JP2008073731A - 転造平ダイス及びその転造平ダイスの製造方法 - Google Patents

転造平ダイス及びその転造平ダイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】切り上がり部におけるねじり強度の向上を図り、高強度のスプライン又はセレーションを転造することができる転造平ダイス及びその転造平ダイスの製造方法を提供すること。
【解決手段】転造平ダイス1によれば、傾斜部30が加工歯12の歯幅方向一端側に設けられているので、被転造素材にスプライン100を転造する場合には、スプライン100の切り上がり部101をその谷径が軸心O方向に沿って徐々に拡大するように形成することができる。よって、切り上がり部101におけるねじり強度の向上が図られたスプライン100を転造することができる。また、傾斜部30の周縁部分にR状部40が設けられているので、そのR状部40によってかかる切り上がり部101の隅部101aを断面R状に形成することができ、高強度のスプライン100を転造することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、転造平ダイス及びその転造平ダイスの製造方法に関し、特に、切り上がり部におけるねじり強度の向上を図り、高強度のスプライン又はセレーションを転造することができる転造平ダイス及びその転造平ダイスの製造方法に関するものである。
軸状部材の外周面に形成された複数条の歯形からなるスプライン又はセレーションは、相手部材と嵌合することにより動力(回転力)の伝達等を可能とするためのものである。このスプライン又はセレーションは、一般に、転造工具を使用した転造加工により転造される。ところで、このようなスプライン又はセレーションは、その谷部の長手方向端部(切り上がり部)から折損等が生じ易く、かかる部位におけるねじり強度の確保が課題とされていた。
そこで、例えば、特開平8−290328号公報には、切り上がり部の谷径が軸線A方向に沿って徐々に拡大するように構成されるスプラインを転造するための転造工具(スプライン・ラック)12,14が開示されている。この転造工具12,14は、曲率半径Rに構成された湾曲部分13を備え、その湾曲部分13によりスプラインの切り上がり部を転造する。この転造工具12,14を使用して転造されたスプラインは、切り上がり部の谷径が軸線方向Aに沿って曲率半径Rで徐々に拡大するように構成されるので、かかる切り上がり部の強度が確保され、ねじり強度が向上する。
特開平8−290328号公報
しかしながら、上述した転造工具12,14を使用した場合でも、かかる切り上がり部のねじり強度が不十分で、スプラインの耐久性を十分に確保できていないという問題があった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、切り上がり部におけるねじり強度の向上を図り、高強度のスプライン又はセレーションを転造することができる転造平ダイス及びその転造平ダイスの製造方法を提供することを目的としている。
この目的を解決するために請求項1記載の転造平ダイスは、複数の加工歯が設けられた転造歯形面を備え、その転造歯形面の加工歯を被転造素材の外周面に食い込ませて、その被転造素材の外周面にスプライン又はセレーションを転造するものであり、前記転造歯形面の加工歯は、その加工歯の歯幅方向一端側に位置し直線状または曲線状に下降傾斜して形成される傾斜部と、その傾斜部の周縁部分に位置し断面R状に形成されるR状部とを備えている。
請求項2記載の転造平ダイスは、請求項1記載の転造平ダイスにおいて、前記R状部は、そのR半径が、前記傾斜部の下降傾斜始端部側から下降傾斜終端部側へ向かうに従い大きくなるように形成されている。
請求項3記載の転造平ダイスの製造方法は、複数の加工歯が設けられた転造歯形面を備え、その転造歯形面の加工歯を被転造素材の外周面に食い込ませて、その被転造素材の外周面にスプライン又はセレーションを転造する転造平ダイスであって、前記転造歯形面の加工歯が、その加工歯の歯幅方向一端側に位置し直線状または曲線状に下降傾斜して形成される傾斜部と、その傾斜部の周縁部分に位置し断面R状に形成されるR状部とを備える転造平ダイスの製造方法であり、その転造平ダイスの転造歯形面に前記加工歯を形成する加工歯形成工程と、その加工歯形成工程により形成された加工歯に前記傾斜部と前記R状部とを形成する歯縁部形成工程とを備え、その歯縁部形成工程は、少なくとも前記R状部をワイヤ放電加工により形成する。
