JP2007174231A - 圧電振動片、及び圧電振動デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】FCB法を用いて圧電振動片をベースに接合する場合であっても、毎回の除去工程を抑制する。
【解決手段】水晶振動片8の両主面841,842には、励振電極861,862と、引き出し電極871,872が形成され、引き出し電極871,872は励振電極861,862から基部83に引き出されている。基部83に形成された引き出し電極871,872の引き出し先端部881,882とベース3の電極パッドがサポート材5を介して水晶振動片用接合材72により接合されて、励振電極861,862とベース3の電極パッドとが電気的に接続される。また、水晶振動片8の他主面841の、一主面842に形成された引き出し先端部871,872に対向する対向位置89に形成された引き出し先端部881,882は、その表面のクロムの表面が酸化されて、絶縁材料となっている。
【選択図】図8
【解決手段】水晶振動片8の両主面841,842には、励振電極861,862と、引き出し電極871,872が形成され、引き出し電極871,872は励振電極861,862から基部83に引き出されている。基部83に形成された引き出し電極871,872の引き出し先端部881,882とベース3の電極パッドがサポート材5を介して水晶振動片用接合材72により接合されて、励振電極861,862とベース3の電極パッドとが電気的に接続される。また、水晶振動片8の他主面841の、一主面842に形成された引き出し先端部871,872に対向する対向位置89に形成された引き出し先端部881,882は、その表面のクロムの表面が酸化されて、絶縁材料となっている。
【選択図】図8
Description
本発明は、圧電振動片、及び圧電振動デバイスに関する。
現在、圧電振動デバイスとして、例えば、水晶発振器や水晶振動子などが挙げられる。この種の圧電振動デバイスでは、その筐体が直方体のパッケージで構成されている。このパッケージはベースとキャップとから構成され、このパッケージ内部にはFCB(Flip Chip Bonding)法を用いて圧電振動片が金属バンプによりベースに保持接合されている。そして、ベースとキャップとが接合されることで、筐体の内部の圧電振動片が気密封止されている(例えば、下記する特許文献1ご参照。)。
特開2004−289478号公報
上記した特許文献1では、ベース上に圧電振動片を保持する際、FCB法を用いて圧電振動片を金属バンプによりベースに超音波接合している。また、このFCB法では、圧電振動片の一主面の金属バンプと直接接する位置と対向する他主面の対向位置にFCB装置の超音波を発する部材を直接接触させて、金属バンプにより圧電振動片をベース上に超音波接合するものである。
ところで、この特許文献1では、圧電振動片の一主面の金属バンプと直接接する位置と対向する他主面の対向位置に、金メッキが形成されている。そのため、FCB装置の超音波を発する部材は、この金メッキと直接接触することとなり、この圧電振動子では、金メッキと直接接触した状態でベース上に圧電振動片を金属バンプにより超音波接合する。
このFCB法では、FCB装置の超音波を発する部材に金メッキを直接接触した状態で超音波接合を行なっているので、金属バンプだけでなく金メッキも接合状態となり、その結果、金メッキがFCB装置の超音波を発する部材に固着する場合がある。そのため、FCB装置の超音波を発する部材に金メッキが固着した状態で、次の他の水晶振動片のベースへの接合を行うこととなり、この場合、FCB法による接合強度が弱くなる。従って、FCB装置の超音波を発する部材に金メッキが固着した場合、毎回固着した金メッキを取り除く除去工程が必要となり、圧電振動デバイスの製造工程の工程数の増加となる。
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、FCB法を用いて圧電振動片をベースに接合する場合であっても、毎回の除去工程を抑制する圧電振動片、及び圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動片は、基板の両主面それぞれに少なくとも1つの励振電極が形成され、かつ、これらの前記励振電極を外部電極と電気機械的に接合させるために前記励振電極からそれぞれ引き出された複数の引き出し電極が形成された圧電振動片において、前記複数の引き出し電極の引き出し先端部が前記一主面の少なくとも一側部近傍に引き出され、前記引き出し先端部に外部電極が電気機械的に接合され、前記基板の他主面の、前記一主面に形成された前記引き出し先端部に対向する対向位置に絶縁材料が形成されたことを特徴とする。
本発明によれば、前記複数の引き出し電極の引き出し先端部が前記一主面の少なくとも一側部近傍に引き出され、前記引き出し先端部に外部電極が電気機械的に接合され、前記基板の他主面の、前記一主面に形成された前記引き出し先端部に対向する対向位置に絶縁材料が形成されるので、FCB工法により前記一主面に形成された前記引き出し先端部に対向する前記他主面の対向位置にFCB装置の超音波を発する部材を直接接触させた場合であっても、前記他主面の対向位置に形成された前記絶縁材料が前記他主面の対向位置にFCB装置の超音波を発する部材に固着するのを防ぐことが可能となる。また、本発明によれば、前記複数の引き出し電極の引き出し先端部が前記一主面の少なくとも一側部近傍に引き出され、前記引き出し先端部に外部電極が電気機械的に接合される場合、前記基板上における外部電極との接続位置を前記一主面の一側部近傍、すなわち一領域にまとめることが可能となり、当該圧電振動片の小型化を図るのに好適である。
前記構成において、前記絶縁材料は、酸化金属化合物であってもよい。また、前記絶縁材料は、その表面が絶縁化された材料であってもよい。
