JP2008069337A - 制電性樹脂組成物および成形品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】オレフィン系樹脂(A)40〜98質量%と、オレフィン重合体ブロックと親水性重合体ブロックとを含有するブロック共重合体(B)2〜60質量%とを含む組成物からなり、該組成物の成形体の表面抵抗率(23℃、50%RH条件下で測定)が1×1011Ω/□以下で、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの溶出量(80℃、60分間抽出条件下で測定)が3μg/cm2以下である制電性樹脂組成物。更に、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロックとを含有するブロック共重合体又はその水素添加物と、スチレン系樹脂を所定量含有してもよい。ブロック共重合体(B)は、ナトリウム及びカリウムの含量が高いブロック共重合体と該含量が低いブロック共重合体を併用するとよい。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明の一局面によれば、下記(A)成分40〜98質量%と下記(B)成分2〜60質量%とを含有する組成物(但し、上記(A)成分及び(B)成分の合計は100質量%)であって、該組成物を成形してなる成形体の表面抵抗率(23℃、50%RH条件下で測定)が1×1011Ω/□以下で、かつ、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの溶出量(80℃、60分間抽出条件下で測定)が3μg/cm2以下であることを特徴とする制電性樹脂組成物(以下、「第一の制電性樹脂組成物」)が提供される。
(A)成分:オレフィン系樹脂、
(B)成分:オレフィン重合体ブロックと親水性重合体ブロックとを含有するブロック共重合体。
本発明の第一の制電性樹脂組成物の好ましい実施形態によれば、上記成分(B)として、ナトリウムおよびカリウムの合計の含有量が500〜8000ppmのブロック共重合体(B−1)と、ナトリウムおよびカリウムの合計の含有量が0〜100ppmのブロック共重合体(B−2)とを、ブロック共重合体(B−1)のブロック共重合体(B−2)に対する質量比にして1/99〜90/10の範囲で含むものが使用され、該ブロック共重合体(B−1)の配合量は、上記成分(A)と上記成分(B)との合計量の1〜15質量%とされる。
また、本発明の他の局面によれば、下記(A)成分7〜91質量%と、下記(B)成分2〜60質量%と、下記(C)成分2〜50質量%と、下記(D)5〜50質量%とを含有する組成物(但し、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計は100質量%)であって、該組成物を成形してなる成形体の表面抵抗率(23℃、50%RH条件下で測定)が1×1011Ω/□以下で、かつ、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの溶出量(80℃、60分間抽出条件下で測定)が3μg/cm2以下であることを特徴とする制電性樹脂組成物(以下、「第二の制電性樹脂組成物」)が提供される。
(A)成分:オレフィン系樹脂。
(B)成分:オレフィン重合体ブロックと親水性重合体ブロックとを含有するブロック共重合体。
(C)成分:芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロックと共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロックとを含有するブロック共重合体及びその水素添加物から選ばれた少なくとも1種のエラストマー。
(D)成分:ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られるゴム強化スチレン系重合体(D−1)、および/または、該ビニル系単量体の(共)重合体(D−2)からなるスチレン系樹脂。
また、本発明の第二の制電性樹脂組成物の好ましい実施形態によれば、上記成分(B)として、上記ブロック共重合体(B−1)と、上記ブロック共重合体(B−2)とを、該ブロック共重合体(B−1)の該ブロック共重合体(B−2)に対する質量比にして1/99〜90/10の範囲で含むものが使用され、該ブロック共重合体(B−1)の配合量は、上記成分(A)と上記成分(B)と上記成分(C)と上記成分(D)との合計量の1〜15質量%とされる。
更に、本発明の第一及び第二の制電性樹脂組成物の何れも、さらに、制電性樹脂組成物100質量部に対して、リチウム塩(E)を0.01〜5質量部含むことが好ましい。リチウム塩(E)としては、過塩素酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムおよびトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンリチウムからなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましく用いられる。
本発明の更に他の局面によれば、上記制電性樹脂組成物からなる成形品、例えば、シート、フィルムなどが提供される。
なお、以下、本発明の第一の制電性樹脂組成物と第二の制電性樹脂組成物を総称する場合は「本発明の制電性樹脂組成物」という。
また、本発明において、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの溶出量は、ナトリウムイオンの溶出量とカリウムイオンの溶出量との合計を意味し、何れか一方のイオンの溶出量が0であってもよし、両方のイオンの溶出量が0を超えてもよい。
本発明の制電性樹脂組成物に関わる成分(A)はオレフィン系樹脂(A)である。該オレフィン系樹脂(A)としては、例えば、炭素数2〜10のオレフィン類の少なくとも1種からなるオレフィン系樹脂が挙げられ、後述する(B)成分を除く(共)重合体である。このオレフィン系樹脂(A)は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記オレフィン系樹脂(A)の形成に用いるオレフィン類の例としては、エチレン、及びプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチルヘキセン−1等のα―オレフィン、更にノルボルネン等の環状オレフィン等が挙げられる。これらは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらのうち、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1及びノルボルネンが好ましい。
オレフィン系樹脂(A)の形成において必要に応じて用いることのできる他の単量体としては、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,9−デカジエン等の非共役ジエン等が挙げられる。
本発明のオレフィン樹脂は、公知の重合法で製造されたものが使用でき、例えば高圧重合法、低圧重合法、メタロセン触媒重合法等がある。
更に、本発明で使用されるオレフィン系樹脂としては、重合触媒を脱触媒したもの、または、酸無水物、カルボキシル基、エポキシ基等で変性したものを用いることができる。
また、オレフィン系樹脂(A)のJIS K7121に準拠して測定した融点が40℃以上であるものを少なくとも1種用いることが好ましい。
