JP2008053659A - 高品位分子性結晶製造方法及び有機半導体デバイス - Google Patents

高品位分子性結晶製造方法及び有機半導体デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】大きく且つ高品位な分子性結晶の単結晶を製造すること。
【解決手段】分子性結晶を得ようとする対象化合物としてのペンタセンを溶媒としてのトリクロロベンゼン中に溶解したペンタセン−トリクロロベンゼン溶液100の酸素濃度を所定範囲から外れないように制御し、その酸素濃度が制御された上記ペンタセン−トリクロロベンゼン溶液100を加熱後に徐冷することで、ペンタセン単結晶102を析出させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、高品位分子性結晶を製造する製造方法、及び、そのような高品位分子性結晶を使用した有機半導体デバイスに関する。
有機半導体を用いた有機ELや有機FETといった有機半導体デバイスが知られている。
例えば、有機FETは、図5(A)に示すように、ゲート10上に絶縁層12を介してソース14及びドレイン16が形成されていることは、一般に用いられている無機FETと同様であるが、ソース・ドレイン間のチャネルを有機半導体層18で構成したことを特徴とするものである。
有機半導体及びそれを用いた有機半導体デバイスは、通常のシリコン半導体と異なった機能・特性を持つことから、新しい応用が期待され、近年、さまざまな有機半導体材料が研究されている。
例えば、特許文献1には、上記有機半導体層18をどのような分子性結晶で形成するかに関して、アントラセン、テトラセン、ペンタセン等のポリアセン化合物を使用することが提案されている。
また、ルブレンを用いたFETの研究では、結晶方位と移動度の関係が非特許文献1に明らかにされている。
あるいは、TTFの誘導体であるDT−TTFの有機FETとしての特性が非特許文献2に報告されている。
また、非特許文献3には、ペンタセンのホール移動度の報告がなされている。
特開2004−256532号公報 Science,303,1644(2004) J.Am.Chem.Soc.,126,8546(2004) Appl.Phys.Lett., 83,4773(2003)
分子性結晶の形成方法には、大別して2つある。気相法と液相法である。これまで、分子性結晶の有機エレクトロニックスへの応用には、無機半導体デバイスの製造プロセスとの整合性から、多くが蒸着法に代表される気相法で作成されていた。
しかし、そのような気相法で作成された分子性結晶にあっては、ホール移動度等の電子物性はとても実用に耐えるものではなく、無機半導体デバイスと同等の性能を得られる有機半導体デバイスの開発は未だなされていないのが現状である。
これは、気相法で形成された分子性結晶では、大きなサイズの分子性結晶が得られるが、その多くが多結晶体となってしまうということに起因することが、本発明の発明者による周波数変調型原子間力顕微鏡像(以下、FM−AFMと記す)測定により判明した。即ち、気相法で作成された分子性結晶は、図5(B)に示すように、多数のグレイン20の集まりとして形成されるため、グレイン間の粒界障壁22がホール移動を制限してしまい、所望の移動度を得られないということが判明した。
従って、本発明者は、デバイスを形成するのに十分な大きさで且つ欠陥が少ない分子性結晶の単結晶が製造できれば、無機半導体デバイスと同等の性能を持った有機半導体デバイスを得られるのではないかとの知見を得た。
これまで有機半導体を実用的な意味でその応用を考えるとき、シリコン半導体と比較すると、上述のように結晶の品質に大きな問題がある。このことにより、その電子特性、例えばホール移動度が大きく劣り、実用的広がりを大きく制限されている。その結晶の品質を左右する因子のうち、大きなものは不純物と欠陥である。例えば、不純物でいえば、シリコンがその純度をイレブン・ナイン(99.999999999)と表記されるほどその純度は高いのに比べると、通常、有機半導体材料で高純度試薬として入手できるものは、スリー・ナイン、フォー・ナインがせいぜいである。これでは、材料的にもシリコンに遠く及ばないのは明らかである。