JP2013188982A - インクジェット記録装置及び記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】定着装置の汚れを防止して印刷物を汚すことなく、かつ短時間に多くの印刷を行うことができるインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】インクジェット方式により、コート層を有するメディアにインクを吐出させて画像を形成する画像形成手段、該画像形成手段により形成された画像を定着する定着手段を有するインクジェット記録装置であって、前記定着手段は、画像に直接接触して加熱する加熱手段、及び、画像と該加熱手段との接触面間に離型剤を供給する離型剤供給手段を有するものであることを特徴とするインクジェット記録装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェット方式により、オフセット印刷等の商業用印刷に近い高画質画像を記録することができるインクジェット記録装置及び記録方法に関する。
インクジェット記録は、プリンタやインク、メディアの高性能化に伴い、銀塩写真同等の画質が手軽に得られるようになってきた。従来、オフセット印刷で用いていた高画質な商業印刷向けのコート紙に、この記録方法を利用したいというニーズが大変高まっている。
しかし、インクジェット記録により、オフセット印刷のような高画質を得るにはインクジェットプロセス向きに設計された高価なメディアを使用する必要があり、大量印刷の方法としては普及していないのが現状である。
特許文献1の特開2007−144975公報には、表面張力の低い顔料インクとインク吸収性の低いメディアとを組み合せることにより、商業印刷物に近い印字物を低コストで形成することを実現した例もあるが、インク定着に長時間を必要とするなど、利便性の面から普及していない。
比較的安価な、所謂、オフセット印刷向けに設計されたコート紙は、短時間に多量の水系インクを吸収できるように設計されていないため、インクの吸収が間に合わず滲んでしまったり、インク色材がコート層中のカオリンのような隠蔽性の高いフィラーに隠蔽されて濃度が出なかったり、乾燥に時間がかかり、画像形成に時間がかかり、生産性が低いなどの問題を有するため、そのままインクジェット記録方式に利用するのは困難である。
オフセット印刷向けに設計されたコート紙を用いるものではないが、印字直後のインクジェット印字物に対し乾燥性や定着性を上げるために、画像を加熱乾燥することが有効であることが知られている。
例えば、特許文献2の特開平8−92513号公報には、微粒子状に分散された着色樹脂粒子を使用して印字後、画像を加熱定着することが提案されている。
また、特許文献3の特許第2860123号公報には、印写が行われた記録媒体を、加熱ローラと加圧ローラとの間に挟んで圧接するとともに、前記記録媒体の印写面を、前記加熱ローラに直接接触させることにより定着することが開示されている。
また、特許文献4の特許第2590822号公報では、インクジェット印字し終わったメディアを裏面から加熱し、乾燥を促進することで定着性を上げる工夫がされている。
しかし、これら方法は、いずれも普通紙のようにインク吸収が速く、印字直後の画像に加熱・乾燥部材が接触しても画像が乱れないことが前提であり、印刷物の裏面から加熱することで乾燥定着を行うなど、オフセット印刷向けコート紙を高速に処理できる技術ではなく、また、高沸点溶剤を多く含む水系インクジェットインクに対しては殆んど効果がない。
また、特許文献5の特開2000−108495号公報には、印字後の画像に潤滑物質を供給し、印字面の擦れによる顔料の脱落を防止して定着強度を改善することが開示されているが、これもインク吸収が速い普通紙を用いるものであり、また、熱により画像を乾燥させるものでもない。
我々は、先に、特許文献6の特開2008−100511号公報で、コート紙に印刷された画像を熱ローラで直接加熱し定着を行う技術を開示した。
この方法は、用紙対応力が広く、特にオフセット印刷用コート紙に対してフルカラー印字が可能であり、印字品位が良好で商業印刷物に近い質感の印字物を、安価かつ簡便に印字でき、印刷物の耐擦性も優れており、大変有用なものであったが、定着前にある程度インクを乾燥させる必要があり、また、短時間に多くの印刷を行うと加熱ローラがインクで汚れ、印刷物を汚してしまうなど改善の余地がある。
本発明は、上記特開2008−100511号公報のインクジェット記録方法を改善するものであり、定着装置の汚れを防止して印刷物を汚すことなく、かつ短時間に多くの印刷を行うことができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、画像に接触して加熱する定着装置と画像との接触面間に離型剤を供給することで上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、上記課題は、本発明の、下記(1)〜(11)によって解決される。
(1)「インクジェット方式により、コート層を有するメディアにインクを吐出させて画像を形成する画像形成手段、該画像形成手段により形成された画像を定着する定着手段を有するインクジェット記録装置であって、前記定着手段は、画像に直接接触して加熱する加熱手段、及び、画像と該加熱手段との接触面間に離型剤を供給する離型剤供給手段を有するものであることを特徴とするインクジェット記録装置」、
(2)「前記定着手段は、画像が指触乾燥後に加熱定着するものであることを特徴とする前記第(1)項に記載のインクジェット記録装置」、
(3)「前記加熱手段は、画像との接触部の温度が40℃以上150℃以下であることを特徴とする前記第(1)項または前記第(2)項に記載のインクジェット記録装置」、
(4)「前記加熱手段は、熱ローラであることを特徴とする前記第(1)項乃至前記第(3)項のいずれかに記載のインクジェット記録装置」、
(5)「前記離型剤は融点が50℃以上であることを特徴とする前記第(1)項乃至前記第(4)項のいずれかに記載のインクジェット記録装置」、
(6)「前記離型剤は金属石鹸であることを特徴とする前記第(1)項乃至前記第(5)項のいずれかに記載のインクジェット記録装置」、
(7)「前記メディアは、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の記録用メディアへの転移量が30ml/m以下であり、且つ接触時間400msにおける純水の記録用メディアへの転移量が35ml/m以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至前記第(6)項のいずれかに記載のインクジェット記録装置」、
(8)「前記画像形成手段は、インク付着量が15g/m以下で画像を形成するものであることを特徴とする前記第(1)乃至前記第(7)項のいずれかに記載のインクジェット記録装置」、
(9)「前記インクは、少なくとも着色剤と水を含有する水性インクであることを特徴とする前記第(1)乃至前記第(8)項のいずれかに記載のインクジェット記録装置」、
(10)「前記水性インクは、さらに樹脂成分を含むものであることを特徴とする前記第(9)項に記載のインクジェット記録装置」、
(11)「インクジェット方式により、コート層を有するメディアにインクを吐出させて画像を形成する画像形成工程、該画像形成工程により形成された画像を定着する定着工程を有するインクジェット記録方法であって、前記定着工程は、画像と加熱手段との接触面間に離型剤を供給し、画像に直接接触して加熱するものであることを特徴とするインクジェット記録方法」。
以下の詳細かつ具体的な説明から理解されるように、本発明によれば、特開2008−100511号公報のインクジェット記録方法の問題点を改善し、定着装置の汚れを防止して印刷物を汚すことなく、かつ短時間に多くの印刷を行うことができるインクジェット記録装置を提供できる。
加熱定着装置の一例を示す図である。 熱ローラ定着装置のヒータを示した図である。 熱ローラ定着装置の2本ヒータ方式のヒータを示す図である。 2本ヒータ方式のヒータと通紙幅との関係を示す図である。 本発明における離型剤供給手段の一例を示す図である。 本発明におけるインク総量規制処理の流れを示すフローチャートである。 インクジェット記録装置のインクカートリッジ装填部のカバーを開いた状態の斜視説明図である。 インクジェット記録装置の全体構成を説明する概略構成図である。 インクジェットヘッドの一例を示す概略構成図である。 インクジェット記録装置の全体構成を説明する概略構成図である。
本発明のインクジェット記録装置について詳細に説明する。
本発明のインクジェット記録装置は、画像形成手段、該画像形成手段により形成された画像を定着する定着手段を有する。
<定着手段>
前記定着手段は、画像に直接接触して加熱する加熱手段、及び、画像と該定着装置との接触面間に離型剤を供給する離型剤供給手段を有する。
前記加熱手段は画像と直接接触して加熱するものであり、従来公知の加熱手段を使用すすることができる。
図1に加熱手段としての熱ローラの例を示す。互いに圧接する1対のローラ(1)、(2)の少なくとも一方に、概ねローラの全長にわたって発熱フィラメント(3)を有するヒータ(4)を内蔵するローラ対により未定着画像を担持する記録媒体(5)を挟持搬送し、画像を紙に定着する熱ローラ定着方式が有効である。
熱ローラを用いた加熱定着方式は、熱効率が高く安全である等の理由で複写機等にも最も広く使われている。これは、2つのローラを圧接し、そのうちの少なくとも一方のローラを加熱し、この2つのローラの圧接部分(ニップ部)に画像支持体(記録用紙)を通過させることにより、画像を加熱し支持体に定着させる方式である。
2つのローラのうちの一方を加熱する場合、加熱する方のローラを定着ローラと呼び、他方のローラを加圧ローラと呼ぶ。定着ローラの内部にはハロゲンランプあるいは電気ヒータ等の熱源が定着ローラの軸方向に内装されている。定着ローラの外側表面には温度センサが取り付けられており、ニップ部の温度が定着に適した温度に維持されるように、熱源への電力供給量が制御される。
上記のヒータは、これを内蔵するローラの周面に接するサーミスタ等の温度検知手段(6)によりローラの表面温度を検知し、これが所定の温度を維持するように点滅制御される。この場合、熱ローラ定着装置のヒータは、図2に示す如く、定着ローラ(1)内に全長にわたって一本の発熱フィラメント(3)を有するヒータ(4)が内蔵され、定着ローラの長さの中央付近で該ローラの周面に接する温度検知手段(6)の信号により発熱フィラメント(3)の点滅を制御する。
従来、このような加熱定着方式の定着装置においては、軸方向の温度分布を均一にすることが困難であった。すなわち、B5やA4サイズの記録用紙等の小サイズな被加熱材が通過する領域(通紙部領域)では、その被加熱材の加熱のために熱が消費されるが、非通紙部領域では被加熱材の加熱に熱が消費されないので蓄熱し、この非通紙部領域のニップ部の温度が、所定温度に維持管理される通紙部領域のニップ部の温度よりも高くなってしまう。
このため、小サイズの被加熱材を連続通紙した後に大サイズ被加熱材を通紙した場合(例えばA4サイズの用紙を連続通紙した後、A3サイズの用紙を通紙する場合)、大サイズ被加熱材に定着ムラやシワが発生したり、色材が溶けて定着ローラに付着し、被加熱材の表面を汚す(この現象をホットオフセットと呼ぶ)などの問題が生じる場合がある。
上記の欠点を改善する目的で、通紙幅に応じて発熱長を切換えるようにしたヒータと、それを用いたローラも使用可能である。
図3(a),(b)にその構成の例を示す。図3の(a)では、発熱フィラメント(10)の長さが最大サイズ通紙幅より長いヒータ(11)と、発熱フィラメント(12)の長さが短く中央部のみにあるヒータ(13)との2本のヒータを図4に示す如く定着ローラ(1)内に設けてあり、使用するヒータを切換えることにより、全点灯と部分点灯を切換えるものである。
図3の(b)に示す例では、発熱フィラメント(14)の中央部所定の長さの両端部でフィラメントに分岐回路を設け、同一のフィラメントを使って全点灯を部分点灯とに切換えられるデュアルフィラメントヒータ(15)である。この場合も、全点灯時の発熱長さは最大サイズの用紙の幅よりも長く設定されている。又、部分点灯長さは小サイズの用紙の通紙幅よりも若干長くされている。
図4は上記の2本ヒータ方式のヒータと通紙幅との関係を示す図である。この方式又はデュアルフィラメント方式のいずれの場合も、大サイズ用紙(7)の通紙時には全点灯、小サイズ用紙(8)の通紙時には部分点灯回路をローラ中央部に接して設けられた温度検知手段(6)、例えばサーミスタにより点滅制御する。
これら熱ローラの表面の材質はシリコンやシリコンゴム、テフロン(登録商標)等のフッ素系樹脂が用いられたり、ウレタンゴムや天然ゴム、金属ローラに離型性に優れたシリコーン樹脂やフッ素系樹脂をコーティングしたものが用いられるが、撥インク性と熱安定性に優れるものであれば良く、これらに限定されない。
前記定着装置での定着温度は、必ずしも離型剤が溶融する必要はないが、離型剤が溶融していない状態では、多量の離型剤が必要になり、離型剤による他の部材等の汚染が生じることがある。
定着部材表面では離型剤が溶融し、記録メディアとの接触により離型剤が冷やされ、記録メディア上で離型剤が固化する温度で定着することが好ましい。離型剤が溶融する温度であると、定着部材表面に離型剤の薄く均一な膜が形成され、少量の離型剤で定着部材の汚れを防止できると共に、離型剤による画像の可塑化を防止できる。
使用する離型剤及びインク中の樹脂成分等にもよるが、記録メディアとの接触部での温度は、40℃以上150℃であることが好ましく、60℃以上120℃であることがより好ましく、80℃以上120℃であることがさらに好ましい。
接触部の温度が40℃未満では充分定着できずスミアが発生することがあり、150℃を超えると用紙が過熱され水蒸気の気泡によるブリスターが発生することがある。
<離型剤供給手段>
離型剤供給手段は、熱ローラなどの定着部材と画像の間に離型剤を供給するものである。定着部材と画像の間に離型剤を供給することで、画像形成から定着までの時間が短くても、定着装置がインクで汚れることを防止でき、画像を高速で形成できると共に、画像の耐擦性を向上させることができる。
前記離型剤は、常温で固体である必要があり、離型剤の融点は50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、80℃以上150℃以下であることがさらに好ましい。
離型剤が常温で液体であると、定着後の画像表面に残留した離型剤が画像を可塑化し、耐擦性が低下することがある。
