JP2008070842A - 光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ストライプ幅の大きな高出力LDやマルチビームLD、二次元配列LD、面発光レーザを適用した場合にも幾何光学的にビームスポットを一定の大きさ以下にすることができる光走査装置を提供する。
【解決手段】発光源30の光軸Zに直角な或る方向xの長さをA、光軸Z及び方向xに直角な方向yの長さをBとしたときにA<Bの関係を有する光走査装置において、発光源30のZ軸まわりの設置角度γを、方向xが発光源30と被走査面との間の横倍率の絶対値の大きな走査方向であり、方向yが発光源30と被走査面との間の横倍率の絶対値の小さな走査方向となる設置角度γ0からの偏差としたときに、γ<45°の関係を有するように発光源を設置するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザープリンター、レーザーファクシミリ、デジタルPPC複写機等のカラー画像に対応した光走査装置及び画像形成装置に関する。
従来、デジタル複写機やレーザープリンターにおいて高生産性な電子写真方式の画像形成方法が多く用いられ商品化されてきた。画像形成装置の光走査装置の光源に用いられる半導体レーザーダイオード(以下、「LD」と称する)は、光出力において数mW〜数十mWのものが多く用いられてきたが、記録速度の高速化や記録形DVD等の各種の需要に応えるために、より高出力なLDの開発努力が成されている。
なお、特許文献1には、MSLDの発光点から出射されるビームの光量を異ならせることによって、各ビームの波長を異ならせることができる。したがって、ビームの干渉を防止してスリットの制限開口を通過するビーム光量の変動を防止できる。また、画像形成装置の感光体に対する光学走査装置の光源として使用される場合には、光学走査装置の光路上に各ビームの光量を均一にさせる手段を設けることによって、感光体上におけるビーム光量が均一化され、高画質の画像形成を行うことができるマルチビーム出射ユニット及び画像形成装置が開示されている。
図3は、電子写真式画像形成装置に用いられる光走査装置の構成例を示した図であり、(a)は平面図、(b)はA−A断面図である。
この図3に示す画像形成装置1の内部に位置する光走査装置2は、光学素子を所定の位置に載置する光学箱3、光学箱3の内部を外部と遮断し、防塵・遮音の機能を果たすカバー4、ポリゴンモータ5、レーザ発振ユニット6及び複数の光学素子7〜11により構成される。
レーザ発振ユニット6から射出されたビームは、シリンダレンズ7を通って、ポリゴンミラー8に照射される。そして、ポリゴンミラー8で反射されたビームはfθレンズ9を通過した後、長尺レンズ10を通過し、折返しミラー11にて下方に折り返される。折り返されたビームは、その後、防塵ガラス12を通り感光体13に導かれる。
ポリゴンミラー8の回転に伴ってビームは、直線状に感光体面を走査し、静電潜像が形成され、画像形成プロセスを経て画像が形成される。感光体13上で高品質な画像を形成するためには高精細なビームを正確に感光体13に照射する必要がある。
また、特許文献2には、非電子写真方式の画像形成装置が提案されている。この特許文献2では、顕色剤担持体の裏面側から画像信号に応じた熱像を与えて顕色剤担持体に顕色剤画像を仮固着するという顕色剤画像仮固着手段を有し、電子写真方式の複写機やレーザープリンターにおける感光体特性の劣化や高電圧発生装置に関する問題点・インクジェット方式プリンタの画像形成速度の低さ・孔版印刷装置における煩雑さや解像力の問題点などが解決されるとしている。このような特許文献2では熱像を形成する書込手段として高出力LDを用いた光走査装置を適用する場合、電子写真方式と同様に光走査装置に必要とされる被走査面上ビームスポットの小径化や安定化などの高品質化は、画像を良好にするために必須な要件となる。
図4に光走査装置の代表的な光路の構成を示した図であり、(a)に平面図、(b)に側面図を夫々示す。
