JP2012061501A - ボールねじ用のねじ軸 - Google Patents

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恒哲 平岡
Koji Matsunaga
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Abstract

【課題】ボールねじ用のねじ軸をバルジ加工により形成する場合において、その強度を向上させ、またその長さ寸法の管理を容易にする。
【解決手段】内周面にねじ形成面21bを有する筒形のバルジ型21に管体pを挿入する。この管体pを軸押し治具22で軸方向に圧縮しつつ、管体pの内部に加圧機構23により流体を送り込んで加圧する。管体pを拡径させてバルジ型21の内周面に押し付け、その外周面にねじ溝を形成することでねじ軸を作製する。成型の際に、管体pを軸方向に圧縮しているため、管体pに内圧をかけても軸方向に広がることはない。できあがったねじ軸は肉やせが防がれており、強度が保証されている。軸方向の圧縮量を定量とすることで、ねじ軸の長さ寸法の管理が容易となる。
【選択図】図2

Description

この発明は、ボールねじ用のねじ軸、およびそのねじ軸の製造方法に関する。
ねじ軸とねじ軸にボールを介してねじ合わせられるナットとからなるボールねじは、自動車のパワーステアリング等に用いられており、軽量化を図るためにそのねじ軸を中空としたものがある。
このようなねじ軸のねじ溝の加工方法としては、素材の外面に転造金型を押し付ける転造加工が一般的である。
しかし、中空のねじ軸を作製する場合に、その素材に管体を用いると、転造金型の押圧により管体が座屈変形等してしまう。そのため、できあがったねじ溝の形状や寸法精度を保証することができない。
一方、素材に中実の棒体を用い、転造加工によりこの棒体にねじ溝を形成して中実のねじ軸を作製し、その後にねじ軸の軸方向に貫通孔を切削して中空にすることも考えられるが、加工コストが嵩み歩留まりも悪い。
このため特許文献1のように、素材となる管体を転造加工する際に、芯金を挿入することでその管体の金型の押圧にともなう変形を抑制する試みもなされている。
しかし、管体と芯金との隙間が大きいとその隙間の分だけは管体が変形しうるため、できあがったねじ軸のねじ溝の形状や寸法精度に依然として影響が出る。
逆に、管体と芯金との隙間を小さくしすぎると、転造加工後にねじ軸と芯金が密着して芯金が抜けなくなってしまう。
このため、管体と芯金の隙間管理を厳格におこなわなくてはならず、手間がかかる。
そこで特許文献2のように、転造加工以外のねじ溝の加工方法として、バルジ加工も試みられている。
具体的には、一端が蓋により閉塞された筒形のバルジ型に素材となる管体を挿入し、この管体の一端を前記蓋に当てて位置決めしたうえで、その他端から内部へと流体を送り込んで圧力を加える。これにより管体を拡径させ、その外周面をバルジ型の内周面へと押し付けてねじ溝を形成し、ねじ軸を作製する。
このように管体に内圧を加えて拡径させる方式であるため、上述したような芯金は用いられず、隙間管理が不要となる。また素材に管体を用いるため、貫通孔を切削する後加工が不要となって、歩留まりもよく加工コストも嵩まない。
特開平10−230413号公報 特開平2−210921号公報
しかし特許文献2の場合、管体は両端部のうち片方の端部しか拘束されていないため、内圧が加えられることで拡径とともに軸方向にも広がってしまう。したがって、できあがったねじ軸が肉痩せ、すなわち肉厚が小さくなってしまい、強度が保証できないおそれがある。
また、管体は軸方向に不定量に広がるため、できあがったねじ軸の長さ寸法の管理が難しい。
そこでこの発明の解決すべき課題は、ボールねじ用のねじ軸をバルジ加工により形成する場合において、その強度を向上させ、またその長さ寸法の管理を容易にすることである。
上記した課題を解決するため、この発明においては、ボールねじ用のねじ軸を、内周面にねじ形成面を有する筒形のバルジ型に管体を挿入し、管体を軸方向に圧縮しつつ、管体内部に流体を送り込んで加圧することで管体を拡径させてバルジ型の内周面に押し付け、管体の外周面にねじ溝を形成して作製するものとしたのである。
ねじ軸の素材となる管体をバルジ成型する際に、管体を軸方向に圧縮しているため、管体に内圧をかけても軸方向に広がることはない。したがってできあがったねじ軸は肉やせが防がれており、強度が保証されている。
軸方向の圧縮量を定量とすることで、できあがったねじ軸の長さ寸法の管理が容易となる。
ねじ軸の(a)は側面図、(b)は縦断面図 バルジ成型装置の縦断面図 (a)はバルジ型の縦断面図、(b)は(a)のb−b断面図
以下、図面を参照しつつこの発明の実施形態について説明する。
図1に示す、実施形態のねじ軸10は、ボールを介してナットがねじ合わせられることでボールねじとして用いられる。
一般的なボールねじと同様に、ねじ軸10をモータ等により回転させると、ナットがねじ軸10の軸方向に移動することで回転運動が直線運動に変換されるようになっており、自動車のパワーステアリング等に利用される。
図1(a)のように、ねじ軸10は、その軸方向中央部に外周面にねじ溝11aが形成されたねじ部11を有し、その軸方向両端部に外周面に凹凸の無い支持部12、13を有する。ねじ軸10のねじ部にはナットがねじ合わされ、支持部12、13は軸受に支持されるようになっている。
図1(b)のように、ねじ軸10は、中空であり軽量化が図られている。また、ねじ軸10のねじ部11の内周面は、後述する制作上の理由から外周面のねじ溝11aに対応する箇所が内側へと膨出している。