請求項4記載の転造平ダイスの製造方法は、請求項3記載の転造平ダイスの製造方法において、前記歯縁部形成工程は、前記傾斜部と前記R状部とをワイヤ放電加工により同一の加工工程で形成する。
請求項5記載の転造平ダイスの製造方法は、請求項3又は4に記載の転造平ダイスの製造方法において、前記歯縁部形成工程で形成されるR状部は、そのR半径が、下降傾斜始端部側から下降傾斜終端部側へ向かうに従い大きくなるように形成されている。
請求項1記載の転造平ダイスによれば、傾斜部が加工歯の歯幅方向一端側に設けられているので、被転造素材にスプライン又はセレーションを転造する場合には、スプライン又はセレーションの切り上がり部をその谷径が軸心方向に沿って徐々に拡大するように形成することができる。よって、切り上がり部におけるねじり強度の向上が図られたスプライン又はセレーションを転造することができるという効果がある。
この場合、加工歯に山払い加工を施して傾斜部を設けると、その傾斜部の周縁部分が鋭角となり、その結果、切り上がり部の隅部が角状に形成されるので、その隅部に応力が集中して、かかる切り上がり部におけるねじり強度の低下を招くところ、本発明における転造平ダイスによれば、傾斜部の周縁部分にR状部が設けられているので、そのR状部によってかかる切り上がり部の隅部を断面R状に形成することができ、高強度のスプライン又はセレーションを転造することができるという効果がある。
一方、傾斜部の周縁部分にR状部が設けられているので、加工歯がチッピング等により損傷することを防止して、転造平ダイス自体の耐久性の向上を図ることができるという効果がある。
請求項2記載の転造平ダイスによれば、請求項1記載の転造平ダイスの奏する効果に加え、R状部は、そのR半径が、傾斜部の下降傾斜始端部側から下降傾斜終端部側へ向かうに従い大きくなるように形成されているので、被転造素材にスプライン又はセレーションを転造する場合には、スプライン又はセレーションの切り上がり部における応力集中を更に抑制することができるという効果がある。
即ち、R半径は、加工歯の厚み以上の値とすることができないため、R半径を傾斜部の下降傾斜始端部から下降傾斜終端部まで一定とする場合には、そのR半径を、加工歯の厚みが最も薄い下降傾斜始端部において設定可能な値としなければならず、かかる切り上がり部における応力集中を十分に抑制できないところ、本発明のように、R半径を傾斜部の下降傾斜始端部側から下降傾斜終端部側へ向かうに従い大きくなるように形成することにより、下降傾斜終端部に対応する切り上がり部における応力集中も抑制することができる。
請求項3記載の転造平ダイスの製造方法によれば、傾斜部を加工歯の歯幅方向一端側に設ける歯縁部形成工程を備えているので、切り上がり部の谷径が軸心方向に沿って徐々に拡大するスプラインを転造可能な転造平ダイスを製造することができるという効果がある。よって、この転造平ダイスを用いれば、切り上がり部におけるねじり強度の向上が図られたスプライン又はセレーションを転造することができる。
この場合、歯縁部形成工程において、加工歯に山払い加工を施して傾斜部を形成すると、その傾斜部の周縁部分が鋭角となり、その結果、切り上がり部の隅部が角状に形成されるので、その隅部に応力が集中して、かかる切り上がり部におけるねじり強度の低下を招く。これに対し、歯縁部形成工程は、更に、R状部を傾斜部の周縁部分に形成するので、そのR状部によってかかる切り上がり部の隅部を断面R状に形成することができ、高強度のスプライン又はセレーションを転造可能な転造平ダイスを製造することができるという効果がある。
一方、上述したように、傾斜部の周縁部分にR状部が設けられた転造平ダイスを製造することができれば、加工歯のチッピング等による損傷が防止され、その耐久性の向上が図られた転造平ダイスを製造することができるという効果がある。
ここで、歯縁部形成工程は、少なくともR状部をワイヤ放電加工により形成するものである。このため、例えば、砥石を用いた研削加工では、隣り合う加工歯同士の間隔が狭い場合、砥石が隣の加工歯と干渉してしまい、R状部の形成が不可能であったところ、本発明における製造方法によれば、隣り合う加工歯同士の間隔に関わらずR状部を形成することができるという効果がある。
また、例えば、NC工作機を用いた切削加工によりR状部を形成する場合には、切削工具を傾斜部の周縁部分に沿って3次元的に移動させるといった複雑なプログラミング作業が必要であったところ、本発明における製造方法によれば、容易にR状部を形成することができるという効果がある。