LD光源21からの発散ビームは、コリメートレンズ22と開口絞り23とから構成されるカップリング光学系100により所定のビーム断面形態とされる。なお、ここまでの素子をユニット化したのが、図3に示したレーザ発振ユニット6である。このビームは多くは平行ビームであり、次に、副走査方向にパワーを持つシリンドリカルレンズ24により構成される集光光学系200により主走査方向に幅を持つ扁平なビームに集光され、その集光位置近傍にて光偏向器25によりビームを偏向させる。この偏向ビームは図3に示したfθレンズ9や長尺レンズ10等によって構成される走査光学系300により被走査面26に向けて集光され、ビームスポットが形成されて光走査が行われる。
この場合、光学横倍率、所謂レンズ倍率は以下のようになる。
ここで、主走査の全系横倍率をβm、副走査の全系横倍率をβs、副走査のポリゴンミラー前横倍率をβ1、副走査のポリゴンミラー後横倍率をβ2、コリメートレンズの焦点距離をfco、シリンドリカルレンズの焦点距離をfcy、走査光学系の主走査焦点距離をfsl、ポリゴンミラーから走査光学系までの距離をa、走査光学系から被走査面までの距離をbとすると、|β1|=fcy/fco、|β2|=a/b、|βm|=fsl/fco、|βs|=|β1|×|β2|と表すことができる。
電子写真方式の光走査装置に見られる倍率の範囲では、βm=7〜20、βs=2〜10程度であるが、上述のような光走査装置においては、LDの発光エリアの大きさが大きな問題になることはなかった。
特開2004−246311公報 特開平11−91147号公報
先に述べたように、近年はLDの高出力化の需要が増加しているが、高出力化のための方策としてLDの広ストライプ化、アレイ化、窓構造の採用、活性層の薄膜化などが実施されている。そのなかで広ストライプ化はストライプ幅を広くして発光面積を増やし、高出力化を図る方法であり、ストライプ幅が数十μm〜数百μmの高出力LDをブロードエリア・レーザという。例えば、ストライプ幅が30μmで光出力は100mWを超え、60μmで1W、100μmで2Wのものも実用化されている。
図5は、従来のLDの一例としてストライプ型近赤外半導体レーザの構成を示した図である。この図5に示すストライプ型近赤外半導体レーザ50において、LD端面の発光エリアである近視野像(NFP:Near Field Pattern)51は、一般に大きなアスペクト比を持つ扁平形状である。電子写真方式の画像形成装置に用いられるLDの多くは、出力3〜15mW、NFPの範囲は半値幅で短手方向幅(活性層厚さ)d≒0.1μm、長手方向幅(ストライプ幅)W=2〜10μm程度の大きさであり、アスペクト比は30程度がひとつの目安となっている。この程度の微小な大きさの発光源を光走査装置の光学系に適用する場合は近似的に点光源として扱っても問題はなく、被走査面ビームスポットの大きさは幾何光学的には、先の全系倍率βmやβsを掛け合わせたものとなる。
実際に電子写真式画像形成装置に用いられる光走査装置のビームスポットの大きさは1/e2幅で、主走査方向ωm=60〜100μm、副走査方向ωs=70〜120μm程度であるが、実際のβmまたはβsが2〜20程度であることを考慮すると、上述の幾何光学的に求められるビームスポットに対して非常に大きくなっている場合がある。この理由は、幾何光学的に決まる像の大きさに比べ、波動光学的影響として回折によるビームの拡がりの寄与が十分に大きいためである。
しかしながら、広いストライプ幅を持つLDを光書込装置に適用しようとすると、幾何光学的にビームスポットを一定の大きさ以下にすることが出来ないという問題がある。
また、書込高速化技術の有力手段としてブロードエリア・レーザの適用に先駆け「マルチビーム書込方式」が多く採用されるようになっている。
光書込装置に多くの変更を必要とせずに発光源に多チャンネルLDアレイを使用するだけでビーム数が整数倍となり、書込の高速度化、高密度化、または省エネルギー化が図れる。
図6はマルチビームLDの一例を示した図である。この図6に示すマルチビームLD60は4つの光源を缶パッケージ61に封入した4チャンネルLDアレイである。缶パッケージ61の底部にはステム62という鍔が設けられており、ステム62の外形と端面をレーザ発振ユニット6に位置決めして光源位置を固定する。複数のビームの整列方向を位置決めするためにステム62には切欠部63が設けられており、光軸まわりの回転方向γ、即ち複数のビームの整列方向を固定することができる。また、符号64はピンフォトダイオード、65はレーザーチップ、66はキャップ、67はガラス窓である。
