JP2008014178A - 内燃機関の気筒別空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の気筒別空燃比制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】エンジンの排気集合部に設置した空燃比センサの検出値と状態変数(各気筒の空燃比)とを関連付けたモデルに基づいて各気筒の空燃比を推定するシステムにおいて、運転状態急変時における各気筒の空燃比の推定精度の低下を抑制できるようにする。
【解決手段】エンジン運転状態が急変して気筒別空燃比の推定困難な運転状態になったときに状態変数をリセットすることで、次に各気筒の空燃比を推定する際に、過去の運転状態の影響を受けた状態変数を用いずに、リセットされた状態変数を用いて現在の運転状態における各気筒の空燃比を推定して、運転状態急変時における各気筒の空燃比の推定精度の低下を少なくする。尚、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になった場合は、当該運転状態の期間に常に状態変数をリセットした状態に保持し、過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になった場合は、その瞬間のみ状態変数をリセットする。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の排気集合部に設置した空燃比センサの検出値に基づいて各気筒の空燃比(気筒別空燃比)を推定する機能を備えた内燃機関の気筒別空燃比制御装置に関するものである。
近年、内燃機関の気筒間の空燃比ばらつきを少なくして空燃比制御精度を向上させるために、特許文献1(特許第3299120号公報)や特許文献2(特開2004−316483号公報)に記載されているように、内燃機関の排気集合部に設置した空燃比センサの検出値(排気集合部の空燃比)と気筒別空燃比(各気筒の空燃比)とを関連付けたモデルにおいて、気筒別空燃比を状態変数とするオブザーバを構築し、このオブザーバの観測結果から各気筒の空燃比を推定すると共に、各気筒の推定空燃比と目標空燃比との偏差に応じて各気筒の燃料噴射量を補正して、各気筒の空燃比を目標空燃比に一致させるようにしたものがある。
特許第3299120号公報 特開2004−316483号公報
しかし、上述したように空燃比センサの検出値と状態変数としての気筒別空燃比(各気筒の空燃比)とを関連付けたモデルに基づいて各気筒の空燃比を推定するシステムでは、図2(a)に示すように、内燃機関(エンジン)の運転状態が急変したときに、通常と同じように各気筒の空燃比の推定を行うと、過去の異なる運転状態における状態変数を用いて現在の運転状態における各気筒の空燃比を推定することになるため、各気筒の空燃比の推定精度が著しく低下することがあり、それに伴って各気筒の空燃比の制御精度も低下するという欠点がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、従って本発明の目的は、内燃機関の運転状態の急変時における各気筒の空燃比の推定精度の低下を少なくすることができる内燃機関の気筒別空燃比制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、内燃機関の各気筒の排出ガスが集合して流れる排気集合部に、排出ガスの空燃比を検出する空燃比センサを設置し、この空燃比センサの検出値と状態変数としての各気筒の空燃比とを関連付けたモデルに基づいて各気筒の空燃比を推定する気筒別空燃比推定手段を備えた内燃機関の気筒別空燃比制御装置において、気筒別空燃比推定手段による各気筒の空燃比の正しい推定が困難な運転状態(以下「気筒別空燃比の推定困難な運転状態」という)であるか否かを判定手段により判定し、その結果、気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定されたときに、状態変数を状態変数リセット手段によりリセットするようにしたものである。
この構成では、内燃機関の運転状態が急変して気筒別空燃比の推定困難な運転状態になったときに、状態変数をリセットして初期値に戻すことができるため、次に各気筒の空燃比を推定する際には、過去の異なる運転状態の影響を受けた状態変数を用いずに、リセットされた初期状態の状態変数を用いて現在の運転状態における各気筒の空燃比を推定することができ、内燃機関の運転状態の急変時における各気筒の空燃比の推定精度の低下を少なくすることができる。
ここで、図3に示すように、気筒別空燃比の推定困難な運転状態は、大別して次の2つの場合が考えられる。1つ目は、内燃機関の運転状態が気筒別空燃比の推定可能な運転領域から気筒別空燃比の推定困難な運転領域に変化して、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になる場合である。2つ目は、内燃機関の運転状態が気筒別空燃比の推定可能な運転領域内で急変して過渡的(一時的)に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になる場合である。
このような事情を考慮して、請求項2のように、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定された場合は、当該運転状態の期間に常に状態変数をリセットした状態に維持することが好ましい。つまり、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になっている場合は、運転状態が変化した瞬間だけでなく、その後も気筒別空燃比の推定困難な運転状態が暫く継続するため、その間、状態変数をリセットした状態に維持する。これにより、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になっている場合でも、各気筒の空燃比の推定精度の低下を少なくすることができる。
更に、請求項3のように、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定されて状態変数がリセットされた場合は、気筒別空燃比推定手段による各気筒の空燃比の推定を禁止するようにしても良い。定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になっている場合は、各気筒の空燃比を正しく推定できない状態が比較的長く継続するため、各気筒の空燃比の推定を禁止することで、各気筒の空燃比の誤った推定を防止できると共に、制御装置の演算負荷を軽減することができる。