また、離型剤の融点が50℃未満であると加熱部材への画像(インク)転写抑制が十分でなく、長時間の使用により加熱部材が汚れることがある。
離型剤の塗布量としては、画像上に移る離型剤が50mg/m以上500mg/m以下であることが好ましい。50mg/m未満では加熱部材が汚れることがあり、500mg/mを超えると画像から離型剤が他の部材や他の印刷面への転写が発生することがある。
前記離型剤としては、金属石鹸類、ワックス類、フッ素含有樹脂類を使用できるが、離型効果、ならびに融点の観点からステアリン酸亜鉛が好適である。
前記離型剤は、成型して固体のまま供給してもよく、離型剤をあらかじめ液体中に分散し、それを加熱部材と画像の間に供給してもよい。離型剤をあらかじめ液体中に分散することで、定着部材上に薄く均一な離型剤膜を形成でき好ましい。
離型剤供給手段の例を図5に示す。離型剤供給手段は、離型剤(T1)、離型剤塗布装置(T2)からなっている。必要に応じ、離型剤均し部材としての離型剤均しブレード(T6)を設けてもよい。
離型剤塗布装置(T2)は、ローラでもブラシでもよく、回転しながら離型剤(T1)を熱ローラ(T3)表面に塗布する。このとき、離型剤塗布装置(T2)にはギヤ機構を設けて、軸を可変回転させることも可能である。 駆動方法はモーターなど、公知の方法を利用可能である。またこれらの回転をCPU及びメモリから構成されたマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する)で駆動制御することもできる。
離型剤は成型された固体のものでもよく、その場合は特開2005−266273号公報などで開示された方法を利用できる。また、水溶液中に分散された粒子状のものを利用してもよい。
離型剤塗布装置(T2)は、離型剤(T1)を擦り取り、熱ローラ(T3)に塗りつける機能を有する。 このため、適度な表面粗さと当接圧力の均一性を維持するための柔軟性が必要である。
離型剤塗布装置(T2)としては、発泡ゴム、ローラ状ブラシを用いてもよいが、これらは、表面の平滑性が低いので、離型剤の消費が多くなりがちである。
離型剤塗布装置(T2)としては、シリコーンゴム、ウレタンゴム、その他の合成ゴムのローラの表面に比較的硬質の樹脂コート、例えば、ポリアミド、ポリエチレン、PET、フッ素を含有する樹脂等を施したローラは、耐久性が高く好ましく使用できる。
離型剤均しブレード(T6)は、塗布された余分な離型剤を塞き止め、均一に均し、さらに、ローラに離型剤をしっかりと付着させて余計な所に離型剤が移行しないようにするものである。
離型剤均しブレードの当接の均一性、耐磨耗性等を考慮し、PET、ポリアミド、ウレタンゴム、その他の合成ゴムのブレードが用いられる。
本発明の定着手段は、画像形成手段で画像を形成した後、画像に直接接触して加熱する加熱手段で画像を定着処理するまでに、インク中の低粘度な水性媒体をある程度浸透させておくことが重要である。本発明では加熱手段との接触面間に離型剤を供給するすためインクが充分乾燥していなくても加熱定着が可能であるが、印字直後から加熱定着までに数秒間確保し、インク中の水や低粘度な水性媒体を浸透させ、メディア上の色材が加熱部材に転写しない状態まで粘度を上げ、指触乾燥させておくことが好ましい。
この指触乾燥時間は、メディアの水転移量にもよるが、本発明のメディアを使用する場合、インクがメディア上に着弾してから、25℃50%環境下で5秒以上確保することが望ましく、より望ましくは15秒以上である。
この時間は長くとる分には構わないが、生産性に影響を与えるため、短い方が望ましい。この時間を短縮するためには外部から熱を加えることが有効であり、熱風乾燥機やドライヤー、マイクロ波など公知の非接触加熱が利用可能である。
前記熱風を使用する場合、40℃以下では効果が期待できない。一方、風温が高すぎるとメディアにダメージを与えてしまうため、180℃以下であることが望ましい。
これら熱定着手段は、画像形成手段と一体になっていても、別筐体でも良く、必要なときに画像形成手段に接続して使用することも可能である。
<画像形成手段及び画像形成方法>
本発明の画像形成手段は、インク飛翔手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、刺激発生手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像形成記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。
また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
本発明では、インク吸収性の低いメディアに高品位な画像を形成することを可能にするため、画像形成のためのインク総量を制限することが好ましい。ここで、インク総量とは、画像を形成する際の重要なパラメーターであり、最高濃度のベタ画像を形成する際の単位面積当たりのインク量のことを指す。
本発明では、このインク総量を規定することで、インク吸収量が低いメディアに対しても、ビーディングやブリードの少ない均一な高品位の画像を形成することが可能となる。 インク総量の上限を超えて、従来のインクジェット記録のように多量のインクを使用すると、乾燥が追いつかず、作像に大きく支障をきたし、品質の良い画像が得られないことがある。
インク総量は、使用するインクやメディアにもよるが、本発明のインク及びメディアを用いる場合、画像作成時の最大インク付着量(インク総量規制値)は15g/mであることが好ましく、12g/m以下であることがより好ましい。
インク総量規制値以下のインク付着量で作像を行うことで、ビーディングやブリードのない、非常に高画質な画像を得ることができる。
次に、総量規制処理について説明する。
総量規制処理のフローを図6に示す。ここで示す総量規制値とはインクが過多に付着することにより発生する現象、例えばインク溢れ(ビーディング)や耐コックリング性低下により発生するコスレや転写、用紙詰まりが発生しないよう評価した結果から求まるインク滴量のことである。
総量規制値の規定方法としては、例えば600×600dpi、100×100のマスクサイズにおける滴量(単位はpl)で表すことができる。
本発明にて実施される、前記記録媒体上に印写を行う場合の総量規制値としては、本発明者らが実験を行ったところ、普通紙の総量規制値と同程度、絹目光沢紙における総量規制値の約55%の滴量が妥当である。
また、実際に総量規制処理がかかる事象としては入力値から得られた滴量が総量規制値よりも多い場合であり、その場合、Bkインク滴量を減らすことなく、CMY各色のインク滴量を減らすことによって、インク総量規制値以下の滴量に抑える処理を行う。
なお、本発明においては、インク総量は、質量法を用いて測定した。具体的にはインクジェット専用紙であるスーパーファイン専用紙(エプソン社製)に5cm×20cm(100cm)の矩形ベタ画像を最高濃度で印字し、印字直後に質量を測定し、印字前の質量を差し引き、その値を100倍してインク総量とした。
<インク飛翔手段>
本発明のインク飛翔手段としては、インクジェットヘッドとして、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(例えば、特開平2−51734号公報参照)、あるいは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(例えば、特開昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(例えば、特開平6−71882号公報参照)などいずれのインクジェットヘッドを搭載するプリンタを良好に使用できる。
前記インク飛翔手段は、本発明の前記インクに、刺激を印加し、該インクを飛翔させて前記記録用メディアに画像を記録する手段である。該インク飛翔手段としては、特に制限はなく、例えば、インク吐出用の各種のノズル、などが挙げられる。
本発明においては、該インクジェットヘッドの液室部、流体抵抗部、振動板、及びノズル部材の少なくとも一部がシリコン及びニッケルの少なくともいずれかを含む材料から形成されることが好ましい。
また、インクジェットノズルのノズル径は、30μm以下が好ましく、1〜20μmが好ましい。
また、インクジェットヘッド上にインクを供給するためのサブタンクを有し、該サブタンクにインクカートリッジから供給チューブを介してインクが補充されるように構成することが好ましい。
また、本発明のインクジェット記録方法では、300dpi以上の解像度において、最大インク付着量が8〜15g/mであることが好ましい。
前記刺激は、例えば、刺激発生手段により発生させることができ、該刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱、圧力、振動、光、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
なお、前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト、などが挙げられ、具体的には、例えば、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等、などが挙げられる。
前記インクの飛翔の態様としては、特に制限はなく、前記刺激の種類等応じて異なり、例えば、前記刺激が「熱」の場合、記録ヘッド内の前記インクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを例えばサーマルヘッド等を用いて付与し、該熱エネルギーにより前記インクに気泡を発生させ、該気泡の圧力により、該記録ヘッドのノズル孔から該インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。
また、前記刺激が「圧力」の場合、例えば記録ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、前記記録ヘッドのノズル孔から該インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。
前記飛翔させるインクの液滴の大きさとしては、例えば、1〜40plとするのが好ましく、その吐出噴射の速さとしては5〜20m/sが好ましく、その駆動周波数としては1kHz以上が好ましく、その解像度としては300dpi以上が好ましい。
なお、前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
本発明のインクジェット記録装置により本発明のインクジェット記録方法を実施する一の態様について、図面を参照しながら説明する。図7に示すインクジェット記録装置は、装置本体(101)と、装置本体(101)に装着した用紙を装填するための給紙トレイ(102)と、装置本体(101)に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ(103)と、インクカートリッジ装填部(104)とを有する。
インクカートリッジ装填部(104)の上面には、操作キーや表示器などの操作部(105)が配置されている。インクカートリッジ装填部(104)は、インクカートリッジ(201)の脱着を行うための開閉可能な前カバー(115)を有している。
装置本体(101)内には、図8及び図9に示すように、図示を省略している左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド(131)とステー(132)とでキャリッジ(133)を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ(不図示)によって図9で矢示方向に移動走査する。
キャリッジ(133)には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド(134)を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド(134)を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどをインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、キャリッジ(133)には、記録ヘッド(134)に各色のインクを供給するための各色のサブタンク(135)を搭載している。サブタンク(135)には、図示しないインク供給チューブを介して、インクカートリッジ装填部(105)に装填された本発明のインクカートリッジ1から本発明の前記インクメディアセットにおけるインクが供給されて補充される。
一方、給紙トレイ(103)の用紙積載部(圧板)(141)上に積載した用紙(142)を給紙するための給紙部として、用紙積載部(141)から用紙(142)を1枚づつ分離給送する半月コロ(給紙コロ143)、及び給紙コロ(43)に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド(144)を備え、この分離パッド(144)は給紙コロ(143)側に付勢されている。
この給紙部から給紙された用紙(142)を記録ヘッド(134)の下方側で搬送するための搬送部として、用紙(142)を静電吸着して搬送するための搬送ベルト(151)と、給紙部からガイド(145)を介して送られる用紙(142)を搬送ベルト(151)との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ(152)と、略鉛直上方に送られる用紙(142)を略90°方向転換させて搬送ベルト(151)上に倣わせるための搬送ガイド(153)と、押さえ部材(154)で搬送ベルト(151)側に付勢された先端加圧コロ(155)とが備えられ、また、搬送ベルト(151)表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ(156)が備えられている。
搬送ベルト(151)は、無端状ベルトであり、搬送ローラ(157)とテンションローラ(158)との間に張架されて、ベルト搬送方向に周回可能である。この搬送ベルト(151)は、例えば、抵抗制御を行っていない厚さ40μm程度の樹脂材、例えば、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。
搬送ベルト(151)の裏側には、記録ヘッド(134)による印写領域に対応してガイド部材(161)が配置されている。なお、記録ヘッド(134)で記録された用紙(142)を排紙するための排紙部として、搬送ベルト(151)から用紙(142)を分離するための分離爪(171)と、排紙ローラ(172)及び排紙コロ(173)とが備えられており、排紙ローラ(172)の下方に排紙トレイ(103)が配されている。