図7はマルチビームLD60のレーザーチップ65の断面図を示す。
マルチビームLD60は、活性層71に等ピッチで整列された光源72がアレイ状に並べており、光源72のピッチはp=16〜100μm程度である。なお、図7ではピットが100μmの例が示されている。マルチビームLD60を画像形成装置の光書込ユニットに適用する場合、画像の書込密度と光源のピッチの関連に注意が必要である。近年の書込密度は、標準で600dpi程度であり、1200dpiのものも増えてきている。それぞれの副走査ピッチp0は、42.3μm、21.2μmとなるが、上記のピッチのマルチビームLDを適用するためにLDをγ回転させ副走査方向の実質的なピッチを狭くして対応するのが一般的である。例えばp=21.2μm、p0=50μmの場合、γの設定角度γ0は、γ0=Sin−1(p/p0)、=Sin−1(21.2/50)、=25.1°となる。
この場合、LDのストライプ幅方向が主走査方向に重なるほうへ傾くので、主走査方向の全系倍率βmが大きいと幾何光学的に決定する最小のビームスポットが非常に大きくなってしまうという問題がある。
またアレイ型を段重ねにして二次元状に発光源を並べたスタック型という方式もある。特開2004−246311では、複数の発光点から出射される各々のビームの光量を異ならせることによって、各ビームの波長を異ならせ、ビーム同士の干渉を防止して制限開口を通過するビーム光量の変動を防止するとしている。
また、画像形成装置の感光体に対する光学走査装置の光源として使用される場合には、光学走査装置の光路上に各ビームの光量を均一にさせる手段を設けることによって、感光体上におけるビーム光量が均一化され、高画質の画像形成を行うことができるとしている。スタック型でも光書込装置に適用するには上述のマルチビームLDの適用時と同様に幾何光学的に決定する最小のビームスポットが非常に大きくなってしまうという問題がある。
また近年、面発光レーザが実用化され、高効率、発光源の高密度な二次元配列、単一波長動作などの優れた点があり光書込装置への適合性が高い。
図8は面発光レーザの構成を示した図である。
この図8に示すレーザ共振器80は、上下二つの反射鏡81で構成され、ビームは反射鏡81の表面から取り出される。なお、符号82は半導体基板、83はホール活性層である。このように構成されるレーザ共振器80は光源が点光源でなく二次元的に大きな面積をもつのが特徴であるが、光書込装置に適用しようとすると上述のように幾何光学的にビームスポットを一定の大きさ以下にすることが出来ないという問題がある。
またビームスポット小径化、もしくは安定化を目的とした発明である特許第3483133号では、温度変化に起因するビームの太りを、樹脂製光学素子を用いて、主走査方向・副走査方向につき有効に軽減することが開示されている。
図9は温度変動によるビームの太りを軽減することができる光走査装置の構成の一例を示した図である。
特許第3483133号では集光光学系200に非円弧シリンドリカル面を有する樹脂製の第1アナモフィックレンズ27と、ガラス製の第2アナモフィックレンズ28とを有し、第1アナモフィックレンズ27は、副走査方向に負のパワーを持つ面を少なくとも2面、主走査方向に負のパワーを持つ面を少なくとも1面含み、温度変化に起因する像面変動を有効に軽減するように各面のパワーが設定されたことを特徴としている。
ビームスポットの高品質化について特許第3026664号では、凹面鏡を利用した走査光学系を提示している。この発明では光走査用凹面鏡によって主走査方向に集束する光束を同方向にさらに集束させるように反射させ、像面湾曲の良好な補正が可能で、ビームスポットの小径化が可能になるとしている。
