JP2008062319A - 機能素子、半導体デバイスおよび電子機器 - Google Patents
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Abstract
【課題】成膜時の影響が機能部に及ぶことがなく、これにより素子の信頼性を向上させることの可能な機能素子を提供する。
【解決手段】基板10の表面に可動部11、封止層12および壁部13を備える。封止層12は、可動部11の周囲に内部空間14を形成するドーム状の形状を有しており、封止層12のうち可動部11と対向する領域以外の領域に開口部15が設けられている。壁部13は可動部11と開口部15との間に、内部空間14を分離しないように形成されており、開口部15を貫通すると共に封止層12および壁部13を貫通しない直線が横切ることのない空間(影空間19)を内部空間14内に形成している。可動部11は影空間19内に配置されている。
【選択図】図2
【解決手段】基板10の表面に可動部11、封止層12および壁部13を備える。封止層12は、可動部11の周囲に内部空間14を形成するドーム状の形状を有しており、封止層12のうち可動部11と対向する領域以外の領域に開口部15が設けられている。壁部13は可動部11と開口部15との間に、内部空間14を分離しないように形成されており、開口部15を貫通すると共に封止層12および壁部13を貫通しない直線が横切ることのない空間(影空間19)を内部空間14内に形成している。可動部11は影空間19内に配置されている。
【選択図】図2
Description
本発明は、気密封止の必要な機能素子、ならびにその機能素子を備えた半導体デバイスおよび電子機器に関する。
近年の集積化技術の向上に伴い、電子機器の小型・軽量化、低電圧動作・低消費電力化、高周波動作化が急速に進んでいるが、その一方で高機能化も求められている。このような互いに対立する課題を解決する技術の一つとして、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems;マイクロマシン)が注目されている。このMEMSは、シリコンプロセス技術により、マイクロな機械的要素と電子回路要素とを融合したシステムである。MEMSの要素技術は、その精密加工性などの優れた特徴から、高機能化に対応しつつ、小型で低価格なSoC(System on a Chip) を実現することができる。
そのため、近年、各種センサ、流体、光学、RF、ストレージ、バイオなど多岐に渡る応用分野においてMEMSの要素技術が利用されている。この技術を利用したMEMS素子として、例えば、通信回路用のミキサがある。このミキサは、基板上に機械的な共振を利用した可動部を有しており、RF信号の周波数とLO信号の周波数との差分の周波数(中間周波数)で共振し、その中間周波数の信号をIF信号として出力するようになっている。
このように、上記のMEMSの要素技術を利用した可動部のような機能部を内蔵する機能素子では、温度、気圧、大気中の水分、ダストなどの外部環境の影響により素子の特性が変化し、素子の信頼性が低下する虞がある。特に、MEMS素子を実装する工程では、MEMS素子は使用時よりも厳しい環境に曝されるので、素子の特性が大幅に劣化し、歩留まりが低下することがある。また、機能部の動作に機械的な共振が利用されている場合には、その特性上、減圧下で動作させることが望ましいこともある。これらの理由から、MEMS素子では、機能部の機械的な動作空間を確保しつつ、安定した環境を維持するために、機能部を気密封止することが必要となる。
従来は、機能部の気密封止には、気密性パッケージを接合することにより機能部に直接ふたをする方法が採られてきた。しかし、この方法では、製造コストがかかることから、近年では、ウェハレベルで機能部を気密封止する方法が多数提案されている。例えば、機能部の全体を覆う犠牲層の表面に密閉層を形成し、この密閉層の一部に開口部を形成したのち開口部を通じて選択エッチングにより犠牲層を除去し、最後に何らかの成膜法を用いて開口部を封止することにより、機能部を気密封止する方法が提案されている。また、特許文献1では、基板の凹部に機能部を配置すると共に機能部の上部に傘のように広がった電極を形成し、基板と電極との間に隙間(開口部)を設けておき、スパッタ法を用いて開口部を封止することにより、機能部を気密封止する方法が開示されている。
