JP2008055283A - 導電性部材の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】導電性部材の表面被覆層を浸漬塗工法により形成する際、導電性部材の特性、性能を悪化させることなく、ユズ肌、塗工ムラが発生しない被覆層を備えた導電性部材を、簡便に得ることが出来る製造方法及びその装置を提供する。
【解決手段】塗工液が収容されている浸漬槽中の塗工液に基体を浸漬し引き上げることにより基体表面に塗膜を形成する導電性部材の製造方法において、該基体の周面が200メッシュより細かい目開きのメッシュ製フードに覆われており、該フード内において、該基体は該浸漬層中の塗工液に浸漬され、その後、該基体は該フード内に配置されながら引き上げられ、塗膜を形成することを特徴とした導電性部材の製造方法及びその装置。
【選択図】図1

Description

本発明は複写機やプリンター等において、静電潜像プロセスに用いられる感光体等の潜像保持体を帯電させる帯電部材の製造方法に関する。特に弾性体であるローラ本体の表面に導電性塗料による塗工膜を形成するのに好適な導電性部材の製造方法に関するものである。
電子写真プロセスにおける帯電プロセスには、金属ワイヤーに高電圧(直流電圧6〜8kV)を印加して発生するコロナシャワーにより被帯電体である電子写真感光体面を所定の極性・電位に一様に帯電させるコロナ帯電器が広く利用されていた。
しかしそれには、高圧電源を必要とする、比較的多量のオゾンが発生する等の問題があった。
これに対して導電性部材を感光体に接触させながら電圧を印加して、感光体表面を帯電させる接触帯電方式が実用化されている。
これは、感光体に、ローラ型、ブレード型、ブラシ型及び磁気ブラシ型等の電荷供給部材としての導電性部材(帯電部材)を接触させる方法である。そうすることで、接触帯電部材に所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に一様に帯電させる。
この帯電方式の利点は、電源を低電圧化することが出来る、及びオゾンの発生量が少ないということである。この中でも特に接触帯電部材として導電性ローラを用いたローラ帯電方式が、帯電の安定性という観点から好ましく用いられている。
しかしながら、この帯電方式は出力画像に悪影響を及ぼさないために、欠陥がなく、非常に高度な均一性を有するローラ表面が要求される。
また、一成分非磁性現像方式が一般的に採用されるようになり、該方式に必要である現像ローラに関しても、欠陥がなく、非常に高度な均一性を有するローラ表面が要求される。
前記ローラは、図5(a)に示すように導電性支持体2aを有し、ゴム等からなる導電性弾性層2b表面に、導電性塗料が均一且つ薄く形成されている表面層2cとからなる。
従来法として、弾性体であるローラ本体の表面に導電性塗料による塗工膜を形成するためには、浸漬塗工法が最も一般的である。また、前記のように均一な高画質を得るためには、浸漬塗工法による塗料の均一な塗布が行われることが重要である。
しかしながら、このような塗布の均一性は塗工膜の形成過程において容易に損なわれ、乾燥後表面に凹凸が発生し表面の平滑性が失われる現象があり、これをユズ肌と呼んでいる。
ユズ肌の原因としては、溶媒の蒸発の際に塗膜内に渦対流が発生することと、外部よりのわずかな風が乾燥中の塗膜に当たることが挙げられる。
このユズ肌が発生した表面の導電性部材を用いると、耐久時の外添剤等の汚れ付着の増加や、帯電能の変化による画像上の濃度ムラ等の画像不良が発生する。
従来、このユズ肌の発生を抑制するために、(1)蒸発速度の遅い溶媒を用いる方法がある。
また(2)シリコーンオイルを添加するという方法も一般的に用いられている。このシリコーンオイルを添加するという方法は、塗料分野では常識的なことであり、効果があることも知られている(例えば、特許文献1、2)。
更に、(3)浸漬塗工の際、基体の周面をフードで覆い塗工液を被覆する方法がある。例えば、特許文献3には、フードの側面に開けた孔から溶剤蒸気を排出させる方法が開示されている。
別には、(4)伸縮又は上下に移動可能なフードを基体保持装置に設置し、基体をフードで覆いながら浸漬塗工する方法もある。例えば、特許文献4には、基体に対するフードの大きさを規定して蒸気濃度を調節しようという試みがなされている。
特開昭57−005050号公報 特開昭57−212453号公報 特開昭60−110378号公報 特開平7−104488号公報
しかし、前述したような各種の方法も各々以下のような問題点を有していた。