さらに主走査方向の等速性を共に良好に補正できるため、高い位置精度の光走査を実現できる。また光走査用凹面鏡を用いることで、光走査用レンズを用いる場合に対し原理的に光エネルギーの透過ロスが無いので、有効な光エネルギーの活用が可能である。さらにLD光源の波長が変動したり、設計的な必要で波長を変更したとしても光学特性に大きな影響がない。また凹面鏡の別の利点として折返しミラーを用いる光路の光走査装置において折返しミラーの機能を兼用できるので折返しミラーが一枚分節約でき、コンパクトな走査光学系を提供できることが挙げられている。
図10に現在ミラーの蒸着材料として多く用いられている銀のエネルギー反射率のグラフを示す。ここで横軸は入射角、縦軸は反射率でデータのRsはS偏向光、RpはP偏向光の場合のもので、Rnは前記の両者の平均を示している。このグラフからRpに関しては入射角60°〜80°近辺で反射率が大きくダウンしていることがわかる。このため、ミラーへの入射角は略45°より小さいほうが好ましく、またその範囲ではP偏向光とS偏向光での反射率の差を小さくするためには入射角が小さければ小さいほど好ましい。入射角を大きくすると走査ビームの中央像高付近と周辺像高付近で光量差が著しく大きくなり、被走査面の光量が不均一になりやすい。凹面鏡への入射角は5°〜10°程度であるので反射率が高く、RsとRpの差も少ないので高品質なビームの形成に寄与する。
本発明ではストライプ幅の大きな高出力LDやマルチビームLD、二次元配列LD、面発光レーザを適用した場合にも、幾何光学的にビームスポットを一定の大きさ以下にすることが出来ないという問題を低減し、高品質なビームスポットで被走査面上の光走査が行えるような光走査装置を提供しようとするものである。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、有限の大きさの発光源と、該発光源から出射される発散光をカップリングするカップリング光学系と、該カップリング光学系においてカップリングされたビームを少なくとも1つの方向に集光する集光光学系と、前記ビームを偏向させる光偏向手段と、1つ以上の光学素子を含み被走査面に走査ビームを射出する走査光学系と、を備え、前記発光源の光軸Zに直角な或る方向xの長さをA、前記光軸Z及び前記方向xに直角な方向yの長さをBとしたときにA<Bの関係を有する光走査装置において、前記方向xを前記発光源と前記被走査面との間の横倍率の絶対値が大きな走査方向、前記方向yを前記発光源と前記被走査面との間の横倍率の絶対値が小さな走査方向となる設置角度γ0からの偏差としたときに、前記発光源のZ軸まわりの設置角度γが、γ<45°となるように前記発光源を設置したことを特徴とする。
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光走査装置において、前記発光源の設置角度γ0を副走査方向と一致させたことを特徴とする。
また請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の光走査装置において、前記発光源と前記集光光学系との集光点間の副走査方向の横倍率を掛け合わせた倍率β1が、|β1|<5であることを特徴とする。
また請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の光走査装置において、前記被走査面上で、前記発光源の前記方向xのビームウエスト径をωx、前記発光源の方向yのビームウエスト径をωyとしたときに、ωx<ωyであることを特徴とする。
また請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の光走査装置において、前記カップリング光学系の焦点距離をfcoとしたときに、B/fco≧0.5×10-3であることを特徴とする。
また請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の光走査装置において、前記被走査面が前記走査ビームによる熱エネルギーにより画像形成する画像プロセスの被走査面であることを特徴とする。
また請求項7に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の光走査装置において、前記カップリング光学系または前記集光光学系に回折素子を含むことを特徴とする。
