JP2008060910A - 圧電振動デバイス - Google Patents

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Shinichi Koyama
伸一 小山
Ayako Hanai
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Abstract

【課題】小型化に適した圧電振動デバイスを提供する。
【解決手段】水晶振動子1では、水晶振動片2と、ベース3と、キャップ4と、水晶振動片2への外的な応力を軽減させるサポート材5とが設けられ、ベース3上にサポート材5を介して水晶振動片2が片保持される。この際、ベース3と水晶振動片2とサポート材5とは、それぞれベース用接続バンプ71及び水晶振動片用接続バンプ72を用いてFCB法により超音波接合され、水晶振動片2は接合領域261,262においてサポート材5と水晶振動片用接合材72により接合されている。また、水晶振動片2は、各接合領域261,262それぞれにおいて、ベース3との接合位置に対して平面視近傍位置でそれぞれ2点によりサポート材5と接合されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧電振動デバイスに関する。
現在、圧電振動デバイスとして、例えば、水晶発振器や水晶振動子などが挙げられる。この種の圧電振動デバイスでは、その筐体が直方体のパッケージで構成されている。このパッケージはベースと蓋とから構成され、このパッケージ内部には圧電振動片が導電性接着剤によりベースに接合されて、圧電振動片が片保持されている。そして、ベースと蓋とが接合されることで、パッケージの内部の圧電振動片が気密封止されている(例えば、下記する特許文献1ご参照。)。
特開2005−191709号公報
ところで、上記した特許文献1では、ベース上に圧電振動片を片保持する際、圧電振動片は導電性接着剤によりベースに接合される。この接合の際、導電性接着剤からの外的な応力(ベースへの圧電振動片の接合の際に発生する熱応力やベースと蓋との接合の際に発生する熱応力)などが圧電振動片に直接かかってしまい、圧電振動片の特性(周波数等)に悪影響を及ぼす。この悪影響は、圧電振動片の高周波化及び小型化にともなって著しくなる。
また、上記した特許文献1では、ベース上に圧電振動片を片保持する際、圧電振動片は導電性接着剤によりベースに接合される。また、ベース上には、異極となる電極が配されており、それぞれの電極上に導電性接着剤が塗布される。そのため、上記した特許文献1に開示の圧電振動デバイスの場合、異極となる電極間のショートを避けるために、パッケージ内部のベース上における導電性接着剤の塗布領域を確保し、かつ、この塗布領域に応じて導電性接着剤の塗布量(使用量)を設定する必要があり、この特許文献1に開示の圧電振動デバイスは、小型化に適していない。
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、小型化に適した圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスは、ベースと蓋とが接合されてパッケージが構成され、前記パッケージの内部の前記ベース上に圧電振動片が保持されるとともに、前記パッケージの内部が気密封止された圧電振動デバイスにおいて、前記圧電振動片は、脆性材からなるサポート材を介して前記ベース上に片保持され、前記ベースと前記サポートとはベース用接続バンプを介して前記サポート材の複数領域上で超音波接合により電気機械的に接合され、かつ、前記圧電振動片と前記サポート材とは圧電振動片用接続バンプを介して前記圧電振動片の複数領域上で超音波接合により電気機械的に接合され、前記圧電振動片は、前記各領域それぞれにおいて、前記ベースとの接合位置に対して平面視近傍位置で複数点により前記サポート材と接合されたことを特徴とする。
本発明によれば、上述の構成により、前記圧電振動片を前記ベースに保持する際や前記ベースに前記蓋を接合する際に前記パッケージに応力がかかる場合であってもその応力が前記圧電振動片にかかるのを抑制することが可能となる。また、本発明によれば、前記パッケージの小型化を図るのに好適であり、特に、本発明の作用効果は、従来技術のようにベースに圧電振動片を直接導電性接着剤を介して接合した圧電振動デバイスと比較して顕著にあらわれる。
また、本発明のように前記圧電振動片を接合バンプ(前記圧電振動片用接続バンプ)により片保持する場合、上記した特許文献1に記載の圧電振動片を導電性接着剤により片保持する場合と比較して、前記ベース上における前記圧電振動片の搭載位置がずれやすく、また、前記圧電振動片が傾いた状態で前記ベース上に保持されやすい。そのため、前記圧電振動片を前記接合バンプにより片保持した場合、上記した背景技術の特許文献1と比較して前記圧電振動片の接合不良が生じ易い。しかしながら、本発明によれば、前記ベースと前記サポートとはベース用接続バンプを介して前記サポート材の複数領域上で超音波接合により電気機械的に接合され、かつ、前記圧電振動片と前記サポート材とは圧電振動片用接続バンプを介して前記圧電振動片の複数領域上で超音波接合により電気機械的に接合され、前記圧電振動片は、その前記各領域それぞれにおいて、前記サポート材の前記ベースへの接合位置に対して平面視近傍位置で、それぞれ複数点により前記サポート材と接合されているので、前記圧電振動片と外部電極との接合強度を高めることが可能となり、その結果、前記パッケージへの前記圧電振動片の搭載位置のバラツキを抑えることが可能となり、また、前記圧電振動片の搭載傾きを抑えることができる。