前述の(1)のように、浸漬塗工法において蒸発速度の遅い溶媒を用いると、乾燥中に塗布膜がタレて、上下の膜厚ムラが発生し、また乾燥に時間がかかるため生産性も悪く、実用上この方法を採用することは難しい。
更に、高画質化という要請によって、導電性部材に求められる性能が高度になり、その性能を満足するために塗料中に含有される材料も多様化され、前述の(2)のような、シリコーンオイルの添加のみでは充分な効果が得られていないのが現状である。
また、シリコーンオイルの添加量を増やし、ユズ肌の発生を抑制する方法も採られているが、シリコーンオイルの添加量を増やすと、その成分が導電性部材の表面に染み出しドラム等に付着し、その部分が画像不良になるという問題が発生する。
また、前述の(3)のような方法では、風が開孔から吹き込み直接塗膜に当り、ユズ肌、塗工ムラが発生してしまう。
更にまた、前述の(4)のような方法では、蒸気を外に逃がさないと濃度が上がりすぎて塗膜のタレが発生してしまうという不具合がある。
従って本発明の目的は、導電性部材の表面被覆層を浸漬塗工法により形成する際、導電性部材の特性、性能を悪化させることなく、ユズ肌、塗工ムラが発生しにくい被覆層を備えた導電性部材を、簡便に得ることが出来る製造方法を提供することである。
本発明の目的は、塗工液が収容されている浸漬槽中の塗工液に基体を浸漬し引き上げることにより基体表面に塗膜を形成する導電性部材の製造方法において、以下の構成を採用することによって達成される。
すなわち、該基体の周面が200メッシュより細かい目開きのメッシュ製フードに覆われており、該フード内において、該基体は該浸漬層中の塗工液に浸漬され、その後、該基体は該フード内に配置されながら引き上げられ、塗膜を形成することを特徴とする。
また本発明の目的は、塗工液が収容されている浸漬槽中に基体を浸漬し引き上げることにより基体表面に塗膜を形成する導電性部材の製造装置において、以下の構成を採用することによって達成される。
すなわち、該基体の浸漬塗工環境の外周部に、該基体の上昇下降に同調して伸縮する200メッシュより細かい目開きのメッシュ製フードを有することを特徴とする。
加えて、該基体の浸漬塗工環境において、該フードの上端と下端で隙間なく配置された蓋手段と、該基体上に該塗工液を塗工する塗工槽とを有することを特徴とする。
本発明によれば、導電性部材の表面被覆層を浸漬塗工法により形成する際、導電性部材の特性、性能を悪化させることなく、ユズ肌、塗工ムラが発生しない被覆層を備えた導電性部材を、極めて簡便に得ることが可能である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の製造方法及び装置から説明する。
本発明は、基体周辺の空気の流れを拡散し、また、塗工液溶媒蒸気濃度を適度に保つメッシュ製フードが、基体の側方(基体の周面)を覆うように基体保持装置に具備されている。
このメッシュ製フードは基体と連動して伸縮し、その上端と下端は、浸漬塗工中、完全に密閉されている。
基体はベースプレートに取り付けられた支持部材に垂直に取り付けられている。
基体は、塗工液に浸漬後、引き上げから仮乾燥するまでの間、メッシュ製フードにより外部からの局所的な風に直接触れることがない。塗膜から発生する塗工液溶媒蒸気は、メッシュ製フード内の拡散された緩やかな空気の流れによって適度に外部に放出される。
この一連の動作を図面に基づいて説明する。図1は、浸漬塗工前、及び浸漬塗工直後の仮乾燥中の状態を示している。
図2は、基体を完全に塗工液に浸漬した最下点の状態を示したものである。図3は、基体を塗工液に浸漬し、引き上げ中の状態を示したものである。
ここで、メッシュ製フード1は、基体2の周面を覆う形で、且つ、基体2と連動して動くように、ベースプレート3と塗工層開口蓋7に固定されている。
このとき、ベースプレート3とメッシュ製フード1の最上部、塗工層開口蓋7とメッシュ製フード1の最下部は密閉して固定されている。
また、チャック4に保持された基体2に塗布された塗膜が乱れないように、基体2とメッシュ製フード1との適切な距離L1が設けられている。このときのL1は、20mm以上であることが好ましい。
ベースプレート3には、ベースプレート3を上下させるために、昇降モーターと昇降ネジ(不図示)が具備されている。
昇降モーターが駆動し昇降ネジを介してベースプレート3を上下させ、チャック4に保持された基体2を塗工槽5に入った塗工液6に浸漬した後、引き上げられ基体表面に塗膜を形成する。