一方、結晶の欠陥については、実用を目指した研究においても、デバイス作成技術として用いられているものは、有機半導体薄膜作成プロセスの前後の工程との整合性の良さから用いられている気相法であり、そのような気相法では、上述の通り、粒界などの欠陥の多い多結晶体となってしまう。また、よく用いられる液相法の一種であるスピンコート、ディップコート、インクジェット法などを用いた例においても、その溶液に含まれる不純物である水、酸素の除去を狙ったプロセスや欠陥の低減を狙った単結晶化のプロセス、さらにこの二つを同時に狙ったプロセスの開発は行われてこなかった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、デバイスを形成するのに十分な大きさ且つ高品位な分子性結晶の単結晶を製造することが可能な高品位分子性結晶製造方法、及び、そのような高品位分子性結晶を使用することで実用的な有機半導体デバイスを提供することを目的とする。
本発明の高品位分子性結晶製造方法の一態様は、分子性結晶を得ようとする対象化合物を溶媒中に溶解した溶液の酸素濃度を所定範囲から外れないように制御し、その酸素濃度が制御された上記溶液から液相法により上記対象化合物の分子性結晶の単結晶を析出する、ことを特徴とする。
また、本発明の有機半導体デバイスの一態様は、分子性結晶を得ようとする対象化合物を溶媒中に溶解した溶液の酸素濃度を所定範囲から外れないように制御して、上記溶液から液相法により析出した上記対象化合物の分子性結晶の単結晶を、半導体デバイスの電極に乗せ、上記溶媒の蒸気に暴露して上記電極との密着性を高めて電子的接続をとったことを特徴とする。
また、本発明の有機半導体デバイスの別の態様は、分子性結晶を得ようとする対象化合物を溶媒中に溶解した溶液を、半導体デバイスの基板上の所定位置に滴下し、該滴下した溶液の酸素濃度を所定範囲から外れないように制御して、上記溶液から液相法により上記対象化合物の分子性結晶の単結晶を析出することで、有機半導体層を形成したことを特徴とする有機半導体デバイス。
本発明によれば、分子性結晶を得ようとする対象化合物を溶媒中に溶解した溶液の酸素濃度を所定範囲から外れないように制御して、液相法により上記対象化合物の分子性結晶の単結晶を析出することで、デバイスを形成するのに十分な大きさ且つ高品位な分子性結晶の単結晶を製造することが可能な高品位分子性結晶製造方法が提供できる。
また、そのような高品位分子性結晶を使用することで、実用的な有機半導体デバイスを提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
本発明が目指す高品位の分子性結晶の製造には、化学反応の分野では一般によく用いられている液相法を採用することにした。液相法には、(1)温度変化による溶解度の差を用いる方法(再結晶法)、(2)溶媒蒸発法、(3)蒸気拡散法、(4)溶液拡散法、(5)溶融成長法、等がある。有機半導体デバイスとして応用ができる比較的大きく、欠陥が少ない分子性結晶の単結晶を得るためには、不純物の少ない溶液で、ゆっくりとした結集成長にむいた(1)再結晶法及び(2)蒸気拡散法が望ましい。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態として、(1)再結晶法による高品位分子性結晶の製造方法について説明する。なおここでは、ペンタセン単結晶を製造する場合を例に説明する。
本発明者は、ジクロルベンゼン溶液中のペンタセンの大気中及び真空中での可視・紫外スペクトルの経時変化を観察した。図2(A)は大気中での、図2(B)は真空中での、観察結果を示す図である。これらの図に示すように、ジクロルベンゼン溶液中のペンタセンは、大気中の酸素により安定性が損なわれることが判明した。
これにより、本発明者は、ペンタセン単結晶製造時においては、脱酸素をすることが有効であるとの知見を得た。この知見をもとに、以下の手順で、ペンタセン単結晶を製造する。
(1)まず、グローブボックス中で、真空ラインに連結可能なアンプル容器に溶媒として3回以上蒸留精製したトリクロルベンゼンを入れ、そのトリクロルベンゼンに市販の高純度のペンタセンを加熱時に設定した温度で、飽和濃度になる量を導入する。
(2)次に、このアンプル容器を真空ラインに連結し、真空コックを閉じた状態で過熱し、完全にペンタセンを溶解する。
