JP2008072984A - シロップ漬けフルーツの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】果皮を剥離したフルーツや完熟前のフルーツを用いた場合であっても、外観が良好であり、フルーツ特有の風味が向上されたシロップ漬けフルーツを提供する。
【解決手段】スクラロースを含有するシロップ液にフルーツを浸漬する。
【選択図】なし

Description

本発明はシロップ漬けフルーツの製造方法に関する。
フルーツの加工製品としてシロップ漬けフルーツは、その取り扱いの容易さから、そのままシロップ漬けデザートとして食されるほか、ヨーグルトソースとして利用されたり、アイスクリームのトッピング製品として利用されるなど、菓子やパンをはじめとした各種食品に用いられてきた。
これらシロップ漬けフルーツを製造する方法としては、例えば、甘味成分として2種以上の単糖類又は単糖類とソルビトールを含むシロップでフルーツを処理する方法(特許文献1)や、果実の表面に濃厚シロップ透過部を形成し、果実を濃厚シロップに漬けてから、あるいは漬ける前に煮熟処理する方法(特許文献2)、果実の表皮に付着している微生物を殺菌除去してから無菌的に剥皮したカットフルーツをpH4.4以下で日持ち向上成分が含まれた酸性シロップに浸漬する方法(特許文献3)など各種方法がある。
ここで、シロップ漬けフルーツでは主に果皮を剥離したフルーツが用いられるが、柑橘類などフルーツの種類によっては皮を剥離することによってフルーツ特有の風味が損なわれるといった問題があった。しかしながら、一方でフルーツを皮ごとシロップ漬けしようとした場合であっても、皮特有の苦味などがシロップ漬けすることにより強調され、シロップ漬けフルーツの風味を損ないフルーツ特有の風味を引き出すことは困難であった。また、果皮の剥離の有無に関わらず、完熟したフルーツは柔らか過ぎて保存加工が困難であることから、甘みや酸味がない完熟前のフルーツを用いることが多々行われるが、完熟前のフルーツをガムシロップで煮ただけでは臭みが残ってしまう。この臭みはカラメルシロップや黒砂糖で煮ることにより抑えることはできるが、この場合には煮汁の色がフルーツに移ってフルーツの色合いが損なわれ、商品価値を著しく低下させてしまう。
特開平05−219894号公報 特開昭60−153750号公報 特開平4−63542号公報
本発明はかかる事情に鑑みて開発されたものであり、果皮を剥離したフルーツや完熟前のフルーツを用いた場合であっても、外観が良好であり、フルーツ特有の風味が向上されたシロップ漬けフルーツを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み鋭意研究を重ねていたところ、スクラロースを含有するシロップ液にフルーツを浸漬することにより、果皮を剥離したフルーツや完熟前のフルーツを用いた場合であっても、外観が良好であり、フルーツ特有の風味が向上されたシロップ漬けフルーツを提供できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の態様を有するシロップ漬けフルーツの製造方法に関する;
項1.スクラロースを含有するシロップ液にフルーツを浸漬することを特徴とするシロップ漬けフルーツの製造方法。
項2.シロップ液中に含まれるスクラロースの添加量が、0.001〜0.08重量%である項1に記載のシロップ漬けフルーツの製造方法。
本発明により、果皮を剥離したフルーツや完熟前のフルーツを用いた場合であっても、外観が良好であり、フルーツ特有の風味が向上されたシロップ漬けフルーツを提供することができる。
本発明のシロップ漬けフルーツの製造方法は、スクラロースを含有するシロップ液(以下、「本発明のシロップ液」という。)にフルーツを浸漬することを特徴とするものである。
本発明においてスクラロースとは、ショ糖分子内のフルクトース残基の1、6位およびグルコース残基の4位の三つの水酸基を塩素分子で置換した構造をしており、ショ糖の約600倍の良質の甘味を示す高甘味度甘味料である。なお、本発明のシロップ液中のスクラロースの添加量としては、用いられるフルーツやシロップ漬けフルーツに求められる甘味度によっても適宜調節することが可能であるが、一般的にスクラロースの添加量として本発明のシロップ液に対し、0.001~0.08重量%、より好ましくは、0.001〜0.05重量%を例示することができる。なお、本発明で使用するスクラロースは商業上入手可能であり、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のサンスイートシリーズなどを挙げることができる。
なお、本発明のシロップ液は、水溶性固形分(Brix)が7〜22重量%程度になるように任意に調節して使用することが好ましい。水溶性固形分の調整は食用可能な水溶性の固形分の添加量を調整することにより行うことができ、一般的な水溶性固形分の成分として糖質を挙げることができるが、これに限定されずに使用することができる。