また、上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動片は、基板の両主面それぞれに少なくとも1つの励振電極が形成され、かつ、これらの前記励振電極を外部電極と電気機械的に接合させるために前記励振電極からそれぞれ引き出された複数の引き出し電極が形成された圧電振動片において、前記複数の引き出し電極の引き出し先端部が一主面の少なくとも一側部近傍に引き出され、前記引き出し先端部に外部電極が電気機械的に接合され、前記基板の他主面の、前記一主面に形成された前記引き出し先端部に対向する対向位置にクロム単層からなる材料が形成されたことを特徴とする。
本発明によれば、前記複数の引き出し電極の引き出し先端部が前記一主面の少なくとも一側部近傍に引き出され、前記引き出し先端部に外部電極が電気機械的に接合され、前記基板の他主面の、前記一主面に形成された前記引き出し先端部に対向する対向位置に前記クロム単層からなる材料が形成されるので、FCB工法により前記一主面に形成された前記引き出し先端部に対向する前記他主面の対向位置にFCB装置の超音波を発する部材を直接接触させた場合であっても、前記他主面の対向位置に形成された前記クロム単層からなる材料は、金と比較して硬い材質からなるとともに当該圧電振動片の基板と接合し易いため、金からなる材料と比較してFCB装置の超音波を発する部材に固着することはない。また、前記複数の引き出し電極の引き出し先端部が前記一主面の一側部近傍に引き出され、前記引き出し先端部に外部電極が電気機械的に接合される場合、前記基板上における外部電極との接続位置を前記一主面の一側部近傍、すなわち一領域にまとめることが可能となり、当該圧電振動片の小型化を図るのに好適である。
前記構成において、前記複数の引き出し電極の引き出し先端部が前記一主面の少なくとも一側部近傍に引き出され、前記引き出し先端部にて外部電極が圧電振動片用接合材を介して電気機械的に接合され、1つの前記引き出し電極につき複数の前記圧電振動片用接合材が接合されてもよい。
この場合、前記複数の引き出し電極の引き出し先端部が一主面の少なくとも一側部近傍に引き出され、前記引き出し先端部にて外部電極が圧電振動片用接合材を介して電気機械的に接合され、1つの前記引き出し電極につき複数の前記圧電振動片用接合材が接合されるので、当該圧電振動片と外部電極との接合強度を高めることが可能となる。特に、前記圧電振動片用接合材に接続バンプを用いた場合に当該圧電振動片の小型化を図るのに好適である。
前記構成において、前記基板の外周形は、直方体形状からなり、1つの前記引き出し電極につき複数の前記圧電振動片用接合材が前記基板の短手方向に沿って前記引き出し先端部に接合されてもよい。
この場合、前記基板の外周形は、直方体形状からなり、1つの前記引き出し電極につき複数の前記圧電振動片用接合材が前記基板の短手方向に沿って前記引き出し先端部に接合されるので、例えば、導電性接着剤を用いることによる電極間のショートを防ぐことが可能となる。この効果は、特に圧電振動片が小型化するにつれて顕著になる。
前記構成において、前記引き出し電極の引き出し先端部の高さが他の部分の高さより厚く成形され、前記引き出し先端部の他の部分より高く成形された高地部分に外部電極が電気機械的に接合されてもよい。
この場合、前記引き出し電極の引き出し先端部の高さが他の部分の高さより厚く成形され、前記引き出し先端部の他の部分より高く成形された高地部分に外部電極が電気機械的に接合されるので、別途接合材を用いずに前記引き出し電極と外部電極との接合を行なうことが可能となる。その結果、接合材(特に、導電性接着剤)を用いることによる電極間のショートを防ぐことが可能となる。この効果は、特に圧電振動デバイスが小型化するにつれて顕著になる。
また、上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスは、ベースとキャップとが接合されてパッケージが構成され、前記パッケージの内部の前記ベース上に、上記した圧電振動片が保持されるとともに、前記パッケージの内部が気密封止され、前記圧電振動片は、脆性材からなるサポート材を介して前記ベース上に保持されたことを特徴とする。
本発明によれば、前記圧電振動片は、脆性材からなるサポート材を介して前記ベース上に保持されるので、前記圧電振動片を前記ベースに保持する際や前記ベースに前記キャップを接合する際に前記パッケージに応力がかかった場合であってもその応力が前記圧電振動片にかかるのを抑制することが可能となる。特に、本発明の作用効果は、従来技術のようにベースに圧電振動片を直接導電性接着剤を介して接合した圧電振動デバイスと比較して顕著にあらわれる。
また、上記した本発明にかかる圧電振動片を設けているので、上記した本発明にかかる圧電振動片による作用効果も有する。
本発明によれば、FCB法を用いて圧電振動片をベースに接合する場合であっても、毎回の除去工程を抑制する圧電振動片、及び圧電振動デバイスを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施例では、圧電振動デバイスとして水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。
本実施例にかかる水晶振動子1では、図1に示すように、厚みすべり振動系の水晶振動片2(本発明でいう圧電振動片)と、この水晶振動片2を保持するベース3と、ベース3に保持した水晶振動片2を気密封止するためのキャップ4と、水晶振動片2への外的な応力を軽減させるサポート材5とが設けられている。
この水晶振動子1では、ベース3とキャップ4とからパッケージ6が構成され、ベース3とキャップ4とが接合されてパッケージ6の内部空間が形成され、このパッケージ6の内部空間内のベース3上にサポート材5を介して水晶振動片2が保持されるとともに、パッケージ6の内部空間が気密封止される。この際、図1に示すように、ベース3と水晶振動片2とサポート材5とは、それぞれ接合材(ベース用接合材71および水晶振動片用接合材72)を用いてFCB(Flip Chip Bonding)法により超音波接合されるとともに電気機械的に接合されている。なお、本実施例で用いるベース用接合材71及び水晶振動片用接合材72は、金属材料からなる接続バンプである。次に、この水晶振動子1の各構成について説明する。