請求項4記載の転造平ダイスの製造方法によれば、請求項3記載の転造平ダイスの製造方法の奏する効果に加え、歯縁部形成工程は、傾斜部とR状部とをワイヤ放電加工により同一の加工工程で形成するので、例えば、加工歯に研削加工を施して傾斜部を形成した後、その傾斜部にR状部を形成するといった別の加工工程を有する場合と比較して、傾斜部とR状部とを効率良く形成することができるという効果がある。その結果、歯縁部形成工程を簡素化して、作業時間を短縮することができるので、加工コストが削減され、その分、転造平ダイスの製造コストを削減することができるという効果がある。
請求項5記載の転造平ダイスの製造方法によれば、請求項3又は4に記載の転造平ダイスの製造方法の奏する効果に加え、歯縁部形成工程で形成されるR状部は、その径が、下降傾斜始端部側から下降傾斜終端部側へ向かうに従い大きくなるように形成されているので、スプライン又はセレーションの切り上がり部の隅部における応力集中を更に抑制することができるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態における転造平ダイス1を説明する図であり、(a)は、転造平ダイス1の上面図であり、(b)は、転造平ダイス1の側面図である。なお、図1では、傾斜部30とR状部40との図示が省略されている。
まず、図1を参照して、転造平ダイス1の全体構成について説明する。転造平ダイス1は、円柱状の軸状部材として構成された被転造素材の外周面を塑性変形させて、工作物P(図3参照)を転造加工により転造するための工具である。
ここで、図3を参照して、転造平ダイス1により転造される工作物Pについて説明する。図3(a)は、工作物Pの正面図であり、図3(b)は、図3(a)のAで示す部分を拡大した工作物Pの部分拡大図であり、図3(c)は、図3(b)のIIIc−IIIc線における工作物Pの断面図である。
工作物Pは、歯車等の相手部材に動力(回転力)を伝達するためのスプライン軸であり、その長手方向両端(図3(a)左右)の外周面には、相手部材と嵌合するスプライン100を備えて構成されている。スプライン100は、図3(b)に示すように、切り上がり部101の谷径が軸線O方向に沿って徐々に拡大するように構成されると共に、図3(c)に示すように、軸線O方向と略直交する方向の断面視において、切り上がり部101の隅部101aが断面R状に形成され構成されている。
かかる工作物Pの製造は、上述したように、転造平ダイス1を使用した転造加工により行われる。即ち、一対の転造平ダイス1を転造盤(図示せず)にそれぞれ固定し、それら転造平ダイス1を相対的に平行移動させることで、転造平ダイス1の対向間に挟持された被転造素材を塑性変形させる。
図1に戻って、転造平ダイス1について説明する。転造平ダイス1は、転造に適した合金工具鋼または高速度工具鋼等の金属材料から略直方体状に形成され、その上面側(図1(a)紙面手前側、図1(b)上側)には、被転造素材の外周面にスプライン100(図3参照)を転造するための転造歯形面11が設けられている。
転造歯形面11には、転造平ダイス1の転造方向始端側(図1右側)から終端側(図1左側)へ向けて、食付き部11a、仕上げ部11b及び逃げ部11cが順に連続して設けられている。
食付き部11aは、転造歯形面11を被転造素材の外周面に食い付かせるための部位であり、いわゆる食付き部として用いられる。この食付き部11aは、図1(b)に示すように、転造平ダイス1の転造方向始端側から仕上げ部側(図1左側)へ向けて傾斜角κ1で上昇傾斜して形成されている。
仕上げ部11bは、食付き部11aによって被転造素材に転造されたスプライン100を仕上げるための部位であり、図1(b)に示すように、転造平ダイス1の支持面(図1(b)下側面)に対して略平行に形成されている。
逃げ部11cは、仕上げ部11bにより仕上げられた被転造素材を転造歯形面11から排出するための部位であり、いわゆる逃げ部として用いられる。この逃げ部11cは、図1(b)に示すように、仕上げ部11bの終端から転造平ダイス1の転造方向終端側(図1(b)左側)へ向けて傾斜角κ2で下降傾斜して形成されている。
これら食付き部11a、仕上げ部11b及び逃げ部11cにより構成された転造歯形面11には、複数の歯形(以下、「加工歯」と称す。)12が刻設されている。これら複数の加工歯12は、被転造素材の外周寸法に対応した一定のピッチで転造方向(転造平ダイス1の長手方向、図1の左右方向)へ向けて連続して形成されると共に、転造方向に対して略直交する方向(図1(a)の上下方向)へ列設されている。被転造素材は、転造歯形面11上を転造方向始端側から転造方向終端側へ向けて相対的に転動移動することにより、その外周面にスプライン100が転造される。
