JP2008069613A - 電波吸収木質ボード及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】木質エレメントで成形された木質ボードに、コロイド化した炭素系導電性材料の液体を、含浸,塗布,あるいは噴霧などにより添加して電波吸収処理する。コロイド化した炭素系導電性材料の液体を、成形後の木質ボードに含浸,塗布,あるいは噴霧する。また、成形前の木質エレメントに、コロイド化した炭素系導電性材料の液体を含浸,塗布,あるいは噴霧した後、その木質エレメントで木質ボードを成形する。
【選択図】図1
Description
屋内で用いられる電波吸収体としては、電波暗室に用いられるようなフェライト系の重厚な電波吸収体や発泡樹脂にカーボンなどを含浸させた長大な電波吸収体が古くから知られている。
さらに特許文献1や特許文献2に記載された発明は、いずれも木材チップにカーボン粉末またはカーボン繊維を混合して成形したものであるので、曲げ剛性を含め強度性能や水分による寸法安定性に劣るとともに、表面に露出したカーボン含有層が意匠性や表面接着性を損ない、しかも作業時に周囲を汚染する危険がある、という問題点もあった。
ここで、「電波吸収木質ボードの表面または表裏面」とは、例えば床面に対して水平におかれた電波吸収木質ボードに対して上面または上下面のことを示し、その面が露出しているものも、露出していないものも含まれることを意味する。
を特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載の電波吸収木質ボード。
前記成形後の木質ボードを、容器に入れられたコロイド化した炭素系導電性材料の液体に浸漬させた後、前記容器内を減圧または/および加圧することによって、前記液体を前記木質ボード内に含浸させることを特徴とする。
前記成形前の木質エレメントを、容器に入れられたコロイド化した炭素系導電性材料の液体に浸漬させた後、前記容器内を減圧または/および加圧することによって、前記液体を前記木質エレメント内に含浸させ、その後、前記液体が含浸された木質エレメントを使用して前記木質ボードを成形することを特徴とする。
ここで、「木質エレメントを使用して」とは、1種類の木質エレメントだけで木質ボードを成形するだけでなく、その1種類の木質エレメントに他の木質エレメントを積層して木質ボードを成形する場合も含まれることを意味する。また、前記液体が含浸された木質エレメントだけで水質ボードを成形するだけでなく、前記液体が含浸されていない木質エレメントを併用する場合も含まれることを意味する。
前記成形後の木質ボードに、コロイド化した炭素系導電性材料の液体を塗布または噴霧することを特徴とする。
前記成形前の木質エレメントに、コロイド化した炭素系導電性材料の液体を塗布または噴霧し、その後、前記液体が塗布または噴霧された木質エレメントで前記木質ボードを成形することを特徴とする。
ここで、「木質エレメントを使用して」とは、1種類の木質エレメントだけで木質ボードを成形するだけでなく、その1種類の木質エレメントに他の木質エレメントを積層して木質ボードを成形する場合も含まれることを意味する。また、前記液体が含浸された木質エレメントだけで水質ボードを成形するだけでなく、前記液体が含浸されていない木質エレメントを併用する場合も含まれることを意味する。
特に、コロイド化した炭素系導電性材料の液体を添加させる方法としては、液体を含浸や注入したり、塗布したり、あるいは噴霧する方法があり、液体を含浸や注入する方法によれば、炭素系導電性材料を木質ボード全体に渡って一層均一に添加することが容易である。
これにより、電波性能にムラのない優れた電波吸収機能を発揮する電波吸収木質ボードを提供することができる。
すなわち、成形前の各種木質エレメントに対して均一な電波吸収処理を施すことができるので、複数種類の処理木質エレメントと未処理木質エレメントを選択使用して、より高性能な電波吸収性能を有し、かつ様々な物理的性能などに優れた木質ボードを成形することもできる。
また、MDFを木質ボードとして使用すると表面の平滑化が図れ、意匠性や表面硬度、接着性、二次加工性、木ねじや釘の保持力などに優れる。
また、木質ボードの表裏面あるいは表面に、木質表面材層を一体化させることで、電波吸収木質ボード全体の強度を向上させることができ、特に、木質表面材層として、例えば、単板を積層した層など強度的に強く、しかも表面硬度の高いものを選択することによって、電波吸収木質ボード全体について一層強度を向上させることができる。また、使用する木質エレメントや木質ボード(木質材料)の選択により寸法の安定化を図ることも容易である。
さらに、木質表面材層を一体化することによって、表面を平滑化することができるので、表面に化粧材を積層したり、塗装するなどして意匠性や機能性を付加することが容易である。また、下側(裏側)の木質表面材層の表面に、金属箔,導電性塗膜,あるいは導電性不食布などの電波反射層を設けることで、電波吸収性能だけでなく電波シールド性能を付加することもできる。