糖質としては、本発明の効果を損なわない範囲内において、各種糖質を使用することができる。これら糖質の具体例としては、砂糖、果糖、ブドウ糖、乳糖、水飴、還元水飴、果糖ブドウ糖液糖、はちみつ、異性化糖、転化糖、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、テアンデオリゴ糖、大豆オリゴ糖等)、トレハロース、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、還元パラチノース、キシリトール、ラクチトール等)、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)等の糖質を挙げることができる。なお、糖質のみで甘味が足りない場合は、上述の糖質以外にも、ソーマチン、アセスルファムカリウム、アリテーム、アスパルテーム、ネオテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物、ステビア末等の高甘味度甘味料を添加しても良い。
本発明で用いられるフルーツは特に限定されず、各種フルーツを用いることができる。具体的なフルーツの例としては、柑橘類(例えばみかん、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、柚子)、ベリー類(例えばイチゴ、ラズベリー、ブラックラズベリー、ブルーベリー、木イチゴ、クランベリー)、核果類(例えば桃、杏、プラム、梅)、バナナ、パインアップル、グレープ、マスカット、アップル、梨、メロン、キウイフルーツ、グァバ、パッションフルーツ、マンゴー、すいか、カムカム、アロニア、洋ナシ、アロエ、すもも、スイーティー、ラフランス、プルーン、アローニャ、アセロラ、アムラ、パッションフルーツ、ドラゴンフルーツ、シークワーサー、ノニ、カシス、ブラックカラント(黒カシス)、ドリアン、シイクワシャー、アサイ、アサイヤシ、ハネデュメロン、アカスグリ、ボイセンベリー、チェリー、サワーチェリー、マラスキノチェリー、フェイジョア、ピタンガ、マンゴスチン、カラマンシー、チェストツリー、羅漢果果実、リュウガン、ナツメヤシ、レーズン、Luo han guo果物、ホワイトハートチェリー、ザクロ、オリーブ、棘梨、ガルシニア、ガンビア、ヘンプ、パラダイスナッツ、じゃばら、ルロ、モラ(アンデスブラックベリー)、スピルニナ、デュナリエラ、エルダーベリー、クモチユズ、ベルガモット(Fantastico)、イーチャンレモン、ザダイダイ、オオユ、ターミナリアベリリカ、タールジンかんきつ、デーツ、シロレイシ、スグリ、ボイセンベリー、赤ラズベリー、ジャックフルーツ、ウンシュウミカン、タチバナ、ナツミカン、アマナツ、ハッサク、イヨカン、ポンカン、ブンタン、カボス、スダチ、シトロン、ライム、ベルガモット、カキ、イチジク、ビワ、カリン、パパイア、アプリコット、ピンクグレープフルーツ、サンザシ、ビルベリー、ハイブッシュブルーベリー、黒イチゴ、赤キイチゴ、マカ、ウコン、ルクマ、ハイブッシュ・ブルーベリー、ラビットアイ・ブルーベリー、ローブッシュ・ブルーベリー、冬メロン、カンタロープ、ヘチマ、デューベリー、ローガンベリー、ヤングベリー等を挙げることができる。
これらのフルーツは、本発明のシロップ液に浸漬する前に表皮を洗浄することが好ましい。例えば、ブラシで水洗するなどの方法により、表皮に付着した異物、昆虫、残留農薬などを除去することができる。その後、フルーツの表皮を殺菌することが好ましい。殺菌は、酵母や大腸菌群等を殺菌することができる温水(通常75℃以上)やアルコール製剤、塩素系製剤を用いて行うことができる。このような表皮の洗浄や殺菌を行うことによって、シロップ漬けフルーツにする際の汚染を防止することができる。そしてこれらのフルーツは、そのまま本発明のシロップ液に漬け、シロップ漬けフルーツとすることができるが、果皮を剥離したり、一口大の大きさにカットするなど、任意形状に加工することができる。
そして上記フルーツを本発明のシロップ液中に浸漬することにより、外観が良好であり、フルーツ特有の風味が向上されたシロップ漬けフルーツを製造することができる。なお、本発明のシロップ液に対するフルーツの添加量としては、特に限定されないが、シロップ液:フルーツが1:1〜1:3となるように添加することが好ましい。また、フルーツの一部を寒天ゲル、ナタデココ、杏仁豆腐、みつ豆などのカット品に代えてもよい。
本発明のシロップ漬けフルーツは必要に応じて加熱や殺菌工程をとることもできる。例えば、本発明のシロップ液中にフルーツを浸漬した後に、40〜90℃にて加熱処理し、必要に応じて脱気処理、糖度調整、有機酸の添加による酸味の調整などを行った後、加熱殺菌する方法をとることが出来る。