次いで、図2を参照して、加工歯12の詳細構成について説明する。図2(a)は、図1(a)のIIa−IIa線における転造平ダイス1の断面図であり、図2(b)は、図2(a)の矢印IIb方向から視た転造平ダイス1の側面図である。また、図2(c)は、図2(a)のIIc−IIc線における転造平ダイス1の断面図であり、図2(d)は、図2(a)のIId−IId線における転造平ダイス1の断面図であり、図2(e)は、図2(a)のIIe−IIe線における転造平ダイス1の断面図である。なお、図2(a)は、転造平ダイス1を加工歯12の歯底線に沿って断面視した断面図に対応する。
加工歯12は、上述したように、被転造素材の外周面に食い込んで、その外周面を塑性変形させることによりスプライン100(図3参照)の転造を行うための部位であり、図2に示すように、その歯幅方向(図2(a)左右方向)一端側(図2(a)右側)に設けられる傾斜部30と、その傾斜部30の周縁部分に設けられるR状部40とを備えている。
傾斜部30は、スプライン100の切り上がり部101(図3参照)を転造するための部位であり、その傾斜部30の始端部30a側から終端部30b側、即ち、加工歯12の歯幅方向端部側(図2(a)右側)へ向けて傾斜角κ3で直線状に下降傾斜して形成されている。
これにより、被転造素材にスプライン100を転造する場合には、スプライン100の切り上がり部101をその谷径が軸心O方向に沿って徐々に拡大するように形成することができる(図3参照)。よって、切り上がり部101におけるねじり強度の向上が図られたスプライン100を転造することができる。
なお、加工歯12に山払い加工を施して傾斜部30を設けると、その傾斜部30の周縁部分が鋭角となり、その結果、切り上がり部101の隅部101a(図3参照)が角状に形成されるので、その隅部101aに応力が集中して、かかる切り上がり部101におけるねじり強度の低下を招く。そこで、本発明における転造平ダイス1では、傾斜部30の周縁部分にR状部40が設けられている。
R状部40は、後述するように、傾斜部30の周縁部分にワイヤ放電加工を施すことにより断面R状に形成されている。これにより、R状部40によって切り上がり部101の隅部101aを断面R状に形成することができるので(図3参照)、高強度のスプライン100を転造することができる。
一方、傾斜部30の周縁部分にR状部40が設けられているので、加工歯12がチッピング等により損傷することを防止して、転造平ダイス1自体の耐久性の向上を図ることができる。
また、R状部40は、図2(c)から図2(e)にそれぞれ示すように、そのR半径が、傾斜部30の始端部30a側から終端部30b側へ向かうに従い大きくなるように形成されている(R1<R2<R3)。これにより、切り上がり部101における応力集中を更に抑制することができる。
次いで、図4及び図5を参照して、転造平ダイス1の製造方法について説明する。図4は、加工歯形成工程により形成された加工歯12の斜視図であり、図5は、歯縁部形成工程により傾斜部30とR状部40とが形成された加工歯12の斜視図である。
転造平ダイス1の製造に際しては、まず、合金工具鋼または高速度工具鋼等の金属材料からなるダイス素材を略直方体状に切断した後、そのダイス素材に熱処理を施す。そして、図4に示すように、その熱処理を施したダイス素材の一面側に砥石を用いた研削加工を施して、加工歯12を形成する(加工歯形成工程)。
即ち、加工歯形成工程では、円盤状の砥石を回転させつつ、かかる砥石を図4中の矢印W方向又は反矢印W方向(いずれも転造平ダイス1の幅方向、図1(a)上下方向)へ平行移動させることにより、多数の加工歯12を転造歯形面11(図1参照)に形成する。
加工歯形成工程で使用される砥石の断面形状は、一山又は二山(一溝又は二溝)分の加工歯12の断面形状(即ち、歯底及び歯先の各円弧部を直線で接続した形状)に対応して形成されており、一般には、その砥石を矢印W方向または反矢印W方向へ1ストロークさせる毎に、一山又は二山(一溝又は二溝)の加工歯12が形成される。
なお、本実施形態では、転造歯形面11に244山(食付き部11aに193山、仕上げ部11bに39山、逃げ部11cに12山)の加工歯12が形成され、各加工歯12のピッチ(転造方向間隔)が略2.4913mmに設定されている。
加工歯形成工程の後は、図5に示すように、その加工歯形成工程により形成した加工歯12にワイヤ放電加工を施して、傾斜部30とR状部40とを形成する(歯縁部形成工程)。
