JP2008053016A - 単室型固体酸化物形燃料電池及びそのスタック構造 - Google Patents

単室型固体酸化物形燃料電池及びそのスタック構造 Download PDF

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Abstract

【課題】複数の単セルを簡単に接続することが可能な単室型固体酸化物形燃料電池及びそのスタック構造を提供する。
【解決手段】本発明に係る単室型固体酸化物形燃料電池は、燃料極2、電解質1、および空気極3がこの順で積層されたセル本体Cと、燃料極2に電気的に接続され、セル本体その一の側端面に配置された第1の集電層4と、空気極3に電気的に接続され、一の側端面とは反対側の他の側端面に配置された第2の集電層5と、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料ガス及び酸化剤ガスの混合ガスにより動作する単室型固体酸化物形燃料電池及びそのスタック構造に関する。
燃料電池とは外部からの燃料供給と燃焼生成物の排気とを連続的に行いながら、燃料が酸化する際に発生する化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換できる電池である。燃料電池の種類は電解質により分類され、電解質にイオン伝導性を持つ固体酸化物を用いたものを固体酸化物形燃料電池と呼んでいる。この固体酸化物形燃料電池としては、種々のものが提案されているが、例えば、特許文献1には、多孔質の支持基体上に燃料極(アノード)を形成し、その燃料極の上に電解質を形成し、さらにその電解質の上に空気極(カソード)を形成した固体酸化物形燃料電池が開示されている。
特開平11−111309号公報
ところで、上記燃料電池では、基板上に複数の単セルを形成することで、出力の向上を図っているが、電極形成時の位置決めに精度が要求されるなど種々の問題がある。そのため、複数の単セルを簡単に接続できるような電池構造が要望されていた。
そこで、本発明は、複数の単セルを簡単に接続することが可能な単室型固体酸化物形燃料電池及びそのスタック構造を提供することを目的とする。
本発明に係る第1の単室型固体酸化物形燃料電池は、上記問題を解決するためになされたものであり、燃料極、空気極、及びこれらの間に配置された電解質を有するセル本体と、前記燃料極に電気的に接続され、前記セル本体の一の側端面に延設された第1の集電層と、前記空気極に電気的に接続され、前記一の側端面とは重ならない位置の他の側端面に延設された第2の集電層と、を備えている。
この構成によれば、セル本体の一の側端面及びそれとは重ならない他の側端面それぞれに燃料極および空気極に電気的に接続された集電層が形成されているため、この燃料電池を複数個準備すれば、上記側端面同士を当接させるだけで、電池を直列に接続することができる。したがって、電池の接続を大幅に簡素化することができる。
上記単セルにおいては、燃料極、電解質、及び空気極のいずれか一つが他を支持する支持基板とし、支持基板の側端面に上述した集電層を形成することができる。ここで、一方の電極が支持基板となった場合には、この支持基板と、他方の電極に接続された集電層とが短絡しないように、これらの間に絶縁層を配置することが好ましい。但し、絶縁層を用いなくても、両者が接触しないような配置であればよく、例えば、電解質によって支持基板の側端面を覆い、その上に集電層を配置することもできる。
また、燃料極または空気極を支持する多孔質の支持基板をさらに設け、この多孔質の支持基板の側端面に上述した集電層を形成することができる。いずれの場合においても、支持基板に支持される電極、電解質等の部材は、薄膜状に形成することができる。
上記第1の燃料電池においては、一の側端面と他の側端面とが対向する位置にあるように構成することができる。この場合は、例えば、セル本体を矩形状に形成すればよい。これにより、電池を一直線状に配置することで、電気的に接続することができる。これ以外でも、例えばセル本体を矩形状に形成した場合、一の側端面と他の側端面とを、それぞれ互いに直交する側端面とすることもできる。