前記構成において、前記ベース用接続バンプと前記圧電振動片用接続バンプは、平面視同一位置以外の重畳しない位置に形成されてもよい。
この場合、前記ベース用接続バンプと前記圧電振動片用接続バンプが平面視同一位置に形成されている場合と比較して、前記ベースと前記サポート材の接合後と接合時や、および前記サポート材と前記圧電振動片の接合後と接合時に、前記ベース用接続バンプと前記圧電振動片用接続バンプの一方の接続バンプが外部から受ける機械的歪みや熱歪みが、他方の接続バンプに直接伝わることはなく、その結果、圧電振動片に歪みが加わって圧電振動デバイスの電気的特性が低下(直列共振抵抗値の低下、周波数シフト、周波数温度特性の傾きが生じる等)するのを抑制することが可能となる。
また、前記ベース用接続バンプと前記圧電振動片用接続バンプを用いて超音波接合による工法であるFCB(Flip Chip Bonding)法で前記ベースと前記サポート材と前記圧電振動片それぞれを接合する場合、超音波による印加(例えば、合計2回)をそれぞれ各接合に対して最適な状態で行うことになる。そのため、本発明によれば前記ベース用接続バンプと前記圧電振動片用接続バンプが平面視同一位置に形成された場合と異なり、前記ベース用接続バンプと前記圧電振動片用接続バンプは、平面視同一位置以外の重畳しない位置に形成されるので、先の接合に用いた接続バンプに対して合計2回の超音波による印加が行われない。その結果、本発明によれば、先の接合に用いた接続バンプによる各部材の接合状態が変化せずに、結果として接合強度の低下を防止することが可能となる。
前記構成において、前記圧電振動片は、その基板の両主面それぞれに少なくとも1つの励振電極が形成され、かつ、これらの前記励振電極を外部電極と電気機械的に接合させるために前記励振電極からそれぞれ引き出された複数の引き出し電極が形成されてなり、前記複数の引き出し電極の引き出し先端部が一主面の少なくとも一端部に引き出され、前記引き出し先端部に外部電極が電気機械的に接合され、前記圧電振動片の他主面の、前記一主面に形成された前記引き出し先端部に対向する対向位置に絶縁材料が形成されてもよい。
この場合、前記圧電振動片に形成された前記複数の引き出し電極の引き出し先端部が一主面の少なくとも一端部に引き出され、前記引き出し先端部に外部電極が電気機械的に接合され、前記圧電振動片の他主面の、前記一主面に形成された前記引き出し先端部に対向する対向位置に絶縁材料が形成されるので、FCB法による接合を行うために、前記一主面に形成された前記引き出し先端部に対向する前記他主面の対向位置にFCB装置の超音波を発する部材を直接接触させた場合であっても、前記他主面の対向位置に形成された絶縁材料が前記他主面の対向位置にFCB装置の超音波を発する部材に固着するのを防ぐことが可能となる。
前記構成において、前記圧電振動片は、その基板の両主面それぞれに少なくとも1つの励振電極が形成され、かつ、これらの前記励振電極を外部電極と電気機械的に接合させるために前記励振電極からそれぞれ引き出された複数の引き出し電極が形成されてなり、前記複数の引き出し電極の引き出し先端部が一主面の少なくとも一端部に引き出され、前記引き出し先端部に外部電極が電気機械的に接合され、前記圧電振動片の他主面の、前記一主面に形成された前記引き出し先端部に対向する対向位置にクロム単層からなる材料が形成されてもよい。
この場合、前記圧電振動片に形成された複数の引き出し電極の引き出し先端部が一主面の少なくとも一端部に引き出され、前記引き出し先端部に外部電極が電気機械的に接合され、前記圧電振動片の他主面の、前記一主面に形成された前記引き出し先端部に対向する対向位置に前記クロム単層からなる材料が形成されるので、FCB法による接合を行うために、前記一主面に形成された前記引き出し先端部に対向する前記他主面の対向位置にFCB装置の超音波を発する部材を直接接触させた場合であっても、他主面の対向位置に形成された前記クロム単層からなる材料は、金と比較して硬い材質からなるとともに前記圧電振動片の基板と接合し易いため、金からなる材料と比較してFCB装置の超音波を発する部材に固着することはない。
前記構成において、前記圧電振動片は、その基板の両主面それぞれに少なくとも1つの励振電極が形成され、かつ、これらの前記励振電極を外部電極と電気機械的に接合させるために前記励振電極からそれぞれ引き出された複数の引き出し電極が形成されてなり、前記複数の引き出し電極の引き出し先端部が前記一主面の少なくとも一端部に引き出され、前記引き出し先端部に外部電極が電気機械的に接合され、前記圧電振動片の他主面の、前記一主面に形成された前記引き出し先端部に対向する対向位置は前記基板が露出されてもよい。
この場合、前記圧電振動片に形成された複数の引き出し電極の引き出し先端部が前記一主面の少なくとも一端部に引き出され、前記引き出し先端部に外部電極が電気機械的に接合され、前記圧電振動片の他主面の、前記一主面に形成された前記引き出し先端部に対向する対向位置は前記基板が露出されるので、FCB法による接合を行うために、前記一主面に形成された前記引き出し先端部に対向する前記他主面の対向位置にFCB装置の超音波を発する部材を直接接触させた場合であっても、前記基板が前記他主面の対向位置にFCB装置の超音波を発する部材に固着することがない。
前記構成において、前記圧電振動片は、その基板の両主面それぞれに少なくとも1つの励振電極が形成され、かつ、これらの前記励振電極を外部電極と電気機械的に接合させるために前記励振電極からそれぞれ引き出された複数の引き出し電極が形成されてなり、前記複数の引き出し電極の引き出し先端部が前記一主面の少なくとも一端部に引き出され、前記引き出し先端部に外部電極が電気機械的に接合され、前記引き出し電極の引き出し先端部の高さが他の部分の高さより厚く成形され、前記引き出し先端部の他の部分より高く成形された高地部分に外部電極が電気機械的に接合されてもよい。
