JP2008062503A - インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】用紙対応力が広く、フルカラー画像記録が可能であり、高画像濃度で画像均一性に優れる商業用印刷物に近い質感の高品位なインク記録物が従来に比べて遥かに高速かつ安価に記録できる理想的なインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置の提供。
【解決手段】支持体の少なくとも一方の面上に少なくとも1層のバリア塗工層を有する記録媒体に、少なくとも界面活性剤を含有する前処理液を付与して前処理を行う前処理工程と、少なくとも水分散性着色剤を含有するインクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて前処理後の記録媒体に画像を記録するインク飛翔工程とを少なくとも含むインクジェット記録方法である。
【選択図】図3

Description

本発明は、インクジェット方式によりオフセット印刷等の商業用印刷に近い高画質画像を記録することができるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録は、記録媒体(メディア)を比較的選ばない優れた記録方法として知られており、記録装置、記録方法、及び記録材料などについての研究開発が盛んに行われている。
また近年、プリンタの普及と、高精細及び高速化によって、銀塩写真に近い画質が手軽に得られるようになってきている。このことは、プリンタの進化のみならず、インク及びメディアが高画質化を達成するために様々な改良が加えられてきたことに起因する。特に、メディアの進化は目覚しいものがあり、インクの吸収速度及び吸収量を上げつつ光沢を発現できるように開発された現在のメディアは、光沢感や品位感において従来の商業用印刷を凌ぐほどの発達を遂げている。このようなインクジェット記録用メディアとしては、膨潤型と空隙型に大別できるが、最近では、インクの乾燥速度に優れる空隙型が主流となっている。
前記空隙型メディアとしては、例えば基体上にシリカ及びアルミナ水和物を分散した塗布液を塗布し、インクを取り込むための空隙を有するインク吸収層を形成し、必要に応じてコロイダルシリカを含む多孔質の光沢層を有するものが提案されている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。これらの提案のメディアは、インクの吸収性に優れ、高精細な画像が得られるため、コンシューマ向けの写真出力用途等に好適である。その反面、このタイプのメディアは原材料が高価であり、かつ製造工程も複雑であることから、一般の商業印刷用及び出版印刷用コート紙と比較すると非常に高価となる。そのため、画像が高品質であるにも関わらず、チラシ、カタログ、パンフレット等の安価で大量な出力が要求される商業印刷分野ではあまり使用されていない。そこで、従来より、空隙型メディアのコストを低減するための様々な手段が試みられている。
しかし、インク吸収層に含まれるフィラーとしては、インク吸収層の透明性を高く保つことができ、吸油量(比表面積)の大きな材料を使用する必要があるため、例えばシリカ、アルミナ水和物、コロイダルシリカ等の特定の高価なフィラーを多量に使用せざるを得ず、低価格化は困難であるのが現状である。
一方、商業印刷用及び出版印刷用コート紙のようにコート層材料として炭酸カルシウム、カオリン等の安価で隠蔽性が高いフィラーを多量に使用した安価なコート紙も存在する。しかし、このようなコート紙をインクジェット用メディアに使用すると、インクの吸収が間に合わず、画像が滲んだり、インク吸収層に染み込んだインク中の色材がカオリンのような隠蔽性の高いフィラーに隠蔽されてしまい、濃度が発現できなくなってしまうという問題がある。実際、隠蔽性の高いフィラーを使用した商業印刷用及び出版印刷用コート紙に染料インクでインクジェット記録すると、インク量を増やしても表層近くに存在する色材分しか濃度が出ないため、全体としての濃度が低く、コントラストのない画像しか得られず、コート紙はインクジェット記録には不向きであるとされてきた。
また近年、着色剤(色材)として顔料を使用した顔料インクが注目されてきている。顔料は水に不溶であるため、微粒子状にして溶剤に分散させたものを使用するのが一般的であるが、顔料インクは、安全性等の観点から水に顔料を分散させた水系の顔料インクが主流である。このような水系の顔料インクは、染料インクに比べて顔料粒子の凝集や沈澱が起こりやすく、長期保存性を染料インク並に得るためには、分散条件の調整や添加剤の添加が必要となったり、分散安定剤等がコゲーションの原因になるためサーマルヘッドを使用し難い他、着色剤の表色範囲が染料に比べて劣る。しかし、顔料インクは、高い黒色濃度が得られ、印字品位や記録後の保存性及び耐水性の点から、大いに注目されている。
このような顔料インクを使用したインクジェットプリンタは、インクの着色剤が一般的な商業印刷インクの着色剤に近いこともあり、印刷物の風合いを商業印刷に近づけることが可能であると考えられる。しかし、従来の顔料インクは、実際、商業印刷用及び出版印刷用コート紙に記録すると、インクの吸収が間に合わず画像が滲んだり、乾燥後に顔料が全く定着しないという問題がある。これはインクジェット記録に関する設計思想が染料インクを使用する際の思想と変わっておらず、顔料を耐光性の高い染料としかとらえておらず、顔料インクの特長を考慮していなかったためであると考えられる。
また、顔料インクに対応したメディアについても研究開発が盛んに進められている。例えば、特許文献3では、インク吸収を早めながら画像光沢を出すため、メディア表面の空隙率を上げつつ、光沢を発現させる方法が、高価な材料を用いた従来技術の延長線上で探求されている。
一方、インクジェット記録における大きな課題の一つとして、記録の高速化がある。記録の高速化、は記録コストの低減を図るための重要な点であり、取り得る手段としては、(1)ヘッドを大型化し、1スキャンあたりの記録領域を広げる手段、(2)ヘッドの構造、インク滴サイズや解像度はそのままで、インクの吐出速度とヘッドのスキャン速度を上げて高速描画する手段、(3)インクの吐出速度やヘッド構造は変えないが、インクの滴サイズ(体積)を大きくして画素数を減らし、スキャン速度を上げて高速描画する手段、などがある。
前記(1)の手段は、ヘッドやシステムの大きな変更が必要であり、プリンタ価格の上昇を招きやすいが画質は維持しやすい。また、前記(2)の手段は、前記(1)の手段ほどに装置の高価格を伴わずに行えるが、駆動周波数等のデバイス上の限界があり、劇的な高速化は期待できない。また、前記(3)の手段は、比較的簡単であり、かつ安価に行えるが、画質が大きく劣化する場合が多い。例えば小滴を2滴使用してドットを描画すると、小滴1滴に比べてほぼ確実にドット面積が2倍になるのに比べ、滴サイズを2倍にすると、ドット面積が2倍にならない場合が多いからである。この滴サイズとドット面積が比例しない現象は、濡れ広がりが悪いインクを用いると、特に顕著であり、前記(3)の手段を使用して画像記録すると、埋まりの悪化や、バンディングの発生として認められる場合が多い。更に、前記(3)の手段で埋まりやバンディングを改善しようとすると、より大きな滴サイズで描画する必要が生じ、埋まりは改善するが、却ってインク吸収不良に起因したビーディングや文字にじみが発生するという不具合が発生する。特に、バリア塗工層を有する記録媒体と水分散性着色剤を用いたインクジェット記録方法の場合には、インク付着量の上限を厳しく制限する必要があるため、前記(3)の手段では、記録の高速化を行うのは困難である。
このように先行技術文献では、インクのにじみを防ぐことが目的であり、定着性の改善を試みたものが殆どであり、インクの吸収が良すぎ、インクの拡散性が良すぎるメディアをサイズするものである。また、インク吸収性の劣るメディアに前処理を施す例もあるが、その場合は、メディア表面にインクの吸収や定着に優れたインク受容層を新たに設けるものである。いずれも、インクとある種の反応を生じる処理液を塗布し、化学反応によって画質を改善する手段であることから、処理液の塗布量が多くなって、印字前に乾燥が必要となったり、速やかに反応させるため処理液自体の安定性が劣ったり、定着の際に熱や光等のエネルギーを必要とする等の様々な解決課題を抱えているのが現状である。
特開2005−212327号公報 特開平11−078225号公報 特開2001−347749号公報
本発明は、前記要望に応え、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、用紙対応力が広く、フルカラー画像記録が可能であり、高画像濃度で画像均一性に優れる商業用印刷物に近い質感の高品位なインク記録物が、従来に比べて遥かに高速かつ安価に記録できる理想的なインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、より低コストで高速なインクジェット記録方法について鋭意研究を進めたところ、浸透性の高い顔料インクと、インク吸収性の低い記録媒体を用い、該記録媒体に特定の前処理を行ってインク滴の濡れ広がりを制御することによって、新たな設計思想に基づく低コストで高速なインクジェット記録方法が達成できることを知見した。
即ち、インク中の顔料が極力染み込まないようインク吸収性(浸透性)が抑制された記録媒体に少量の超高浸透性顔料インクを使用して記録する際、記録媒体に界面活性剤を含む処理液を塗布して前処理することにより、インクの濡れ広がりを促進でき、滴サイズを大きくしても、十分なドットサイズを実現することができることを知見した。また、一定のインクの最大付着量下でインク滴を大きくして画素数を減らしても、従来のように埋まりやバンディングが悪化せず、高画質で高速な記録が可能であることを知見した。
更に、従来のドットの濡れ広がりが小さく、埋まりが悪い記録媒体であっても、バリア塗工層として機能するものであれば、本発明のインクジェット記録方法により、インクの濡れ広がりを改善でき、用紙対応性が向上することを知見した。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体の少なくとも一方の面上に少なくとも1層のバリア塗工層を有する記録媒体に、少なくとも界面活性剤を含有する前処理液を付与して前処理を行う前処理工程と、
少なくとも水分散性着色剤を含有するインクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて前処理後の記録媒体に画像を記録するインク飛翔工程とを少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法である。
<2> 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である前記<1>に記載のインクジェット記録方法である。
<3> 記録媒体が、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の転移量が35ml/m以下であり、かつ接触時間400msにおける純水の転移量が40ml/m以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<4> 前処理後の記録媒体におけるインクの液滴滴下法による接触角が、インク滴下5秒間後で15°以上35°以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<5> 前処理液の付与が、前処理手段を記録媒体に当接させて行われる前記<1>から<4>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<6> 前処理手段がローラである前記<5>に記載のインクジェット記録方法である。
<7> 液滴サイズが20pl以上のインク、及び液滴サイズが20pl以上のインクと液滴サイズが20pl未満のインクとの組み合わせのいずれかを用いる前記<1>から<6>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<8> インクの最大付着量が15g/m以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<9> 水分散性着色剤が顔料及び着色微粒子のいずれかであり、かつ該着色剤の体積平均粒径が0.01〜0.16μmである前記<1>から<8>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<10> インクの25℃での粘度が3mPa・s以上である前記<1>から<9>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<11> インクが浸透剤を含み、かつ該浸透剤が、炭素数8以上のポリオール化合物及びグリコールエーテル化合物のいずれかである前記<1>から<10>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<12> 炭素数8以上のポリオール化合物が、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールの少なくともいずれかである前記<11>に記載のインクジェット記録方法である。
<13> インクが界面活性剤を含有し、該界面活性剤が、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、及び(VI)から選択される少なくとも1種である前記<1>から<12>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
−O−(CHCHO)CHCOOM ・・・一般式(I)
ただし、前記一般式(I)中、Rは、アルキル基を表す。hは、3〜12の整数を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
ただし、前記一般式(II)中、Rは、アルキル基を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
ただし、前記一般式(III)中、Rは、炭化水素基を表す。kは、5〜20の整数を表す。
−(OCHCHOH ・・・一般式(IV)
ただし、前記一般式(IV)中、Rは、炭化水素基を表す。jは、5〜20の整数を表す。
ただし、前記一般式(V)中、Rは、炭化水素基を表す。L及びpは、それぞれ1〜20の整数を表す。
ただし、前記一般式(VI)中、q及びrは、それぞれ0〜40の整数を表す。
<14> インクが湿潤剤を含有し、かつ該湿潤剤がポリオール化合物、ラクタム化合物、尿素化合物及び糖類から選択される少なくともいずれかである前記<1>から<13>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<15> ポリオール化合物が、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパンから選択される少なくとも1種である前記<14>に記載のインクジェット記録方法である。
<16> ラクタム化合物が、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン及びε−カプロラクタムから選択される少なくとも1種である前記<14>から<15>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<17> 尿素化合物が、尿素、チオ尿素、エチレン尿素及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選択される少なくとも1種である前記<14>から<16>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<18> 糖類が、マルチトース、ソルビトース、グルコノラクトン及びマルトースから選択される少なくとも1種である前記<14>から<17>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<19> 湿潤剤のインクにおける含有量が10〜50質量%である前記<14>から<18>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<20> インクが、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクから選択される少なくとも1種である前記<1>から<19>のいずれかに記載のインクジェット記録方法である。
<21> 支持体と該支持体の少なくとも一方の面上に少なくとも1層のバリア塗工層とを有する記録媒体と、
前記記録媒体に、少なくとも界面活性剤を含有する前処理液を付与して前処理を行う前処理手段と、
少なくとも水分散性着色剤を含有するインクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて前処理後の記録媒体に画像を記録するインク飛翔手段とを少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置である。
本発明のインクジェット記録方法は、前処理工程と、インク飛翔工程とを含む。前記前処理工程では、支持体の少なくとも一方の面上に少なくとも1層のバリア塗工層を有する記録媒体に、少なくとも界面活性剤を含有する前処理液を付与して前処理する。前記インク飛翔工程では、少なくとも水分散性着色剤を含有するインクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて前処理後の記録媒体に画像を記録する。その結果、用紙対応力が広く、フルカラー画像記録が可能であり、高画像濃度で画像均一性に優れる商業用印刷物に近い質感の高品位なインク記録物が、従来に比べて遥かに高速かつ安価に記録が行える。
本発明のインクジェット記録装置は、記録媒体と、前処理手段と、インク飛翔手段とを有する。前記記録媒体は、支持体と該支持体の少なくとも一方の面上に少なくとも1層のバリア塗工層とを有する。前記前処理手段は、前記記録媒体に、少なくとも界面活性剤を含有する前処理液を付与して前処理を行う。前記インク飛翔手段は、少なくとも水分散性着色剤を含有するインクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて前処理後の記録媒体に画像を記録する。その結果、用紙対応力が広く、フルカラー画像記録が可能であり、高画像濃度で画像均一性に優れる商業用印刷物に近い質感の高品位なインク記録物が、従来に比べて遥かに高速かつ安価に記録できる。
本発明によると、従来における問題を解決することができ、用紙対応力が広く、フルカラー画像記録が可能であり、高画像濃度で画像均一性に優れる商業用印刷物に近い質感の高品位なインク記録物が、従来に比べて遥かに高速かつ安価に記録できる理想的なインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置を提供することができる。
(インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録方法は、前処理工程と、インク飛翔工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、制御工程等のその他の工程を含んでなる。
本発明のインクジェット記録装置は、記録媒体と、前処理手段と、インク飛翔手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、制御手段等のその他の手段を有してなる。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記前処理工程は前記前処理手段により好適に行うことができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
<前処理工程及び前処理手段>
前記前処理工程は、支持体の少なくとも一方の面上に少なくとも1層のバリア塗工層を有する記録媒体に、少なくとも界面活性剤を含有する前処理液を付与して前処理を行う工程であり、前記前処理手段により行われる。
〔記録媒体〕
前記記録媒体は、支持体と、該支持体の少なくとも一方の面上に少なくとも1層のバリア塗工層を有してなり、更に必要に応じてその他の層を有してなる。
