JP2008056642A - 高濃度ピペラジン含有水溶液の製造方法及び二酸化炭素の回収方法 - Google Patents

高濃度ピペラジン含有水溶液の製造方法及び二酸化炭素の回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本願発明は、ピペラジンを高濃度で含有する水溶液であって、常温付近でもピペラジンが析出することなく安定して溶解している溶液を製造することを課題とする。
【解決手段】本発明は、高濃度ピペラジン含有水溶液の製造方法であって、(1)水100重量部とピペラジン15〜65重量部とを30〜70℃で混合し、ピペラジンを溶解する工程、(2)上記(1)で得られた水溶液を二酸化炭素に接触させて、ピペラジン1モルに対して二酸化炭素を0.2モル以上吸収させる工程、及び(3)上記(2)で得られた二酸化炭素が吸収された水溶液を冷却する工程、を含む方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、高濃度ピペラジン含有水溶液の製造方法及び二酸化炭素の回収方法に関する。
近年、地球温暖化に起因すると考えられる気象変動や災害の頻発が、農業生産、住環境、エネルギー消費等に多大の影響をおよぼしている。この地球温暖化は、人間の活動が活発になることに付随して増大するCO、メタン、亜酸化窒素、フロン等の温室効果ガスが大気中に増大するためであると考えられている。その温室効果ガスの中で最も主要なものとして、大気中のCOがあげられる。地球温暖化の防止のため1997年12月には温暖化防止京都会議(COP3)が開催され、その会議で採択された京都議定書が2005年2月16日に発効し、CO放出量の削減に向けての対策が緊急に必要となっている。
COの発生源としては石炭、重油、天然ガス等を燃料とする火力発電所、製造所のボイラーあるいはセメント工場のキルン、コークスで酸化鉄を還元する製鐵所の高炉、そしてガソリン、重油、軽油等を燃料とする自動車、船舶、航空機等の輸送機器などがある。これらのうち輸送機器を除くものについては固定的な設備であり、COの放出を削減する対策を施しやすい設備として期待されている。
ガス中のCOを回収する方法としてはこれまでもいくつかの方法が知られている。そしてまた現在も広く種々の方法が研究されている。
例えば、COを含むガスを吸収塔内でアルカノールアミン水溶液と接触させてCOを吸収させた後、そのCO吸収液を加熱して脱離塔でCOを脱離回収させる方法は、1930年代から開発され、尿素合成プラント塔で実用化されている。この方法は、経済的でありかつ大型化しやすいものである。
ここでアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、メチルジエタノールアミン(MDEA)、ジイソプロバノールアミン(DIPA)、ジグリコールアミン(DGA)などが知られているが、通常モノエタノールアミンが用いられている。
しかし、例えばMEA等のアルカノールアミンの水溶液を吸収液として用いた場合、単位体積あたりのCO吸収容量はすぐれているものの、装置の材質の腐食性が高いため、装置に高価な耐食鋼を用いる必要があったり、吸収液中のアミン濃度をさげる必要がある。また、吸収したCOを脱離しにくいために、脱離の温度を120℃と高い温度に加熱して脱離、回収する必要がある。また、それとは別にCOを吸収液から脱離するのに必要なエネルギーが、20kcal/molCOと高いという欠点もある。例えば、この方法を用いて発電所においてCOを回収するには、発電量の20%にもあたる余分なエネルギーが必要となってしまう。COの発生の削減、省エネルギー及び省資源が求められる時代においては、この高エネルギー消費はCO吸収、回収設備の実用化を阻む大きな要因となっている。
このエネルギー消費を低減することができる吸収液として、2級のアルカノールアミン、ピペラジン及び/あるいは3級のアルカノールアミン水溶液を用いる方法が多く特許出願されている。
特に3級のアルカノールアミンであるメチルジエタノールアミン(MDEA)はCO吸収反応エネルギーが低いことが知られているが、CO含有ガスの圧力あるいはCO分圧が高い化学プロセスにおいては問題なくCO吸収が可能であるが、地球環境対策として要請される常圧〜低圧の排ガス等に対してはCO吸収速度が低く、工業的に用いることはできない。そこでピペラジンを添加して、常圧に近いCO含有ガスからのCO吸収速度を上げる取り組みが行われている。
