JP2008057731A - ブッシュ構造およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ブッシュ構造12は、中空状に形成された外筒21と、外筒21内に同軸上に設けられた中空状の内筒22と、内筒22および外筒21間に介在されたゴム部材23とを有する。このブッシュ構造12は、ゴム部材23が、内筒22および外筒21間に設けられた後、内筒22を拡径することで圧縮状態に保たれている。
【選択図】図3
Description
このブッシュ構造のなかには剛性に異方性を持たせたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
一方、長軸において弾性部材の厚さ寸法が大きくなり、弾性部材の剛性が低くなる。これにより、ブッシュ構造の剛性に異方性を持たせることができる。
しかし、外筒を絞り成形で圧縮させることは難しく、弾性部材を簡単に圧縮状態に保つことができる技術の実用化が望まれていた。
このように、弾性部材を好適な条件で使用することで、弾性部材の耐久性を高めることができるという利点がある。
これにより、アウターカラーを楕円形状とする簡単な構成で、ブッシュ構造のインナーカラーを移動可能にすることができるという利点がある。
よって、アウターカラーを絞り成形で縮径する必要がなく、アウターカラーを絞り成形するための絞り成形用設備を除去することができる。
このため、アウターカラーを絞り成形する設備が比較的大型になることが考えられる。
さらに、絞り成形用設備でアウターカラーを絞り成形した場合、アウターカラーの外周に絞り成形の跡が残ることが考えられる。
このように、小型の設備でインナーカラーを拡径することが可能になり、アウターカラーおよびインナーカラー間に介在させた弾性部材を簡単に圧縮状態に保つことができるという利点がある。
さらに、アウターカラーを絞り成形する必要がない。これにより、アウターカラーの外周に絞り成形の跡が残る虞がなく、アウターカラーの外周を綺麗に保つことができるという利点がある。
図1は本発明に係るブッシュ構造(第1実施の形態)を備えたサスペンション装置を示す概略図である。なお、サスペンション装置は左右対称の部材なので、以下右側部材のみを図示して説明する。
サスペンション装置10は、車体フレーム11の端部11aにブッシュ構造12を設け、ブッシュ構造12にサスペンションアーム13の基端部13aが取付ロッド14を介して取り付けられ、サスペンションアーム13の先端部13bにアクスルハウジング15が取り付けられ、アクスルハウジング15にストラット16の下端部16aが取り付けられ、ストラット16の上端部16bがホイールハウス(車体)18に取り付けられている。
前記アクスルハウジング15に車輪19が取り付けられている。
ブッシュ構造12は、中空状に形成された外筒(アウターカラー)21と、外筒21内に同軸上に設けられた中空状の内筒(インナーカラー)22と、内筒22および外筒21間に介在されたゴム部材(弾性部材)23とを有する。
この外筒21は、車体フレーム11に対して長軸25が角度θ1傾斜させた状態で、車体フレーム11の端部11aに設けられている。
さらに、内筒22は、長さがL4(図3参照)に形成されている。
以下、中央部22aを大径筒部、前端部22bを前軸受部、後端部22cを後軸受部として説明する。
このゴム部材23は、内筒22および外筒21間に設けられた後、内筒22の中央部を大径筒部22aに拡径することで圧縮状態に保たれている。
すなわち、ゴム部材23の外周23aが楕円形状に形成され、ゴム部材23の内周23bが円形に形成されている。
内周23bは、外周23aに対して同軸上に形成されている。
これにより、ゴム部材23に異方性を持たせることができる。
以下、長軸25を低剛性弾性主軸、短軸26を高剛性弾性主軸として説明する。
これにより、外筒21を楕円形状とする簡単な構成で、ブッシュ構造12の内筒22を移動可能にすることができる。