前記記録媒体は、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の記録媒体への転移量は35ml/m以下が好ましく、3〜30ml/mがより好ましい。また、接触時間400msにおける純水の記録媒体への転移量が40ml/m以下が好ましく、2〜35ml/mがより好ましい。この条件を満たした記録媒体のバリア塗工層はバリア機能を有しているとみなせ、前記インクと組み合わせることで、いわゆる「切れ」の良い、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリング、ブリードのない、光学的濃度(OD)の高い記録画像を得ることができる。これよりも転移量が多いと、着色剤のバリア塗工層中への染み込みや、支持体への染み込みが発生し、バリア塗工層の顔料に着色剤が隠蔽され、高濃度な画像が得られない。
ここで、前記動的走査吸収液計(dynamic scanning absorptometer;DSA,紙パ技協誌、第48巻、1994年5月、第88〜92頁、空閑重則)は、極めて短時間における吸液量を正確に測定できる装置である。前記動的走査吸液計は、吸液の速度をキャピラリー中のメニスカスの移動から直読する、試料を円盤状とし、この上で吸液ヘッドをらせん状に走査する、予め設定したパターンに従って走査速度を自動的に変化させ、1枚の試料で必要な点の数だけ測定を行う、という方法によって測定を自動化したものである。紙試料への液体供給ヘッドはテフロン(登録商標)管を介してキャピラリーに接続され、キャピラリー中のメニスカスの位置は光学センサで自動的に読み取られる。具体的には、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工株式会社製)を用いて、純水の転移量を測定した。接触時間100ms及び接触時間400msにおける転移量は、それぞれの接触時間の近隣の接触時間における転移量の測定値から補間により求めることができる。
前処理液の付与によるメディア表面の接触角が画質に大きな影響を与えることが判明した。前処理はインク滴サイズが20pl程度のような大滴ばかりでなく、10pl程度の中滴、2pl程度の小滴にも効果があり、画質を大幅に改善することが可能である。
前処理後の記録媒体におけるインクの液滴滴下法による接触角は15°以上35°以下が好ましく、15〜30°がより好ましい。前記接触角を35°以下とすることで、メディア上でのインク滴の効果的な濡れ広がりが発生し、ドット径を大きくすることができ、埋まりの良く、均一な画像が得られる。また大滴を使って解像度を落としても埋まりの良さを維持することができ、シャープな画像が得られる。
一方、ドットは真円状に濡れ広がることが好ましく、ドットが不規則な形状に拡張すると、輪郭のにじみや解像感の劣化が発生することが分かった。このため、前処理後のメディアとインクの接触角を15°以上とすることで、不規則な濡れ広がりがなく、いびつな形状のドットが発生することを防ぐことができ、埋まりの良さと解像感の両立が達成できる。
ここで、前記接触角は、一般に知られている液滴滴下法による接触角測定方法が使用でき、例えば、協和界面化学株式会社製のOCA200Hを使用し、前処理を行った記録媒体上にインクをマイクロシリンジから3μL滴下し、滴下5秒間後の接触角の値を求めることで測定できる。
−支持体−
前記支持体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、化学パルプ、機械パルプ、古紙回収パルプ等のパルプを任意の比率で混合したものが用いられ、更に必要に応じて内添サイズ剤、歩留まり向上剤、紙力増強剤等を添加した原料を長網フォーマ、ギャップタイプのツインワイヤーフォーマ、長網部の後半部をツインワイヤーで構成するハイブリッドフォーマ等で抄紙されたものが使用される。
前記パルプとしては、バージンのケミカルパルプ(CP)、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプ等の木材が用いられ、必要に応じてその他の繊維原料を化学的に処理して作製されたバージンのケミカルパルプ、バージンの機械パルプ(MP)、例えば、グランドパルプ、ケミグランドパルプ、ケミメカニカルパルプ、セミケミカルパルプ等の木材、又はその他の繊維原料を主に機械的に処理して作製されたバージンの機械パルプを含有させても構わない。
前記古紙パルプの原料としては、財団法人古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、例えば上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌などが挙げられる。具体的には、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感圧紙等のプリンタ用紙;PPC用紙等のOA古紙;アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙等の塗工紙;上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートン等の非塗工紙、などの紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記古紙パルプは、一般的に、以下の4工程の組み合わせから製造される。
(1)離解は、古紙をパルパーにて機械力と薬品で処理して繊維状にほぐし、印刷インキを繊維より剥離する。
(2)除塵は、古紙に含まれる異物(プラスチックなど)及びゴミをスクリーン、クリーナー等により除去する。
(3)脱墨は、繊維より界面活性剤を用いて剥離された印刷インキをフローテーション法、又は洗浄法で系外に除去する。
(4)漂白は、酸化作用や還元作用を用いて、繊維の白色度を高める。
前記古紙パルプを混合する場合、全パルプ中の古紙パルプの混合比率は、記録後のカール対策から40%以下が好ましい。
前記支持体に用いることができる填料としては、炭酸カルシウムが有効であるが、カオリン、焼成クレー、パイロフィライト、セリサイト、タルク等のケイ酸類等の無機填料や、サチンホワイト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫化亜鉛、プラスチックピグメント、尿素樹脂等の有機顔料も併用することができる。
前記支持体に使用する内添サイズ剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、インクジェット記録用紙に使用される公知の内添サイズ剤の中から適宜選択して使用することができる。
前記内添サイズ剤としては、例えば、ロジンエマルジョン系サイズ剤等を挙げることができる。支持体を抄造する際に使用される内添サイズ剤としては、例えば、中性抄紙に用いられる中性ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)、アルキルケテンダイマー(AKD)、石油樹脂系サイズ剤などが挙げられる。これらの中でも、中性ロジンサイズ剤又はアルケニル無水コハク酸が特に好適である。
前記アルキルケテンダイマーは、そのサイズ効果が高いことから添加量は少なくて済むが、記録用紙(メディア)表面の摩擦係数が下がり滑りやすくなるため、インクジェット記録時の搬送性の点からは好ましくない場合がある。
前記内添サイズ剤の使用量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、絶乾パルプ100質量部に対し0.1〜0.7質量部が好ましい。
前記支持体に使用される内添填料としては、例えば、白色顔料として従来公知の顔料が用いられる。前記白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等のような白色無機顔料;スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等のような有機顔料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記支持体の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5〜300μmが好ましい。また、支持体の坪量は、5〜298g/mが好ましい。
−バリア塗工層−
前記バリア塗工層は、インク中の顔料と溶剤を分離し、溶剤のみを基体に浸透させる機能を有する。そのため、バリア塗工層が空孔(ポア)を持つ微細構造を有することが好ましい。前記バリア塗工層に微細構造が全く存在しないとインク中の溶剤成分の浸透が遅くなるため、インクが乾かない現象が生じやすくなる。ただし、微細構造が多すぎると、インク中の顔料を分離する機能が低下し、画像濃度低下が発生したり、記録後に記録媒体表面に存在する顔料が経時でメディア内部にマイグレートし、色の変化を引き起こしてしまう。これらの条件を満たせば、商業印刷用紙や出版印刷用紙をそのまま使用することも可能である。なお、前記バリア塗工層を印刷用紙の外観に似せることにより、一般の商業印刷物の質感に近い印字物を得ることも可能となる。
前記バリア塗工層は、少なくとも顔料、及びバインダーを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−顔料−
前記顔料としては、無機顔料、もしくは無機顔料と有機顔料を併用したものを用いることができる。
前記無機顔料としては、例えば、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、非晶質シリカ、チタンホワイト、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クロライトなどが挙げられる。これらの中でも、カオリンは光沢発現性に優れており、オフセット印刷用の用紙に近い風合いとすることができる点から特に好ましい。
前記カオリンには、デラミネーテッドカオリン、焼成カオリン、表面改質等によるエンジニアードカオリン等があるが、光沢発現性を考慮すると、粒子径が2μm以下の割合が80質量%以上の粒子径分布を有するカオリンが、カオリン全体の50質量%以上を占めていることが好ましい。
前記カオリンの添加量は、前記バインダー100質量部に対し50質量部以上が好ましい。前記添加量が50質量部未満であると、光沢度において十分な効果が得られないことがある。前記添加量の上限は特に制限はないが、カオリンの流動性、特に高せん断力下での増粘性を考慮すると、塗工適性の点から、90質量部以下がより好ましい。
前記有機顔料としては、例えば、スチレン−アクリル共重合体粒子、スチレン−ブタジエン共重合体粒子、ポリスチレン粒子、ポリエチレン粒子等の水溶性ディスパージョンがある。これら有機顔料は2種以上が混合されてもよい。
前記有機顔料の添加量は、前記バリア塗工層の全顔料100質量部に対し2〜20質量部が好ましい。前記有機顔料は、光沢発現性に優れていることと、その比重が無機顔料と比べて小さいことから、嵩高く、高光沢で、表面被覆性の良好なバリア塗工層を得ることができる。前記添加量が2質量部未満であると、前記効果がなく、20質量部を超えると、塗工液の流動性が悪化し、塗工操業性の低下に繋がることと、コスト面からも経済的ではない。
前記有機顔料には、その形態において、密実型、中空型、ドーナツ型等があるが、光沢発現性、表面被覆性及び塗工液の流動性のバランスを鑑み、平均粒子径は0.2〜3.0μmが好ましく、より好ましくは空隙率40%以上の中空型が採用される。
−バインダー−
前記バインダーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、バリア塗工層を構成する顔料及び支持体との接着力が強いと共に、ブロッキングを起こさない水性樹脂、エマルジョン等が好適である。
前記水性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール;酸化デンプン、エステル化デンプン、酵素変性デンプン、カチオン化デンプン等のデンプン類;カゼイン、大豆タンパク質類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の繊維素誘導体;スチレン−アクリル樹脂、イソブチレン−無水マレイン酸樹脂、アクリルエマルジョン、酢酸ビニルエマルジョン、塩化ビニリデンエマルジョン、ポリエステルエマルジョン、スチレン−ブタジエンラテックス、アクリルニトリルブタジエンラテックスなどが挙げられる。これらの中でも、コストの観点からデンプン、スチレン−ブタジエンラテックスが特に好ましい。
前記スチレン−ブタジエンラテックスとしては、モノマーとしてスチレンとブタジエンを含み、必要に応じて他のモノマーを共重合させたり、化学反応により共重合体を変性した紙塗工用に一般的に使用される共重合体ラテックスが挙げられる。前記他のモノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル、アクリロニトリル、マレイン酸、フマル酸、酢酸ビニルなどが挙げられる。また、メチロール化メラミン、メチロール化尿素、メチロール化ヒドロキシプロピレン尿素、イソシアネート等の架橋剤を含有してもよく、N−メチロールアクリルアミドなどの単位を含む共重合体で自己架橋性を持つものを用いてもよい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記バリア塗工層における前記バインダーの添加量は、前記バリア塗工層の固形分で、50〜70質量%が好ましく、55〜60質量%がより好ましい。前記添加量が少なすぎると、接着力が不十分となり、バリア塗工層の強度の低下、内部結合強度の低下、粉落ちの発生が懸念される。
必要に応じて、カチオン性有機化合物を添加することもできる。前記カチオン性有機化合物としては、例えば、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ジメチルアミン・アンモニア・エピクロルヒドリン縮合物、ポリ(メタクリル酸トリメチルアミノエチル・メチル硫酸塩)、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合物、ポリ(ジアリルアミン塩酸塩・二酸化イオウ)、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリ(アリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩)、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド・塩化アンモニウム・尿素・ホルムアルデヒド縮合物、ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・二酸化イオウ)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・ジアリルアミン塩酸塩誘導体)、アクリルアミド・ジアリルジメチルアンモニウムクロライド共重合物、アクリル酸塩・アクリルアミド・ジアリルアミン塩酸塩共重合物、ポリエチレンイミン、アクリルアミンポリマー等のエチレンイミン誘導体、ポリエチレンイミンアルキレンオキサイド変性物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記バリア塗工層には、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、更に必要に応じて、その他の成分を添加することができる。該その他の成分としては界面活性剤、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等の添加剤を使用してもよい。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、及び非イオン界面活性剤のいずれも使用することができる。これらの中でも、非イオン界面活性剤が特に好ましい。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール又はソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、ソルビトール、ショ糖などが挙げられる。また、エチレンオキサイド付加物については、水溶性を維持できる範囲で、エチレンオキサイドの一部をプロピレンオキサイド、又はブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドに置換したものも有効である。置換率は50%以下が好ましい。前記非イオン界面活性剤のHLB(親水性親油性比)は4〜15が好ましく、7〜13がより好ましい。
前記バリア塗工層の形成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば直接塗布する方法、他の基材上に一度塗布したものを支持体に転写する方法、スプレー等によって噴霧する方法等が利用できる。
前記直接塗布する方法としては、例えば、ロールコーター法、エアナイフコーター法、ゲートロールコーター法、サイズプレス法、シムサイザー法、ロッドメタリングサイズプレスコータ等のフィルムトランスファー方式;ファウンテンあるいはロールアプリケーション等によるブレードコーター方式などが挙げられる。
前記バリア塗工層の乾燥処理は、例えば、熱風乾燥炉、熱ドラム等を用いて行うことができる。更に、表面を平滑化するために、あるいは表面の強度を上げるためにカレンダー装置(スーパーカレンダー、ソフトカレンダー、グロスカレンダー等)で表面仕上げを施してもよい。
前記バリア塗工層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30μm以下が好ましく、0.5〜25μmがより好ましい。
前記バリア塗工層は非常に薄く作製することも可能であるが、その際、着色剤の裏写り(印字した着色剤の色が裏側に透けて見える)を防止する等のため、バリア塗工層中に従来のインクジェットメディアとは反対に、隠蔽性の高い無機顔料を多く含む必要がある。そのため、前記バリア塗工層中の無機顔料としては従来のインクジェットメディアに使われている隠蔽性の低い材料であるシリカ、アルミナ水和物の量は少ないほうが好ましく、15質量%以下であることがより好ましい。これにより、バリア塗工層の厚みを薄くしても裏移りを少なくすることができ、かつ更なる低コスト化が図れる。
前記アルミナ水和物のように吸油量が高すぎるものを多量に含むと、インク溶媒がバリア塗工層から基体に移行し難くなる。多量に溶媒を吸収したアルミナ水和物は長期保存において変色や顔料のマイグレーションによる画像にじみを起こし、好ましくない。
なお、前記記録媒体は、支持体の裏面にバック層を有してもよく、また、支持体とバリア塗工層との間、及び支持体とバック層間にその他の層を形成してもよく、更にバリア塗工層上に保護層を設けることもできる。これらの各層は単層であっても複数層であってもよい。
前記記録媒体としては、インクジェット記録媒体の他、市販のオフセット印刷用塗工紙、グラビア印刷用塗工紙などであってもよい。
市販の印刷用塗工紙とは、キャストコート紙、いわゆるアート紙(A0サイズ、A1サイズ)、A2サイズコート紙、A3サイズコート紙、B2サイズコート紙、軽量コート紙、微塗工紙といった商業印刷・出版印刷に用いられている塗工紙のことであり、オフセット印刷、グラビア印刷等に用いられるものである。
具体的な商品としては、前記キャストコート紙として、例えばミラーコートプラチナ(王子製紙株式会社製)、エスプリコートC(日本製紙株式会社製)などが挙げられる。
前記アート紙として、例えばOK金藤N、OK金藤−R40N、SA金藤N、サテン金藤N、サテン金藤−R40N、ウルトラサテン金藤N、ウルトラOK金藤N、金藤片面(いずれも、王子製紙株式会社製);NPi特アート、NPiスーパーアート、NPiスーパーダル、NPiダルアート(いずれも、日本製紙株式会社製);ユトリロスーパーアート、ユトリロスーパーダル、ユトリロプレミアム(いずれも、大王製紙株式会社製);高級アートA、特菱アート、スーパーマットアートA、高級ダルアートA(いずれも、三菱製紙株式会社製);雷鳥スーパーアートN、雷鳥スーパーアートMN、雷鳥特アート、雷鳥ダルアートN(いずれも、中越パルプ株式会社製)などが挙げられる。