しかし、このようにして機能部を気密封止した場合に、機能部と開口部との距離が近いときには、埋め込み材料が開口部を通じて機能部に堆積するなど、成膜時の影響が機能部に及んでしまい、これにより、素子の特性が変化し、素子の信頼性が低下する虞がある。そして、このような問題は、MEMSの要素技術を利用したものに限らず、気密封止の必要な機能素子において広く一般に生じるものである。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、成膜時の影響が機能部に及ぶことがなく、これにより素子の信頼性を向上させることの可能な機能素子、半導体デバイスおよび電子機器を提供することにある。
本発明の機能素子は基板の表面に1または複数の機能部を備えたものであり、その機能部の周囲には、機能部の周囲に空間を形成すると共に埋め込み材料により封止された1または複数の開口部を有する封止層が設けられている。封止層により形成される空間内には、1または複数の壁部が設けられている。この壁部は、機能部と開口部との間に、空間を分離しないように形成されている。また、本発明の半導体デバイスおよび電子機器は、一の素子と他の素子とに接続された上記機能素子を内蔵したものである。なお、「基板の表面」とは、単一基板の表面の他、基板の表面に設けられた別基板の表面をも含む概念であり、さらに、基板の表面に何らかの層が形成されている場合には、その層の表面をも含む概念である。
本発明の機能素子、半導体デバイスおよび電子機器では、機能部と開口部との間に、封止層により形成された空間を分離しないように壁部が形成されているので、各種成膜法(蒸着、スパッタ、CVDなど)を用いて開口部を封止する際に、埋め込み材料が壁部に阻まれて壁部の背後にある機能部にまで回り込まないようにすることが可能となる。
本発明の機能素子、半導体デバイスおよび電子機器によれば、機能部と開口部との間に、封止層により形成された空間を分離しないように壁部を形成するようにしたので、各種成膜法を用いて開口部を封止する際に、埋め込み材料が機能部にまで到達しないようにすることが可能となる。これにより、成膜時の影響が機能部に及ぶことがなくなるので、素子の信頼性が向上する。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係るMEMS素子1(機能素子)の上面構成を、図2は図1のA−A矢視方向の断面構成を、図3は図2のB−B矢視方向の断面構成を、図4は図2のC−C矢視方向の断面構成をそれぞれ表すものである。
このMEMS素子1は、機械的に動作する可動部11(機能部)をウェハレベルで気密封止したものであり、基板10の表面に可動部11、封止層12および壁部13を備えている(図2参照)。
基板10は、支持基体10Aの表面に下地層10Bを形成したものである(図2参照)。ここで、半導体基板10Aは、例えば、シリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)などからなる半導体基板、または石英やガラスなどからなる絶縁性基板である。下地層10Bは、後述の犠牲層R2をエッチャントで除去する際にエッチングストップ層として作用する材料、例えばSiNにより構成されている。
可動部11は、例えばポリシリコンからなり、下地層10Bの表面に形成されている (図2参照)。この可動部11は、外部からの電気信号に応じて機械的に可動する構造を有している。例えば、後の適用例で詳述するように、RF信号の周波数とLO信号の周波数との差分の周波数(中間周波数)で機械的に共振する構造とした場合には、外部からのRF信号およびLO信号の入力に応じて中間周波数の信号をIF信号として出力する高周波回路用のミキサとして機能させることが可能となる。
封止層12は、後述の犠牲層R2をエッチャントで除去する際にエッチングされずに残留する材料、例えばSiNからなる。この封止層12は、可動部11、および基板10の表面のうち可動部11の周囲の双方と所定の間隙を介して中空に形成された天井部分12Aと、その天井部分12Aと一体的に形成されると共に基板10の表面と接して形成された側壁部分12Bとにより構成されている(図2参照)。つまり、封止層12はドーム状の形状を有しており、可動部11の周囲に内部空間14を形成し可動部11を外部環境と分離するキャビティとして機能する。また、この封止層12は、後述するように、例えば減圧CVD( 化学気相成長) 法を用いて形成されたものであり、可動部11をウェハレベルで保護するようになっている。