例えば、特許文献1には、COSを含むガス中からCOやHSを除くプロセスにおいて、ピペラジン(PZ)単独、或いはPZと3級アルカノールアミンとの組み合わせを使用することが記載されている。
また、特許文献2には、燃焼排ガス中のCO除去を対象として、一般式:RCHRNHCHCHOH(式中、RはHまたは炭素数1〜4の低級アルキル基を表し、RはHまたはメチル基を表す。)で表されるアミン化合物〔1〕とピペラジン(PZ)、2−メチルピペラジン(2MPZ)等のピペラジン系化合物〔2〕を含む水溶液が記載されている。
しかしピペラジンは水に溶解しにくく、WHOの国際化学物質安全カード、ICSC番号1032によれば20℃での水に対する溶解度は、15g/100ml(20℃)であり、それ以上のピペラジンを含有する水溶液は常温付近でピペラジンの結晶が析出してしまう。CO回収装置内で結晶を析出すると、配管内や液送ポンプ内で固化したピペラジンが、閉塞や回転機器の停止などのトラブルを惹起する。また均一組成の液として抜き出したり、輸送することも不可能となる。
従って、低温下でCO回収する場合等も考慮すると、ピペラジンを10重量%以上の高濃度で含む水溶液からなるCO吸収液をCO回収装置に充填する場合、装置内の吸収塔、槽類および配管類にスチームを予め通じて、全系をピペラジンが析出しない温度以上に加熱したり、冷却しやすい部分に保温材を被覆する対策が必要である。しかしながら寒冷な気象条件において、細い配管やガス流通が殆ど行われない計測機器への配管や計測機器内部でピペラジンが析出したままとなり、装置の計測や運転が不可能となりやすい。
このようにピペラジンは溶解度の問題があるため、上記特許文献1においては、実施例では0.125〜0.35mol/l(約1〜3重量%)のピペラジン含有水溶液しか用いられていない。
また、上記特許文献2においては、同じ理由から、実施例ではピペラジンは用いられていない。
また、特許文献3の実施例には、ピペラジン20重量%という高い濃度のピペラジン含有水溶液が記載されているが、低温状態でのピペラジン析出については一切触れられていない。実際に当該文献の方法により20重量%のピペラジン含有水溶液を製造しても、ピペラジンは溶解した状態では安定せずに析出してしまう。
特許文献4にはこのピペラジンの析出を予防するため、ピペラジン含有水溶液にグリセリンをピペラジンとほぼ同程度添加して析出温度を10〜15℃下げる取扱い方法が出願されている。しかしながら高いピペラジン量においてはグリセリンの添加により、液の粘度が急激に上昇してCO吸収性能が低下し、液の循環も困難となる。また粘度上昇を抑制するために、COの吸収成分であるアミン類の濃度を低下させなければならない。
COの吸収及び脱離回収工程においてピペラジンを高濃度で含有する水溶液を用いるためには、当該水溶液の貯蔵、秤量、輸送及びCO吸収装置内への仕込み、当該吸収装置の暖機運転、ならびにCO吸収後の当該水溶液の装置からの抜出し等の常温付近で行われる操作を、ピペラジンの析出させることなく行うことが必要となる。
しかし、上記のように、ピペラジンの溶解度の問題から、従来は、実用的なスケールでのCO吸収及び脱離においては、用いられるピペラジン含有水溶液中のピペラジン濃度は、高々10重量%程度であった。
単位体積当りのCOの吸収及び脱離量を増加させるために、より高い濃度のピペラジン含有水溶液が所望されている。
米国特許第4,336,233号明細書 特開平8−257354号公報 特表 2004−535297号公報 特表 2002−519171号公報
以上の従来技術の問題点に鑑み、本願発明は、ピペラジンを高濃度で含有する水溶液であって、常温付近でもピペラジンが析出することなく安定して溶解している溶液を製造することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋭意研究した結果、ピペラジン含有水溶液を予めCOで処理してピペラジン1モルに対しCOを所定のモル比で含有する液とすることで常温付近、あるいはそれ以下の温度においても該水溶液がピペラジンを析出せず、安定な均一溶液として使用できることを見出した。かかる知見に基づき、更に研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の項1〜3に記載の高濃度ピペラジン含有水溶液の製造方法を提供する:
項1.高濃度ピペラジン含有水溶液の製造方法であって、
(1)水100重量部とピペラジン15〜65重量部とを30〜70℃で混合し、ピペラジンを溶解する工程、