本発明の(A)成分としてポリプロピレン系樹脂を使用する場合、JIS K7210:1999(230℃、荷重2.16kg)に準拠して測定したメルトフローレートは、好ましくは0.01〜500g/10分、より好ましくは0.05〜100g/10分であり、ポリエチレン系樹脂を使用する場合は、JIS K6922−2(190℃、荷重2.16kg)に準拠して測定したメルトフローレートは、好ましくは0.01〜500g/10分、より好ましくは0.05〜100g/10分である。
優れた耐薬品性と成形品表面外観が要求される用途では、(A)成分の使用量は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量%中、好ましくは60〜98質量%、更に好ましくは65〜97質量%、より更に好ましくは65〜95質量%、特に好ましくは70〜95質量%である。その使用量が60質量%未満では耐薬品性及び成形品表面外観が劣る傾向がある。優れた制電性と熱安定性が要求される用途では、(A)成分の使用量は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量%中、好ましくは40〜70質量%、更に好ましくは50〜65質量%である。高い制電性を有し、平滑な表面を有するシート表面外観の優れた発泡積層シートの表層として使用される場合は、(A)成分の使用量は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量%中、好ましくは40〜80質量%、更に好ましくは50〜70質量%である。
本発明の(B)成分は、ジブロックでもよいし、トリブロック以上のマルチブロックであってもよい。上記オレフィン重合体ブロック(B−a)とは、オレフィン類の(共)重合体である。ここで使用されるオレフィン類の例としては、エチレン、及び、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチルヘキセン−1等のα−オレフィン、更にノルボルネン等の環状オレフィン等があり、好ましくは、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、ノルボルネンであり、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また他に4−メチル−1、4−ヘキサジエン、5−メチル1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,9−デカジエン等の非共役ジエンを重合体成分の一部として使用することもできる。該オレフィン重合体ブロック(B−a)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の数平均分子量は、好ましくは800〜20,000、更に好ましくは1,000〜10,000、特に好ましくは1,2000〜6,000である。
このために、上記ブロック(B−a)の分子末端は、上記ブロック(B−b)に分子両末端官能基と反応性を有する官能基で変性されている必要がある。これらの官能基としては、カルボン酸基、水酸基、アミノ基、酸無水物基、オキサゾリン基、エポキシ基等がある。
本発明の(B−a)成分は、重合法及び熱減成法等によって得ることができ、重合法により得られるポリオレフィンは公知の方法で製造でき、例えば、ラジカル触媒、金属酸化触媒、チーグラー触媒、チーグラー−ナッタ触媒、メタロセン触媒等の存在下で上記オレフィンを(共)重合させる方法により容易に得ることができる。一方、高分子量のポリオレフィンの熱減成法によって得られる低分子量ポリオレフィンは、例えば、特開平3−62804号公報記載の方法等により容易に得ることができる。上記分子末端の変性のし易さから、好ましいものは熱減成法によるものである。
熱減成法で得られたポリオレフィン中の二重結合量は、制電性の観点から好ましくは、炭素数1,000当たり1〜40個、更に好ましくは2〜30個、特に好ましくは4〜20個である。
1分子当たりの二重結合の平均数は、繰り返し構造の形成性の観点及び制電性の観点から好ましくは、1.1〜5、さらに好ましくは1.3〜3、特に好ましくは1.8〜2.2である。
熱減成法においては、Mnが800〜6,000の範囲で、1分子当たりの平均末端二重結合数が1.5〜2個の低分子量ポリオレフィンが容易に得られる〔例えば、村田勝英、牧野忠彦、日本化学会誌、192頁(1975)参照〕。
ポリエーテルとしては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルジアミン、およびこれらの変性物が挙げられる。
ポリエーテル含有親水性ポリマーとしては、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステルアミド、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルアミドイミド、ポリエーテルジオールのセグメントを有するポリエーテルエステル、ポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルアミド、および、ポリエーテルジオールまたはポリエーテルジアミンのセグメントを有するポリエーテルウレタンが挙げられる。
アニオン性ポリマーとしては、スルホニル基を有するジカルボン酸と上記ポリエーテルとを必須成分単位とし、かつ一分子内に好ましくは2〜80個、更に好ましくは3〜60個のスルホニル基を有するアニオン性ポリマーが挙げられる。これらは、直鎖状であっても、また分岐状であってもよい。特に好ましい(B−b)成分はポリエーテルである。
H−(OA1)n―O−E1―O(A1O)n´―Hで表されるもの、及び一般式(II):
H−(OA2)m−O−E2−O−(A2O)m´―Hで表されるもの等が挙げられる。一般式(I)中、E1は二価の水酸基含有化合物から水酸基を除いた残基、A1は炭素数2〜4のアルキレン基、nおよびn´は前記二価の水酸基含有化合物の水酸基1個当たりのアルキレンオキサイド付加数を表す。n個の(OA1)とn´個の(A1O)とは同一であっても異なっていてもよく、また、これらが2種以上のオキシアルキレン基で構成される場合の結合形式はブロックもしくはランダムまたはこれらの組み合わせのいずれでもよい。nおよびn´は、通常1〜300、好ましくは2〜250、特に好ましくは10〜100の整数である。また、nとn´は、同一であっても異なっていてもよい。
脂肪族二価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。
脂環式二価アルコールとしては、例えば、1,2−および1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−および1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、芳香族二価アルコールとしては、例えば、キシレンジオール等が挙げられる。
二価フェノールとしては、ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、ウルシオール等の単環二価フェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4、4´−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン、ジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシジフェニルエーテル等のビスフェノール、およびジヒドロキシナフタレン、ビナフトール等の縮合多環二価フェノール等が挙げられる。
で表されるグリシジルエーテルを重合、または炭素数2〜4のアルキレンオキサイドと共重合する方法。
ここで使用される炭素数2〜4のアルキレンオキサイドとしては、前記したものが全て使用できる。