この場合、前記複数の引き出し電極の引き出し先端部が一主面の少なくとも一端部に引き出され、前記引き出し先端部に外部電極が電気機械的に接合され、前記引き出し電極の引き出し先端部の高さが他の部分の高さより厚く成形され、前記引き出し先端部の他の部分より高く成形された高地部分に外部電極が電気機械的に接合されるので、別途接合材を用いずに前記引き出し電極と外部電極との接合を行なうことが可能となる。その結果、接合材を用いることによる電極間のショートを防ぐことが可能となる。この効果は、特に圧電振動デバイスが小型化するにつれて顕著になる。
本発明によれば、小型化に適した圧電振動デバイスを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施例では、圧電振動デバイスとして水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。
本実施例にかかる水晶振動子1では、図1(図1(a),図1(b))に示すように、厚みすべり振動系の水晶振動片2(本発明でいう圧電振動片)と、この水晶振動片2を片保持するベース3と、ベース3に保持した水晶振動片2を気密封止するための蓋4と、水晶振動片2への外的な応力を軽減させるサポート材5とが設けられている。
この水晶振動子1では、ベース3と蓋4とからパッケージ6が構成され、ベース3と蓋4とが接合されてパッケージ6の内部空間が形成され、このパッケージ6の内部空間内のベース3上にサポート材5を介して水晶振動片2が保持されるとともに、パッケージ6の内部空間が気密封止される。この際、図1に示すように、ベース3と水晶振動片2とサポート材5とは、それぞれ金属材料からなる接合材(ベース用接合バンプ71および水晶振動片用接合バンプ72)を用いてFCB法により超音波接合されるとともに電気機械的に接合されている。次に、この水晶振動子1の各構成について説明する。
ベース3は、図1に示すように、底部31と、この底部31から上方に延出した壁部32とから構成される箱状体に形成されている。このベース3は、セラミック材料からなる平面視矩形状の一枚板上に、セラミック材料の直方体が積層して凹状に一体的に焼成されている。また、壁部32は、底部31の表面外周に沿って成形されている。この壁部32の上面は、蓋4との接合領域であり、この接合領域には、蓋4と接合するためのメタライズ層33(例えば、タングステンメタライズ層上にニッケル,金の順でメッキした構成、または錫と金、錫と銀とからなる構成)が設けられている。なお、メタライズ層33の代わりにガラス層を設けてもよく、ガラス層を形成することによりベース3と蓋4との接合強度を向上させることができる。このベース3には、水晶振動片2の励振電極231,232それぞれと電気機械的に接合する複数の電極パッド(図示省略)が形成されている。これら電極パッドは、ベース3の外周裏面に形成される端子電極(図示省略)にそれぞれ電気機械的に接合されている。これら端子電極から外部部品や外部機器と接続される。なお、これらの端子電極および電極パッドは、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料を印刷した後にベース3と一体的に焼成して形成される。そして、これらの端子電極および電極パッドのうち一部のものについては、メタライズ上部にニッケルメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されて構成される。
蓋4は、金属材料からなり、図1(b)に示すように、平面視矩形状の一枚板に成形されている。この蓋4は、下面にろう材(図示省略)が形成されており、シーム溶接やビーム溶接等の手法によりベース3に接合されて、蓋4とベース3とによる水晶振動子1のパッケージ6が構成される。なお、蓋4は、例えば、4層の熱膨張係数の異なる金属材料から形成されている。具体的に、ベース3との接続面となる蓋4の下面から、ろう材である銀ろう層、銅層、コバール層及びニッケル層が順に積層されてなる。蓋の下面側が銀ろう層及び銅層であるため、他の層に比べてセラミックからなるベース3との熱接合がし易い。また、これら銀ろう層及び銅層上にコバール層が積層されているので、セラミックからなるベース3との熱膨張率を略同じにしてベース3と蓋4との熱変形を同等にすることが可能となる。また、最上面にニッケル層が形成されているので、ベース3と蓋4とのシーム溶接を行い易くする。なお、熱変形を同等レベルにすることからコバール層の厚みはできるだけ厚く設計されている。
水晶振動片2は、図1,図3に示すように、ATカット水晶片の基板21からなり、平面視矩形状の一枚板の直方体に成形されている。すなわち、基板21の外周形は、直方体形状からなる。この基板21の両主面221,222には、水晶振動片2の高周波化に対応するため凹部201が形成され、これら凹部201内部にはそれぞれ励振電極231,232が形成され、これらの励振電極231,232を外部電極(本実施例では、ベース3の電極パッド)と電気機械的に接合するために励振電極231,232から引き出された引き出し電極241,242が形成されている。また、水晶振動片2は、その基板21の複数の領域261,262(接合領域261,262)においてサポート材5と水晶振動片用接合バンプ72(各領域261,262それぞれにおいて2箇所ずつ)により接合されている。なお、本実施例でいう基板21の接合領域261,262は、基板21の長手方向の一端部27であって短手方向の両端部に設けられ、図2に示すように引き出し電極241,242が一主面221の一端部27の接合領域261,262に引き出されている。