即ち、歯縁部形成工程では、ワイヤ状の工具電極と転造平ダイス1との間に放電を起こしつつ、かかる工具電極を図5中の矢印L方向又は反矢印L方向(いずれも加工歯12の歯幅方向と略直交する方向、図1(a)左右方向)へ走行させることにより、傾斜部30とR状部40とを多数の加工歯12の歯幅方向一端側(図4手前側)にそれぞれ形成する。
具体的には、形成すべく傾斜部30及びR状部40の形状に沿って、工具電極を矢印L方向または反矢印L方向へ3次元的に走行させることで、転造平ダイス1の加工歯12における傾斜部30とその傾斜部30の周縁部分に設けられるR状部40とが、同一の加工工程で一度に形成される。
これにより、例えば、加工歯12に研削加工を施して傾斜部30を形成した後、その傾斜部30にR状部40を形成するといった別の加工工程を有する場合と比較して、傾斜部30とR状部40とを効率良く形成することができる。その結果、歯縁部形成工程を簡素化して、作業時間を短縮することができるので、加工コストが削減され、その分、転造平ダイス1の製造コストを削減することができる。
また、上述したように歯縁部形成工程は、R状部40をワイヤ放電加工により形成するものである。このため、例えば、砥石を用いた研削加工では、隣り合う加工歯12同士の間隔が狭い場合、砥石が隣の加工歯12と干渉してしまい、R状部40の形成が不可能であったところ、本発明における製造方法によれば、隣り合う加工歯12同士の間隔に関わらずR状部40を形成することができる。
また、例えば、NC工作機を用いた切削加工によりR状部40を形成する場合には、切削工具を傾斜部30の周縁部分に沿って3次元的に移動させるといった複雑なプログラミング作業が必要であったところ、本発明における製造方法によれば、容易にR状部40を形成することができる。
なお、本実施形態では、傾斜部30の始端部30aから終端部30b(いずれも図2(a)参照)までの距離が略5mmに、傾斜部30の傾斜角κ3(図2(a)参照)が略10°に、傾斜部30の始端部30aにおけるR状部40のR半径が略0mmに、傾斜部30の終端部30bにおけるR状部40のR半径が略1mmに、それぞれ設定されている。
次いで、図6を参照して、上述のように構成および製造された転造平ダイス1により転造された工作物Pを用いて行ったねじり疲労試験について説明する。図6は、ねじり疲労試験の試験結果を示すグラフであり、図6(a)は、片振りねじり疲労試験で得られたT(最大ねじりトルク)−N(負荷回数)線図を、図6(b)は、両振りねじり疲労試験で得られたT(ねじりトルク振幅)−N(負荷回数)線図を、それぞれ示すグラフである。
ねじり疲労試験は、工作物Pの長手方向両端に形成されたスプライン100(図3(a)参照)に、それぞれ対応するスプラインを有する等速自在継手の内側継手部材(図示せず)を嵌合させ、等速自在継手の折り曲げ角度を双方とも0°にした状態で電気式油圧サーボねじり疲労試験機に取り付けると共に、一方の等速自在継手を固定し、他方の等速自在継手に所定のトルクをトルク制御にて繰り返し負荷することで、工作物Pが破断するまでの繰り返し回数を測定する試験である。なお、片振りねじり疲労試験は、ねじり方向の一方向に対してのみ所定のトルクを繰り返し負荷する試験であり、両振りねじり疲労試験は、ねじり方向の両方向に対して所定のトルクを繰り返し負荷する試験である。
また、ねじり疲労試験には、本実施形態で説明した転造平ダイス1により転造した工作物P(以下、「本発明品」と称す。)と、本実施形態で説明した転造平ダイス1におけるR状部40に対応する構成を備えていない転造平ダイスにより転造した工作物(以下、「従来品」と称す。)とを用いて行った。なお、本発明品および従来品は、どちらも同一の化学成分から同一のスプライン諸元に構成されると共に、同一の条件で高周波焼き入れ及び焼き戻しを施した。
なお、図6(a)のグラフに示される片振りねじり疲労試験で得られたT−N線図は、800から2800Nmの最大ねじりトルク範囲において、4水準の最大ねじりトルクで試験した結果を、それぞれ直線近似することにより得られたものであり、図6(b)のグラフに示される両振りねじり疲労試験で得られたT−N線図は、600から1600Nmのねじりトルク振幅範囲において、4水準のねじりトルク振幅で試験した結果を、それぞれ直線近似することにより得られたものである。
図6(a)のグラフに示される片振りねじり疲労試験で得られたT−N線図によれば、本発明品は、従来品に対し、800Nmから2800Nmの最大ねじりトルク範囲において疲労強度が向上しており、ねじり強度の向上が図られたスプラインを転造することができたことを理解できる。