この封止層12には、封止層12のうち可動部11と対向する領域以外の領域、すなわち、封止層12の可動部11との非対向領域に開口部15が形成されている(図2参照)。この開口部15は、後述するように、製造過程において可動部11の周囲を覆っている犠牲層R2を除去するエッチャントの通り穴として用いられるものであり、犠牲層R2を除去した後にAlなどの埋め込み材料からなる封止部材17により封止されている。これにより、内部空間14が気密封止され、可動部11が外部環境から完全に分離される。
壁部13は内部空間14内に封止層12と一体的に形成されると共に、基板10の表面と接して形成されている(図2、図4参照)。従って、この壁部13は、封止層12の天井部分12Aを支持する支柱として機能する。
また、この壁部13は可動部11と開口部15との間に形成されており、可動部11と開口部15とが互いに対向する方向と直交する方向の両側面13Aと封止層12の側壁部分12Bとの間に間隙14A(図3、図4参照)が形成されている。つまり、内部空間14の可動部11側の空間と、開口部15側の空間とは間隙14Aを介して互いに連通しており、壁部13は内部空間14を分離しないように形成されている。これにより、犠牲層R2を除去する際に開口部15に流し込んだエッチャントを、間隙14Aを介して可動部11側にまで流し込むことができる。
ところで、この壁部13は、図5の上面図(封止部材16を省略)に示したように、開口部15を貫通すると共に封止層12および壁部13を貫通しない直線が横切ることのない空間(影空間19)を内部空間14内に形成している。
なお、図5には、開口部15を貫通すると共に封止層12および壁部13を貫通しない直線として、開口部15のうち壁部13から最も離れている端部(最遠端部15A、図1〜図3,図5参照)と壁部13の両側面13Aの端部とを結んだ直線18が例示されている。この直線18は、開口部15を貫通すると共に封止層12および壁部13を貫通しない直線が横切る空間と、上記影空間19とを空間的に区別する境界でもある。
この影空間19は、外部から開口部15を覗き込んだときに、壁部13および封止層12によって遮られて見ることのできない空間に相当している。より具体的には、内部空間14の可動部11側の空間から、直線18によって切り取られた空間を除いた空間に相当している。
本実施の形態では、この影空間19内に可動部11が配置されている。これにより、各種成膜法(蒸着、スパッタ、CVDなど)を用いて埋め込み材料を開口部15に堆積させて開口部15を封止する際に、埋め込み材料が壁部13の背後にある可動部11にまで回り込むのを防止するようになっている。
次に、このような構成のMEMS素子1の製造方法の一例について説明する。
まず、支持基体10A上に、下地層10Bおよび犠牲層R1をこの順に積層し(図6 (A))、その後、犠牲層R1に、可動部11の一部を形成するための開口部H1を形成する(図6(B))。次に、表面全体に渡って可動部11Aを成膜し(図6(C))、その後、可動部11Aを選択的にエッチングすることにより可動部11を形成する(図6 (D))。続いて、可動部11全体を覆うように犠牲層を成膜し、先の犠牲層R1と共に犠牲層R2を形成する(図6(E))。
次に、犠牲層R2を選択的にエッチングして、可動部11の周囲に犠牲層R2を残すと共に開口部H2を形成し(図7(A))、その後、犠牲層R2の表面全体に渡って封止層12Aを形成すると共に、開口部H2内に、壁部13を封止層12Aと一体的に形成する(図7(B))。次に、この封止層12Aに開口部15を形成して封止層12を形成したのち(図7(C))、その開口部15からエッチャントを流し込み、犠牲層R2を除去して内部空間14を形成する(図7(D))。
次に、各種成膜法を用いて埋め込み材料を開口部15に堆積させて開口部15を封止する (図2)。これにより、内部空間14が気密封止され、可動部11が外部環境から完全に分離される。このようにして、MEMS素子1が形成される。
ところで、上記したように各種成膜法を用いて埋め込み材料を開口部15に堆積させる際に、埋め込み材料は内部空間14の中を飛散する。そのため、従来のMEMS素子では、飛散している埋め込み材料が可動部に付着するなどして、素子の特性が変化し、素子の信頼性が低下する虞があった。そこで、従来は、埋め込み材料が可動部に付着しないようにするために開口部を可動部から離す方法が採られていたが、これではレイアウトが大きくなってしまうので、開口部を可動部から離す代わりに開口部15の径を小さくして埋め込み材料の飛散面積を小さくすることが考えられる。しかし、このように開口部15の径を小さくすると、その分だけエッチャントが開口部15から入りにくくなり、その結果、エッチング時間が長くなるだけでなく、エッチャントによって素子が大きなダメージを受ける虞がある。