さらに、ねじ軸10の支持部12,13の一方は、その外径がねじ部11の外径以上である大径支持部12となっており、支持部12、13の他方は、その外径がねじ部11の谷の径(ねじ底の径)以下である小径支持部13となっている。小径支持部13については、径が小さいことからこれを支持する軸受の小型化が図られるようになっている。
ねじ軸10は、図2に示すバルジ成型装置20により管体pから製造される。
図2(a)のように、バルジ成型装置20は、バルジ型21と、軸押し治具22と、加圧機構23と、バルブ24と、を備える。
筒形のバルジ型21は、その長さ方向に貫通し両端面において開口する略円柱形の収容部21aを有する。このバルジ型21は、一体型であって分割不能となっている(図3(b)参照)。
収容部21aの周面の軸方向中央部は、ねじ溝を形成するための凹凸を有するねじ形成面21bとなっている。
一方、収容部21aの周面の軸方向両端部には、凹凸が形成されていない。その一端側の面は、径がねじ形成面21bの外径以上である大径面21cとなり、その他端側の面は、径がねじ形成面21bの山の径以下である小径面21dとなっている。
図2のように、一対の軸押し治具22は、バルジ型21の左右に配置されている。各軸押し治具22はシリンダ22bとシリンダ22bに収容されるピストンロッド22aからなり、油圧等により作動するようになっている。ピストンロッド22aの先端は、バルジ型21の両端面の開口に差し込まれている。ここで各ピストンロッド22aの外径は、バルジ型21の大径面21cおよび小径面21dの径にそれぞれ対応しているものとする。
また軸押し治具22は、図2(a)の鎖線で示すように、バルジ型21から離反可能となっている。
図2(a)のように、各ピストンロッド22aには通路22cが形成されており、その一方には加圧機構23が、その他方にはバルブ24がそれぞれ接続されている。
加圧機構23はブースタ23aとポンプ23bとからなり、通路22cを通じてバルジ型21の収容部21aに加圧した液体が供給できるようになっている。このような液体としては、水、油が例示できる。
またバルジ型21の中の空気は、通路22cを通じてバルブ24から外部に排出できるようになっている。
いま、図2(a)のように、バルジ型21の収容部21aに内径および外径がほぼ均一の管体pを挿入する。管体pの外径はバルジ型21の小径面21dの径とほぼ同じか若干小さいものとする。
つぎに、軸押し治具22を作動させて管体pをその両端から軸方向に圧縮し、これと同時に加圧機構23を作動させて加圧液体を管体pの内部へと供給する。ここで収容部21a内の空気は、適宜バルブ24から排出されるものとする。
すると図2(b)のように、管体pは内部からの加圧により拡径し、その軸方向中央部はバルジ型21のねじ形成面21bに押し付けられる。これにより管体pの外周面にねじ溝11aが形成される。
同時に、管体pの軸方向両端部は、それぞれバルジ型21の大径面21c、小径面21dに押し付けられる。管体pの大径面21cに押し付けられた端部は大きく拡径し、管体pの小径面21dに押し付けられた端部はほとんど拡径しない。
このようにして、管体pのねじ溝11aが形成された箇所がねじ部11となり、拡径した一端部が大径支持部12となり、拡径しない他端部が小径支持部13となってねじ軸10が完成する。
なお、バルジ型21の型締め圧は、管体pの拡径により型が広がらない程度に調整しておく。
できあがったねじ軸10をバルジ型21から取り出すには、バルジ型21の左右から軸押し治具22を退去させたうえで、図3(a)のように、ねじ軸10を回転させて矢印で示す方向、すなわち大径支持部12が進行方向に先行する向きにねじ送りしていく。
ねじ軸10のねじ部11はバルジ型21の大径面21cよりも小径であり、ねじ軸10の小径支持部13はバルジ型21のねじ形成面21bよりも小径であるため、それぞれの部位が収容部21aを通りぬけて、バルジ型21の端面からねじ軸10を抜き取ることができる。
できあがったねじ軸10は、スプリングバックにより微少に内径側に逃げるため、バルジ型21から型離れしている。そのため、上記抜き取り作業はスムーズに行うことができる。
管体pを両端部から圧縮しているため、管体pに内圧をかけても軸方向に広がることがない。したがって、できあがったねじ軸10の肉厚を一定以上に確保でき、その強度を保証することができる。また、軸押しにより管体pのバルジ型21の内周面への密着性(充足性)が増すため、できあがったねじ軸10のねじ溝11aの形状、寸法の精度が向上する。
さらに、軸押し治具22の軸押し量(ピストンロッド22a先端のバルジ型21の収容部21aへの挿入量)を一定に調節することで、できあがったねじ軸10の長さ寸法をばらつきなく揃えることができる。
また、バルジ型21は一体型であるため、分割型と異なって、型の分割部でのバリの発生や形状の乱れがなく、できあがったねじ軸10は形状安定性に優れている。
この実施形態では、バルジ型21を分割不能な一体型としたが、上型と下型に分割可能な分割型としてもよい。
この場合、バルジ型21を分割すると、できあがったねじ軸10を取り出し可能であるため、実施形態のようにねじ軸10を回転させてバルジ型21から引き抜く必要がない。そのため、ねじ軸10の両端の支持部の径を自由に設定することができる。したがって、両方の支持部をねじ部よりも小径とすることができ、これを支持する軸受の小型化が図られる。
10 実施形態のねじ軸
11 ねじ部
11a ねじ溝
12 大径支持部
13 小径支持部
20 バルジ成型装置
21 バルジ型
21a 収容部
21b ねじ形成面
21c 大径面
21d 小径面
22 軸押し治具
22a ピストンロッド
22b シリンダ
22c 通路
23 加圧機構
23a ブースタ
23b ポンプ
24 バルブ
p 管体

