JP2008064078A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の排気合流部に設置した空燃比センサの出力に基づいて各気筒の空燃比を制御するシステムにおいて、空燃比がリーン方向に大きくばらついた異常気筒の発生によって触媒が過熱状態になることを未然に防止できるようにする。
【解決手段】空燃比センサ37の出力に基づいて推定した各気筒の空燃比に基づいて空燃比ばらつきが大きい異常気筒の有無を判定し、異常気筒有りと判定された場合には、更に、触媒38が過熱状態になる可能性の有無を、異常気筒の空燃比がリーンで且つ触媒38が過熱状態になる可能性の高い運転領域(例えば高負荷運転領域)であるか否かによって判定する。その結果、触媒38が過熱状態になる可能性有りと判定された場合には、異常気筒以外の正常気筒の空燃比をリッチ方向に制御して、触媒38に流入する排出ガスの空燃比をストイキ近傍又はリッチ(つまり触媒温度を低下させる方向)に制御する。
【選択図】図1
【解決手段】空燃比センサ37の出力に基づいて推定した各気筒の空燃比に基づいて空燃比ばらつきが大きい異常気筒の有無を判定し、異常気筒有りと判定された場合には、更に、触媒38が過熱状態になる可能性の有無を、異常気筒の空燃比がリーンで且つ触媒38が過熱状態になる可能性の高い運転領域(例えば高負荷運転領域)であるか否かによって判定する。その結果、触媒38が過熱状態になる可能性有りと判定された場合には、異常気筒以外の正常気筒の空燃比をリッチ方向に制御して、触媒38に流入する排出ガスの空燃比をストイキ近傍又はリッチ(つまり触媒温度を低下させる方向)に制御する。
【選択図】図1
Description
本発明は、空燃比センサの出力に基づいて各気筒の空燃比(気筒別空燃比)を推定又は計測する機能を備えた内燃機関の制御装置に関する発明である。
近年、特許文献1(特開2005−207405号公報)に記載されているように、複数の気筒の排出ガスが合流する排気合流部に設置した1つの空燃比センサの出力に基づいて複数の気筒の空燃比を気筒毎に推定すると共に、気筒毎に空燃比の気筒間ばらつきを補正するための各気筒の空燃比補正量(気筒別空燃比補正量)を算出して、この気筒別空燃比補正量に基づいて複数の気筒の空燃比(燃料噴射量)を気筒毎に制御する気筒別空燃比制御を実施するようにしたものがある。
また、内燃機関の排出ガスを浄化する触媒の過熱による損傷を防止するために、特許文献2(特開昭56−20727号公報)に記載されているように、触媒が過熱状態であると判定されたときに、触媒温度を低下させる方向に空燃比を制御するようにしたものがある。
特開2005−207405号公報
特開昭56−20727号公報
ところで、上述した気筒別空燃比制御システムでは、いずれかの気筒で燃料噴射弁の故障等によって空燃比制御が困難になると、その空燃比制御が困難な異常気筒の空燃比がリーン方向に大きくばらついてしまうことがあり、その結果、触媒に流入する排出ガスの空燃比(つまり異常気筒の排出ガスと正常気筒の排出ガスが混合した排出ガス)の空燃比がリーン方向にずれることがある。もし、触媒に流入する排出ガスの空燃比がリーン方向にずれると、触媒に流入するリーン成分量(酸素量)が増加してHC、CO等のリッチ成分の酸化反応が促進され、その反応熱で触媒が過熱状態になる可能性がある。