(3)その後、このアンプル容器を液体窒素で凍結する。そして、完全に凍結したならば、真空コックを開き、酸素等を真空に引いて脱酸素する。
(4)真空ゲージを使用して、真空度がそれ以上に上がらなくなったことが判別されたならば、真空コックを閉じ、上記アンプル容器を湯煎して溶液を融解する。
上記(3)及び(4)の操作を真空ゲージにより、完全に脱酸素が出来たことが確認できるまで数回繰り返す。
(5)アンプル容器を湯煎して融解したのち、遮光下で12時間以上かけてゆっくり徐冷し、結晶を析出させる。
これにより、図1(A)に示すように、アンプル容器内に収容された脱水・脱酸素したペンタセン−トリクロロベンゼン溶液100中にペンタセン単結晶102が析出される。図1(B)及び(C)は、析出されたペンタセン単結晶102の顕微鏡写真を示す図であり、数百μmの大きさを持つペンタセン単結晶102が製造されたことが判る。
本実施形態により製造したペンタセン単結晶を、気相法によって製造したペンタセン多結晶とをFM−AFMで比較した。図3(A)は、気相法によるペンタセン多結晶のFM−AFM画像を示す図であり、図3(B)は、本実施形態によるペンタセン単結晶のFM−AFM画像を示す図である。これらの画像を比較して明らかなように、本実施形態によれば、原子レベルで欠陥のない、数μ角の有機半導体デバイスとして応用できる大きさの単結晶が得られた。
また、図4(A)及び(B)に示すような有機FETを、上記のようして製造したペンタセン単結晶102をソース14及びドレイン16となるAu電極に乗せ、トリクロルベンゼン蒸気に暴露して電極との密着性を高めて電子的接続をとることで、形成した。ここで、図4(A)は、この有機FETの素子構造モデルを示す図であり、図4(B)は、この有機FETの顕微鏡写真を示す図である。なお、この有機FETにおいては、ゲート10は、抵抗率0.01Ω・cmのpSi(100)電極、絶縁層12は、膜厚100nm、静電容量密度Ci=28×10−4F/mの熱酸化SiO絶縁膜、ソース14及びドレイン16は、膜厚100nmの蒸着Au電極であり、ソース・ドレイン間は20μmとした。
図4(C)は、この有機FETの特性を計測して得られた特性図である。この特性図の飽和領域から算出したホール移動度は、0.1〜0.2cm/Vsであり、これは、同条件で計測した蒸着法による多結晶体のそれよりも2〜3桁も高い値で、実用に十分耐えるものである。
このようなホール移動度の単結晶と多結晶体における違いは、本実施形態により製造されたペンタセン単結晶102には、図5(C)に示すように、粒界障壁が無い均質な結晶構造であるため、ホール移動を制限しないということによるものと考えられる。
以上のように、本第1実施形態によれば、酸素濃度を厳密に管理した上で再結晶法によって分子性結晶を製造する。実際の管理では、酸素濃度はほぼゼロの範囲から外れないようにすれば良く、常にゼロを目標値としゼロとなるべく管理制御を行うことで達成される。なお、その際のペンタセン−トリクロロベンゼン溶液100の濃度や加熱及び徐冷の温度勾配も、所定の範囲に厳密に管理することは言うまでもない。このようにして、高品位な分子性結晶の単結晶を製造でき、それを用いて実用的な有機半導体デバイスを提供できる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態として、(2)蒸気拡散法による高品位分子性結晶の製造方法について説明する。なおここでは、ルブレン単結晶を製造する場合を例に説明する。
本発明者は、クロロホルム溶液中のルブレンの大気中及び真空中での可視・紫外スペクトルの経時変化を観察した。図6(A)は大気中での、図6(B)は真空中での、観察結果を示す図である。これらの図に示すように、クロロホルム溶液中のルブレンも、上記第1実施形態で説明したジクロルベンゼン溶液中のペンタセンと同様に、大気中の酸素により安定性が損なわれることが判明した。
これにより、本発明者は、ルブレン単結晶製造時においても、上記第1実施形態で説明したペンタセン単結晶製造の場合と同様に、脱酸素をすることが有効であるとの知見を得た。この知見をもとに、以下の手順で、ルブレン単結晶を製造する。
即ち、ルブレン−クロロホルム溶液を、上記第1実施形態と同様の真空ラインを用いた凍結−真空引き−融解のプロセスを用いて、完全に脱酸素する。
