトリガジャッキ9l,9rの接地点間の距離Hに反比例するようにすることで、アウトリガジャッキ9l,9rの張り出し長さの変動に関わらず安定限界監視装置作動時の残存安定モーメントを略一定に確保することができる。
従って、この残存安定モーメントMtの許容下限値を、適切に設定(移動式クレーンAを左右に転倒させることなく安全にクレーン作業ができる必要最低限度の残存安定モーメントMtに設定)することにより、左右のアウトリガジャッキ9l、9rの少なくとも何れか一方を最短張り出し長さより拡げて行うクレーン作業時のクレーン能力を充分に活用できるのである。
本発明に係る移動式クレーンの安定限界監視装置の効果については、上記の「課題を達成するための手段」の欄中で説明した通りである。
本発明に係る移動式クレーンの安定限界監視装置の実施例を、図1〜図2に基づいて説明する。
(第一の実施例)
図1は、本発明に係る移動式クレーンの安定限界監視装置の第一の実施例を示す。この第一の実施例は、図5に示し上述した従来の安定限界監視装置に比べ、下記の二点で相違している。これら相違点以外の構成および作用については、図7に示し上述した従来の安定限界監視装置のそれと同様である。
・ 左右のアウトリガジャッキ9l,9rの張り出し長さLl,Lrをそれぞれ検出する張り出し長さ検出手段13l,13rを設けこれら張り出し長さ検出手段13l,13rの検出値Ll,Lrを閾値出力手段11に入力するようにしてあること、
・ 閾値出力手段11は、張り出し長さ検出手段13l,13rから入力される左右のアウトリガジャッキの張り出し量が増大するほどその出力に係る閾値Flimを連続的または段階的に低減させるよう構成していること、
この第一の実施例は、請求項1記載の安定限界監視装置の実施例に該当するものである。
(第二の実施例)
図2は、本発明に係る移動式クレーンの安定限界監視装置の第二の実施例を示す。この第二の実施例は、図6に示し上述した従来の安定限界監視装置に比べ、下記の二点で相違している。これら相違点以外の構成および作用については、図8に示し上述した従来の安定限界監視装置のそれと同様である。
・ 右のアウトリガジャッキ9l,9rの張り出し長さLl,Lrをそれぞれ検出する張り出し長さ検出手段13l,13rを設けこれら張り出し長さ検出手段13l,13rの検出値Ll,Lrを閾値出力手段11に入力するようにしてあること、
・ 閾値出力手段11は、張り出し長さ検出手段13l,13rから入力される左右のアウトリガジャッキの張り出し量が増大するほどその出力に係る閾値Flimを連続的または段階的に低減させるよう構成していること、
この第二の実施例もまた、請求項1記載の安定限界監視装置の実施例に該当するものである。
(第三の実施例)
図1に示し上述した第一の実施例における閾値出力手段11を、特に、左右の張り出し長さ検出手段13l,13rからの入力信号Ll,Lrから把握される左右のアウトリガジャッキ9l,9rの接地点間の距離Hが大きくなるほど、その出力に係る閾値Flimを段階的または連続的に低減するよう構成する。
この第三の実施例は、請求項2記載の安定限界監視装置の実施例に該当するものである。
(第四の実施例)
図2に示し上述した第一の実施例における閾値出力手段11を、特に、左右の張り出し長さ検出手段13l,13rからの入力信号Ll,Lrから把握される左右のアウトリガジャッキ9l,9rの接地点間の距離Hが大きくなるほど、その出力に係る閾値Flimを段階的または連続的に低減するよう構成する。
この第四の実施例もまた、請求項2記載の安定限界監視装置の実施例に該当するものである。
なお、上記した閾値出力手段11は、第一の実施例〜第四の実施例を通して、左右のア
ウトリガジャッキの張り出し長さが増大するほど低減する閾値Flimを連続的または段階的に出力するものであるが、閾値Flimを段階的に出力する場合の閾値出力手段11は、左右のアウトリガジャッキ9l,9rの張り出し長さの組み合わせ毎に、対応する閾値Flimを記憶データとして記憶する閾値記憶部を備え、この閾値記憶部に記憶した記憶データから、左右の張り出し長さ検出手段13l,13rの検出に係る張り出し長さLl,Lrをインデックス信号として対応する閾値Flimを選択出力するよう構成するものである