ベース3は、図1に示すように、底部31と、この底部31から上方に延出した壁部32とから構成される箱状体に形成されている。このベース3は、セラミック材料からなる平面視矩形状の一枚板上に、セラミック材料の直方体が積層して凹状に一体的に焼成されている。また、壁部32は、底部31の表面外周に沿って成形されている。この壁部32の上面は、キャップ4との接合領域であり、この接合領域には、キャップ4と接合するためのメタライズ層33(例えば、タングステンメタライズ層上にニッケル,金の順でメッキした構成、または錫と金、錫と銀とからなる構成)が設けられている。なお、メタライズ層33の代わりにガラス層を設けてもよく、ガラス層を形成することによりベース3とキャップ4との接合強度を向上させることができる。このベース3には、水晶振動片2の励振電極231,232それぞれと電気機械的に接合する複数の電極パッド(図示省略)が形成されている。これら電極パッドは、ベース3の外周裏面に形成される端子電極(図示省略)にそれぞれ電気機械的に接合されている。これら端子電極から外部部品や外部機器と接続される。なお、これらの端子電極および電極パッドは、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料を印刷した後にベース3と一体的に焼成して形成される。そして、これらの端子電極および電極パッドのうち一部のものについては、メタライズ上部にニッケルメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されて構成される。
キャップ4は、金属材料からなり、図1(b)に示すように、平面視矩形状の一枚板に成形されている。このキャップ4は、下面にろう材(図示省略)が形成されており、シーム溶接やビーム溶接等の手法によりベース3に接合されて、キャップ4とベース3とによる水晶振動子1のパッケージ6が構成される。なお、キャップ4は、例えば、4層の熱膨張係数の異なる金属材料から形成されている。具体的に、ベース3との接続面となるキャップ4の下面から、ろう材である銀銅層、銅層、コバール層及びニッケル層が順に積層されてなる。キャップの下面側が銀銅層及び銅層であるため、他の層に比べてセラミックからなるベース3との熱接合がし易い。また、これら銀銅層及び銅層上にコバール層が積層されているので、セラミックからなるベース3との熱膨張率を略同じにしてベース3とキャップ4との熱変形を同等にすることが可能となる。また、最上面にニッケル層が形成されているので、ベース3とキャップ4とのシーム溶接を行い易くする。なお、熱変形を同等レベルにすることからコバール層の厚みはできるだけ厚く設計されている。
水晶振動片2は、図1,2に示すように、ATカット水晶片の基板21からなり、平面視矩形状の一枚板の直方体に成形されている。すなわち、基板21の外周形は、直方体形状からなる。この基板21の両主面221,222には、水晶振動片2の小型化により劣化する特性を改善させるために溝20が形成され、これら溝20内部にはそれぞれ励振電極231,232が形成され、これらの励振電極231,232を外部電極(本実施例では、ベース3の電極パッド)と電気機械的に接合するために励振電極231,232から引き出された引き出し電極241,242が形成されている。また、水晶振動片2は、その基板21の一領域26においてサポート材5と水晶振動片用接合材72により接合されている。なお、本実施例でいう基板21の一領域26は、基板21の一側部27近傍である。具体的に、図2に示すように、これらの引き出し電極241,242の引き出し先端部251,252が一主面221の一側部27近傍に引き出され、励振電極231,232が引き出し先端部251,252にてサポート材5を介して水晶振動片用接合材72及びベース用接合材71によりベース3の電極パッドに電気機械的に接合されている。また、図1,2に示すように、この水晶振動片2では、基板21の他主面222の、その一主面221に形成された引き出し先端部251,252に対向する対向位置(以下、この位置を対向位置28とする)は、基板21が露出された状態となっている。なお、これらの励振電極231,232及び引き出し電極241,242は、フォトリソグラフィ法により形成され、例えば、基板21側からクロム、金(Cr−Au)の順に、あるいはクロム、金、クロム(Cr−Au−Cr)の順に、あるいはクロム、金、ニッケル(Cr−Au−Ni)の順に、あるいはクロム、銀、クロム(Cr−Ag−Cr)の順に、あるいはクロム、ニッケル(Cr−Ni)の順に、あるいはニッケル、クロム(Ni−Cr)の順に積層して形成されている。
サポート材5は、脆性材である水晶片からなるZ板である。このサポート材5の外形は、図1に示すように、水晶振動片2の外形と略同等もしくは小さくなるように設定され、サポート材5は平面視矩形状の一枚板の直方体に成形されている。
また、このサポート材5には、図1に示すように、その一主面(図1では表側)に水晶振動片2と接合するための水晶振動片用接合領域51が設定され、その他主面(図1では裏側)にベース3と接合するためのベース用接合領域521,522が設定されている。これら水晶振動片用接合領域51とベース用接合領域521,522との間を、図示しない引回し電極が引回されている。ここでいう水晶振動片用接合領域51は、具体的に図1に示すようにサポート材5の長手方向一側部近傍であって、その短手方向の中間部近傍に設定されている。また、ここでいうベース用接合領域521,522は、サポート材5の対向する両側面近傍領域であり、具体的に図1に示すように、サポート材5の短手方向両側部近傍であって、その長手方向の中間部近傍に設定されている。
また、図1に示すように、ベース3とサポート材5とはベース用接合材71により2つのベース用接合領域521,522において2点で超音波接合され、水晶振動片2とサポート材5は水晶振動片用接合材72により1つの水晶振動片用接合領域51において2点で超音波接合されるとともに電気機械的に接合される。これらの接合により、水晶振動片2の励振電極231,232が、それぞれ引き出し電極241,242、水晶振動片用接合材72、サポート材5の引回し電極およびベース用接合材71を介してベース3の電極パッドに電気機械的に接合される。なお、水晶振動片2の励振電極231,232とベース3の電極パッドが電気機械的に接合された状態のパッケージ6において、ベース用接合材71の2点の間の線分を第1線分とし、かつ、水晶振動片用接合材72の2点の間の線分を第2線分とする。そして、本実施例の第1線分と第2線分との関係は、パッケージ6の平面視上において第1線分と第2線分とが交わらず、かつ、第1線分の線分方向と第2線分の線分方向とが直交するように設定されている。