また請求項8に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の光走査装置において、前記カップリング光学系または前記集光光学系にアナモフィックプリズムを含むことを特徴とする。
また請求項9に記載の発明は、請求項1乃至5の何れか1項に記載の光走査装置において、前記集光光学系に少なくとも一つのシリンドリカル面を有するレンズと、少なくとも一つのアナモフィックレンズ面を有するレンズと、を含むことを特徴とする。
また請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の光走査装置において、前記シリンドリカル面の副走査断面内の形状が非円弧状であることを特徴とする。
また請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の光走査装置において、前記シリンドリカル面を有するレンズが樹脂製であり、副走査方向に負のパワーを持つことを特徴とする。
また請求項12に記載の発明は、請求項1乃至11の何れか1項に記載の光走査装置において、前記発光源にマルチビームレーザダイオードを用いることを特徴とする。
また請求項13に記載の発明は、請求項1乃至11の何れか1項に記載の光走査装置において、前記発光源に面発光レーザを用いることを特徴とする。
また請求項14に記載の発明は、請求項1乃至11の何れか1項に記載の光走査装置において、前記走査光学系に少なくともひとつのfθミラーを用いることを特徴とする。
また請求項15に記載の発明は、請求項1乃至14の何れか1項に記載の光走査装置を備えた画像形成装置を特徴とする。
本発明の請求項1の光走査装置においては、発光源のZ軸まわりの設置角度γを、γ<45°となるように設置したので、発光源としてストライプ幅の大きな高出力LDを適用した場合にも、幾何光学的にビームスポットを一定の大きさ以下にすることが出来ないという問題を低減し、高品質なビームスポットで被走査面上の光走査を行うことができる。
また請求項2の光走査装置においては、LDの設置角度γ0を副走査方向と一致させたことで、一般的な主走査方向の横倍率が副走査方向の横倍率より大きい走査光学系において、主走査と副走査とにおけるビームスポットの大きさのバランス良くして被走査面上の光走査を行うことができる。
また請求項3の光走査装置においては、発光源と集光光学系との集光点間の副走査方向の横倍率を掛け合わせた倍率β1を、|β1|<5としたことで、主走査と副走査とのビームスポットの大きさのバランス良くして被走査面上の光走査を行うことができる。
また請求項4の光走査装置においては、発光源の方向xのビームウエスト径をωx、方向yのビームウエスト径をωyとしたときに、ωx<ωyであるので光利用効率の良い光走査ができる。
また請求項5の光走査装置においては、B/fco≧0.5×10-3となるように設定したことで、例えば約6μm程度のストライプ幅をもつ中出力LDにも効果的に適用できる。
また請求項6の光走査装置においては、被走査面が走査ビームによる熱エネルギーにより画像形成する画像プロセスの被走査面とすることで、高出力LDを走査光学系に適用し幾何光学的にビームスポットを一定の大きさ以下にすることが出来ないという問題を低減し、高品質なビームスポットで被走査面上の光走査を行うことができる画像プロセスを提供できる。
また請求項7の光走査装置においては、カップリング光学系または集光光学系に回折素子を含むことで幾何光学的にビームスポットを一定の大きさ以下にすることが出来ないという問題をより効果的に低減できる。
また請求項8の光走査装置においては、カップリング光学系または集光光学系にアナモフィックプリズムを含むことで、幾何光学的にビームスポットを一定の大きさ以下にすることが出来ないという問題をより効果的に低減できる。
また請求項9の光走査装置においては、集光光学系にシリンドリカル面を有するレンズと、アナモフィックレンズ面を有するレンズを含むので波動光学的に拡がるビームの太りを主走査方向及び副走査方向において有効に軽減することができる。