また、本発明に係る第2の単室型固体酸化物形燃料電池は、上記問題を解決するためになされたものであり、燃料極、空気極、これらの間に配置された電解質、及び一方の前記電極を支持する導電性の多孔質の支持基板を有するセル本体と、他方の前記電極に電気的に接続され、前記多孔質の支持基板の側端面に延設された集電層と、を備えている。
この構成によれば、一方の電極が導電性の多孔質支持基板に支持されるとともに、他方の電極に接続された集電層が支持基板の側端面に延設されているため、この燃料電池を複数個準備すれば、支持基板において集電層が形成された側端面と、集電層が形成されていない側端面とを当接させるだけで、電池を直列に接続することができる。したがって、電池の接続を大幅に簡素化することができる。このとき、支持基板を少し大きめに一方の電極から飛び出す形とすることにより使用しやすい形態となる。
また、多孔質支持基板(一方の電極)と他方の電極とが短絡するのを防止するため、多孔質基板及び一方の電極と集電層との間に絶縁層を配置することが好ましい。このとき、電解質によって一方の電極を覆っておけば、絶縁層は、多孔質基板と集電層との間に配置しておけばよい。但し、絶縁層を設けなくても、多孔質支持基板と他方の電極とが接触しないように構成されていればよく、例えば、電解質によって一方の電極と支持基板の側端面を電解質で覆い、その上に集電層を配置することもできる。
なお、上記第1及び第2の燃料電池においては、セル本体の支持基板(電極、電解質、または多孔質基板)は、通常の扁平型の板形状のみならず、ある程度の厚みを有するブロック状とすることもでき、少なくとも電極等が配置される一対の面と、それらを連結する側端面を有する形状であればよい。
また、本発明に係る単室型固体酸化物形燃料電池のスタック構造は、上記問題を解決するためになされたものであり、複数の上記単室型固体酸化物形燃料電池と、前記複数の燃料電池をスライド可能に挟持する一対のガイド部材と、を備え、前記ガイド部材は、前記集電層が形成されている側端面を前記スライド方向に向けた状態で、前記各燃料電池を挟持する。
この構成によれば、上記複数の燃料電池をスライド可能に挟持する一対のガイド部材を有しているため、このガイド部材に複数の燃料電池を順にスライドさせると、これらの電池が一列に並びつつ、隣接する電池の側端面を互いに当接させることができる。したがって、燃料電池の接続を簡単に行うことができる。また、隣接する電池は当接させているだけなので、例えば、いずれかの電池が故障した場合には、その電池のみを簡単に交換することができる。なお、上記構成では、一対のガイド部材で燃料電池を挟持しているため、各燃料電池の一方面及び他方面は外部に露出している。したがって、燃料ガス及び酸化剤ガスを供給したときには、これらのガスと各電極とを接触させることができ、電池として確実に動作する。
本発明に係る単室型固体酸化物形燃料電池及びそのスタック構造によれば、電池の接続を簡単に行うことができる。
以下、本発明に係る単室型固体酸化物形燃料電池の一実施形態について添付図面にしたがって説明する。図1は本実施形態に係る単室型固体酸化物形燃料電池の断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る単室型固体酸化物形燃料電池は、平面視矩形状の支持基板としての板状電解質1と、その上面(一方面)及び下面(他方面)にそれぞれ形成された薄膜状の燃料極2および空気極3と、からなる単セル本体Cを備えている。以下の説明では、図1における単セル本体Cの右側の側端面を前面、左側の側端面を後面、紙面と直交する側端面を右面、左面と称することとする。両電極2,3は、電解質1の前後方向の中央部分に配置されており、前後方向の両端部では電解質1が露出している。そして、この電池には各電極2、3と接続される2つの集電層が形成されている。つまり、燃料極2上から電解質1の上面に沿って延び、電解質1の前面を覆う第1の集電層4と、空気極3上から電解質1の下面に沿って延び、電解質1の後面を覆う第2の集電層5が形成されている。これらの集電層4,5は、後述する材料によってメッシュ状に形成されている。また、図1に示すように、両集電層4,5は互いに接触せず、また、第1の集電層4は空気極3に接触していない。同様に、第2の集電層5は燃料極3には接触していない。