ところで、ベース3へのサポート材5の接合、およびサポート材5への水晶振動片2の熱接合の際に各部材において外形変形もしくは歪みが生じる。この外形変形もしくは歪みによってパッケージ6に熱応力などの応力が生じ、この応力がサポート材5を介して水晶振動片2にかかる。
しかしながら、上記した本実施例にかかる水晶振動子1によれば、水晶振動片2が、脆性材からなるサポート材5を介してベース3上に保持されるので、水晶振動片2をベース3に保持する際やベース3にキャップ4を接合する際にパッケージ6に応力がかかった場合であってもその応力が水晶振動片2にかかるのを抑制することができる。特に、この本実施例にかかる水晶振動子1の作用効果は、従来技術のようにベースに水晶振動片を直接導電性接着剤を介して接合した水晶振動子と比較して顕著にあらわれる。
具体的に、水晶振動片2は、脆性材からなるサポート材5を介してベース3上に保持され、ベース3とサポート材5とはベース用接合材71を介してサポート材5の複数領域(本実施例ではベース用接合領域521,522)上で超音波接合され、かつ、水晶振動片2とサポート材5とは水晶振動片用接合材72を介して水晶振動片2の一領域26(本実施例ではサポート材5の水晶振動片用接合領域51)上で超音波接合により電気機械的に接合され、ベース用接合材71及び水晶振動片用接合材72は、接続バンプであるので、水晶振動片2をベース3に保持する際やベース3にキャップ4を接合する際にパッケージ6に応力がかかった場合であってもその応力が水晶振動片2にかかるのを抑制することができ、また、パッケージ6への水晶振動片2の搭載位置のバラツキを抑えることができ、また、接合点が近接することによるショートの問題や接合点の縮小化により導電性が低下することがないので、パッケージ6の小型化を図るのに好適である。
また、図1に示すように、サポート材5が、水晶振動片2と接合するための水晶振動片用接合領域51と、ベース3と接合するためのベース用接合領域521,522を有する。すなわち、本発明でいうサポート材の複数領域は、サポート材5の対向する両側面近傍領域(ベース用接合領域521,522)であり、本発明でいう水晶振動片の一領域は、水晶振動片2の一側部27近傍領域(サポート材5の水晶振動片用接合領域51)であるので、ベース3へのサポート材5のベース用接合材71を用いた超音波接合やサポート材5への水晶振動片2の水晶振動片用接合材72を用いた超音波接合によって生じるベース3やサポート材5の変形による水晶振動片2の特性変化を抑制するのに好ましい。具体的に、サポート材5により水晶振動片2の製造の際、各部材の接合にかかる支持系(例えば、接合材など)からの外的圧力を軽減させることができ、水晶振動片2の特性に悪影響を及ぼす応力を緩衝させることができる。その結果、水晶振動子1に与えるベース3や接合材などの支持系の応力を軽減することができ、等価定数(直列共振抵抗値)特性,スプリアス特性,温度特性,エージング特性などの水晶振動子1の特性の改善を図ることができる。なお、ここでは、支持系をベース3とサポート材5との接合に用いる接合材に関連つけているが、外的な応力には、ベース3とキャップ4との接合において生じる応力などの他の支持系の応力も含まれる。
次に、本実施例にかかる水晶振動子1と、従来技術であるベースに水晶振動片を直接接続バンプを介して接合した水晶振動子とについて、約200時間のエージング特性を測定した。その結果を図3に示す。なお、図3では、本実施例にかかる水晶振動子のエージング特性を符号1で示し、従来技術の水晶振動子のエージング特性を符号2で示す。この図3に示すように、本実施例にかかる水晶振動子1のエージング特性では、約200時間の間周波数偏差を1ppm以内に抑えていることがわかり、これに対して従来技術では、周波数偏差を1ppmを越えてしまう。すなわち、従来技術では時間経過とともに周波数のバラツキが生じる。このことから本実施例にかかる水晶振動子1のエージング特性が良好であることは明らかである。
また、本実施例にかかる水晶振動子1と、第1の従来技術であるベースに水晶振動片を直接接続バンプを介して接合した水晶振動子と、第2の従来技術であるベースに水晶振動片を直接導電性接着剤を介して接合した水晶振動子と、について、155MHz帯の温度特性を測定した。その結果を図4に示す。なお、図4では、第1の従来技術の水晶振動子の温度特性を符号1で示し、本実施例にかかる水晶振動子の温度特性を符号2で示し、第2の従来技術の水晶振動子の温度特性を符号3で示す。この図4に示すように、ベースに水晶振動片を直接接続バンプを介して接合した第1の従来技術では、水晶振動子の温度特性が良好である(周波数偏差が約±20ppmとなる)。しかしながら、この第1の従来技術では、上記したような外的な応力が水晶振動片に伝わり、水晶振動子の直列共振抵抗値特性,スプリアス特性,エージング特性などを悪化させる。これに対して、水晶振動子の直列共振抵抗値特性,スプリアス特性などの悪化を抑制するために、ベースに水晶振動片を直接導電性接着剤を介して接合した第2の従来技術では、図4に示すように、温度特性が悪化する(周波数偏差が約±40ppmとなる)。これらの第1,2の従来技術に対して、本実施例にかかる水晶振動子1では、図4に示すように、温度特性を悪化させずに、さらに水晶振動子1の他の特性(直列共振抵抗値特性,スプリアス特性,エージング特性(図3)など)を悪化させることもない。このことから本実施例にかかる水晶振動子1の温度特性が良好であることは明らかである。
また、水晶振動片2の対向位置28では基板21が露出されるので、FCB法により対向位置28にFCB装置の超音波を発する部材を直接接触させた場合であっても、対向位置28の基板21がFCB装置の超音波を発する部材に固着することがない。