しかし、本実施の形態では、開口部15と可動部11との間に壁部13が設けられているので、開口部15を封止する際に、開口部15を通過して可動部11へ向かって飛散する埋め込み材料は壁部13によって阻まれて開口部15と壁部13との間に堆積し、他方、開口部15を通過して可動部11とは異なる方向へ向かって飛散する埋め込み材料は壁部13に阻まれて開口部15と壁部13との間に堆積するか、または間隙14Aおよびそのごく近傍に落下して堆積する。つまり、埋め込み材料が壁部13に阻まれて、壁部13の背後(影空間19)に配置された可動部11にまで回り込まない。
このように、本実施の形態では、開口部15と可動部11との間に壁部13を設けることにより、各種成膜法を用いて埋め込み材料を開口部15に堆積させる際に、埋め込み材料が影空間19に配置された可動部11にまで回り込まないようにしている。これにより、成膜時の影響が可動部11に及ぶ虞をなくすることができるので、素子の特性が変化することがなく、素子の信頼性が向上する。
特に、指向性のある成膜方法(蒸着、スパッタなど)を採った場合には、埋め込み材料は影空間19にほとんど進入することがない。これにより、壁部13が設けられていない場合に埋め込み材料が到達し得る空間内に可動部11を設けた場合であっても、成膜時の影響が可動部11に及ぶ虞をなくすることができる。これにより、開口部15と可動部11との距離を狭めることができるので、素子の信頼性を低下させることなく、レイアウトを小さくすることができる。その結果、デッドスペースを小さくすることができるので、フットプリントを小さくすることができる。
また、本実施の形態では、上記したように、わざわざ開口部15の径を小さくしなくても、レイアウトを小さくすることができ、これに伴って内部空間14も小さくすることができるので、犠牲層R2の容積を小さくすることができ、エッチャントによる犠牲層R2の除去に要する時間を短縮することができる。これにより、エッチャントによる素子のダメージを最小限に抑えることができる。また、壁部13を設けることにより、開口部15と可動部11との距離を自由に設定することができるので、レイアウトの自由度が向上する。
[変形例]
上記実施の形態では、壁部13を封止層12と一体的に形成すると共に、基板10の表面と接して形成していたが、図8に例示したように、壁部13と基板10との間に、埋め込み材料が可動部11にまで到達しない程度の間隙14Bを設けてもよい。これにより、例えば、封止層12の材料を歪の強い材料により形成した場合であっても、封止層12の歪に起因して基板10に応力が発生し、可動部11の近傍にクラックが生じる虞がなくなるので、素子の信頼性が向上する。
上記実施の形態では、壁部13を封止層12と一体的に形成すると共に、基板10の表面と接して形成していたが、図8に例示したように、壁部13と基板10との間に、埋め込み材料が可動部11にまで到達しない程度の間隙14Bを設けてもよい。これにより、例えば、封止層12の材料を歪の強い材料により形成した場合であっても、封止層12の歪に起因して基板10に応力が発生し、可動部11の近傍にクラックが生じる虞がなくなるので、素子の信頼性が向上する。
また、上記実施の形態では、壁部13を封止層12と一体的に形成していたが、封止層12と別個に形成すると共に封止層12と接するように形成してもよい。なお、図9に例示したように、封止層12と別個に形成した壁部23と、封止層12との間に、埋め込み材料が可動部11にまで到達しない程度の間隙14Cを設けてもよい。これにより、例えば、封止層12の材料を歪の強い材料により形成した場合であっても、封止層12の歪に起因して基板10に応力が発生し、可動部11の近傍にクラックが生じる虞がなくなるので、素子の信頼性が向上する。また、壁部23と可動部11とを同じ高さで形成することが可能な場合には、壁部23を可動部11と一括に形成することができる。これにより、処理時間の増加を抑制することができる。
また、上記実施の形態では、方形状の一枚板からなる壁部13を内部空間14内に設けていたが、例えば、図10に例示したように、二枚板からなる壁部33を設けてもよい。これにより、例えば、可動部11の高さが高く、開口部H2のアスペクト比が高い場合であっても、壁部33を容易に封止層12と一体的に形成することができる。ただし、壁部33の高さがあまりに高い場合には、例えば、図11に例示したように、アスペクト比の低い壁部43を形成することが好ましい。これにより、応力の集中によって壁部33や封止層12にクラックが入る虞を防止することができるので、素子の信頼性が向上する。