一方、請求項4のように、過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定された場合は、当該運転状態になる瞬間のみ状態変数をリセットするようにすると良い。つまり、内燃機関の運転状態が急変して過渡的(一時的)に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になった場合は、各気筒の空燃比を正しく推定できない状態がそれほど長くは続かないため、瞬間的に状態変数をリセットするだけで良く、その瞬間的なリセットで各気筒の空燃比の推定精度の低下を少なくすることができる。
更に、請求項5のように、過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定されて状態変数がリセットされた場合は、各気筒の空燃比の推定を継続するようにしても良い。過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になった場合には、その後すぐに気筒別空燃比の推定可能な運転状態に戻るため、各気筒の空燃比の推定を継続することで、気筒別空燃比の推定可能な運転状態に戻ったときに、状態変数を速やかに更新して各気筒の空燃比を正しく推定することが可能となる。
また、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であるか否かの判定は、請求項6のように、内燃機関の回転速度及び/又は負荷が所定領域になったときに、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定するようにしても良い。例えば、内燃機関の回転速度が高くなる高回転領域では、各気筒の排出ガスの空燃比を空燃比センサで検出する間隔が短くなって空燃比センサの応答遅れの影響が大きくなるため、各気筒の空燃比の正しい推定が困難になる。また、内燃機関の負荷が低くなる低負荷領域では、各気筒の排出ガス量が少なくなるため、各気筒の排気マニホールドの長さ・容積・形状等の違いによる気筒間の排出ガスの流動ばらつきが大きくなり、各気筒の空燃比の正しい推定が困難になる。従って、内燃機関の回転速度や負荷が所定領域になったときには、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定することができる。
また、空燃比制御に関連するセンサやアクチュエータ等(例えば空燃比センサや燃料噴射弁)に異常が発生したときにも、各気筒の空燃比の正しい推定が困難になるため、請求項7のように、空燃比制御に関連するセンサ、アクチュエータ等に異常が発生したときに、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定するようにしても良い。
更に、空燃比センサによる空燃比検出に対する外乱が発生したとき(例えば燃料系でベーパーが発生したとき)にも、各気筒の空燃比の正しい推定が困難になるため、請求項8のように、空燃比センサによる空燃比検出に対する外乱が発生したときに、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定するようにしても良い。
また、内燃機関の運転状態が気筒別空燃比の推定可能な運転領域内であっても、変速機のシフトレンジやギヤ位置が変更されたときは、一時的に内燃機関の運転状態が急変して、一時的に各気筒の空燃比の正しい推定が困難になるため、請求項9のように、変速機のシフトレンジ及び/又はギヤ位置が変更されたときに、過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定するようにしても良い。
更に、内燃機関の吸気系の制御が切り換えられたときにも、一時的に内燃機関の運転状態が急変して、一時的に各気筒の空燃比の正しい推定が困難になるため、請求項10のように、内燃機関の吸気系の制御が切り換えられたときに、過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定するようにしても良い。
また、請求項11のように、各気筒の推定空燃比に基づいて各気筒の空燃比を目標空燃比に一致させるように制御する気筒別空燃比制御を実行するシステムの場合、状態変数がリセットされたときに、その状態変数のリセット直前に求めた空燃比補正量を用いて各気筒の空燃比を補正するようにしても良い。このようにすれば、状態変数がリセットされているときでも、その状態変数のリセット直前に求めた空燃比補正量を用いて各気筒の空燃比ばらつきを補正することができ、排気エミッションを向上させることができる。
この場合、請求項12のように、状態変数のリセットが解除されてから所定期間が経過した後に通常の気筒別空燃比制御に復帰するようにすると良い。このようにすれば、状態変数のリセットが解除されてから各気筒の空燃比を精度良く推定できるようになるのに十分な所定期間が経過した後に、通常の気筒別空燃比制御に復帰することができ、気筒別空燃比制御の精度(各気筒の空燃比ばらつきの補正精度)を向上させることができる。
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
まず、図1に基づいてエンジン制御システム全体の概略構成を説明する。内燃機関であるエンジン11の吸気管12の最上流部には、エアクリーナ13が設けられ、このエアクリーナ13の下流側に、吸入空気量を検出するエアフローメータ14が設けられている。このエアフローメータ14の下流側には、モータ等によって開度調節されるスロットルバルブ15とスロットル開度を検出するスロットル開度センサ16とが設けられている。
更に、スロットルバルブ15の下流側には、サージタンク17が設けられ、このサージタンク17には、吸気管圧力を検出する吸気管圧力センサ18が設けられている。また、サージタンク17には、エンジン11の各気筒に空気を導入する吸気マニホールド19が設けられ、各気筒の吸気マニホールド19の吸気ポート近傍に、それぞれ燃料を噴射する燃料噴射弁20が取り付けられている。エンジン運転中は、燃料タンク21内の燃料が燃料ポンプ22によりデリバリパイプ23に送られ、各気筒の噴射タイミング毎に各気筒の燃料噴射弁20から燃料が噴射される。デリバリパイプ23には、燃料圧力(燃圧)を検出する燃圧センサ24が取り付けられている。
