JP2008063786A - 動的薬液注入工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は動的薬液注入工法に係り、砂層等の未固結層の地盤改良に於て、懸濁型の薬液を効果的に浸透注入できる動的薬液注入工法を提供することを目的とする。
【解決手段】 未固結層を削孔注入管で所定深度まで削孔し、当該削孔注入管の先端側周壁に設けた上部注入孔から低強度の早期硬化性材料を噴出して、削孔注入管周囲の孔内及び注入孔の周辺地盤を固化して固結体を造成することにより、次に注入する懸濁型薬液の孔内周囲や地上への流出を防止する第一工程と、前記削孔注入管の先端に設けた注入孔から圧力パルスまたは圧力振動を加えた懸濁型薬液を浸透注入して、前記固結体の下方に改良体を造成する第二工程とを順次繰り返すことにより、未固結層に前記固結体と改良体を下方へ順次造成していくことを特徴とする。
【選択図】 図8
【解決手段】 未固結層を削孔注入管で所定深度まで削孔し、当該削孔注入管の先端側周壁に設けた上部注入孔から低強度の早期硬化性材料を噴出して、削孔注入管周囲の孔内及び注入孔の周辺地盤を固化して固結体を造成することにより、次に注入する懸濁型薬液の孔内周囲や地上への流出を防止する第一工程と、前記削孔注入管の先端に設けた注入孔から圧力パルスまたは圧力振動を加えた懸濁型薬液を浸透注入して、前記固結体の下方に改良体を造成する第二工程とを順次繰り返すことにより、未固結層に前記固結体と改良体を下方へ順次造成していくことを特徴とする。
【選択図】 図8
Description
本発明は、止水対策,強度改良,液状化防止対策等の地盤改良工事に用いる動的薬液注入工法に関する。
特許文献1に開示されるように、軟弱地盤の止水対策,強度改良,液状化防止対策等を目的として、従来、様々な薬液注入工法が使用されている。
周知のようにこの薬液注入工法による地盤改良は、浸透注入と割裂注入の2形態に分類され、また、薬液(注入材)の種類として、粘性が水に近く細かい砂等への浸透性の高い「溶液型」と、強度を重視したセメント等の粒子分を含む「懸濁型」が知られており、一般的に粘性土に対する注入は割裂注入で粘度の高い懸濁型の薬液が適し、砂質土に対する注入は浸透注入で溶液型の薬液が適している。
周知のようにこの薬液注入工法による地盤改良は、浸透注入と割裂注入の2形態に分類され、また、薬液(注入材)の種類として、粘性が水に近く細かい砂等への浸透性の高い「溶液型」と、強度を重視したセメント等の粒子分を含む「懸濁型」が知られており、一般的に粘性土に対する注入は割裂注入で粘度の高い懸濁型の薬液が適し、砂質土に対する注入は浸透注入で溶液型の薬液が適している。
そして、一般に浸透注入の注入形態が、改良体の均一性や注入時に於ける地盤変形量の小ささ、また、広範囲な地盤改良が可能といった点で、割裂注入に比し理想的といわれている。
特許第2878892号公報
ところで、砂層等の未固結層に於て、理想的な浸透注入を図るためには溶液型の薬液を低流速で注入することが重要であるが、砂層中の細粒分の割合が大きくなるに従い浸透性が悪化する。このため、細粒分の割合が大きい場合は割裂注入に頼らざるを得ないが、注入圧の増大によって地盤の変形も発生し始めてしまう。
また、溶液型の薬液に比し懸濁型の薬液は強度的に優れ、而も、廉価であることから、砂層等の未固結層の地盤改良に於て、高強度が要求される場合は懸濁型の薬液を浸透注入するのが望ましい。
また、溶液型の薬液に比し懸濁型の薬液は強度的に優れ、而も、廉価であることから、砂層等の未固結層の地盤改良に於て、高強度が要求される場合は懸濁型の薬液を浸透注入するのが望ましい。
しかし、既述したように砂層中の細粒分の割合が大きくなるに従い浸透性が悪化し、セメント等の粒径のある材料の浸透注入に於ては、礫層や砂層であればよほど緩い状態でなければ浸透注入は望めず、割裂注入に頼らざるを得ないのが実情であるが、割裂注入に比べて浸透注入の注入形態が、改良体の均一性や注入時に於ける地盤の変形量の小ささ等の点で理想的で、而も、溶液型の薬液に比し懸濁型の薬液の方が強度的に優れ、また、廉価であることから、砂層等の未固結層の地盤改良に当たり、懸濁型の薬液を効果的に浸透注入できる方法が望まれていた。