前記A2コート紙としては、例えばOKトップコート+(プラス)、OKトップコートS、OKカサブランカ、OKカサブランカV、OKトリニティ、OKトリニティNaVi、ニューエイジ、ニューエイジW、OKトップコートマットN、OKロイヤルコート、OKトップコートダル、Zコート、OK嵩姫、OK嵩王、OK嵩王サテン、OKトップコート+、OKノンリンクル、OKコートV、OKコートNグリーン100、OKマットコートグリーン100、ニューエイジグリーン100、Zコートグリーン100(いずれも、王子製紙株式会社製);オーロラコート、しらおいマット、インペリアルマット、シルバーダイヤ、リサイクルコート100、サイクルマット100(いずれも、日本製紙株式会社製);ミューコート、ミューホワイト、ミューマット、ホワイトミューマット(いずれも、北越製紙株式会社製);雷鳥コートN、レジーナ雷鳥コート100、雷鳥マットコートN、レジーナ雷鳥マット100(いずれも、中越パルプ工業株式会社製);パールコート、ホワイトパールコートN、ニューVマット、ホワイトニューVマット、パールコートREW、ホワイトパールコートNREW、ニューVマットREW、ホワイトニューVマットREW(いずれも、三菱製紙株式会社製)などが挙げられる。
A3コート(軽量コート)紙としては、例えばOKコートL、ロイヤルコートL、OKコートLR、OKホワイトL、OKロイヤルコートLR、OKコートLグリーン100、OKマットコートLグリーン100(いずれも、王子製紙株式会社製);イースターDX、リサイクルコートL100、オーロラL、リサイクルマットL100、<SSS>エナジーホワイト(いずれも、日本製紙株式会社製);ユトリロコートL、マチスコート(いずれも、大王製紙株式会社製);ハイ・アルファ、アルファマット、(N)キンマリL、キンマリHiL(北越製紙株式会社製);NパールコートL、NパールコートLREW、スイングマットREW(いずれも、三菱製紙株式会社製);スーパーエミネ、エミネ、シャトン(中越パルプ工業株式会社製);などが挙げられる。
B2コート(中質コート)紙としては、例えばOK中質コート、(F)MCOP、OKアストログロス、OKアストロダル、OKアストロマット(いずれも、王子製紙株式会社製)、キングO(日本製紙株式会社製)などが挙げられる。
微塗工紙としては、例えばOKロイヤルライトSグリーン100、OKエバーライトコート、OKエバーライトR、OKエバーグリーン、クリーンヒットMG、OK微塗工スーパーエコG、エコグリーンダル、OK微塗工マットエコG100、OKスターライトコート、OKソフトロイヤル、OKブライト、クリーンヒットG、やまゆりブライト、やまゆりブライトG、OKアクアライトコート、OKロイヤルライトSグリーン100、OKブライト(ラフ・ツヤ)、スノーマット、スノーマットDX、OK嵩姫、OK嵩ゆり(いずれも、王子製紙株式会社製);ピレーヌDX、ペガサスハイパー8、オーロラS、アンデスDX、スーパーアンデスDX、スペースDX、セーヌDX、特グラビアDX、ペガサス、シルバーペガサス、ペガサスハーモニー、グリーンランドDX100、スーパーグリーンランドDX100、<SSS>エナジーソフト、<SSS>エナジーライト、EEヘンリー(日本製紙株式会社製);カントエクセル、エクセルスーパーB、エクセルスーパーC、カントエクセルバル、ユトリロエクセル、ハイネエクセル、ダンテエクセル(大王製紙株式会社製);コスモエース(大昭和板紙株式会社製)、セミ上L、ハイ・ベータ、ハイ・ガンマ、シロマリL、ハミング、ホワイトハミング、セミ上HiL、シロマリHiL(いずれも、北越製紙株式会社製);ルビーライトHREW、パールソフト、ルビーライトH(いずれも、三菱製紙株式会社製);シャトン、ありそ、スマッシュ(いずれも、中越パルプ工業株式会社製);スターチェリー、チェリースーパー(丸住製紙株式会社製)などが挙げられる。
また、特殊なコート紙として、例えば一部の電子写真向けコート紙、グラビア印刷用コート紙が挙げられる。具体的には、PODグロスコート(王子製紙株式会社製)、スペースDX(日本製紙株式会社製)、エース(日本製紙株式会社)などが挙げられる。これらはコート層の細孔容積が適切であり、本発明で用いる記録媒体として使用可能である。
〔前処理液〕
前記処理液は、少なくとも界面活性剤を含有し、水、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記前処理液としては、インクと記録媒体との濡れ性を改善できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、従来のインクジェット用の前処理液としては、カチオン系化合物を含ませてインクの凝集を促進したり、反応させるという手法に基づくため、カチオン系化合物等のインクと反応する成分を含むことが必須であったが、本発明で用いる前処理液にはそのような化合物を含む必要性はない。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤のいずれも使用することができる。これらの中でも、非イオン界面活性剤が不測な反応を生じない点から特に好ましい。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール又はソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミドなどが挙られる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、ソルビトール、ショ糖などが挙げられる。また、エチレンオキサイド付加物としては、水溶性を維持できる範囲で、エチレンオキサイドの一部をプロピレンオキサイド、又はブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドに置換したものも有効である。置換率は50%以下が好ましい。前記非イオン活性剤のHLB(親水性親油性比)は4〜15が好ましく、7〜13がより好ましい。
前記界面活性剤の前記前処理液における含有量は、0.05〜30質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
前記前処理液は、水及び水溶性有機溶媒を主溶媒として用いる。
前記水の前処理液における含有量は、50〜99質量%が好ましい。
前記前処理液に用いられる水溶性有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらの溶媒は、水とともに単独もしくは、複数混合して使用することができる。
前記前処理液には、上述したように、カチオン性有機化合物を配合する必要はないが、必要に応じて併用することも可能である。前記カチオン性有機化合物としては、例えば、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ジメチルアミン・アンモニア・エピクロルヒドリン縮合物、ポリ(メタクリル酸トリメチルアミノエチル・メチル硫酸塩)、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合物、ポリ(ジアリルアミン塩酸塩・二酸化イオウ)、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリ(アリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩)、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド・塩化アンモニウム・尿素・ホルムアルデヒド縮合物、ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・二酸化イオウ)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・ジアリルアミン塩酸塩誘導体)、アクリルアミド・ジアリルジメチルアンモニウムクロライド共重合物、アクリル酸塩・アクリルアミド・ジアリルアミン塩酸塩共重合物、ポリエチレンイミン、アクリルアミンポリマー等のエチレンイミン誘導体、ポリエチレンイミンアルキレンオキサイド変性物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記前処理液には、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、更に必要に応じて、その他の成分を添加することができる。該その他の成分としては分散剤、増粘剤、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等が挙げられる。
前記前処理液を塗布する方法としては、インクジェットノズルを使用して前処理液を印字したり、記録媒体の製造時にコーティングしたり、スプレーで噴霧する等の方法も使用できるが、処理速度やメディア対応性を上げるために画像記録装置として、又は補助装置として塗布ユニットを設けて記録媒体に当接させて塗布することが好ましい。
前記前処理液を記録媒体に当接させて付与する手段としては、例えばローラ塗布機、ワイヤーバー、コーティングブレード、マイクログラビア、前処理液を含浸せしめた発泡体を当接するなどの手段などが挙げられる。これらの中でも、ローラを用いることにより、簡素な装置構成で、十分な画像品質の向上効果が得られる付与量になるように、均一に付与することが可能であり、付与手段を低コストで、かつコンパクトに作製することが可能になるため、特に好ましい。前記付与手段で、記録媒体に少量付与することにより、記録媒体のコックリングの発生を防止できる。
ここで、前記前処理液を記録媒体に付与し、前処理液が乾燥固化する前に、着色剤を含むインクで画像を記録するため方法について、図面を参照して説明する。図19の前処理液付与装置及びインクジェット記録装置は、インクジェット記録用ヘッドを走査して画像を記録するタイプの装置である。
図19の前処理付与装置及びインクジエット記録装置において、記録媒体406は給紙ローラ407によって送り出され付与ローラ404とカウンタローラ405によって前処理液容器442内に充填された前処理液401が記録媒体に均一に薄く付与される。前処理液は汲み上げローラ403によって汲み上げられ、膜厚制御ローラ402によって付与ローラ404に均一に付与される。記録媒体は前処理液を付与されながらインクジェット記録ヘッド420のある記録走査部まで送られる。前処理液付与動作の終了部(図19中A部)から記録走査開始部(図19中B部)までの用紙経路の長さは記録媒体の送り方向の長さより長く設定されているので記録媒体が記録走査開始部に到達した時点では前処理液の付与を完全に終了することができる。この場合、前処理液の付与は、インクジェット記録ヘッド420が印字のための走査を開始し、記録媒体406が間欠的に搬送される前に実施できるため、記録媒体の搬送速度が一定の状態で連続的に付与でき、ムラのない均一な付与が可能となる。図19に示す装置では前処理の必要な記録媒体は下段のカセットから、必要のないか処理されては困る記録媒体は上段のカセットから供給するようになっているため、記録媒体搬送経路を長く設けるのに好都合である。
なお、図19中、408は給紙トレイ、411、412、413、414、415、及び416は用紙送りローラ、417は用紙、418は給紙ローラ、420は記録ヘッド、421はインクカートリッジ、422はキャリッジ軸、423はキャリッジを表す。
<インク飛翔工程及びインク飛翔手段>
前記インク飛翔工程は、少なくとも水分散性着色剤を含有するインクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて前処理後の記録媒体に画像を記録する工程であり、前記インク飛翔手段により行われる。
〔インク〕
前記インクは、少なくとも水分散性着色剤を含有し、浸透剤、界面活性剤、湿潤剤、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−インクの最大付着量(インク総量)−
本発明においては、前記インク中の着色剤の染み込みを防ぎ、効率的に記録媒体表面近傍に偏在させると同時に、インクの乾燥性を確保するため、インク総量を規定することが好ましい。
ここで、前記インク総量とは、画像を形成する際の重要なパラメータであり、最高濃度のベタ画像を形成する際の単位面積当たりのインク量のことを意味する。本発明では、このインク総量を規定することで、インク吸収の悪いメディアに対しても、ビーディングやブリードの少ない均一な画像を形成することが可能となる。逆にこの上限を超えて、従来のインクジェット記録のように多量のインクを使用すると、バリア塗工層の着色剤としての顔料の分離能力が追いつかず、インク溶媒と一緒にインクの顔料が浸透してしまったり、インクの溶媒成分の浸透が間に合わず、乾燥性に大きく支障をきたすため、品質の良い画像が得られない。
具体的には、画像記録時のインクの最大付着量(インク総量規制値)は15g/m以下が好ましく、12g/m以下がより好ましく、5〜10g/mが更に好ましい。このように最大インク付着量が15g/m以下であると、ビーディングやブリードのない、非常に高画質な画像を得ることができる。これは、従来の染料インクとインクジェット専用メディアの組み合わせと異なり、本発明の顔料インクとメディアの場合、色材はメディア表面に堆積した形で存在しており、メディアの表面を覆うのに必要な量の色材があれば、それ以上の色材は無駄となるばかりか、本発明の高浸透インクを用いてさえも、余ったインク溶剤が隣接ドットと干渉し、ビーディングやブリードを発生させてしまうためである。
特に前記本発明で用いるインクを使用しても、従来のインクジェット記録のようにインクの総量規制値を高く設定してしまうと、ベタ部やシャドー部で多くのインク量が使用され、メディアの色材分離能を超え、画像が滲んだり、乾燥性が大きく低下したりする。
また、本発明のインクジェット記録方法に使用するインク総量は、画像濃度が必要な場合でも従来のインクジェット記録方法に比べ極端に少なくて済むことに併せ、従来のインクジェットメディアと違ってメディアのインク吸収能自体は低い方が、色材がメディア表面で均等に広がりやすい。言い換えればメディア表面でインクが薄く広がるが故にインク吸収能力が低くても、乾燥可能であり、かつブリードやビーディングが発生し難いのである。
更に記録に必要なインク総量を少なくすることで、従来のインクジェットプリンタに比べインクカートリッジの容量を小さくすることができ、装置のコンパクト化も可能となった。また従来と同様のカートリッジサイズであるならば、インクカートリッジの交換頻度を減らすことができ、より低コストな画像記録が可能となる。
基本的にこのインク総量は少なければ少ないほどバリア塗工層の顔料分離能力が発揮されるが、あまりに少なくすると印字後の画像ドット径が小さくなりすぎてしまうという副作用もあるため、目的とする画像に応じてこの範囲内でインク総量を設定するのが好ましい。
ここで、前記インクの最大付着量は、質量法により測定することができる。具体的には、インクジェット専用紙であるスーパーファイン専用紙(エプソン株式会社製)に5cm×20cmの矩形ベタ画像を最高濃度で印字し、印字直後に質量を測定し、印字前の質量を差し引き、その値を100倍してインク総量とする。
−インクの固形分濃度−
前記インクの固形分濃度は、4質量%以上が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。前記固形分濃度が4質量%未満であると。乾燥時の粘度上昇が緩やかであり、画像が滲みやすい傾向がある。一方、15質量%を超えると、ノズル詰まりが多くなり、画像に抜け等が生じやすくなることがある。
−水分散性着色剤−
前記着色剤としては、粒子状の水分散性着色剤が用いられ、顔料及び着色微粒子の少なくともいずれかを用いることが好ましい。
前記着色微粒子としては、顔料及び染料の少なくともいずれかの色材を含有させたポリマー微粒子の水分散物が好適に用いられる。
ここで、前記「色材を含有させた」とは、ポリマー微粒子中に色材を封入した状態及びポリマー微粒子の表面に色材を吸着させた状態の何れか又は双方を意味する。前記色材としては、水不溶性又は水難溶性であって、前記ポリマーによって吸着され得る色材であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ここで、前記「水不溶性又は水難溶性」とは、20℃で水100質量部に対し色材が10質量部以上溶解しないことを意味する。また、「溶解する」とは、目視で水溶液表層又は下層に色材の分離や沈降が認められないことを意味する。前記色材を含有させたポリマー微粒子(着色微粒子)の体積平均粒径は、インク中において0.01〜0.16μmが好ましい。0.01μm以下では粒子径が染料に近づくため、耐光性、フェザリングが悪化してしまう。またバリア塗工層を浸透しやすくなり、濃度低下を引き起こす。また、0.30μm以上では、吐出口の目詰まりやプリンタ内のフィルタでの目詰まりが発生し、吐出安定性を得ることができない。
その他の着色剤としては、顔料が挙げられる。顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば無機顔料、有機顔料のいずれであってもよい。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、紺青、金属粉などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックなどが好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。なお、前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、アゾメチン系顔料、ローダミンBレーキ顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
前記顔料の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用のもの、カラー用のもの、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
前記ブラック顔料インクに使用されるカーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、一次粒径が、15〜40nm、BET法による比表面積が、50〜300m/g、DBP吸油量が、40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜9を有するものが好ましい。
このようなカーボンブラックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(いずれも、三菱化学株式会社製);Raven700、同5750、同5250、同5000、同3500、同1255(いずれも、コロンビア社製);Regal400R、同330R、同660R、MogulL、Monarch700、同800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、Monarch1400(いずれも、キャボット社製);カラーブラックFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、プリンテックス35、同U、同V、同140U、同140V、スペシャルブラック6、同5、同4A、同4(いずれも、デグッサ社製)などが挙げられる。
前記カラー用のものとしては、黄色インク用では、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、2、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、16、17、23、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、73、74、同75、81、83(ジスアゾイエローHR)、93、95、97、98、100、101、104、108、109、110、114、117、120、128、129、138、150、151、153、154などが挙げられる。
マゼンタ用では、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、7、12、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(ジメチルキナクリドン)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、209、219、などが挙げられる。
シアン用では、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15(銅フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、15:34、16、17:1、22、56、60、63;C.I.バットブルー4、60などが挙げられる。