また、本発明の好ましい(B)成分は、上記オレフィン重合体ブロック(B−a)と親水性重合体ブロック(B−b)を公知の方法で重合することによって得ることができる。例えば、ブロック(B−a)とブロック(B−b)を減圧下200〜250℃で重合反応を行うことにより製造することができる。また、重合反応に際し公知の重合触媒を使用することができる。
(B−1−1)成分としては、ナトリウム、カリウムの有機酸、スルホン酸、無機酸の塩、及びハロゲン化物等が挙げられる。
このようなブロック重合体(B−1)は、例えば、特開2001−278985号公報、特開2003−48990号公報に記載の方法等で製造することができ、更に、本発明の(B−1)成分は、三洋化成工業社製ペレスタット300シリーズの300、303、ペレスタット200シリーズの230等として入手できる。
優れた耐薬品性と成形品表面外観が要求される用途では、(B)成分は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量%中、好ましくは2〜40質量%、より好ましくは3〜35質量%、より更に好ましくは5〜35質量%、特に好ましくは5〜30質量%であり、40質量%を超えると耐薬品性、表面外観性が劣る傾向がある。優れた制電性と熱安定性が要求される用途では、(B)成分は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量%中、好ましくは30〜60質量%、更に好ましくは35〜50質量%である。高い制電性を有し、平滑な表面を有するシート表面外観の優れた発泡積層シートの表層として使用される場合は、(B)成分は、(A)成分及び(B)成分の合計100質量%中、好ましくは20〜60質量%、更に好ましくは30〜50質量%である。
(B)成分を上記(B−1)成分と(B−2)成分から構成する場合、使用する比率は、(B−1)成分の(B−2)成分に対する質量比にして1/99〜90/10の範囲であることが好ましく、更に好ましくは2/98〜85/15、より更に好ましくは10/90〜85/15、より更に一層好ましくは15/85〜80/20、特に好ましくは20/80〜75/25であり、この範囲において特に制電性と溶出イオン量のバランスに優れる。
(B−1)成分の使用量を増加させると、制電性を向上させる目的からは有効であるが、成形品からの好ましくないナトリウム、カリウム等の溶出量が増える。このことから、本発明の第一の制電性樹脂組成物における(B−1)成分の使用量は、(A)成分及び(B)成分の合計100重量%に対して1〜15質量%が好ましく、より好ましくは3〜13質量%、さらにより好ましくは5〜10質量%であり、特に好ましくは5〜9質量%である。
本発明によれば、表面抵抗率(23℃、50%RH条件下で測定)1×1011Ω/□以下、好ましくは5×1010Ω/□以下であって、かつ、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの溶出量(80℃、60分間抽出条件下で測定)3μg/cm2以下の要件を満たし、したがって、制電性と溶出イオンを従来になく高度にバランスさせた成形体が得られる。従来の技術においては、制電性を向上させるために上記(B−1)成分の配合量を上げていたが、この場合、成形品からの溶出イオンが増える方向にあった。これに対し、本発明によれば、制電性と溶出イオンが高度にバランスさせた成形体が、例えば、従来用いられていた(B−1)成分と従来にない(B−2)成分を併用することで得られる。(B)成分として(B−1)成分と(B−2)成分を併用した場合、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの溶出量を好ましくは2μg/cm2以下、より好ましくは1μg/cm2以下にまで低減させることが可能となる。
本発明の第二の制電性樹脂組成物は、第一の制電性樹脂組成物に更に(C)成分、及び(D)成分を含むものであり、制電性と溶出イオンのバランスが向上し、そして、耐衝撃性が高くなる。
本発明の第二の制電性樹脂組成物において、(A)成分は、前記したオレフィン系樹脂(A)が全て使用でき、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
優れた耐薬品性と成形品表面外観が要求される用途では、(A)成分の使用量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%中、好ましくは10〜85質量%、更に好ましくは20〜80質量%、特に好ましくは30〜75質量%である。その使用量が30質量%未満では耐薬品性及び成形品表面外観が劣る傾向がある。優れた制電性と熱安定性が要求される用途では、(A)成分の使用量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%中、好ましくは7〜40質量%、更に好ましくは10〜35質量%である。高い制電性を有し、平滑な表面を有するシート表面外観の優れた発泡積層シートの表層として使用される場合は、(A)成分の使用量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%中、好ましくは7〜30質量%、更に好ましくは7〜25質量%である。
優れた耐薬品性と成形品表面外観が要求される用途では、(B)成分は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%中、好ましくは2〜40質量%、より好ましくは3〜35質量%、更により好ましくは5〜35質量%、特に好ましくは5〜30質量%であり、40質量%を超えると成形品表面外観及び耐衝撃性が劣る傾向がある。優れた制電性と熱安定性が要求される用途では、(B)成分は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%中、好ましくは30〜60質量%、更に好ましくは35〜50質量%である。高い制電性を有し、平滑な表面を有するシート表面外観の優れた発泡積層シートの表層として使用される場合は、(B)成分は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計100質量%中、好ましくは20〜60質量%、更に好ましくは30〜60質量%、特に好ましくは40〜60質量%である。
(B)成分を上記(B−1)成分と(B−2)成分から構成する場合、使用する比率は、(B−1)成分の(B−2)成分に対する質量比にして1/99〜90/10の範囲であることが好ましく、更に好ましくは2/98〜85/15、より更に好ましくは10/90〜85/15、より更に一層好ましくは15/85〜80/20、特に好ましくは20/80〜75/25であり、この範囲において特に制電性と溶出イオン量のバランスに優れる。
(B−1)成分の使用量を増加させると、制電性を向上させる目的からは有効であるが、成形品からの好ましくないナトリウム、カリウム等の溶出量が増える。このことから、本発明の第二の制電性樹脂組成物における(B−1)成分の使用量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計量の1〜15質量%が好ましく、より好ましくは3〜13質量%、さらにより好ましくは5〜10質量%であり、特に好ましくは5〜9質量%である。