このような場合、上記特許文献2の技術を利用して、触媒が過熱状態であると判定されたときに、各気筒の空燃比を触媒温度を低下させる方向に制御するようにすると、空燃比制御が困難な異常気筒では、空燃比を触媒温度を低下させる方向に精度良く制御することができないため、その影響で触媒に流入する排出ガス(つまり異常気筒の排出ガスと正常気筒の排出ガスが混合した排出ガス)の空燃比を触媒温度を低下させる方向に精度良く制御することが困難であり、しかも、触媒が過熱状態であると判定されてから各気筒の空燃比を触媒温度を低下させる方向に制御するため、触媒の過熱を未然に防止することができないという問題がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、触媒の過熱を未然に防止することができて、触媒の過熱を未然に防止することができる内燃機関の制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関の排出ガスの空燃比を検出する空燃比センサの出力に基づいて各気筒の空燃比(以下「気筒別空燃比」という)を推定又は計測する気筒別空燃比検出手段と、前記空燃比センサの下流側に設置した排出ガス浄化用の触媒とを備えた内燃機関の制御装置において、気筒別空燃比に基づいて空燃比の異常な気筒(以下「異常気筒」という)の有無を異常気筒判定手段により判定し、異常気筒有りと判定されたときに触媒が過熱状態になる可能性の有無を触媒過熱判定手段により判定し、触媒が過熱状態になる可能性有りと判定されたときに触媒に流入する排出ガスの空燃比がストイキ近傍又はリッチになるように異常気筒以外の正常気筒の空燃比を触媒過熱防止制御手段により制御するようにしたものである。
この構成では、異常気筒有りと判定され且つ触媒が過熱状態になる可能性有りと判定されたときに、異常気筒(空燃比制御が困難な気筒)の空燃比を固定した状態で正常気筒(空燃比を正常に制御できる気筒)の空燃比をリッチ方向に制御して触媒に流入する排出ガスの空燃比をストイキ近傍又はリッチ(つまり触媒温度を低下させる方向)に制御することができるため、触媒に流入する排出ガスの空燃比を触媒温度を低下させる方向に速やかに且つ精度良く制御することが可能となり、触媒の過熱を未然に防止することができて、触媒の過熱防止効果を高めることができる。
この場合、請求項2のように、異常気筒の空燃比がリーンのときに触媒が過熱状態になる可能性有りと判定するようにすると良い。つまり、異常気筒の空燃比がリーン方向に大きくばらつくと、触媒に流入する排出ガスの空燃比がリーン方向にずれて、触媒に流入する酸素量が増加して酸化反応が促進され、その反応熱で触媒が過熱状態になる可能性があるため、異常気筒の空燃比がリーンのときには触媒が過熱状態になる可能性有りと判定することができる。
このようにすれば、異常気筒有りと判定された場合でも、その異常気筒の空燃比がリッチのときには触媒が過熱状態になる可能性無しと判定して、正常気筒の空燃比をリッチ方向(燃料増量方向)に制御しないようにすることができ、燃料消費量の増加を回避することができる。
また、請求項3のように、内燃機関の低負荷運転領域及び/又はアイドル運転領域では触媒が過熱状態になる可能性無しと判定するようにしても良い。つまり、内燃機関の吸入空気量が少ない低負荷運転領域やアイドル運転領域では、触媒に流入する排出ガスの空燃比がリーンでも、触媒に流入する排出ガス量(酸素量)が少なく、触媒が過熱状態になるほどの反応熱が発生しないため、内燃機関の低負荷運転領域やアイドル運転領域では触媒が過熱状態になる可能性無しと判定することができる。
このようにすれば、異常気筒有りと判定され且つその異常気筒の空燃比がリーンのときでも、内燃機関の低負荷運転領域やアイドル運転領域では触媒が過熱状態になる可能性無しと判定して、正常気筒の空燃比をリッチ方向(燃料増量方向)に制御しないようにすることができ、燃料消費量の増加を回避することができる。
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。
内燃機関である例えば直列4気筒のエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ等によって開度調節されるスロットルバルブ15とスロットル開度を検出するスロットル開度センサ16とが設けられている。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。