また、エンジン11には、吸気バルブ25と排気バルブ26の開閉タイミングをそれぞれ可変する可変バルブタイミング機構27,28が設けられている。更に、エンジン11には、吸気カム軸29と排気カム軸30の回転に同期してカム角信号を出力する吸気カム角センサ31と排気カム角センサ32が設けられ、エンジン11のクランク軸の回転に同期して所定クランク角毎(例えば30℃A毎)にクランク角信号のパルスを出力するクランク角センサ33が設けられている。
一方、エンジン11の各気筒の排気マニホールド35が集合する排気集合部36には、排出ガスの空燃比を検出する空燃比センサ37が設置され、この空燃比センサ37の下流側に排出ガス中のCO,HC,NOx等を浄化する三元触媒等の触媒38が設けられている。
上記空燃比センサ37等の各種センサの出力は、エンジン制御回路(以下「ECU」と表記する)40に入力される。このECU40は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御プログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて各気筒の燃料噴射弁20の燃料噴射量や点火時期を制御する。
本実施例では、ECU40は、後述する図4乃至図8に示す気筒別空燃比制御用の各ルーチンを実行することで、後述する気筒別空燃比推定モデルを用いて空燃比センサ37の検出値(排気集合部36を流れる排出ガスの実空燃比)に基づいて各気筒の空燃比を推定し、全気筒の推定空燃比の平均値を算出して、その平均値を基準空燃比(全気筒の目標空燃比)に設定すると共に、各気筒の推定空燃比と基準空燃比との偏差を各気筒毎に算出して、その偏差が小さくなるように各気筒の空燃比補正量(各気筒の燃料噴射量の補正量)を算出し、その算出結果に基づいて各気筒の燃料噴射量を補正することで、各気筒に供給する混合気の空燃比を各気筒毎に補正して気筒間の空燃比ばらつきを少なくするように制御する(以下、この制御を「気筒別空燃比制御」という)。
ここで、空燃比センサ37の検出値(排気集合部36を流れる排出ガスの実空燃比)に基づいて各気筒の空燃比を推定するモデル(以下「気筒別空燃比推定モデル」という)の具体例を説明する。
排気集合部36におけるガス交換に着目して、空燃比センサ37の検出値を、排気集合部36における各気筒の推定空燃比の履歴と空燃比センサ37の検出値の履歴とにそれぞれ所定の重みを乗じて加算したものとしてモデル化し、このモデルを用いて各気筒の空燃比を推定するようにしている。この際、オブザーバとしてはカルマンフィルタを用いる。
より具体的には、排気集合部36におけるガス交換のモデルを次の(1)式にて近似する。
ys(t)=k1 ×u(t-1) +k2 ×u(t-2) −k3 ×ys(t-1)−k4 ×ys(t-2)
……(1)
ここで、ys は空燃比センサ37の検出値、uは排気集合部36に流入するガスの空燃比、k1 〜k4 は定数である。
排気系では、排気集合部36におけるガス流入及び混合の一次遅れ要素と、空燃比センサ37の応答遅れによる一次遅れ要素とが存在する。そこで、上記(1)式では、これらの一次遅れ要素を考慮して過去2回分の履歴を参照することとしている。
上記(1)式を状態空間モデルに変換すると、次の(2a)、(2b)式が導き出される。
X(t+1) =A・X(t) +B・u(t) +W(t) ……(2a)
Y(t) =C・X(t) +D・u(t) ……(2b)
ここで、A,B,C,Dはモデルのパラメータ、Yは空燃比センサ37の検出値、Xは状態変数としての各気筒の推定空燃比、Wはノイズである。
更に、上記(2a)、(2b)式によりカルマンフィルタを設計すると、次の(3)式が得られる。
X^(k+1|k)=A・X^(k|k-1)+K{Y(k) −C・A・X^(k|k-1)} ……(3) ここで、X^(エックスハット)は各気筒の推定空燃比、Kはカルマンゲインである。X^(k+1|k)の意味は、時間(k) の推定値により次の時間(k+1) の推定値を求めることを表す。
以上のようにして、気筒別空燃比推定モデルをカルマンフィルタ型オブザーバにて構成することにより、燃焼サイクルの進行に伴って各気筒の空燃比を順次推定することができる。
次に、各気筒の空燃比検出タイミング(空燃比センサ37の出力のサンプルタイミング)の設定方法について説明する。本実施例では、各気筒から排出される排出ガスが空燃比センサ37付近に到達してその空燃比が検出されるまでの遅れ(以下「排気系の応答遅れ」という)がエンジン運転状態によって変化することを考慮して、エンジン運転状態(例えばエンジン負荷、エンジン回転速度等)に応じてマップ等により各気筒の空燃比検出タイミングを設定する。一般に、エンジン負荷やエンジン回転速度が低下するほど、排気系の応答遅れが大きくなるため、各気筒の空燃比検出タイミングは、エンジン負荷やエンジン回転速度が低下するほど、遅角側にシフトされるように設定されている。
ところで、図2(a)に示すように、エンジン運転状態が急変したときに、通常と同じように各気筒の空燃比の推定を行うと、過去の異なる運転状態における状態変数Xを用いて現在の運転状態における各気筒の空燃比を推定することになるため、各気筒の空燃比の推定精度が著しく低下することがある。
この対策として、本実施例では、各気筒の空燃比の正しい推定が困難な運転状態(以下「気筒別空燃比の推定困難な運転状態」という)であるか否かを判定し、気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定されたときに、状態変数Xを初期値(例えば0)にリセットするようにしている。これにより、図2(b)に示すように、エンジン運転状態が急変して気筒別空燃比の推定困難な運転状態になったときに、状態変数Xをリセットして初期値(例えば0)に戻すことができるため、次に各気筒の空燃比を推定する際には、過去の異なる運転状態の影響を受けた状態変数Xを用いずに、リセットされた状態変数Xを用いて現在の運転状態における各気筒の空燃比を推定することができ、エンジン運転状態の急変時における各気筒の空燃比の推定精度の低下を少なくすることができる。