(2)上記(1)で得られた水溶液を二酸化炭素に接触させて、ピペラジン1モルに対して二酸化炭素を0.2モル以上吸収させる工程、及び
(3)上記(2)で得られた二酸化炭素が吸収された水溶液を冷却する工程、
を含む方法。
項2.水100重量部に対して、15〜65重量部のピペラジン以外の有機アミン化合物を添加する工程をさらに含む、項1に記載の方法。
項3.前記ピペラジン以外の有機アミン化合物がジエタノールアミン及びN−メチルジエタノールアミンからなる群より選択される少なくとも1種である項1または2に記載の方法。
本発明はまた、以下の項4に記載の二酸化炭素を含むガスから高純度の二酸化炭素を回収する方法を提供する:
項4.二酸化炭素を含むガスから高純度の二酸化炭素を回収する方法であって、
(1)二酸化炭素を含むガスを、項1〜3のいずれかに記載の方法により製造された高濃度ピペラジン含有水溶液に接触させて、該水溶液に二酸化炭素を吸収させる工程、及び
(2)上記(1)で得られた二酸化炭素が吸収された水溶液を加熱して、二酸化炭素を脱離して回収する工程
を含む二酸化炭素の回収方法。
以下、本発明を詳述する。
高濃度ピペラジン含有水溶液の製造方法
本発明は高濃度ピペラジン含有水溶液の製造方法を提供する。
本発明において高濃度ピペラジン含有水溶液とは、無水ピペラジン及び/または水和したピペラジンを水に溶解したものであり、ピペラジンを10重量%を超えて含むものである。常圧付近のCO分圧のガスからCOを吸収するためにはピペラジンを20〜40重量%含むことが望ましい。
(1)水とピペラジンとの混合工程
本発明方法においては、まず、水とピペラジンとを混合し、ピペラジンを水に溶解させる。
この工程において、ピペラジンは、上記のように無水ピペラジンでも水和したピペラジンでもよい。また、ピペラジンの形状は、限定されず、例えば、フレーク状、粉体状のピペラジンが挙げられる。
当該工程において、水とピペラジンとの混合割合は、水100重量部に対して、通常15〜65重量部、好ましくは20〜60重量部、より好ましくは25〜55重量である。
当該工程において、ピペラジン溶解のために、温度を、通常、30〜70℃、好ましくは35〜65℃、より好ましくは40〜60℃に設定する。
この工程において、上記温度に予め加熱した水とピペラジンとを混合しても、水とピペラジンとを混合した後に混合物を上記温度まで加熱してもよい。
また、本発明において、上記(1)の工程の前、後またはこれと同時に、水または水とピペラジンとの混合液にピペラジン以外の有機アミンを添加してもよい。
この場合、ピペラジン以外の有機アミンの使用割合は、水100重量部に対して、通常15〜65重量部、好ましくは17〜60重量部、より好ましくは20〜55重量である。
ピペラジン以外の有機アミンとしては、モノエタノールアミン(MEA)、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール(AMP)、2−エチルアミノエタノール、ジエタノールアミン(DEA)、N−メチルジエタノールアミン(MDEA)などが例示される。特にMDEAは高圧のCO分圧を有するプロセスガスからCOを吸収するのに好適であり、工業的に実施されているが前述したように最近は常圧付近のCO分圧を有する排ガスに対しても検討されるに至っている。
アミン成分の濃度が高い方が単位液容量あたりのCOの吸収量、吸収速度、脱離量及び脱離速度が大きく、エネルギー消費やプラント設備の大きさや効率からは望ましいが、モル濃度として6 mol/Lを越える場合(70重量%を越える場合)、アミン成分が水と均一に混合しない、粘度が上昇する、およびCOを吸収して液のpHが低下した時泡立ちや乳化状態になる等の問題が生じることもある。
また、上記水溶液には設備の腐食を防止するためにリン酸系などの防食剤を、泡立ち防止のためにシリコーン系などの消泡剤を、そして吸収剤の劣化防止のために酸化防止剤等などを加えてもよい。
(2)炭酸ガス吸収工程
次に、上記(1)の工程で得られた水溶液を二酸化炭素に接触させて、ピペラジン1モルに対して二酸化炭素を0.2モル以上吸収させる。