また請求項10の光走査装置においては、シリンドリカル面の副走査断面内の形状を非円弧状としたことで、波動光学的に拡がるビームスポットの大きさを特に副走査方向について効果的に低減することができる。
また請求項11の光走査装置においては、シリンドリカル面を有するレンズが樹脂製であり、副走査方向に負のパワーを持つので、温度変化に起因するビームの太りを主走査方向・副走査方向につき、有効に軽減することができる。
また請求項12の光走査装置においては、発光源にマルチビームLDを用いることにより、各光路のビーム数が整数倍となり、書込の高速度化、または高密度化、または省エネルギー化を可能にし、マルチビームLDの適用時にLDの設置角度γを傾けた場合に幾何光学的にビームスポットを一定の大きさ以下にすることが出来ないという問題を低減し、高品質なビームスポットで被走査面上の光走査を行うことを可能にする。
また請求項13の光走査装置においては、発光源に面発光レーザを用いることで高効率、発光源の高密度な二次元配列、単一波長動作などの優れた点がありながら幾何光学的にビームスポットを一定の大きさ以下にすることが出来ないという問題を低減し、高品質なビームスポットで被走査面上の光走査を行うことを可能にする。
また請求項14の光走査装置においては、前記走査光学系に少なくともひとつのfθミラーを用いるので、コンパクトな光走査装置を装備するので、画像形成装置内の設計自由度が高く、また安価でドット位置ズレの少ない高品質な画像を提供することができる。
また請求項15の画像形成装置においては、前記した光走査装置を備えたことで、上述した効果を有する画像形成装置を実現することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の光走査装置の模式図を示す。光軸Zの方向に発散光を射出する有限の大きさの矩形の発光源30がある。矩形の外形線は光の強度の半値幅である。
ここで、光軸Zに直角な或る方向xの発光源の長さA、光軸Zに直角かつ方向xにも直角な方向yの長さB、発光源のアスペクト比をKとしたときに、
A≪B、K=B/A≫1である。
このような発光源30から射出されたビームは全系光学系31を通過し、感光体上に被走査面ビームスポット32を形成する。被走査面ビームスポット32も幾何光学的にある有限の大きさを持ち、A’:光軸Zに直角なある方向xの発光源の長さ、B’:光軸Zに直角かつ方向xにも直角な方向yの長さである。
全系光学系31は方向xと方向yに関して、βx:方向xの横倍率、βy:方向yの横倍率としたときに、|βx|<|βy|であるような非対称なアナモフィック光学系である。そのため、A’=A×βx、B’=B×βyであり、すなわち被走査面ビームスポット32のアスペクト比K’は、K’=B’/A’、=B×|βy|/A×|βx|、βx<βyであるので、K/K’=βx/βy<1である。
即ち、有限の大きさの発光源30のアスペクト比に比べ、被走査面ビームスポット32のアスペクト比は小さくなる。これはビームの大きさを半値幅で評価した場合でも1/e2(eは自然対数の底)幅で評価した場合でも同様である。
ここまでは、LDのZ軸まわりの設置角度が全系光学系31に対して傾いていない場合について述べた。しかし、例えば従来例でマルチビームLDの適用時に副走査ピッチを合わせるためにLDの設置角度をγ0だけ傾ける場合がある。
図2でLDのZ軸まわりの設置角度γについて説明する。
基準はy方向と同一とし、y方向からの傾き角をγとする。
本実施形態において、K/K’<1であるためには、このγがγ<45°である必要がある。本実施形態では有限の大きさの発光源30のアスペクト比に比べ、被走査面ビームスポット32のアスペクト比は小さくなるので、ストライプ幅の大きな高出力LDやマルチビームLD、二次元配列LD、面発光レーザを走査光学系に適用した場合にも、幾何光学的にビームスポットを一定の大きさ以下にすることが出来ないという問題を低減し、高品質なビームスポットで被走査面上の光走査を行うことを可能にする。
本実施形態の応用例として、LDの設置角度γ0を副走査方向と一致さることで、一般的な主走査方向の横倍率が副走査方向の横倍率より大きいが走査光学系において、主走査と副走査のビームスポット大きさのバランスのよい被走査面上の光走査を行うことができる。