また、サポート材5が、脆性材からなっているので、サポート材5の膨張係数が水晶振動片2の膨張係数に近似する。そのため、ベース3と水晶振動片2との間にサポート材5を設けることによる水晶振動片2の特性の悪化はなく、外的な応力を緩衝させることができる。
また、サポート材5の外形は、図1に示すように、水晶振動片2の外形と略同等もしくは小さくなるように設定されるので、サポート材5の設置により水晶振動子1の小型化を妨げることはなく、水晶振動子1の小型化を図ることができる。
また、水晶振動片2は水晶片であり、サポート材5は水晶片からなるZ板であり、異方性の影響を受けにくい材料であるので、サポート材5を成形する際のエッチング時、異方性の影響を受けにくく、サポート材5の形状を任意の形状に容易に成形することができる。なお、サポート材5に水晶振動片と同様のATカット板を用いた場合、Z板と比較してサポート材5を成形する際のエッチングの影響を受け易く、予め設定した軸に対して垂直方向にエッチングしたい場合であっても斜め方向にエッチングするため、サポート材5の形状を任意の形状に成形することが難しい。そのため、サポート材5にZ板を用いることが好ましい。また、サポート材5が異方性の影響を受けにくい材料であるので、水晶振動片2の振動の影響を受けることがなく、サポート材5の設置により水晶振動片2の特性を悪化させることを防止することができる。また、水晶振動片2とサポート材5が同一の水晶片であるので、膨張係数が同じとなり、ベース3と水晶振動片2との間にサポート材5を設けることによる外的な応力の緩衝に好ましい。
また、パッケージ6の平面視上において第1線分と第2線分とが交わらず、さらに、第1線分の線分方向と第2線分の線分方向とが直交するように設定されているので、ベース3へのサポート材5のベース用接合材71を用いた接合や、サポート材5への水晶振動片2の水晶振動片用接合材72を用いた接合により生じるベース3の変形による水晶振動片2の特性変化を抑制することができる。例えば、比較例として、第1線分の方向と第2線分の方向とがパッケージの平面視上において並行方向の関係からなっている水晶振動子の場合、水晶片をベースに接合する際に熱応力がかかりサポート材が湾曲したまま接合される。そして、湾曲したサポート材上に水晶振動片を接合する際に熱応力がかかり、湾曲したサポート材を基準にしてこのサポート材に対して水晶振動片が湾曲したまま接合される。従って、この水晶振動子では、水晶振動片に外的な応力がかかり易く、サポート材をベースと水晶振動片との間に介在させた場合であっても、上記した外的な応力を抑制する効果は顕著には表れない。すなわち、水晶振動片への外的な応力は緩衝しきれずに水晶振動片の特性に影響が及ぶ。これに対して、本実施例にかかる水晶振動子1によれば、パッケージ6の平面視上において第1線分と第2線分とが交わらず、さらに、第1線分の線分方向と第2線分の線分方向とが直交するように設定されているので、このような問題が生じることはなく、水晶振動片2の特性に悪影響を及ぼす外的な応力を回避させることができる。なお、本実施例にかかる水晶振動子1に示す第1線分と第2線分との関係は水晶振動片への外的な応力を抑制するのに好適な例であり、比較例はあくまでも第1線分と第2線分との関係を述べるための単なる例である。
なお、本実施例では、サポート材5として水晶片を適用しているが、これに限定されるものではなく、脆性材であれば他の形態であってもよく、例えば、異方性材料ではないガラス材からなってもよい。
また、本実施例では、図1に示すように、平面視矩形上の一枚板の直方体に成形されたキャップ4と、凹状に成形されたベース3とを用いているが、これに限定されるものではない。ベース3とキャップ4とにより水晶振動片2を気密封止できれば、ベースとキャップの形状は任意に設定してもよい。
また、本実施例では、水晶振動片2の両主面221,222それぞれに1つの励振電極231,232を形成しているが、これに限定されるものではなく、使用用途に合わせて両主面221,222それぞれに形成される励振電極の数を任意に設定してもよい。例えば、両主面それぞれに2つの励振電極が形成されてもよく、または、一主面に1つの励振電極が形成されるとともに他主面に2つの励振電極が形成されたフィルタ素子構成としてもよい。
また、本実施例にかかる水晶振動片2では、図1,2に示すように、引き出し電極241,242の引き出し先端部251,252とサポート材5との接合にそれぞれ1つの水晶振動片用接合材72を用いているが、これに限定されるものではなく、1つの引き出し電極につき複数の水晶振動片用接合材が用いられてもよい。具体的に、図5に示すように、引き出し先端部251,252それぞれにつき2つの水晶振動片用接合材72が、水晶振動片2の短手方向に沿って引き出し先端部251,252それぞれに接合されてもよい。
この場合、1つの引き出し電極241(242)につき複数の水晶振動片用接合材72が用いられているので、水晶振動片2の基板21上における外部電極(本実施例ではサポート材5)との接続位置をその一主面221の一側部27近傍、すなわち一領域26にまとめることができ水晶振動片2の小型化を図るのに好適であり、水晶振動片2と外部電極(本実施例ではサポート材5)との接合強度を高めることができる。特に、図5に示すように水晶振動片用接合材72として接続バンプを用いた場合に当該水晶振動片2の小型化を図るのに好適である。また、1つの引き出し電極241(242)につき複数の水晶振動片用接合材72が基板の短手方向に沿って引き出し先端部251(252)に接合されるので、例えば、広域な接合領域を有する導電性接着剤を用いることによる電極間のショートを防ぐことができる。この効果は、特に水晶振動片2が小型化するにつれて顕著になる。