このブッシュ構造12にサスペンションアーム13の基端部13aが取付ロッド14を介して取り付けられている。
前部位33の取付孔33a、内筒22の中空部36および後部位34の取付孔34aに取付ロッド14が差し込まれ、後部位34の取付孔34aから突出したねじ部14aにナット37がねじ結合される。
これにより、サスペンションアーム13は取付ロッド14を軸にして上下方向に揺動することができる。
このように、ゴム部材23を好適な条件で使用することで、ゴム部材23の耐久性を高めることができる。
図5(a),(b)は第1実施の形態に係るブッシュ構造のブッシュ素材を組み付ける例を説明する図であり、(a)は断面図、(b)は側面図である。
(a),(b)において、中空状に形成された外筒21内に、内筒素材(インナーカラー素材)42を同軸上に配置した後、外筒21および内筒素材42間に加硫されたゴム部材23を設ける。
外筒21、ゴム部材23および内筒素材42でブッシュ素材40が形成される。
内筒素材42は、外径がD1、内径がD2に形成されている。
(a)において、大径筒部成形部45にブッシュ素材40を配置する。これにより、大径筒部成形部45の前成形治具46に内筒素材42の前端部42aが臨むとともに、大径筒部成形部45の後成形治具47に内筒素材42の後端部42bが臨む。
前環状溝52は、前外周壁53および前内周壁54を有し、溝深さH1で環状に形成されている。
前内周壁54は、内筒素材42の軸線に対して平行に形成されている。
そして、前内周壁54のうち、溝深さH2から溝深さH1までの壁部54aと、前外側水平壁部53bとで前端部成形溝52aが形成される。
また、前内周壁54は、直径が小径D5に形成されている。
外径D1、内径D2、大径D3、中径D4および小径D5の関係は、D3>D1>D4>D2>D5が成立する。
後環状溝56は、前環状溝52と同様に、後端部成形溝56aおよび後外側傾斜壁部57を有する。
後端部成形溝56aは、前端部成形溝52aと左右対称に形成された溝である。後外側傾斜壁部57は、前外側傾斜壁部53aと左右対称に形成された傾斜壁部である。
後成形治具47の後環状溝56が内筒素材42の後端部42bに嵌合し、後外側傾斜壁部57が後端部42bに当接する。
これにより、内筒素材42の前後の端部42a,42bに、座屈荷重(圧縮荷重)Fがそれぞれ作用する。
(a)において、前成形治具46の前外側傾斜壁部53aに沿って前端部42aが前環状溝52内に進入する。
同時に、後成形治具47の後外側傾斜壁部57に沿って後端部42bが後環状溝56内に進入する。
これにより、内筒素材42の前端部42aがテーパ状に縮径するとともに、内筒素材42の後端部42bがテーパ状に縮径する。
前成形治具46を矢印Aの如く継続させて移動するとともに、後成形治具47を矢印Bの如く継続させて移動する。
同時に、後成形治具47の後端部成形溝56aに後端部42bが進入することで、内筒22の後軸受部22cが形成される。
内筒22の大径筒部22aが形成されることで、ゴム部材23が圧縮状態に保たれる。
ブッシュ構造12が得られた後、前成形治具46を前軸受部22bから離れるように矢印Cの如く移動する。
同時に、後成形治具47を後軸受部22cから離れるように矢印Dの如く移動する。
(a),(b)において、ブッシュ構造12が大径筒部成形部45から取り出される。
図5〜図8で説明したように、外筒21、ゴム部材23および内筒素材42でブッシュ素材40を形成した後、大径筒部成形部45で内筒素材42の中央部42cを拡径することで、ゴム部材23を圧縮状態に保つようにした。
よって、外筒21を絞り成形で縮径する必要がなく、外筒21を絞り成形するための絞り成形用設備を除去することができる。
このため、外筒を絞り成形する設備が比較的大型になることが考えられる。
さらに、絞り成形用設備で外筒21を絞り成形した場合、外筒21の外周に絞り成形の跡が残ることが考えられる。
このように、小型の大径筒部成形部45で内筒22を拡径することが可能になり、外筒21および内筒22間に介在させたゴム部材23を簡単に圧縮状態に保つことができる。
