JP2008056954A - 金属部材及び金属部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】目視で発見することができない傷が起因となって基材に腐食が発生したとしても、早期に腐食の進行を発見することができ、かつ、基材の孔食を抑制することができる金属部材を提供する。
【解決手段】金属製の基材11と基材11の表面11aに形成された多数の空孔を有する多孔質皮膜12とを少なくとも備えた金属部材10であって、多硬質皮膜12には、前記空孔のうち、少なくとも一部の空孔が皮膜12の表面12aから基材11の表面11aまで貫通するように形成されており、該貫通する空孔12bには、少なくとも基材11の表面11aに接触するようにして、基材11bの主成分金属の自然電位よりも高い自然電位を有する腐食促進金属13が封入されている。
【選択図】図1
【解決手段】金属製の基材11と基材11の表面11aに形成された多数の空孔を有する多孔質皮膜12とを少なくとも備えた金属部材10であって、多硬質皮膜12には、前記空孔のうち、少なくとも一部の空孔が皮膜12の表面12aから基材11の表面11aまで貫通するように形成されており、該貫通する空孔12bには、少なくとも基材11の表面11aに接触するようにして、基材11bの主成分金属の自然電位よりも高い自然電位を有する腐食促進金属13が封入されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属性の基材の表面に多孔質皮膜が形成された金属部材及び金属部材の製造方法に係り、特に、腐食環境において使用するに好適な金属部材及び金属部材の製造方法に関する。
従来から、耐久性を考慮した金属部材として、基材の表面に皮膜を形成することが知られている。皮膜を形成するにあたっては、(1)皮膜が基材を保護するために、緻密で基材よりも硬質であること、(2)基材と皮膜との密着性が確保されていること、(3)皮膜が使用環境下において耐食性を有すること、の要件が満たされることが望ましい。この3つの要件を満たす金属部材の一例として、基材にアルミニウムまたはマグネシウムを用い、皮膜として陽極酸化処理による酸化皮膜を基材の表面に形成することが行われている。
具体的に、アルミニウム、またはマグネシウムを基材とした金属部材を例に挙げると、図4に示すように、金属部材70は、基材71の表面71aに、陽極酸化処理による多数の空孔を有した多孔質の酸化皮膜72が形成されている。そして、多孔質の酸化皮膜72に形成された複数の空孔72b内には、腐食を防止するために、封孔剤73が充填されており、該封孔剤73が充填された皮膜72の上部には、塗装被膜74がさらに形成されている。
陽極酸化処理により得られた酸化皮膜72は、例えば湿気のある大気などに接触しても腐食することはなく、さらに皮膜72の下層部72cが、基材71の表面71aと前記大気との接触を完全に遮断するので、基材71の腐食をも防止することができる。また、仮に、金属部材70の製造後に、多孔質の皮膜72の空孔72bの端部72dから基材71の表面71aにまでの亀裂が発生したとしても、空孔72bには封孔剤73が充填されているので、亀裂を介して基材71が前記大気に接触することはない。
上記の如き金属部材として、例えば、マグネシウムまたはその合金の表面に陽極酸化処理により多孔質皮膜を形成し、該多孔質皮膜の空孔をニッケル、コバルトなどの封孔剤により封孔した陽極酸化処理材が提案されている(特許文献1参照)。さらに、コバルト、ニッケルなどの封孔剤の代わりに熱硬化性樹脂を封孔剤として用いた金属部材も提案されている(特許文献2)。
マグネシウム、またはアルミニウムなどの金属は、鋼に比べて軽量であるため、近年、車両の軽量化を図るべく、これらの材料を車両の構成部材に適用する試みがなされている。そこで、特許文献1または特許文献2に記載の金属部材を車両の構成部材に用いた場合には、金属部材に形成された多硬質皮膜は、基材に比べて硬質であり、基材との密着性も良いので、車両の構成部材の耐久性を向上させることができる。そして、金属部材の表面に傷が発生したとしても、金属部材の皮膜が残存している場合には、基材表面が露呈することがないので、基材が腐食することはない。