そして、図7(A)に示すように、グローブボックス中で、ルブレン−クロロホルム溶液104を収容したアンプル容器を、溶媒としてのシクロヘキサン溶液106を収容した大型の容器内に収納して密封する。
すると、大型容器内のヘキサン蒸気が拡散して、アンプル容器内のルブレン−クロロホルム溶液104に徐々に溶解し、ルブレンの溶解度を下げ、ルブレン単結晶108が析出する。
図7(B)及び(C)は、析出されたルブレン単結晶108の顕微鏡写真を示す図であり、長さ数百μmの良好なルブレン単結晶108が製造されたことが判る。
上記第1実施形態と同様に、こうして製造されたルブレン単結晶108を用いた有機FETを形成し、その特性を計測した。図8(A)はこの有機FETの顕微鏡写真を示す図であり、図8(B)は計測された特性図である。このようなルブレン単結晶108を用いた有機FETにおいても、実用に耐えるFET特性が得られた。
以上のように、本第2実施形態によれば、酸素濃度を厳密に管理した上で蒸気拡散法によって分子性結晶を製造する。実際の管理では、酸素濃度はほぼゼロの範囲から外れないようにすれば良く、常にゼロを目標値としゼロとなるべく管理制御を行うことで達成される。なお、その際のルブレン−クロロホルム溶液104の濃度及び温度勾配も、所定の範囲に厳密に管理することは言うまでもない。このようにして、高品位な分子性結晶の単結晶を製造でき、それを用いて実用的な有機半導体デバイスを提供できる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を説明する。本実施形態は、基板上に高品位分子性結晶の単結晶を直接形成することで有機FETを製造する例である。
即ち、テトラチアフルバレン(TTF)の誘導体であるDT−TTFの飽和溶液を、上述した第1実施形態と同様の方法で準備する。ここで、DT−TTFは、図9(A)に示すような構造式及び図9(B)に示すような結晶構造データで表されるものである。
そして、不活性ガスで置換されたグローブボックス中で、別のアンプル中に設置された基板上の電極の所定位置に、このようなDT−TTFの飽和溶液を滴下し、そのアンプルを再び真空ラインに接続して、上記第1実施形態と同じ手順で、完全に脱酸素できるまでその手順を繰り返した後、12時間かけて徐冷する。
このような製造方法により、図9(C)に示すように、絶縁層12上にソース14及びドレイン16となる電極が形成された基板上に、DT−TTF単結晶110が析出する。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
ポリマー系有機材料は、溶液プロセス(例えば、キャスト法やディップコート法など)で簡便に大面積の素子が製造できる反面、多くの場合、単分子系材料に比べ移動度が低いことが知られている。これは溶媒に含まれる重合開始剤、未反応のモノマー、ポリマー中に取り込まれた溶媒等の不純物の影響や、π電子軌道の重なりが弱いことに起因すると考えられている。
そこで、本実施形態では、単分子材料のような良好な特性を有する有機FETを製造するために、ポリマーとモノマーのほぼ中間に当たるオリゴマーを用いる。
厚さ100nmのSiO熱酸化膜を形成したpSi基板上にメタルマスクを介して金を蒸着し、その上からN雰囲気のグローブボックス中でクロロベンゼンに溶かした、精密にその分子長を制御して合成されたチオフェン96量体オリゴマー(以下、96Tと記す)を滴下することで、ボトムコンタクト型有機FETを製造する。なお、96Tは、化学合成された明確な構造をもつ単一成分共役分子としては最も長いものであり、図10(A)に示すような構造式で表される。
図10(B)は、このようにして製造された有機FETの温度変化時の特性評価結果を示す図である。なお、ここでは、分子長が37.2nmの96Tについて、10−4Torr程度の真空、遮光下で、特性評価を行った。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態を説明する。
これまで、有機半導体材料・導電性高分子材料を基板表面に結晶性よく、また、所望の量を所望の位置に精密に制御して薄膜成長する有効な方法はなかった。