内燃機関である例えば直列4気筒のエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ等によって開度調節されるスロットルバルブ15とスロットル開度を検出するスロットル開度センサ16とが設けられている。
更に、スロットルバルブ15の下流側には、サージタンク17が設けられ、このサージタンク17には、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ18が設けられている。また、サージタンク17には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド19が設けられ、各気筒の吸気マニホールド19の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁20が取り付けられている。エンジン運転中は、燃料タンク21内の燃料が燃料ポンプ22によりデリバリパイプ23に送られ、各気筒の噴射タイミング毎に各気筒の燃料噴射弁20から燃料が噴射される。デリバリパイプ23には、燃料圧力(燃圧)を検出する燃圧センサ24が取り付けられている。
また、エンジン11には、吸気バルブ25と排気バルブ26の開閉タイミングをそれぞれ可変する可変バルブタイミング機構27,28が設けられている。更に、エンジン11には、吸気カム軸29と排気カム軸30の回転に同期してカム角信号を出力する吸気カム角センサ31と排気カム角センサ32が設けられ、エンジン11のクランク軸の回転に同期して所定クランク角毎(例えば30℃A毎)にクランク角信号のパルスを出力するクランク角センサ33が設けられている。
一方、エンジン11の各気筒の排気マニホールド35が合流する排気合流部36には、排出ガスの空燃比を検出する空燃比センサ37が設置され、この空燃比センサ37の下流側に排出ガス中のCO,HC,NOx等を浄化する三元触媒等の触媒38が設けられている。
上記空燃比センサ37等の各種センサの出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)40に入力される。このECU40は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて各気筒の燃料噴射弁20の燃料噴射量や点火時期を制御する。
本実施例では、ECU40は、図2のルーチンを実行することで、エンジン運転中に後述する気筒別空燃比推定モデルを用いて空燃比センサ37の検出値(排気合流部36を流れる排出ガスの実空燃比)に基づいて各気筒の空燃比(気筒別空燃比)を推定し、全気筒の推定空燃比の平均値を算出して、その平均値を基準空燃比(全気筒の目標空燃比)に設定すると共に、各気筒の推定空燃比(気筒別推定空燃比)と基準空燃比との偏差を各気筒毎に算出して、その偏差が小さくなるように各気筒の燃料噴射量に対する燃料補正係数(気筒別空燃比補正量)を算出すると共に、この気筒別空燃比補正量をなまし処理等により学習して、気筒別空燃比補正量とその学習値に基づいて各気筒の燃料噴射量を補正することで、各気筒に供給する混合気の空燃比を各気筒毎に補正して気筒間の空燃比ばらつきを少なくするように制御する(以下、この制御を気筒別空燃比制御という)。この際、気筒別空燃比補正量をなまし処理等により学習して、その学習値をECU40のバックアップRAM等の書き換え可能な不揮発性メモリ(図示せず)に気筒毎に更新記憶する。尚、気筒別空燃比の推定が困難(気筒別空燃比補正量の算出が困難)となる運転条件では、気筒別空燃比補正量の学習値を用いて気筒別空燃比制御を実施するようにしても良い。
ここで、空燃比センサ37の検出値(排気合流部36を流れる排出ガスの実空燃比)に基づいて各気筒の空燃比を推定するモデル(以下「気筒別空燃比推定モデル」という)の具体例を説明する。