また、中間色では、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばレッド、グリーン、ブルー用として、C.I.ピグメントレッド177、194、224;C.I.ピグメントオレンジ43;C.I.ピグメントバイオレット3,19,23,37;C.I.ピグメントグリーン7、36などが挙げられる。
前記顔料としては、少なくとも1種の親水性基が顔料の表面に直接若しくは他の原子団を介して結合した分散剤を使用することなく安定に分散させることができる自己分散型顔料が好適に用いられる。その結果、従来のインクのように、顔料を分散させるための分散剤が不要となる。前記自己分散型顔料としては、イオン性を有するものが好ましく、アニオン性に帯電したものやカチオン性に帯電したものが好適である。
前記自己分散型顔料の体積平均粒径は、インク中で、0.01〜0.16μmが好ましい。
前記アニオン性親水性基としては、例えば、−COOM、−SOM、−POHM、−PO、−SONH、−SONHCOR(ただし、式中のMは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。Rは、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表す。)等が挙げられる。これらの中でも、−COOM、−SOMがカラー顔料表面に結合されたものを用いることが好ましい。
また、前記親水性基中における「M」は、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、等が挙げられる。前記有機アンモニウムとしては、例えば、モノ乃至トリメチルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウム、モノ乃至トリメタノールアンモニウムが挙げられる。前記アニオン性に帯電したカラー顔料を得る方法としては、カラー顔料表面に−COONaを導入する方法として、例えば、カラー顔料を次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法、スルホン化による方法、ジアゾニウム塩を反応させる方法が挙げられる。
前記カチオン性親水性基としては、例えば、第4級アンモニウム基が好ましく、下記に挙げる第4級アンモニウム基がより好ましく、これらのいずれかが顔料表面に結合されたものが色材として好適である。
前記親水基が結合されたカチオン性の自己分散型カーボンブラックを製造する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、下記構造式で表されるN−エチルピリジル基を結合させる方法として、カーボンブラックを3−アミノ−N−エチルピリジウムブロマイドで処理する方法などが挙げられる。
前記親水性基が、他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合されていてもよい。他の原子団としては、例えば、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基が挙げられる。上記した親水性基が他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合する場合の具体例としては、例えば、−CCOOM(ただし、Mはアルカリ金属、第4級アンモニウムを表す)、−PhSOM(ただし、Phはフェニル基、Mはアルカリ金属、第4級アンモニウムを表す)、−C10NH 等が挙げられる。
前記インクには、顔料分散剤を用いた顔料分散液を用いることもできる。
前記顔料分散剤としては、前記親水性高分子化合物として、天然系では、アラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子;アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子;ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子;キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子などが挙げられる。半合成系では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子;デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子などが挙げられる。純合成系では、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子;非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂;水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物;セラック等の天然高分子化合物などが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン−アクリル酸のホモポリマーや他の親水基を有するモノマーの共重合体からなるようなカルボキシル基を導入したものが高分子分散剤として特に好ましい。
前記共重合体の質量平均分子量は3,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000がより好ましく、7,000〜15,000が更に好ましい。前記顔料と前記分散剤との混合質量比としては1:0.06〜1:3が好ましく、1:0.125〜1:3がより好ましい。
高分子分散剤と自己分散型顔料を同時に使うことは、適度なドット径を得られるため好ましい組み合わせである。その理由は明かでないが、以下のように考えられる。
高分子分散剤を含有することで記録紙への浸透が抑制される。その一方で、高分子分散剤を含有することで自己分散型顔料の凝集が抑えられるため、自己分散型顔料が横方向にスムーズに拡がることができる。そのため、広く薄くドットが拡がり、理想的なドットが形成できると考えられる。
また、顔料は親水性基を有する樹脂によって被覆し、マイクロカプセル化することで、分散性を与えることもできる。
水不溶性の顔料を有機高分子類で被覆してマイクロカプセル化する方法としては、従来公知のすべての方法を用いることが可能である。従来公知の方法として、化学的製法、物理的製法、物理化学的製法、機械的製法などが挙げられる。具体的には、以下の方法が挙げられる。
(1)界面重合法(2種のモノマーもしくは2種の反応物を、分散相と連続相に別々に溶解しておき、両者の界面において両物質を反応させて壁膜を形成させる方法)
(2)in−situ重合法(液体又は気体のモノマーと触媒、もしくは反応性の物質2種を連続相核粒子側のどちらか一方から供給して反応を起こさせ壁膜を形成させる方法)
(3)液中硬化被膜法(芯物質粒子を含む高分子溶液の滴を硬化剤などにより、液中で不溶化して壁膜を形成する方法)
(4)コアセルベーション(相分離)法(芯物質粒子を分散している高分子分散液を、高分子濃度の高いコアセルベート(濃厚相)と希薄相に分離させ、壁膜を形成させる方法)
(5)液中乾燥法(芯物質を壁膜物質の溶液に分散した液を調製し、この分散液の連続相が混和しない液中に分散液を入れて、複合エマルションとし、壁膜物質を溶解している媒質を徐々に除くことで壁膜を形成させる方法)
(6)融解分散冷却法(加熱すると液状に溶融し常温では固化する壁膜物質を利用し、この物質を加熱液化し、その中に芯物質粒子を分散し、それを微細な粒子にして冷却し壁膜を形成させる方法)
(7)気中懸濁被覆法(粉体の芯物質粒子を流動床によって気中に懸濁し、気流中に浮遊させながら、壁膜物質のコーティング液を噴霧混合させて、壁膜を形成させる方法)
(8)スプレードライング法(カプセル化原液を噴霧してこれを熱風と接触させ、揮発分を蒸発乾燥させ壁膜を形成させる方法)
(9)酸析法(アニオン性基を含有する有機高分子化合物類のアニオン性基の少なくとも一部を塩基性化合物で中和することで水に対する溶解性を付与し色材と共に水性媒体中で混練した後、酸性化合物で中性又は酸性にし、有機化合物類を析出させ色材に固着せしめた後に中和し分散させる方法)
(10)転相乳化法(水に対して分散能を有するアニオン性有機高分子類と色材とを含有する混合体を有機溶媒相とし、前記有機溶媒相に水を投入するかもしくは、水に前記有機溶媒相を投入する方法)
マイクロカプセルの壁膜物質を構成する材料として使用される有機高分子類(樹脂)としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、多糖類、ゼラチン、アラビアゴム、デキストラン、カゼイン、タンパク質、天然ゴム、カルボキシポリメチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸の重合体又は共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アルギン酸ソーダ、脂肪酸、パラフィン、ミツロウ、水ロウ、硬化牛脂、カルナバロウ、アルブミンなどが挙げられる。
これらの中ではカルボン酸基又はスルホン酸基などのアニオン性基を有する有機高分子類を使用することが可能である。また、ノニオン性有機高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート又はそれらの(共)重合体)、2−オキサゾリンのカチオン開環重合体などが挙げられる。特に、ポリビニルアルコールの完全ケン化物は、水溶性が低く、熱水には解け易いが冷水には解けにくいという性質を有しており特に好ましい。
また、マイクロカプセルの壁膜物質を構成する有機高分子類の量は、有機顔料又はカーボンブラックなどの水不溶性の色材に対して1〜20質量%が好ましい。前記有機高分子類の量を上記の範囲にすることによって、カプセル中の有機高分子類の含有率が比較的低いために、有機高分子類が顔料表面を被覆することに起因する顔料の発色性の低下を抑制することが可能となる。前記有機高分子類の量が1質量%未満であると、カプセル化の効果を発揮しづらくなることがあり、20質量%を超えると、顔料の発色性の低下が著しくなることがある。更に他の特性などを考慮すると有機高分子類の量は水不溶性の色材に対し5〜10質量%の範囲が好ましい。即ち、色材の一部が実質的に被覆されずに露出しているために発色性の低下を抑制することが可能となり、また、逆に、色材の一部が露出せずに実質的に被覆されているために顔料が被覆されている効果を同時に発揮することが可能となるのである。また、本発明に用いる有機高分子類の数平均分子量としては、カプセル製造面などから、2,000以上であることが好ましい。ここで「実質的に露出」とは、例えば、ピンホール、亀裂などの欠陥などに伴う一部の露出ではなく、意図的に露出している状態を意味するものである。
更に、色材として自己分散性の顔料である有機顔料又は自己分散性のカーボンブラックを用いれば、カプセル中の有機高分子類の含有率が比較的低くても、顔料の分散性が向上するために、十分なインクの保存安定性を確保することが可能となるのでより好ましい。
なお、マイクロカプセル化の方法によって、それに適した有機高分子類を選択することが好ましい。例えば、界面重合法による場合には、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、エポキシ樹脂などが適している。in−situ重合法による場合には、(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどが適している。液中硬化法による場合には、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アルブミン、エポキシ樹脂などが適している。コアセルベーション法による場合には、ゼラチン、セルロース類、カゼインなどが適している。また、微細で、かつ均一なマイクロカプセル化顔料を得るためには、前記以外にも従来公知のカプセル化法すべてを利用することが可能である。
マイクロカプセル化の方法として転相法又は酸析法を選択する場合には、マイクロカプセルの壁膜物質を構成する有機高分子類としては、アニオン性有機高分子類を使用する。転相法は、水に対して自己分散能又は溶解能を有するアニオン性有機高分子類と、自己分散性有機顔料又は自己分散型カーボンブラックなどの色材との複合物又は複合体、あるいは自己分散性有機顔料又は自己分散型カーボンブラックなどの色材、硬化剤及びアニオン性有機高分子類との混合体を有機溶媒相とし、該有機溶媒相に水を投入するか、あるいは水中に該有機溶媒相を投入して、自己分散(転相乳化)化しながらマイクロカプセル化する方法である。上記転相法において、有機溶媒相中に、インク用のビヒクルや添加剤を混入させて製造しても問題はない。特に、直接インク用の分散液を製造できることからいえば、インクの液媒体を混入させる方がより好ましい。
一方、酸析法は、アニオン性基含有有機高分子類のアニオン性基の一部又は全部を塩基性化合物で中和し、自己分散性有機顔料又は自己分散型カーボンブラックなどの色材と、水性媒体中で混練する工程及び酸性化合物でpHを中性又は酸性にしてアニオン性基含有有機高分子類を析出させて、顔料に固着する工程とからなる製法によって得られる含水ケーキを、塩基性化合物を用いてアニオン性基の一部又は全部を中和することによりマイクロカプセル化する方法である。このようにすることによって、微細で顔料を多く含むアニオン性マイクロカプセル化顔料を含有する水性分散液を製造することができる。
また、上記に挙げたようなマイクロカプセル化の際に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルキルアルコール類;ベンゾール、トルオール、キシロールなどの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;クロロホルム、二塩化エチレンなどの塩素化炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類などが挙げられる。なお、上記の方法により調製したマイクロカプセルを遠心分離又は濾過などによりこれらの溶剤中から一度分離して、これを水及び必要な溶剤とともに撹拌、再分散を行い、目的とするインクが得られる。以上の方法で得られるカプセル化顔料の平均粒径は50〜180nmが好ましい。
このように樹脂被覆することによって顔料が記録媒体にしっかりと付着することにより、インク記録物の擦過性を向上させることができる。
前記着色剤の前記インクにおける添加量は、6〜15質量%が好ましく、8〜12質量%がより好ましい。前記添加量が6質量%未満であると、着色力の低下により、画像濃度が低くなったり、粘度の低下によりフェザリングや滲みが悪化することがあり、15質量%を超えると、記録装置を放置しておいた場合等に、ノズルが乾燥し易くなり、不吐出現象が発生したり、粘度が高くなりすぎることにより浸透性が低下したり、ドットが広がらないために画像濃度が低下したり、ぼそついた画像になることがある。
−浸透剤−
前記浸透剤としては、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物のいずれかが用いられる。
前記ポリオール化合物の炭素数が8未満であると、十分な浸透性が得られず、両面印刷時に記録媒体を汚したり、記録媒体上でのインクの広がりが不十分で画素の埋まりが悪くなるため、文字品位や画像濃度の低下が生じることがある。
前記炭素数8以上のポリオール化合物としては、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、などが好適である。
前記グリコールエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
前記浸透剤の前記インクにおける添加量は0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
−湿潤剤−
前記湿潤剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール化合物、ラクタム化合物、尿素化合物及び糖類から選択される少なくとも1種が好適である。
前記ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プルパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用して使用してもよい。
これらの中でも、溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる点から、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンが好適である。
前記ラクタム化合物としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタムから選択される少なくとも1種が挙げられる。
前記尿素化合物としては、例えば、尿素、チオ尿素、エチレン尿素及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選択される少なくとも1種が挙げられる。前記尿素類の前記インクへの添加量は、一般的に0.5〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
前記糖類としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類及び四糖類を含む)、多糖類、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらの中でも、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースが好適であり、マルチトース、ソルビトース、グルコノラクトン、マルトースが特に好ましい。
前記多糖類とは、広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることができる。
前記糖類の誘導体としては、前記糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(ただし、一般式:HOCH(CHOH)CHOH(ただし、nは2〜5の整数を表す)で表わされる。)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。これらの中でも、特に糖アルコールが好ましい。該アルコールとしては、例えば、マルチトール、ソルビット、などが挙げられる。
前記湿潤剤の前記インク中における含有量は、10〜50質量%が好ましく、15〜35質量%がより好ましい。前記含有量が少なすぎると、ノズルが乾燥しやすくなり液滴の吐出不良が発生することがあり、多すぎるとインク粘度が高くなり、適正な粘度範囲を超えてしまうことがある。
−界面活性剤−
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、又はフッ素系界面活性剤などが挙げられ、特に、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、及び(VI)から選択される少なくとも1種が好ましい。
−O−(CHCHO)CHCOOM ・・・一般式(I)
ただし、前記一般式(I)中、Rは、アルキル基を表す。hは、3〜12の整数を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
ただし、前記一般式(II)中、Rは、アルキル基を表し、例えば、分岐していてもよい炭素数1〜14のアルキル基などが挙げられる。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
ただし、前記一般式(III)中、Rは、炭化水素基を表し、例えば、分岐していてもよい炭素数1〜14のアルキル基などが挙げられる。kは5〜20の整数を表す。
−(OCHCHOH ・・・一般式(IV)
ただし、前記一般式(IV)中、Rは、炭化水素基を表し、例えば、分岐していてもよい炭素数1〜14のアルキル基などが挙げられる。jは、5〜20の整数を表す。
ただし、前記一般式(V)中、Rは、炭化水素基を表し、例えば、分岐していてもよい炭素数1〜14のアルキル基などが挙げられる。L及びpは、それぞれ1〜20の整数を表す。
ただし、前記一般式(VI)中、q及びrは、それぞれ0〜40の整数を表す。