本実施形態は、基板表面に秩序構造を有する有機半導体材料を薄膜成長させるために基板表面を化学修飾する技術と、有機半導体材料の所望の量を所望の位置に精密に制御して薄膜成長させるために電気化学的技術と、を組み合わせたものである。
図11(A)は、ピロールを櫛型金電極(ソース及びドレイン)上に、直接、電解重合したときのSEM写真を示す図である。また、図11(B)は、シランカップリング剤の1つであるCH(CH17Si(OCHを基板表面に化学修飾して、同一条件下で電解重合した後の、SEM写真を示す図である。
化学修飾していない場合の電解重合膜は、不規則なモルフォロジーを持つのに対し、図12に示すように、酸化膜(SiO絶縁層)に上にアルキル鎖が存在する場合には、非常に薄い電解重合膜が、両櫛型電極間に精密に秩序構造を有して成長することが確認された。表面の化学修飾によりピロールが秩序構造をとり易くなり、電解重合法により通電する電極間に精密に位置制御され薄膜が成長し、また、通電する電気量により精密に重合量が制御された薄膜を形成している。
この方法は、絶縁体上においても、有機半導体材料・伝導性高分子を精密に制御して電解重合することが可能であることを示しており、電気化学的手法が、有機FET等の有機半導体デバイスを製造する上で、極めてユニークで有効な手法である実証である。
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
例えば、本発明は、上記実施形態で説明した以外の分子性結晶の単結晶を製造する場合にも適用できる。そのような分子性結晶としては、例えば、ペンタセンやルブレンの誘導体等の他の芳香族炭化水素、TTF関連化合物、オリゴチオフェン類等のオリゴマー、無機錯体、等であって良い。
また、有機半導体デバイスとして有機FETを例に説明したが、有機EL等、他の電子デバイスであっても良い。
図1(A)は、本発明の高品位分子性結晶の製造方法の第1実施形態として再結晶法によるペンタセン単結晶の製造方法を説明するための図であり、図1(B)及び(C)はそれぞれ製造されたペンタセン単結晶の顕微鏡写真を示す図である。 図2(A)は、ジクロルベンゼン溶液中のペンタセンの大気中での可視・紫外スペクトルの経時変化の観察結果を示す図であり、図2(B)は同じく真空中での経時変化の観察結果を示す図である。 図3(A)は、気相法によるペンタセン多結晶のFM−AFM画像を示す図であり、図3(B)は、第1実施形態によるペンタセン単結晶のFM−AFM画像を示す図である。 図4(A)は、第1実施形態によるペンタセン単結晶を用いた有機FETの素子構造モデルを示す図であり、図4(B)は、この有機FETの顕微鏡写真を示す図であり、図4(C)は、この有機FETの特性図である。 図5(A)は、一般的な有機FETの構成を示す図であり、図5(B)は、気相法で作成された分子性結晶のホール移動の制限を説明するための模式図であり、図5(C)は、第1実施形態によるペンタセン単結晶を用いた有機FETでのホール素子の移動を説明するための図である。 図6(A)は、クロロホルム溶液中のルブレンの大気中での可視・紫外スペクトルの経時変化の観察結果を示す図であり、図6(B)は同じく真空中での経時変化の観察結果を示す図である。 図7(A)は、本発明の高品位分子性結晶の製造方法の第2実施形態として蒸気拡散法によるルブレン単結晶の製造方法を説明するための図であり、図7(B)及び(C)はそれぞれ製造されたルブレン単結晶の顕微鏡写真を示す図である。 図8(A)は、第2実施形態によるルブレン単結晶を用いた有機FETの顕微鏡写真を示す図であり、図8(B)は、この有機FETの特性図である。 図9(A)及び(B)はそれぞれDT−TTFの構造式結晶構造データを示す図であり、図9(C)は、本発明の第3実施形態により基板上に直接製造されたDT−TTF単結晶の顕微鏡写真を示す図である。 図10(A)は、チオフェン96量体オリゴマー(96T)の構造式を示す図であり、図10(B)は、本発明の第4実施形態により製造された有機FETの温度変化時の特性評価結果を示す図である。 図11(A)は、ピロールを櫛型金電極上に直接電解重合したときのSEM写真を示す図であり、図11(B)は、シランカップリング剤を表基板面に化学修飾して電解重合した後のSEM写真を示す図である。 図12は、本発明の第5実施形態により製造されたFETの構造を説明するための模式図である。