装置本体(101)の背面部には、両面給紙ユニット(181)が着脱自在に装着されている。両面給紙ユニット(181)は、搬送ベルト(151)の逆方向回転で戻される用紙(142)を取り込んで反転させて再度カウンタローラ(152)と搬送ベルト(151)との間に給紙する。なお、両面給紙ユニット(181)の上面には手差し給紙部(182)が設けられている。
このインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙(142)が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙(142)は、ガイド(145)で案内され、搬送ベルト(151)とカウンタローラ(152)との間に挟まれて搬送される。更に先端を搬送ガイド(153)で案内されて先端加圧コロ(155)で搬送ベルト(151)に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ(156)によって搬送ベルト(157)が帯電されており、用紙(142)は、搬送ベルト(151)に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ(133)を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド(134)を駆動することにより、停止している用紙(142)にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙(142)を所定量搬送後、次行の記録を行う。記録終了信号又は用紙(142)の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙(142)を排紙トレイ(103)に排紙する。
そして、サブタンク(135)内のインクの残量ニアーエンドが検知されると、インクカートリッジ1から所要量のインクがサブタンク(135)に補給される。
なお、ここでは、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例で説明したが、ライン型ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
<記録メディア>
本発明のインクジェット記録装置は、インク中の顔料と水性媒体を分離し、水性媒体のみを基体に浸透させるコート層を有するものであれば使用することができるが、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の記録用メディアへの転移量が30ml/m以下であり、且つ接触時間400msにおける純水の記録用メディアへの転移量が35ml/m以下であることが好ましい。
なお、本発明においては、記録用メディアへの転移量を、動的走査吸液計(K350シリーズD型、協和精工株式会社製)を用いて、25℃50%RHにて、純水の転移量を測定した。
接触時間100ms及び接触時間400msにおける転移量は、それぞれの接触時間の近隣の接触時間における転移量の測定値から補間により求めた。
インク中の顔料と水性媒体を分離するには、コート層がポアを持つような、微細構造を取ることが望ましい。コート層に微細構造が全く存在しないとインク中の水性媒体成分の浸透が遅くなるため、インクが乾かない現象が生じやすくなる。
但し、微細構造が多すぎると、インク中の色材顔料を分離する機能が低下し、画像濃度低下が発生したり、印字後にメディア表面に存在する色材顔料が経時でメディア内部にマイグレートし、色の変化を引き起こしてしまう。これらの条件を満たせば、いかなる商業印刷用紙や出版印刷用紙をも使用することが可能である。
純水の記録用メディアへの転移量が前記範囲を満たしたメディアのコート層は、インク中の顔料と水性媒体を分離し、水性媒体のみを基体に浸透させる機能を有しているとみなせ、本発明インクジェット記録装置と組み合わせることで、いわゆる「切れ」の良い、文字、画像の周辺部分にボケ、フェザリング、ブリードのない、光学的濃度(OD)の高い記録画像を形成することができる。
記録メディアの転移量が、前記範囲よりも多いと、色材の層中への染み込みや、基体への染み込みが発生し、コート層顔料に色材が隠蔽され、高濃度な画像が得られない。
前記コート層は、顔料及びバインダー(結着剤)を含有してなり、更に必要に応じて、界面活性剤、その他の成分を含有してもよい。
前記顔料としては、無機顔料、もしくは無機顔料と有機顔料を併用したものを用いることができる。
前記無機顔料としては、炭酸マグネシウム、タルク、カオリン、イライト、クレー、炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、チタンホワイト、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、非晶質シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、クローライト等を挙げることができる。これらの顔料の中でも、屈折率がなるべく高いものを使用することにより、コート層の厚みを薄くすることができる。
但しコストの点からは炭酸カルシウムやカオリンを使用することが好ましい。これらの顔料は、本発明の効果を損なわない限り併用することができ、また、列挙しなかった他の顔料と併用することもできる。 カオリンは光沢発現性に優れており、オフセット印刷の風合いとすることができるので好ましく使用できる。
前記カオリンには、デラミネーテッドカオリン、焼成カオリン、表面改質等によるエンジニアードカオリン等があり、光沢発現性を考慮すると、粒子径が2μm以下の割合が80質量%以上の粒子径分布を有するカオリンが、カオリン全体の50質量%以上を占めていることが好ましい。
前記カオリンの添加量は、前記塗工層の全顔料100質量部に対し50質量部以上が好ましい。前記添加量が50質量部未満であると、光沢度において十分な効果が得られないことがある。前記添加量の上限は特に制限はないが、カオリンの流動性、特に高せん断力下での増粘性を考慮すると、塗工適性の点から、90質量部以下がより好ましい。
また、これら高屈折率の顔料と、低屈折率のシリカや有機顔料を併用しても良い。有機顔料には、プラスチックピグメントが含まれ、例えば、スチレン・アクリル共重合体粒子、スチレン・ブタジエン共重合体粒子、ポリスチレン粒子、ポリエチレン粒子等の水溶性ディスパージョンがある。これら有機顔料は2種以上が混合されてもよい。
有機顔料は、光沢発現性に優れていることと、その比重が無機顔料と比べて小さいことから、嵩高・高光沢で、表面被覆性の良好な塗工層を得ることができるが、2質量部未満では、前記効果がなく、5質量部を超えると、裏抜けが発生しやすくなり、コスト面からも経済的ではない。有機顔料にはその形態において、密実型、中空型、ドーナツ型等があるが、光沢発現性、表面被覆性および塗工液の流動性のバランスを鑑み、平均粒子径が0.2〜3.0μmの範囲にあることが望ましく、より好ましくは空隙率40%以上の中空型が採用される。
有機顔料にはその形態において、密実型、中空型、ドーナツ型等があり、光沢発現性、表面被覆性および塗工液の流動性のバランスを鑑み、平均粒子径が0.2〜3.0μmの範囲にあることが望ましく、より好ましくは空隙率40%以上の中空型が採用される。
前記有機顔料の添加量は、前記塗工層の全顔料100質量部に対し2〜20質量部が好ましい。前記有機顔料は、光沢発現性に優れていることと、その比重が無機顔料と比べて小さいことから、嵩高く、高光沢で、表面被覆性の良好な塗工層を得ることができる。前記添加量が2質量部未満であると、前記効果がなく、20質量部を超えると、塗工液の流動性が悪化し、塗工操業性の低下に繋がることと、コスト面からも経済的ではない。
<バインダ>
本発明で使用される記録メディアのコート層のバインダは、コート層を構成する顔料及び基紙との接着力が強いと共に、ブロッキングを起こさない水性樹脂、エマルジョン等であれば特に限定されるものではない。
このような水性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコールや酸化デンプン、エステル化デンプン、酵素変性デンプン、カチオン化デンプンなどのデンプン類、カゼイン、大豆タンパク質類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の繊維素誘導体、スチレン−アクリル樹脂、イソブチレンー無水マレイン酸樹脂、アクリルエマルジョン、酢ビエマルジョン、塩化ビニリデンエマルジョン、ポリエステルエマルジョン、スチレン−ブタジエンラテックス、アクリルニトリルブタジエンラテックス等を挙げることができる。
これらの中でも、コストの観点からデンプンやスチレン−ブタジエンラテックスを使用することが好ましい。スチレン・ブタジエンラテックスは、モノマーとしてスチレンとブタジエンを含み、必要に応じ他のモノマーを共重合させたり、化学反応により共重合体を変性した、紙塗工用に一般的に使用される共重合体ラテックスでよい。
他のモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエステル、アクリロニトリル、マレイン酸、フマル酸、酢酸ビニルなどのビニル系モノマーがよく使用されるものである。
また、メチロール化メラミン、メチロール化尿素、メチロール化ヒドロキシプロピレン尿素、イソシアネート等の架橋剤を含有してよいし、N−メチロールアクリルアミドなどの単位を含む共重合体で自己架橋性を持つものを用いてもよい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で使用される記録メディアのコート層における前記水性樹脂の添加量(バインダー)の使用比率は、全コート層固形分の50〜70質量%が好ましく、より好ましくは55〜60質量%である。少ないと接着力が不十分となり、インク受容層の強度の低下、内部結合強度の低下粉落ちの発生が懸念される。
本発明のコート層には本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、更に必要に応じて、その他の成分を添加することができる。該その他の成分としては分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤等、通常の塗工紙用顔料に配合される各種助剤のほか、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤、カチオン性有機化合物等の添加剤を使用してもよい。
コート層に使用される界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、アニオン活性剤、カチオン活性剤、両性活性剤、非イオン活性剤のいずれも使用することができるが、これらの中でも、非イオン活性剤が特に好ましい。前記界面活性剤を添加することにより、画像の耐水性が向上するとともに、画像濃度が高くなり、ブリーディングが改善される。
前記非イオン活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、高級脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等が挙られる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリット、ソルビトール、ショ糖などが挙げられる。またエチレンオキサイド付加物については、水溶性を維持できる範囲で、エチレンオキサイドの一部をプロピレンオキサイドあるいはブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドに置換したものも有効である。置換率は50%以下が好ましい。
前記非イオン活性剤のHLB(親水性新油性比)は4〜15が好ましく、7〜13がより好ましい。 前記界面活性剤の添加量は、前記カチオン性有機化合物100質量部に対し、0〜10質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がより好ましい。
前記コート層には、本発明の目的及び効果を損なわない範囲で、更に必要に応じて、さらにその他の成分を添加することができる。該その他の成分としては、アルミナ粉末、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等の添加剤が挙げられる。
また、カチオン性有機化合物は必ずしも配合する必要はないが、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択使用することができる。
前記カチオン性有機化合物としては、例えば、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ジメチルアミン・アンモニア・エピクロルヒドリン縮合物、ポリ(メタクリル酸トリメチルアミノエチル・メチル硫酸塩)、ジアリルアミン塩酸塩・アクリルアミド共重合物、ポリ(ジアリルアミン塩酸塩・二酸化イオウ)、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリ(アリルアミン塩酸塩・ジアリルアミン塩酸塩)、アクリルアミド・ジアリルアミン共重合物、ポリビニルアミン共重合物、ジシアンジアミド、ジシアンジアミド・塩化アンモニウム・尿素・ホルムアルデヒド縮合物、ポリアルキレンポリアミン・ジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジメチルジアリルアンモニウムクローライド、ポリジアリルメチルアミン塩酸塩、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクローライド)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクローライド・二酸化イオウ)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクローライド・ジアリルアミン塩酸塩誘導体)、アクリルアミド・ジアリルジメチルアンモニウムクローライド共重合物、アクリル酸塩・アクリルアミド・ジアリルアミン塩酸塩共重合物、ポリエチレンイミン、アクリルアミンポリマー等のエチレンイミン誘導体、ポリエチレンイミンアルキレンオキサイド変性物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ジメチルアミン・エピクロルヒドリン重縮合物、ポリアリルアミン塩酸塩等の低分子量のカチオン性有機化合物と他の比較的高分子量のカチオン性有機化合物、例えば、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクローライド)等とを組み合わせて使用するのが好ましい。併用することにより、単独使用の場合よりも画像濃度を向上させ、フェザリングが更に低減される。