以下、前記一般式(I)、及び(II)の界面活性剤を具体的に遊離酸型で示す。
(I−1):CH(CH12O(CHCHO)CHCOOH
(I−2):CH(CH12O(CHCHO)CHCOOH
(I−3):CH(CH12O(CHCHO)CHCOOH
(I−4):CH(CH12O(CHCHO)CHCOOH
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
前記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、などが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。具体的には、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、ジメチルラウリルベタイン、などが挙げられる。
前記アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどのアセチレングリコール系(例えば、エアープロダクツ社(米国)製のサーフィノール104、82、465、485あるいはTGなど)を用いることができるが、これらの中でも、特にサーフィノール465、104やTGが良好な印字品質を示す。
前記フッ素系界面活性剤としては、下記一般式(i)で表されるものが好適である。
<一般式(i)>
CFCF(CFCF)―CHCHO(CHCHO)
ただし、前記一般式(i)中、mは、0〜10の整数を表す。nは、1〜40の整数を表す。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、市販されているものを挙げると、例えばサーフロンS−111,S−112,S−113,S121,S131,S132,S−141,S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93,FC−95,FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431、FC−4430(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F−1405、F474(いずれも、大日本インク化学工業株式会社製);ゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(いずれも、デュポン社製);エフトップEF−351、352、801、802(いずれも、ジェムコ社製)、などが挙げられる。これらの中でも、信頼性と発色向上に関して良好なゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(いずれも、デュポン社製)が好適に使用できる。
−インク定着剤−
前記インク定着剤とは、着色剤と記録媒体表面、着色剤間の接着力を一定以上に保つものであり、この定着剤がないと印字した後に色材顔料が剥がれやすいため、より高い画像信頼性が必要な場合は定着剤を使用すべきである。この定着剤としては低分子のものでもよいが、樹脂エマルジョン又は紫外線硬化型樹脂が好ましい。
前記樹脂エマルジョンは、樹脂微粒子を連続相としての水中に分散したものであり、必要に応じて界面活性剤のような分散剤を含有しても構わない。
前記樹脂微粒子の含有量(樹脂エマルジョン中の樹脂微粒子の含有量)は一般的には10〜70質量%が好ましい。また、前記樹脂微粒子の粒径は、インクジェット記録装置に使用することを考慮すると、平均粒径10〜1,000nmが好ましく、20〜300nmがより好ましい。
前記樹脂微粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン‐ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン共重合系樹脂、アクリル−シリコーン共重合系樹脂などが挙げられ、これらの中でも、アクリル−シリコーン共重合系樹脂が特に好ましい。
前記樹脂微粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販の樹脂エマルジョンとしては、例えば、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製);ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製);ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製);SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製);サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製);プライマルAC−22、AC−61(アクリル系樹脂エマルジョン、ローム・アンド・ハース社製);ナノクリルSBCX−2821、3689(アクリルシリコーン系樹脂エマルジョン、東洋インキ製造株式会社製);#3070(メタクリル酸メチル重合体樹脂エマルジョン、御国色素株式会社製)などが挙げられる。
前記樹脂エマルジョンにおける樹脂微粒子成分の前記インクにおける添加量としては、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。前記添加量が0.1質量%未満であると、耐目詰まり性及び吐出安定性の向上効果が十分でないことがあり、50質量%を超えると、インクの保存安定性を低下させることがある。
前記紫外線硬化型樹脂としては、例えばアクリル系光重合性モノマー及びアクリル系光重合性オリゴマーの少なくともいずれかを重合したものなどが挙げられる。
前記光重合性モノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸又はそのエステルが好適であり、例えばアルキル−(メタ)アクリレート、シクロアルキル−(メタ)アクリレート、ハロゲン化アルキル−(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル−(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル−(メタ)アクリレート、アミノアルキル−(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル−(メタ)アクリレート、アリル−(メタ)アクリレート、グリシジル−(メタ)アクリレート、ベンジル−(メタ)アクリレート、フェノキシ−(メタ)アクリレート;アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールのモノ又はジ−(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ−(メタ)アクリレート、ペンタエリトリットテトラ−(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、アクリルアミド、メタクリルアミド又はその誘導体、例えばアルキル基やヒドロキシアルキル基でモノ置換又はジ置換された(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N,N’−アルキレンビス(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
また、アリル化合物、例えばアリルアルコール、アリルイソシアネート、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレートなどが挙げられる。
また、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテノキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、ジエチレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルの(メタ)アクリル酸エステル、ポリオキシエチレン若しくはポリプロピレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルの(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
また、ジシクロペンテニルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルモノフマレート又はジフマレートなど、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどのモノ−、ジアクリレート又はモノ−、ジメタアクリレート、あるいはこれらのスピログリコールのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加重合体のモノ−、ジアクリレート、又はモノ−、ジメタアクリレート、あるいは前記モノアクリレート又はメタクリレートのメチルエーテル、1−アザビシクロ[2,2,2]−3−オクテニルアクリレート又はメタクリレート、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボキシルモノアリルエステルなど、ジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンタジエニルオキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレートなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
前記アクリル系光重合性オリゴマーとしては、エポキシ樹脂のアクリル酸エステル、不飽和ポリエステル系プレポリマー、ポリビニルアルコール系プレポリマー、ポリアクリル酸又はマレイン酸共重合体系プレポリマー、ウレタン系プレポリマーなどが挙げられる。
前記エポキシ樹脂のアクリル酸エステルとしては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルジアクリレート、エポキシ樹脂とアクリル酸とメチルテトラヒドロフタル酸無水物との反応生成物、エポキシ樹脂と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物、グリシジルジアクリレートと無水フタル酸との開環共重合エステル、などが挙げられる。
前記不飽和ポリエステル系プレポリマーとしては、例えばメタクリル酸二量体とポリオールとのエステル、アクリル酸と無水フタル酸とプロピレンオキシドから得られるポリエステル、ポリビニルアルコールとN−メチロールアクリルアミドとの反応生成物、ポリエチレングリコールと無水マレイン酸とグリシジルメタクリレートとの反応生成物などが挙げられる。
前記ポリビニルアルコール系プレポリマーとしては、例えばポリビニルアルコールを無水コハク酸でエステル化した後、グリシジルメタクリレートを付加させたものなどが挙げられる。
前記ポリアクリル酸又はマレイン酸共重合体系プレポリマーとしては、例えばメチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物又はこれに更にグリシジルメタクリレートを反応させたものなどが挙げられる。
前記ウレタン系プレポリマーとしては、例えばウレタン結合を介してポリオキシアルキレンセグメント又は飽和ポリエステルセグメントあるいはその両方が連結し、両末端にアクリロイル基又はメタクロイル基を有するものなどが挙げられる。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
前記防腐防黴剤としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、などが挙げられる。
前記pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて任意の物質を使用することができる。該pH調整剤としては、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物;水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、などが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤、などが挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、などが挙げられる。
前記アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、などが挙げられる。
前記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト、等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、等が挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、等が挙げられる。
前記サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート、等が挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、等が挙げられる。
前記ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)、等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録方法に用いるインクは、少なくとも水、着色剤、及び水溶性有機溶剤、湿潤剤、界面活性剤、更に必要に応じてその他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に必要に応じて攪拌混合して製造する。前記分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
前記インクの物性としては、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
前記粘度は25℃で、3mPa・s以上が好ましく、5〜20mPa・sがより好ましい。前記粘度が20mPa・sを超えると、吐出安定性の確保が困難になることがある。
前記表面張力は、25℃で、25mN/m以下が好ましく、20mN/m以下がより好ましい。前記表面張力が25mN/mを超えると、インクの浸透が遅く、画像が滲んでしまう現象が発生するため、高品位な画像が得られないことがある。表面張力は低ければ低いほど顔料と溶剤との分離性が向上するので好ましいが、14mN/m以上が好ましい。前記インクの表面張力は、浸透剤の添加量、及び界面活性剤(特にフッ素系界面活性剤)の添加量などにより容易に調整することができる。
前記pHとしては、例えば、7〜10が好ましい。
前記インクの着色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどが挙げられる。これらの着色を2種以上併用したインクセットを使用して記録を行うと、多色画像を形成することができ、全色併用したインクセットを使用して記録を行うと、フルカラー画像を形成することができる。
前記インクは、インクジェットヘッドとして、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、あるいは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などいずれのインクジェットヘッドを搭載するプリンタにも良好に使用できる。
以上説明したように、本発明で用いられる記録媒体とインクとの組み合わせは、各種分野において好適に使用することができ、インクジェット記録方式による画像記録装置(プリンタ等)において好適に使用することができ、例えば、以下のインクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法に特に好適に使用することができる。
<インクカートリッジ>
本発明で用いられるインクカートリッジは、本発明のインクジェット記録方法におけるインクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
次に、インクカートリッジについて、図1及び図2を参照して説明する。ここで、図1は、本発明のインクカートリッジの一例を示す図であり、図2は、図1のインクカートリッジ200のケース(外装)も含めた図である。
インクカートリッジ200は、図1に示すように、インク注入口242からインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給される。
インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図2に示すように、通常、プラスチック製のカートリッジケース244内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
前記インクカートリッジは、本発明のインクジェット記録方法におけるインクを収容し、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いることができ、また、後述する本発明のインクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いるのが特に好ましい。
前記インク飛翔手段は、本発明のインクジェット記録方法におけるインクに、刺激を印加し、該インクを飛翔させて前記記録媒体に画像を記録する手段である。該インク飛翔手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、インク吐出用の各種のノズル、などが挙げられる。
本発明においては、該インクジェットヘッドの液室部、流体抵抗部、振動板、及びノズル部材の少なくとも一部がシリコン及びニッケルの少なくともいずれかを含む材料から形成されることが好ましい。
また、インクジェットノズルのノズル径は、30μm以下が好ましく、1〜20μmが好ましい。
また、インクジェットヘッド上にインクを供給するためのサブタンクを有し、該サブタンクにインクカートリッジから供給チューブを介してインクが補充されるように構成することが好ましい。
また、本発明のインクジェット記録方法では、液滴サイズが20pl以上のインク、及び液滴サイズが20pl以上のインクと液滴サイズが20pl未満のインクとの組み合わせのいずれかを用いることが好ましい。
前記刺激は、例えば、前記刺激発生手段により発生させることができ、該刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱、圧力、振動、光、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
なお、前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト、などが挙げられ、具体的には、例えば、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等、などが挙げられる。
前記インクメディアセットにおけるインクの飛翔の態様としては、特に制限はなく、前記刺激の種類等応じて異なり、例えば、前記刺激が「熱」の場合、記録ヘッド内の前記インクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを例えばサーマルヘッド等を用いて付与し、該熱エネルギーにより前記インクに気泡を発生させ、該気泡の圧力により、該記録ヘッドのノズル孔から該インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。また、前記刺激が「圧力」の場合、例えば記録ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、前記記録ヘッドのノズル孔から該インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。
前記飛翔させる前記インクの吐出噴射の速さとしては5〜20m/sが好ましく、その駆動周波数としては1kHz以上が好ましく、その解像度としては300dpi以上が好ましい。
なお、前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