排気合流部36におけるガス交換に着目して、空燃比センサ37の検出値を、排気合流部36における各気筒の推定空燃比の履歴と空燃比センサ37の検出値の履歴とにそれぞれ所定の重みを乗じて加算したものとしてモデル化し、該モデルを用いて各気筒の空燃比を推定するようにしている。この際、オブザーバとしてはカルマンフィルタを用いる。
より具体的には、排気合流部36におけるガス交換のモデルを次の(1)式にて近似する。
ys(t)=k1 ×u(t-1) +k2 ×u(t-2) −k3 ×ys(t-1)−k4 ×ys(t-2)
……(1)
ここで、ys は空燃比センサ37の検出値、uは排気合流部36に流入するガスの空燃比、k1 〜k4 は定数である。
ys(t)=k1 ×u(t-1) +k2 ×u(t-2) −k3 ×ys(t-1)−k4 ×ys(t-2)
……(1)
ここで、ys は空燃比センサ37の検出値、uは排気合流部36に流入するガスの空燃比、k1 〜k4 は定数である。
排気系では、排気合流部36におけるガス流入及び混合の一次遅れ要素と、空燃比センサ37の応答遅れによる一次遅れ要素とが存在する。そこで、上記(1)式では、これらの一次遅れ要素を考慮して過去2回分の履歴を参照することとしている。
上記(1)式を状態空間モデルに変換すると、次の(2a)、(2b)式が導き出される。
X(t+1) =A・X(t) +B・u(t) +W(t) ……(2a)
Y(t) =C・X(t) +D・u(t) ……(2b)
ここで、A,B,C,Dはモデルのパラメータ、Yは空燃比センサ37の検出値、Xは状態変数としての各気筒の推定空燃比、Wはノイズである。
X(t+1) =A・X(t) +B・u(t) +W(t) ……(2a)
Y(t) =C・X(t) +D・u(t) ……(2b)
ここで、A,B,C,Dはモデルのパラメータ、Yは空燃比センサ37の検出値、Xは状態変数としての各気筒の推定空燃比、Wはノイズである。
更に、上記(2a)、(2b)式によりカルマンフィルタを設計すると、次の(3)式が得られる。
X^(k+1|k)=A・X^(k|k-1)+K{Y(k) −C・A・X^(k|k-1)} ……(3) ここで、X^(エックスハット)は各気筒の推定空燃比、Kはカルマンゲインである。X^(k+1|k)の意味は、時間(k) の推定値により次の時間(k+1) の推定値を求めることを表す。
X^(k+1|k)=A・X^(k|k-1)+K{Y(k) −C・A・X^(k|k-1)} ……(3) ここで、X^(エックスハット)は各気筒の推定空燃比、Kはカルマンゲインである。X^(k+1|k)の意味は、時間(k) の推定値により次の時間(k+1) の推定値を求めることを表す。
以上のようにして、気筒別空燃比推定モデルをカルマンフィルタ型オブザーバにて構成することにより、燃焼サイクルの進行に伴って各気筒の空燃比を順次推定することができる。
ところで、上述した気筒別空燃比制御システムでは、いずれかの気筒で燃料噴射弁20の故障等によって空燃比制御が困難になると、その空燃比制御が困難な異常気筒の空燃比がリーン方向に大きくばらついてしまうことがあり、その結果、触媒38に流入する排出ガスの空燃比(つまり異常気筒の排出ガスと正常気筒の排出ガスが混合した排出ガス)の空燃比がリーン方向にずれることがある。もし、触媒38に流入する排出ガスの空燃比がリーン方向にずれると、触媒38に流入する酸素量が増加してHCやCOの酸化反応が促進され、その反応熱で触媒38が過熱状態になる可能性がある。
そこで、本実施例では、ECU40は、気筒別空燃比に基づいて空燃比ばらつきが異常に大きい異常気筒の有無を判定し、異常気筒有りと判定されたときに触媒38が過熱状態になる可能性の有無を判定する。そして、触媒38が過熱状態になる可能性有りと判定されたときに触媒38に流入する排出ガスの空燃比がストイキ近傍又はリッチになるように異常気筒以外の正常気筒の空燃比をリッチ方向に制御することで、触媒38の過熱を防止するようにしている。
以上説明した気筒別空燃比制御と触媒過熱防止制御は、ECU40によって図2の気筒別空燃比制御及び触媒過熱防止制御ルーチンに従って実行される。以下、図2のルーチンの処理内容を説明する。