そして、励振電極231,232が、引き出し電極241,242からサポート材5を介して水晶振動片用接合バンプ72及びベース用接合バンプ71により、ベース3の電極パッドと電気機械的に接合されている。また、図3に示すように、261,262において、引き出し電極241,242それぞれにつき、2つの水晶振動片用接合バンプ72が用いられている。なお、これらの励振電極231,232及び引き出し電極241,242は、フォトリソグラフィ法により形成され、例えば、基板21側からクロム、金(Cr−Au)の順に、あるいはクロム、金、クロム(Cr−Au−Cr)の順に、あるいはクロム、金、ニッケル(Cr−Au−Ni)の順に、あるいはクロム、銀、クロム(Cr−Ag−Cr)の順に、あるいはクロム、ニッケル(Cr−Ni)の順に、あるいはニッケル、クロム(Ni−Cr)の順に積層して形成されている。
サポート材5は、図2に示すように、脆性材である水晶片からなるZ板である。このサポート材5の外形は、図1に示すように、水晶振動片2の平面視外形と略同等となるように設定され、サポート材5は平面視矩形状の一枚板の直方体に成形されている。
また、このサポート材5には、図1,図3に示すように、その一主面(図1では表側)に水晶振動片2と接合するための領域(水晶振動片用接合領域51)が設定され、その他主面(図1では裏側)にベース3と接合するための領域(ベース用接合領域52)が設定されている。これら水晶振動片用接合領域51とベース用接合領域52との間を、引回し電極53が引回されている。ここでいう水晶振動片用接合領域51は、図3に示すようにサポート材5の一主面の長手方向の一端部54であって短手方向の両端部に設定されている。また、ここでいうベース用接合領域52は、サポート材5の他主面の対向する長手方向の両端部54,55であって短手方向の両側部に設定されている。
また、図1〜図3に示すように、ベース3とサポート材5とはベース用接合バンプ71により4つのベース用接合領域52において4点で超音波接合され、水晶振動片2とサポート材5は水晶振動片用接合バンプ72により2つの水晶振動片用接合領域51において4点で超音波接合されるとともに電気機械的に接合される。これらの接合により、水晶振動片2の励振電極231,232が、それぞれ引き出し電極241,242、水晶振動片用接合バンプ72、サポート材5の引回し電極53およびベース用接合バンプ71を介してベース3の電極パッドに電気機械的に接合される。また、ベース用接続バンプ71と水晶振動片用接続バンプ72は、図1に示すように、平面視同一位置以外の重畳しない位置に形成されている。ここでいう平面視同一位置以外の重畳しない位置とは、ベース用接続バンプ71と水晶振動片用接続バンプ72とが平面視において全く重畳しない図1に示す位置のことを含むが、これは好適な例であり、この位置はこれに限定されるものではなく、下記する図4(b),(c)に示すように一部が重畳していてもよい。すなわち、平面視同一位置以外の重畳しない位置とは、ベース3,サポート材6,水晶振動片2の接合時における各接続バンプ71,72それぞれの接合中心位置が重畳しない位置関係のことをいう。
上記したように、水晶振動片2は、その各接合領域261,262それぞれにおいて、サポート材5のベース3への接合位置(具体的に図2に示す図示下方のベース用接合領域52)に対して平面視近傍位置で、それぞれ2点(合計4点)によりサポート材5と接合されている。
ところで、ベース3へのサポート材5の接合、およびサポート材5への水晶振動片2の熱接合の際に各部材において外形変形もしくは歪みが生じる。この外形変形もしくは歪みによってパッケージ6に熱応力などの応力が生じ、この応力がサポート材5を介して水晶振動片2にかかる。
しかしながら、上記した本実施例にかかる水晶振動子1によれば、水晶振動片2が、脆性材からなるサポート材5を介してベース3上に保持されるので、水晶振動片2をベース3に保持する際やベース3に蓋4を接合する際にパッケージ6に応力がかかった場合であってもその応力が水晶振動片2にかかるのを抑制することができる。特に、この本実施例にかかる水晶振動子1の作用効果は、従来技術のようにベースに水晶振動片を直接導電性接着剤を介して接合した水晶振動子と比較して顕著にあらわれる。
具体的に、水晶振動片2は、脆性材からなるサポート材5を介してベース3上に片保持され、ベース3とサポート材5とはベース用接合バンプ71を介してサポート材5の複数領域(本実施例ではベース用接合領域52)上で超音波接合され、かつ、水晶振動片2とサポート材5とは水晶振動片用接合バンプ72を介して水晶振動片2の一領域26(本実施例ではサポート材5の水晶振動片用接合領域51)上で超音波接合により電気機械的に接合され、水晶振動片2は、各接合領域261,262それぞれにおいて、ベース3との接合位置(具体的に図2に示す図示下方のベース用接合領域52)に対して平面視近傍位置で、それぞれ2点(合計4点)によりサポート材5と接合されているので、水晶振動片2をベース3に保持する際やベース3に蓋4を接合する際にパッケージ6に応力がかかる場合であってもその応力が水晶振動片2にかかるのを抑制することができる。また、本実施例によれば、パッケージ6の小型化を図るのに好適であり、特に、本実施例による作用効果は、背景技術(例えば、特許文献1に記載の従来技術)のようにベースに圧電振動片を直接導電性接着剤を介して接合した圧電振動デバイスと比較して顕著にあらわれる。