また、本実施例では、図1に示すように、サポート材5、水晶振動片用接合材72およびベース用接合材71を介して水晶振動片2の引き出し電極241,242の引き出し先端部251,252とベース3の電極パッドとの接合を行っているが、これに限定されるものではない。例えば、図6に示すように、水晶振動片2の引き出し電極241,242の引き出し先端部251,252の高さが他の部分の高さより厚く成形され、引き出し先端部251,252の他の部分より高く成形された高地部分291,292にベース3の電極パッドが電気機械的に接合されてもよい。この高地部分291,292は、クロムと金が順に積層した構成からなり、引き出し電極241,242と同時にフォトリソグラフィ法により形成される。また、図6に示す高地部分291,292は、メッキ形成されている。なお、ここでいうメッキ形成の工法として、電解メッキ法や無電解メッキ法が用いられる。また、電解メッキ法を用いる場合、メッキバンプ形成領域を全て共通接続するための引き出し電極が必要となる。また、メッキ材料として、具体的に、金、金錫、ハンダなどが挙げられる。また、フォトリソグラフィ法で用いるレジストの厚みを一般的な厚み約25μmとした場合、その8割程度にメッキの厚さを設定することが好適である。この場合、メッキの厚さを約20μmとすることが好ましい。
この場合、水晶振動片2の2つの引き出し電極241,242の引き出し先端部251,252が一主面221の一側部27近傍に引き出され、引き出し先端部251,252にベース3の電極パッドが電気機械的に接合され、引き出し電極241,242の引き出し先端部251,252の高さが他の部分の高さより厚く成形され、引き出し先端部の他の部分より高く成形された高地部分291,292にベース3の電極パッドが電気機械的に接合されるので、別途上記したような接続バンプや導電性接着剤などの接合材を用いずに引き出し電極241,242とベース3の電極パッドとの接合を行なうことができる。その結果、接合材(特に、導電性接着剤)を用いることによる電極間のショートを防ぐことができる。この効果は、特に水晶振動片2が小型化するにつれて顕著になる。また、高地部分291,292を含む引き出し電極241,242がフォトリソグラフィ法により形成されるので、引き出し電極241,242の形成時において高地部分291,292も併せて形成することができる。そのため、水晶振動片2の引き出し電極241,242とベース3の電極パッドとを接合させるために新たに接合材を用いたり、引き出し電極241,242の形成工程とは別の新たな工程により高地部分291,292を形成することがなく、製造コストを抑制することができる。さらに、高地部分291,292が、クロムと金を含む構成である場合、外部電極(図1,6のサポート材5を参照)との接合がし易くなる。また、高地部分291,292がメッキ形成された場合、水晶振動片2に高地部分291,292をメッキ形成することによる機械的な応力負荷を生じさせることがなく、高地部分291,292の形成をバッチ処理により行なうことが可能となり、高地部分291,292の表面面積や形状や厚みの設計自由度が極めて高くなる。また、高地部分291,292がメッキ形成された場合、設備コストを低く抑えることが可能となる。なお、ここでは、高地部分291,292のメッキ形成を挙げているが、これに限定されるものではなく、蒸着法やスパッタリング法により高地部分291,292を形成することも可能である。
また、本実施例では、FCB法によって水晶振動片2の対向位置28にFCB装置の超音波を発する部材を直接接触させて水晶振動片2をサポート材5に水晶振動片用接合材72を介して接合している。ところで、本実施例とは異なる形態となるが、FCB装置の超音波を発する部材を直接接触させた水晶振動片2の対向位置28に金からなる電極が形成されている場合、FCB装置の超音波を発する部材に金からなる電極がひっつく、すなわち水晶振動片2から金からなる電極が剥がれてFCB装置の超音波を発する部材に固着する。そのため、FCB装置の超音波を発する部材に金からなる電極が固着した状態で、他の水晶振動片2のサポート材5への接合を行う場合、FCB法による接合強度が弱くなる。従って、FCB装置の超音波を発する部材に金からなる電極が固着した場合、固着した金からなる電極を取り除く必要がある。この問題を解決するために、本実施例によれば、図1,2に示すように、水晶振動片2の対向位置28では基板21が露出されており、上記したような問題が生じることはない。なお、本実施例にかかる水晶振動片2によれば、図1,2に示すように、水晶振動片2の対向位置28では基板21が露出されているが、上記したような問題を解決する構成はこれに限定されるものではなく、水晶振動片2の対向位置28に絶縁材料が形成されていてもよい。ここでいう絶縁材料とは、材料全体が絶縁材料であってもよく材料表面のみが絶縁化された材料であってもよく、フッ化マグネシウム、酸化珪素、二酸化珪素などの絶縁材料や、酸化クロムなどの酸化金属化合物であってもよい。例えば、クロムからなる材料の表面を酸化させた絶縁材料であってもよい。さらに、上記したような問題を解決する構成は、水晶振動片2の対向位置28に絶縁材料を形成するだけではなく、この水晶振動片2の対向位置28にクロム単層からなる材料により引き出し電極を形成してもよい。ここでクロム単層を挙げた理由として、クロムは、金と比較して硬い材質からなるとともに水晶振動片2の基板21との接合強度が高いため、上記したような金からなる材料と比較してFCB装置の超音波を発する部材に固着することはないことに関係している。また、クロム単層以外に、例えば、励振電極231,232と引き出し電極241,242のうち少なくとも引き出し先端部251,252の対向位置28が、クロム、ニッケルを順に積層して(その逆でも可能)構成された引き出し電極であってもよい。また、クロム、金を順に積層し、その後に表面の金のみを除去してクロム単層とした構成であってもよい。すなわち、クロムが表面に配されている構成であればその組み合わせを任意に設定してもよい。
上記したように、水晶振動片2の対向位置28に絶縁材料もしくはクロム単層の引き出し電極が形成されるので、FCB法により水晶振動片2の対向位置28にFCB装置の超音波を発する部材を直接接触させた場合であっても、水晶振動片2の対向位置28に形成された絶縁材料もしくはクロム単層からなる材料がFCB装置の超音波を発する部材に固着するのを防ぐことができる。