本発明のインクジェット記録装置により本発明のインクジェット記録方法を実施する一の態様について、図面を参照しながら説明する。図3に示すインクジェット記録装置は、装置本体101と、装置本体101に装着した用紙を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ103と、インクカートリッジ装填部104とを有する。なお、図3中、111は、上カバー、112は前面を表す。
インクカートリッジ装填部104の上面には、操作キーや表示器などの操作部105が配置されている。インクカートリッジ装填部104は、インクカートリッジ201の脱着を行うための開閉可能な前カバー115を有している。
装置本体101内には、図4及び図5に示すように、図示を省略している左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド131とステー132とでキャリッジ133を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ(不図示)によって図5で矢示方向に移動走査する。
キャリッジ133には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド134を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド134を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどのインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135を搭載している。サブタンク135には、図示しないインク供給チューブを介して、インクカートリッジ装填部105に装填されたインクカートリッジ201からインクが供給されて補充される。
一方、給紙トレイ102の用紙積載部(圧板)141上に積載した用紙142を給紙するための給紙部として、用紙積載部141から用紙142を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ143)、及び給紙コロ143に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド144を備え、この分離パッド144は給紙コロ143側に付勢されている。
この給紙部から給紙された用紙142を記録ヘッド134の下方側で搬送するための搬送部として、用紙142を静電吸着して搬送するための搬送ベルト151と、給紙部からガイド145を介して送られる用紙142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ152と、略鉛直上方に送られる用紙142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせるための搬送ガイド153と、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢された先端加圧コロ155とが備えられ、また、搬送ベルト151表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156が備えられている。
搬送ベルト151は、無端状ベルトであり、搬送ローラ157とテンションローラ158との間に張架されて、ベルト搬送方向に周回可能である。この搬送ベルト151は、例えば、抵抗制御を行っていない厚み40μm程度の樹脂材、例えば、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。搬送ベルト151の裏側には、記録ヘッド134による印写領域に対応してガイド部材161が配置されている。なお、記録ヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪171と、排紙ローラ172及び排紙コロ173とが備えられており、排紙ローラ172の下方に排紙トレイ103が配されている。
装置本体101の背面部には、両面給紙ユニット181が着脱自在に装着されている。両面給紙ユニット181は、搬送ベルト151の逆方向回転で戻される用紙142を取り込んで反転させて再度カウンタローラ152と搬送ベルト151との間に給紙する。なお、両面給紙ユニット181の上面には手差し給紙部182が設けられている。
このインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙142は、ガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ152との間に挟まれて搬送される。更に先端を搬送ガイド153で案内されて先端加圧コロ155で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ156によって搬送ベルト151が帯電されており、用紙142は、搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している用紙142にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙142を所定量搬送後、次行の記録を行う。記録終了信号又は用紙142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙142を排紙トレイ103に排紙する。
そして、サブタンク135内のインクの残量ニアーエンドが検知されると、インクカートリッジ201から所要量のインクがサブタンク135に補給される。
このインクジェット記録装置においては、インクカートリッジ201中のインクを使い切ったときには、インクカートリッジ201における筐体を分解して内部のインク袋だけを交換することができる。また、インクカートリッジ201は、縦置きで前面装填構成としても、安定したインクの供給を行うことができる。したがって、装置本体101の上方が塞がって設置されているような場合、例えば、ラック内に収納したり、あるいは装置本体101の上面に物が置かれているような場合でも、インクカートリッジ201の交換を容易に行うことができる。
なお、ここでは、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例で説明したが、ライン型ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
また、本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
以下、本発明を適用したインクジェットヘッドについて説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドの要素拡大図、図7は、同ヘッドのチャンネル間方向の要部拡大断面図である。
このインクジェットヘッドは、インク供給口(不図示)と共通液室1bとなる彫り込みを形成したフレーム10と、流体抵抗部2a、加圧液室2bとなる彫り込みとノズル3aに連通する連通口2cを形成した流路板20と、ノズル3aを形成するノズル板と、凸部6a、ダイヤフラム部6b及びインク流入口6cを有する振動板60と、該振動板60に接着層70を介して接合された積層圧電素子50と、該積層圧電素子50を固定しているベース40を備えている。
ベース40はチタン酸バリウム系セラミックからなり、積層圧電素子50を2列配置して接合している。
積層圧電素子50は、厚み10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層と、厚み数μm/1層の銀・パラジウム(AgPd)からなる内部電極層とを交互に積層している。内部電極層は両端で外部電極に接続する。
積層圧電素子50はハーフカットのダイシング加工により櫛歯上に分割され、1つ毎に駆動部5fと支持部5g(非駆動部)として使用する。外部電極の外側はハーフカットのダイシング加工で分割されるように、切り欠き等の加工により長さを制限しており、これらは複数の個別電極となる。他方はダイシングでは分割されずに導通しており共通電極となる。
駆動部の個別電極にはFPC8が半田接合されている。また、共通電極は積層圧電素子の端部に電極層を設けて回し込んでFPC8のGnd電極に接合している。FPC8には図示しないドライバICが実装されており、これにより駆動部5fへの駆動電圧印加を制御している。
振動板60は、薄膜のダイヤフラム部6bと、このダイヤフラム部6bの中央部に形成した駆動部5fとなる積層圧電素子50と接合する島状凸部(アイランド部)6aと、支持部に接合する梁を含む厚膜部と、インク流入口6cとなる開口を電鋳工法によるNiメッキ膜を2層重ねて形成している。ダイヤフラム部の厚みは3μm、幅は35μm(片側)である。
この振動板60の島状凸部6aと積層圧電素子50の可動部5f、振動板60とフレーム10の結合は、ギャップ材を含んだ接着層70をパターニングして接着している。
流路板20はシリコン単結晶基板を用いて、流体抵抗部2a、加圧液室2bとなる彫り込み、及びノズル3aに対する位置に連通口2cとなる貫通口をエッチング工法でパターニングしている。
エッチングで残された部分が加圧液室2bの隔壁2dとなる。また、このヘッドではエッチング幅を狭くする部分を設けて、これを流体抵抗部2aとした。
ノズルプレート30は、金属材料、例えば、電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成したもので、インク滴を飛翔させるための微細な吐出口であるノズル3aを多数形成している。このノズル3aの内部形状(内側形状)は、ホーン形状(略円柱形状又は略円錘台形状でもよい。)に形成している。また、このノズル3aの径はインク滴出口側の直径で20〜35μmである。また、各列のノズルピッチは150dpiとした。
インク供給口と共通液室1bとなる彫り込みを形成するフレーム10は樹脂成形で作製している。
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、記録信号に応じて駆動部5fに駆動波形(10〜50Vのパルス電圧)を印加することによって、駆動部5fに積層方向の変位が生起し、振動板30を介して加圧液室2bが加圧されて圧力が上昇し、ノズル3aからインク滴が吐出される。
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧液室2b内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧液室2b内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、インクタンクから供給されたインクは共通液室1bに流入し、共通液室1bからインク流入口6cを経て流体抵抗部2aを通り、加圧液室2b内に充填される。
流体抵抗部2aは、吐出後の残留圧力振動の減衰に効果が有る反面、表面張力による再充填(リフィル)に対して抵抗になる。流体抵抗部を適宜に選択することで、残留圧力の減衰とリフィル時間のバランスが取れ、次のインク滴吐出動作に移行するまでの時間(駆動周期)を短くできる。
本発明で用いるインクジェットヘッドのノズル面は撥水性を有する材料でコーティングされていてもよい。このようにコーティングされていることによって、汚れの原因となる液体が弾かれ、液体がノズル面に付着することが抑制される。このため、汚れが固化することによって生じる粒によりオリフィスや吐出口が閉塞されることが防がれる。仮に付着したとしても、その結合力は弱い。
また、インクの表面張力が低い場合、一般的なノズル面ではノズル近傍までインクが拡がってしまい正常なメニスカスが形成されない場合がある。このような状態ではインクの吐出曲がりが生じたり、不吐出が生じたりしてしまう。しかし、ノズル面が撥水性を有する材料でコーティングされていれば、インクはノズル近傍に拡がらずにノズル内に留まるため、正常な吐出ができる。
前記撥水材膜の形成は、真空下での蒸着であってもよいし、適当な溶媒に溶解させて塗布してもよい。前記真空蒸着としては、例えば、真空排気ポンプにて真空槽内を所定の真空度まで排気した後、撥水性材料を400℃で気化して真空槽に導入し、真空雰囲気を調整するとともに、高周波電源から放電電極に電力を供給してRFグロー放電を起こさせ、プラズマ雰囲気下に液体吐出ヘッドのオリフィス面を表面処理して、オリフィス面上に前記撥水膜を形成することができる。なお、材料及び真空槽内の真空度によっては、常温(25℃)〜200℃程度の低温での撥水膜を形成することも可能である。
また、前記塗布法では、例えば、撥水性材料を有機溶剤に溶解させ、ワイヤーバーやドクターブレードなどの治具でコーティングすることができるし、スピンコーターによって回転塗布することもできるし、スプレーによって塗布することもできるし、塗工液を満たした容器に浸漬塗工(ディッピング)することもできる。
前記撥水性材料としては、フッ素原子を有する有機化合物、特にフルオロアルキル基を有する有機物、ジメチルシリキサン骨格を有する有機ケイ素化合物等が使用できる。
フッ素原子を有する有機化合物としては、フルオロアルキルシラン、フルオロアルキル基を有するアルカン、カルボン酸、アルコール、アミン等が好ましい。具体的には、フルオロアルキルシランとしては、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラハイドロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラハイドロトリクロオシラン;フルオロアルキル基を有するアルカンとしては、オクタフルオロシクロブタン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−n−ヘキサン、パーフルオローn−ヘプタン、テトラデカフルオロ−2−メチルペンタン、パーフルオロドデカン、パーフルオロオイコサン;フルオロオアルキル基を有するカルボン酸としては、パーフルオロデカン酸、パーフルオロオクタン酸;フルオロアルキル基を有するアルコールとしては、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノール;フルオロアルキル基を有するアミンとしては、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラハイドロデシルアミン等が挙げられる。ジメチルシロキサン骨格を有する有機ケイ素化合物としては、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−グリシドキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(ビニル)ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。
また、別の撥水性材料として、シリコン原子を有する有機化合物、特にアルキルシロキサン基を有する有機化合物が好適に使用できる。
前記アルキルシロキサン基を有する有機化合物としては、例えば含アルキルシロキサンエポキシ樹脂組成物を構成する分子中にアルキルシロキサン基、及び環状脂肪族エポキシ基を2個以上有する含アルキルシロキサンエポキシ樹脂が好ましく、例えば、下記一般式(a)及び(b)で表される構造単位を含む高分子化合物が挙げられる。
ただし、前記一般式(a)及び(b)中、xは1〜50、yは2〜100、nは2〜100の整数をそれぞれ表す。R及びRは、それぞれ独立して水素原子、又はメチル基を表す。R及びRは、それぞれ独立してメチル基、又はフェニル基を表す。Rは、−CH−、−CHCH−、又は−CHCH(CH)−を表す。
上記のような構造単位を有する化合物は、他の撥水性化合物と併用する際にバインダーとしての機能も果たす。つまり、撥インク性の組成物の塗布適性を高め、溶剤蒸発後の乾燥性を高める乾燥塗膜としての作業性を向上させるという機能も与える。
前記撥水膜の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましい。前記撥水膜の厚みが5μmを超えると、塗膜の乾燥が遅くなり生産性が悪くなったり、機械的耐久性が損なわれる場合があり、ワイピングしたときに剥がれが生じる恐れがある。
本発明のインクジェット記録方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、解像度が高い元画像を高速に転送し、しかも、元画像の解像度を損なわずに印字することが好ましい。本発明ではコンピュータ等の制御部で画像データを圧縮し、高速でプリンタに転送し、プリンタ側で簡易な画像復元を行う手法をもって、高速転送と解像度の維持を確保することができる。
具体的には、記録したい画像の解像度が高く、かつ画像の階調数が高次の場合には、入力画像の容量が大きくなり、記録装置への転送をはじめ、記録する画像を扱うホスト側においても、記録装置内においても時間がかかる。そこで、本発明では、入力画像の、例えば、2×2の4画素を一つの画素と見立てる。それにより、入力画像の情報量は4分の1になり、必然的に、記録に要する時間が短縮される。なお、入力画像の2×2画素を一つの画素と見立てることで、解像度に関して縮小されることになるが、その防止策については、後述する。
一方、複数の記録素子を集積配列してなる記録素子列を使用する場合には、例えば、図14に示す16個の記録素子列を主走査方向に配置したインクジェット記録素子列を用いて、4回のマルチパスによる記録を行う。これにより、記録媒体の同一画素を記録可能な記録素子は、図14の記録素子列の内、一列(6−a)で説明すると、記録素子a−1−1,a−2−1,a−3−1,a−4−1の計4個から選択することができる。
上述したように、同一画素に複数のインクドットを形成する記録方法では、図14に示す記録素子列を例にとると、同一画素に2個のインクドットを記録する場合、=6通りの組合せをとることができる。
また、複数の濃淡インクを使用する場合、複数の同一濃度のインクを吐出する記録素子列を用いる場合、記録素子から大ドット、小ドットといったインク滴容量の異なるインクを吐出する場合には、上述した組合せは増加する。例えば、濃インクの記録媒体上での光学濃度が、淡インクの実質的に2倍の濃度を示すような濃淡インクの組合せや、大ドットの容量が小ドットのおよそ2倍の組み合わせを用いるときは、以下に示すようになる。
図15は、淡インク(Aインク)の大小ドットを記録可能な記録素子列(6−a,6−b)と、濃インク(Bインク)の大小ドットを記録可能な記録素子列(6−c,6−d)とからなるインクジェット記録素子列を示している。ここで、最も多くインク滴を、実質的に同一画素に着弾させる制限を、最大で大ドット2発、小ドット2発とした場合、表現できる階調値は、多種多様な組み合わせをとる。
どの記録素子を使用して、その画素に記録するかの組合せを考慮すると、例えば、ある階調値を再現する際、記録素子列が、4回、記録画素上を通過するとした場合、どのパスで、どのインクドットを記録するかの組み合わせは、多数存在することになる。そこで、本発明では、どのノズルを駆動させるかという組み合わせをテーブル(記録素子組合せテーブル:第2テーブル)として記憶しておき、入力画像に応じて、その組み合わせを選択するという手法をとる。
ここでは、上述した多数の記録素子組合せテーブルより、濃淡インクを記録するドット数と、どの記録素子により記録するかを一元的に管理することで、実際に使用する一連の記録素子組合せを選択する。
なお、記録素子組合せテーブルは、インクの濃度の種類、インクの滴サイズの種類、記録素子の数、マルチパスのパス数が増すごとに、選択しうる組合せ数が膨大になるので、実際は、いくつかの限られた数の組合せを記憶しておくのが好ましく、そうすることが、画像記録の高速化に貢献する。その際、インクの総量が本発明における制限の範囲を満たすよう組み合わせを制限しておくこともできる。
図17は、このように記憶された記録素子の組み合わせパターンの一例であり、この図17の「a」〜「o」に示すように、2×2画素の内部で、同じ階調値を記録する場合でも、各単位画素ごとにみると、その階調値が大きかったり、小さかったりすることが分かる。これを記録画素内の濃度分布(記録画素の濃度分布パターン)と称する。