ここで、図3に示すように、気筒別空燃比の推定困難な運転状態は、大別して次の2つの場合が考えられる。1つ目は、エンジン運転状態(例えば回転速度と負荷)が気筒別空燃比の推定可能な運転領域(各気筒の空燃比の正しい推定が可能な運転領域)から気筒別空燃比の推定困難な運転領域(各気筒の空燃比の正しい推定が困難な運転領域)に変化して、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になる場合である。2つ目は、エンジン運転状態が気筒別空燃比の推定可能な運転領域内で急変して過渡的(一時的)に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になる場合である。
このような事情を考慮して、本実施例では、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になった場合には、運転状態が変化した瞬間だけでなく、その後も気筒別空燃比の推定困難な運転状態が暫く継続するため、その間、状態変数Xをリセットした状態に維持して、各気筒の空燃比の推定を禁止する。
一方、エンジン運転状態が急変して過渡的(一時的)に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になった場合には、その瞬間だけ状態変数Xをリセットし、その状態から各気筒の空燃比を推定する処理を継続する。
また、定常的に又は過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定されて状態変数Xがリセットされたときには、その状態変数Xのリセット直前に求めた各気筒の空燃比補正量(各気筒の燃料噴射量の補正量)を用いて各気筒の空燃比を補正し、状態変数Xのリセットが解除されてから各気筒の空燃比を精度良く推定できるようになるのに十分な所定期間が経過した後に通常の気筒別空燃比制御に復帰する。
以下、ECU40が実行する図4乃至図8の気筒別空燃比制御用の各ルーチンの処理内容を説明する。
[気筒別空燃比制御メインルーチン]
図4の気筒別空燃比制御メインルーチンは、クランク角センサ33の出力パルスに同期して所定クランク角毎(例えば30℃A毎)に起動される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、後述する図5の定常的推定困難運転状態判定ルーチンを実行して、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であるか否かを判定した後、ステップ102に進み、後述する図6の過渡的推定困難運転状態判定ルーチンを実行して、過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であるか否かを判定する。
この後、ステップ103に進み、後述する図7の気筒別空燃比推定ルーチンを実行して、前記気筒別空燃比推定モデルを用いて各気筒の空燃比を空燃比センサ37の検出値に基づいて推定する。その際、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定された場合には、当該運転状態の期間中に常に状態変数Xをリセットした状態に維持すると共に、各気筒の空燃比の推定を禁止する。一方、過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定された場合には、当該運転状態になる瞬間のみ状態変数Xをリセットして、その後も各気筒の空燃比の推定を継続する。
この後、ステップ104に進み、全気筒の推定空燃比の平均値を算出して、その平均値を基準空燃比(全気筒の目標空燃比)に設定する。
この後、ステップ105に進み、後述する図8の気筒別空燃比制御ルーチンを実行して、各気筒の推定空燃比と基準空燃比との偏差を算出して、その偏差が小さくなるように各気筒の空燃比補正量(各気筒の燃料噴射量の補正量)を算出した後、各気筒の空燃比補正量に基づいて各気筒の燃料噴射量を補正することで、各気筒に供給する混合気の空燃比を各気筒毎に補正して気筒間の空燃比ばらつきを少なくするように制御する。
この際、定常的に又は過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定されて状態変数Xがリセットされたときには、状態変数Xのリセット直前に求めた各気筒の空燃比補正量を用いて各気筒の空燃比を補正し、状態変数Xのリセットが解除されてから所定期間が経過した後に通常の気筒別空燃比制御に復帰する。
[定常的推定困難運転状態判定ルーチン]
図5の定常的推定困難運転状態判定ルーチンは、図4の気筒別空燃比制御メインルーチンのステップ101で実行されるサブルーチンであり、特許請求の範囲でいう判定手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201〜203で、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であるか否かを次のようにして判定する。
まず、ステップ201で、エンジン運転状態が気筒別空燃比の推定可能な運転領域であるか否かを、例えば、次の(A1)〜(A5)の条件を全て満たすか否かによって判定する。
(A1)空燃比センサ37のセンサ素子の温度が活性温度範囲内(センサ素子の抵抗値が所定範囲内)であること
(A2)目標空燃比が所定範囲(例えばストイキ及びその付近の範囲)内であること
(A3)空燃比センサ37の検出値が所定範囲(例えばストイキ及びその付近の範囲)内であること
(A4)エンジン回転速度が所定範囲内であること
一般に、エンジン回転速度が高くなる高回転領域では、排出ガスの流速が速くなって、空燃比センサ37の応答遅れの影響が大きくなり、各気筒の空燃比の正しい推定が困難になるため、エンジン回転速度の所定範囲は、例えば、空燃比センサ37の応答遅れの影響が大きくなる高回転領域を除いた低・中回転領域に設定されている。
(A5)エンジン負荷(例えば吸入空気量や吸気管圧力等)が所定範囲内であること
一般に、エンジン負荷が低くなる低負荷領域では、各気筒の排出ガス量が少なくなるため、各気筒の排気マニホールド35の長さ・容積・形状等の違いによる気筒間の排出ガスの流動ばらつきが大きくなり、各気筒の空燃比の正しい推定が困難になるため、エンジン負荷の所定範囲は、例えば、各気筒の空燃比ばらつきの影響が空燃比センサ37の出力に現れ難くなる低負荷領域を除いた中・高負荷領域に設定されている。