しかし、何等かの衝撃等により、これらの傷が皮膜を通して基材の表面にまで到達し、基材表面が露呈することもありうる。このような傷のなかには、図5に示すように、傷Sの幅Wが小さく、該傷Sを目視で発見することが難しい場合もある。
基材71の表面71aに達した傷Sは、表面71aが例えば湿気のある大気などに晒されるので、金属部材70には、基材表面71aから深さ方向に腐食するいわゆる孔食が発生する。該孔食が進行しても、皮膜72と基材71とは密着性があるため、皮膜72が破壊されることはないので、金属部材の表面にはほとんど変化が見られない。よって、金属部材を目視しても孔食を早期発見することは困難である。孔食の発見が遅れて腐食がさらに進行した場合、腐食孔Hが基材71を貫通することもあり、仮に貫通しない場合であっても、この腐食孔Hが起点となって、金属部材が破壊、または疲労破壊に至る場合がある。特に、傷Sにより表面71aにおける大気に晒される面積が小さく、かつ、皮膜72と基材71との密着性が高い場合には、孔食の形態が助長される。
また、基材にマグネシウムを用いた場合には、アルミニウムを用いたものに比べて、孔食は発生し易い。その結果、基材の腐食孔が貫通し易く、金属部材そのものが破壊し易い。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、目視で発見することができない傷が起因となって基材に腐食が発生したとしても、早期に腐食の進行を発見することができ、かつ、基材の孔食を抑制することができる金属部材を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、皮膜が形成された基材の表面が、傷の発生などにより露呈した場合には、基材の腐食を抑制することは難しいので、該腐食の進行を早期発見することが望ましいと考えた。そして、これまでの基材の表面から深さ方向に進行する腐食(孔食)の進行形態を、基材表面に沿った方向に進行する腐食の進行形態に変更できれば、該腐食の進行により基材表面の皮膜が剥離し、腐食進行の早期発見が可能になると考えた。このような考えに基づいて、発明者らは、多くの実験と研究を行うことにより、金属部材にガルバニック腐食(異種金属接触腐食)を利用すれば、前記腐食の進行形態を変更することが可能であるとの新たな知見を得た。
本発明は、本発明者らが得た上記の新たな知見に基づくものであり、本発明に係る金属部材は、金属製の基材と該基材の表面に形成された多数の空孔を有する多孔質皮膜とを少なくとも備えた金属部材であって、前記多硬質皮膜には、前記空孔のうち、少なくとも一部の空孔が前記皮膜の表面から前記基材の表面に貫通するように形成されており、該貫通する空孔には、少なくとも前記基材の表面に接触するようにして、前記基材の主成分金属の自然電位よりも高い自然電位を有する腐食促進金属が封入されていることを特徴とする。
前記の構成にすることにより、多孔質皮膜の一部を破壊して基材の表面にまで到達するような傷が発生したとしても、該傷が起因となって進行する腐食を早期に発見することができる。すなわち、傷の発生により露呈した基材は、基材の主成分金属の自然電位よりも高い自然電位を有する腐食促進金属により、異種金属接触腐食が発生する。具体的には、露呈した電位の低い基材(主成分金属)が陽極(アノード)として、前記基材に接触した電位の高い腐食促進金属が陰極(カソード)として作用する。その結果、基材表面の金属がイオン化することにより、前記腐食は露呈した基材表面に沿って進行し、腐食した基材表面に形成されていた皮膜の一部が剥離して、基材の腐食した面がさらに露呈され、腐食の進行を早期に発見することができる。また、前記腐食は、基材表面に沿った方向に進行する腐食の進行形態であるので、これまでの孔食は抑制され、孔食による腐食孔を起点とした金属部材の破壊を回避することができる。
本発明でいう「基材の主成分金属の自然電位よりも高い自然電位を有する腐食促進金属」とは、基材の腐食を促進させるための金属であり、言い換えれば、腐食促進金属は、基材の主成分金属のイオン化傾向よりも低いイオン化傾向を有する金属のことであり、基材の主成分金属よりも貴な金属のことをいう。