本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもので、砂層等の未固結層の地盤改良に於て、懸濁型の薬液を効果的に浸透注入できる動的薬液注入工法を提供することを目的とする。
斯かる目的を達成するため、請求項1に係る動的薬液注入工法は、未固結層を削孔注入管で所定深度まで削孔し、当該削孔注入管の先端側周壁に設けた上部注入孔から低強度の早期硬化性材料を噴出して、削孔注入管周囲の孔内及び注入孔の周辺地盤を固化して固結体を造成することにより、次に注入する懸濁型薬液の孔内周囲や地上への流出を防止する第一工程と、前記削孔注入管の先端に設けた注入孔から圧力パルスまたは圧力振動を加えた懸濁型薬液を浸透注入して、前記固結体の下方に改良体を造成する第二工程とを順次繰り返すことにより、未固結層に前記固結体と改良体を下方へ順次造成していくことを特徴とする。
また、請求項2に係る動的薬液注入工法は、未固結層を削孔注入管で所定の最深深度まで削孔する第一工程を終えた後、削孔注入管の先端側周壁に設けた上部注入孔から低強度の早期硬化性材料を噴出して、削孔注入管周囲の孔内及び注入孔の周辺地盤を固化して固結体を造成することにより、次に注入する懸濁型薬液の孔内周囲や地上への流出を防止する第二工程と、前記削孔注入管の先端に設けた注入孔から圧力パルスまたは圧力振動を加えた懸濁型薬液を浸透注入して、前記固結体の下方に改良体を造成する第三工程と、削孔注入管を所定の長さに亘って引き抜く第四工程とを順次繰り返すことにより、未固結層に前記固結体と改良体を上方へ順次造成していくことを特徴とする。
そして、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の動的薬液注入工法に於て、前記早期硬化性材料は二液混合の瞬結注入液で、前記削孔注入管は、両瞬結注入液の通路と削孔水及び懸濁型薬液の兼用通路が形成された三重管構造からなり、その先端側周壁に、両瞬結注入液の注入孔からなる前記上部注入孔が形成され、削孔注入管の先端に、削孔水と懸濁型薬液の噴出/注入孔が形成されていることを特徴とする。
各請求項に係る発明によれば、未固結層の地盤改良に於て、懸濁型薬液に圧力パルスや圧力振動を加えることにより、土粒子が動揺してセメント粒子等が浸透し易い状況になるため、土粒子間にセメント粒子等が残留することがなくなって注入到達距離の増大や圧力上昇の抑制が図れ、この結果、砂層等の未固結層に於ても、懸濁型薬液の良好な浸透注入が得られ、これにより、高強度の品質の確保や平面配置上の注入孔の間隔が広がり、更に、砂層等の未固結層への浸透注入に当たり、溶液型薬液に比し廉価な懸濁型薬液を使用することができることも相俟って、経済性の改良が図れる利点を有する。
また、従来、この種の砂層等の未固結層ではパッカーが効き難かったが、各請求項に係る発明によれば、斯かる従来のパッカーに代え、改良体の造成に先立ち、早期硬化性材料により周辺地盤を固化して固結体を造成するため、この固結体によって、削孔注入管の噴出/注入孔から噴射した懸濁型薬液が削孔注入管に沿って地表に流出してしまうことがなくなり、懸濁型薬液による良好な浸透注入が行える利点を有する。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は請求項1及び請求項3の一実施形態に係る動的薬液注入工法の第一工程と、これに用いる機械設備を示し、図中、1は地盤改良を行う砂層等の未固結層3の地表上に配置された周知のボーリングマシンで、その固定フレーム5に地盤削孔装置7が移動自在に装着されている。この固定フレーム5は、地面9に対し垂直方向のみならず水平方向や斜め方向に向きを変えることができるようになっている。
図1は請求項1及び請求項3の一実施形態に係る動的薬液注入工法の第一工程と、これに用いる機械設備を示し、図中、1は地盤改良を行う砂層等の未固結層3の地表上に配置された周知のボーリングマシンで、その固定フレーム5に地盤削孔装置7が移動自在に装着されている。この固定フレーム5は、地面9に対し垂直方向のみならず水平方向や斜め方向に向きを変えることができるようになっている。