また、上記実施の形態では、開口部15を1つ設けた場合について説明したが、複数設けてもよい。この場合に、壁部13を1つだけ設けてもよいが、壁部13をあまり大きくすると、犠牲層R2を除去する際に、壁部13の背後に犠牲層R2が除去しきれずに残留してしまう虞がある。そこで、そのような虞がある場合には、例えば、図12の上面図(封止部材16を省略)に例示したように、各開口部15に対応して壁部13を1つずつ設けることが好ましい。これにより、製造過程において、各壁部13の間に形成された間隙からエッチャントを可動部11側に流し込むことができるので、犠牲層R2を短時間で確実に除去することができる。これにより、犠牲層R2の残留によって素子の特性が変化するのを防止することができ、素子の信頼性が向上する。ただし、この場合には、埋め込み材料が可動部11に到達しないようにするために、開口部15を貫通すると共に封止層12および壁部13を貫通しない直線が横切ることのない空間(影空間29)内に可動部11を設けることが必要となる。
なお、図12では、各開口部15の最遠端部15Aと、各開口部15に対応して設けられた壁部13の両側面13Aの端部とを結んだ直線18が隣接する壁部13を貫通するように、各壁部13を配置しているが、これにより、埋め込み材料が各壁部13の間に形成された間隙を介して内部空間14のうち可動部11側の空間に到達する虞がないので、可動部11を各壁部13に近接して配置することができる。これにより、上記実施の形態と同様、素子の信頼性を低下させることなく、レイアウトを小さくすることができる。その結果、デッドスペースを小さくすることができるので、フットプリントを小さくすることができる。
また、複数の可動部11を2次元配列する場合には、例えば、図13に例示したように、可動部11の形成されていない領域を利用して、複数の開口部15を2次元配列することができる。このとき、可動部11および開口部15の形成されていない領域を利用して、各可動部11と各開口部15との間に壁部13を設けることにより、可動部11を飛散する埋め込み材料から保護することができるので、わざわざ各可動部11と各開口部15との間を広くする必要がない。これにより、複数の可動部11を2次元配列する場合であっても、上記実施の形態と同様、素子の信頼性を低下させることなく、レイアウトを小さくすることができる。その結果、デッドスペースを小さくすることができるので、フットプリントを小さくすることができる。
[適用例]
次に、図14を参照して、上記実施の形態のMEMS素子1を搭載した通信装置の構成について説明する。図14は、電子機器としての通信装置のブロック構成を表している。なお、上記実施の形態のMEMS素子1を搭載した半導体デバイスおよびモジュールは、上記通信装置により具現化されるので、以下、合わせて説明する。
次に、図14を参照して、上記実施の形態のMEMS素子1を搭載した通信装置の構成について説明する。図14は、電子機器としての通信装置のブロック構成を表している。なお、上記実施の形態のMEMS素子1を搭載した半導体デバイスおよびモジュールは、上記通信装置により具現化されるので、以下、合わせて説明する。
なお、本適用例では、MEMS素子1を搭載した場合を例示して説明するが、上記各変形例に係るMEMS素子を搭載した場合であっても同様の作用、効果を奏する。
図14に示した通信装置は、上記実施の形態において説明したMEMS素子1をミキサ322I,322Q,333,362I,362Q(半導体デバイス)として搭載したものであり、例えば、携帯電話器、情報携帯端末(PDA)、無線LAN機器などである。なお、上記ミキサ322I,322Q,333,362I,362Qは、SoCからなる半導体デバイス内に形成されている。この通信装置は、例えば、図14に示したように、送信系回路300A(モジュール)と、受信系回路300B(モジュール)と、送受信経路を切り替える送受信切換器301と、高周波フィルタ302と、送受信用のアンテナ303とを備えている。