また、本実施例のように水晶振動片2を水晶振動片用接続バンプ72により片保持する場合、上記した特許文献1に記載の圧電振動片を導電性接着剤により片保持する場合と比較して、ベース3上における水晶振動片2の搭載位置がずれやすく、また、水晶振動片2が傾いた状態でベース3上に保持されやすい。そのため、水晶振動片2を水晶振動片用接合バンプ72により片保持した場合、上記した背景技術の特許文献1(導電性接着剤による接合)と比較して水晶振動片2の接合不良が生じ易い。しかしながら、本実施例によれば、水晶振動片2は、脆性材からなるサポート材5を介してベース3上に片保持され、ベース3とサポート材5とはベース用接合バンプ71を介してサポート材5の複数領域(本実施例ではベース用接合領域52)上で超音波接合され、かつ、水晶振動片2とサポート材5とは水晶振動片用接合バンプ72を介して水晶振動片2の接合のための領域26(本実施例ではサポート材5の水晶振動片用接合領域51)上で超音波接合により電気機械的に接合され、水晶振動片2は、その各接合領域261,262それぞれにおいて、サポート材5のベース3への接合位置(具体的に図2に示す図示下方のベース用接合領域52)に対して平面視近傍位置で、それぞれ2点(合計4点)によりサポート材5と接合されているので、水晶振動片2と外部電極(本実施例ではサポート材5)との接合強度を高めることができ、その結果、パッケージ6への水晶振動片2の搭載位置のバラツキを抑えることができ、また、水晶振動片2のベース3への搭載傾きを抑えることができる。
また、引き出し電極241,242それぞれにつき2つの水晶振動片用接合バンプ72が用いられているので、水晶振動片2と外部電極(本実施例ではサポート材5)との接合強度を高めることができる。特に、水晶振動片用接合バンプ72として接続バンプを用いた場合、当該水晶振動片2の小型化を図るのに好適である。
また、サポート材5が、脆性材からなっているので、サポート材5の膨張係数が水晶振動片2の膨張係数に近似する。そのため、ベース3と水晶振動片2との間にサポート材5を設けることによる水晶振動片2の特性の悪化はなく、外的な応力を緩衝させることができる。
また、サポート材5の外形は、図1に示すように、水晶振動片2の外形と略同等になるように設定されるので、サポート材5の設置により水晶振動子1の小型化を妨げることはなく、水晶振動子1の小型化を図ることができる。
また、水晶振動片2は水晶片であり、サポート材5は水晶片からなるZ板であり、異方性の影響を受けにくい材料であるので、サポート材5を成形する際のエッチング時、異方性の影響を受けにくく、サポート材5の形状を任意の形状に容易に成形することができる。なお、サポート材5に水晶振動片と同様のATカット板を用いた場合、Z板と比較してサポート材5を成形する際のエッチングの影響を受け易く、予め設定した軸に対して垂直方向にエッチングしたい場合であっても斜め方向にエッチングするため、サポート材5の形状を任意の形状に成形することが難しい。そのため、サポート材5にZ板を用いることが好ましい。また、サポート材5が異方性の影響を受けにくい材料であるので、水晶振動片2の振動の影響を受けることがなく、サポート材5の設置により水晶振動片2の特性を悪化させることを防止することができる。また、水晶振動片2とサポート材5が同一の水晶片であるので、膨張係数が同じとなり、ベース3と水晶振動片2との間にサポート材5を設けることによる外的な応力の緩衝に好ましい。
また、本実施例によれば、ベース用接続バンプ71と水晶振動片用接続バンプ72は、平面視同一位置以外の重畳しない位置に形成されているので、ベース用接続バンプ71と水晶振動片用接続バンプ72が平面視同一位置に形成されている場合と比較して、ベース3とサポート材5の接合後と接合時や、およびサポート材5と水晶振動片2の接合後と接合時に、ベース用接続バンプ71と水晶振動片用接続バンプ72の一方の接続バンプ(実施例では水晶振動片用接続バンプ72)が外部から受ける機械的歪みや熱歪みが、他方の接続バンプ(実施例ではベース用接続バンプ71)に直接伝わることはなく、その結果、水晶振動片2に歪みが加わって水晶振動子1の電気的特性が低下(CI値の低下、周波数シフト、周波数温度特性の傾きが生じる等)するのを抑制することができる。また、ベース用接続バンプ71と水晶振動片用接続バンプ72を用いてFCB法でベース3とサポート材5と水晶振動片2それぞれを接合する場合、超音波による印加(例えば、ベース用接続バンプ71用と水晶振動片用接続バンプ72用との合計2回)をそれぞれ各接合に対して最適な状態で行うことになる。そのため、本実施例によればベース用接続バンプ71と水晶振動片用接続バンプ72が平面視同一位置に形成された場合と異なり、ベース用接続バンプ71と水晶振動片用接続バンプ72は、平面視同一位置以外の重畳しない位置に形成されるので、先の接合に用いた接続バンプ(実施例ではベース用接続バンプ71)に対して合計2回の超音波による印加が行われない。その結果、本実施例によれば、先の接合に用いた接続バンプ(実施例ではベース用接続バンプ71)による各部材(実施例ではベース3とサポート材5)の接合状態が変化せずに、結果として接合強度の低下を防止することができる。