そして、地盤削孔装置7に削孔注入管11が取り付くと共に、当該削孔注入管11に、瞬結注入A液(珪酸ソーダ),瞬結注入B液(溶液型硬化剤),削孔水及びセメント系注入材(懸濁型薬液)を削孔注入管11に圧送する注入ポンプ13が接続されている。更に、注入ポンプ13と削孔注入管11との間に動的パルサー15が介装されており、後述するようにセメント系注入材を削孔注入管11に圧送する際に、この動的パルサー15によってセメント系注入材に圧力パルスが加えられるようになっている。
尚、斯かる動的パルサー5に代え、セメント系注入材に圧力振動を加えることの可能なその他の機器を用いてもよい。
図2乃至図4に示すように削孔注入管11は、注入ポンプ13から圧送された瞬結注入A液と瞬結注入B液を夫々流下させる複数本の通路(流路パイプ)17,19と、注入ポンプ13から圧送された削孔水とセメント系注入材を流下させる通路(流路パイプ)21が中央に設けられた三重管構造をなし、先端に複数個のビット23が装着されている。
図2乃至図4に示すように削孔注入管11は、注入ポンプ13から圧送された瞬結注入A液と瞬結注入B液を夫々流下させる複数本の通路(流路パイプ)17,19と、注入ポンプ13から圧送された削孔水とセメント系注入材を流下させる通路(流路パイプ)21が中央に設けられた三重管構造をなし、先端に複数個のビット23が装着されている。
そして、削孔注入管11の先端側周壁に、前記通路17を流下した瞬結注入A液を側方へ噴出させる注入孔25と、前記通路19を流下した瞬結注入B液を側方へ噴出させる注入孔27が形成されており、これらは削孔注入管11の上部注入孔29を構成する。
而して、瞬結注入A液と瞬結注入B液は二液混合の早期硬化性材料で、図1に示すように各注入孔25,27から噴出した瞬結注入A液,B液が未固結層3で混合すると、削孔注入管11周囲の孔内及び注入孔25,27の周辺地盤が固化して柱状の固結体31が造成されるようになっている。
而して、瞬結注入A液と瞬結注入B液は二液混合の早期硬化性材料で、図1に示すように各注入孔25,27から噴出した瞬結注入A液,B液が未固結層3で混合すると、削孔注入管11周囲の孔内及び注入孔25,27の周辺地盤が固化して柱状の固結体31が造成されるようになっている。
また、図示しないが削孔注入管11の先端中央には、注入ポンプ13から圧送された削孔水やセメント系注入材を下方(削孔方向)に噴出させる噴出/注入孔が設けられており、従来と同様、固定フレーム5に沿って下方へ地盤削孔装置7を移動させ乍ら、当該地盤削孔装置7で削孔注入管11を回転させて前記注入ポンプ13から削孔注入管11に削孔水を圧送すると、回転する削孔注入管11の先端に装着したビット23と、噴出/注入孔から削孔方向へ噴出される高圧の削孔水によって未固結層3が削孔できるようになっている。
本実施形態に係る動的薬液注入工法に用いる機械設備はこのように構成されており、次にこれらを用いた動的薬液注入工法について説明する。
未固結層3の地盤改良を行うに当たり、先ず、第一工程として、未固結層3を削孔注入管11で所定深度まで削孔する。
既述したように削孔注入管11による削孔は、固定フレーム5に沿って下方へ地盤削孔装置7を移動させ乍ら、地盤削孔装置7で削孔注入管11を回転させて注入ポンプ13から削孔注入管11に削孔水を圧送すればよく、回転する削孔注入管11の先端に装着したビット23と、噴出孔から削孔方向へ噴出される高圧の削孔水によって未固結層3が削孔される。
未固結層3の地盤改良を行うに当たり、先ず、第一工程として、未固結層3を削孔注入管11で所定深度まで削孔する。
既述したように削孔注入管11による削孔は、固定フレーム5に沿って下方へ地盤削孔装置7を移動させ乍ら、地盤削孔装置7で削孔注入管11を回転させて注入ポンプ13から削孔注入管11に削孔水を圧送すればよく、回転する削孔注入管11の先端に装着したビット23と、噴出孔から削孔方向へ噴出される高圧の削孔水によって未固結層3が削孔される。
尚、図1に示すように本実施形態は、固定フレーム5を地面9に対し垂直方向にセットしたが、未固結層3内に固結体31や後述する改良体33を斜め方向に造成していく場合には、固定フレーム5を斜め方向に向きを変えればよい。
そして、斯様に削孔注入管11によって所定の深度まで削孔した後、地盤削孔装置7を停止して削孔注入管11による削孔を停止し、併せて注入ポンプ13による削孔注入管11への削孔水の供給を停止する。