本発明に係る基材としては、腐食する金属であればよく、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金、または鉄鋼、等の金属が挙げられ、特に限定されるものではない。また、多孔質皮膜としては、その基材の主成分金属の酸化皮膜、またはセラミックス溶射などにより得られた皮膜などが挙げられ、基材よりも硬質であり、基材と密着性が良く、耐食性を有する皮膜であれば特に限定されるものではない。
より好ましい基材と多孔質皮膜の組み合わせとしては、金属部材の基材はマグネシウムまたはマグネシウム合金からなり、前記多孔質皮膜はマグネシウムまたはマグネシウム合金の酸化皮膜である。マグネシウムまたはその合金は、アルミニウムまたはその合金に比べ、表面に孔食が発生し易いので、本発明の構成にすることにより、より有効な効果を得ることができる。マグネシウム合金としては、鋳物用マグネシウム合金、ダイカスト用マグネシウム合金、または展伸用マグネシウム合金などを例として挙げることができ、マグネシウムを主成分金属としていれば特に限定されるものではない。
基材がマグネシウムまたはその合金における酸化皮膜としては、陽極酸化処理により得られる酸化被膜が好ましく、表面硬さがHv100以上であることが好ましい。前記皮膜は、多孔質の酸化皮膜を形成することができ、簡易的に、基材よりも硬質であり、基材と密着性が良く、さらに耐食性を有する皮膜を得ることができる。但し、ここでいう陽極酸化処理とは、例えば特定のアルカリ金属塩、または酸性金属塩を含有する水溶液中に、基材を浸漬し、水溶液中に交流または直流の電流を通して、基材表面に電気化学的に酸化皮膜を形成させる方法であり、通常の陽極酸化皮膜を形成する条件(基材の表面が大気と接触しないように皮膜を形成する条件)よりも、より高い電流密度および/または電圧を電極と基材間に負荷することにより、多硬質皮膜に形成された空孔のうち、少なくともその一部の複数の空孔が、皮膜の表面から基材の表面まで貫通することが可能な方法である。
本発明において、前記マグネシウムまたはその合金を基材として用いた場合に、本発明に係る金属部材の腐食促進金属が、銀、アルミニウム、亜鉛、鉄、ニッケル、銅、クロム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される金属を含むことがより好ましい。このように選択された腐食促進金属は、含浸処理により空孔に封入することが容易にでき、安価に処理を行うことができる。
さらに、本発明は、前記金属部材を製造するのに好適な製造方法をも開示する。本発明に係る金属部材の製造方法は、金属製の基材の表面に多数の空孔を有する多孔質皮膜を形成する皮膜形成工程を少なくとも含んだ金属部材の製造方法であって、前記皮膜形成工程において、前記空孔のうち、少なくとも一部の空孔が前記皮膜の表面から前記基材の表面まで貫通するように前記多孔質皮膜を形成し、前記皮膜形成工程後に、前記貫通する空孔に、少なくとも前記基材の表面に接触するようにして、前記基材の主成分金属の自然電位よりも高い自然電位を有する腐食促進金属を封入する工程、をさらに含むことを特徴とする。
本発明でいう「少なくとも一部の空孔が前記皮膜の表面から前記基材の表面まで貫通するように前記多孔質皮膜を形成する」方法としては、たとえば、前述したように電極と基材間の電流密度および/または電圧を通常の成膜条件よりも高い条件で陽極酸化処理により皮膜の成膜を行うことができる。また、基材の表面にセラミックス溶射などの溶射を行うことにより皮膜の成膜を行うこともできる。いずれにせよ、基材との皮膜との密着性を確保できるのであれば、その方法は、特に限定されるものではない。
特に、前記基材にマグネシウムまたはマグネシウム合金を用いた場合には、前記皮膜を形成する工程を、基材を前記したような陽極酸化処理により行うことがより好ましい。該方法によれば、前述した如く、基材よりも硬質であり、基材と密着性が良く、さらに耐食性を有する皮膜を簡易的に得ることができる。