これら(A1)〜(A5)の条件を全て満たせば、エンジン運転状態が気筒別空燃比の推定可能な運転領域であると判定するが、上記(A1)〜(A5)の条件のうちのいずれか1つでも満たさない条件があれば、エンジン運転状態が気筒別空燃比の推定可能な運転領域ではない(つまりエンジン運転状態が気筒別空燃比の推定困難な運転領域である)と判定する。このステップ201で、エンジン運転状態が気筒別空燃比の推定困難な運転領域であると判定された場合(つまり「No」と判定された場合)には、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定する。
また、空燃比制御に関連するセンサやアクチュエータ等に異常が発生したときにも、各気筒の空燃比の正しい推定が困難になるため、ステップ202では、空燃比制御に関連するセンサやアクチュエータ等に異常が発生しているか否かを判定することで、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であるか否かを判定する。
この際、空燃比制御に関連するセンサやアクチュエータ等に異常が発生しているか否かは、例えば、車両に搭載された自己診断機能によって検出される次の(B1)〜(B14) の異常のうちの少なくとも1つが発生しているか否かによって判定する。
(B1)空燃比センサ37のヒータ異常
(B2)空燃比センサ37の断線・ショート異常
(B3)空燃比センサ37の応答性異常
(B4)燃料系システムの異常
(B5)燃料噴射弁20の異常
(B6)燃圧異常
(B7)吸気管圧力センサ18の異常
(B8)大気圧センサ(図示せず)の異常
(B9)燃圧センサ24の異常
(B10) 吸気温度センサ(図示せず)の異常
(B11) エアフローメータ14の異常
(B12) 燃料蒸発ガスパージ系の常時オン異常(例えばパージ制御弁の開弁固着異常)
(B13) カム角センサ31,32やクランク角センサ33の異常
(B14) 失火検出(失火異常)
これら(B1)〜(B14) の異常のうちの少なくとも1つが発生していれば、空燃比制御に関連するセンサやアクチュエータ等に異常が発生していると判定するが、上記(B1)〜(B14) のいずれの異常も発生していなければ、空燃比制御に関連するセンサやアクチュエータ等に異常が発生していないと判定する。このステップ202で、空燃比制御に関連するセンサやアクチュエータ等に異常が発生していると判定された場合(つまり「Yes」と判定された場合)には、各気筒の空燃比の正しい推定が困難になるため、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定する。
更に、空燃比センサ37による空燃比検出に対する外乱が発生したときにも、各気筒の空燃比の正しい推定が困難になるため、ステップ203では、空燃比センサ37による空燃比検出に対する外乱が発生しているか否かを判定することで、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であるか否かを判定する。
この際、空燃比センサ37による空燃比検出に対する外乱が発生しているか否かは、例えば、次の(C1)〜(C3)の条件のうちの少なくとも1つを満たすか否かによって判定する。
(C1)燃料系でベーパーが発生しやすい条件(例えば燃料温度が所定値以上)であること (C2)燃料蒸発ガスパージシステムによって燃料蒸発ガスを吸気系にパージするパージ制御中であること
(C3)燃料カット(減筒運転を含む)の実施中であること
これら(C1)〜(C3)の条件のうちの少なくとも1つを満たせば、空燃比センサ37による空燃比検出に対する外乱が発生していると判定するが、上記(C1)〜(C3)の条件を全て満たさなければ、空燃比センサ37による空燃比検出に対する外乱が発生していないと判定する。このステップ203で、空燃比センサ37による空燃比検出に対する外乱が発生していると判定された場合(つまり「Yes」と判定された場合)には、各気筒の空燃比の正しい推定が困難になるため、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定する。
上記ステップ201でエンジン運転状態が気筒別空燃比の推定可能な運転領域である(Yes)と判定され、且つ上記ステップ202で空燃比制御に関連するセンサやアクチュエータ等に異常が発生していない(No)と判定され、且つ上記ステップ203で空燃比センサ37による空燃比検出に対する外乱が発生していない(No)と判定された場合には、気筒別空燃比の推定可能な運転状態であると判断して、ステップ204に進み、状態変数リセットフラグをOFFにリセット(又は維持)すると共に、気筒別空燃比推定実行フラグをONにセット(又は維持)する。
一方、上記ステップ201でエンジン運転状態が気筒別空燃比の推定困難な運転領域である(No)と判定された場合、又は上記ステップ202で空燃比制御に関連するセンサやアクチュエータ等に異常が発生している(Yes)と判定された場合、又は上記ステップ203で空燃比センサ37による空燃比検出に対する外乱が発生している(Yes)と判定された場合には、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判断して、ステップ205に進み、状態変数リセットフラグをONにセット(又は維持)すると共に、気筒別空燃比推定実行フラグをOFFにリセット(又は維持)する。
[過渡的推定困難運転状態判定ルーチン]
図6の過渡的推定困難運転状態判定ルーチンは、図4の気筒別空燃比制御メインルーチンのステップ102で実行されるサブルーチンであり、特許請求の範囲でいう判定手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ301,302で、過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であるか否かを判定する。
ステップ301では、変速機(図示せず)のシフトレンジやギヤ位置が変更されたか否かを判定する。このステップ301で、シフトレンジやギヤ位置が変更されたと判定された場合(「Yes」と判定された場合)には、一時的にエンジン運転状態が急変して、一時的に各気筒の空燃比の正しい推定が困難になるため、過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定する。