なお、本実施例では、水晶振動片2では、各接合領域261,262それぞれにおいてサポート材5のベース用接合領域52の接合位置に対して平面視近傍位置でそれぞれ2点(合計4点)によりサポート材5と接合しているのが、この接合点数は限定されるものではなく、任意の複数点に設定可能である。また、ベース3とサポート材5とはベース用接合バンプ71により4つのベース用接合領域52において4点で超音波接合されているが、これは好適な例であり限定されるものではない。すなわち、ベース3とサポート材5との接合位置と、サポート材5と水晶振動片2との接合位置は、図1〜図3に示すものに限定されるものではなく、例えば、図4(図4(a)〜4(c))に示すような形態であってもよい。図4(a)に示す例では、ベース3とサポート材5とがベース用接合バンプ71により3つのベース用接合領域52において3点で超音波接合されている。また、図4(b)に示す例では、水晶振動片2のサポート材5への各接合領域261,262において、サポート材5のベース3への接合位置と、水晶振動片2のサポート材5への接合位置とが平面視一部重なるようにしてベース3とサポート材5と水晶振動片2とが接合されている。また、図4(c)に示す例では、ベース3とサポート材5とがベース用接合バンプ71により3つのベース用接合領域52において3点で超音波接合されているとともに、水晶振動片2のサポート材5への各接合領域261,262において、サポート材5のベース3への接合位置と、水晶振動片2のサポート材5への接合位置とが平面視一部重なるようにしてベース3とサポート材5と水晶振動片2とが接合されている。
また、本実施例では、サポート材5として水晶片を適用しているが、これに限定されるものではなく、脆性材であれば他の形態であってもよく、例えば、異方性材料ではないガラス材からなってもよい。
また、本実施例では、図1に示すように、平面視矩形上の一枚板の直方体に成形された蓋4と、凹状に成形されたベース3とを用いているが、これに限定されるものではない。ベース3と蓋4とにより水晶振動片2を気密封止できれば、ベースと蓋の形状は任意に設定してもよい。
また、本実施例では、水晶振動片2の両主面221,222それぞれに1つの励振電極231,232を形成しているが、これに限定されるものではなく、使用用途に合わせて両主面221,222それぞれに形成される励振電極の数を任意に設定してもよい。例えば、両主面それぞれに2つの励振電極が形成されてもよく、または、一主面に1つの励振電極が形成されるとともに他主面に2つの励振電極が形成されたフィルタ素子構成としてもよい。
また、水晶振動片2の引き出し電極241,242は、上記した実施例に限定されるものではなく、さらにメッキ形成されてもよい。なお、ここでいうメッキ形成の工法として、電解メッキ法や無電解メッキ法が用いられる。また、電解メッキ法を用いる場合、メッキバンプ形成領域を全て共通接続するための引き出し電極が必要となる。また、メッキ材料として、具体的に、金、金錫、ハンダなどが挙げられる。また、フォトリソグラフィ法で用いるレジストの厚みを一般的な厚み約25μmとした場合、その8割程度にメッキの厚さを設定することが好適である。この場合、メッキの厚さを約20μmとすることが好ましい。この場合、引き出し電極241,242がメッキ形成されるので、メッキ形成することによる機械的な応力負荷を生じさせることがなく、メッキ部分の形成をバッチ処理により行なうことが可能となり、メッキ部分の表面面積や形状や厚みの設計自由度が極めて高くなり、また、メッキ形成されることで設備コストを低く抑えることができる。
また、本実施例では、水晶振動片2のサポート材5への接合位置と対向する対向位置28にFCB法によってFCB装置の超音波を発する部材を直接接触させて水晶振動片2をサポート材5に水晶振動片用接合バンプ72を介して接合している。ところで、本実施例に示すように、FCB装置の超音波を発する部材を直接接触させた水晶振動片2の対向位置28に引き出し電極241,242が形成されている場合、FCB装置の超音波を発する部材に引き出し電極241,242がひっつく、すなわち水晶振動片2から引き出し電極241,242が剥がれてFCB装置の超音波を発する部材に固着する。そのため、FCB装置の超音波を発する部材に引き出し電極241,242が固着した状態で、他の水晶振動片2のサポート材5への接合を行う場合、FCB法による接合強度が弱くなる。従って、FCB装置の超音波を発する部材に引き出し電極241,242が固着した場合、固着した引き出し電極241,242を取り除く必要がある。この問題を解決するために、水晶振動片2の対向位置28では基板21が露出されてもよい。この場合、FCB法により対向位置28にFCB装置の超音波を発する部材を直接接触させた場合であっても、対向位置28の基板21がFCB装置の超音波を発する部材に固着することがない。また、水晶振動片2の対向位置の基板21が露出されていることを好適な例として挙げているが、上記したような問題を解決する構成はこれに限定されるものではなく、水晶振動片2の対向位置28に絶縁材料が形成されていてもよい。ここでいう絶縁材料とは、材料全体が絶縁材料であってもよく材料表面のみが絶縁化された材料であってもよく、フッ化マグネシウム、酸化珪素、二酸化珪素などの絶縁材料や、酸化クロムなどの酸化金属化合物であってもよい。例えば、クロムからなる材料の表面を酸化させた絶縁材料であってもよい。さらに、上記したような問題を解決する構成は、水晶振動片2の対向位置28に絶縁材料を形成するだけではなく、この水晶振動片2の対向位置28にクロム単層からなる材料により引き出し電極を形成してもよい。ここでクロム単層を挙げた理由として、クロムは、金と比較して硬い材質からなるとともに水晶振動片2の基板21との接合強度が高いため、上記したような金からなる材料と比較してFCB装置の超音波を発する部材に固着することはないことに関係している。また、クロム単層以外に、例えば、励振電極231,232と引き出し電極241,242のうち少なくとも引き出し電極241,242の対向位置28が、クロム、ニッケルを順に積層して(その逆でも可能)構成された引き出し電極であってもよい。また、クロム、金を順に積層し、その後に表面の金のみを除去してクロム単層とした構成であってもよい。すなわち、クロムが表面に配されている構成であればその組み合わせを任意に設定してもよい。