このように、設備費を抑えることでコスト低減を図ることができる。
さらに、外筒21を絞り成形する必要がないので、外筒21の外周に絞り成形の跡が残る虞がなく、外筒21の外周を綺麗に保つことができる。
内筒素材42の周壁を予め湾曲状に形成することで、後工程において、内筒素材42の中央部42cを一層良好に湾曲状に拡径することができる。
(a)において、大径筒部成形部65にブッシュ素材40を配置する。これにより、大径筒部成形部65の前成形治具66に内筒素材42の前端部42aが臨むとともに、大径筒部成形部65の後成形治具67に内筒素材42の後端部42bが臨む。
前治具本体71は、前端部42aに臨む後端面71aに前円形凹部73が開口されている。
前円形凹部73は、前周壁73aの直径がD6に形成され、凹部深さがH3に形成されている。
外径D1および直径D6の関係は、D6>D1が成立する。
すなわち、前円形凹部73内に臨むノズル74を備え、ノズル74に流路75を介してエア供給源72が連通されている。
後円形凹部78は、前円形凹部73と左右対称の凹部であり、後周壁78aを有する。
前成形治具66を内筒素材42の前端部42aに向けて矢印Eの如く移動するとともに、後成形治具67を内筒素材42の後端部42bに向けて矢印Fの如く移動する。
後成形治具67の後円形凹部78が内筒素材42の後端部42bに嵌合する。そして、後周壁78aと後端部42bとが密封された状態に保たれる。
(a)において、エア供給源72を作動することで、ノズル74から内筒素材42内に高圧エアが矢印Gの如く供給される。
内筒素材42内に供給された高圧エアが、内筒素材42の内周面に矢印Hの如く作用する。
内筒22の大径筒部22aが形成されることで、ゴム部材23が圧縮状態に保たれる。
ここで、内筒素材42の前端部42aが内筒22の前端部22bとなり、内筒素材42の後端部42bが内筒22の後端部22cとなる。
これにより、内筒素材42が内筒22に形成され、ブッシュ素材40からブッシュ構造12が得られる。
同時に、後成形治具67を後軸受部22cから離れるように矢印Jの如く移動する。
これにより、ブッシュ構造12が大径筒部成形部65から取り出される。
特に、ゴム部材23の剛性に異方性を持たせることで、内筒22が移動可能になり、ブッシュ構造12の用途の拡大を図ることができる。
ここで、外筒21を樹脂で形成し、樹脂製の外筒を縮径してゴム部材23を圧縮状態に保つ場合、樹脂製の外筒を絞り成形により縮径する。しかし、樹脂製の外筒を絞り成形により縮径すると、外筒が割れやすく、加工しにくくなるという問題があった。
これに対して、内筒22を樹脂で形成し、樹脂製の内筒を第1、第2の実施の形態の方法で拡径することで加工が容易になる。
Claims (3)
- 中空状に形成されたアウターカラーと、このアウターカラー内に同軸上に設けられたインナーカラーと、このインナーカラーおよび前記アウターカラー間に介在された弾性部材とを有するブッシュ構造において、
前記弾性部材は、前記インナーカラーおよび前記アウターカラー間に設けられた後、前記インナーカラーを拡径することで圧縮状態に保たれていることを特徴とするブッシュ構造。 - 前記アウターカラーを楕円形状とすることで、前記弾性部材の剛性に異方性を持たせたことを特徴とする請求項1記載のブッシュ構造。
- 中空状に形成されたアウターカラーと、このアウターカラー内に同軸上に設けられたインナーカラーと、このインナーカラーおよび前記アウターカラー間に介在された弾性部材とを有するブッシュ構造の製造方法において、
前記アウターカラーおよびインナーカラー素材間に前記弾性部材を設ける工程と、
このインナーカラー素材を拡径して前記インナーカラーとすることで、前記弾性部材を圧縮状態に保つ工程と、
を備えたことを特徴とするブッシュ構造の製造方法。
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