JP2008074301A - 車両用可動バンパ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】歩行者保護に適した車両用可動バンパ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】車両用可動バンパ装置10では、フロントバンパリーンフォース20をアッパーリーンフォース30とアンダーリーンフォース32とに上下2分割し、フロントバンパアブソーバ22をアッパーアブソーバ34とアンダーアブソーバ36とに上下2分割し、可動バンパ駆動部24によって、アンダーリーンフォース32及びアンダーアブソーバ36を上下動可能とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、緩衝部材が可動とされた車両用可動バンパ装置に関する。
車両衝突を予知すると、バンパリーンフォース内部に備えられたエアバッグを膨張させ、バンパリーンフォースを上下に2分割することにより、バンパリーンフォースとエアバッグとで構成されるバンパの上下の幅を拡大させるように構成した車両用可動バンパ装置が考案されている(例えば、特許文献1参照)。
この装置によると、車両衝突時にバンパと衝突対象との接触面積が増加することによって、バンパによるエネルギ吸収量が増加し、緩衝効果を向上させることができる。しかし、衝突対象が対向車である場合を前提としており、歩行者との衝突(歩行者保護)を考慮したバンパの特性にはなっていない。
特開2005−7921号公報
本発明は上記事実を考慮し、歩行者保護に適した車両用可動バンパ装置を提供することを目的とする。
請求項1に記載の車両用可動バンパ装置は、車両前後方向に延在する左右一対の車両骨格部材の車両前端部を車幅方向に連結するアッパーリーンフォースと、前記アッパーリーンフォースの車両下側に配置され、前記アッパーリーンフォースに対して接近及び離間可能とされたアンダーリーンフォースと、前記アッパーリーンフォースの車両前側に配置された一方と、前記アンダーリーンフォースの車両前側に配置され前記アンダーリーンフォースに取り付けられた他方との一対を含んで構成されており、少なくとも一部における衝突対象に対する面圧が、前記アンダーリーンフォースの車両上下方向の位置によって変化する緩衝部材と、を有することを特徴とする。
請求項1に記載の車両用可動バンパ装置では、アッパーリーンフォースが、車両前後方向に延在する左右一対の車両骨格部材の車両前端部を車幅方向に結合しており、アンダーリーンフォースが、アッパーリーンフォースの車両下側に配置され、アッパーリーンフォースに対して接近及び離間可能とされている。また、一方の緩衝部材が、アッパーリーンフォースの車両前側に配置され、他方の緩衝部材が、アンダーリーンフォースの車両前側に配置されてアンダーリーンフォースに取り付けられている。
このため、他方の緩衝部材の車両の上下方向の位置は、アンダーリーンフォースの車両上下方向の位置によって変化する。また、緩衝部材の少なくとも一部の衝突対象に対する面圧が、アンダーリーンフォースの車両上下方向の位置によって変化するようになっている。
従って、仮に、緩衝部材を歩行者保護には適さない高い位置に設置し、また、歩行者保護に適さない特性に設定しなければならないような場合でも、バンパの高さ、特性を歩行者保護に適するように変化させることが可能である。
請求項2に記載の車両用可動バンパ装置は、請求項1に記載の車両用可動バンパ装置であって、前記緩衝部材の少なくとも長手方向の両端部は、前記一方と前記他方とが互いに嵌合又は遊嵌可能であるように凸凹状に構成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の車両用可動バンパ装置では、緩衝部材の少なくとも長手方向の両端部が、一方の緩衝部材と他方の緩衝部材とが互いに嵌合又は遊嵌可能であるように凸凹状に構成されている。このように凸凹状の嵌合(又は遊嵌)構造を採ることにより、アンダーリーンフォースを下降させた際に、緩衝部材の少なくとも長手方向の両端部において、一方の緩衝部材と他方の緩衝部材とが略噛み合い状態(嵌合(又は遊嵌)状態よりも噛み合いを浅くした状態)となるので、緩衝部材全体としての受圧面積を見かけ上増加させることができる。よって、緩衝部材の少なくとも長手方向の両端部の衝突対象に対する面圧を低下させることができる。
従って、歩行者保護に適した緩衝部材の特性を、簡単な構成によって実現することが可能である。