当該水溶液を予めCOに接触させて、ピペラジン1モルに対してCOを0.2モル以上吸収させた液を製造する方法としては、溶解槽の中でピペラジンを完全に溶解させる液温以上、例えば40℃以上で含有水溶液を製造した後、この溶解槽の底部よりCOを含むガスを吹込むことで容易に実施できる。このときガスは単管から吹き込むだけでもよいが、分散孔を有するノズルを用いて吸収をよくすることもできる。液中のCO吸収量は該水溶液中の無機炭素量をガスクロマトグラフ式の全有機炭素計で測定できる。また水素イオン濃度計で適当なpH例えば8.0以下を目安にCO吸収を完了することができる。
吸収されたCOとピペラジンのモル比はピペラジン1モルに対してCOを0.2モル以上とすることが必要であり、CO吸収量がこの比率以下においては、液中のアミン種や濃度により差はあるが、ピペラジン含有量が10重量%以上の水溶液で常温以下の温度において、ピペラジンの析出が起こることがあり、液の取扱いおよびCO吸収回収装置の運転に支障を生じる可能性が大きい。
尚、常温とは、15〜25℃程度のことをいう。
吸収されたCOは、水溶液中にてカルバミン酸アニオンや重炭酸イオンを形成しているものと考えられる。
(3)冷却工程
次に、上記(2)の工程で得られた二酸化炭素が吸収された水溶液を冷却する。
当該水溶液には、上記(2)の工程にて必要量の二酸化炭素が吸収されているので、高濃度のピペラジンが溶解しているにも拘わらず、ピペラジンは析出しない。
冷却後の温度は、適宜設定することができるが、例えば、5〜35℃、好ましくは10〜30℃、より好ましくは常温付近すなわち15〜25℃である。
冷却方法は、特に限定されず、例えば、熱交換、放冷等が挙げられる。
二酸化炭素の回収方法
本発明は、二酸化炭素を含むガスから高純度の二酸化炭素を回収する方法も提供する。
具体的には、本発明の二酸化炭素回収方法は、
(1)二酸化炭素を含むガスを、上記した本発明の方法により製造された高濃度ピペラジン含有水溶液に接触させて、該水溶液に二酸化炭素を吸収させる工程、及び
(2)上記(1)で得られた二酸化炭素が吸収された水溶液を加熱して、二酸化炭素を脱離して回収する工程
を含む。
二酸化炭素を含むガスとしては、例えば、重油、天然ガス等を燃料とする火力発電所、製造所のボイラーあるいはセメント工場のキルン、コークスで酸化鉄を還元する製鐵所の高炉、銑鉄中の炭素を燃焼して製鋼する同じく製鉄所の転炉等からの排ガスが挙げられ、該ガス中の二酸化炭素濃度は、通常5〜30体積%程度、特に10〜20程度であればよい。かかる二酸化炭素濃度範囲では、本発明の作用効果が好適に発揮される。なお、二酸化炭素を含むガスには、二酸化炭素以外に水蒸気、CO等のガスが含まれていてもよい。
二酸化炭素を含むガスを、本発明方法により製造された高濃度ピペラジン含有水溶液に接触させる方法は特に限定はない。例えば、該水溶液中にCO2を含むガスをバブリングさせて吸収する方法、二酸化炭素を含むガス気流中に該水溶液を霧状に降らす方法(噴霧乃至スプレー方式)、あるいは磁製や金属網製の充填材の入った吸収塔内で二酸化炭素を含むガスと該水溶液を向流接触させる方法などによって行われる。吸収された二酸化炭素は、水溶液中にてカルバミン酸アニオンや重炭酸イオンを形成しているものと考えられる。
二酸化炭素を含むガスを水溶液に吸収させる時の液温度は、通常常温から60℃以下で行われ、好ましくは50℃以下、より好ましくは20〜45℃程度で行われる。温度が低いほど吸収量は増加するが、どこまで温度を下げるかはプロセス上のガス温度や熱回収目標等によって決定される。二酸化炭素吸収時の圧力は通常ほぼ大気圧で行われる。吸収性能を高めるためより高い圧力まで加圧することもできるが、圧縮のために要するエネルギー消費を抑えるため大気圧下で行うのが好ましい。
二酸化炭素を吸収した水溶液から二酸化炭素を脱離し、純粋なあるいは高濃度の二酸化炭素を回収する方法としては、蒸留と同じく水溶液を加熱して釜で泡立てて脱離する方法、棚段塔、スプレー塔、磁製や金属網製の充填材の入った脱離塔内で液界面を広げて加熱する方法などが挙げられる。これにより、カルバミン酸アニオンや重炭酸イオンから二酸化炭素が遊離して放出される。
二酸化炭素脱離時の液温度は通常70℃以上で行われ、好ましくは80℃以上、より好ましくは90〜120℃程度で行われる。温度が高いほど吸収量は増加するが、温度を上げると吸収液の加熱に要するエネルギーが増すため、その温度はプロセス上のガス温度や熱回収目標等によって決定される。二酸化炭素脱離時の圧力は通常ほぼ大気圧で行われる。脱離性能を高めるためより低い圧力まで減圧することもできるが、減圧のために要するエネルギー消費を抑えるため大気圧下で行うのが好ましい。