本発明によれば、表面抵抗率(23℃、50%RH条件下で測定)1×1011Ω/□以下、好ましくは5×1010Ω/□以下であって、かつ、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの溶出量(80℃、60分間抽出条件下で測定)3μg/cm2以下の要件を満たし、したがって、制電性と溶出イオンを従来になく高度にバランスさせた成形体が得られる。従来の技術においては、制電性を向上させるために上記(B−1)成分の配合量を上げていたが、この場合、成形品からの溶出イオンが増える方向にあった。これに対し、本発明によれば、制電性と溶出イオンが高度にバランスさせた成形体が、例えば、従来用いられていた(B−1)成分と従来にない(B−2)成分を併用することで得られる。(B)成分として(B−1)成分と(B−2)成分を併用した場合、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの溶出量を好ましくは2μg/cm2以下、より好ましくは1μg/cm2以下にまで低減させることが可能となる。
また、共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等があり、好ましくはブタジエン、イソプレンである。これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。更に、ブロック(C−2)は、2種以上の共役ジエン化合物を使用し、それらがランダム状、ブロック状、テーパー状のいずれの形態で結合したブロックであってもよい。また、(C−2)は、芳香族ビニル化合物が漸増するテーパーブロックを1〜10個の範囲で含有していてもよく、重合体ブロック(C−2)の共役ジエン化合物に由来するビニル結合含有量の異なる重合体ブロック等が、適宜共重合していてもよい。
(A−B)Y (VI)
(A−B)Y−X (VII)
A−(B−A)Z (VIII)
(構造式(VI)〜(VIII)中、Aは芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロックで、実質的に芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックであれば、一部共役ジエン化合物が含まれていてもよい。好ましくは芳香族ビニル化合物を90質量%以上、更に好ましくは99質量%以上含有する重合体ブロックである。Bは共役ジエン化合物の単独重合体または芳香族ビニル化合物等の他の単量体と共役ジエン化合物との共重合体であり、Xはカップリング剤の残基であり、Yは1〜5の整数、Zは1〜5の整数をそれぞれ表す。Bが芳香族ビニル化合物等の他の単量体と共役ジエン化合物との共重合体である場合、B中の当該他の単量体の含有量は、共役ジエン化合物と当該他の単量体との合計に対して50質量%以下であること好ましい。)
上記方法で重合体を得た後、カップリング剤を使用して重合体分子鎖がカップリング剤残基を介して延長または分岐された重合体も本発明の(C)成分に好ましく含まれるが、ここで使用されるカップリング剤としてはアジピン酸ジエチル、ジビニルベンゼン、メチルジクロロシラン、四塩化珪素、ブチルトリクロロ珪素、テトラクロロ錫、ブチルトリクロロ錫、ジメチルクロロ珪素、テトラクロロゲルマニウム、1,2−ジブロモエタン、1,4−クロロメチルベンゼン、ビス(トリクロロシリル)エタン、エポキシ化アマニ油、トリレンジイソシアネート、1,2,4−ベンゼントリイソシアネート等が挙げられる。
上記ブロック共重合体(C−a)及びその水素添加物(C−b)に化学的に結合している他の重合体は、100質量%が化学的に結合している必要はなく、他の重合体の少なくとも10質量%が化学的に結合しておれば本発明の目的は達成できる。
本発明の(D)成分は、耐衝撃性の面から、ゴム質重合体(D−a)の存在下にビニル系単量体(D−b)をグラフト重合させた重合体を少なくとも1種含むものが好ましい。ゴム質重合体(D−a)の含有量は、(D)成分を100質量%として、好ましくは3〜80質量%、更に好ましくは5〜70質量%、特に好ましくは10〜60質量%である。
また、これらのうちポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、アクリルゴム、シリコーンゴム、上記(C)成分が好ましい。ここで用いられるブタジエン・スチレン共重合体は、ブロック共重合体およびランダム共重合体のいずれであってもよい。
尚、上記ゲル含率は、以下に示す方法により求めることができる。すなわち、ゴム質重合体1gをトルエン100mlに投入し、室温で48時間静置したのち、100メッシュの金網(質量をW1グラムとする)で濾過したトルエン不溶分と金網を80℃で6時間真空乾燥して秤量(質量W2グラムとする)し、下記式(1)により算出する。
ゲル含率は、ゴム質重合体の製造時に、分子量調節剤の種類および量、重合時間、重合温度、重合転化率等を適宜設定することにより調整される。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリル酸エステル化合物を使用すると、表面硬度が向上するので好ましい。(メタ)アクリル酸エステル化合物を使用する場合、その使用量は、(D−b)成分中、好ましくは1〜80質量%、さらに好ましくは5〜80質量%である。
マレイミド化合物としては、マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、マレイミド単位を導入するために、無水マレイン酸を共重合させ、後イミド化してもよい。マレイミド化合物を使用すると、耐熱性が付与される。マレイミド化合物を使用する場合、その使用量は、(D−b)成分中、好ましくは1〜60質量%、さらに好ましくは5〜50質量%である。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
置換または非置換のアミノ基含有不飽和化合物としては、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アクリルアミン、メタクリルアミン、N−メチルアクリルアミン、アクリルアミド、N―メチルアクリルアミド、p−アミノスチレン等があり、これらは、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記その他の各種官能基含有不飽和化合物を使用した場合、スチレン系樹脂と他のポリマーとをブレンドしたとき、両者の相溶性を向上させる効果が期待できる。かかる効果を達成するために好ましい単量体は、エポキシ基含有不飽和化合物、不飽和酸化合物、および水酸基含有不飽和化合物である。
上記その他の各種官能基含有不飽和化合物の使用量は、(D)成分中に使用される該官能基含有不飽和化合物の合計量で、(D)成分全体に対して0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がさらに好ましい。
重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
又、重合開始助剤として、各種還元剤、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処方等があり、特にレドックス系を用いることが好ましい。
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n―ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n―ヘキシルメルカプタン等のメルカプタン類、ターピノーレン類、及びα―メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、ラウリル酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、パルミチン酸カリウム等の高級脂肪酸塩、ロジン酸カリウム等のロジン酸塩等を用いることができる。
重合温度は、好ましくは80〜140℃、さらに好ましくは85〜120℃の範囲である。