前記カチオン性有機化合物のコロイド滴定法(ポリビニル硫酸カリウム、トルイジンブルー使用)によるカチオン当量は3〜8meq/gが好ましい。前記カチオン当量がこの範囲であれば上記乾燥付着量の範囲で良好な結果が得られる。
ここで、前記コロイド滴定法によるカチオン当量の測定に当たっては、カチオン性有機化合物を固形分で0.1質量%となるように蒸留水で希釈し、pH調整は行わないものとする。
前記カチオン性有機化合物の乾燥付着量は、0.3〜2.0g/mが好ましい。前記カチオン性有機化合物の乾燥付着量が0.3g/m未満であると、充分な画像濃度向上やフェザリング低減の効果が得られないことがある。
本発明で使用される記録メディアの支持体としては、化学パルプ、機械パルプ及び古紙回収パルプ等を任意の比率で混合して用いられ、必要に応じて内添サイズ剤、歩留まり向上剤、紙力増強剤等を添加した原料を長網フォーマやギャップタイプのツインワイヤーフォーマ、長網部の後半部をツインワイヤーで構成するハイブリッドフォーマ等で抄紙されたものが使用される。
本発明の支持体に使用するパルプは、バージンのケミカルパルプ(CP)、例えば、広葉樹晒クラフトパルプ、針葉樹晒クラフトパルプ、広葉樹未晒クラフトパルプ、針葉樹未晒クラフトパルプ、広葉樹晒亜硫酸パルプ、針葉樹晒亜硫酸パルプ、広葉樹未晒亜硫酸パルプ、針葉樹未晒亜硫酸パルプなどの木材及びその他の繊維原料を化学的に処理して作成されたバージンのケミカルパルプ、及び、バージンの機械パルプ(MP)、例えば、グランドパルプ、ケミグランドパルプ、ケミメカニカルパルプ、セミケミカルパルプなどの木材及びその他の繊維原料を主に機械的に処理して作成されたバージンの機械パルプを含有させてもよい。
また古紙パルプを用いてもよく、古紙パルプの原料としては、財団法人古紙再生促進センターの古紙標準品質規格表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、別上切、新聞、雑誌などが挙げられる。具体的には、情報関連用紙である非塗工コンピュータ用紙、感熱紙、感圧紙等のプリンタ用紙;PPC用紙等のOA古紙;アート紙、コート紙、微塗工紙、マット紙等の塗工紙;上質紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造紙、純白ロール紙、ミルクカートン等の非塗工紙、などの紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含有紙などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記古紙パルプは、一般的に、以下の4工程の組み合わせから製造される。
(1)離解は、古紙をパルパーにて機械力と薬品で処理して繊維状にほぐし、印刷インキを繊維より剥離する。
(2)除塵は、古紙に含まれる異物(プラスチックなど)及びゴミをスクリーン、クリーナー等により除去する。
(3)脱墨は、繊維より界面活性剤を用いて剥離された印刷インキをフローテーション法、又は洗浄法で系外に除去する。
(4)漂白は、酸化作用や還元作用を用いて、繊維の白色度を高める。
前記古紙パルプを混合する場合、全パルプ中の古紙パルプの混合比率は、記録後のカール対策から40%以下が好ましい。
本発明の記録メディアの支持体に用いることができる填料としては、炭酸カルシウムが有効であるが、カオリン、焼成クレー、パイロフィライト、セリサイト、タルク等のケイ酸類等の無機填料や、サチンホワイト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫化亜鉛、プラスチックピグメント、尿素樹脂等の有機顔料も併用することができる。
本発明における支持体に使用する内添サイズ剤は、特に限定されるものではなくインクジェット記録用紙に使用される公知の内添サイズ剤の中から適宜選択して使用することができる。好ましい内添サイズ剤としては、例えば、ロジンエマルジョン系サイズ剤等を挙げることができる。支持体を抄造する際に使用される内添サイズ剤としては、例えば、中性抄紙に用いられる中性ロジン系サイズ剤、アルケニル無水コハク酸(ASA)、アルキルケテンダイマー(AKD)、石油樹脂系サイズ剤などが挙げられる。これらの中でも、中性ロジンサイズ剤又はアルケニル無水コハク酸が特に好適である。前記アルキルケテンダイマーは、そのサイズ効果が高いことから添加量は少なくて済むが、記録用紙(メディア)表面の摩擦係数が下がり滑りやすくなるため、インクジェット記録時の搬送性の点からは好ましくない場合がある。
内添サイズ剤の使用量は、絶乾パルプ100質量部に対して0.1〜0.7質量部であるが、これに限定されるものではない。
前記支持体に使用される内添填料としては、例えば、白色顔料として従来公知の顔料が用いられる。該白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、
硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成シリカ、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等のような白色無機顔料;スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等のような有機顔料、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の記録メディアとしては、いわゆるオフセット印刷向けに提供されている既存の印刷用塗工紙を利用することができる。
既存の印刷用塗工紙とは、いわゆるアート紙(A0,A1)、A2コート紙、A3コート紙、B2コート紙、軽量コート紙、微塗工紙といった商業印刷・出版印刷に用いられている塗工紙のことであり、オフセット印刷、グラビア印刷等に用いられるものである。
具体的には、キャストコート紙として、ミラーコートプラチナ(王子製紙)、エスプリコートC(日本製紙)、等が挙げられる。
アート紙としては、OK金藤N、OK金藤−R40N、SA金藤N、サテン金藤N、サテン金藤−R40N、ウルトラサテン金藤N、ウルトラOK金藤N、金藤片面(王子製紙)、NPi特アート、NPiスーパーアート、NPiスーパーダル、NPiダルアート(日本製紙)、ユトリロスーパーアート、ユトリロスーパーダル、ユトリロプレミアム(大王製紙)、高級アートA、特菱アート、スーパーマットアートA、高級ダルアートA(三菱製紙)、雷鳥スーパーアートN、雷鳥スーパーアートMN、雷鳥特アート、雷鳥ダルアートN(中越パルプ)等が挙げられる。
A2コート紙としては、OKトップコート+(プラス)、OKトップコートS、OKカサブランカ、OKカサブランカV、OKトリニティ、OKトリニティNaVi 、ニューエイジ、ニューエイジW、OKトップコートマットN、OKロイヤルコート、OKトップコートダル、Zコート、OK嵩姫、OK嵩王、OK嵩王サテン、OKトップコート+、OKノンリンクル、OKコートV、OKコートNグリーン100、OKマットコートグリーン100、ニューエイジグリーン100、Zコートグリーン100(王子製紙)、
オーローラコート、しらおいマット、インペリアルマット、シルバーダイヤ、リサイクルコート100、サイクルマット100(日本製紙)
ミューコート、ミューホワイト、ミューマット、ホワイトミューマット(北越製紙)、
雷鳥コートN、レジーナ雷鳥コート100、雷鳥マットコートN、レジーナ雷鳥マット100(中越パルプ工業)、
パールコート、ホワイトパールコートN 、ニューVマット、ホワイトニューVマット、パールコートREW、ホワイトパールコートNREW、ニューVマットREW、ホワイトニューVマットREW(三菱製紙)、等が挙げられる。
A3コート(軽量コート)紙としては、OKコートL、ロイヤルコートL、OKコートLR、OKホワイトL、OKロイヤルコートLR、OKコートLグリーン100、OKマットコートLグリーン100(王子製紙)、
イースターDX、リサイクルコートL100、オーローラL、リサイクルマットL100、<SSS>エナジーホワイト(日本製紙)、
ユトリロコートL、マチスコート(大王製紙)、
ハイ・アルファ、アルファマット、(N)キンマリL、キンマリHiL(北越製紙)、
NパールコートL、NパールコートLREW、スイングマットREW(三菱製紙)、
スーパーエミネ、エミネ、シャトン(中越パルプ工業)等が挙げられる。
B2コート(中質コート)紙としては、OK中質コート、(F)MCOP、OKアストログロス、OKアストロダル、OKアストロマット(王子製紙)、
キングO(日本製紙)、等が挙げられる。
微塗工紙としては、OKロイヤルライトSグリーン100、OKエバーライトコート、OKエバーライトR、OKエバーグリーン、クリーンヒットMG、OK微塗工スーパーエコG、エコグリーンダル、OK微塗工マットエコG100、OKスターライトコート、OKソフトロイヤル、OKブライト、クリーンヒットG、やまゆりブライト、やまゆりブライトG、OKアクアライトコート、OKロイヤルライトSグリーン100、OKブライト(ラフ・ツヤ)、スノーマット、スノーマットDX、OK嵩姫、OK嵩ゆり(王子製紙)、
ピレーヌDX、ペガサスハイパー8、オーローラS、アンデスDX、スーパーアンデスDX、スペースDX、セーヌDX、特グラビアDX、ペガサス、シルバーペガサス、ペガサスハーモニー、グリーンランドDX100、スーパーグリーンランドDX100 、<SSS>エナジーソフト、<SSS>エナジーライト、EEヘンリー(日本製紙)、
カントエクセル、エクセルスーパーB、エクセルスーパーC、カントエクセルバル、ユトリロエクセル、ハイネエクセル、ダンテエクセル(大王製紙)、
コスモエース(大昭和板紙)、
セミ上L、ハイ・ベータ、ハイ・ガンマ、シロマリL、ハミング、ホワイトハミング、セミ上HiL、シロマリHiL(北越製紙)、
ルビーライトHREW、パールソフト、ルビーライトH(三菱製紙)、
シャトン、ありそ、スマッシュ(中越パルプ工業)、
スターチェリー、チェリースーパー(丸住製紙)等が挙げられる。
また、特殊なコート紙として、インク中の顔料と水性媒体を分離し、水性媒体のみを基体に浸透させるものならば使用することができる。例えば一部の電子写真向けコート紙や、グラビア印刷用コート紙が挙げられる。具体的にはPODグロスコート(王子製紙)やスペースDX(日本製紙)、エース(日本製紙)等が挙げられる。これらはコート層の細孔容積が適切であり、本発明のインクジェット記録装置使用可能である。
<インク>
本発明のインクジェット記録装置に用いるインクは、少なくとも着色剤及び水を含有する水性インクであり、必要に応じて、樹脂成分、湿潤剤、界面活性剤、着色剤の定着剤等のその他の成分を含有してなる。
<着色剤>
前記着色剤としては、顔料または顔料または染料等の色材を含有させたポリマー微粒子を使用することができるが、色材を含有させたポリマー微粒子は後述する定着を促進する樹脂成分を加える必要なく、好ましく使用できる。
ここで、前記「色材を含有させた」とは、ポリマー微粒子中に色材を封入した状態及びポリマー微粒子の表面に色材を吸着させた状態の何れか又は双方を意味する。前記色材としては、水不溶性又は水難溶性であって、前記ポリマーによって吸着され得る色材であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
ここで、前記「水不溶性又は水難溶性」とは、20℃で水100質量部に対し色材が10質量部以上溶解しないことを意味する。また、「溶解する」とは、目視で水溶液表層又は下層に色材の分離や沈降が認められないことを意味する。
前記色材を含有させたポリマー微粒子(着色微粒子)の体積平均粒径は、インク中において0.01〜0.16μmが好ましい。0.01μm以下では粒子径が染料に近づくため、耐光性、フェザリングが悪化してしまう。またコート層に浸透しやすくなり、濃度低下を引き起こす。逆に、0.16μmを超えるとノズルが目詰まりやすくなったり、発色性が悪くなってしまう。また、0.30μm以上では、吐出口の目詰まりやプリンター内のフィルターでの目詰まりが発生し、吐出安定性を得ることができない。
また、色材を含有させたポリマー微粒子は、顔料を親水性基を有する樹脂によって被覆し、マイクロカプセル化することで、分散性が与えられる。
水不溶性の顔料を有機高分子類で被覆してマイクロカプセル化する方法としては、従来公知のすべての方法を用いることが可能である。従来公知の方法として、化学的製法、物理的製法、物理化学的方法、機械的製法などが挙げられる。
具体的には、
・界面重合法(2種のモノマーもしくは2種の反応物を、分散相と連続相に別々に溶解しておき、両者の界面において両物質を反応させて壁膜を形成させる方法);
・in−situ重合法(液体または気体のモノマーと触媒、もしくは反応性の物質2種を連続相核粒子側のどちらか一方から供給して反応を起こさせ壁膜を形成させる方法);
・液中硬化被膜法(芯物質粒子を含む高分子溶液の滴を硬化剤などにより、液中で不溶化して壁膜を形成する方法);
・コアセルベーション(相分離)法(芯物質粒子を分散している高分子分散液を、高分子濃度の高いコアセルベート(濃厚相)と希薄相に分離させ、壁膜を形成させる方法);
・液中乾燥法(芯物質を壁膜物質の溶液に分散した液を調製し、この分散液の連続相が混和しない液中に分散液を入れて、複合エマルションとし、壁膜物質を溶解している媒質を徐々に除くことで壁膜を形成させる方法);
・融解分散冷却法(加熱すると液状に溶融し常温では固化する壁膜物質を利用し、この物質を加熱液化し、その中に芯物質粒子を分散し、それを微細な粒子にして冷却し壁膜を形成させる方法);
・気中懸濁被覆法(粉体の芯物質粒子を流動床によって気中に懸濁し、気流中に浮遊させながら、壁膜物質のコーティング液を噴霧混合させて、壁膜を形成させる方法);
・スプレードライング法(カプセル化原液を噴霧してこれを熱風と接触させ、揮発分を蒸発乾燥させ壁膜を形成させる方法);
・酸析法(アニオン性基を含有する有機高分子化合物類のアニオン性基の少なくとも一部を塩基性化合物で中和することで水に対する溶解性を付与し色材と共に水性媒体中で混練した後、酸性化合物で中性または酸性にし有機化合物類を析出させ色材に固着せしめた後に中和し分散させる方法);