そして、斯様に削孔注入管11によって所定の深度まで削孔した後、地盤削孔装置7を停止して削孔注入管11による削孔を停止し、併せて注入ポンプ13による削孔注入管11への削孔水の供給を停止する。
次に、注入ポンプ13により瞬結注入A液と瞬結注入B液を削孔注入管11へ圧送して、削孔注入管11の先端側周壁に設けた注入孔25,27から瞬結注入A液と瞬結注入B液を側方へ噴出させる。
而して、斯様に各注入孔25,27から瞬結注入A液と瞬結注入B液が噴出すると、両注入A液,B液が未固結層3で混合して、図1に示すように削孔注入管11周囲の孔内及び注入孔25,27の周辺地盤が固化して柱状の固結体31が造成される。
而して、斯様に各注入孔25,27から瞬結注入A液と瞬結注入B液が噴出すると、両注入A液,B液が未固結層3で混合して、図1に示すように削孔注入管11周囲の孔内及び注入孔25,27の周辺地盤が固化して柱状の固結体31が造成される。
固結体31の造成によって本実施形態に係る動的薬液注入工法の第一工程が終了し、次いで第二工程として、図5に示すように削孔注入管11の先端中央の噴出/注入孔からセメント系注入材を下方へ浸透注入して、固結体31の下方に柱状の改良体33を造成していくが、本実施形態は、注入ポンプ13から削孔注入管11にセメント系注入材を圧送する際に、前記動的パルサー15によってセメント系注入材に圧力パルスを加えることを特徴としている。
斯様にセメント系注入材に圧力パルスが加えられると、削孔注入管11の先端中央の噴出/注入孔から噴射したセメント系注入材が土粒子を動揺させるため、セメントの粒子分が浸透し易い状況となってセメント系注入材の浸透距離が増大し、固結体31の下方に柱状の改良体33が良好に造成されることとなる。
そして、一般に、この種の砂層等の未固結層3ではパッカーが効き難い欠点があるが、既述したように本実施形態は、改良体33の造成に先立ち、図1に示すように削孔注入管11周囲の孔内及び注入孔25,27の周辺地盤を瞬結注入A液と瞬結注入B液で固化して柱状の固結体31を造成してパッカーの如き機能を持たせており、当該固結体31によって、削孔注入管11の噴出/注入孔から噴射したセメント系注入材が削孔注入管11に沿って地表に流出してしまうことがない。
そして、一般に、この種の砂層等の未固結層3ではパッカーが効き難い欠点があるが、既述したように本実施形態は、改良体33の造成に先立ち、図1に示すように削孔注入管11周囲の孔内及び注入孔25,27の周辺地盤を瞬結注入A液と瞬結注入B液で固化して柱状の固結体31を造成してパッカーの如き機能を持たせており、当該固結体31によって、削孔注入管11の噴出/注入孔から噴射したセメント系注入材が削孔注入管11に沿って地表に流出してしまうことがない。
このように、図5に示すように第二工程に於て、圧力パルスを加えたセメント系注入材を浸透注入して固結体31の下方に柱状の改良体33を造成した後、図6乃至図9に示すように前記第一工程と第二工程を順次繰り返していくことで、未固結層3に固結体31と改良体33を下方へ順次造成していく。
即ち、図5の如く固結体31の下方に柱状の改良体33を造成した後、図6に示すように更に削孔注入管11で所定深度まで削孔した後、図7に示すように前記注入孔25,27から瞬結注入A液と瞬結注入B液を噴出して、削孔注入管11周囲の孔内及び注入孔25,27の周辺地盤を固化して柱状の固結体31を造成する。
即ち、図5の如く固結体31の下方に柱状の改良体33を造成した後、図6に示すように更に削孔注入管11で所定深度まで削孔した後、図7に示すように前記注入孔25,27から瞬結注入A液と瞬結注入B液を噴出して、削孔注入管11周囲の孔内及び注入孔25,27の周辺地盤を固化して柱状の固結体31を造成する。
この後、図8に示すように削孔注入管11の噴出/注入孔から、再び、動的パルサー15で圧力パルスが加えられたセメント系注入材を下方へ浸透注入させて、固結体31の下方に柱状の改良体33を造成する。
而して、この改良体33の造成に於ても、セメント系注入材に圧力パルスが加えられているため、セメント系注入材が土粒子を動揺させてセメントの粒子分が浸透し易い状況となる。
而して、この改良体33の造成に於ても、セメント系注入材に圧力パルスが加えられているため、セメント系注入材が土粒子を動揺させてセメントの粒子分が浸透し易い状況となる。