上記した例によれば、水晶振動片2の対向位置28に絶縁材料もしくはクロム単層の引き出し電極が形成されるので、FCB法により水晶振動片2の対向位置28にFCB装置の超音波を発する部材を直接接触させた場合であっても、水晶振動片2の対向位置28に形成された絶縁材料もしくはクロム単層からなる材料がFCB装置の超音波を発する部材に固着するのを防ぐことができる。
また、本実施例では、図1,図2に示すような平面視矩形状の一枚板の直方体に成形されたサポート材5を用いているが、サポート材の形状はこれに限定されるものではなく、熱応力が水晶振動片2に伝わるのを抑制するために凹部を設けてもよく、また、水晶振動片2の一領域においてサポート材5に接合することで水晶振動片2がサポート材5に対して撓むのを抑制する水晶振動片用枕部を設けてもよい。特に、水晶振動片用枕部をサポート材に設けることで、水晶振動片用接合バンプ72を用いたサポート材5への水晶振動片2の接合の際に、サポート材5上の水晶振動片2の搭載位置に対して傾くことなく安定して水晶振動片2を配することができる。具体的に、水晶振動片用枕部は、サポート材5の水晶振動片2と面する主面に形成された突起部であり、図1,図2に示すサポート材に水晶振動片用枕部を設ける場合、水晶振動片用枕部の設置位置は、水晶振動片用接合領域51を考慮してサポート材5の長手方向他側部近傍であって、その短手方向の中間部近傍とすることが望ましい。
また、上記した本実施例では、引き出し電極241,242が一主面221の一端部27に引き出されているが、これに限定されるものではなく、一主面221に引き出されていればよい。例えば、引き出し電極241,242が一主面221の一端部27と、一端部27と対向する他端部とに引き出されてもよい。
また、上記したように、ATカット水晶片の基板21は、平面視矩形状の一枚板の直方体に成形されているが、これに限定されるものではなく、図5,図6に示すように基板21の一領域26に切欠部202が形成されてもよい。
図5に示す基板21では、基板21の一端部27の水晶振動片用接合バンプ72によるそれぞれの接合位置の間に切欠部202が形成されている。この場合、水晶振動片2が外部応力の影響を受けるのを抑制することができ、その結果、CI値を低くし、周波数偏差を抑えることができ、さらに振動撓みを抑えることができる。また、切欠部202により引き出し電極241,242間の電極ショートを防止することができる。なお、図5に示す例では、水晶振動片用接合バンプ72として金属材料からなる接続バンプを用いることが小型化および高周波化に好適であり、引き出し電極241,242間の電極ショートを防止するのに好適である。
また、図6に示す基板21では、基板21の一領域26の水晶振動片用接合バンプ72によるそれぞれの接合位置の間に切欠部202が形成され、かつ、基板21の一端部27であって直方体の平面視の長手方向の側面に切欠部202が形成されている。この場合も図5に示す例と同様に、水晶振動片2が外部応力の影響を受けるのを抑制することができ、その結果、CI値を低くし、周波数偏差を抑えることができる。そして、図5に示す例と比べて振動撓みを抑えるのに好ましい。また、切欠部202により引き出し電極241,242間の電極ショートを防止することができる。なお、図6に示す例では、水晶振動片用接合バンプ72として金属材料からなる接続バンプを用いることが小型化および高周波化に好適であり、引き出し電極241,242間の電極ショートを防止するのに好適である。
また、上記した本実施例では、図3に示すようにATカット水晶片からなる水晶振動片2を用いているが、これに限定されるものではなく、他の圧電振動片であってもよい。具体的に、図7,図8(図8(a),図8(b))に示すような音叉型水晶振動片(以下、水晶振動片8とする)であってもよい。
この図7,図8に示す水晶振動片8は、異方性材料の水晶片からエッチング形成される。水晶振動片8の基板81は、2本の脚部821,822と基部83とから構成されてその外周形が略直方体形状からなり、2本の脚部821,822が基部83から突出して形成されている。また、2本の脚部821,822の両主面841,842には、水晶振動片8の小型化により劣化する直列共振抵抗値を改善させるために、凹部85が形成されている。
この水晶振動片8の両主面841,842には、異電位で構成された2つの励振電極861,862と、これらの励振電極861,862をベース3の電極パッド(図示省略)に電気機械的に接合させるための引き出し電極871,872が形成され、引き出し電極871,872は励振電極861,862から基部83に引き出されている。そして、基部83に形成された引き出し電極871,872の引き出し先端部881,882とベース3の電極パッドがサポート材5を介して水晶振動片用接合バンプ72により接合されて、励振電極861,862とベース3の電極パッドとが電気機械的に接合される。
上記した励振電極861,862、および引き出し電極871,872は、例えば、クロムの下地電極層と、金の上部電極層とから構成された積層薄膜である。この薄膜は、真空蒸着法やスパッタリング法等の手法により全面に形成された後、フォトリソグラフィ法によりメタルエッチングして所望の形状に形成される。また、上記した引き出し電極871,872の引き出し先端部881,882とこれに近接する引き出し電極871,872の一部は、例えば、クロムの下地電極層と、金の中間電極層と、クロムの上部電極層と、から構成された積層薄膜である。この薄膜は、真空蒸着法やスパッタリング法等の手法により全面に形成された後、フォトリソグラフィ法によりメタルエッチングして所望の形状に形成され、クロムの上部電極層のみが部分的にマスクして真空蒸着法等の手法により形成される。さらに、引き出し電極871,872の引き出し先端部881,882のうち、水晶振動片8の他主面841の、一主面842に形成された引き出し先端部871,872に対向する対向位置89に形成された引き出し先端部881,882(図7,図8(a)に示す引き出し先端部881,882)は、その表面のクロムの表面が酸化されて、絶縁材料となっている。または、引き出し先端部881,882は、その表面の一部のクロムの表面が酸化されて、絶縁材料となっている。ここでいう酸化クロムは、クロムと比べて表面高度が高まったものである。