また、本実施例では、図1に示すような平面視矩形状の一枚板の直方体に成形されたサポート材5を用いているが、サポート材の形状はこれに限定されるものではなく、熱応力が水晶振動片2に伝わるのを抑制するために凹部を設けてもよく、また、水晶振動片2の一領域においてサポート材5に接合することで水晶振動片2がサポート材5に対して撓むのを抑制する水晶振動片用枕部を設けてもよい。特に、水晶振動片用枕部をサポート材に設けることで、水晶振動片用接合材72を用いたサポート材5への水晶振動片2の接合の際に、サポート材5上の水晶振動片2の搭載位置に対して傾くことなく安定して水晶振動片2を配することができる。具体的に、水晶振動片用枕部は、サポート材5の水晶振動片2と面する主面に形成された突起部であり、図1に示すサポート材に水晶振動片用枕部を設ける場合、水晶振動片用枕部の設置位置は、水晶振動片用接合領域51を考慮してサポート材5の長手方向他側部近傍であって、その短手方向の中間部近傍とすることが望ましい。
また、上記した本実施例では、引き出し電極241,242の引き出し先端部251,252が一主面221の一側部27近傍に引き出されているが、これに限定されるものではなく、一主面221に引き出されていればよい。例えば、引き出し電極241,242の引き出し先端部251,252が一主面221の一側部27近傍と、一側部27の対向側部近傍とに引き出されてもよい。しかしながら、本実施例に示すように、引き出し電極241,242の引き出し先端部251,252が一主面221の一側部27近傍に引き出されている構成、すなわち、一領域26にまとめるほうがパッケージ6の小型を図るのに好適である。
また、上記した本実施例では、図2に示すようにATカット水晶片からなる水晶振動片2を用いているが、これに限定されるものではなく、他の圧電振動片であってもよい。具体的に、図7,8に示すような音叉型水晶振動片(以下、水晶振動片8とする)であってもよい。
この図7,8に示す水晶振動片8は、異方性材料の水晶片からエッチング形成される。水晶振動片8の基板81は、2本の脚部821,822と基部83とから構成されてその外周形が略直方体形状からなり、2本の脚部821,822が基部83から突出して形成されている。また、2本の脚部821,822の両主面841,842には、水晶振動片8の小型化により劣化する直列共振抵抗値を改善させるために、溝85が形成されている。
この水晶振動片8の両主面841,842には、異電位で構成された2つの励振電極861,862と、これらの励振電極861,862をベース3の電極パッド(図示省略)に電気機械的に接合させるための引き出し電極871,872が形成され、引き出し電極871,872は励振電極861,862から基部83に引き出されている。そして、基部83に形成された引き出し電極871,872の引き出し先端部881,882とベース3の電極パッドがサポート材5を介して水晶振動片用接合材72により接合されて、励振電極861,862とベース3の電極パッドとが電気機械的に接合される。
上記した励振電極861,862、および引き出し電極871,872は、例えば、クロムの下地電極層と、金の上部電極層とから構成された積層薄膜である。この薄膜は、真空蒸着法やスパッタリング法等の手法により全面に形成された後、フォトリソグラフィ法によりメタルエッチングして所望の形状に形成される。また、上記した引き出し電極871,872の引き出し先端部881,882とこれに近接する引き出し電極871,872の一部は、例えば、クロムの下地電極層と、金の中間電極層と、クロムの上部電極層と、から構成された積層薄膜である。この薄膜は、真空蒸着法やスパッタリング法等の手法により全面に形成された後、フォトリソグラフィ法によりメタルエッチングして所望の形状に形成され、クロムの上部電極層のみが部分的にマスクして真空蒸着法等の手法により形成される。さらに、引き出し電極871,872の引き出し先端部881,882のうち、水晶振動片8の他主面841の、一主面842に形成された引き出し先端部871,872に対向する対向位置89に形成された引き出し先端部881,882(図7,図8(a)に示す引き出し先端部881,882)は、その表面のクロムの表面が酸化されて、絶縁材料となっている。または、引き出し先端部881,882は、その表面の一部のクロムの表面が酸化されて、絶縁材料となっている。ここでいう酸化クロムは、クロムと比べて表面高度が高まったものである。
なお、この図8に示す水晶振動片8では、引き出し電極871,872の引き出し先端部881,882の材料は、クロム、金、クロム(Cr−Au−Cu)の順に積層し、表面のクロムが酸化されているが、これに限定されるものではなく、図2に示す水晶振動片と同様に、例えば、クロム、金、ニッケル(Cr−Au−Cu)の順に積層し、表面のニッケルが酸化されてもよい。また、クロム、ニッケル(Cr−Ni)の順に積層し、表面のニッケルが酸化されてもよく、ニッケル、クロム(Ni−Cr)の順に積層し、表面のクロムが酸化されてもよい。
また、図8に示すように、水晶振動片8の対向位置89に形成された引き出し先端部881,882は、その表面のクロムの表面が酸化されて絶縁材料となっているが、これに限定されることはなく、FCB法によるサポート材5への水晶振動片8の超音波接合の際に表面が金からなる電極が剥がれてFCB装置の超音波を発する部材に固着するのを防止することができれば、例えば、図9に示すように、水晶振動片8の対向位置89では基板81が露出されてもよい。しかしながら、図9に示すように、水晶振動片8の対向位置89において基板81を露出させると、水晶振動子1の製造工程において水晶振動片8の配置について画像認識を行なうことができない場合が生じる。これは、水晶振動片8の露出している部分の下面側のパターンを認識してしまう可能性があるためである。そのため、音叉型水晶振動片では、上記した対向位置89において基板81を露出することより図8(a)に示すような絶縁材料などにより基板81の対向位置89を被覆するほうが好ましい。また、上記したように、対向地位89の引き出し先端部881,882は、絶縁材料の代わりに表面がクロムからなる材料であってもよい。
また、上記した本実施例にかかる水晶振動子1では、金属材料からなる接続バンプのみを用いているが、接続バンプはこれに限定されるものではなく、非導通性材料の接続バンプからなってもよい。しかしながら、非導通性材料の接続バンプを用いた場合であっても、水晶振動片1の励振電極231,232とパッケージ6の電極パッドとを導通させるための導通材料(本実施例では金属材料)からなる接続バンプも用いることはいうまでもない。