この際、メッシュ製フード1は蛇腹状に折りたたまれ塗工が行われる。その後、基体2は引き上げられ、そして、基体の引き上げに追随して蛇腹状のメッシュ製フードは引き伸ばされ、基体を覆ったまま、塗工が完了する。
塗工槽5の塗工液6中に基体2が浸漬され、塗工槽5からオーバーフローされた塗工液は回収され、塗工槽5に戻される。塗工液6は常に塗工槽5に一定流量で供給されており、塗工液6は常にオーバーフローしている。
メッシュ製フードは、アルミ、ステンレス等の耐溶剤性、耐食性のある金属、ナイロン、テフロン、ポリカーカーボネート、ポリプロピレン等、耐溶剤性のあるプラスチック類やガラスなどを用いて作製することが出来る。
また、メッシュ製フードは基体と同じ円筒状が好ましいが、多角形で構成されていてもよい。また、メッシュ製フードの目開きが200メッシュより大きい場合、風の拡散効果が減少し、ユズ肌を充分に防止することが困難になる。
本発明の製造方法及び製造装置で作製可能な電子写真装置用ローラについて以下に述べる。
例えば、導電性部材(電子写真装置用ローラ)は図4に示すようにローラ形状であり、導電性支持体2aと被覆層として、その外周に一体に形成された弾性層2bから構成されている。
本発明の製造方法で作製可能な他の導電性部材の構成を図5に示す。図5に示すように導電性部材は、被覆層が弾性層2bと表面層2cからなる2層であってもよい。
また弾性層2b及び抵抗層2dと表面層2cからなる3層及び、抵抗層2dと表面層2cの間に第2の抵抗層2eを設けた、4層以上を導電性支持体2a上に形成した構成としてもよい。
本発明に用いられる導電性支持体2aには、鉄、銅、ステンレススチール、アルミニウム及びニッケル等の金属材料の丸棒を用いることが出来る。
更に、これらの金属表面に防錆や耐傷性付与を目的としてメッキ処理を施しても構わないが、導電性を損なわないことが必要である。
弾性層2bの導電性は、1010Ωcm未満に調整されるのが好ましい。
それはゴム等の弾性材料中にカーボンブラック、グラファイト及び導電性金属酸化物等の電子伝導機構を有する導電剤及びアルカリ金属塩や四級アンモニウム塩等のイオン伝導機構を有する導電剤を適宜添加することによりなされる。
弾性層2bの具体的弾性材料としては、例えば、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴムがある。
またエピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、二トリルブタジエンゴム(NBR)及びクロロプレンゴム(CR)等の合成ゴムもある。更にはポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂及びシリコーン樹脂等も挙げられる。
直流電圧のみ印加して、被帯電体の帯電処理を行う帯電部材においては、帯電均一性を達成するために、特に次のような弾性材料を用いるのが好ましい。
それは、中抵抗の極性ゴム(例えば、エピクロルヒドリンゴム、NBR、CR及びウレタンゴム等)やポリウレタン樹脂である。
これらの極性ゴムやポリウレタン樹脂は、ゴムや樹脂中の水分や不純物がキャリアとなり、僅かではあるが導電性を持つと考えられる。よってこれらの導電機構はイオン伝導であると考えられる。
但し、これらの極性ゴムやポリウレタン樹脂に導電剤を全く添加しないで弾性層を作製すると、得られる帯電部材は低温低湿環境(L/L)において抵抗値が高くなり、1010Ωcm以上となってしまうものもある。
従ってその場合、帯電部材に高電圧を印加しなければならなくなる。
そこで、L/L環境で帯電部材の抵抗値が1010Ωcm未満になるように、前述した電子導電機構を有する導電剤やイオン導電機構を有する導電剤を適宜添加して調整するのが好ましい。イオン導電機構を有する導電剤のほうが抵抗調整しやすく製法上好ましい。
しかしながら、イオン導電機構を有する導電剤は抵抗値を低くする効果が小さく、特にL/L環境でその効果が小さい。そのため、イオン導電機構を有する導電剤の添加と併せて電子導電機構を有する導電剤を補助的に添加して抵抗調整を行ってもよい。
抵抗層2d(2e)は、弾性層に接した位置に形成されるため弾性層中に含有される軟化油や可塑剤等の帯電部材表面へのブリードアウトを防止する、又は帯電部材全体の電気抵抗を調整したりする目的で設ける。
塗工被覆層が複数層(抵抗層、表面層)であるときに、本発明に用いる抵抗層2d(2e)を構成する材料としては次のようなものがある。
例えば、エピクロルヒドリンゴム、NBR、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマーがある。
またポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー及び塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等を挙げることも出来る。
これらの材料は、単独又は2種類以上を混合してもよく、共重合体であってもよい。
本発明に用いる抵抗層2d(2e)は、導電性若しくは半導電性を有している必要がある。
導電性、半導電性の発現のためには、各種電子伝導機構を有する導電剤(導電性カーボン、グラファイト、導電性金属酸化物、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄粉等)を適宜用いることが出来る。
あるいはイオン導電剤(アルカリ金属塩及びアンモニウム塩)でもよい。この場合、所望の電気抵抗を得るためには、前記各種導電剤を2種以上併用してもよい。
本発明の抵抗層2d(2e)には、表面処理された無機微粒子及び導電剤を含有することが特に好ましく、表面層が抵抗層を兼ねる場合にも、表面処理された無機微粒子及び導電剤であることが好ましい。
また、塗工被覆層が複数層(抵抗層、表面層)であるときの表面層2cは、被帯電体である感光体との接触によって、感光体を汚染してしまう材料構成であってはならない。
本発明の特性を発揮させるための表面層2cの結着樹脂材料としては次のものが挙げられる。
フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(SEBC)及びオレフィン−エチレン・ブチレン・オレフィン共重合体(CEBC)等である。
本発明における表面層の材料としては、特にはフッ素樹脂、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂等の滑り性や離型性に優れたものが好ましい。
また、これらの結着樹脂に、グラファイト、雲母、二硫化モリブデン及びフッ素樹脂粉末等の固体潤滑剤、あるいはフッ素系界面活性剤、ワックス又はシリコーンオイル等を添加してもよい。
表面層には、各種導電剤(導電性カーボン、グラファイト、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄粉及び金属酸化物である導電性酸化錫や導電性酸化チタン等)を適宜用いる。
本発明においては、所望の電気抵抗を得るためには、前記各種導電剤を2種以上併用してもよい。導電剤の粒径は平均粒径で1.0μm以下であることが好ましい。
平均粒径が1.0μmを超えると感光ドラム上にピンホールが存在した場合、ピンホールリークが発生し易くなるため好ましくない。
また、導電剤粒子の比重が重い場合は平均粒径が1.0μmを超えると塗料分散安定性が悪くなり、塗料中で沈降し易いので好ましくない。
ここでいう平均粒径とは、10万倍の透過電子顕微鏡像から任意の一次粒子400個の粒子径を実測し、個数平均径を算出したものである。
粒子径としては、粒子の長軸を測定し、長軸/短軸比が2以上の場合にはその平均値をもって測定値とし、これらの値から算出する。
また、導電剤と結着樹脂の割合は質量比で0.1:1.0〜2.0〜1.0であることが好ましい。
導電剤が0.1に満たないと、導電剤を含有させたことによる効果を得にくくなり、2.0を超えると、表面層の機械的強度が低下して層がもろくなる、硬度がアップして柔軟性がなくなるなどし易い。
本発明の塗工被覆層に含有される無機微粒子としては、絶縁性無機微粒子が好ましく、例えば、酸化物、複酸化物、金属酸化物、金属、炭素、炭素化合物、フラーレン、ホウ素化合物、炭化物、窒化物、セラミックス及びカルコゲン化合物が挙げられる。
本発明においては、前記各種無機微粒子を2種以上併用してもよい。また体積抵抗率が1×1010Ωcm以上の絶縁性無機微粒子を用いることが好ましい。
導電剤の表面は、チタンカップリング剤あるいはアルコキシシランカップリング剤等のカップリング剤で処理されていてよい。
またフルオロアルキルアルコキシシランカップリング剤などのカップリング剤(珪素、チタン、アルミニウム、ジルコニウムなど中心金属は特に選ばない)、又はオイル、ワニス、有機化合物等で処理されていてもよい。
(表面層の塗工について)
表面層2cの作製方法としては、前記した各材料を1成分以上の有機溶剤中に添加し塗工液を調製する。
この塗工液の粘度は1〜250mPasの範囲内にあることが好ましいが、粘度により膜厚が変化するため、特には5〜25mPasであることが好ましく、このとき得られる表面層2cの厚みは10〜30μmであることが好ましい。