なお、この図8に示す水晶振動片8では、引き出し電極871,872の引き出し先端部881,882の材料は、クロム、金、クロム(Cr−Au−Cu)の順に積層し、表面のクロムが酸化されているが、これに限定されるものではなく、図2に示す水晶振動片と同様に、例えば、クロム、金、ニッケル(Cr−Au−Cu)の順に積層し、表面のニッケルが酸化されてもよい。また、クロム、ニッケル(Cr−Ni)の順に積層し、表面のニッケルが酸化されてもよく、ニッケル、クロム(Ni−Cr)の順に積層し、表面のクロムが酸化されてもよい。
また、図8に示すように、水晶振動片8の対向位置89に形成された引き出し先端部881,882は、その表面のクロムの表面が酸化されて絶縁材料となっているが、これに限定されることはなく、FCB法によるサポート材5への水晶振動片8の超音波接合の際に表面が金からなる電極が剥がれてFCB装置の超音波を発する部材に固着するのを防止することができれば、例えば、図9(図9(a),図9(b))に示すように、水晶振動片8の対向位置89では基板81が露出されてもよい。また、上記したように、対向地位89の引き出し先端部881,882は、絶縁材料の代わりに表面がクロムからなる材料であってもよい。
また、上記した本実施例にかかる水晶振動子1では、金属材料からなる接続バンプのみを用いているが、接続バンプはこれに限定されるものではなく、非導通性材料の接続バンプからなってもよい。しかしながら、非導通性材料の接続バンプを用いた場合であっても、水晶振動片1の励振電極231,232とパッケージ6の電極パッドとを導通させるための導通材料(本実施例では金属材料)からなる接続バンプも用いることはいうまでもない。
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、水晶振動子などの圧電振動子に適用できる
図1は、本実施例にかかる水晶振動子の概略構成図である。図1(a)は、その水晶振動子の内部を公開した概略平面図である。図1(b)は、図1(a)のA−A線断面図である。 図2は、本実施例にかかるサポート材の概略平面図である。 図3は、本実施例にかかる水晶振動片の概略平面図である。 図4(a)〜4(c)は、本実施の他の例にかかる水晶振動片およびサポート材との接合位置の関係を示した図である。 図5は、本実施の他の例にかかる水晶振動片の概略平面図である。 図6は、本実施の他の例にかかる水晶振動片の概略平面図である。 図7は、本実施の他の例にかかる水晶振動子の内部を公開した概略平面図である。 図8は、図7に示す水晶振動子に保持された水晶振動片の概略構成図である。図8(a)は、その水晶振動片の概略平面図である。図8(b)は、その水晶振動片の概略裏面図である。 図9は、本実施の他の例にかかる水晶振動片の概略構成図である。図9(a)は、その水晶振動片の概略平面図である。図9(b)は、その水晶振動片の概略裏面図である。
符号の説明
1 水晶振動子(圧電振動デバイス)
2 水晶振動片(圧電振動片)
21 基板
221,222 両主面
231,232 励振電極
241,242 引き出し電極
251,252 引き出し先端部
261,262 接合領域
27 基板の一端部
28 対向位置
291,292 高地部分
3 ベース
4 蓋
5 サポート材
51 水晶振動片用接合領域
52 ベース用接合領域
6 パッケージ
71 ベース用接合バンプ
72 水晶振動片用接合材
8 音叉型水晶振動片(圧電振動片)
81 基板
841,842 両主面
861,862 励振電極
871,872 引き出し電極
881,882 引き出し先端部
89 対向位置

Claims (2)

  1. ベースと蓋とが接合されてパッケージが構成され、前記パッケージの内部の前記ベース上に圧電振動片が保持されるとともに、前記パッケージの内部が気密封止された圧電振動デバイスにおいて、
    前記圧電振動片は、脆性材からなるサポート材を介して前記ベース上に片保持され、
    前記ベースと前記サポートとはベース用接続バンプを介して前記サポート材の複数領域上で超音波接合により電気機械的に接合され、かつ、前記圧電振動片と前記サポート材とは圧電振動片用接続バンプを介して前記圧電振動片の複数領域上で超音波接合により電気機械的に接合され、
    前記圧電振動片は、前記各領域それぞれにおいて、前記ベースとの接合位置に対して平面視近傍位置で複数点により前記サポート材と接合されたことを特徴とすることを特徴とする圧電振動デバイス。
  2. 前記ベース用接続バンプと前記圧電振動片用接続バンプは、平面視重畳しない位置に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の圧電振動デバイス。
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JP2010081127A (ja) * 2008-09-25 2010-04-08 Seiko Instruments Inc 水晶発振子および水晶発振子の製造方法

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