一方、ステップ302では、吸気系の制御が切り換えられたか否かを判定する。例えば、可変バルブリフト装置を備えたシステムでは、可変バルブリフト装置によって吸気バルブ25や排気バルブ26のバルブリフト量が切り換えられたか否かによって、吸気系の制御が切り換えられたか否かを判定する。また、可変吸気装置を備えたシステムでは、可変吸気装置によって吸気管路の長さ、数、径等が切り換えられたか否かによって、吸気系の制御が切り換えられたか否かを判定するようにしても良い。更に、気流制御弁を備えたシステムでは、気流制御弁によって気流強度が切り換えられたか否かによって、吸気系の制御が切り換えられたか否かを判定するようにしても良い。
このステップ302で、吸気系の制御が切り換えられたと判定された場合(「Yes」と判定された場合)には、一時的にエンジン運転状態が急変して、一時的に各気筒の空燃比の正しい推定が困難になるため、過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定する。
上記ステップ301でシフトレンジやギヤ位置が変更されていない(No)と判定され、且つ上記ステップ302で吸気系の制御が切り換えられていない(No)と判定された場合には、気筒別空燃比の推定可能な運転状態であると判断して、ステップ303に進み、状態変数リセットフラグをOFFにリセット(又は維持)すると共に、気筒別空燃比推定実行フラグをONにセット(又は維持)する。
一方、上記ステップ301でシフトレンジやギヤ位置が変更された(Yes)と判定された場合、又は上記ステップ302で吸気系の制御が切り換えられた(Yes)と判定された場合には、過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判断して、ステップ304に進み、状態変数リセットフラグをONにセット(又は維持)するが、気筒別空燃比推定実行フラグはOFFせずにONに維持する。
[気筒別空燃比推定ルーチン]
図7の気筒別空燃比推定ルーチンは、図4の気筒別空燃比制御メインルーチンのステップ103で実行されるサブルーチンである。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ401で、空燃比センサ37の出力(空燃比検出値)を読み込んだ後、ステップ402に進み、状態変数リセットフラグがOFFであるか否かを判定する。
このステップ402で、状態変数リセットフラグがOFFであると判定された場合には、ステップ405に進み、前記気筒別空燃比推定モデルを用いて今回の空燃比推定対象となる気筒の空燃比を空燃比センサ37の検出値に基づいて推定する。このステップ405の処理が特許請求の範囲でいう気筒別空燃比推定手段としての役割を果たす。
一方、上記ステップ402で、状態変数リセットフラグがONであると判定された場合(つまり図5のルーチンで定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定された場合、又は図6のルーチンで過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定された場合)には、ステップ403に進み、状態変数Xを初期値(例えば0)にリセットする。このステップ403の処理が特許請求の範囲でいう状態変数リセット手段としての役割を果たす。
この後、ステップ404に進み、気筒別空燃比推定実行フラグがONであるか否かを判定し、気筒別空燃比推定実行フラグがONであると判定された場合(つまり図6のルーチンで過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定された場合)には、ステップ405に進み、前記気筒別空燃比推定モデルを用いて今回の空燃比推定対象となる気筒の空燃比を空燃比センサ37の検出値に基づいて推定する。
一方、上記ステップ404で、気筒別空燃比推定実行フラグがOFFであると判定された場合(つまり図5のルーチンで定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定された場合)には、ステップ405の処理(各気筒の空燃比を推定する処理)を実行することなく、本ルーチンを終了する。
以上の処理により、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定された場合には、当該運転状態において常に状態変数Xをリセットした状態に維持すると共に、各気筒の空燃比の推定を禁止する。つまり、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になった場合には、運転状態が変化した瞬間だけでなく、その後も気筒別空燃比の推定困難な運転状態が暫く継続するため、その間、状態変数Xをリセットした状態に維持して、各気筒の空燃比の推定を禁止する。
一方、過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定された場合には、当該運転状態になる瞬間のみ状態変数Xをリセットして、その後も各気筒の空燃比の推定を継続する。つまり、エンジン運転状態が急変して過渡的(一時的)に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になった場合には、その瞬間だけ状態変数Xをリセットして、各気筒の空燃比の推定を継続する。
[気筒別空燃比制御ルーチン]
図8の気筒別空燃比制御ルーチンは、図4の気筒別空燃比制御メインルーチンのステップ105で実行されるサブルーチンであり、特許請求の範囲でいう気筒別空燃比制御手段としての役割を果たす。
本ルーチンが起動されると、まず、ステップ501で、状態変数リセットフラグがOFFであるか否かを判定する。このステップ501で、状態変数リセットフラグがOFFであると判定された場合には、ステップ502に進み、状態変数リセットフラグが以前にONされたことを意味する以前ONフラグがONであるか否かを判定し、以前ONフラグがOFFであれば、ステップ508に進み、各気筒の推定空燃比と基準空燃比との偏差を算出して、その偏差が小さくなるように各気筒の空燃比補正量(各気筒の燃料噴射量の補正量)を算出する。