本発明の方法により製造したピペラジン含有水溶液は、高濃度のピペラジンを含有するにも拘わらず、常温付近でもピペラジンを析出させることなく安定している。従って、CO吸収装置に二酸化炭素吸収液としての当該水溶液を、予備過熱することなく注入することができる。また装置内の液循環も装置内にピペラジンを析出させることなく、閉塞等の事故もなく起動し運転できる。
本発明により従来困難であった高濃度のピペラジンを用いた高吸収容量かつ高吸収速度を示す高性能のCO吸収、脱離回収プロセスが可能となった。
ピペラジン水溶液を用いるCOの回収は、CO吸収及び脱離処理の後、処理後のピペラジン水溶液を再度CO回収に用いる等のように、同じピペラジン水溶液を繰り返し使用する。ピペラジン濃度が高いほど、CO吸収及び脱離の1サイクルで吸収及び脱離可能なCO量が多くなるため、安定した高濃度ピペラジン水溶液を最初に製造しておくことが非常に有用である。
次に、本発明について実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
実施例1
50℃の温水120gにピペラジン(PZ)40gとメチルジエタノールアミン(MDEA)40gを溶解してピペラジン(PZ)を20重量%およびメチルジエタノールアミン(MDEA)を20重量%含む水溶液を製造した。液温を40℃にした後、COを20%含むガスを毎分300ml/分でガラス製ボール状フイルターを通して1時間分吹込んだ。この時得られた液中に吸収されたCOは無機炭素量をカスクロマトグラフ式の全有機炭素計で測定した結果5.9gであり、液中のピペラジンに対する比率は0.254mol/molであった。この後この液を2分して20℃および10℃に一日放置したがともに液の性状に変化は認められなかった。
実施例2
50℃の温水120gにピペラジン(PZ)45gとジエタノールアミン(MDEA)45gを溶解してピペラジン(PZ)を22.5重量%およびメチルジエタノールアミン(MDEA)を22.5重量%含む水溶液を製造した。液温を40℃にした後、COを20%含むガスを毎分300ml/分でガラス製ボール状フイルターを通して1時間吹込んだ。この時得られた液中に吸収されたCOは無機炭素量をカスクロマトグラフ式の全有機炭素計で測定した結果6.4gであり、液中のピペラジンに対する比率は0.280mol/molであった。この後この液を2分して20℃および10℃に一日放置したがともに液の性状に変化は認められなかった。
CO吸収量を15.7g、液中のピペラジンに対する比率は0.687mol/molでは7.5℃に一日放置してもピペラジンの析出は全く認められなかった。
比較例1
50℃の温水120gにピペラジン(PZ)40gとメチルジエタノールアミン(MDEA)40gを溶解してピペラジン(PZ)を20重量%およびメチルジエタノールアミン(MDEA)を20重量%含む水溶液を製造した。この後この液を20℃に放置したところ、液内に白くピペラジンの微結晶が析出した。析出したピペラジンを濾過乾燥したところ2.5gであった。

Claims (4)

  1. 高濃度ピペラジン含有水溶液の製造方法であって、
    (1)水100重量部とピペラジン15〜65重量部とを30〜70℃で混合し、ピペラジンを溶解する工程、
    (2)上記(1)で得られた水溶液を二酸化炭素に接触させて、ピペラジン1モルに対して二酸化炭素を0.2モル以上吸収させる工程、及び
    (3)上記(2)で得られた二酸化炭素が吸収された水溶液を冷却する工程、
    を含む方法。
  2. 水100重量部に対して、15〜65重量部のピペラジン以外の有機アミン化合物を添加する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ピペラジン以外の有機アミン化合物がジエタノールアミン及びN−メチルジエタノールアミンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載の方法。
  4. 二酸化炭素を含むガスから高純度の二酸化炭素を回収する方法であって、
    (1)二酸化炭素を含むガスを、請求項1〜3のいずれかに記載の方法により製造された高濃度ピペラジン含有水溶液に接触させて、該水溶液に二酸化炭素を吸収させる工程、及び
    (2)上記(1)で得られた二酸化炭素が吸収された水溶液を加熱して、二酸化炭素を脱離して回収する工程
    を含む二酸化炭素の回収方法。
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