請求項3に記載の車両用可動バンパ装置は、請求項1又は請求項2に記載の車両用可動バンパ装置であって、車両衝突を予知する衝突予知手段と、前記衝突予知手段によって車両との衝突を予知された衝突対象が歩行者か否かを判別し、前記衝突対象を歩行者以外と判別した場合には、前記アッパーリーンフォース及び前記アンダーリーンフォースが車両上下方向に近接した通常状態とし、前記衝突対象を歩行者と判別した場合には、前記アンダーリーンフォースが車両下方へ移動した歩行者保護状態とする可動バンパ制御手段と、を有することを特徴とする。
請求項3に記載の車両用可動バンパ装置では、衝突予知手段によって車両衝突が予知されると、可動バンパ制御手段が、衝突予知手段によって車両との衝突を予知された衝突対象が歩行者か否かを判別し、そして、衝突対象を歩行者以外と判別した場合には、アッパーリーンフォース及びアンダーリーンフォースが互いに車両上下方向に近接した通常状態とし、衝突対象を歩行者と判別した場合には、アンダーリーンフォースが車両下方へ移動した歩行者保護状態とする。
従って、衝突対象に応じて、適切な緩衝部材のエネルギ吸収特性を得ることが可能となる。
以上説明したように、歩行者保護に適した車両用可動バンパ装置を提供できる。
次に、本発明の車両用可動バンパ装置の一実施形態を図1乃至図5に従って説明する。
なお、図中矢印FRは車両前方方向を、矢印INは車幅内方方向を、矢印UPは車両上方方向を示す。
図1、図2に示すように、本発明の一実施形態である車両用可動バンパ装置10を備えるSUV(スポーツユーティリティビークル)タイプの車両12の前部にはエンジンコンパートメント14が形成され、このエンジンコンパートメント14の車幅両側において、左右一対の車両骨格部材としてのフロントサイドメンバ16が、車両前後方向に延在している。また、エンジンコンパートメント14の車両前側では、フロントバンパカバー18が、車幅方向に延在している。
また、車両用可動バンパ装置10は、フロントサイドメンバ16の車両前側に配置されて左右一対のフロントサイドメンバ16を車幅方向に連結するフロントバンパリーンフォース20と、フロントバンパリーンフォース20の車両前側且つフロントバンパカバー18の車両後側に配置されたフロントバンパアブソーバ22と、リーンフォース駆動部24と、衝突予知手段としてのプリクラッシュセンサ26と、可動バンパ制御手段としてのコントローラ28とを備えている。
フロントバンパリーンフォース20は、一対のフロントサイドメンバ16の車両前端部に結合されたアッパーリーンフォース30と、アッパーリーンフォース30の車両下側に配置されたアンダーリーンフォース32とに分割されている。アッパーリーンフォース30とアンダーリーンフォース32とは、フロントバンパカバー18の前面18Aに沿って車幅方向に延在する長尺且つ矩形断面形状等の断面形状を持つフレームであり、車両上下方向に重ねて配置されている。
また、アッパーリーンフォース30の後面30A(図4参照)の車幅方向中央部及び両端部にはそれぞれ、フランジ部30Bが形成され、アンダーリーンフォース32の後面32A(図4参照)の車幅方向中央部及び両端部にはそれぞれ、フランジ部32Bが形成されている。車両上下方向に重なったフランジ部30Bと32Bにはそれぞれ、同径のネジ穴30C、32Cが同軸的に形成されている。
また、バンパブソーバ22は、アッパーリーンフォース30の前面30Dに接着等により取り付けられたアッパーアブソーバ34と、アンダーリーンフォース32の前面32Dに接着等により取り付けられたアンダーアブソーバ36とに分割されている。アッパーアブソーバ34とアンダーアブソーバ36とは共にフロントバンパカバー18の前面18Aに沿って車幅方向に延在する断面矩形状の中実部材であり、車両上下方向に重ねて配置されている。なお、アッパーアブソーバ34とアンダーアブソーバ36とは、一例としてウレタンフォーム等によって形成されている。
また、アッパーアブソーバ34の車両下側の車幅全体とアンダーアブソーバ36の車両上側の車幅全体とにはそれぞれ、互いに嵌合可能な櫛歯状(凸凹状)の嵌合部34A、36Aが形成されている。
また、リーンフォース駆動部24は、リーンフォース20の車幅方向中央部及び両端部に配設されている。図4に示すように、各リーンフォース駆動部24は、モータ38と、ボーネジ39とを備えている。各モータ38は、回転軸が車両上下方向を向くように、アッパーリーンフォース30の後面30Aの車幅方向中央部及び両端部にそれぞれ、ブラケット40によって取り付けられている。また、モータ38は、フランジ部30Bの車両上側に配置され、モータ38の回転軸は、モータ38の本体部から車両下方へ延びており、モータ38の回転軸の本体部から突出した部分が、ネジ孔30C、32Cに螺合するボールネジ39となっている。