送信系回路300Aは、Iチャンネルの送信データおよびQチャンネルの送信データに対応した2つのデジタル/アナログ変換器(DAC;Digital/Analogue Converter)311I,311Qおよび2つのバンドパスフィルタ312I,312Qと、変調器320および送信用PLL(Phase-Locked Loop )回路313と、電力増幅器314とを備えている。この変調器320は、上記した2つのバンドパスフィルタ312I,312Qに対応した2つのバッファアンプ321I,321Qおよび2つのミキサ322I,322Qと、移相器323と、加算器324と、バッファアンプ325とを含んで構成されている。
受信系回路300Bは、高周波部330、バンドパスフィルタ341およびチャンネル選択用PLL回路342と、中間周波回路350およびバンドパスフィルタ343と、復調器360および中間周波用PLL回路344と、Iチャンネルの受信データおよびQチャンネルの受信データに対応した2つのバンドパスフィルタ345I,345Qおよび2つのアナログ/デジタル変換器(ADC;Analogue/Digital Converter)346I,346Qとを備えている。高周波部330は、低ノイズアンプ331と、バッファアンプ332,334と、ミキサ333とを含んで構成されており、中間周波回路350は、バッファアンプ351,353と、自動ゲイン調整(AGC;Auto Gain Controller)回路352とを含んで構成されている。復調器360は、バッファアンプ361と、上記した2つのバンドパスフィルタ345I,345Qに対応した2つのミキサ362I,362Qおよび2つのバッファアンプ363I,363Qと、移相器364とを含んで構成されている。
この通信装置では、送信系回路300AにIチャンネルの送信データおよびQチャンネルの送信データが入力されると、それぞれの送信データを以下の手順で処理する。すなわち、まず、DAC311I、311Qにおいてアナログ信号に変換し、引き続きバンドパスフィルタ312I,312Qにおいて送信信号の帯域以外の信号成分を除去したのち、変調器320に供給する。続いて、変調器320において、バッファアンプ321I,321Qを介してミキサ322I,322Qに供給し、引き続き送信用PLL回路313から供給される送信周波数に対応した周波数信号を混合して変調したのち、両混合信号を加算器324において加算することにより1系統の送信信号とする。この際、ミキサ322Iに供給する周波数信号に関しては、移相器323において信号移相を90°シフトさせることにより、Iチャンネルの信号とQチャンネルの信号とが互いに直交変調されるようにする。最後に、バッファアンプ325を介して電力増幅器314に供給することにより、所定の送信電力となるように増幅する。この電力増幅器314において増幅された信号は、送受信切換器301および高周波フィルタ302を介してアンテナ303に供給されることにより、そのアンテナ303を介して無線送信される。この高周波フィルタ302は、通信装置において送信または受信する信号のうちの周波数帯域以外の信号成分を除去するバンドパスフィルタとして機能する。
一方、アンテナ303から高周波フィルタ302および送受信切換器301を介して受信系回路300Bに信号が受信されると、その信号を以下の手順で処理する。すなわち、まず、高周波部330において、受信信号を低ノイズアンプ331で増幅し、引き続きバンドパスフィルタ341で受信周波数帯域以外の信号成分を除去したのち、バッファアンプ332を介してミキサ333に供給する。続いて、チャンネル選択用PPL回路342から供給される周波数信号を混合し、所定の送信チャンネルの信号を中間周波信号とすることにより、バッファアンプ334を介して中間周波回路350に供給する。続いて、中間周波回路350において、バッファアンプ351を介してバンドパスフィルタ343に供給することにより中間周波信号の帯域以外の信号成分を除去し、引き続きAGC回路352でほぼ一定のゲイン信号としたのち、バッファアンプ353を介して復調器360に供給する。続いて、復調器360において、バッファアンプ361を介してミキサ362I,362Qに供給したのち、中間周波用PPL回路344から供給される周波数信号を混合し、Iチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分とを復調する。この際、ミキサ362Iに供給する周波数信号に関しては、移相器364において信号移相を90°シフトさせることにより、互いに直交変調されたIチャンネルの信号成分とQチャンネルの信号成分とを復調する。最後に、Iチャンネルの信号およびQチャンネルの信号をそれぞれバンドパスフィルタ345I,345Qに供給することによりIチャンネルの信号およびQチャンネルの信号以外の信号成分を除去したのち、ADC346I,346Qに供給してデジタルデータとする。これにより、Iチャンネルの受信データおよびQチャンネルの受信データが得られる。