・転相乳化法(水に対して分散能を有するアニオン性有機高分子類と色材とを含有する混合体を有機溶媒相とし、前記有機溶媒相に水を投入するかもしくは、水に前記有機溶媒相を投入する方法)、などが挙げられる。
マイクロカプセルの壁膜物質を構成する材料として使用される有機高分子類(樹脂)としては、例えば、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリウレア、エポキシ樹脂、ポリカーボネート、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、多糖類、ゼラチン、アラビアゴム、デキストラン、カゼイン、タンパク質、天然ゴム、カルボキシポリメチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、ポリエチレン、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸の重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸エステルの重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アルギン酸ソーダ、脂肪酸、パラフィン、ミツロウ、水ロウ、硬化牛脂、カルナバロウ、アルブミンなどが挙げられる。
これらの中ではカルボン酸基またはスルホン酸基などのアニオン性基を有する有機高分子類を使用することが可能である。また、ノニオン性有機高分子としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートまたはそれらの(共)重合体)、2−オキサゾリンのカチオン開環重合体などが挙げられる。特に、ポリビニルアルコールの完全ケン物は、水溶性が低く、熱水には解け易いが冷水には解けにくいという性質を有しており特に好ましい。
また、マイクロカプセルの壁膜物質を構成する有機高分子類の量は、有機顔料またはカーボンブラックなどの水不溶性の色材に対して1質量%以上20質量%以下である。有機高分子類の量を上記の範囲にすることによって、カプセル中の有機高分子類の含有率が比較的低いために、有機高分子類が顔料表面を被覆することに起因する顔料の発色性の低下を抑制することが可能となる。有機高分子類の量が1質量%未満ではカプセル化の効果を発揮しづらくなり、逆に20質量%を越えると、顔料の発色性の低下が著しくなる。さらに他の特性などを考慮すると有機高分子類の量は水不溶性の色材に対し5〜10質量%の範囲が好ましい。
すなわち、色材の一部が実質的に被覆されずに露出しているために発色性の低下を抑制することが可能となり、また、逆に、色材の一部が露出せずに実質的に被覆されているために顔料が被覆されている効果を同時に発揮することが可能となるのである。また、本発明に用いる有機高分子類の数平均分子量としては、カプセル製造面などから、2000以上であることが好ましい。ここで「実質的に露出」とは、例えば、ピンホール、亀裂などの欠陥などに伴う一部の露出ではなく、意図的に露出している状態を意味するものである。
さらに、色材として自己分散性の顔料である有機顔料または自己分散性のカーボンブラックを用いれば、カプセル中の有機高分子類の含有率が比較的低くても、顔料の分散性が向上するために、十分なインクの保存安定性を確保することが可能となるので本発明にはより好ましい。
なお、マイクロカプセル化の方法によって、それに適した有機高分子類を選択することが好ましい。例えば、界面重合法による場合は、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリビニルピロリドン、エポキシ樹脂などが適している。in−situ重合法による場合は、(メタ)アクリル酸エステルの重合体または共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミドなどが適している。液中硬化法による場合は、アルギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ゼラチン、アルブミン、エポキシ樹脂などが適している。コアセルベーション法による場合は、ゼラチン、セルロース類、カゼインなどが適している。また、微細で、且つ均一なマイクロカプセル化顔料を得るためには、勿論前記以外にも従来公知のカプセル化法すべてを利用することが可能である。
マイクロカプセル化の方法として転相法または酸析法を選択する場合は、マイクロカプセルの壁膜物質を構成する有機高分子類としては、アニオン性有機高分子類を使用する。転相法は、水に対して自己分散能または溶解能を有するアニオン性有機高分子類と、自己分散性有機顔料または自己分散型カーボンブラックなどの色材との複合物または複合体、あるいは自己分散性有機顔料または自己分散型カーボンブラックなどの色材、硬化剤およびアニオン性有機高分子類との混合体を有機溶媒相とし、該有機溶媒相に水を投入するか、あるいは水中に該有機溶媒相を投入して、自己分散(転相乳化)化しながらマイクロカプセル化する方法である。上記転相法において、有機溶媒相中に、記録液用のビヒクルや添加剤を混入させて製造しても何等問題はない。特に、直接記録液用の分散液を製造できることからいえば、記録液の液媒体を混入させる方がより好ましい。
一方、酸析法は、アニオン性基含有有機高分子類のアニオン性基の一部または全部を塩基性化合物で中和し、自己分散性有機顔料または自己分散型カーボンブラックなどの色材と、水性媒体中で混練する工程および酸性化合物でpHを中性または酸性にしてアニオン性基含有有機高分子類を析出させて、顔料に固着する工程とからなる製法によって得られる含水ケーキを、塩基性化合物を用いてアニオン性基の一部または全部を中和することによりマイクロカプセル化する方法である。このようにすることによって、微細で顔料を多く含むアニオン性マイクロカプセル化顔料を含有する水性分散液を製造することができる。
また、上記に挙げたようなマイクロカプセル化の際に用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルキルアルコール類;ベンゾール、トルオール、キシロールなどの芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;クロロホルム、二塩化エチレンなどの塩素化炭化水素類;アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類などが挙げられる。なお、上記の方法により調製したマイクロカプセルを遠心分離または濾過などによりこれらの溶剤中から一度分離して、これを水および必要な溶剤とともに撹拌、再分散を行い、目的とする本発明に用いることができる記録液を得る。以上の如き方法で得られるカプセル化顔料の平均粒径は0.01〜0.16μmであることが好ましい。
前記色材としては、例えば、水溶性染料、油溶性染料、分散染料等の染料、顔料等が挙げられる。良好な吸着性及び封入性の観点からは油溶性染料及び分散染料が好ましいが、得られる画像の耐光性からは顔料が好ましく用いられる。
なお、前記各染料は、ポリマー微粒子に効率的に含浸される観点から、有機溶剤、例えば、ケトン系溶剤に2g/リットル以上溶解することが好ましく、20〜600g/リットル溶解することがより好ましい。
前記水溶性染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料であり、好ましくは耐水性、及び耐光性に優れたものが用いられる。
前記酸性染料及び食用染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142;C.I.アシッドレッド 1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289;C.I.アシッドブルー
9,29,45,92,249;C.I.アシッドブラック 1,2,7,24,26,94;C.I.フードイエロー 3,4;C.I.フードレッド 7,9,14;C.I.フードブラック 1,2などが挙げられる。
前記直接性染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144;C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227;C.I.ダイレクトオレンジ 26,29,62,102;C.I.ダイ
レクトブルー 1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202;C.I.ダイレクトブラック 19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171などが挙げられる。
前記塩基性染料としては、例えば、C.I.べーシックイエロー 1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91;C.I.ベーシックレッド 2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112;C.I.べーシックブルー 1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155;C.I.ベーシックブラック 2,8などが挙げられる。
前記反応性染料としては、例えば、C.I.リアクティブブラック 3,4,7,11,12,17;C.I.リアクティブイエロー 1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67;C.I.リアクティブレッド 1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97;C.I.リアクティブブルー 1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95などが挙げられる。
その他の着色剤としては、顔料が挙げられる。顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば無機顔料、有機顔料のいずれであってもよい。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、紺青、金属粉などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックなどが好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。なお、前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、アゾメチン系顔料、ローダミンBレーキ顔料、などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
前記顔料の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用のもの、カラー用のもの、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
ブラック顔料インクに使用されるカーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、一次粒径が、15〜40ミリミクロン、BET法による比表面積が、50〜300平方メートル/g、DBP吸油量が、40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜9を有するものが好ましい。このようなものとしては、例えば、No.2300、No.900、MCF−88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B(以上、三菱化学製)、Raven700、同5750、同5250、同5000、同3500、同1255(以上、コロンビア製)、Regal400R、同330R、同660R、MogulL、Monarch700、同800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、Monarch1400(以上、キャボット製)、カラーブラックFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、プリンテックス35、同U、同V、同140U、同140V、スペシャルブラック6、同5、同4A、同4(以上、デグッサ製)等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
前記カラー用のものとしては、黄色インク用では、例えば、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、2、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、16、17、23、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、73、74、同75、81、83(ジスアゾイエローHR)、93、95、97、98、100、101、104、108、109、110、同114、117、120、128、129、138、150、151、153、154などが挙げられるが、これらに限られるものではない。
マゼンタ用では、例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、7、12、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B (Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、92、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(ジメチルキナクリドン)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、209、219、などが挙げられるが、これらに限られるものではない。
シアン用では、例えば、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15(銅フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、15:34、16、17:1、22、56、60、63、C.I.バットブルー4、同60等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