次に、上記電池のスタック構造について説明する。図2及び図3は、上記燃料電池を複数個、直列接続したスタック構造の平面図及びそのA−A線断面図である。図2に示すように、このスタック構造は、複数(ここでは4個)の上記燃料電池Eと、それらを収容するスタック用治具とで構成されている。スタック用治具は、燃料電池Eをスライド可能に挟持する一対の長尺状のガイド部材11、両ガイド部材11の一端部(図2の左側)を連結する連結部材12、及び両ガイド部材11の他端部に着脱自在に取り付けられる蓋部材13を備えている。そして、複数の燃料電池Eは、ガイド部材11の長手方向に沿って並ぶように、一列に収容される。図3に示すように、ガイド部材11は、断面コ字状に形成され、互いの凹部111が対向するように配置されている。そして、これらを連結する連結部材12は、燃料電池Eの前後面とほぼ同じ長さになっている。凹部111の高さは、上記燃料電池Eの厚さとほぼ同じであり、各燃料電池の右面側及び左面側の端部が両ガイド部材11の凹部111にスライド可能に嵌り込むように構成されている。
複数の燃料電池Eをスタックするには、右面または左面をガイド部材11の長手方向に向け、これらを同じ方向に向けてガイド部材11の他端部側から順に嵌め込み、一端部側へスライドさせていく。これにより、隣接する燃料電池Eの第1及び第2の集電層4,5同士が当接し、4つの電池が直列に接続される。そして、最後尾の燃料電池Eが収納された後、蓋部材13をガイド部材11に取り付ける。蓋部材13は、両ガイド部材11の他端部を連結するとともに、図2に示すように、連結部材12との間で、4つの燃料電池Eを挟持するためのものである。蓋部材13を取り付けることで、4つの燃料電池Eの前後方向の移動が規制される。蓋部材13の前後方向の長さは、収容する燃料電池Eの数に合わせて適宜決定される。例えば、燃料電池の数を減らした場合、最後に収容された燃料電池Eと蓋部材13とが当接するように蓋部材13の長さを長くしておく必要がある。なお、連結部材12及び蓋部材13に集電層を形成したり、或いはこれらの部材を導電性の部材にしておけば、電流の取り出しが簡単になる。
次に、上記燃料電池を構成する材料について説明する。電解質1の材料としては、固体酸化物形燃料電池の電解質として公知のものを使用することができ、例えば、サマリウムやガドリニウム等をドープしたセリア系酸化物、ストロンチウムやマグネシウムをドープしたランタン・ガレード系酸化物、スカンジウムやイットリウムを含むジルコニア系酸化物などの酸素イオン伝導性セラミックス材料を用いることができる。また、電解質1の厚みは、燃料極2及び空気極3を支持する支持基板であることを考慮すると、200〜5000μmであることが好ましく、500〜1000μmであることがさらに好ましい。
燃料極2及び空気極3は、セラミックス粉末材料により形成することができる。このとき用いられる粉末の平均粒径は、好ましくは10nm〜100μmであり、さらに好ましくは50nm〜50μmであり、特に好ましくは100nm〜10μmである。なお、平均粒径は、例えば、JISZ8901にしたがって計測することができる。
燃料極2は、例えば、金属触媒と酸化物イオン導電体からなるセラミックス粉末材料との混合物を用いることができる。このとき用いられる金属触媒としては、ニッケル、鉄、コバルトや、貴金属(白金、ルテニウム、パラジウム等)等の還元性雰囲気中で安定で、水素酸化活性を有する材料を用いることができる。また、酸化物イオン導電体としては、蛍石型構造又はペロブスカイト型構造を有するものを好ましく用いることができる。蛍石型構造を有するものとしては、例えばサマリウムやガドリニウム等をドープしたセリア系酸化物、スカンジウムやイットリウムを含むジルコニア系酸化物などを挙げることができる。また、ペロブスカイト型構造を有するものとしてはストロンチウムやマグネシウムをドープしたランタン・ガレード系酸化物を挙げることができる。上記材料の中では、酸化物イオン導電体とニッケルとの混合物で、燃料極2を形成することが好ましい。なお、酸化物イオン導電体からなるセラミックス材料とニッケルとの混合形態は、物理的な混合形態であってもよいし、ニッケルへの粉末修飾またはセラミックス材料へのニッケル修飾などの形態であってもよい。また、上述したセラミックス材料は、1種類を単独で、或いは2種類以上を混合して使用することができる。また、燃料極2は、金属触媒を単体で用いて構成することもできる。