重合に際し、重合開始剤を用いてもよいし、重合開始剤を使用せずに、熱重合で重合してもよい。重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物、1、1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)等が好ましく用いられる。
また,連鎖移動剤を用いる場合、例えば、メルカプタン類、ターピノーレン類、α−メチルスチレンダイマー類等を用いることができる。
また、塊状重合、懸濁重合で製造する場合、溶液重合において説明した重合開始剤、連鎖移動剤等を用いることができる。
上記各重合法によって得た(D)成分中に残存する単量体量は、好ましくは10,000ppm以下、さらに好ましくは5,000ppm以下である。
上記(D)成分のグラフト率は、好ましくは20〜200質量%、更に好ましくは30〜150質量%、特に好ましくは40〜120質量%であり、グラフト率は、下記式(2)により求めることができる。
上記式(2)中、Tは(D)成分1gをアセトン(ただし、ゴム質重合体(D−a)がアクリル系ゴムを使用したものである場合、アセトニトリル)20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sは(D)成分1gに含まれるゴム質重合体の質量(g)である。
本発明に関わる(D)成分中に分散するグラフト化ゴム質重合体粒子の平均粒系は、好ましくは500〜30,000Å、更に好ましくは1,000〜20,000Å、特に好ましくは、1,500〜8,000Åの範囲である。平均粒径は、電子顕微鏡を用いる公知の方法で測定できる。
上記非イオン系帯電防止剤は、例えば、花王社製エレクトロストリッパーEA、TS−3B、TS−6B、TS−5、TS−2B(商品名)等として市場より入手できる。
又、本発明の制電性樹脂組成物には、公知の無機または有機充填材を配合することができる。ここで使用される充填材としては、ガラス繊維、ガラスフレーク、ガラス繊維のミルドファイバー、ガラス粉、ガラスビーズ、中空ガラスビーズ、炭素繊維、炭素繊維のミルドファイバー、銀、銅、黄銅、鉄等の粉体あるいは繊維状物質、カーボンブラック、錫コート酸化チタン、錫コートシリカ、ニッケルコート炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、炭酸カルシウムウイスカー、ワラストナイト、マイカ、カオリン、モンモリロナイト、ヘキトライト、酸化亜鉛ウイスカー、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、板状アルミナ、板状シリカ、及び有機処理されたスメクタイト、アラミド繊維、フェノール樹脂、ポリエステル繊維等があり、これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
更に、上記充填材の分散性を向上させる目的から、公知のカップリング剤、表面処理剤、集束剤等で処理したものを用いることができ、公知のカップリング剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等がある。
上記無機または有機充填材は、本発明の制電性樹脂組成物100質量部に対して、1〜200質量部の範囲で通常使用される。
エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、フェノキシ樹脂等を適宜配合することができる。
上記シート及びフィルムは、単層品であってもよく、また他材料と積層した多層品であってもよく、粘着剤等を積層したシート及びフィルムであってもよい。更に前記シート及びフィルムに公知のガスバリア膜を形成させることもできる。
上記多層シートにおいて、本発明の制電性樹脂組成物からなる層の厚みは、安定的に制電性を発現する目的から好ましくは10μm以上、更に好ましくは50μm以上、特に好ましくは80μm以上である。このような多層シート及びフィルムを得る方法として好ましい方法は、Tダイによる共押出、インフレーションによる共押出である。このようにして得られたシートは、必要に応じて真空成形等でトレイ等の成形品を得ることができる。
更に、本発明の制電性樹脂組成物からなるシートまたはフィルムと粘着剤との接着力を向上させる目的から、本発明の制電性樹脂組成物からなるシートまたはフィルムの表面に直接または上記表面処理した面にプライマー層を形成させることができる。具体的には、上記表面に、ポリエチレンイミン、ポリウレタン、またはアクリル樹脂等の樹脂を極薄い、0.1μm〜10μm程度の厚みの層として形成させる。通常は、溶剤(水を含む)溶液として塗布し、乾燥することにより形成できる。
本発明の多層シートの各層の構造は、特に限定されず、例えば、発泡したものであっても、中空になったものであってもよい。上記他材の層、例えば、上記(A)成分からなる層を発泡させる場合、発泡剤としては特に制限されず、例えば、発泡ポリプロピレン系樹脂または発泡ポリエチレン系樹脂に用いられている公知の発泡剤を用いることができる。発泡剤の具体例としては、二酸化炭素、空気、窒素などの無機発泡剤、脂肪族炭化水素、ハロゲン化炭化水素などの揮発性発泡剤、アゾジカルボンアミド(ADCA)、ジニトロソペンタメチレンテトラアミン、アゾビスイソブチロニトリル、ヒドラゾジカルボンアミド、炭酸水素ナトリウムなどの分解型発泡剤が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらのうち、成形加工温度と発泡量の調整が行い易い分解型発泡剤を用いるのが好ましい。また、発泡剤の使用量には特に制約はないが、分解型発泡剤の場合、発泡成形用樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましい。
本発明の第一の制電性樹脂組成物を上記発泡品の表層として使用する場合、前記オレフィン系樹脂(A)40〜80質量%、前記ブロック共重合体(B)20〜60質量%とを含有する組成物(但し、上記(A)成分及び(B)成分の合計は100質量%)を好適に使用することができる。また、本発明の第二の制電性樹脂組成物を上記発泡品の表層として使用する場合、前記オレフィン系樹脂(A)7〜30質量%、前記ブロック共重合体(B)20〜60質量%、前記エラストマー(C)15〜50質量%、前記スチレン系樹脂(D)5〜20質量%とを含有する組成物(但し、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計は100質量%)を好適に使用することができる。
(1)ゴム質重合体のゲル含率;前記の方法に従った。
(2)ゴム質重合体ラテックスの平均粒子径;
(D−1)成分の形成に用いるゴム質重合体ラテックスの平均粒子径は、光散乱法で測定した。測定機は、大塚電子社製LPA―3100型を使用し、70回積算でミュムラント法を用いた。尚、(D)成分中の分散グラフト化ゴム質重合体粒子の粒子径は、ラテックス粒子径とほぼ同じであることを電子顕微鏡で確認した。
(3)(D)成分のグラフト率;前記の方法に従った。
(4)(D)成分のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕;前記の方法に従った。
(5)(C)成分(重合体の結合スチレン量、ビニル結合量、数平均分子量、および水素添加率);
(5−1)結合スチレン量;
水素添加前の重合体で測定した。699cm―1のフェニル基の吸収に基づいた赤外法による検量線から求めた。
(5−2)数平均分子量;
水素添加前の重合体で測定した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)から求めた。
(5−3)ビニル結合量
水素添加前の重合体で測定した。赤外法(モレロ法)により求めた。
(5−4)水素添加率;