また、中間色としてはレッド、グリーン、ブルー用として、C.I.ピグメントレッド177、194、224、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントバイオレット3,19,23,37、C.I.ピグメントグリーン7,36などが挙げられる。
前記顔料としては、少なくとも1種の親水性基が顔料の表面に直接若しくは他の原子団を介して結合した分散剤を使用することなく安定に分散させることができる自己分散型顔料が好適に用いられる。その結果、従来のインクのように、顔料を分散させるための分散剤が不要となる。前記自己分散型顔料としては、イオン性を有するものが好ましく、アニオン性に帯電したものやカチオン性に帯電したものが好適である。
前記自己分散型顔料の体積平均粒径は、インク中において0.01〜0.16μmが好ましい。
前記アニオン性親水性基としては、例えば、−COOM、−SOM、−POHM、−PO、−SONH、−SONHCOR(ただし、式中のMは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。Rは、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表す。)等が挙げられる。これらの中でも、−COOM、−SOMがカラー顔料表面に結合されたものを用いることが好ましい。
また、前記親水性基中における「M」は、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、等が挙げられる。前記有機アンモニウムとしては、例えば、モノ乃至トリメチルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウム、モノ乃至トリメタノールアンモニウムが挙げられる。前記アニオン性に帯電したカラー顔料を得る方法としては、カラー顔料表面に−COONaを導入する方法として、例えば、カラー顔料を次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法、スルホン化による方法、ジアゾニウム塩を反応させる方法が挙げられる。
前記カチオン性親水性基としては、例えば、第4級アンモニウム基が好ましく、下記に挙げる第4級アンモニウム基がより好ましく、これらのいずれかが顔料表面に結合されたものが色材として好適である。
Figure 2013188982
前記親水基が結合されたカチオン性の自己分散型カーボンブラックを製造する方法としては、例えば、下記構造式で表されるN−エチルピリジル基を結合させる方法として、カーボンブラックを3−アミノ−N−エチルピリジウムブロマイドで処理する方法が挙げられるが、勿論、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2013188982

本発明においては、前記親水性基が、他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合されていてもよい。他の原子団としては、例えば、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基が挙げられる。上記した親水性基が他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合する場合の具体例としては、例えば、−CCOOM(ただし、Mはアルカリ金属、第4級アンモニウムを表す)、−PhSOM(ただし、Phはフェニル基、Mはアルカリ金属、第4級アンモニウムを表す)、−C10NH 等が挙げられる。
前記着色剤の前記インクにおける添加量は、6〜15質量%が好ましく、8〜12質量%がより好ましい。前記添加量が6質量%未満であると、着色力の低下により、画像濃度が低くなったり、粘度の低下によりフェザリングや滲みが悪化することがあり、15質量%を超えると、記録装置を放置しておいた場合等に、ノズルが乾燥し易くなり、不吐出現象が発生したり、粘度が高くなりすぎることにより浸透性が低下したり、ドットが広がらないために画像濃度が低下したり、ぼそついた画像になることがある。
また、本発明のインクは、インク中の着色剤の定着を促進する樹脂成分を含むことが望ましい。定着を促進する樹脂成分とは、着色剤とメディアの表面、もしくは着色剤粒子間の接着力を一定以上に保つものであり、この樹脂成分がないと印字した後に着色剤が剥がれやすくなるため、より高い画像信頼性が必要な場合は定着剤を使用すべきである。
定着成分は単独でインクに含まれていても、色材粒子の表面に吸着・化学結合されていてもよい。この定着剤としては低分子のものでもよいが、樹脂や樹脂エマルジョン、紫外線硬化型樹脂などであることが望ましい。
前記樹脂エマルジョンは、樹脂微粒子を連続相としての水中に分散したものであり、必要に応じて界面活性剤のような分散剤を含有しても構わない。
前記分散相成分としての樹脂微粒子の含有量(樹脂エマルジョン中の樹脂微粒子の含有量)は、一般的には10〜70質量%が好ましい。また、前記樹脂微粒子の粒径は、特にインクジェット記録装置に使用することを考慮すると、平均粒径10〜1000nmが好ましく、20〜300nmがより好ましい。
前記分散相の樹脂微粒子成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられ、これらの中でも、アクリルシリコーン系樹脂が特に好ましい。
前記樹脂エマルジョンとしては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販の樹脂エマルジョンとしては、例えば、マイクロジェルE−1002、E−5002(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ペイント株式会社製)、ボンコート4001(アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、ボンコート5454(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、大日本インキ化学工業株式会社製)、SAE−1014(スチレン−アクリル系樹脂エマルジョン、日本ゼオン株式会社製)、サイビノールSK−200(アクリル系樹脂エマルジョン、サイデン化学株式会社製)、プライマルAC−22、AC−61(アクリル系樹脂エマルジョン、ローム・アンド・ハース製)、ナノクリルSBCX−2821、3689(アクリルシリコーン系樹脂エマルジョン、東洋インキ製造株式会社製)、#3070(メタクリル酸メチル重合体樹脂エマルジョン、御国色素社製)などが挙げられる。
前記樹脂エマルジョンにおける樹脂微粒子成分の前記インクにおける添加量としては、0.1〜50質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜10質量%が更に好ましい。前記添加量が0.1質量%未満であると、耐目詰まり性及び吐出安定性の向上効果が十分でないことがあり、50質量%を超えると、インクの保存安定性を低下させてしまうことがある。
また、目的に応じ、紫外線硬化型樹脂を併用してもよい。本発明で用いることのできる紫外線硬化型樹脂の具体例としては、例えば公知のアクリル系光重合性モノマーおよび/またはアクリル系光重合性オリゴマーを重合したものを挙げることができる。
このような光重合性モノマーとしては、例えばアクリル酸やメタクリル酸などの不飽和カルボン酸又はそのエステル、例えばアルキル−、シクロアルキル−、ハロゲン化アルキル−、アルコキシアルキル−、ヒドロキシアルキル−、アミノアルキル−、テトラヒドロフルフリル−、アリル−、グリシジル−、ベンジル−、フェノキシ−アクリレート及びメタクリレート、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート及びメタクリレートなど、アクリルアミド、メタクリルアミド又はその誘導体、例えばアルキル基やヒドロキシアルキル基でモノ置換又はジ置換されたアクリルアミド及びメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド及びメタクリルアミド、N,N′−アルキレンビスアクリルアミド及びメタクリルアミドなど、アリル化合物、例えばアリルアルコール、アリルイソシアネート、ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレートなどを挙げることができる。 また、例えばイソボルニルアクリレート又はメタクリレート、ノルボルニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンテノキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンテノキシプロピルアクリレート又はメタクリレートなど、ジエチレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、ポリオキシエチレン若しくはポリプロピレングリコールジシクロペンテニルモノエーテルのアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルなど、ジシクロペンテニルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルシンナメート、ジシクロペンテノキシエチルモノフマレート又はジフマレートなど、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ビスメチル−2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−スピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス(2−オキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどのモノ−、ジアクリレート又はモノ−、ジメタアクリレート、あるいはこれらのスピログリコールのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加重合体のモノ−、ジアクリレート、又はモノ−、ジメタアクリレート、あるいは前記モノアクリレート又はメタクリレートのメチルエーテル、1−アザビシクロ[2,2,2]−3−オクテニルアクリレート又はメタクリレート、ビシクロ[2,2,1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボキシルモノアリルエステルなど、ジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレート、ジシクロペンタジエニルオキシエチルアクリレート又はメタクリレート、ジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート又はメタクリレートなどの光重合性モノマーを用いることができる。
これらの光重合性モノマーは単独で用いてもよいし2種以上組み合わせて用いてもよい。
アクリル系光重合性オリゴマーとしては、エポキシ樹脂のアクリル酸エステル、例えばビスフェノールAのジグリシジルエーテルジアクリレート、エポキシ樹脂とアクリル酸とメチルテトラヒドロフタル酸無水物との反応生成物、エポキシ樹脂と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物、グリシジルジアクリレートと無水フタル酸との開環共重合エステル、メタクリル酸二量体とポリオールとのエステル、アクリル酸と無水フタル酸とプロピレンオキシドから得られるポリエステル、ポリビニルアルコールとN−メチロールアクリルアミドとの反応生成物、ポリエチレングリコールと無水マレイン酸とグリシジルメタクリレートとの反応生成物などのような不飽和ポリエステル系プレポリマーや、ポリビニルアルコールを無水コハク酸でエステル化した後、グリシジルメタクリレートを付加させたものなどのようなポリビニルアルコール系プレポリマー、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体と2−ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物又はこれにさらにグリシジルメタクリレートを反応させたものなどのポリアクリル酸又はマレイン酸共重合体系プレポリマーなど、そのほか、ウレタン結合を介してポリオキシアルキレンセグメント又は飽和ポリエステルセグメントあるいはその両方が連結し、両末端にアクリロイル基又はメタクロイル基を有するウレタン系プレポリマーなどを挙げることができる。
<浸透剤>
浸透剤はインクと記録メディアの濡れ性を向上させ、浸透速度を調整する目的で添加される。
前記浸透剤としては、ポリオール化合物やグリコールエーテル化合物等の水溶性有機溶剤が用いられ、特に、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物の少なくともいずれかが好適に用いられる。
前記ポリオール化合物の炭素数が8未満であると、十分な浸透性が得られず、両面印刷時に記録用メディアを汚したり、記録用メディア上でのインクの広がりが不十分で画素の埋まりが悪くなるため、文字品位や画像濃度の低下が生じることがある。
前記炭素数8以上のポリオール化合物としては、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(溶解度:4.2%(25℃))、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール(溶解度:2.0%(25℃))、などが好適である。
前記グリコールエーテル化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
前記浸透剤の添加量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。
<湿潤剤>
湿潤剤は乾燥による記録ヘッドのノズルの詰まりを防止することを目的に添加される。
前記湿潤剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール化合物、ラクタム化合物、尿素化合物及び糖類から選択される少なくとも1種が好適である。
前記ポリオール化合物としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用して使用してもよい。