[気筒別空燃比制御及び触媒過熱防止制御ルーチン]
図2の気筒別空燃比制御及び触媒過熱防止制御ルーチンは、クランク角センサ33の出力パルスに同期して所定クランク角毎(例えば30℃A毎)に起動される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、空燃比センサ37の出力(空燃比検出値)を読み込む。この後、ステップ102に進み、前記気筒別空燃比推定モデルを用いて今回の空燃比推定対象となる気筒の空燃比を空燃比センサ37の検出値に基づいて推定する。このステップ102の処理が特許請求の範囲でいう気筒別空燃比検出手段としての役割を果たす。
図2の気筒別空燃比制御及び触媒過熱防止制御ルーチンは、クランク角センサ33の出力パルスに同期して所定クランク角毎(例えば30℃A毎)に起動される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、空燃比センサ37の出力(空燃比検出値)を読み込む。この後、ステップ102に進み、前記気筒別空燃比推定モデルを用いて今回の空燃比推定対象となる気筒の空燃比を空燃比センサ37の検出値に基づいて推定する。このステップ102の処理が特許請求の範囲でいう気筒別空燃比検出手段としての役割を果たす。
この後、ステップ103に進み、全気筒の推定空燃比の平均値を算出して、その平均値を基準空燃比(全気筒の目標空燃比)に設定する。この後、ステップ104に進み、各気筒の推定空燃比と基準空燃比との偏差を算出して、その偏差が小さくなるように気筒別空燃比補正量(各気筒の燃料補正量)を算出する。
この後、ステップ105に進み、各気筒の推定空燃比と基準空燃比との偏差の絶対値がが異常判定値よりも大きいか否かを判定し、推定空燃比と基準空燃比との偏差の絶対値が異常判定値よりも大きい気筒を異常気筒として検出する。この後、ステップ106に進み、上記ステップ105の検出結果に基づいて異常気筒が有るか否かを判定する。これらのステップ105、106の処理が特許請求の範囲でいう異常気筒判定手段としての役割を果たす。
このステップ106で、異常気筒無しと判定された場合には、ステップ110に進み、各気筒の気筒別空燃比補正量に基づいて各気筒の燃料噴射量を補正することで、各気筒に供給する混合気の空燃比を各気筒毎に補正して気筒間の空燃比ばらつきを少なくするように制御する気筒別空燃比制御を実行する。
これに対して、上記ステップ106で、異常気筒有りと判定された場合には、次のステップ107、108で、触媒38が過熱状態になる可能性の有無を次のようにして判定する。これらのステップ107、108の処理が特許請求の範囲でいう触媒過熱判定手段としての役割を果たす。
まず、ステップ107で、異常気筒の空燃比がリーンであるか否かを異常気筒の推定空燃比が所定値よりもリーンであるか否かによって判定し、異常気筒の空燃比がリーンであると判定された場合には、ステップ108に進み、触媒38が過熱状態になる可能性の高い運転領域(例えば高負荷運転領域)であるか否かを判定する。
上記ステップ107で異常気筒の空燃比がリーンであると判定され、且つ、上記ステップ108で触媒38が過熱状態になる可能性の高い運転領域(例えば高負荷運転領域)であると判定された場合には、触媒38が過熱状態になる可能性有りと判定する。
つまり、異常気筒の空燃比がリーン方向に大きくばらつくと、触媒38に流入する排出ガスの空燃比がリーン方向にずれ、更に、エンジン11の吸入空気量が多い高負荷運転領域では触媒38に流入する排出ガス量が増加するため、触媒38に流入する酸素量が増加して酸化反応が促進され、その反応熱で触媒38が過熱状態になる可能性が高くなる。従って、異常気筒の空燃比がリーンで高負荷運転領域のときには触媒38が過熱状態になる可能性有りと判定することができる。