符号の説明
10…ゲート、 12…絶縁層、 14…ソース、 16…ドレイン、 18…有機半導体層、 20…グレイン、 22…粒界障壁、 100…トリクロロベンゼン溶液、 102…ペンタセン単結晶、 104…クロロホルム溶液、 106…シクロヘキサン溶液、 108…ルブレン単結晶、 110…DT−TTF単結晶。

Claims (10)

  1. 分子性結晶を得ようとする対象化合物を溶媒中に溶解した溶液の酸素濃度を所定範囲から外れないように制御し、
    その酸素濃度が制御された上記溶液から液相法により上記対象化合物の分子性結晶の単結晶を析出する、
    ことを特徴とする高品位分子性結晶製造方法。
  2. 上記酸素濃度の所定の範囲は、ほぼ0であることを特徴とする請求項1に記載の高品位分子性結晶製造方法。
  3. 上記液相法は、上記酸素濃度が制御された上記溶液を、加熱後に徐冷することで、上記対象化合物の分子性結晶の単結晶を析出させる、再結晶法であることを特徴とする請求項2に記載の高品位分子性結晶製造方法。
  4. 上記対象化合物は、ペンタセンであることを特徴とする請求項3に記載の高品位分子性結晶製造方法。
  5. 上記酸素濃度の制御は、
    (1)アンプル容器内のトリクロルベンゼンに高純度のペンタセンを加熱時に設定した温度で、飽和濃度になる量を導入し、
    (2)このアンプル容器を真空ラインに連結し、真空コックを閉じた状態で過熱することで、完全にペンタセンを溶解し、
    (3)このアンプル容器を液体窒素により完全に凍結させた後、真空コックを開き、酸素を真空に引いて脱酸素し、
    (4)真空度の測定により、真空度が上がらなくなったことを確認したならば、真空コックを閉じた後に、上記アンプル容器を湯煎して、上記溶液を融解し、
    上記(3)及び(4)の操作を、真空度の測定により、完全に脱酸素が出来たことが確認できるまで、複数回繰り返す、
    ことにより行うことを特徴とする請求項4に記載の高品位分子性結晶製造方法。
  6. 上記液相法は、上記酸素濃度が制御された上記溶液を収容した容器を、上記溶液における溶媒とは異なる溶媒を収容した容器内に収納して密封することで、上記溶液における溶媒とは異なる上記溶媒の蒸気が拡散して、上記溶液に徐々に溶解し、上記対象化合物の溶解度を下げ、上記対象化合物の分子性結晶の単結晶を析出させる、蒸気拡散法であることを特徴とする請求項2に記載の高品位分子性結晶製造方法。
  7. 上記対象化合物は、ルブレンであることを特徴とする請求項6に記載の高品位分子性結晶製造方法。
  8. 上記酸素濃度の制御は、
    (1)アンプル容器内のクロロホルムに高純度のルブレンを加熱時に設定した温度で、飽和濃度になる量を導入し、
    (2)このアンプル容器を真空ラインに連結し、真空コックを閉じた状態で過熱することで、完全にルブレンを溶解し、
    (3)このアンプル容器を液体窒素により完全に凍結させた後、真空コックを開き、酸素を真空に引いて脱酸素し、
    (4)真空度の測定により、真空度が上がらなくなったことを確認したならば、真空コックを閉じた後に、上記アンプル容器を湯煎して、上記溶液を融解し、
    上記(3)及び(4)の操作を、真空度の測定により、完全に脱酸素が出来たことが確認できるまで、複数回繰り返す、
    ことにより行うことを特徴とする請求項7に記載の高品位分子性結晶製造方法。
  9. 分子性結晶を得ようとする対象化合物を溶媒中に溶解した溶液の酸素濃度を所定範囲から外れないように制御して、上記溶液から液相法により析出した上記対象化合物の分子性結晶の単結晶を、半導体デバイスの電極に乗せ、上記溶媒の蒸気に暴露して上記電極との密着性を高めて電子的接続をとったことを特徴とする有機半導体デバイス。
  10. 分子性結晶を得ようとする対象化合物を溶媒中に溶解した溶液を、半導体デバイスの基板上の所定位置に滴下し、該滴下した溶液の酸素濃度を所定範囲から外れないように制御して、上記溶液から液相法により上記対象化合物の分子性結晶の単結晶を析出することで、有機半導体層を形成したことを特徴とする有機半導体デバイス。
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