記録画素内の濃度分布を、上述したインク組み合わせテーブル(第1テーブル)と併せて、例えば、図17に示す「a」〜「o」において、そのインク組み合わせテーブルに格納する。図18は、このようにして作成したインク組み合わせテーブル(第1テーブル)の例であり、ここでは簡略のため、5パターン(パターン1〜5)にしてある。図18に示す数値は、2×2の記録画素に、最大16発のインク滴を記録する場合の各パターンを構成する、単位画素へ記録するインク滴の数である。
入力画像の画素値から、インク組み合わせテーブルのいずれを使用するかの選択をすることで、入力画像の単位画素の階調値と、記録画像の単位画素の階調値が、組み合わせテーブルによって一致させることができない場合も生じる。しかし、階調が多少、異なることがあっても、入力画像の情報量を低減させて画像データを展開することができ、かつ解像性を犠牲にせずに、画像記録を行える。
なお、入力画像の画素の階調値から、インク組み合わせテーブルのパターンを選択する方法については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、以下の方法を挙げることができる。
入力画像の2×2画素の階調値の合計と平均から、着目する単位画素(例えば、2×2画素の左上の画素)が、一定値以上、離れている場合、2×2の4画素の特徴に応じたパターンを選択する。しかし、注目する画素が、上記平均値と一定値以上、離れていない場合には、他の3画素も離れていないと予想する、といった方法がある。
このようにして選択された一連の記録素子組合せパターンの中から、入力画像に基づいて、各画素毎に、使用する階調値及び記録素子組合せを決定することになる。そして、ほぼ同一濃度となる階調値の組合せ、パターン、及び記録素子組合せが複数、存在する場合、より具体的には、A、B、Cという3種類の組み合わせが、ほぼ同一の階調値となる場合、その階調値を表現する際には、画素ごとに順次、ABCABCABC・・・いうように、3種類の記録素子組合せを使用する。
あるいは、ACBCBABBCAA・・・というように、3種類の記録素子組合せをランダムに使用することが好ましい。なお、このランダム化の方法は、特に限定しない。
次に、本実施形態に係るインクジェット記録装置の構成及び動作について説明する。なお、ここで、600dpiの高精細な白黒256階調の医療用X線透過画像を、黒のインクを使用し、かつ、一単位画素に最大4つのインク滴を着弾可能で、一記録画素を2×2の4単位画素で構成して、記録画素内において最大8つのインク滴を着弾できる場合を説明する。
図8は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の構成を示すブロック図である。
図8中、1は画像入力部、2は操作部、3は各種処理を行う中央制御部(CPU)、4は各種データを記憶する記憶媒体であり、テーブル形式の記録素子組合せ情報4aと各種制御プログラム群4bが格納されている。また、5はRAM、6は画像処理部、7は画像出力制御を行うプリンタ制御部、8は各種構成要素を相互に接続する各種データを転送するバス部(バスライン)である。
画像入力部1は、例えば、スキャナやデジタルカメラ等で構成される。操作部2は、各種パラメータの設定や記録開始を指示する各種キーを備えている。CPU3は、記憶媒体4中の各種プログラムに従って、インクジェット記録装置全体を制御する。
記憶媒体4には、制御プログラムやエラー処理プログラムに従って、インクジェット記録装置を動作させるためのプログラム等が格納されている。このインクジェット記録装置の動作は、全て、このプログラムによる動作である。プログラムを格納する記録媒体4としては、例えば、ROM、FD、CD−ROM、HD、メモリカード、光磁気ディスク等を用いることができる。
RAM5は、記憶媒体4中の各種プログラムのワークエリア、エラー処理時の一時待避エリア、及び画像処理時のワークエリアとして用いられる。また、RAM5は、記録媒体4中の各種テーブルをコピー後、そのテーブルの内容を変更し、変更後のテーブルを参照しながら、所定の画像処理を進めることも可能である。
画像処理部6は、入力画像をもとに、インクジェット方式で多階調を実現するための吐出パターンを作成する。プリンタ部7は、画像記録時に画像処理部6で作成された吐出パターンに基づいて、ドット画像を形成する。また、バスライン8は、本インクジェット記録装置内のアドレス信号、データ、制御信号等を伝送する。
上述した記録素子組合せ情報4aには、更に、使用するインクに関するデータが蓄積されている。ここで使用するインクは、1種類であるが、後述するように、同系色で濃度の異なるインクドットを記録する目的で、淡インク、濃インクを用意してもよく、多くの階調値を再現するのに有用である。
これらインクを用いて、1単位画素を最大4つのインクドットで形成するとした場合、例えば、単位画素を2×2配列した4単位画素からなる記録画素で表すことのできるインク組み合わせテーブルは、多岐に渡る。そこで、本実施形態では、これらの中から、各階調値ごとに、2×2のマトリクスの左上の濃度が高く偏っているパターン、右上が偏っているパターンという4種類と、偏りの少ないパターンの計5種類ずつ、記録画素単位に8+1値で、計144+1個のインク組み合せテーブルを使用する。
図10〜図12は本実施形態に係るインク組み合せテーブル(第2テーブル)を示している。
図10〜図12中の記載数字の内、「1」は、インク滴の吐出を意味する。また、便宜上、これらのテーブル中、2×2のマトリクスの位置に関する情報として、左上、右上、左下、右下の画素を、それぞれ順番にLU,RU,LL,RLとし、その単位画素が、他の単位画素よりも濃度が高く偏っているインク組み合わせテーブルのグループを濃度パターンとして表記した。
上記濃度レベルは、1画素に対して吐出したインク数と、インクの色素含有量の合計とに完全に比例するものではないが、概ね、特に低濃度部分の反射の記録媒体や、透過の記録媒体では、実用上問題はない。
図9は、本実施形態に係るインクジェット記録装置における画像処理の流れを示すフローチャートである。
以下、これらの図8〜図12を参照して、本発明の画像処理について説明する。
図10〜図12に示すインク組み合わせテーブルを使用する場合、図9のステップS101で入力した256階調の入力画像は、その階調数を2+1値(/600dpi)に変換する必要がある。そこで、図8の画像処理部6で、2+1値の多値誤差拡散の処理を行う(ステップS102,ステップS103)。なお、ここでは、この処理に多値誤差拡散法を使用するが、かかる方法に限定されるものではなく、例えば、平均濃度保存法、ディザマトリックス法等、任意の中間調処理方法を使用することができる。
多値誤差拡散法が、通常の誤差拡散法と大きく異なる点は、2値化するためのしきい値が、複数個(ここでは、2個)存在することである。これらのしきい値は、通常、階調値の中点として決定してもよい。
多値化処理されたデータは、画像処理部6において、記憶媒体4内の記録素子組合せ情報4aを参照しながら、より具体的には、図10〜図12に示すインク組み合わせテーブルに従って、各記録素子に対して、吐出/非吐出の駆動信号に分配される。ここでは、もとの画像データが600dpiであるから、多値化されたデータは、600dpiで2+1値、つまり、「0」、「1」、「2」の3値を有している(図9のステップS103)。
そこで、ステップS104において、着目する記録画素の平均値と左上ドットとに差があるかどうかを判定する。例えば、着目する2×2の記録画素((I1,J1)と表現する)について、左上の単位画素(i1,j1)の階調値が2、右上の単位画素(i1+1,j1)が1、左下の単位画素(i1,j1+1)が1、右下の単位画素(i1+1,j1+1)が0の場合について説明する。この場合、濃度傾斜情報は、左上の濃度が高いので、図17に示す階調の「a」に相当する、「LU」の濃度パターンを選択する(図9のステップS105,ステップS110)。
また、この2×2の記録画素自体の階調値は、4/8であるから、図10に示す濃度4(階調値4)の記録素子組合せ情報の内、濃度傾斜情報が「LU」のパターン情報(つまり、No.45〜48の組合せ)に基づいて、データを分配することが決定される。実際には、これら4組の組み合わせの中から、順次、あるいはランダムに選択する(図9のステップS115,ステップS116)。
以上の処理を行うことによって、注目した記録画素一画素分の処理が終了する。続く2×2の記録画素(I2,J2)についても同様の処理を行う。
即ち、その記録画素の左上の単位画素(i2,j2)の階調値が2、右上の単位画素(i2+1,j2)が2、左下の単位画素(i2,j2+1)が2、右下の単位画素(i2+1,j2+1)が1のとき、その濃度傾斜情報は、図10に示す階調の「l」に当たる。このパターンは、必ずしも上記LU,RU,LL,RLのいずれかに属すると判定し難いので、ここでは簡略のため、「AVE」を選択する(図9のステップS114)。
また、この記録画素の階調値は8/8であるから、図12に示す濃度8(階調値8)の記録素子組合せ情報から、濃度傾斜情報が「AVE」のパターン情報(つまり、No.141〜144の組合せ)に基づき、データを分配することが決定される(図9のステップS115,S116)。
他の記録画素についても同様に、その画像の濃度データをもとに、上述した処理を全画素数分、繰り返すことにより、それぞれの記録素子列に対する各画素ごとの吐出/不吐出の、2値の駆動信号が形成される(図9のステップS120〜ステップS123)。
図13は、マルチ(4)パス記録方式を示しており、Aインクを吐出する記録素子列を持つ記録ヘッド6−a、Aインクを吐出する記録素子列を持つ記録ヘッド6−b、Bインクを吐出する記録素子列を持つ記録ヘッド6−c、Bインクを吐出する記録素子列を持つ記録ヘッド6−dによって、各パスの記録を行う。
本実施形態では、上述したように、順次、全画素を処理し、図14、図15、及び図16の記録素子列を有するインクジェット記録装置によって、4パス記録で記録する。
以上説明したように、本実施形態によれば、入力画像の隣接する単位画素を合体させた領域を記録画素とし、その記録画素ごとに、予め決めた、入力画像に応じた階調値パターンを選択することで、入力画像の解像性を落とさずに、画像データの情報量を約4分の1に減じることができ、画像記録の高速化、及び制御部(CPU)に対する負担を低減することができる。
また、少なくとも同一単位画素に2重のインク滴を記録したり、少なくとも大小2種のドット径によるインク滴を記録したり、同系色について少なくとも濃淡2種のインク滴を記録するインクジェット記録方法であって、記録画像の構成単位である記録画素を構成するいくつかの単位画素に、必要に応じて単一もしくは複数のインク滴を吐出して記録する画像記録方法においては、複雑な画像処理を行うことなく、パターン化された吐出、非吐出の駆動信号の制御データを扱うこととなるので、効果的である。
更に、記録素子組合せ情報を、同一な階調値について複数用意し、順次、あるいはランダムに、異なる記録素子組合せ情報に応じて記録することで、各種のインクが、同一の記録素子からしばらくの間吐出されないと行った状況が減り、同時に、ある一定面積以上を同一の記録素子からインクドットを形成するという状況もなくなり、記録ヘッドを交換した場合においても、特性の変化を抑えることができ、積極的かつ効果的に記録素子の特性のばらつきに対処できる。
また、単純な信号処理アルゴリズムで、より高速かつ簡易な処理によって、階調性が良好で、「よれ」等による劣化の少ない画像を得ることができ、情報として低解像度データで記録しても、良好な階調画像を得ることができる。
なお、総量規制の方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、入力されたRGB信号をCMYK値に変換する際、CMYK値の総和が一定量を超えている場合には、一定量に納まるようにCMYK値を補正し、上記γテーブルを使用してγ変換を行うことで可能である。また、総量規制処理部とγテーブルは順序を逆にすることもできる。
<インク記録物>
本発明のインクジェット記録方法により記録されたインク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
(製造例1)
−銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃にて1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを得た。次に、ポリマー溶液の一部を乾燥し、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(標準:ポリスチレン、溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したところ、質量平均分子量は15,000であった。
次に、得られたポリマー溶液28g、銅フタロシアニン顔料26g、1mol/L水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水30gを十分に攪拌した。その後、3本ロールミル(株式会社ノリタケカンパニー製、商品名:NR−84A)を用いて20回混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に攪拌した後、エバポレーターを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、固形分量が20.0質量%の青色のポリマー微粒子分散体160gを得た。得られたポリマー微粒子について、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社製)で測定した平均粒子径(D50%)は93nmであった。
(製造例2)
−ジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
製造例1において、銅フタロシアニン顔料を顔料C.I.ピグメントレッド122に変えた以外は、製造例1と同様にして、赤紫色のポリマー微粒子分散体を調製した。
得られたポリマー微粒子について、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社製)で測定した平均粒子径(D50%)は127nmであった。
(製造例3)
−モノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
製造例1において、銅フタロシアニン顔料を顔料C.I.ピグメントイエロー74に変えた以外は、製造例1と同様にして、黄色のポリマー微粒子分散体を調製した。
得られたポリマー微粒子について、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社製)で測定した平均粒子径(D50%)は76nmであった。
(製造例4)
−スルホン化剤処理したカーボンブラック分散体の調製−
市販のカーボンブラック(デグサ社製、「プリンテックス#85」)150gをスルホラン400ml中によく混合し、ビーズミルで微分散後、アミド硫酸15gを添加して140〜150℃で10時間攪拌した。得られたスラリーをイオン交換水1,000ml中に投入し、12,000rpmで遠心分離して表面処理カーボンブラックウエットケーキを得た。このカーボンブラックウエットケーキを2,000mlのイオン交換水中に再分散し、水酸化リチウムにてpHを調整し、限外濾過膜により脱塩濃縮し顔料濃度10質量%のカーボンブラック分散体を得た。得られたカーボンブラック分散体を平均孔径1μmのナイロンフィルターで濾過しカーボンブラック体とした。得られたカーボンブラック体について、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社製)で測定した平均粒子径(D50%)は80nmであった。
次に、上記製造例1〜4で得られたポリマー微粒子分散体及びカーボンブラック分散体を用いて、以下のようにしてインクを作製した。
(製造例5)
−シアンインクの調製−
製造例1の銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール23.0質量%、グリセリン8.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、FS−300(DuPont社製)2.5質量%、プロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とし、その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。次いで、イオン交換水を使用して固形分を12質量%に調整した。以上により、シアンインクを調製した。
(製造例6)
−マゼンタインクの調製−
製造例2のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール22.5質量%、グリセリン9.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、FS−300(DuPont社製)2.5質量%、プロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とし、その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。次いで、イオン交換水を使用して固形分を12質量%に調整した。以上により、マゼンタインクを調製した。
(製造例7)
−イエローインクの調製−
製造例3のモノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール24.5質量%、グリセリン8.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、FS−300(DuPont社製)2.5質量%、プロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とし、その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。次いで、イオン交換水を使用して固形分を12質量%に調整した。以上により、イエローインクを調製した。
(製造例8)
−ブラックインクの調製−
製造例4のカーボンブラック分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール22.5質量%、グリセリン7.5質量%、2−ピロリドン2.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、R−(OCHCHOH(ただし、式中、Rは炭素数12のアルキル基、n=9)2.0質量%、プロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、及び2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とし、その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。次いで、イオン交換水を使用して固形分を12質量%に調整した。以上により、ブラックインクを調製した。
(製造例9)
−染料インクセットの調製−
下記に示す各成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズが0.45μmのフロロポアフィルター(商品名、住友電工株式会社製)を用いて加圧濾過し、イエロー、シアン、マゼンタ、及びブラックからなる染料インクセットを調製した。
<染料インク組成>
−染料種−
・イエロー:C.I.ダイレクト イエロー86
・シアン :C.I.ダイレクト ブルー199
・マゼンタ:C.I.アシッド レッド285
・ブラック:C.I.ダイレクト ブラック154
−処方−
・各染料・・・4質量部
・グリセリン・・・7質量部
・チオジグリコール・・・7質量部
・尿素・・・7質量部
・アセチレングリコール・・・1.5質量部
・水・・・73.5質量部
次に、得られた製造例5〜9の各インク及びインクセットについて、以下のようにして、表面張力、及び粘度を測定した。結果を表1に示す。
<粘度の測定>
粘度は、R−500型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、コーン1°34’×R24、60rpm、3分間後の条件により、25℃で測定した。
<表面張力の測定>
表面張力は、表面張力測定装置(協和界面科学株式会社製、CBVP−Z)を用い、白金プレートを使用して25℃で測定した静的表面張力である。
(製造例10)
−支持体1の作製−