また、本実施例では、サポート材5と水晶振動片2との接合は、水晶振動片2の一領域26内の2つの引き出し先端部251,252において行なっているが、これに限定されるものではない。例えば、図10(a)に示すように、サポート材5と水晶振動片2との接合は、水晶振動片2の一領域26内において1つの接合バンプ9により行ってもよい。この1つの接合バンプ9は、2つの導電性材料からなる導電部91と、1つの非導電性材料からなる非導電部92とからなり、導電部91が非導電部92により覆われてなる。また、図10(a)に示す厚みすべり振動系の水晶振動片2だけではなく、図10(b)に示すように音叉型水晶振動片8にも接合バンプ9は適用可能である。この場合、上記したような2点接合による水晶振動片1,8への外的な応力の発生を抑制するのに好ましい。
上記接続バンプは、水晶振動片側に予め形成するものと、基板(あるいはサポート材)側に予め形成するものとのどちらを用いてもよい。なお、基板(あるいはサポート材)側に予め接続バンプを形成する場合、水晶振動板への機械的な応力負荷を軽減できる。
なお、本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
本発明は、水晶振動子などの圧電振動子に適用できる
1 水晶振動子(圧電振動デバイス)
2 水晶振動片(圧電振動片)
21 基板
221,222 両主面
231,232 励振電極
241,242 引き出し電極
251,252 引き出し先端部
26 基板の一領域
27 基板の一側部
28 対向位置
291,292 高地部分
3 ベース
4 キャップ
5 サポート材
51 水晶振動片用接合領域
521,522 ベース用接合領域
6 パッケージ
71 ベース用接合材
72 水晶振動片用接合材
8 音叉型水晶振動片(圧電振動片)
81 基板
841,842 両主面
861,862 励振電極
871,872 引き出し電極
881,882 引き出し先端部
89 対向位置
2 水晶振動片(圧電振動片)
21 基板
221,222 両主面
231,232 励振電極
241,242 引き出し電極
251,252 引き出し先端部
26 基板の一領域
27 基板の一側部
28 対向位置
291,292 高地部分
3 ベース
4 キャップ
5 サポート材
51 水晶振動片用接合領域
521,522 ベース用接合領域
6 パッケージ
71 ベース用接合材
72 水晶振動片用接合材
8 音叉型水晶振動片(圧電振動片)
81 基板
841,842 両主面
861,862 励振電極
871,872 引き出し電極
881,882 引き出し先端部
89 対向位置
Claims (8)
- 基板の両主面それぞれに少なくとも1つの励振電極が形成され、かつ、これらの前記励振電極を外部電極と電気機械的に接合させるために前記励振電極からそれぞれ引き出された複数の引き出し電極が形成された圧電振動片において、
前記複数の引き出し電極の引き出し先端部が前記一主面の少なくとも一側部近傍に引き出され、前記引き出し先端部に外部電極が電気機械的に接合され、
前記基板の他主面の、前記一主面に形成された前記引き出し先端部に対向する対向位置に絶縁材料が形成されたことを特徴とする圧電振動片。 - 前記絶縁材料は、酸化金属化合物であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片。
- 前記絶縁材料は、その表面が絶縁化された材料であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動片。
- 基板の両主面それぞれに少なくとも1つの励振電極が形成され、かつ、これらの前記励振電極を外部電極と電気機械的に接合させるために前記励振電極からそれぞれ引き出された複数の引き出し電極が形成された圧電振動片において、
前記複数の引き出し電極の引き出し先端部が一主面の少なくとも一側部近傍に引き出され、前記引き出し先端部に外部電極が電気機械的に接合され、
前記基板の他主面の、前記一主面に形成された前記引き出し先端部に対向する対向位置にクロム単層からなる材料が形成されたことを特徴とする圧電振動片。 - 前記複数の引き出し電極の引き出し先端部が前記一主面の少なくとも一側部近傍に引き出され、前記引き出し先端部にて外部電極が圧電振動片用接合材を介して電気機械的に接合され、
1つの前記引き出し電極につき複数の前記圧電振動片用接合材が接合されることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1つに記載の圧電振動片。 - 前記基板の外周形は、直方体形状からなり、
1つの前記引き出し電極につき複数の前記圧電振動片用接合材が前記基板の短手方向に沿って前記引き出し先端部に接合されることを特徴とする請求項5に記載の圧電振動片。 - 前記引き出し電極の引き出し先端部の高さが他の部分の高さより厚く成形され、
前記引き出し先端部の他の部分より高く成形された高地部分に外部電極が電気機械的に接合されることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1つに記載の圧電振動片。 - ベースとキャップとが接合されてパッケージが構成され、
前記パッケージの内部の前記ベース上に、請求項1乃至7のうちいずれか1つに記載の圧電振動片が保持されるとともに、前記パッケージの内部が気密封止され、
前記圧電振動片は、脆性材からなるサポート材を介して前記ベース上に保持されたことを特徴とする圧電振動デバイス。
1
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JP2016054363A (ja) * | 2014-09-03 | 2016-04-14 | 京セラクリスタルデバイス株式会社 | 圧電素子及び圧電デバイスの製造方法 |
-
2005
- 2005-12-21 JP JP2005368523A patent/JP2007174231A/ja active Pending
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