本発明の第1実施形態に係る電波吸収木質ボード10は、木質エレメントで成形された木質ボードに、電波吸収処理として、コロイド化した炭素系導電性材料の液体を含浸することによって添加されたものである。
木質エレメントで成形された木質ボードとしては、集成材,単板積層材(合板,LVLが含まれる),パララム,スティックプライ,パーティクルボード(ウェファーボード,ストランドボード,フレークボードが含まれる),ファイバーボード(ハードボード,MDF,インシュレーションボードが含まれる)等があげられる。
また、その木質エレメントとしては、集成材に対してはひき板(木材小片やラミナ),単板積層材に対しては単板,パララムやスティックプライに対してはスティック,パーティクルボードに対してはウェファーやストランドやフレークやチップ,ファイバーボードに対してはファイバー(木質繊維)等があげられる。
(1)まず、例えば、ひき板や単板といった木質エレメント(上述した他の木質エレメントであってもよい)によって成形された集成材や単板積層材からなる木質ボード(上述した他の木質ボードであってもよい)を、容器に入れられたコロイド化した炭素系導電性材料の液体に浸漬させる。
ここで、コロイド化した炭素系導電性材料の液体としては、重合アマニ油や水に、微粒子化したカーボンブラック(特に導電性カーボンブラックが望ましい)を分散させた懸濁液を使用した。
なお、カーボンブラックにかえて、木炭粉末や竹炭粉末あるいはバガスやトウモロコシの茎などから製造された粉末炭といった植物由来の粉末炭を使用することもできる。
(2)次に、容器内を密閉し、減圧または加圧(減圧をしてから加圧してもよい)することによって、コロイド化した炭素系導電性材料の液体を木質ボード10内に含浸させる注入処理を行う。
そして、乾燥させることで、図1に示したような電波吸収木質ボード10が得られる。
特に、電波吸収木質ボード10として、単板積層材を木質ボードとして使用すると、木材チップにカーボン粉末を混合して成形したものと比較して、強度および寸法安定性に優れるので、内装下地材としてだけでなく、内装建材や家具等の基材として使用しても特に問題はない。
また、MDFを木質ボードとして使用すると表面の平滑化が図れ、意匠性や表面硬度、接着性、二次加工性、木ねじや釘の保持力などに優れたものとなる。
本発明の第2実施形態に係る電波吸収木質ボード20は、図2に示すように、本発明の第1実施形態に係る電波吸収木質ボード10のように電波吸収処理が施されたものの表裏面に、前記電波吸収処理が特に施されていない木質表面材21,22を貼着することにより成形してなるものである。
木質表面材21,22の貼着は、電波吸収木質ボード10の表裏面に接着剤を塗布した後、電波吸収木質ボード10を上下から挟むようにして木質表面材21,22を積層し、三つの層を一体化するように熱圧で接着するようにして行う。
また、木質ボード10の表裏面あるいは表面を、木質表面材21,22あるいは木質表面材23を表層に一体化することで、電波吸収木質ボード20,25全体の強度を向上させることができ、特に、木質表面材21,22,23として、例えば、単板積層板など強度的に強く、しかも表面硬度の硬いをものを選択することによって、電波吸収木質ボード20,25全体について一層強度を向上させることができる。また、寸法の安定化を図ることも容易である。
さらに、木質表面材21,22,23を表層に一体化することによって、表面を平滑化することができるので、表面に化粧材を積層したり、塗装するなどして意匠性や機能性を付加することが容易である。また、下側(裏側)の木質表面材22の表面に、金属箔,導電性塗膜,あるいは導電性不食布などの電波反射層を設けることもできる。
次に、本発明の第3実施形態に係る電波吸収木質ボード30は、図4に示すように、木質エレメントで成形された木質ボードにおいて、成形前の木質エレメントに、電波吸収処理として、コロイド化した炭素系導電性材料の液体を塗布または噴霧することによって添加し、その木質エレメントを接着剤を介して板状に成形し、成形した木質ボード31の表裏面に木質表面材21,22を貼着することにより成形してなるものである。
(1)まず、例えば、ストランドといった木質エレメント(上述した他の木質エレメントであってもよい)によって成形されたストランドボードからなる木質ボード(上述した他の木質ボードであってもよい)に、上述したコロイド化した炭素系導電性材料の液体を接着剤とともに噴霧する。なお、噴霧させるかわりにストランドに対して液体と接着剤を塗布するようにしてもよいが、ムラを少なくするためには、塗布よりも噴霧させる方が好ましい。
(2)次に、コロイド化した炭素系導電性材料の液体と接着剤が噴霧された複数のストランドを敷き詰め、ホットプレスや高周波プレスなどにより熱圧成形して板状にし、木質ボード31を成形する。
(3)そして、木質ボード31の表裏面に木質表面材21,22を接着剤を介して貼着することで、図4に示したような電波吸収木質ボード30が得られる。