この通信装置は、上記実施の形態のMEMS素子1をミキサ322I,322Q,333,362I,362Qとして搭載しているので、埋め込み材料の付着など、成膜時における影響を受けて個々のミキサの高周波特性がばらつくことがない。これにより、個々の通信装置において高周波特性が安定しており、信頼性が高い。
なお、図14に示した通信装置では、上記実施の形態のMEMS素子1をミキサ322I,322Q,333,362I,362Q(半導体デバイス)に適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、MEMS素子1を送受信切替器301や、バンドパスフィルタ312I,312Q,341,343,346I,346Q、または、高周波フィルタ302に適用してもよい。この場合においても、上記と同様の効果を得ることができる
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて本発明について説明したが、本発明は上記実施の形態等に限定されるものではなく、本発明のMEMS素子、半導体デバイスおよび通信装置の構成やその製造方法に関する手順などは、上記実施の形態等と同様の効果を得ることが可能な限りにおいて自由に変形可能である。
また、上記実施の形態等では、本発明のMEMS素子を携帯電話機などの通信装置に代表される電子機器に適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、通信装置以外の電子機器に適用することも可能である。これらのいずれの場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
1…MEMS素子、10…基板、10A…支持基体、10B…下地層、11…可動部、12…封止層、12A…天井部分、12B…側壁部分、13,23,33,43…壁部、14…内部空間、14A,14B,14C…間隙、15…開口部、15A…最遠端部、17…封止部材、18、28…直線、19,29…影空間。
Claims (11)
- 基板と、
前記基板の表面に形成された1または複数の機能部と、
前記機能部の周囲に空間を形成すると共に埋め込み材料により封止された1または複数の開口部を有する封止層と、
前記空間を分離することなく前記機能部と前記開口部との間に形成された1または複数の壁部と
を備えたことを特徴とする機能素子。 - 前記機能部は、前記開口部を貫通すると共に前記封止層および前記壁部を貫通しない直線が横切ることのない空間内に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の機能素子。 - 前記壁部は前記封止層と一体的に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の機能素子。 - 前記壁部は前記基板と接して配置されている
ことを特徴とする請求項3に記載の機能素子。 - 前記壁部は前記基板と所定の間隙を介して配置されている
ことを特徴とする請求項3に記載の機能素子。 - 前記壁部は前記封止層と別個に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の機能素子。 - 前記壁部は前記封止層と接して配置されている
ことを特徴とする請求項6に記載の機能素子。 - 前記壁部は前記封止層と所定の間隙を介して配置されている
ことを特徴とする請求項6に記載の機能素子。 - 前記開口部は前記封止層の前記機能部との非対向領域に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の機能素子。 - 一の素子と他の素子とに接続された機能素子を内蔵する半導体デバイスであって、
前記機能素子は、
基板と、
前記基板の表面に形成された1または複数の機能部と、
前記機能部の周囲に空間を形成すると共に埋め込み材料により封止された1または複数の開口部を有する封止層と、
前記空間を分離することなく前記機能部と前記開口部との間に形成された1または複数の壁部と
を備える
ことを特徴とする半導体デバイス。 - 請求項10に記載の半導体デバイスを内蔵する
ことを特徴とする電子機器。
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