以後、図9に示すように未固結層3を更に削孔注入管11で所定深度まで削孔した後、注入孔25,27から瞬結注入A液と瞬結注入B液を噴出して、削孔注入管11周囲の孔内及び注入孔25,27の周辺地盤を固化して柱状の固結体31を造成し、次いで、削孔注入管11の噴出/注入孔から、動的パルサー15により圧力パルスが加えられたセメント系注入材を下方へ浸透注入させて、固結体31の下方に柱状の改良体33を造成していくというように前記第一工程と第二工程を順次繰り返していくことで、未固結層3に固結体31と改良体33が下方へ順次造成されていくこととなる。
このように本実施形態は、未固結層3の地盤改良に於て、懸濁型薬液のセメント系注入材に圧力パルスを加えることにより、土粒子が動揺してセメント粒子が浸透し易い状況になるため、土粒子間にセメント粒子が残留することがなくなって注入到達距離の増大や圧力上昇の抑制が図れ、この結果、砂層等の未固結層3に於ても、セメント系注入材の良好な浸透注入が得られ、これにより、高強度の品質の確保や平面配置上の注入孔の間隔が広がり、更に、砂層等の未固結層への浸透注入に当たり、溶液型の薬液に比し廉価な懸濁型の薬液を使用することができることも相俟って、経済性の改良が図れる利点を有する。
また、従来、この種の砂層等の未固結層ではパッカーが効き難かったが、本実施形態は、斯かる従来のパッカーに代え、改良体33の造成に先立ち、図1に示すように削孔注入管11周囲の孔内及び注入孔25,27の周辺地盤を瞬結注入A液と瞬結注入B液で固化して柱状の固結体31を造成するため、削孔注入管11の噴出/注入孔から噴射したセメント系注入材が削孔注入管11に沿って地表に流出してしまうことがなくなり、セメント系注入材による良好な浸透注入が行える利点を有する。
ところで、上記実施形態は、既述した第一工程と第二工程を順次繰り返していくことで、未固結層3に固結体31と改良体33を下方へ順次造成していくものであるが、請求項2及び請求項3に係る動的薬液注入工法の一実施形態の如く、固結体31と改良体33を上方へ順次造成していくようにしてもよい。
図10乃至図14は請求項2及び請求項3に係る動的薬液注入工法の一実施形態を示し、本実施形態は、図10に示すように第一工程として、先ず、削孔注入管11によって未固結層3を所定の最深深度まで削孔する。
図10乃至図14は請求項2及び請求項3に係る動的薬液注入工法の一実施形態を示し、本実施形態は、図10に示すように第一工程として、先ず、削孔注入管11によって未固結層3を所定の最深深度まで削孔する。
尚、削孔注入管11による削孔方法は前記実施形態と同様である。
この後、図11に示すように注入ポンプ13により、瞬結注入A液と瞬結注入B液を削孔注入管11へ圧送し、削孔注入管11の先端側周壁に設けた注入孔25,27から瞬結注入A液と瞬結注入B液を側方に噴出させて固結体31を造成する。
固結体31の造成によって本実施形態の第二工程が終了し、次に第三工程として、図12に示すように削孔注入管11の先端中央の噴出/注入孔からセメント系注入材を下方へ浸透注入して、固結体31の下方に柱状の改良体33を造成する。そして、本実施形態に於ても、注入ポンプ13から削孔注入管11にセメント系注入材を圧送する際に、動的パルサー15によってセメント系注入材に圧力パルスを加える。
この後、図11に示すように注入ポンプ13により、瞬結注入A液と瞬結注入B液を削孔注入管11へ圧送し、削孔注入管11の先端側周壁に設けた注入孔25,27から瞬結注入A液と瞬結注入B液を側方に噴出させて固結体31を造成する。
固結体31の造成によって本実施形態の第二工程が終了し、次に第三工程として、図12に示すように削孔注入管11の先端中央の噴出/注入孔からセメント系注入材を下方へ浸透注入して、固結体31の下方に柱状の改良体33を造成する。そして、本実施形態に於ても、注入ポンプ13から削孔注入管11にセメント系注入材を圧送する際に、動的パルサー15によってセメント系注入材に圧力パルスを加える。
斯様にセメント系注入材に圧力パルスが加えられると、既述したように削孔注入管11の噴出/注入孔から噴射したセメント系注入材が土粒子を動揺させるため、セメントの粒子が浸透し易い状況となってセメント系注入材の浸透距離が増大し、固結体31の下方に柱状の改良体33が良好に造成されることとなる。