その後、状態変数リセットフラグがONにセットされた場合(状態変数Xがリセットされた場合)には、上記ステップ501からステップ503に進み、以前ONフラグをONにセットした後、ステップ504に進み、各気筒の空燃比補正量の前回値(つまり状態変数Xのリセット直前に求めた空燃比補正量)を各気筒の空燃比補正量の今回値とする。
その後、状態変数リセットフラグがONからOFFにリセットされた場合(状態変数Xのリセットが解除された場合)には、上記ステップ501からステップ502に進み、このステップ502で、以前ONフラグがONであると判定されて、ステップ505に進み、状態変数リセットフラグがONからOFFにリセットされた後(状態変数Xのリセットが解除された後)の経過時間Tを計測するカウンタをカウントアップする。
この後、ステップ506に進み、状態変数リセットフラグがONからOFFにリセットされた後の経過時間Tが所定時間(各気筒の空燃比を精度良く推定できるようになるのに十分な時間)を越えたか否かを判定し、所定時間を越えていなければ、ステップ503に進み、以前ONフラグをONにセットした後、ステップ504に進み、各気筒の空燃比補正量の前回値(つまり状態変数Xのリセット直前に求めた空燃比補正量)を各気筒の空燃比補正量の今回値とする。
その後、上記ステップ506で、状態変数リセットフラグがONからOFFにリセットされた後の経過時間Tが所定時間を越えたと判定されたときに、ステップ507に進み、以前ONフラグをOFFにリセットした後、ステップ508に進み、各気筒の推定空燃比と基準空燃比との偏差を算出して、その偏差が小さくなるように各気筒の空燃比補正量を算出する。
ステップ504又はステップ508で各気筒の空燃比補正量を算出した後は、ステップ509に進み、各気筒の空燃比補正量に基づいて各気筒の燃料噴射量を補正することで、各気筒に供給する混合気の空燃比を各気筒毎に補正して気筒間の空燃比ばらつきを少なくするように制御する。
以上の処理により、定常的に又は過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定されて状態変数Xがリセットされた場合には、状態変数Xのリセット直前に求めた各気筒の空燃比補正量を用いて各気筒の空燃比を補正し、状態変数Xのリセットが解除されてから所定時間が経過した後に通常の気筒別空燃比制御に復帰する。
以上説明した本実施例では、エンジン11の排気集合部36に設置した空燃比センサ37の検出値(排気集合部36の空燃比)と状態変数Xとしての気筒別空燃比(各気筒の空燃比)とを関連付けたモデルに基づいて各気筒の空燃比を推定するシステムにおいて、気筒別空燃比の推定困難な運転状態(各気筒の空燃比の正しい推定が困難な運転状態)であると判定されたときに状態変数Xをリセットする。これにより、エンジン運転状態が急変して気筒別空燃比の推定困難な運転状態になったときに、状態変数Xをリセットして初期値(例えば0)に戻すことができるため、次に各気筒の空燃比を推定する際には、過去の異なる運転状態の影響を受けた状態変数Xを用いずに、リセットされた状態変数Xを用いて現在の運転状態における各気筒の空燃比を推定することができ、エンジン運転状態の急変時における各気筒の空燃比の推定精度の低下を少なくすることができる。
また、本実施例では、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になった場合には、運転状態が変化した瞬間だけでなく、その後の気筒別空燃比の推定困難な運転状態が暫く継続する間も、状態変数Xをリセットした状態に維持するようにしたので、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になった場合でも、各気筒の空燃比の推定精度の低下を少なくすることができる。
更に、定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になった場合には、各気筒の空燃比を正しく推定することができない状態が比較的長く継続することを考慮して、各気筒の空燃比を推定する処理を禁止するようにしたので、各気筒の空燃比の誤った推定を防止できると共に、ECU40の演算負荷を軽減することができる。
また、本実施例では、過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態になった場合には、その後すぐに気筒別空燃比の推定可能な運転状態に戻ることを考慮して、状態変数Xを瞬間的にリセットするだけで、リセット状態を維持せずに、各気筒の空燃比の推定を継続するようにしたので、気筒別空燃比の推定可能な運転状態に戻ったときに、状態変数Xを速やかに更新して各気筒の空燃比を正しく推定することができる。
また、本実施例では、定常的に又は過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定されて状態変数Xがリセットされたときに、その状態変数Xのリセット直前に求めた空燃比補正量を用いて各気筒の空燃比を補正するようにしたので、状態変数Xがリセットされているときでも、状態変数Xのリセット直前に求めた空燃比補正量を用いて各気筒の空燃比ばらつきを補正することができ、排気エミッションを向上させることができる。
更に、状態変数Xのリセットが解除されてから所定時間が経過した後に通常の気筒別空燃比制御を実行するようにしたので、状態変数Xのリセットが解除されてから各気筒の空燃比を精度良く推定できるようになるのに十分な時間が経過した後に、通常の気筒別空燃比制御に復帰することができ、気筒別空燃比制御の精度(各気筒の空燃比ばらつきの補正精度)を向上させることができる。
尚、本発明は、状態変数Xのリセットが解除されてからクランク角等で設定した所定期間が経過した後に通常の気筒別空燃比制御を実行するようにしても良い。
また、各気筒の空燃比を推定する方法は、上記実施例で説明した方法に限定されず、空燃比センサ37の検出値と状態変数X(各気筒の空燃比)とを関連付けたモデルに基づいて各気筒の空燃比を推定する方法であれば、適宜変更しても良い。
その他、本発明は、吸気ポート噴射エンジンに限定されず、筒内噴射エンジンにも適用して実施できる等、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。