Claims (7)

  1. 軸方向の中央部にねじ溝が形成されたねじ部を有し、軸方向の両端部に軸受により支持可能な支持部を有するボールねじ用のねじ軸の製造方法であって、
    内周面にねじ形成面を有する筒形のバルジ型に管体を挿入する工程と、
    前記管体を軸方向に圧縮しつつ、前記管体の内部に流体を送り込んで加圧することで管体を拡径させて前記バルジ型の内周面に押し付け、前記管体の外周面にねじ溝を形成する工程と、を含むボールねじ用のねじ軸の製造方法。
  2. 前記バルジ型を、上型と下型に分割可能な分割型とした、請求項1に記載のねじ軸の製造方法。
  3. 前記バルジ型の左右に一対の軸押し治具を配置し、軸押し治具に収容されたピストンロッドの先端は、バルジ型の両端面の開口に差し込まれている請求項1または請求項2に記載のねじ軸の製造方法。
  4. 前記ピストンロッドの先端部の、前記収容部への挿入量を一定値に調節する請求項3に記載のねじ軸の製造方法。
  5. 前記軸押し治具を作動させて管体をその両端から軸方向に圧縮し、これと同時に前記流体を管体の内部へと供給する請求項1から請求項4のいずれかに記載のねじ軸の製造方法。
  6. 前記バルジ型は両端が開口しかつ分割不能な一体型であり、
    前記ねじ軸は、一方の支持部が前記ねじ部の外径より大径の大径支持部であり、他方の支持部が前記ねじ部の谷の径より小径の小径支持部であり、
    前記バルジ型内のねじ軸を前記大径支持部が進行方向に先行する向きに回転させて、前記バルジ型の開口から抜き取る工程をさらに含む請求項1から請求項5のいずれかに記載のボールねじ用のねじ軸の製造方法。
  7. 請求項1から請求項6のいずれかの製造方法により製造され、
    軸方向の中央部にねじ溝が形成されたねじ部を有し、軸方向の両端部に軸受により支持可能な支持部を有し、
    一方の支持部が前記ねじ部の外径より大径の大径支持部であり、他方の支持部が前記ねじ部の谷の径より小径の小径支持部であるボールねじ用のねじ軸。
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