水素添加後の重合体で測定した。四塩化エチレンを溶媒として用い、15%濃度で測定した100MHzの1H―NMRスペクトルの不飽和二重結合物のスペクトル減少から算出した。
(6−1)制電性−1
成形品(寸法2.4mm×76mm×127mm)を用い、FTMS−101(米国連邦試験基準)に従い、米国ETS社製 STATIC DECAY METER 406Dを用い、23℃、湿度12%RH条件下で、+5000V印加した後、接地し、50Vまで減衰するまでの時間(秒)を測定した。
(6−2)制電性−2
成形品(寸法2.1mm×100mmφの円盤)を用い、JIS K6911に準拠し、23℃、50%RH条件下に24時間放置後の表面抵抗率(Ω/□)を三菱化学社製ハイレスターUP MCP−HT450を用い測定した。
(7)耐薬品性;
成形品(寸法2mm×40mm×160mm)に1%歪みをかけ、ジオクチルフタレート(DOP)を塗布し、23℃で72時間放置したあとの成形品の表面状態を、下記評価基準に基づき目視評価した。
○;変化無し
△;微小なクラック発生
×;大きなクラック発生又は破断
(8)表面外観;
成形品(寸法2.1mm×100mmφの円盤)の表面を、下記基準で目視評価した。
◎;平滑な面で非常に良好
○;平滑な面で外観良好
△;面が若干平滑でないが外観は実用上問題ない
×;面が平滑でなく外観が悪い
(9)耐衝撃性;
(9−1)耐衝撃性―1
ISO 179に準拠して、同ISO規格に規定の成形品を用い、シャルピー衝撃強さ(KJ/m2)を測定した。
(9−2)耐衝撃性―2
成形品(寸法2.4mm×100mm×100mm)を用い、ASTM−D2794に準拠して、デュポン式衝撃強さ(kgf・cm)を測定した。
(10)溶出イオン
超純水88cm3に、表面積88cm2の成形品を浸漬し、80℃、60分間成形品からイオンを溶出させた。この抽出水を用い、ナトリウムイオン量およびカリウムイオン量の合計をイオンクロマトグラフで測定した。結果は、成形品の単位面積当たりに換算しμg/cm2で示した。
(11)熱安定性;
制電性―1の測定で用いたと同様の成形品を、90℃雰囲気中に5日間放置した後の成形品と90℃雰囲気中に放置する前の成形品の変色の程度を下記基準で目視評価した。
○;変色しないか、変色の程度が少ない
×;変色の程度が大きい
(1)(A)成分;オレフィン系樹脂
本発明の(A)成分のオレフィン系樹脂として下記のものを用いた。
A1;日本ポリプロ社製 ノバテックPP FY6C(商品名)
ホモタイプポリプロピレン、メルトフローレート 2.4g/10分
A2;日本ポリプロ社製 ノバテックPP MA3AH(商品名)
ホモタイプポリプロピレン、メルトフローレート 10g/10分
A3;日本ポリプロ社製 ノバテックPP EG6D (商品名)
ランダムタイプポリプロピレン、メルトフローレート 1.9g/10分
A4;日本ポリプロ社製 ノバテックPP MG3ATB(商品名)
ランダムタイプポリプロピレン、メルトフローレート 10g/10分
A5;日本ポリプロ社製 ノバテックPP EA9BT(商品名)
ホモタイプポリプロピレン、メルトフローレート 0.5g/10分
A6;日本ポリエチレン社製 ハーモレックス NF464N(商品名)
メタロセン系ポリエチレン、メルトフローレート 2.0g/10分
A7;日本ポリエチレン社製 ノバテックLD LF122(商品名)
低密度ポリエチレン、メルトフローレート 0.3g/10分
A8;ポリプラスチックス社製 TOPAS 8007X10(商品名)
エチレン−ノルボルネン共重合体(ガラス転移温度 80℃)
(2−1)(B−1)成分
(2−1−1)製造例1;ナトリウム化合物含有ポリプロピレン−ポリエチレングリコールブロック共重合体
ステンレス製オートクレーブに、高分子量ポリプロピレンの熱減成法で得られた低分子量ポリプロピレン(Mn2,500)80部を仕込んだ後、160℃で溶融し、無水マレイン酸7部及び12−アミノドデカン酸14部を加え、窒素ガス通気下、攪拌しながら160℃で1時間反応させた。その後、200℃で20時間反応を行い、ポリオレフィンブロックを得た(B−a)を得た。(B−a)の酸価は32.1、Mnは2,800であった。
上記(B−a)64部、ポリエチレングリコール(Mn2,000)36部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム8部、酸化防止剤〔商品名「イルガノックス1010」、チバガイギー社製〕0.3部及び酢酸ジルコニル0.5部をステンレス製オートクレーブに加え、230℃、1mmHg以下の減圧下の条件で4時間重合させ、ナトリウム含有量4000ppmのポリマーを得た。このポリマーをベルト状で取り出し、ペレット化しブロック共重合体(B1−1)を得た。
(2−1−2)製造例2;カリウム化合物含有ポリプロピレン−ポリエチレングリコールブロック共重合体
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの代わりに塩化カリウム0.75部を用いた以外は製造例1と同様にして、カリウム含有量4000ppmのブロック共重合体(B1−2)を得た。
(2−1−3)製造例3;ナトリウム化合物含有ポリプロピレン−ポリエチレングリコールブロック共重合体
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの使用量を3.9部に変えた以外は製造例1と同様にして、ナトリウム含有量2000ppmのブロック共重合体(B1−3)を得た。
(2−2)(B−2)成分
(2−2−1)製造例4;ポリプロピレン−ポリエチレングリコールブロック共重合体
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いなかった以外は製造例1と同様にして、ナトリウム化合物を含有しないブロック共重合体(B2−1)を得た。
(3−1)製造例5:スチレンーブタジエンラジアルテレブロック共重合体
撹拌機およびジャケット付きオートクレーブを乾燥、窒素置換し、窒素気流中でシクロヘキサンとテトラヒドロフラン2.75部投入した。スチレン25部を加え、60℃に昇温したのち、n―ブチルリチウム0.175部を含むシクロヘキサン溶液を添加し、重合反応を60分間行った(1段目)。次いで、スチレン3部、ブタジエン20部の混合物を添加し60分間重合反応を行った(2段目)、また、スチレン3部、ブタジエン20部の混合物を添加し60分間重合反応を行った(3段目)、更にブタジエン29部を添加し転化率100%になるまで重合し完結した。カップリング剤として四塩化珪素0.1部を添加したのち、カップリング反応を完結させた。重合終了後、2,6−ジ−tert―ブチルカテコールを上記で得られた共重合体100部に対して0.3部添加し、その後、溶媒を除去してテーパーブロックを有するカップリングタイプのスチレンーブタジエンブロック共重合体C1を得た。このもののスチレン含有量は31%、数平均分子量は200,000であった。
撹拌機及びジャケット付きオートクレーブを乾燥、窒素置換し、スチレン30部を含むシクロヘキサン溶液を投入した。次いで、n―ブチルリチウムを添加し、70℃で1時間重合したのち、ブタジエン40部を含むシクロヘキサン溶液を加えて1時間重合した。その後スチレン30部を含むシクロヘキサン溶液を添加し1時間重合し、得られたブロック重合体溶液の一部をサンプリングし、2,6−ジ−tert―ブチルカテコールをブロック共重合体100部に対して0.3部添加し、その後、溶媒を加熱除去した。このものの、スチレン含量は60%、ポリブタジエン部分の1,2−ビニル結合量は35%、数平均分子量は74,000であった。残りのブロック共重合体溶液にチタノセンジクロライドとトリエチルアルミニウムをシクロヘキサン中で反応させた溶液を加え、50℃、50kgf/cm2の水素圧下、3時間水素化反応を行った。2,6−ジ−tert―ブチルカテコールをブロック共重合体100部に対して0.3部添加し、その後、溶媒を除去し、ブタジエン部分の水素添加率100%の重合体C2を得た。