空気極3を形成するセラミックス粉末材料としては、例えば、ペロブスカイト型構造等を有するCo,Fe,Ni,Cr又はMn等からなる金属酸化物を用いることができる。具体的には(Sm,Sr)CoO,(La,Sr)MnO,(La,Sr)CoO,(La,Sr)(Fe,Co)O,(La,Sr)(Fe,Co,Ni)Oなどの酸化物が挙げられ、好ましくは、(La,Sr)(Fe,Co)Oである。上述したセラミックス材料は、1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用することができる。
また、集電層4,5は、Pt,Au,Ag,Ni,Cu,SUS等の導電性金属、或いは金属系材料,又はLa(Cr,Mg)O,(La,Ca)CrO,(La,Sr)CrOなどのランタン・クロマイト系等の導電性セラミックス材料によって形成することができ、これらのうちの1種を単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
上記燃料極2、及び空気極3は、上述した材料を主成分として、さらにバインダー樹脂、有機溶媒などが適量加えられることにより形成される。より詳細には、上記主成分とバインダー樹脂との混合において、上記主成分が50〜95重量%となるように、バインダー樹脂等を加えることが好ましい。また、集電層4,5も、上述した材料に上記添加物を加えることにより形成される。そして、燃料極2及び空気極3の膜厚は5〜100μmとなるように形成するが、20〜50μmとすることが好ましい。
また、スタック用治具は、耐熱性の絶縁性材料で構成され、例えば、アルミナ、ジルコニア、などのセラミックスを使用することができる。但し、上記のように連結部材12及び蓋部材13を導電性の材料で形成してもよいし、或いは端部の燃料電池の集電層と電気的に接続できるように絶縁性材料の表面に導電性の材料を塗布してもよい。
次に、上述した燃料電池の製造方法について参照しつつ説明する。まず、上述した材料からなる板状電解質1を準備する。続いて、上述した燃料極2、及び空気極3用の粉末材料を主成分として、これらそれぞれにバインダー樹脂、有機溶媒などを適量加えて混練し、燃料極ペースト、空気極ペーストをそれぞれ作製する。各ペーストの粘度は、10〜10mPa・s程度であることが好ましい。
次に、燃料極ペーストを、電解質1の上面の中央部分に塗布した後、所定時間、所定温度にて乾燥・焼結し、燃料極2を形成する。続いて、空気極ペーストを電解質1の下面の中央部分に塗布し、乾燥・焼結して空気極3を形成する。その後、集電層ペーストを燃料極2から電解質1の前面にわたって塗布し、乾燥・焼結して第1の集電層4を形成する。同様に、集電層ペーストを空気極3から電解質1の後面にわたって塗布し、第2の集電層5を形成する。なお、燃料極2、空気極3、及び集電層4,5は、種々の方法で形成することができる。例えば、溶射法、スクリーン印刷法、転写法、リソグラフィー法、電気泳動法、ドクターブレード法、ディスペンサーコート法、CVD,EVD,スプレーコート法、ディップコート法、スパッタリングや、或いは、いわゆるグリーン体を用いた方法で形成することができる。
上記のように構成された燃料電池は、次のように発電が行われる。まず、電池に対して水素、又はメタン、エタンなどの炭化水素からなる燃料ガスと空気等の酸化剤ガスとの混合ガスを高温の状態(例えば、400〜1000℃)で供給する。このとき混合ガスは、図3に示すように、スタック用治具の上下の面から、つまり両ガイド部材11の間で露出する電池の各電極に接触する。これにより、燃料極2と空気極3との間で、電解質1を介した酸素イオン伝導が起こり、発電が行われる。