本発明に用いることの出来る有機溶剤としては、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのケトン類、キシレンなどの芳香族類、セロソルブ、メチルセロソルブなどのエーテル類が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。
塗工液の調製において粉砕工程を加える場合はボールミル、サンドミル、振動ミルなどを用いる。
塗工にあたり、下部の芯金露出部には公知のマスキングキャップが利用可能である。
塗工方法としては、浸漬塗工方法を使用する。弾性層の降下速度、塗工液中の停止時間は、塗工液の粘度、塗工時の温湿度、狙いの被覆層の厚さ等に応じて設定出来る。
また、引き上げ時の初期速度も同様に、塗工液の粘度、塗工時の温湿度、狙いの被覆層の厚さ等に応じて本発明を満足する範囲で調節することにより、被覆層の厚さを変化させることが出来る。
次に、上記のような塗工方法で作製したウェット状態の被覆層2cを乾燥機に移す。乾燥機では、所定時間乾燥して溶剤成分を蒸発させることにより、被覆層2cが形成される。
帯電部材以外の、現像剤担持部材等の被接触物を電気的にコントロールする導電性部材において、被覆層を形成する場合も、同様の考え方が適用されうる。
また、更には、従来技術で上述したAC帯電よりも使用可能条件が厳しいと考えられるDC帯電の帯電ローラに対して適合するものであり、AC帯電への使用可能性が高いのはいうまでもない。
以下に、具体的な実施例を用いて本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は質量部を示す。
(実施例1)
下記の要領で本発明の製造方法に従って導電性部材としての帯電ローラを作製した。
まず、エピクロルヒドリンゴム100部、四級アンモニウム塩2部、炭酸カルシウム45部、酸化亜鉛5部、脂肪族ポリエステル系可塑剤8部、ステアリン酸亜鉛1部、カーボンブラック5部を用意した。
以上の材料を50℃に調節した密閉型ミキサーにて10分間混練して、原料コンパウンドを調整した。
このコンパウンドに原料ゴムのエピクロルヒドリンゴム100部に対し加硫剤としての硫黄1部、加硫促進剤としてのノクセラーDM(大内新興化学工業(株)製)1部及びノクセラーTS(大内新興化学工業(株)製)0.5部を加えた。
そしてそれを20℃に冷却した2本ロール機にて10分間混練した。得られたコンパウンドをφ6mm、長さ252.5mmのステンレススチール製支持体の周囲にローラ状になるように押出成型機にて成型し、加熱加硫成型した。
その後、ゴムの両端部を突っ切り、外径φ8.5mmになるように研磨処理して長さ230.0mm弾性層を得た。このときのクラウン量(中央部と中央部から90mmはなれた位置の外径の差)は110μmとした。
上記弾性層の上に以下に示すような表層面を被覆形成した。表面層2cの材料として、次のものを用意した。アクリルポリオール溶液(有効成分70質量%、希釈溶剤としてキシレン30質量%を含有)100部である。
イソシアネートA(IPDI)(有効成分60質量%、希釈溶剤としてn−酢酸ブチルを15質量%、キシレン25質量%を含有)40部、イソシアネートB(HDI)(有効成分80質量%、希釈剤として酢酸エチル20%を含有)30部である。
カーボンブラック30部、表面処理酸化チタン25部、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂粒子50部である。メチルイソブチルケトン(主溶剤)400部、変性ジメチルシリコーンオイル0.08部である。
それらを、ミキサーを用いて撹拌し、混合溶液を作製した。ついで、その混合溶液を循環式のビーズミル分散機を用いて分散処理(処理速度500ml/min)を行い、浸漬塗工用塗料を調製した。
作製した弾性層に、本発明の製造方法、製造装置を用いて浸漬塗工した。
本実施例で用いたメッシュ製フードは次のようなものであった。
材質:ナイロン。目開き:150メッシュ。
形状:円筒状。また、図1に示すような、最も引き上げられた状態のとき、外径α:φ36mm、内径β:φ30mm、高さγ:382mm、蛇腹のピッチσ:38.2mmであった。
この際、図1に示すように基体2における下方のステンレススチール製支持体にポリアセタール製のマスキング用キャップ8を被せ、下部の芯金に塗工液6が付着することを防止した。