他の例として、発光源と集光光学系との集光点間の副走査方向の横倍率を掛け合わせた倍率、即ち、副走査のポリゴンミラー前の横倍率β1が、|β1|<5であるように設定すると、|βs|=|β1|×|β2|であることより、副走査のポリゴンミラー後、横倍率、即ち設計や製作の手間の多い走査光学系の副走査の横倍率に手を加えずに、より狭い副走査のビームスポットで光走査を行うことができるので都合がよい。
ところで、被走査面上のビームスポットの大きさは開口絞りによってコントロールするが、一般に主走査方向に広い開口を有するほうが発光源からの発散光を有効に利用できる。そこで、発光源の方向xのビームウエスト径(1/e2値)をωx、発光源の方向yのビームウエスト径(1/e2値)をωyとしたときに、ωx<ωyとなるように、全系光学系を設定すれば光利用効率の良い光走査ができる。
また、光軸Zに直角、且つ、方向xにも直角な方向yの長さBが長くなればなるほど、コリメートレンズの焦点距離fcoを大きくして対応する必要がある一方で、Bが短くなればなるほど、コリメートレンズの焦点距離fcoを小さくしても済むということが言える。fcoが略20mmを超えるとコリメートレンズのサイズが大きくなってコスト的に不利である。
そこで、B/fco≧0.5×10-3となるように設定すると、例えば約6μm程度のストライプ幅をもつ中出力LDにも本実施の形態が効果的に適用できる。
従って、本実施形態の光走査装置を先に述べた走査ビームによる熱エネルギーにより画像形成する画像プロセスに適用すると、高品質なビームスポットで被走査面上の光走査を行うことができる好適な画像プロセスを提供できる。
また、カップリング光学系または集光光学系に回折素子やアナモフィックプリズムを含むことで光偏向器の前側でビーム断面形状を整える事が出来る。あるいは、従来例で述べたように、集光光学系にシリンドリカル面を有するレンズと、アナモフィックレンズ面を有するレンズを含むので波動光学的に拡がるビームの太りを主走査方向・副走査方向につき、有効に軽減することができる。さらにそのシリンドリカル面の副走査断面内の形状を非円弧状にすると波動光学的に拡がるビームスポットの大きさを特に副走査方向について効果的に低減できる。
さらに、シリンドリカル面を有するレンズを樹脂製とし、副走査方向に負のパワーを持たせると、温度変化に起因するビームの太りを主走査方向・副走査方向につき、有効に軽減することができる。
また、発光源にマルチビームLDを用いることにより、各光路のビーム数が整数倍となり、書込の高速度化、または高密度化、または省エネルギー化を可能にし、マルチビームLDの適用時にLDの設置角度γを傾けた場合に幾何光学的にビームスポットを一定の大きさ以下にすることが出来ないという問題を低減し、高品質なビームスポットで被走査面上の光走査を行うことを可能にする。発光源に面発光レーザを用いた場合は高効率、発光源の高密度な二次元配列、単一波長動作などの優れた点がありながら幾何光学的にビームスポットを一定の大きさ以下にすることが出来ないという問題を低減し、高品質なビームスポットで被走査面上の光走査を行うことを可能にする。
本実施例では副走査方向のビームスポットの拡がりへの対応を主眼とした実施例を紹介したが、主走査方向に全系横倍率の小さな光学系を構築し、適用しても同様な効果があることは当然である。
本発明の光走査装置の構成を模式的に示した図である。 発光源の傾きγの説明図である。 従来の光走査装置の構成の一例を示した図である。 従来の光走査装置の代表的な光路構成の模式図である。 ストライプ型近赤外半導体レーザの構成を示した図である。 マルチビームLDの例を示した図である。 マルチビームレーザーチップの断面を示した図である。 面発光レーザの模式図である。 温度変動によるビームの太りを軽減できる光走査装置の構成の一例を示した図である。 銀のエネルギー反射率を示した図である。
符号の説明
1…画像形成装置、2…光走査装置、3…光学箱、4…カバー、5…ポリゴンモータ、6…レーザ発振ユニット、7…シリンダレンズ、8…ポリゴンミラー、9…fθレンズ、10…長尺レンズ、11…折返しミラー、12…防塵ガラス、13…感光体、21…LD光源、22…コリメートレンズ、23…開口絞り、24…シリンドリカルレンズ、25…光偏向器、26…被走査面、27…第1アナモフィックレンズ、28…第2アナモフィックレンズ、100…カップリング光学系、200…集光光学系、300…走査光学系