以上のように、本実施形態によれば、板状の電解質1の前面及び後面それぞれに燃料極2および空気極3に接続された集電層4,5が形成されているため、上記のようにこの燃料電池を複数個準備すれば、前面及び後面同士を当接させるだけで、電池を直列に接続することができる。したがって、電池の接続を大幅に簡素化することができる。特に、上記のような治具を準備すれば、複数の電池を治具のガイド部材11間にスライドさせるだけで、スタック化が図れるため、複数の電池の接続がより簡単になる。また、治具に電池を装着した場合、電池同士は当接しているだけであり、固定されていないため、いずれかの電池が破損した場合でも、その電池のみの交換が可能となる。したがって、従来例のようにすべてのセルが固定されているのに比べ、一部の電池の交換が可能なことから、コストの低減が可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記治具において、電池と電池の間にインターコネクター部材を装着してもよい。この場合、インターコネクター部材は、集電層4,5と同様の材料で形成される。そして、図4に示すように、インターコネクター部材51を電池と同様の平面視矩形状にしておけば、ガイド部材11をスライドさせるだけで、装着することできるため、取付が非常に簡単になる。
また、上記実施形態では、電解質1を支持基板としているが、いずれか一方の電極2,3を支持基板とすることもできる。例えば、図5の例では、板状の燃料極2を支持基板とし、その上面に薄膜状の電解質1と空気極3とがこの順で形成されている。燃料極2と電解質1とはほぼ同じ大きさに形成されているが、空気極3は短絡を防止するため、電解質1の中央部分にやや小さく形成されている。また、燃料極2の下面から電解質1の前面に向かっては第1の集電層4が形成される一方、空気極3の上面から電解質1及び燃料極2の後面に向かっては第2の集電層5が形成されている。このとき、燃料極2及び電解質1の後面には、絶縁層53が形成されており、これによって第2の集電層5が燃料極2と接触するのを防止し、両電極2,3の短絡を防いでいる。以上のように構成された電池でも単セル本体Cの前面及び後面に集電層4,5が形成されているため、複数の電池を準備し、治具にスライドさせるだけで容易にスタック化を図ることができる。なお、図5の例では、燃料極2を支持基板としているが、空気極3を支持基板として、その上に電解質1と燃料極2を形成することもできる。また、絶縁層を形成しなくても、例えば、電解質1で支持基板2の側端面を覆い、その上に第2の集電層5を形成すれば、空気極3と燃料極2との短絡を防止できる。
さらに、図6のようにすることもできる。この例では、非導電性の多孔質支持基板52を準備し、この上に燃料極2、電解質1、および空気極3をこの順で薄膜状に形成している。このとき、多孔質支持基板52、燃料極2、及び電解質1はほぼ同じ大きさに形成し、空気極3をやや小さく形成しておく。そして、多孔質支持基板52の下面からその前面側に延び燃料極2および電解質1に接触する第1の集電層4を形成する。また、空気極3から後方へ延び、電解質1、燃料極2および支持基板52の後面に接触する第2の集電層5を形成する。このとき、図5の例と同様に、支持基板52、電解質1、及び燃料極2の後面には絶縁層53を形成しておき、空気極3と燃料極2とが短絡しないようにしておく。この構成であっても、上述した各電池と同様の効果を得ることができる。また、支持基板上の電極(ここでは燃料極2)と第1の集電層4との接触性を高めるためには、例えば、図7に示すように、燃料極2が多孔質支持基板52の側端面を介して、支持基板52の下面まで延びるように形成し、この燃料極2を覆うように、第1の集電層4を多孔質支持基板52の側端面に形成すればよい。なお、絶縁層を形成しなくても、例えば、電解質1で支持基板52及び燃料極2の側端面を覆い、その上に第2の集電層5を形成すれば、空気極3と燃料極2との短絡を防止できる。
また、多孔質支持基板を導電性を有する材料で形成してもよい。この場合は、図8に示すように、多孔質基板52が導電性を有しているため、燃料極2と接続する集電層は不要になる。つまり、多孔質支持基板52が燃料極2と電気的に接続されるため、この多孔質基板52の側端面に直接、他の電池の集電層を接触させれば、燃料極2と電気的に接続させることができる。この場合、図8に示すように、燃料極2よりも多孔質支持基板52を大きく突出するように形成しておけば、他の電池に接触させやすくなる。また、支持基板52としてステンレス系材料を用いれば、セルの割れを防止することができる。なお、この例では、絶縁層53により、支持基板52と集電層5の短絡を防止しているが、絶縁層を形成しなくても、例えば電解質1で支持基板52及び燃料極2の側端面を覆い、その上に集電層5を形成すれば、空気極3と燃料極2との短絡を防止できる。