本発明に係る移動式クレーンの安定限界監視装置の第一および第三の実施例の説明図である。 本発明に係る移動式クレーンの安定限界監視装置の第二および第四の実施例の説明図である。 移動式クレーンの側面図である。 移動式クレーンのクレーン作業状態の平面図である。 従来の移動式クレーンの安定限界監視装置の説明図である。 従来の移動域クレーンの安定限界監視装置の他の例の説明図である。
符号の説明
A;車両、
Afl,Afr;左右の前輪、
Arl,Arr;左右の後輪、
1;車両フレーム、
2;運転室、
3;荷台、
4;クレーン、
5;クレーン基台、
6;旋回ポスト、
7;ブーム、
8;吊り下げ手段、
9l,9r;左右のアウトリガジャッキ、
9l−1,9r−1;左右のアウトリガジャッキの接地点、
10l,10r;接地反力検出手段、
11;閾値出力手段、
12;比較手段、
12−1l,12−1r;一対の比較器、
12−1;単一の比較器、
12−2;反転倒側判別手段、
13l,13r;張り出し長さ検出手段、
14;反転倒側判別手段、
W;荷重、
Fl,Fr;左右のアウトリガの接地反力、
Flim;閾値(反転倒側のアウトリガジャッキ9の接地反力の許容下限値)
P;安定限界信号、
Ll,Lr;左右のアウトリガジャッキ9l,9rの張り出し長さ(旋回ポスト6の旋回中心を基準)
H;左右のアウトリガジヤッキの接地点間の距離、
Mg;転倒側モーメント、
Ms;安定側モーメント、
Mt;残存安定モーメント、

Claims (2)

  1. 車両フレーム1の前部および後部に運転室2および荷台3を取り付けた車両A、車両A
    の運転室2と荷台3間の車両フレーム1上に取り付けつけたクレーン4とからなり、前記クレーン4が、車両フレーム1上に取り付けたクレーン基台5と、このクレーン基台5に旋回作動自在に立設した旋回ポスト6と、その基端部を旋回ポスト6に起伏作動自在に取り付けられその先端部に荷物Wの吊り下げ手段8を備えたブーム7と、前記クレーン基台5に車両フレーム1の左右外側に張り出して接地可能なよう取り付けられクレーン作業時にクレーン基台5が取り付けられた車両フレーム1部分をジャッキアップする左右一対のアウトリガジャッキ9l,9rとで構成された移動式クレーンに用いられる安定限界監視装置であって、
    左右のアウトリガジャッキ9l,9rの接地反力Fl,Frをそれぞれ検出する左右一対の接地反力検出手段10l,10rと、左右のアウトリガジャッキ9l,9rのうち反転倒側のアウトリガジャッキの接地反力FlまたはFrの下限値としての閾値Flimを出力する閾値出力手段11と、前記左右の接地反力検出手段10l,10rの検出に係る少なくとも何れか一方の接地反力FlまたはFrが閾値出力手段11の出力する閾値Flim以下になると安定限界信号Pを出力する比較手段とで構成したものにおいて、
    左右のアウトリガジャッキ9l,9rの張り出し長さLl,Lrをそれぞれ検出して前記閾値入力手段11に入力する張り出し長さ検出手段13l,13rを設け、前記閾値出力手段9は、張り出し長さ検出手段13l,13rから入力される左右のアウトリガジャッキの張り出し量が増大するほどその出力に係る閾値Flimを連続的または段階的に低減させるよう構成してあることを特徴とする移動式クレーンの安定限界監視装置。
  2. 閾値出力手段11は、左右の張り出し量検出手段13l,13rの検出値を用いて閾値
    Flimを算出出力する際に、左右の張り出し幅検出手段13l,13rの検出値から左右のアウトリガジャッキの接地点間の距離Hを求め、この求めた距離Hに反比例する閾値Flimを算出出力するよう構成してあることを特徴とする請求項1記載の移動式クレーンの安定限界監視装置。
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