なお、木質表面材21,22を構成する木質エレメントを、木質ボード31を構成する木質エレメント、ここではストランドと同種のものとすることもできるし、異種のものとすることもできる。
すなわち、下側の木質表面材22の上に接着剤を噴霧した後、コロイド化した炭素系導電性材料の液体と接着剤が噴霧された木質エレメント、例えば、複数のストランドを敷き詰め、さらにその上に木質表面材21を載せ、全体をホットプレスや高周波プレスなどで熱圧成形し一体化するようにしてもよい。
また、この電波吸収木質ボード30は、炭素系導電性材料の液体が塗布または噴霧された木質ボード31の表裏面に木質表面材21,22を積層一体化した構成となっているので、カーボンなど炭素系導電性材料による汚染や意匠の低下を抑制することができる。
また、木質ボード31の表裏面に木質表面材21,22を積層一体化することで、電波吸収木質ボード30全体の強度を向上させることができ、特に、木質表面材21,22として、強度的に強く、しかも表面硬度の硬いをもの、例えば、単板積層材を選択することによって、電波吸収木質ボード30全体について曲げ強度を強くするなど一層強度を向上させることができる。また、寸法の安定化を図ることも容易である。
さらに、木質表面材21,22を使用することによって、表面を平滑化することができるので、表面に化粧材を積層したり、塗装するなどして意匠性や機能性を付加することが容易である。また、下側(裏側)の木質表面材22の表面に、金属箔,導電性塗膜,あるいは導電性不食布などの電波反射層を設けることもできる。
もちろん、同じ種類の木質ボードにコロイド化した炭素系導電性材料の液体を含浸させたものを三層積層しその表裏面に木質表面材21,22を成形したものとしてもよい。この場合、三層において、コロイド化した炭素系導電性材料の液体の濃度を変化させたり、含浸量を変化させたりすることもできる。また、表裏面に木質表面材21,22を成形しないようにしてもよく、あるいは、表面だけに木質表面材21を成形するようにしてもよい。
10a,10b,10c 層
21,22,23 木質表面材
24 層
31 木質ボード
Claims (9)
- 木質ボードあるいはそれを構成する木質エレメントに、コロイド化した炭素系導電性材料の液体を添加して電波吸収処理されてなることを特徴とする電波吸収木質ボード。
- 木質エレメントで成形された木質ボードにおいて、
前記成形前の木質エレメントまたは前記成形後の木質ボードに、コロイド化した炭素系導電性材料の液体を含浸して電波吸収処理されてなることを特徴とする電波吸収木質ボード。 - 木質エレメントで成形された木質ボードにおいて、
前記成形前の木質エレメントまたは前記成形後の木質ボードに、コロイド化した炭素系導電性材料の液体を塗布または噴霧して電波吸収処理されてなることを特徴とする電波吸収木質ボード。 - 前記請求項1乃至3のうちいずれか一つに記載の電波吸収木質ボードの表面または表裏面に、前記電波吸収処理が施されていない木質表面材層が形成されていることを特徴とする電波吸収木質ボード。
- 前記炭素系導電性材料は、カーボンブラック,木炭粉末や竹炭粉末などの植物炭粉末のうちいずれか一つ以上のものからなることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一つに記載の電波吸収木質ボード。
- 木質エレメントで成形された木質ボードに電波吸収処理を施して電波吸収木質ボードを製造する方法であって、
前記成形後の木質ボードを、容器に入れられたコロイド化した炭素系導電性材料の液体に浸漬させた後、
前記容器内を減圧または/および加圧することによって、前記液体を前記木質ボード内に含浸させることを特徴とする電波吸収木質ボードの製造方法。 - 電波吸収処理を施した木質エレメントを使用して電波吸収木質ボードを製造する方法であって、
前記成形前の木質エレメントを、容器に入れられたコロイド化した炭素系導電性材料の液体に浸漬させた後、
前記容器内を減圧または/および加圧することによって、前記液体を前記木質エレメント内に含浸させ、
その後、前記液体が含浸された木質エレメントを使用して前記木質ボードを成形することを特徴とする電波吸収木質ボードの製造方法。 - 木質エレメントで成形された木質ボードに電波吸収処理を施して電波吸収木質ボードを製造する方法であって、
前記成形後の木質ボードに、コロイド化した炭素系導電性材料の液体を塗布または噴霧することを特徴とする電波吸収木質ボードの製造方法。 - 電波吸収処理を施した木質エレメントを使用して電波吸収木質ボードを製造する方法であって、
前記成形前の木質エレメントに、コロイド化した炭素系導電性材料の液体を塗布または噴霧し、
その後、前記液体が塗布または噴霧された木質エレメントで前記木質ボードを成形することを特徴とする電波吸収木質ボードの製造方法。
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