・広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)・・・80質量部
・針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)・・・20質量部
・軽質炭酸カルシウム(商品名:TP−121、奥多摩工業株式会社製)・・・10質
量部
・硫酸アルミニウム・・・1.0質量部
・両性澱粉(商品名:Cato3210、日本NSC株式会社製)・・・1.0質量部
・中性ロジンサイズ剤(商品名:NeuSize M−10、ハリマ化成株式会社製)・・・0.3質量部
・歩留まり向上剤(商品名:NR−11LS、ハイモ社製)・・・0.02質量部
次に、上記配合の0.3質量%スラリーを長網抄紙機で抄造し、マシンカレンダー仕上げをして、坪量79g/mの支持体1を作製した。なお、抄紙工程のサイズプレス工程で、酸化澱粉水溶液を固形分付着量が片面当り、1.0g/mになるように塗布した。
(製造例11)
−記録用紙1の作製−
無機顔料として粒子径2μm以下の割合が97質量%のカオリン70質量部、平均粒子径1.1μmの重質炭酸カルシウム30質量部、バインダーとしてガラス転移温度(Tg)が−5℃のスチレン−ブタジエン共重合体エマルジョン8質量部、リン酸エステル化澱粉1質量部、及び助剤としてステアリン酸カルシウム0.5質量部を加え、更に水を加えて固形分濃度60質量%のバリア塗工層液を調製した。
このバリア塗工層液を上記作製した支持体1に、片面当りのバリア塗工層の厚みが1μmになるように、ブレードコーターを用いて両面塗工し、熱風乾燥後、スーパーカレンダー処理を行い、記録用紙1を作製した。
(製造例12)
−前処理液の作製−
下記に示す各成分を混合し、十分攪拌して溶解させた後、ポアサイズが0.45μmのフロロポアフィルター(商品名:住友電工株式会社製)を用いて加圧濾過し、前処理液を調製した。
<処方>
・ポリオキシアルキレンアルキルエーテル・・・1質量部
・純水・・・79質量部
・1,3−ブチレングリコール・・・20質量部
(製造例13)
−記録用紙2の作製−
記録用紙1に製造例12の前処理液をローラを使用して塗布し、インクとの接触角が30°になるように塗布液量を調整して前処理を行い、記録用紙2を作製した。
なお、記録用紙2及び以下の記録用紙について、インクとの接触角は、協和界面化学株式会社製のOCA200Hを使用し、前処理を行った記録媒体上にインクをマイクロシリンジから3μL滴下し、滴下5秒間後の接触角の値を接触角とした。なお、記録用紙1の接触角は37°であった。
(製造例14)
−記録用紙3の作製−
記録用紙1に製造例12の前処理液をローラを使用して塗布し、インクとの接触角が23°になるように塗布液量を調整して前処理を行い、記録用紙3を作製した。
(製造例15)
−記録用紙4の作製−
記録用紙1に製造例12の前処理液をローラを使用して塗布し、インクとの接触角が18°になるように塗布液量を調整して前処理を行い、記録用紙4を作製した。
(製造例16)
−記録用紙5の作製−
記録用紙1に製造例12の前処理液をローラを使用して塗布し、インクとの接触角が15°になるように塗布液量を調整して前処理を行い、記録用紙5を作製した。
(製造例17)
−記録用紙6の作製−
記録用紙1に製造例12の前処理液をローラを使用して塗布し、インクとの接触角が13°になるように塗布液量を調整して前処理を行い、記録用紙6を作製した。
(製造例18)
−記録用紙7の作製−
記録用紙1に変えて、商業用印刷用紙であるOKトップコート(王子製紙株式会社製)を用い、該OKトップコートに製造例12の前処理液をローラを使用して塗布し、インクとの接触角が23°になるように塗布液量を調整して前処理を行い、記録用紙7を作製した。
(製造例19)
−記録用紙8の作製−
記録用紙1に変えて、商業用印刷用紙であるミラーコートプラチナ(王子製紙株式会社製)を用い、該ミラーコートプラチナに製造例12の前処理液をローラを使用して塗布し、インクとの接触角が23°になるように塗布液量を調整して前処理を行い、記録用紙8を作製した。
次に、記録用紙1、OKトップコート(王子製紙株式会社製)及びミラーコートプラチナ(王子製紙株式会社製)について、以下のようにして、動的走査吸液計による純水の転移量を測定した。結果を表2に示す。
<動的走査吸液計による純水の転移量の測定>
各記録用紙について、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工株式会社製)を用いて、純水の転移量を測定した。接触時間100ms及び接触時間400msにおける転移量は、それぞれの接触時間の近隣の接触時間における転移量の測定値から補間により求めた。なお、測定は23℃、50%RHの環境条件で行った。
(実施例1)
次に、製造例5〜8により製造した黒インク、イエローインク、マゼンタインク、及びシアンインクからなるインクセット1と、記録用紙2とを用いて、以下のようにして画像記録を行った。
<画像記録>
300dpi、ノズル解像度384ノズルを有するドロップオンデマンドプリンタ試作機を使用し、画像解像度600dpiにて印字を行った。大滴サイズは20plとし、中滴サイズは10pl、小滴サイズは2plとした。なお、二次色の総量規制を140%にして付着量規制を実施した。ベタ印字の際は300dot四方のインク総量(最大付着量)が15g/mを超えないようにして、ベタ画像、及び文字を印写した。
インク総量の平均実測値は、大滴を使用した場合で15g/m、中滴を使用した場合で12g/m、小滴を使用した場合で10g/mであった。
図20に大滴サイズ、中滴サイズ、及び小滴サイズのドット画像の結果を示す。
(実施例2)
実施例1において、記録用紙2を記録用紙3に変えた以外は、実施例1と同様にして、画像記録を行った。図20に大滴サイズ、中滴サイズ、及び小滴サイズのドット画像の結果を示す。
(実施例3)
実施例1において、記録用紙2を記録用紙4に変えた以外は、実施例1と同様にして、画像記録を行った。図21に大滴サイズ、中滴サイズ、及び小滴サイズのドット画像の結果を示す。
(実施例4)
実施例1において、記録用紙2を記録用紙5に変えた以外は、実施例1と同様にして、画像記録を行った。図21に大滴サイズ、中滴サイズ、及び小滴サイズのドット画像の結果を示す。
(実施例5)
実施例1において、記録用紙2を記録用紙6に変えた以外は、実施例1と同様にして、画像記録を行った。図21に大滴サイズ、中滴サイズ、及び小滴サイズのドット画像の結果を示す。
(実施例6)
実施例1において、記録用紙2を記録用紙7に変えた以外は、実施例1と同様にして、画像記録を行った。
(実施例7)
実施例1において、記録用紙2を記録用紙8に変えた以外は、実施例1と同様にして、画像記録を行った。
(比較例1)
実施例1において、記録用紙2を記録用紙1に変えた以外は、実施例1と同様にして、画像記録を行った。図20に大滴サイズ、中滴サイズ、及び小滴サイズのドット画像の結果を示す。
(比較例2)
比較例1において、インクセット1を製造例9の染料インク(水溶性着色剤)セットに変えた以外は、比較例1と同様にして、画像記録を行った。
(比較例3)
実施例1において、インクセット1を製造例9の染料インク(水溶性着色剤)セットに変えた以外は、実施例1と同様にして、画像記録を行った。
次に、実施例1〜7及び比較例1〜3について、以下のようにして、画像濃度、小滴バンディング、及び大滴画像ボケについて評価した。結果を表3に示す。
<画像濃度>
実施例及び比較例のマゼンタインクのベタ画像部の光学濃度をX−Rite932にて測定し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:マゼンタ画像濃度が1.6以上
○:マゼンタ画像濃度が1.3以上
△:マゼンタ画像濃度が1.0以上
×:マゼンタ画像濃度が1.0未満
<小滴バンディング>
小滴を使用してグレーのハーフトーンベタ画像を印字し、バンディング(スジ)の発生状況を目視観察し、下記基準で評価した。
〔評価基準〕
○:バンディングがないか、ほとんど目立たず、均一な画像である
×:バンディングが目立ち、均一性に劣る
<大滴画像ボケ>
大滴を使用して印字し、実施例及び比較例の画像部の色境界や細線のボケの程度を目視で観察し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:ボケの発生なくシャープな印刷である
○:かすかにボケの発生が認められるが、全く気にならないレベルである
△:ボケの発生が認められるが、画像品位を損なわないレベルである
×:明確にボケの発生が認められ、画像として完全に不適切なレベルである
図20、図21、及び表3の結果から、前処理液を付与していない、インク吸収性に優れた記録用紙1を用いた比較例1は、ドットの形状は理想的であるが、滴量に対するドット径が小さ過ぎるため、画像を作成する際に多量のインク(多数の滴)を使用しなければならない。
これに対し、実施例1〜7では、同一滴サイズでも比較例1より滴径を大きくできるので、(特に中小滴を使った場合に)、比較例に比べてインク付着量が少なくても埋まりの良い画像が得られることが認められた。
実施例3〜5の大滴サイズが大きすぎる(付着量が多すぎる)ため、ドット形状は悪化している(表3の大滴画像ボケの結果参照)が、中滴及び小滴では少ないインク量であっても埋まりの良い、良好な画像が形成できることが分かった。
本発明のインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置は、一般の商業用印刷用の用紙に近い風合いの記録媒体、又は一般の商業用紙及び出版用紙のうち、所定の条件を満たすものを用いて、いわゆる「切れ」の良い、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリング、ブリードの生じない印字品位の優れた光沢感のある記録画像を提供することができる。
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、印刷機などに特に好適に適用することができる。
図1は、本発明のインクカートリッジの一例を示す概略図である。 図2は、図1のインクカートリッジのケースも含めた概略図である。 図3は、インクジェット記録装置のインクカートリッジ装填部のカバーを開いた状態の斜視説明図である。 図4は、インクジェット記録装置の全体構成を説明する概略構成図である 図5は、本発明のインクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドの一例を示す概略拡大図である。 図6は、本発明のインクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドの一例を示す要素拡大図である。 図7は、本発明のインクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドの一例を示す要部拡大断面図である。 図8は、本発明のインクジェット記録装置の構成を示すブロック図である。 図9は、本発明のインクジェット記録装置における画像処理の流れを示すフローチャートである。 図10は、本実施形態に係るインクの組み合せテーブル(第2テーブル)である。 図11は、本実施形態に係るインクの組み合せテーブル(第2テーブル)である。 図12は、本実施形態に係るインクの組み合せテーブル(第2テーブル)である。 図13は、マルチ(4)パス記録方式を示した図である。 図14は、記録素子列を示す図である。 図15は、記録素子列を示す別の図である。 図16は、記録素子列を示す更に別の図である。 図17は、記録素子の組み合わせパターンの一例である。 図18は、インク組み合わせテーブル(第1テーブル)の一例である。 図19は、本発明のインクジェット記録装置における前処理液塗布装置の一例を示す側面断面図である。 図20は、比較例1、及び実施例1〜2のドッド画像の結果を示す図である。 図21は、実施例3〜5のドット画像の結果を示す図である。
符号の説明
10 フレーム
20 流路板
30 ノズルプレート
40 ベース
50 積層圧電素子
60 振動板
70 接着層
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
144 分離パッド
151 搬送ベルト
152 再度カウンタローラ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 デンションローラ
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
201 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジ外装
301 研磨ユニット
302 研磨ロール
303 クリーニングロール
401 前処理液
402 膜厚制御ローラ
403 汲み上げローラ
404 塗布ローラ
405 カウンタローラ
406 用紙
407 給紙ローラ
408 給紙トレイ
411、412、413、414、415、416 用紙送りローラ
417 用紙
418 給紙ローラ
420 記録ヘッド
421 インクカートリッジ
422 キャリッジ軸
423 キャリッジ
442 前処理液容器

Claims (21)

  1. 支持体の少なくとも一方の面上に少なくとも1層のバリア塗工層を有する記録媒体に、少なくとも界面活性剤を含有する前処理液を付与して前処理を行う前処理工程と、
    少なくとも水分散性着色剤を含有するインクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて前処理後の記録媒体に画像を記録するインク飛翔工程とを少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
  2. 刺激が、熱、圧力、振動及び光から選択される少なくとも1種である請求項1に記載のインクジェット記録方法。
  3. 記録媒体が、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の転移量が35ml/m以下であり、かつ接触時間400msにおける純水の転移量が40ml/m以下である請求項1から2のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  4. 前処理後の記録媒体におけるインクの液滴滴下法による接触角が、インク滴下5秒間後で15°以上35°以下である請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  5. 前処理液の付与が、前処理手段を記録媒体に当接させて行われる請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  6. 前処理手段がローラである請求項5に記載のインクジェット記録方法。
  7. 液滴サイズが20pl以上のインク、及び液滴サイズが20pl以上のインクと液滴サイズが20pl未満のインクとの組み合わせのいずれかを用いる請求項1から6のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  8. インクの最大付着量が15g/m以下である請求項1から7のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  9. 水分散性着色剤が顔料及び着色微粒子のいずれかであり、かつ該着色剤の体積平均粒径が0.01〜0.16μmである請求項1から8のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  10. インクの25℃での粘度が3mPa・s以上である請求項1から9のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  11. インクが浸透剤を含み、かつ該浸透剤が、炭素数8以上のポリオール化合物及びグリコールエーテル化合物のいずれかである請求項1から10のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  12. 炭素数8以上のポリオール化合物が、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール及び2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールの少なくともいずれかである請求項11に記載のインクジェット記録方法。
  13. インクが界面活性剤を含有し、該界面活性剤が、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、及び(VI)から選択される少なくとも1種である請求項1から12のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
    −O−(CHCHO)CHCOOM ・・・一般式(I)
    ただし、前記一般式(I)中、Rは、アルキル基を表す。hは、3〜12の整数を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
    ただし、前記一般式(II)中、Rは、アルキル基を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
    ただし、前記一般式(III)中、Rは、炭化水素基を表す。kは、5〜20の整数を表す。
    −(OCHCHOH ・・・一般式(IV)
    ただし、前記一般式(IV)中、Rは、炭化水素基を表す。jは、5〜20の整数を表す。
    ただし、前記一般式(V)中、Rは、炭化水素基を表す。L及びpは、それぞれ1〜20の整数を表す。
    ただし、前記一般式(VI)中、q及びrは、それぞれ0〜40の整数を表す。
  14. インクが湿潤剤を含有し、かつ該湿潤剤がポリオール化合物、ラクタム化合物、尿素化合物及び糖類から選択される少なくともいずれかである請求項1から13のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  15. ポリオール化合物が、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパンから選択される少なくとも1種である請求項14に記載のインクジェット記録方法。
  16. ラクタム化合物が、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン及びε−カプロラクタムから選択される少なくとも1種である請求項14から15のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  17. 尿素化合物が、尿素、チオ尿素、エチレン尿素及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選択される少なくとも1種である請求項14から16のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  18. 糖類が、マルチトース、ソルビトース、グルコノラクトン及びマルトースから選択される少なくとも1種である請求項14から17のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  19. 湿潤剤のインクにおける含有量が10〜50質量%である請求項14から18のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  20. インクが、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク及びブラックインクから選択される少なくとも1種である請求項1から19のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
  21. 支持体と該支持体の少なくとも一方の面上に少なくとも1層のバリア塗工層とを有する記録媒体と、
    前記記録媒体に、少なくとも界面活性剤を含有する前処理液を付与して前処理を行う前処理手段と、
    少なくとも水分散性着色剤を含有するインクに刺激を印加し、該インクを飛翔させて前処理後の記録媒体に画像を記録するインク飛翔手段とを少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
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