さらに、陽極酸化処理により多孔質皮膜としての酸化皮膜を形成する場合には、前記皮膜形成工程の前処理工程として、皮膜を形成する基材表面を化成処理する工程をさらに含むことが好ましい。下地処理として化成処理を行うことにより、陽極酸化処理により成膜された皮膜と、基材との密着性をより向上させることができる。化成処理としては、リン酸化処理、ジルコニウム系化成処理、マンガン系化成処理等の化成処理などを挙げることができる。
前記皮膜形成工程後、さらに処理表面に、塗装被膜を形成すべく塗装処理を行ってもよい。
本発明によれば、目視で発見することができない傷が起因となって基材に腐食が発生したとしても、早期に腐食の進行を発見することができ、かつ、基材の孔食を抑制することができる。
以下に、本発明を実施例により説明する。
(実施例)
<金属部材の製作>
実施例に係る金属部材として、図1に示すように、マグネシウムの基材11と、基材11の表面に形成され、孔内に銀金属が封入された多孔質皮膜12と、該皮膜12の表面に形成された塗装被膜14と、を備えた金属部材10を、以下に示す方法により製造した。
(実施例)
<金属部材の製作>
実施例に係る金属部材として、図1に示すように、マグネシウムの基材11と、基材11の表面に形成され、孔内に銀金属が封入された多孔質皮膜12と、該皮膜12の表面に形成された塗装被膜14と、を備えた金属部材10を、以下に示す方法により製造した。
まず、図2(a)に示すように、基材11として、70mm×145mm×厚さ3mmのマグネシウム合金(ASTM規格:AZ91D)を準備した。そして、リン酸塩溶液に基材11を浸し、化成処理を行った。
次に、図2(b)に示すように、基材11の表面11aに、多数の空孔を有する多孔質皮膜12内の空孔のうち、少なくとも一部の空孔12bが、皮膜12の表面12aから基材11の表面11aまで貫通するように、基材11の表面11aに表面硬さがHv100の多孔質皮膜12を形成した(皮膜形成処理工程)。
具体的には、陽極酸化処理により、アルカリ金属塩を含有する水溶液中に、基材11を浸漬し、水溶液中に電流を通して、製品表面に電気化学的に酸化皮膜を形成させた。なお、皮膜12の表面12aから基材11の表面11aに達する複数の空孔12bを形成するために、通常の陽極酸化皮膜を形成する条件よりも、より高い電流密度および電圧を電極と基材11間に負荷することにより皮膜12の形成を行った。このような皮膜12の形成は、水溶液の濃度、基材の表面の表面粗さなどにも依存するため、予め皮膜12の表面12aから基材11の表面11aにまで貫通する空孔12bが形成されるような電流密度、電圧の条件出しを行うことにより、実施できる。
次に、図2(c)に示すように、皮膜形成工程後に、少なくとも基材11の表面11aに接触するように、基材11の主成分金属であるマグネシウムの自然電位よりも高い自然電位を有する腐食促進金属13として、銀材料を封入した。具体的には、0.5M塩化第一スズ塩酸溶液に含浸し、陽極酸化皮膜を活性化し、硝酸銀0.5Mとアンモニア2.4Mと水酸化テトラメチルアンモニウム0.82Mとを混合した水溶液とグルコース0.83Mのグルコース水溶液を同体積で混合し、該混合液を試験片の表面に均一に滴下した後水洗いした。
さらに、図2(d)に示すように、基材11に形成された皮膜12にさらに、カラー(シルバー)の塗装後、クリアーコートを施して、塗装被膜14を形成した。
<腐食試験>
製作した金属部材10に、金属部材10の塗装被膜14の表面から、基材11であるマグネシウムに達する切り傷を入れ、大気環境腐食試験として促進試験(SST)を24時間行った。
製作した金属部材10に、金属部材10の塗装被膜14の表面から、基材11であるマグネシウムに達する切り傷を入れ、大気環境腐食試験として促進試験(SST)を24時間行った。
(比較例)
実施例と同じようにして、金属部材を製作した。実施例と異なる点は、図2(c)に示すように、空孔内に銀材料を封入しなかった点である。そして、実施例と同様の腐食試験を行った。
実施例と同じようにして、金属部材を製作した。実施例と異なる点は、図2(c)に示すように、空孔内に銀材料を封入しなかった点である。そして、実施例と同様の腐食試験を行った。
(結果)