(4−1)製造例7;ABS樹脂
撹拌機を備えた内容積7Lのガラス製フラスコに窒素気流中で、イオン交換水75部、ロジン酸カリウム0.5部、tert―ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエンラテックス(平均粒子径;2000Å、ゲル含率;85%)30部(固形分)、ブタジエン−スチレンランダム重合体ラテックス(平均粒子径;6000Å、スチレン含量25%)10部(固形分)、スチレン15部、アクリロニトリル5部を加え、撹拌しながら昇温した。内温が45℃に達した時点で、ピロリン酸ナトリウム0.2部、硫酸第一鉄7水和物0.01部、およびブドウ糖0.2部をイオン交換水20部に溶解した溶液を加えた。その後、クメンハイドロパーオキサイド0.07部を加えて重合を開始した。1時間重合させた後、更にイオン交換水50部、ロジン酸カリウム0.7部、スチレン30部、アクリロニトリル10部、tert―ドデシルメルカプタン0.05部およびクメンハイドロパーオキサイド0.01部を3時間かけて連続的に添加し、更に1時間重合を継続させた後、2、2′―メチレンービス(4―エチルー6−tert―ブチルフェノール)0.2部を添加し重合を完結させた。反応生成物のラテックスを硫酸水溶液で凝固、水洗した後、乾燥してゴム強化スチレン系樹脂D1を得た。この樹脂D1のグラフト率は68%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は、0.45dl/gであった。
内容積30Lのリボン翼を備えたジャケット付き重合反応容器を2基連結し、窒素置換した後、1基目の反応容器にスチレン75部、アクリロニトリル25部、トルエン20部を連続的に添加した。分子量調節剤としてtert―ドデシルメルカプタン0.12部およびトルエン5部の溶液、および重合開始剤として、1、1′―アゾビス(シクロヘキサンー1−カーボニトリル)0.1部、およびトルエン5部の溶液を連続的に供給した。1基目の重合温度は、110℃にコントロールし、平均滞留時間2.0時間、重合転化率57%であった。得られた重合体溶液は、1基目の反応容器の外部に設けたポンプにより、スチレン、アクリロニトリル、トルエン、分子量調節剤、および重合開始剤の供給量と同量を連続的に取り出し2基目の反応容器に供給した。2基目の反応容器の重合温度は、130℃で行い、重合転化率は75%であった。2基目の反応容器で得られた共重合体溶液は、2軸3段ベント付き押出機を用いて、直接未反応単量体と溶剤を脱揮し、極限粘度〔η〕0.48dl/gのスチレン系樹脂D2を得た。
(4−3−1)ゴム質重合体(D3a)の製造
撹拌機及びジャケット付きオートクレーブを乾燥、窒素置換し、シクロヘキサンとブタジエン20部溶液を投入した。次いで、n―ブチルリチウムを添加し、50℃で等温重合を行った。転化率100%になった時点で、テトラヒドロフラン0.75部、ブタジエン65部を添加し、50℃から80℃に昇温重合を行った。転化率100%となった時点でスチレン15部を加え、更に重合反応を行い、水素添加前A―B1―B2トリブロック共重合体を得た。得られたブロック重合体は、スチレンブロック(A)の含量15%、ブタジエンブロック(B1)含量65%、ブタジエンブロック(B2)含量20%、1,2―ビニル含量35%のブタジエンブロック(B1)、1,2―ビニル含量10%のブタジエンブロック(B2)からなる数平均分子量200,000の重合体であった。
別の容器でチタノセンジクロライド1部をシクロヘキサンに分散させ、室温でトリエチルアルミニウム0.5部と反応させた。得られた均一溶液を上記ポリマー溶液に加え、50℃で、50kgf/cm2の水素圧下、水素添加率がほぼ100%になるまで水素化反応を行い、ゴム質重合体D3aを得た。
リボン翼を備えたステンレス製オートクレーブを窒素置換したのち、窒素気流中で、予めトルエンを溶媒として均一溶液にした上記重合体D3aを28部(固形分)、スチレン10.8部、アクリロニトリル7.2部、メチルメタクリレート54部、トルエン120部、およびtert−ドデシルメルカプタン0.1部を仕込み、撹拌しながら昇温した。内温が50℃に到達した時点で、ベンゾイルパーオキサイド0.5部、ジクミルパーオキサイド0.1部を添加し、更に昇温し、80℃に達した後、80℃一定に制御しながら重合反応を行わせた。反応開始後6時間目から1時間を要して120℃まで昇温し、更に2時間反応を行って終了した。転化率は、97%であった。
100℃まで冷却後、2,2―メチレンビス―4―6−tert―ブチルフェノール0.2部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒を留去するとともに、ベント付き押出機を用いて重合体をペレット化し、重合体D3を得た。このもののグラフト率は45%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕は0.45dl/gであった。
ゴム質重合体D3aの代わりにエチレン・プロピレン系ゴム(商品名「EP84」、JSR社製)19部を用い、スチレン/アクリロニトリル/メチルメタクリレートの代わりにスチレン57部、アクリロニトリル24部を用いた以外、製造例9と同様の方法で重合反応を行い、エチレン・プロピレン系ゴムの含有量20%、グラフト率55%、アセトン可溶分の極限粘度〔η〕0.45dl/gである重合体D4を得た。
制電性を向上させるその他の成分として下記のものを用いた。
E1;トリフルオロメタンスルホン酸リチウム;三光化学工業社製 サンコノールAQ−50T(商品名)トリフルオロメタンスルホン酸リチウムの50%水溶液
F1;非イオン系帯電防止剤;花王社製 エレクトロストリッパーTS―5(商品名)グリセリンエステル
G1;酸化亜鉛ウイスカー;松下電器産業株式会社製 パナテトラWZ−05F1(商品名)
表1−1及び表1−2記載の配合割合で各構成成分をヘンシェルミキサーにより混合した後、ベント付きニ軸押出機(シリンダー設定温度220℃)を用いて溶融混練し、ペレット化した。尚、その他成分のうち前記G1を用いた場合、押出機途中から注入した。得られたペレットを十分に乾燥したのち、このペレットを用いて射出成形(シリンダー設定温度220℃)し、制電性、耐薬品性、耐衝撃性、成形品表面外観、及び熱安定性の評価用試験片を得た。評価結果を表1−1及び表1−2に示した。
表2記載の制電性樹脂組成物の配合割合で各構成成分をヘンシェルミキサーにより混合した後、ベント付き二軸押出機(シリンダー設定温度220℃)を用いて溶融混練し、ペレット化した。尚、その他成分のうち前記G1を用いた場合、押出機途中から注入した。得られたペレットを十分に乾燥した後、このペレット化された制電性樹脂組成物からなる表裏層(各々の厚み0.1mm)と、表2記載の配合割合の組成物からなるコア材(厚み0.8mm)とからなる三層シート(肉厚1.0mm)をTダイ付き多層押出装置で製造した(加工温度190〜240℃)。
得られた三層シートを用い、前記評価法に従い、制電性、耐薬品性、耐衝撃性、表面外観、溶出イオン、及び熱安定性を測定した。評価結果を表2に示した。
また、上記三層シートを用いて真空成形(ヒーター温度400℃、予熱時間30〜45秒)を行ったところ、表面外観に優れるトレイ成形品が得られた。
表3記載の制電性樹脂組成物の配合割合で各構成成分をヘンシェルミキサーにより混合した後、ベント付き二軸押出機(シリンダー設定温度220℃)を用いて溶融混練し、ペレット化した。尚、その他成分のうち前記G1を用いた場合、押出機途中から注入した。得られたペレットを十分に乾燥した後、このペレット化された制電性樹脂組成物をインフレーション(170℃)し、厚み50μmのフィルムを得た。