製造された本発明のシロップ漬けフルーツはそのままデザートとして食することもできるが、例えばシロップ液と共に、又はシロップ液よりフルーツを取り出して、冷菓、ヨーグルト、ゼリー、菓子、パン類の広範囲な飲食品に添加して該飲食品の香味、栄養価を高めることができる。これらの飲食品としては、例えば果肉入りアイスクリーム、氷菓などの冷菓類、果肉入りヨーグルト、ゼリー、プリン、ババロア、ケーキ、グミキャンディー、チューイングガム、和洋菓子、クッキー、バターケーキなどの菓子類、食パン、フランスパン、菓子パンなどのパン類に用いることができる。
更には、本発明により製造されたシロップ漬けフルーツはシロップ液から取り出した後に、乾燥工程などの任意工程をとることにより、ドライフルーツなどのフルーツ加工品を提供することもできる。
その他、本発明のシロップ液中には本発明の効果を奏する範囲内において、各種の任意成分を添加することができる。例えば、シロップ液中のpHを調整するために、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、グルコン酸、乳酸、酢酸、アスコルビン酸及びこれらの塩などの酸味料を添加することができる。更には、香料、色素、風味調整剤、酸化防止剤、増粘剤や、必要に応じてビタミン類、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム等のカルシウム類、鉄、マグネシウム、リン、カリウム等のミネラル類などを添加してもよい。
以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。また、特に記載のない限り「部」とは、「重量部」を意味するものとする。文中「*」印のものは、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製であることを示す。
実施例1、2:ラ・フランスのシロップ漬け
表1の処方に従ってラ・フランスのシロップ漬けを調製した。詳細には、水に砂糖、スクラロース、L−アスコルビン酸、クエン酸をそれぞれ添加し、加熱攪拌してシロップ液を調製した。容器にシロップ液とラ・フランス(皮付き、1/6にカットしたもの)が1:2になるように充填し、90℃で30分間殺菌し、ラ・フランスのシロップ漬けを調製した(実施例1〜2、比較例1)。なお、缶詰としての甘味度は約20に設定した。また、ラ・フランスをシロップ部に漬け込んだ後のシロップ液のpH、Brix、風味の向上効果を表2に示す。なお、風味向上効果は果実特有の風味が顕著に向上、引き立てられているものを5、果実の苦味や酸味がシロップ漬けフルーツの風味や呈味に影響を与えてしまっているものを1として5段階で評価した。
Figure 2008072984
Figure 2008072984
表1、表2より、スクラロースを含有するシロップ液にフルーツを浸漬することにより、皮付きのラ・フランスを用いてシロップ漬けフルーツを調製した場合であっても、皮独自の苦味が抑制され、ラ・フランス独自の風味が顕著に引き出されたシロップ漬け(実施例1、2)となった。一方、スクラロースを含有しないシロップ液にフルーツを浸漬してシロップ漬けを調製した場合は、皮の苦味が強調され、ラ・フランスの風味が損なわれたシロップ漬けとなってしまった(比較例1)。
実施例3、4 白もものシロップ漬け
表3の処方に従って白もものシロップ漬けを調製した。詳細には、水に砂糖、スクラロース、L−アスコルビン酸、クエン酸をそれぞれ添加し、加熱攪拌してシロップ液を調製した。容器にシロップ液と白もも(果皮を剥離したもの、1/4切にしたもの)が1:2になるように充填し、90℃で30分間殺菌し、白もものシロップ漬けを調製した(実施例3〜4、比較例2)。なお、缶詰としての甘味度は約20に設定した。また、白ももをシロップ部に漬け込んだ後のシロップ液のpH、Brix、風味の向上効果を表4に示す。なお、風味向上効果は実施例1、2と同様の評価基準にて評価した。
Figure 2008072984
Figure 2008072984
表3、表4より、スクラロースを含有するシロップ液にフルーツを浸漬することにより、果皮を剥離しているにも関わらず、白ももが良好な保型性を有し、外観が良好であるとともに、白もも独自の風味がシロップ液中で増強された呈味・風味に優れたシロップ漬け(実施例3、4)となった。
本発明により、果皮を剥離したフルーツや完熟前のフルーツを用いた場合であっても、外観が良好であり、フルーツ特有の風味が向上されたシロップ漬けフルーツを提供することができる。

Claims (2)

  1. スクラロースを含有するシロップ液にフルーツを浸漬することを特徴とするシロップ漬けフルーツの製造方法。
  2. シロップ液中に含まれるスクラロースの添加量が、0.001〜0.08重量%である請求項1に記載のシロップ漬けフルーツの製造方法。
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