実施例に係る金属部材は、切り傷を起点に帯状の広がった腐食面が現れ、基材表面から深さ方向に1mm以上の侵食はなかった。しかし、比較例に係る金属部材は、切り傷を起点に基材表面に沿った方向に腐食は進行しなかったが、基材表面から深さ方向に2mm以上の侵食(孔食)が認められた。
実施例に係る金属部材は、切り傷を起点に帯状の広がった腐食面が現れ、基材表面から深さ方向に1mm以上の侵食はなかった。しかし、比較例に係る金属部材は、切り傷を起点に基材表面に沿った方向に腐食は進行しなかったが、基材表面から深さ方向に2mm以上の侵食(孔食)が認められた。
(考察)
上記結果からわかるように、比較例と比べ実施例に係る金属部材を用いれば、金属部材の多孔質皮膜の一部を破壊して基材の表面にまで到達するような傷が発生したとしても、図3に示すように、基材表面に沿って腐食が進行するので、進行する腐食を早期に発見することができる。
上記結果からわかるように、比較例と比べ実施例に係る金属部材を用いれば、金属部材の多孔質皮膜の一部を破壊して基材の表面にまで到達するような傷が発生したとしても、図3に示すように、基材表面に沿って腐食が進行するので、進行する腐食を早期に発見することができる。
このような腐食の進行形態は、以下に示す理由により説明することができる。傷の発生により露呈した基材11は、図3に示すように、マグネシウムの基材11の主成分金属の自然電位よりも高い自然電位を有する銀からなる腐食促進金属15により、異種金属接触腐食が発生する。具体的には、露呈した電位の低いマグネシウムの基材11が陽極として、前記基材11に接触した電位の高い銀からなる腐食促進金属が陰極として作用する。その結果、基材表面11aの金属(マグネシウム)がイオン化し、水を構成する水酸基と反応して水酸化マグネシウムとなって腐食する。このような腐食は、露呈した基材表面から腐食促進金属に接触した基材表面に沿って進行する。この結果、腐食した基材表面上の皮膜12の一部が剥離し、基材11の腐食面11bがさらに露呈され、腐食の進行を早期に発見することができる。また、基材表面に沿った方向に進行する腐食の進行形態であるので、これまでの孔食は抑制され、孔食による腐食孔を起点とした破壊を回避することができる。
本発明に係る金属部材は、車両の足まわり部品など、軽量化が必要であり、かつ腐食し易い環境下において使用される金属部材に特に好適である。
10:金属部材,11:基材,11a:基材の表面,12:多孔質皮膜(酸化皮膜),12a:皮膜の表面,12b:空孔,13:腐食促進金属,14:塗装被膜
Claims (5)
- 金属製の基材と該基材の表面に形成された多数の空孔を有する多孔質皮膜とを少なくとも備えた金属部材であって、
前記多硬質皮膜には、前記空孔のうち、少なくとも一部の空孔が前記皮膜の表面から前記基材の表面まで貫通するように形成されており、該貫通する空孔には、少なくとも前記基材の表面に接触するようにして、前記基材の主成分金属の自然電位よりも高い自然電位を有する腐食促進金属が封入されていることを特徴とする金属部材。 - 前記基材はマグネシウムまたはマグネシウム合金からなり、前記多孔質皮膜はマグネシウムまたはマグネシウム合金の酸化皮膜であることを特徴とする請求項1に記載の金属部材。
- 前記腐食促進金属は、銀、アルミニウム、亜鉛、鉄、ニッケル、銅、クロム及びこれらの組み合わせからなる群から選択される金属を含むことを特徴とする請求項2に記載の金属部材。
- 金属製の基材の表面に多数の空孔を有する多孔質皮膜を形成する皮膜形成工程を少なくとも含んだ金属部材の製造方法であって、
前記皮膜形成工程において、前記空孔のうち、少なくとも一部の空孔が前記皮膜の表面から前記基材の表面に貫通するように前記多孔質皮膜を形成し、
前記皮膜形成工程後に、前記貫通する空孔に、少なくとも前記基材の表面に接触するようにして、前記基材の主成分金属の自然電位よりも高い自然電位を有する腐食促進金属を封入する工程をさらに含むことを特徴とする金属部材の製造方法。 - 前記基材にマグネシウムまたはマグネシウム合金を用い、前記皮膜を形成する工程を、前記基材を陽極酸化処理により行うことを特徴とする請求項4に記載の金属部材の製造方法。
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