即ち、アンダーリーンフォース32は、フランジ部32B、ボールネジ39、フランジ部30Bを介して、アッパーリーンフォース30に支持されている。このため、3個のモータ38を駆動させると、アンダーリーンフォース32が、車両上下方向に移動し、アッパーリーンフォース30に対して接近及び離間する。
ここで、図1、図5(A)に示すように、モータ38の駆動によるアンダーリーンフォース32の車両上側への移動は、アッパーアブソーバ34の嵌合部34Aとアンダーアブソーバ36の嵌合部36Aとが嵌合することによって停止するが、この状態でアンダーアブソーバ36が、フロントバンパカバー18の下面18Bの車両上側に位置し、フロントバンパカバー18の内側に収容される。
また、アッパーアブソーバ34の嵌合部34Aとアンダーアブソーバ36の嵌合部36Aとが嵌合した状態から、モータ38の駆動によってアンダーリーンフォース32が車両下側へ移動すると、アンダーアブソーバ36がフロントバンパカバー18の下面18Bに当たる。
なお、フロントバンパカバー18は、薄肉で変形可能な部材であるため、フロントバンパカバー18の下面18Bは、下降するアンダーアブソーバ36によって容易に弾性変形される(逃げる)。
また、プリクラッシュセンサ26は、アッパーリーンフォース30の車幅方向中央部の車両上側に配置されたミリ波レーダやカメラ等であり、車両12の前面と衝突体との衝突を予め検知し、プリクラッシュセンサ26に接続されたコントローラ28へ検出信号を出力(送信)する。
コントローラ28では、プリクラッシュセンサ26からの入力信号に基づいて、衝突対象が歩行者であるのか、それとも車両等の歩行者以外であるのかが判別可能とされている。また、コントローラ28には、3個のモータ38が接続されており、3個のモータ38が、コントローラ28によって、衝突対象の判別結果に応じて制御される。
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
コントローラ28は、プリクラッシュセンサ26によって車両衝突が予知されていない通常時には、アンダーリーンフォース32がアッパーリーンフォース30に近接され、アッパーアブソーバ34の嵌合部34Aとアンダーアブソーバ36の嵌合部36Aとが嵌合した状態(以下、通常状態という)となるように、モータ38を制御する。
一方、プリクラッシュセンサ26によって車両衝突が予知されると、コントローラ28が、プリクラッシュセンサ26からの入力信号に基づいて、衝突対象が歩行者であるのか、それとも車両等の歩行者以外であるのかを判別する。
そして、コントローラ28は、衝突対象が歩行者以外であると判別すると、車両用可動バンパ装置10を上記通常状態に維持し、衝突対象が歩行者であると判別すると、3個のモータ38へ駆動信号を出力し、アンダーリーンフォース32が車両下側へ移動した状態(以下、歩行者保護状態という)に変化させる。
ここで、歩行者保護状態では、アッパーアブソーバ34とアンダーアブソーバ36とが分離するが、互いに嵌合可能な櫛歯状の嵌合部34A、36Aが設けられており、嵌合部34Aと嵌合部36Aとを略噛み合い状態(嵌合状態よりも噛み合いを浅くした状態)にすることができるので、フロントバンパアブソーバ22全体としての受圧面積を見かけ上増加させることができる。そして、一体的なフロントバンパアブソーバ22の衝突対象との衝突面積が広がるので、フロントバンパアブソーバ22の衝突対象に対する面圧を低下させることができる。
ここで、SUVタイプの車両のバンパは、通常走行時のアプローチアングルを確保すること等を目的として、高い位置に配置されており、歩行者保護に適した高さには配置されていないことが多い。また、SUVタイプの車両のバンパは、障害物との軽衝突時の車体の損傷を軽減するために必要なエネルギ吸収特性を、短いストロークで実現することを目的として、歩行者保護に適した荷重特性より高い荷重特性を与えられている場合があり、必ずしも歩行者保護に適した荷重特性にはなっていない。
しかし、本実施形態では、歩行者が車両12の前面に衝突する際に、アンダーアブソーバ36が下降し、また、フロントバンパアブソーバ22の歩行者に対する面圧が低下する。また、フロントバンパアブソーバ22の材質や形状により、アンダーアブソーバ36の下降位置や、フロントバンパアブソーバ22全体の特性をコントロールできるので、歩行者保護を十分に行うことが可能である。