また、図6(b)のグラフに示される両振りねじり疲労試験で得られたT−N線図においても、本発明品は、従来品に対し、600Nmから1600Nmのねじりトルク振幅範囲において疲労強度が向上しており、ねじり強度の向上が図られたスプラインを転造することができたことを理解できる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
また、上記実施形態では、傾斜部30が、その傾斜部30の始端部30a側から終端部30b側へ向けて直線状に下降傾斜して形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、始端部30a側から終端部30b側へ向けて曲線状に下降傾斜するように構成しても良い。
また、上記実施形態では、R状部40が、R半径を有し断面R状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、楕円状に構成しても良い。
本発明の一実施の形態における転造平ダイスを説明する図であり、(a)は、転造平ダイスの上面図であり、(b)は、転造平ダイスの側面図である。 (a)は、図1(a)のIIa−IIa線における転造平ダイスの断面図であり、(b)は、図2(a)の矢印IIb方向から視た転造平ダイスの側面図である。また、(c)は、図2(a)のIIc−IIc線における転造平ダイスの断面図であり、(d)は、図2(a)のIId−IId線における転造平ダイスの断面図であり、(e)は、図2(a)のIIe−IIe線における転造平ダイスの断面図である。 (a)は、工作物の正面図であり、(b)は、図3(a)のAで示す部分を拡大した工作物の部分拡大図であり、(c)は、図3(b)のIIIc−IIIc線における工作物の断面図である。 加工歯形成工程により形成された加工歯の斜視図である。 歯縁部形成工程により傾斜部とR状部とが形成された加工歯の斜視図である。 ねじり疲労試験の試験結果を示すグラフであり、(a)は、片振りねじり疲労試験で得られたT(最大ねじりトルク)−N(負荷回数)線図を、(b)は、両振りねじり疲労試験で得られたT(ねじりトルク振幅)−N(負荷回数)線図を、それぞれ示すグラフである。
符号の説明
1 転造平ダイス
11 転造歯形面
12 加工歯
30 傾斜部
30a 始端部(下降傾斜始端部)
30b 終端部(下降傾斜終端部)
40 R状部
100 スプライン

Claims (5)

  1. 複数の加工歯が設けられた転造歯形面を備え、その転造歯形面の加工歯を被転造素材の外周面に食い込ませて、その被転造素材の外周面にスプライン又はセレーションを転造する転造平ダイスにおいて、
    前記転造歯形面の加工歯は、
    その加工歯の歯幅方向一端側に位置し直線状または曲線状に下降傾斜して形成される傾斜部と、
    その傾斜部の周縁部分に位置し断面R状に形成されるR状部とを備えていることを特徴とする転造平ダイス。
  2. 前記R状部は、そのR半径が、前記傾斜部の下降傾斜始端部側から下降傾斜終端部側へ向かうに従い大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の転造平ダイス。
  3. 複数の加工歯が設けられた転造歯形面を備え、その転造歯形面の加工歯を被転造素材の外周面に食い込ませて、その被転造素材の外周面にスプライン又はセレーションを転造する転造平ダイスであって、前記転造歯形面の加工歯が、その加工歯の歯幅方向一端側に位置し直線状または曲線状に下降傾斜して形成される傾斜部と、その傾斜部の周縁部分に位置し断面R状に形成されるR状部とを備える転造平ダイスの製造方法において、
    その転造平ダイスの転造歯形面に前記加工歯を形成する加工歯形成工程と、
    その加工歯形成工程により形成された加工歯に前記傾斜部と前記R状部とを形成する歯縁部形成工程とを備え、
    その歯縁部形成工程は、少なくとも前記R状部をワイヤ放電加工により形成することを特徴とする転造平ダイスの製造方法。
  4. 前記歯縁部形成工程は、前記傾斜部と前記R状部とをワイヤ放電加工により同一の加工工程で形成することを特徴とする請求項3記載の転造平ダイスの製造方法。
  5. 前記歯縁部形成工程で形成されるR状部は、そのR半径が、下降傾斜始端部側から下降傾斜終端部側へ向かうに従い大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の転造平ダイスの製造方法。
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