そして、このとき、前記固結体31がセメント系注入材の地表への流出を防止する。
そして、このとき、前記固結体31がセメント系注入材の地表への流出を防止する。
このように、第三工程に於て、圧力パルスを加えたセメント系注入材を浸透注入して固結体31の下方に柱状の改良体33を造成した後、第四工程に移行して、削孔注入管11を所定の長さに亘って引き抜き、以後、図13及び図14に示すように前記第二工程乃至第四工程を順次繰り返して、未固結層3に固結体31と改良体33を上方へ順次造成して地盤改良を行っていく。尚、図13中、35は削孔注入管11を引き抜いた際の孔を示している。
このように本実施形態に係る動的薬液注入工法も、未固結層3の地盤改良に於て、懸濁型薬液のセメント系注入材に圧力パルスを加えることにより、土粒子が動揺してセメント粒子が浸透し易い状況になるため、土粒子間にセメント粒子が残留することがなくなって注入到達距離の増大や圧力上昇の抑制が図れ、この結果、砂層等の未固結層3に於ても、セメント系注入材の如く懸濁型薬液の良好な浸透注入が得られ、これにより、高強度の品質の確保や平面配置上の注入孔の間隔が広がり、更に、砂層等の未固結層への浸透注入に当たり、溶液型の薬液に比し廉価な懸濁型の薬液を使用することができることも相俟って、経済性の改良が図れる利点を有する。
また、本実施形態も、従来のパッカーに代え、改良体33の造成に先立ち、図11に示すように削孔注入管11周囲の孔内及び注入孔25,27の周辺地盤を瞬結注入A液と瞬結注入B液で固化して柱状の固結体31を造成するため、削孔注入管11の噴出/注入孔から噴射したセメント系注入材が削孔注入管11に沿って地表に流出してしまうことがなくなり、セメント系注入材による良好な浸透注入が行える利点を有する。
1 ボーリングマシン
3 未固結層
7 地盤削孔装置
11 削孔注入管
13 注入ポンプ
15 動的パルサー
17,19,21 通路
23 ビット
25,27 注入孔
29 上部注入孔
31 固結体
33 改良体
35 孔
3 未固結層
7 地盤削孔装置
11 削孔注入管
13 注入ポンプ
15 動的パルサー
17,19,21 通路
23 ビット
25,27 注入孔
29 上部注入孔
31 固結体
33 改良体
35 孔
Claims (3)
- 未固結層を削孔注入管で所定深度まで削孔し、当該削孔注入管の先端側周壁に設けた上部注入孔から低強度の早期硬化性材料を噴出して、削孔注入管周囲の孔内及び注入孔の周辺地盤を固化して固結体を造成することにより、次に注入する懸濁型薬液の孔内周囲や地上への流出を防止する第一工程と、
前記削孔注入管の先端に設けた注入孔から圧力パルスまたは圧力振動を加えた懸濁型薬液を浸透注入して、前記固結体の下方に改良体を造成する第二工程とを順次繰り返すことにより、未固結層に前記固結体と改良体を下方へ順次造成していくことを特徴とする動的薬液注入工法。 - 未固結層を削孔注入管で所定の最深深度まで削孔する第一工程を終えた後、
削孔注入管の先端側周壁に設けた上部注入孔から低強度の早期硬化性材料を噴出して、削孔注入管周囲の孔内及び注入孔の周辺地盤を固化して固結体を造成することにより、次に注入する懸濁型薬液の孔内周囲や地上への流出を防止する第二工程と、
前記削孔注入管の先端に設けた注入孔から圧力パルスまたは圧力振動を加えた懸濁型薬液を浸透注入して、前記固結体の下方に改良体を造成する第三工程と、
削孔注入管を所定の長さに亘って引き抜く第四工程とを順次繰り返すことにより、未固結層に前記固結体と改良体を上方へ順次造成していくことを特徴とする動的薬液注入工法。 - 前記早期硬化性材料は二液混合の瞬結注入液で、前記削孔注入管は、両瞬結注入液の通路と削孔水及び懸濁型薬液の兼用通路が形成された三重管構造からなり、その先端側周壁に、両瞬結注入液の注入孔からなる前記上部注入孔が形成され、削孔注入管の先端に、削孔水と懸濁型薬液の噴出/注入孔が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の動的薬液注入工法。
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