また、衝突対象が歩行者の場合のみ、車両用可動バンパ装置10を歩行者保護状態に変化させ、通常時や衝突対象が歩行者以外の場合には、車両可動バンパ装置10を通常状態に維持するようにしたことにより、衝突対象物に応じて、適切なフロントバンパアブソーバ22のエネルギ吸収特性を得ることが可能である。
さらに、歩行者保護状態で、車両用可動バンパ装置10を変化させる際に、フロントバンパリーンフォース20やフロントバンパアブソーバ22を、破断させたりすることが無く、再利用可能なので、コストを低減できる。
以上、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、本実施形態では、櫛歯状の嵌合部34A、36Aを、アッパーアブソーバ34、アンダーアブソーバ36の車幅方向の全体に設けたが、歩行者との衝突が起こり易い箇所(車幅方向の両端部)等、車幅方向の一部のみでも良い。
また、本実施形態では、アッパーアブソーバ34とアンダーアブソーバ36とを櫛歯状に嵌合可能に構成したが、櫛歯状に限られず、波形状等の他の凸凹形状でも良く、また、嵌合可能であることに限られず、遊嵌(隙間を空けて噛み合うこと)可能であっても良い。
また、本実施形態では、緩衝部材をフロントバンパリーンフォース20に取り付けられたバンパアブソーバ20としたが、バンパアブソーバ20と同様の性能を有する部材が一体で形成されたバンパカバー等の他の緩衝部材も適用可能である。また、アッパーアブソーバ34をアッパーリーンフォース30に取り付けることは必須では無く、フロントバンパカバー18に取り付けても良いし、落下しないように支えるだけでも良い。
さらに、本実施形態では、フロントバンパリーンフォース20を結合する車両骨格部材をフロントサイドメンバ16としたが、車両骨格部材は、フロントバンパリーンフォース20とフロントサイドメンバ16との間に介在するクラッシュボックスとしても良い。
本発明の一実施形態に係る車両用可動バンパ装置を備える車両の前部を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る車両用可動バンパ装置の分解斜視図である。 本発明の一実施形態に係る車両用可動バンパ装置を備える車両の前部を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る車両用可動バンパ装置のリーンフォース駆動部を拡大して示す斜視図である。 (A)、(B)は、本発明の一実施形態に係る車両用可動バンパ装置を示す側面図である。
符号の説明
10 車両用可動バンパ装置
16 フロントサイドメンバ(車両骨格部材)
22 バンパアブソーバ(緩衝部材)
26 プリクラッシュセンサ(衝突予知手段)
28 コントローラ(可動バンパ制御手段)
30 アッパーリーンフォース
32 アンダーリーンフォース

Claims (3)

  1. 車両前後方向に延在する左右一対の車両骨格部材の車両前端部を車幅方向に連結するアッパーリーンフォースと、
    前記アッパーリーンフォースの車両下側に配置され、前記アッパーリーンフォースに対して接近及び離間可能とされたアンダーリーンフォースと、
    前記アッパーリーンフォースの車両前側に配置された一方と、前記アンダーリーンフォースの車両前側に配置され前記アンダーリーンフォースに取り付けられた他方との一対を含んで構成されており、少なくとも一部における衝突対象に対する面圧が、前記アンダーリーンフォースの車両上下方向の位置によって変化する緩衝部材と、
    を有することを特徴とする車両用可動バンパ装置。
  2. 前記緩衝部材の少なくとも長手方向の両端部は、前記一方と前記他方とが互いに嵌合又は遊嵌可能であるように凸凹状に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用可動バンパ装置。
  3. 車両衝突を予知する衝突予知手段と、
    前記衝突予知手段によって車両との衝突を予知された衝突対象が歩行者か否かを判別し、前記衝突対象を歩行者以外と判別した場合には、前記アッパーリーンフォース及び前記アンダーリーンフォースが車両上下方向に近接した通常状態とし、前記衝突対象を歩行者と判別した場合には、前記アンダーリーンフォースが車両下方へ移動した歩行者保護状態とする可動バンパ制御手段と、
    を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用可動バンパ装置。
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