Claims (15)

  1. 有限の大きさの発光源と、該発光源から出射される発散光をカップリングするカップリング光学系と、該カップリング光学系においてカップリングされたビームを少なくとも1つの方向に集光する集光光学系と、前記ビームを偏向させる光偏向手段と、1つ以上の光学素子を含み被走査面に走査ビームを射出する走査光学系と、を備え、前記発光源の光軸Zに直角な或る方向xの長さをA、前記光軸Z及び前記方向xに直角な方向yの長さをBとしたときにA<Bの関係を有する光走査装置において、
    前記方向xを前記発光源と前記被走査面との間の横倍率の絶対値が大きな走査方向、前記方向yを前記発光源と前記被走査面との間の横倍率の絶対値が小さな走査方向となる設置角度γ0からの偏差としたときに、
    前記発光源のZ軸まわりの設置角度γが、γ<45°となるように前記発光源を設置したことを特徴とする光走査装置。
  2. 請求項1に記載の光走査装置において、前記発光源の設置角度γ0を副走査方向と一致させたことを特徴とする光走査装置。
  3. 請求項1に記載の光走査装置において、前記発光源と前記集光光学系との集光点間の副走査方向の横倍率を掛け合わせた倍率β1が、|β1|<5であることを特徴とする光走査装置。
  4. 請求項1に記載の光走査装置において、前記被走査面上で、前記発光源の前記方向xのビームウエスト径をωx、前記発光源の方向yのビームウエスト径をωyとしたときに、ωx<ωyであることを特徴とする光走査装置。
  5. 請求項1に記載の光走査装置において、前記カップリング光学系の焦点距離をfcoとしたときに、B/fco≧0.5×10-3であることを特徴とする光走査装置。
  6. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の光走査装置において、前記被走査面が前記走査ビームによる熱エネルギーにより画像形成する画像プロセスの被走査面であることを特徴とする光走査装置。
  7. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の光走査装置において、前記カップリング光学系または前記集光光学系に回折素子を含むことを特徴とする光走査装置。
  8. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の光走査装置において、前記カップリング光学系または前記集光光学系にアナモフィックプリズムを含むことを特徴とする光走査装置。
  9. 請求項1乃至5の何れか1項に記載の光走査装置において、前記集光光学系に少なくとも一つのシリンドリカル面を有するレンズと、少なくとも一つのアナモフィックレンズ面を有するレンズと、を含むことを特徴とする光走査装置。
  10. 請求項9に記載の光走査装置において、前記シリンドリカル面の副走査断面内の形状が非円弧状であることを特徴とする光走査装置。
  11. 請求項10に記載の光走査装置において、前記シリンドリカル面を有するレンズが樹脂製であり、副走査方向に負のパワーを持つことを特徴とする光走査装置。
  12. 請求項1乃至11の何れか1項に記載の光走査装置において、前記発光源にマルチビームレーザダイオードを用いることを特徴とする光走査装置。
  13. 請求項1乃至11の何れか1項に記載の光走査装置において、前記発光源に面発光レーザを用いることを特徴とする光走査装置。
  14. 請求項1乃至11の何れか1項に記載の光走査装置において、前記走査光学系に少なくともひとつのfθミラーを用いることを特徴とする光走査装置。
  15. 請求項1乃至14の何れか1項に記載の光走査装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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