10分間の風乾をした後、下方のステンレススチール製支持体に被せたポリアセタール製のマスキング用キャップ8を取り外し、熱風乾燥機にて80℃で1時間乾燥させた。
その後、更に160℃で1時間乾燥させ、表層面を被覆形成したローラ形状の帯電部材を得た。
(比較例1)
実施例1において、メッシュ製フードを設置しないで、浸漬塗工した。他は実施例1と同様に帯電ローラを得た。
この帯電部材について実施例1と同様にして、ユズ肌の目視検査、画像耐久試験を行い、その結果を表1に示した。
<ユズ肌の目視検査>
次に、以上のようにして得られた帯電部材を目視することによって、ユズ肌の発生状況を確認した。結果を表1に示す。
表中の○、△、×は、実際に目視で表層面を観察した際のユズ肌の発生状況を3段階にランク分けしたものである。なお、○はユズ肌が無いレベル、△はユズ肌が軽微に発生しているレベル、×はユズ肌が発生しているレベルにあるものとした。
<帯電ローラに直流電圧のみを印加したときの連続複数枚数画像出し耐久試験>
以上のようにして得られた帯電部材をプリンターに装着し、温度23℃、湿度55%雰囲気下において、連続複数枚数画像出し耐久試験を行った。
初期と15000枚においてモノカラーハーフトーン印刷を行った。得られた画像を目視にて観察して評価を行った。結果を表1に示す。
表中のA、B、C、D、Eは、発生したユズ肌に起因する画像白ポチ(外添剤等の汚れ付着)若しくは画像濃度ムラの発生について画像品質を5段階にランク分けしたものである。
なお、Aを画像白ポチ若しくは画像濃度ムラが全くないレベルとし、Bまでを良しとした。C、Dは、製品としては見劣りする画像問題部を多少とも有するものであるため、NGとした。更にEは画像白ポチ若しくは画像濃度ムラが目立つため、不良レベルとした。
Figure 2008055283
本発明によれば、導電性部材の特性、性能を悪化させることなく、ユズ肌が発生しない被覆層を備えた導電性部材を、極めて簡便に得ることが可能である。この導電性部材は画像形成装置における帯電ローラ又は現像ローラなどに使用出来る。
基体に塗工液を塗工する前及び塗工後の乾燥中の最も引き上げられた状態を示す図である。 基体を塗工液に浸漬し、最も最下点の状態を示す図である。 基体を塗工液に浸漬し、引き上げ中の状態を示す図である。 本発明の製造方法で作製可能な導電性部材の層構成を示す概略図である。 本発明の製造方法で作製可能な別の導電性部材の層構成を示す概略図である。
符号の説明
1 メッシュ製フード
2 基体
3 ベースプレート
4 チャック
5 塗工槽
6 塗工液
7 塗工槽開口蓋
8 マスキング用キャップ
L1 伸縮性整流板と基体の距離
2a 導電性支持体
2b 弾性層
2c 表面層
2d 抵抗層
2e 抵抗層
α 外径
β 内径
γ 高さ
σ 蛇腹のピッチ

Claims (5)

  1. 塗工液が収容されている浸漬槽中の塗工液に基体を浸漬し引き上げることにより基体表面に塗膜を形成する導電性部材の製造方法において、該基体の周面が200メッシュより細かい目開きのメッシュ製フードに覆われており、該フード内において、該基体は該浸漬層中の塗工液に浸漬され、その後、該基体は該フード内に配置されながら引き上げられ、塗膜を形成することを特徴とした導電性部材の製造方法。
  2. 該基体の周面に配置される該フードが蛇腹状であることを特徴とした請求項1に記載の導電性部材の製造方法。
  3. 該フードにより完全に周面を覆いながら該基体に塗膜を形成することを特徴とする、請求項1または2に記載の導電性部材の製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の導電性部材の製造方法により得たことを特徴とする電子写真装置用ローラ。
  5. 塗工液が収容されている浸漬槽中に基体を浸漬し引き上げることにより基体表面に塗膜を形成する導電性部材の製造装置であって、該基体の浸漬塗工環境の外周部に、該基体の上昇下降に同調して伸縮する200メッシュより細かい目開きのメッシュ製フードと、該基体の浸漬塗工環境において、該フードの上端と下端で隙間なく配置された蓋手段と、該基体上に該塗工液を塗工する塗工槽と、を有することを特徴とした導電性部材の製造装置。
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JP2018075540A (ja) * 2016-11-10 2018-05-17 シャープ株式会社 浸漬塗布装置並びに電子写真感光体及び画像形成装置

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