本発明の一実施例におけるエンジン制御システム全体の概略構成図である。 (a)は従来の気筒別空燃比推定の実行例を示すタイムチャートであり、(b)は本実施例の気筒別空燃比推定の実行例を示すタイムチャートである。 定常的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態と過渡的に気筒別空燃比の推定困難な運転状態を説明するための図である。 気筒別空燃比制御メインルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 定常的推定困難運転状態判定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 過渡的推定困難運転状態判定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 気筒別空燃比推定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。 気筒別空燃比制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
符号の説明
11…エンジン(内燃機関)、12…吸気管、14…エアフローメータ、15…スロットルバルブ、19…吸気マニホールド、20…燃料噴射弁、27,28…可変バルブタイミング機構、35…排気マニホールド、36…排気集合部、37…空燃比センサ、38…触媒、40…ECU(気筒別空燃比推定手段,判定手段,状態変数リセット手段,気筒別空燃比制御手段)

Claims (12)

  1. 内燃機関の各気筒の排出ガスが集合して流れる排気集合部に、排出ガスの空燃比を検出する空燃比センサを設置し、前記空燃比センサの検出値と状態変数としての各気筒の空燃比とを関連付けたモデルに基づいて各気筒の空燃比を推定する気筒別空燃比推定手段を備えた内燃機関の気筒別空燃比制御装置において、
    前記気筒別空燃比推定手段による各気筒の空燃比の正しい推定が困難な運転状態(以下「気筒別空燃比の推定困難な運転状態」という)であるか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段により前記気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定されたときに前記状態変数をリセットする状態変数リセット手段と
    を備えていることを特徴とする内燃機関の気筒別空燃比制御装置。
  2. 前記状態変数リセット手段は、前記判定手段により定常的に前記気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定された場合は、当該運転状態の期間に常に前記状態変数をリセットした状態に維持することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の気筒別空燃比制御装置。
  3. 前記気筒別空燃比推定手段は、前記判定手段により定常的に前記気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定されて前記状態変数リセット手段により前記状態変数がリセットされた場合は、各気筒の空燃比を推定する処理を禁止する手段を備えていることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の気筒別空燃比制御装置。
  4. 前記状態変数リセット手段は、前記判定手段により過渡的に前記気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定された場合は、当該運転状態になる瞬間のみ前記状態変数をリセットすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の気筒別空燃比制御装置。
  5. 前記気筒別空燃比推定手段は、前記判定手段により過渡的に前記気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定されて前記状態変数リセット手段により前記状態変数がリセットされた場合は、各気筒の空燃比を推定する処理を継続することを特徴とする請求項4に記載の内燃機関の気筒別空燃比制御装置。
  6. 前記判定手段は、内燃機関の回転速度及び/又は負荷が所定領域になったときに、定常的に前記気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の内燃機関の気筒別空燃比制御装置。
  7. 前記判定手段は、空燃比制御に関連するセンサ、アクチュエータ等に異常が発生したときに、定常的に前記気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の内燃機関の気筒別空燃比制御装置。
  8. 前記判定手段は、前記空燃比センサによる空燃比検出に対する外乱が発生したときに、定常的に前記気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の内燃機関の気筒別空燃比制御装置。
  9. 前記判定手段は、変速機のシフトレンジ及び/又はギヤ位置が変更されたときに、過渡的に前記気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の内燃機関の気筒別空燃比制御装置。
  10. 前記判定手段は、内燃機関の吸気系の制御が切り換えられたときに、過渡的に前記気筒別空燃比の推定困難な運転状態であると判定することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の内燃機関の気筒別空燃比制御装置。
  11. 前記気筒別空燃比推定手段で推定した各気筒の推定空燃比に基づいて各気筒の空燃比を目標空燃比に一致させるように制御する気筒別空燃比制御を実行する気筒別空燃比制御手段を備え、
    前記気筒別空燃比制御手段は、前記状態変数リセット手段により前記状態変数がリセットされたときに、当該状態変数のリセット直前に求めた空燃比補正量を用いて各気筒の空燃比を補正することを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載の内燃機関の気筒別空燃比制御装置。
  12. 前記気筒別空燃比制御手段は、前記状態変数のリセットが解除されてから所定期間が経過した後に通常の気筒別空燃比制御に復帰することを特徴とする請求項11に記載の内燃機関の気筒別空燃比制御装置。
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