また、上述した例では、セル本体を矩形状に形成し、対向する側端面それぞれに集電位置を設けているが、これ以外の位置でもよい。つまり、2つの集電位置が側端面上で互いに重ならないようにしておけばよい。例えば、図9に示すように、セル本体を矩形状に形成し、直交する側端面に2つの集電位置を設けることもできる。この例では、電解質支持基板1の下面及び上面に燃料極2および空気極3をそれぞれ形成し、第1の集電層4を燃料極2から電解質支持基板1の一の側端面に延びるように形成する。一方、第2の集電層5は、空気極3から電解質支持基板1の隣接する側端面に延びるように形成する。第1及び第2の集電層4,5は、互いに直交する電解質支持基板1の側端面に形成されているため、例えば、図10に示すように、4つの電池を準備すれば、第1及び第2の集電層4,5が互いに当接するように、環状に配置することで、直列に接続することができる。但し、短絡を防止するため、いずれかの集電層の当接位置には絶縁部材200を配置する必要がある。
本発明に係る単室型固体酸化物形燃料電池の一実施形態を示す断面図である。 図1の燃料電池を治具に装着したスタック構造を示す平面図である。 図1のA−A線断面図である。 本発明に係るスタック構造の他の例を示す平面図である。 図1の燃料電池の他の例を示す断面図である。 図1の燃料電池のさらに他の例を示す断面図である。 図1の燃料電池のさらに他の例を示す断面図である。 図1の燃料電池のさらに他の例を示す断面図である。 図1の燃料電池のさらに他の例を示す平面図である。 図9の燃料電池のスタック構造を示す平面図である。
符号の説明
1 電解質
2 燃料極
3 空気極
4 第1の集電層
5 第2の集電層
11 ガイド部材

Claims (8)

  1. 燃料極、空気極、及びこれらの間に配置された電解質を有するセル本体と、
    前記燃料極に電気的に接続され、前記セル本体の一の側端面に延設された第1の集電層と、
    前記空気極に電気的に接続され、前記一の側端面とは重ならない位置の他の側端面に延設された第2の集電層と、
    を備えている、単室型固体酸化物形燃料電池。
  2. 前記燃料極、電解質、及び空気極のいずれか一つが他を支持する支持基板であり、前記各集電層は、前記支持基板の側端面に延設されている、請求項1に記載の単室型固体酸化物形燃料電池。
  3. 一方の前記電極が支持基板であり、当該支持基板と、他方の前記電極に接続された集電層との間に絶縁層が配置されている、請求項2に記載の単室型固体酸化物形燃料電池。
  4. 前記単セル本体は、前記燃料極または空気極を支持する多孔質の支持基板をさらに備えており、前記各集電層は前記支持基板の側端面に延設されている、請求項1に記載の単室型固体酸化物形燃料電池。
  5. 前記一の側端面と他の側端面とは、対向する位置にある、請求項1から4のいずれかに記載の単室型固体酸化物形燃料電池。
  6. 燃料極、空気極、これらの間に配置された電解質、及び一方の前記電極を支持する導電性の多孔質の支持基板を有するセル本体と、
    他方の前記電極に電気的に接続され、前記多孔質の支持基板の側端面に延設された集電層と、
    を備えている、単室型固体酸化物形燃料電池。
  7. 前記集電層と、一方の前記電極及び多孔質支持基板と、の間を絶縁する絶縁層をさらに備えている、請求項6に記載の単室型固体酸化物形燃料電池。
  8. 複数の請求項5から7のいずれかに記載の単室型固体酸化物形燃料電池と、
    前記複数の燃料電池をスライド可能に挟持する一対のガイド部材と、を備え、
    前記ガイド部材は、前記集電層が形成されている側端面を前記スライド方向に向けた状態で、前記各燃料電池を挟持する、単室型固体酸化物形燃料電池のスタック構造。
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