前記多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1、3−プルパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール1,3−プロパンジオール、1,5ペンタンジオール、1、6ヘキサンジオール、グリセロール、1、2、6−ヘキサントリオール、1、2、4−ブタントリオール、1、2、3−ブタントリオール、ペトリオールなどが挙げられる。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプローラクタムなどが挙げられる。
前記アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノ−ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
前記含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノールなどが挙げられる。
これらの中でも、溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果が得られる点から、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドンが好適である。
前記ラクタム化合物としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、ε−カプローラクタムから選択される少なくとも1種が挙げられる。
前記尿素化合物としては、例えば、尿素、チオ尿素、エチレン尿素及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンから選択される少なくとも1種が挙げられる。前記尿素類の前記インクへの添加量は、一般的に0.5〜50質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましい。
前記糖類としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類及び四糖類を含む)、多糖類、又はこれらの誘導体などが挙げられる。これらの中でも、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオースが好適であり、マルチトース、ソルビトース、グルコノラクトン、マルトースが特に好ましい。
前記多糖類とは、広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることができる。
前記糖類の誘導体としては、前記糖類の還元糖(例えば、糖アルコール(ただし、一般式:HOCH(CHOH)nCHOH(ただし、nは2〜5の整数を表す)で表される)、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。これらの中でも、特に糖アルコールが好ましい。該当アルコールとしては、例えば、マルチトール、ソルビット、などが挙げられる。
前記湿潤剤の前記インク中における含有量は、10〜50質量%が好ましく、20〜35質量%がより好ましい。前記含有量が少なすぎると、ノズルが乾燥しやすくなり液滴の吐出不良が発生することがあり、多すぎるとインク粘度が高くなり、適正な粘度範囲を超えてしまうことがある。
<界面活性剤>
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、又はフッ素系界面活性剤などが挙げられ、
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、などが挙げられる。
前記アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。該アセチレングリコール系界面活性剤は、市販品として、例えば、エアープロダクツ社(米国)のサーフィノール104、82、465、485、TGなどが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。具体的には、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、ジメチルラウリルベタイン、などが挙げられる。
これら界面活性剤の中でも特に、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、及び(VI)から選択される界面活性剤が好適である。
Figure 2013188982
ただし、前記一般式(I)中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基を表す。hは、3〜12の整数を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
Figure 2013188982
ただし、前記一般式(II)中、Rは、炭素数1〜20のアルキル基を表す。Mは、アルカリ金属イオン、第4級アンモニウム、第4級ホスホニウム、及びアルカノールアミンから選択されるいずれかを表す。
Figure 2013188982
ただし、前記一般式(III)中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。kは5〜20の整数を表す。
Figure 2013188982
ただし、前記一般式(IV)中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。jは、5〜20の整数を表す。
Figure 2013188982
ただし、前記一般式(V)中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。L及びpは、1〜20の整数を表す。
Figure 2013188982
ただし、前記一般式(VI)中、q及びrは0〜40の整数を表す。
以下、前記構造式(I)、及び(II)の界面活性剤を具体的に遊離酸型で示す。
(I−1):CH(CH12O(CHCHO)CHCOOH
(I−2):CH(CH12O(CHCHO)CHCOOH
(I−3):CH(CH12O(CHCHO)CHCOOH
(I−4):CH(CH12O(CHCHO)CHCOOH
Figure 2013188982
Figure 2013188982
Figure 2013188982
Figure 2013188982
Figure 2013188982
Figure 2013188982



前記フッ素系界面活性剤としては、下記一般式(II-5)で表されるものが好適である。
Figure 2013188982
ただし、前記一般式(II−5)中、mは0〜10の整数を表す。nは1〜40の整数を表す。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物、などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少なく、近年問題視されているフッ素化合物の生体蓄積性についても低く安全性の高いものであり、特に好ましい。
前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルカルボン化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩、などが挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも旭硝子社製)、フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも住友スリーエム社製)、メガファックF−470、F1405、F−474(いずれも大日本インキ化学工業社製)、ゾニールTBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれもデュポン社製)、FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも株式会社ネオス社製)、PF−151N(オムノバ社製)などが挙げられる。これらの中でも、信頼性と発色向上に関して良好な点から、ゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(デュポン社製)が特に好ましい。
本発明においては、必要に応じて、顔料分散剤を用いることもできる。
前記顔料分散剤としては、前記親水性高分子化合物として、天然系では、アラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子などが挙げられる。半合成系では、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子などが挙げられる。純合成系では、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然高分子化合物等が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンアクリル酸のホモポリマーや他の親水基を有するモノマーの共重合体からなるようなカルボキシル基を導入したものが高分子分散剤として特に好ましい。
前記顔料分散剤の質量平均分子量は3,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000がより好ましく、7,000〜15,000が更に好ましい。前記顔料と前記顔料分散剤との混合質量比としては1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、1:0.125〜1:3の範囲がより好ましい。
高分子分散剤と自己分散型顔料を同時に使うことは、適度なドット径を得られるため好ましい組み合わせである。その理由は明かでないが、以下のように考えられる。
高分子分散剤を含有することで記録紙への浸透が抑制される。その一方で、高分子分散剤を含有することで自己分散型顔料の凝集が抑えられるため、自己分散型顔料が横方向にスムーズに拡がることができる。そのため、広く薄くドットが拡がり、理想的なドットが形成できると考えられる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
本発明の記録液は防腐防黴剤を含有することができる。防腐防黴剤を含有することによって、菌の繁殖を押さえることができ、保存安定性、画質安定性を高めることができる。防腐防黴剤としてはベンゾトリアゾール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、イソチアゾリン系化合物、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が使用できる。
前記pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて任意の物質を使用することができる。
該pH調製剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物;水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。
本発明のインクは防錆剤を含有することができる。防錆剤を含有することによって、ヘッド等の接液する金属面に被膜を形成し、腐食を防ぐことができる。防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が使用できる。
本発明の記録液は酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤を含有することによって、腐食の原因となるラジカル種が生じた場合にも酸化防止剤がラジカル種を消滅させることで腐食を防止することができる。
酸化防止剤としては、フェノール系化合物類、アミン系化合物類が代表的であるがフェノール系化合物類としては、ハイドロキノン、ガレート等の化合物、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のヒンダードフェノール系化合物が例示され、アミン系化合物類としては、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、N,N’−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニルエチレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、4,4’−テトラメチル−ジアミノジフェニルメタン等が例示される。また、後者としては、硫黄系化合物類、リン系化合物類が代表的であるが、硫黄系化合物としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジブチレート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が例示され、リン系化合物類としては、トリフェニルフォスファイト、トリオクタデシルフォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールフォスファイト等が例示される。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、等が挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、等が挙げられる。
前記サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート、等が挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、等が挙げられる。
前記ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)、等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録装置に用いるインクの物性としては、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
前記インクの粘度は、25℃で、1cps以上30cps以下が好ましく、2〜20cpsがより好ましい。前記粘度が20cpsを超えると、吐出安定性の確保が困難になることがある。
本発明のインクのpHは、3〜11であることが好ましく、接液する金属部材の腐食防止の観点からは6〜10であることがさらに好ましい。