得られたフィルムを用い、前記評価法に従い、制電性、表面外観、溶出イオン、及び熱安定性を測定した。評価結果を表3に示した。
表3記載の制電性樹脂組成物の配合割合で各構成成分をヘンシェルミキサーにより混合した後、ベント付き二軸押出機(シリンダー設定温度220℃)を用いて溶融混練し、ペレット化した。得られたペレットを十分に乾燥した後、このペレット化された制電性樹脂組成物からなる表裏層(各々の厚み30μm)と、表3記載の配合割合の組成物にアゾジカルボンアミド系発泡剤を配合して約2倍に発泡させたコア材とからなる三層シート(肉厚3mm)をTダイ付き多層押出装置(加工温度180〜200℃)で製造した。
得られた三層シートを用い、前記評価法に従い、制電性、耐薬品性、表面外観、溶出イオン、及び熱安定性を測定した。評価結果を表3に示した。
実施例1〜8および37、ならびに、比較例1〜4は、本発明の第一の制電性樹脂組成物に関する実施例及び比較例であり、これらの実施例は、制電性、耐薬品性、成形品表面外観、熱安定性及び溶出イオン性に優れる。これに対し、比較例1は、溶出イオン量が3μg/cm2よりも多い例である。比較例2は、制電性が1×1011Ω/□よりも高い例である。比較例3は、本発明の(A)成分の使用量が発明の範囲外で多く、(B)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、制電性が劣る。比較例4は、本発明の(A)成分の使用量が発明の範囲外で少なく、(B)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり耐薬品性、成形品表面外観及び熱安定性が劣り、更に溶出イオンが多い。
実施例9〜19、35〜36及び38〜40、並びに、比較例5〜10は、本発明の第二の制電性樹脂組成物に関する実施例及び比較例であり、これらの実施例は、制電性、耐薬品性、成形品表面外観、熱安定性、溶出イオン性、及び耐衝撃性に優れる。これに対し、比較例5は、溶出イオン量が3μg/cm2よりも多い例である。比較例6は、制電性が1×1011Ω/□よりも高い例である。比較例7は、本発明の(A)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、制電性、耐薬品性、耐衝撃性、及び成形品表面外観が劣る、比較例8は、本発明の(C)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、耐衝撃性が劣る。比較例9は、本発明の(B)成分の使用量が発明の範囲外で少ない例であり、制電性が劣る。比較例10は、本発明の(D)成分の使用量が発明の範囲外で多い例であり、制電性、耐薬品性が劣る。
表2に記載された結果から、以下のことが明らかである。
実施例20〜25、41及び42は、本発明の第二の制電性樹脂組成物からなるシートに関する実施例であり、制電性、耐薬品性、シート表面外観、耐衝撃性、及び溶出イオン性に優れ、また、真空成形性に優れる。
表3に記載された結果から、以下のことが明らかである。
実施例26〜34は、本発明の第一の制電性樹脂組成物からなるフィルムに関する実施例であり、制電性、フィルム表面外観、及び溶出イオン性に優れる。また、実施例43〜46は、本発明の第二の制電性樹脂組成物からなるフィルムを発泡基材に積層した成形品に関する実施例であり、制電性、耐薬品性、表面外観、熱安定性および溶出イオン性に優れる。
Claims (9)
- 下記(A)成分40〜98質量%と下記(B)成分2〜60質量%とを含有する組成物(但し、上記(A)成分及び(B)成分の合計は100質量%)であって、該組成物を成形してなる成形体の表面抵抗率(23℃、50%RH条件下で測定)が1×1011Ω/□以下で、かつ、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの溶出量(80℃、60分間抽出条件下で測定)が3μg/cm2以下であることを特徴とする制電性樹脂組成物。
(A)成分:オレフィン系樹脂、
(B)成分:オレフィン重合体ブロックと親水性重合体ブロックとを含有するブロック共重合体。 - 上記(B)成分は、ナトリウムおよびカリウムの合計の含有量が500〜8000ppmのブロック共重合体(B−1)と、ナトリウムおよびカリウムの合計の含有量が0〜100ppmのブロック共重合体(B−2)とを、ブロック共重合体(B−1)のブロック共重合体(B−2)に対する質量比にして1/99〜90/10の範囲で含み、該ブロック共重合体(B−1)の配合量が上記成分(A)と上記成分(B)との合計量の1〜15質量%である請求項1に記載の制電性樹脂組成物。
- 下記(A)成分7〜91質量%と、下記(B)成分2〜60質量%と、下記(C)成分2〜50質量%と、下記(D)5〜50質量%とを含有する組成物(但し、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計は100質量%)であって、該組成物を成形してなる成形体の表面抵抗率(23℃、50%RH条件下で測定)が1×1011Ω/□以下で、かつ、ナトリウムイオン及びカリウムイオンの溶出量(80℃、60分間抽出条件下で測定)が3μg/cm2以下であることを特徴とする制電性樹脂組成物。
(A)成分:オレフィン系樹脂。
(B)成分:オレフィン重合体ブロックと親水性重合体ブロックとを含有するブロック共重合体。
(C)成分:芳香族ビニル化合物から主としてなる重合体ブロックと共役ジエン化合物から主としてなる重合体ブロックとを含有するブロック共重合体及びその水素添加物から選ばれた少なくとも1種のエラストマー。
(D)成分:ゴム質重合体の存在下に芳香族ビニル化合物を含むビニル系単量体を重合して得られるゴム強化スチレン系重合体(D−1)、および/または、該ビニル系単量体の(共)重合体(D−2)からなるスチレン系樹脂。 - 上記成分(B)は、ナトリウムおよびカリウムの合計の含有量が500〜8000ppmのブロック共重合体(B−1)と、ナトリウムおよびカリウムの合計の含有量が0〜100ppmのブロック共重合体(B−2)とを、ブロック共重合体(B−1)のブロック共重合体(B−2)に対する質量比にして1/99〜90/10の範囲で含み、該ブロック共重合体(B−1)の配合量が上記成分(A)と上記成分(B)と上記成分(C)と上記成分(D)との合計量の1〜15質量%である請求項3に記載の制電性樹脂組成物。
- 上記ブロック共重合体(B−1)に含まれるナトリウムおよび/またはカリウムが、スルホン酸塩の形態である請求項2または4に記載の制電性樹脂組成物。
- 更に、上記制電性樹脂組成物100質量部に対して、リチウム塩(E)を0.01〜5質量部含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の制電性樹脂組成物。
- 上記リチウム塩(E)が、過塩素酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウムおよびトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンリチウムからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1乃至6の何れか1項に記載の制電性樹脂組成物。
- 請求項1乃至7の何れか1項に記載の制電性樹脂組成物からなる成形品。
- 請求項1乃至7の何れか1項に記載の制電性樹脂組成物からなるシートまたはフィルム。
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