上記ステップ107、108で、触媒38が過熱状態になる可能性有りと判定された場合には、ステップ109に進み、全気筒の平均空燃比がストイキ近傍又はリッチになるように異常気筒以外の各正常気筒の燃料噴射量をそれぞれ増量補正して空燃比をリッチ方向に制御して、触媒38に流入する排出ガス(つまり異常気筒の排出ガスと正常気筒の排出ガスが混合した排出ガス)の空燃比をストイキ近傍又はリッチ(つまり触媒温度を低下させる方向)に制御する。このステップ109の処理が特許請求の範囲でいう触媒過熱防止制御手段としての役割を果たす。
この場合、複数の正常気筒のうちの一部の正常気筒の燃料増量補正量だけを多くすると、トルク変動や失火が発生する可能性があるため、各正常気筒の燃料増量補正量をほぼ均等にして1気筒当たりの燃料増量補正量を少なくすることでトルク変動や失火を防止する。しかしながら、各正常気筒の燃料増量補正量を必ずしも均等にする必要はなく、各正常気筒で燃料増量補正量を異なる値に設定しても良い。
一方、上記ステップ107で異常気筒の空燃比がリッチであると判定された場合、又は、上記ステップ108で触媒38が過熱状態になる可能性の低い運転領域(例えば低負荷運転領域やアイドル運転領域)であると判定された場合には、触媒38が過熱状態になる可能性無しと判定する。
つまり、異常気筒の空燃比がリッチ方向に大きくばらつくと、触媒38に流入する排出ガスの空燃比がリッチ方向にずれるため、触媒38に流入する酸素量が少なく、触媒38が過熱状態になるほどの反応熱が発生しないため、異常気筒の空燃比がリッチのときには触媒38が過熱状態になる可能性無しと判定することができる。
また、エンジン11の吸入空気量が少ない低負荷運転領域やアイドル運転領域では、触媒38に流入する排出ガスの空燃比がリーンでも、触媒38に流入する排出ガス量(酸素量)が少なく、触媒38が過熱状態になるほどの反応熱が発生しないため、触媒38が過熱状態になる可能性無しと判定することができる。
上記ステップ107、108で、触媒38が過熱状態になる可能性無しと判定された場合には、ステップ110に進み、通常の気筒別空燃比制御を実行する。
以上説明した本実施例の制御例を図3のタイムチャートを用いて説明する。
#1気筒〜#4気筒のうちの#1気筒の燃料噴射弁20の故障等によって#1気筒の空燃比がリーン方向に大きくばらつくと、#1気筒の推定空燃比と基準空燃比との偏差の絶対値が異常判定値よりも大きくなった時点t1 で、異常気筒有りと判定され、更に、その異常気筒(#1気筒)の空燃比がリーンであると判定され、且つ、触媒38が過熱状態になる可能性の高い運転領域(例えば高負荷運転領域)であると判定された時点t2 で、触媒38が過熱状態になる可能性有りと判断して、全気筒(#1気筒〜#4気筒)の平均空燃比がストイキ近傍又はリッチになるように正常気筒(#2気筒〜#4気筒)の燃料噴射量をそれぞれ増量補正して空燃比をリッチ方向に制御し、触媒38に流入する排出ガスの空燃比をストイキ近傍又はリッチ(つまり触媒温度を低下させる方向)に制御する。
#1気筒〜#4気筒のうちの#1気筒の燃料噴射弁20の故障等によって#1気筒の空燃比がリーン方向に大きくばらつくと、#1気筒の推定空燃比と基準空燃比との偏差の絶対値が異常判定値よりも大きくなった時点t1 で、異常気筒有りと判定され、更に、その異常気筒(#1気筒)の空燃比がリーンであると判定され、且つ、触媒38が過熱状態になる可能性の高い運転領域(例えば高負荷運転領域)であると判定された時点t2 で、触媒38が過熱状態になる可能性有りと判断して、全気筒(#1気筒〜#4気筒)の平均空燃比がストイキ近傍又はリッチになるように正常気筒(#2気筒〜#4気筒)の燃料噴射量をそれぞれ増量補正して空燃比をリッチ方向に制御し、触媒38に流入する排出ガスの空燃比をストイキ近傍又はリッチ(つまり触媒温度を低下させる方向)に制御する。
その後、触媒38が過熱状態になる可能性の低い運転領域(例えば低負荷運転領域やアイドル運転領域)であると判定された時点t3 で、触媒38が過熱状態になる可能性無しと判断して、通常の気筒別空燃比制御を実行する。