本発明のインクは、表面張力が、25℃で、30mN/m以下であることが好ましく、さらに記録メディアとの濡れ性と液滴の粒子化の両立の観点から25mN/m以下であることがさらに望ましい。
本発明のインクは、着色剤を含むインク材料を水性媒体中に分散又は溶解し、さらに必要に応じて攪拌混合して製造する。前記分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(製造例1)
−銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。
滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g、及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃にて1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを得た。次に、ポリマー溶液の一部を乾燥し、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(標準:ポリスチレン、溶媒:テトラヒドロフラン)で測定したところ、質量平均分子量(Mw)は15000であった。
次に、得られたポリマー溶液28g、銅フタロシアニン顔料26g、1mol/L水酸化カリウム水溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水30gを十分に攪拌した。その後、3本ロールミル(株式会社ノリタケカンパニー製、商品名:NR−84A)を用いて20回混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に攪拌した後、エバポレーターを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、固形分量が20.0質量%の青色のポリマー微粒子分散体160gを得た。 得られたポリマー微粒子について、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社製)で測定した平均粒子径(D50%)は93nmであった。
(製造例2)
−ジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
製造例1において、銅フタロシアニン顔料を顔料ピグメントレッド122に変更した以外は、製造例1と同様にして、赤紫色のポリマー微粒子分散体を調製した。
得られたポリマー微粒子について、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社製)で測定した平均粒子径(D50%)は127nmであった。
(製造例3)
−モノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
製造例1において、銅フタロシアニン顔料を顔料ピグメントイエロー74に変更した以外は、製造例1と同様にして、黄色のポリマー微粒子分散体を調製した。
得られたポリマー微粒子について、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社製)で測定した平均粒子径(D50%)は76nmであった。
(製造例4)
−カーボンブラックのポリマー微粒子分散体の調製−
製造例1において、銅フタロシアニン顔料をカーボンブラック(デグサ社製、FW100)に変更した以外は、製造例1と同様にして、黒色のポリマー微粒子分散体を調製した。
得られたポリマー微粒子について、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社製)で測定した平均粒子径(D50%)は104nmであった。
次に、上記製造例1〜4で得たポリマー微粒子分散体及びカーボンブラック分散液を用いてインク組成物を製造した。
(製造例5)
−シアンインク組成物1の調製−
製造例1の銅フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール23.0質量%、グリセリン8.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、FS−300(DuPont社製)2.5質量%、プロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とし、その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。その後イオン交換水を使用し固形分を、12wt%に調整した。以上によりインク組成物を調製した。得られたインク組成物の25°Cに於ける粘度は9mPa・s、表面張力は25mN/mであった。粘度の測定は、粘度測定装置(東機産業社製、R500回転粘度計)を用いて、25℃で行った。
(製造例6)
−マゼンタインク組成物1の調製−
製造例2のジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール22.5質量%、グリセリン9.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、FS−300(DuPont社製)2.5質量%、プロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とし、その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。その後イオン交換水を使用し固形分を、12wt%に調整した。以上によりインク組成物を調製した。得られたインク組成物の25°Cに於ける粘度は9mPa・s、表面張力は25mN/mであった。
(製造例7)
−イエローインク組成物1の調製−
製造例3のモノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール24.5質量%、グリセリン8.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、FS−300(DuPont社製)2.5質量%、プロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とし、その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。その後イオン交換水を使用し固形分を、12wt%に調整した。以上によりインク組成物を調製した。得られたインク組成物の25°Cに於ける粘度は9mPa・s、表面張力は25mN/mであった。
(製造例8)
−ブラックインク組成物1の調製−
製造例4のカーボンブラック含有ポリマー微粒子分散体20.0質量%、3−メチル−1,3−ブタンジオール22.5質量%、グリセリン7.5質量%、2−ピロリドン2.0質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール2.0質量%、R−(OCHCHOH(ただし、式中、Rは炭素数12のアルキル基、n=9)2.0質量%、プロキセルLV(アベシア社製)0.2質量%、及び2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール0.5質量%、及びイオン交換水を適量加えて100質量%とし、その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行った。その後イオン交換水を使用し固形分を、12wt%に調整した。以上によりインク組成物を調製した。得られたインク組成物の25°Cに於ける粘度は9mPa・s、表面張力は25mN/mであった。
[実施例1]
製造例5〜8にて製造したインク組成物からなる黒、イエロー、マゼンタ、シアンからなるインクセット1を調製し、得られたインクセット1と、オフセット印刷向けのコート紙である OKトップコート+(王子製紙)に、インクジェットプリンタ(リコー製、Ipsio GX5500 商品名)に、本発明の定着装置を取り付け、画像を形成し、前記定着装置の画像汚れ、ならびに定着後の画像を評価した。
作像条件は1200dpi(光沢紙きれいモード)で、画像解像度1200dpiにて印字を行った。大滴サイズは15plとし、中滴サイズは10pl,小滴サイズは2plとした。
二次色の総量規制を140%にして付着量規制を実施した。ベタ印字の際は1200dot四方のインク総量が15g/mを超えないよう、ベタ画像、及び文字を印写した。
印字後、80℃の温風を5秒間吹きつけた後、図5に示す定着装置に通し、離型剤が溶融しかつ定着紙面温度が120℃になるように調節し、0.8秒間ニップ処理を行った。
離型剤は、ステアリン酸亜鉛(融点140℃)を、界面活性剤を用いて水中に分散したステアリン酸亜鉛が30質量%の分散液を使用し、該分散液の濃度を希釈することで、画像上に移るステアリン酸亜鉛の量が100mg/mになるように、分散液中のステアリン酸亜鉛の含有量を調節した。
なお、画像上表面の残留離型材量は蛍光X線(理学)にて定量した。
画像形成を100枚行い、熱ローラの汚れを目視にて評価した。
○:熱ローラの汚れなし。
×:熱ローラ汚れあり。
得られた画像をスミア評価機(Sutherland Ink Rub Tester, using 750 gram head with two rubber pads)で30回、普通紙(リコー マイペーパー)で摩擦し、転写した顔料の濃度(XRite SP62 or SP68 Spectrophotometer with 14 mm aperture)を、測定し画像信頼性を評価した。
○:OD 0.1以下。
×:OD 0.1を越える。
印字した100枚の用紙を重ねて、黒い紙の上でさばき離型剤の脱離を評価した。
○:離型剤の粉が落下しない。
△:離型剤の粉が若干落下する。
×:離型剤の粉が多量に落下する。
得られた画像のブリスターの有無を目視により確認した。
○:ブリスターなし。
×:ブリスターあり。
[実施例2]
実施例1の残留離型剤量を20mg/mに変えた以外は実施例1と同様にして印字した。
[実施例3]
実施例1の残留離型剤量を500mg/mに変えた以外は実施例1と同様にして印字した。
[実施例4]
実施例1の残留離型剤量を600mg/mに変えた以外は実施例1と同様にして印字した。
[実施例5]
実施例1で離型剤に固体のステアリン酸亜鉛を用いた以外は実施例1と同様にして印字した。
[実施例6]
実施例1で熱ローラ温度を80℃とした以外は実施例1と同様にして印字した。
[実施例7]
実施例1で熱ローラ温度を160℃とした以外は実施例1と同様にして印字した。
[比較例1]
実施例1で離型剤を用いなかった以外は実施例1と同様にして印字した。
[比較例2]
実施例1で離型剤にシリコーンオイルに変えた以外は実施例2と同様にして印字した。
Figure 2013188982
(図1〜図4)
1 定着ローラ
2 加圧ローラ
3 発熱フィラメント
4 ヒータ
5 記録媒体
6 温度検知手段
7,8,9、記録メディア
10,12,14 ヒータの発熱部
11,13,15 ヒータ
(図5)
T1 離型剤
T2 離型剤塗布装置
T3 定着ローラ
T4 加圧ローラ
T5 記録媒体
T6 離型剤均しブレード
(図7〜図10)
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
144 分離パッド
151 搬送ベルト
152 再度カウンタローラ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 デンションローラ
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
201 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジ外装
301 研磨ユニット
302 研磨ロール
303 クリーニングロール
特開2007−144975公報 特開平8−92513号公報 特許第2860123号公報 特許第2590822号公報 特開2000−108495号公報 特開2008−100511号公報

Claims (10)

  1. インクジェット方式により、コート層を有するメディアにインクを吐出させて画像を形成する画像形成手段、該画像形成手段により形成された画像を定着する定着手段を有するインクジェット記録装置であって、前記定着手段は、画像に直接接触して加熱する加熱手段、及び、画像と該加熱手段との接触面間に離型剤を供給する離型剤供給手段を有するものであることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記定着手段は、画像が指触乾燥後に加熱定着するものであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記加熱手段は、画像との接触部の温度が40℃以上150℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記加熱手段は、熱ローラであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記離型剤は融点が50℃以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記離型剤は金属石鹸であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記メディアは、動的走査吸液計で測定した接触時間100msにおける純水の記録用メディアへの転移量が30ml/m以下であり、且つ接触時間400msにおける純水の記録用メディアへの転移量が35ml/m以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  8. 前記画像形成手段は、インク付着量が15g/m以下で画像を形成するものであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  9. 前記インクは、少なくとも着色剤と水を含有する水性インクであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  10. 前記水性インクは、さらに樹脂成分を含むものであることを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置。
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