以上説明した本実施例では、異常気筒有りと判定され且つ触媒38が過熱状態になる可能性有りと判定されたときに、異常気筒(空燃比制御が困難な気筒)の空燃比を固定した状態で正常気筒(空燃比を正常に制御できる気筒)の空燃比をリッチ方向に制御して触媒38に流入する排出ガスの空燃比をストイキ近傍又はリッチ(つまり触媒温度を低下させる方向)に制御するようにしたので、触媒38に流入する排出ガスの空燃比を触媒温度を低下させる方向に速やかに且つ精度良く制御することが可能となり、触媒38の過熱を未然に防止することができて、触媒38の過熱防止効果を高めることができる。
また、本実施例では、異常気筒有りと判定された場合でも、その異常気筒の空燃比がリッチのときには触媒38が過熱状態になる可能性無しと判定して、正常気筒の空燃比をリッチ方向(燃料増量方向)に制御しないようにする。更に、異常気筒有りと判定され且つその異常気筒の空燃比がリーンのときでも、低負荷運転領域やアイドル運転領域では触媒38が過熱状態になる可能性無しと判定して、正常気筒の空燃比をリッチ方向(燃料増量方向)に制御しないようにする。これにより、燃料噴射量を無駄に増量補正することを防止して、燃費悪化を抑えることができる。
尚、上記実施例では、異常気筒の空燃比がリーンで、且つ、触媒38が過熱状態になる可能性の高い運転領域(例えば高負荷運転領域)のときに、触媒38が過熱状態になる可能性有りと判定するようにしたが、運転領域に関係なく異常気筒の空燃比がリーンのときに、触媒38が過熱状態になる可能性有りと判定するようにしても良い。
また、上記実施例では、排気合流部に設置した1つの空燃比センサの出力に基づいて各気筒の空燃比を推定するシステムに本発明を適用したが、各気筒の排気マニホールドにそれぞれ空燃比センサを設置し、各気筒の空燃比センサの出力に基づいて各気筒の空燃比を計測するシステムに本発明を適用しても良い。
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、16…スロットルバルブ、20…燃料噴射弁、35…排気マニホールド、36…排気合流部、37…空燃比センサ、38…触媒、40…ECU(気筒別空燃比検出手段,異常気筒判定手段,触媒過熱判定手段,触媒過熱防止制御手段)
Claims (3)
- 内燃機関の排出ガスの空燃比を検出する空燃比センサの出力に基づいて各気筒の空燃比(以下「気筒別空燃比」という)を推定又は計測する気筒別空燃比検出手段と、前記空燃比センサの下流側に設置した排出ガス浄化用の触媒とを備えた内燃機関の制御装置において、
前記気筒別空燃比に基づいて空燃比の異常な気筒(以下「異常気筒」という)の有無を判定する異常気筒判定手段と、
前記異常気筒判定手段で前記異常気筒有りと判定されたときに前記触媒が過熱状態になる可能性の有無を判定する触媒過熱判定手段と、
前記触媒過熱判定手段で前記触媒が過熱状態になる可能性有りと判定されたときに前記触媒に流入する排出ガスの空燃比がストイキ近傍又はリッチになるように前記異常気筒以外の正常気筒の空燃比を制御する触媒過熱防止制御手段と
を備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記触媒過熱判定手段は、前記異常気筒の空燃比がリーンのときに前記触媒が過熱状態になる可能性有りと判定することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の制御装置。
- 前記触媒過熱判定手段は、内燃機関の低負荷運転領域及び/又はアイドル運転領域では前記触媒が過熱状態になる可能性無しと判定することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の制御装置。
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